パワハラでうつ病になり退職|障害年金を受給できる条件と申請の流れ

パワハラでうつ病になり退職|障害年金を受給できる条件と申請の流れ







パワハラでうつ病になり退職|障害年金を受給できる条件と申請の流れ


目次

パワハラでうつ病になり退職|障害年金を受給できる条件と申請の流れ

職場での上司や同僚からのパワーハラスメント。日々積み重なるストレスと精神的な苦痛。そして、心と体が限界を迎え、うつ病を発症し、退職せざるを得なくなった——。

今、この記事をお読みのあなたは、もしかしたらそんな辛い経験をされたのかもしれません。退職後の経済的な不安、「自分は何もできない」という無力感、「これからどうやって生きていけばいいのか」という途方に暮れる気持ち。そして、家族に迷惑をかけているという罪悪感。

実は、パワハラが原因でうつ病になり退職した方の中には、障害年金を受給できる可能性がある方がいらっしゃいます。

ただし、ここで重要なお話をさせてください。すべての「パワハラが原因のうつ病」のケースで障害年金を受給できるわけではありません。障害年金を受給するには、初診日の要件、保険料の納付状況、症状の重さ、治療の経過など、複数の条件を満たす必要があります。実際、申請しても認定されなかったケースもあります。

しかし、だからといって「自分には無理だ」と諦める必要はありません。適切な準備と専門的なサポートがあれば、受給の可能性は広がります。

私たち清水総合法務事務所は、神戸・兵庫県を中心に、パワハラが原因でうつ病になった方の障害年金申請を数多くサポートしてきました。「諦めない障害年金」をコンセプトに、一人ひとりの状況に寄り添い、複雑な手続きをお手伝いしています。

この記事では、次のことをお伝えします。

  • パワハラが原因のうつ病でも障害年金を受給できる可能性があること
  • 障害年金を受給するために必要な3つの要件
  • パワハラとうつ病の因果関係をどう証明するか
  • 申請の具体的な流れと必要書類
  • 労災申請と障害年金の違い
  • 実際に受給できた3つの事例(不支給から再申請で成功したケースも含む)
  • よくある質問への回答

あなたが今、経済的な不安を抱えながらも「自分には無理かもしれない」と感じているなら、まずはこの記事を最後まで読んでみてください。そして、少しでも「可能性があるかもしれない」と思えたら、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

パワハラで心身を傷つけられたあなたが、適切な支援を受けられるように。そして、少しでも安心して生活を立て直せるように。私たちは全力でサポートいたします。

神戸・兵庫県でパワハラが原因のうつ病による障害年金申請をお考えの方、まずはお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。あなたの状況を丁寧にお伺いし、受給の可能性や申請方法について、社会保険労務士の専門的な視点からアドバイスいたします。

お電話(050-7124-5884)、メール(mail@srkobe.com)、またはお問い合わせフォームから、どうぞご連絡ください。

パワハラが原因のうつ病でも障害年金を受給できる可能性

「パワハラが原因でうつ病になった場合、障害年金は受給できるのだろうか?」——多くの方が最初に抱く疑問です。

結論から申し上げると、パワハラが原因でうつ病を発症し退職した方でも、障害年金を受給できる可能性はあります。ただし、すべてのケースで受給できるわけではありません。

障害年金は「病名」で判断されるのではなく、「その病気によって日常生活や仕事にどの程度の支障が出ているか」で判断されます。つまり、同じ「うつ病」という診断でも、症状の重さや生活への影響度によって、受給できる方とできない方がいらっしゃるのです。

障害年金の基本的な仕組み

障害年金には、大きく分けて2つの種類があります。

  • 障害基礎年金:国民年金に加入していた方(自営業者、学生、無職の方など)が対象
  • 障害厚生年金:厚生年金に加入していた方(会社員など)が対象

パワハラが原因でうつ病になった場合、多くは会社員として働いていた時期に発症しているため、障害厚生年金の対象となるケースが多いです。障害厚生年金の場合、障害基礎年金よりも等級の幅が広く(1級・2級・3級)、比較的軽度の症状でも3級として認定される可能性があります。

ただし、ここで重要なポイントがあります。どちらの年金を受給できるかは、「初診日」にどの年金制度に加入していたかで決まります。たとえば、在職中に初めて心療内科や精神科を受診した場合は障害厚生年金の対象ですが、退職後に初めて受診した場合は障害基礎年金の対象となります。

なぜすべてのケースで受給できるわけではないのか

「パワハラが原因でうつ病になった」というだけでは、残念ながら障害年金を受給することはできません。受給するためには、次のような複数の要件を満たす必要があります。

  • 初診日の要件:初めて医療機関を受診した日が特定でき、その日に年金制度に加入していたこと
  • 保険料納付要件:初診日の前日時点で、一定期間の保険料を納めていたこと
  • 障害状態の要件:日常生活や仕事に、年金制度が定める一定以上の支障が出ていること

これらの要件のうち、一つでも満たしていない場合、障害年金は受給できません。

特にパワハラが原因のうつ病のケースでは、次のような理由で受給が難しくなることがあります。

  • 初診日の特定が困難:最初は内科で「不眠」や「頭痛」として診てもらい、後から心療内科に紹介されたケースでは、どちらが初診日かの判断が難しい場合があります
  • 因果関係の証明が難しい:うつ病の原因がパワハラだけなのか、他の要因も関係しているのか、医学的に明確にすることが難しい場合があります
  • 症状が認定基準に達していない:治療により症状が改善している場合や、日常生活への支障が比較的軽度の場合、障害等級に該当しないことがあります
  • 証拠が不十分:パワハラの事実を証明する資料(メール、録音、同僚の証言など)や、当時の状況を詳しく記録した診断書・カルテがない場合、申請が認められにくいことがあります

実際に、私たちの事務所にご相談いただいた方の中にも、これらの理由で残念ながら不支給となったケースがあります。

それでも「諦めない」理由

ここまで読んで、「やっぱり自分には無理かもしれない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、要件を満たしているにもかかわらず、制度の複雑さや手続きの難しさから諦めてしまう方が非常に多いのも事実です。

たとえば、初診日の証明が困難に見えても、当時のカルテや紹介状、お薬手帳の記録などから特定できる場合があります。また、診断書の記載内容によって認定結果が大きく変わることもあるため、主治医にどのように日常生活の困難さを伝えるかが重要になります。

私たち清水総合法務事務所では、「諦めない障害年金」をコンセプトに、一見難しそうに見えるケースでも、可能性を最大限に引き出すサポートを行っています。

次のセクションでは、障害年金を受給するために必要な3つの要件について、より詳しく解説していきます。ご自身のケースと照らし合わせながら、お読みください。

障害年金を受給するための3つの必須要件

障害年金を受給するためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けていると、残念ながら受給することはできません。

ここでは、それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。特に、パワハラが原因のうつ病のケースで注意すべきポイントも併せて解説します。

【要件1】初診日の要件|初診日が特定でき、その日に年金制度に加入していたこと

初診日とは何か

初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。

パワハラが原因のうつ病の場合、多くの方は次のような経緯をたどります。

  1. 体調不良(不眠、頭痛、動悸、胃痛など)を感じる
  2. 最初は内科や心療内科以外の診療科(内科、耳鼻咽喉科など)を受診
  3. 改善せず、後日精神科や心療内科を受診、うつ病と診断される

このような場合、初診日はどこになるのかが非常に重要な問題となります。

基本的には、「症状の原因が同じであれば、最初に受診した医療機関が初診日」となります。つまり、不眠で内科を受診し、その後精神科でうつ病と診断された場合、内科を受診した日が初診日となる可能性が高いのです。

なぜ初診日が重要なのか

初診日がどこかによって、次のことが決まります。

  • どの年金制度の対象か(障害基礎年金か、障害厚生年金か)
  • 保険料納付要件の判定基準日
  • 障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)

たとえば、在職中に初めて受診した場合は障害厚生年金の対象(1級・2級・3級あり)ですが、退職後に初めて受診した場合は障害基礎年金の対象(1級・2級のみ)となり、受給できる等級の範囲が変わってしまいます。

パワハラうつ病のケースで初診日の特定が難しい理由

パワハラが原因でうつ病になった方の場合、次のような理由で初診日の特定が困難になることがあります。

  • 最初の受診が内科や他の診療科だった:当時は「ストレス」とは思わず、身体症状だけを訴えて受診した
  • カルテが残っていない:初診から年月が経過し、クリニックが廃院していたり、カルテの保存期間(通常5年)を過ぎていたりする
  • 本人の記憶が曖昧:当時は精神的に追い詰められており、いつどこを受診したか正確に覚えていない

しかし、諦める必要はありません。初診日を証明する方法は、診療録(カルテ)だけではありません。次のような資料でも証明できる場合があります。

  • 受診時の領収書や診察券
  • お薬手帳の記録
  • 健康保険の給付記録
  • 紹介状の写し
  • 当時の日記やメモ
  • 第三者(家族、同僚など)の証明書

私たちの事務所では、これらの資料を丁寧に収集・整理し、初診日の証明をサポートしています。

【要件2】保険料納付要件|初診日の前日時点で一定期間の保険料を納めていること

保険料納付要件とは

障害年金を受給するためには、初診日の前日時点で、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。

【原則】
初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること

【特例】令和8年4月1日前に初診日がある場合
初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと

多くの方は、この特例の方が満たしやすいでしょう。つまり、初診日の直前1年間、きちんと年金保険料を納めていた(または免除を受けていた)かどうかが重要です。

会社員だった方の場合

パワハラを受けて退職した方の多くは、在職中は厚生年金に加入していたはずです。厚生年金の保険料は給与から天引きされるため、在職中の期間は基本的に納付要件を満たしていると考えられます。

ただし、注意が必要なケースもあります。

  • 20歳以降、就職前の期間:学生時代や無職期間に国民年金保険料を納めていなかった
  • 転職の空白期間:厚生年金の資格喪失から次の厚生年金の資格取得までの間、国民年金への切り替え手続きをせず未納だった
  • 退職後の期間:退職後、国民年金保険料を納めていない、または免除申請をしていない

もし心当たりがある場合は、年金事務所で「ねんきん定期便」や「被保険者記録照会」を確認し、未納期間がないかチェックすることをおすすめします。

未納期間があった場合

残念ながら、納付要件を満たしていない場合、障害年金を受給することはできません。ただし、次のような場合は救済される可能性があります。

  • 保険料免除を受けていた期間:未納ではなく「免除」されていた期間は、納付済期間として扱われます
  • 20歳前の期間:20歳前の期間は判定の対象外です

また、初診日が在職中(厚生年金加入中)で、かつ初診日の直前1年間に未納がなければ、それ以前に多少の未納期間があっても特例が適用される可能性があります。

【要件3】障害状態の要件|日常生活や仕事に一定以上の支障が出ていること

障害状態とは

障害年金における「障害状態」とは、病気やケガによって、日常生活や仕事に継続的に支障が出ている状態のことです。

うつ病を含む精神疾患の場合、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」の中の「第8節 精神の障害」に基づいて判定されます。

精神疾患の障害等級は、次のような基準で判定されます。

  • 1級:日常生活のほぼすべてに援助が必要。他人の助けがなければ生活できない状態
  • 2級:日常生活に著しい制限を受ける。必ずしも他人の助けが必要ではないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度
  • 3級(障害厚生年金のみ):労働に著しい制限を受ける。日常生活にはそれほど支障はないが、仕事に制限があり、一般企業での就労が著しく困難な程度

判定の際には、次の2つの評価が重視されます。

  1. 日常生活能力の判定(7項目の評価)
  2. 日常生活能力の程度(5段階評価)

これらは診断書の中で主治医が記載する項目であり、診断書の内容が認定結果を大きく左右します。

「働けない」だけでは不十分

よくある誤解として、「退職して働けなくなったから、障害年金をもらえる」というものがあります。

しかし、障害年金は「働けるかどうか」だけで判断されるわけではありません。重要なのは、日常生活全般にどれだけ支障が出ているかです。

たとえば、次のような状態であるかどうかが評価されます。

  • 一人で外出できるか(通院に家族の付き添いが必要か)
  • 食事の準備や片付けができるか
  • 入浴や着替えを自分でできるか
  • 金銭管理ができるか
  • 他人とコミュニケーションが取れるか
  • 日中の活動(何もせず寝ている、テレビを見ているだけなど)

治療によって症状が改善し、日常生活にあまり支障がない状態になっている場合、残念ながら障害等級に該当しないことがあります。

パワハラとうつ病の因果関係

パワハラが原因でうつ病になったことを証明することは、労災申請ほど厳密には求められませんが、診断書や医師の意見書の中で触れられていることが望ましいです。

また、次のような資料があると、申請時の説得力が増します。

  • パワハラの事実を示すメールやメッセージ
  • 当時の録音データ
  • 同僚や家族の証言
  • 会社の相談窓口や労働基準監督署への相談記録
  • 病歴・就労状況等申立書(自分で記載する書類)でのパワハラ状況の詳細な説明

ただし、これらの証拠がなくても、診断書や申立書で丁寧に状況を説明することで認定される可能性はあります。

3つの要件チェックリスト

ご自身が要件を満たしているかどうか、次のチェックリストで確認してみましょう。

要件 確認ポイント チェック
【要件1】
初診日
初めて医療機関を受診した日が特定できる
初診日に年金制度(国民年金または厚生年金)に加入していた
初診日を証明する資料(診察券、領収書、お薬手帳など)がある、または入手できる見込みがある
在職中(厚生年金加入中)に初めて受診した場合、障害厚生年金の対象となる
【要件2】
保険料納付
初診日の前々月までの直近1年間に、年金保険料の未納期間がない
または、初診日の前々月までの被保険者期間のうち、納付済期間と免除期間を合わせて3分の2以上ある
会社員として働いていた期間は、厚生年金保険料が給与から天引きされていた
【要件3】
障害状態
現在も継続して治療を受けている
日常生活に著しい制限がある(一人での外出困難、家事ができない、金銭管理が難しいなど)
就労が著しく困難、または就労できない状態が続いている
主治医がうつ病の症状や生活への支障を理解している
初診日から1年6ヶ月以上経過している、または症状が固定している

※このチェックリストは目安です。チェックが少ないからといって必ずしも受給できないわけではありませんし、すべてチェックがついても受給が保証されるわけではありません。詳しくは専門家にご相談ください。

3つの要件は、それぞれが独立しており、すべてを満たして初めて受給の可能性が生まれます。

特にパワハラが原因のうつ病の場合、初診日の特定や因果関係の説明が難しいケースも多いため、早めに専門家に相談し、必要な証拠を整理しておくことが重要です。

次のセクションでは、うつ病の障害認定基準と等級判定について、さらに詳しく見ていきます。

パワハラが原因のうつ病|障害認定基準と等級

「自分のうつ病の症状は、障害年金の対象になるのだろうか?」——多くの方が抱く疑問です。

このセクションでは、うつ病を含む精神疾患の障害認定基準と、どの程度の症状で何級に認定されるのかについて、詳しく解説します。

うつ病の障害認定基準とは

障害年金の認定は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」という公的な基準に基づいて行われます。

うつ病を含む精神疾患は、この認定基準の「第8節 精神の障害」に分類されます。精神疾患の場合、次の2つの要素を総合的に評価して等級が判定されます。

  1. 日常生活能力の判定:7つの生活場面でどの程度援助が必要か
  2. 日常生活能力の程度:全体として日常生活がどの程度制限されているか(5段階評価)

これらは診断書の中で主治医が評価する項目であり、認定結果に最も大きな影響を与える部分です。

障害等級の判定基準|1級・2級・3級の違い

障害年金の等級は、症状の重さと日常生活への影響度によって決まります。

障害等級1級

【認定基準】
日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。他人の介助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない状態。

【具体的な状態の目安】

  • 入院または在宅で常時介護が必要
  • 一人での外出はほぼ不可能
  • 食事、入浴、着替えなどに常に援助が必要
  • 金銭管理ができない
  • 日中もほとんど寝たきりか、ぼんやり過ごしている
  • 意思の疎通がほとんどできない

【受給額の目安】
障害基礎年金1級:年額約102万円(令和6年度)
障害厚生年金1級:上記に加えて、報酬比例部分×1.25倍と配偶者加給年金

障害等級2級

【認定基準】
日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度。

【具体的な状態の目安】

  • 一人での外出は可能だが、付き添いが望ましい場合が多い
  • 簡単な家事はできるが、複雑な作業は困難
  • 金銭管理に援助が必要な場合がある
  • 対人関係が著しく制限される
  • 就労は困難(デイケアや作業所などへの通所は可能な場合もある)
  • 症状の悪化により入院を繰り返すことがある

【受給額の目安】
障害基礎年金2級:年額約81万円(令和6年度)
障害厚生年金2級:上記に加えて、報酬比例部分と配偶者加給年金

※2級が最も認定されるケースが多い等級です。パワハラが原因でうつ病になり退職した方の多くは、この2級を目指して申請されています。

障害等級3級(障害厚生年金のみ)

【認定基準】
労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。日常生活にはそれほど支障はないが、労働については制限がある状態。

【具体的な状態の目安】

  • 日常生活はおおむね自立しているが、ストレスがかかると症状が悪化する
  • 一人での外出や簡単な買い物は可能
  • 対人関係に一定の配慮が必要
  • 一般企業での通常の就労は著しく困難(短時間勤務、配置転換、業務軽減などの配慮が必要)
  • 症状が安定していても、労働能力に明らかな制限がある

【受給額の目安】
障害厚生年金3級:報酬比例部分(最低保障額:年額約60万円、令和6年度)

※3級は障害厚生年金のみです。初診日に国民年金に加入していた方(自営業、学生、無職など)は、3級の対象にはなりません。

障害等級と日常生活への影響|比較表

等級 日常生活の状態 労働能力 対象年金 受給額の目安
1級 常時介護が必要。入浴、食事、着替えなどに援助が必要。一人での外出はほぼ不可能。 就労不能 障害基礎年金
障害厚生年金
基礎:約102万円/年
厚生:+報酬比例×1.25
2級 著しい制限あり。一人での外出は可能だが付き添いが望ましい。家事は簡単なものに限られる。 労働により収入を得ることは困難 障害基礎年金
障害厚生年金
基礎:約81万円/年
厚生:+報酬比例
3級 日常生活はおおむね自立。ストレスで症状悪化。 労働に著しい制限。一般企業での通常就労は困難。 障害厚生年金のみ 報酬比例部分
(最低約60万円/年)

※受給額は令和6年度の金額です。報酬比例部分は、在職中の給与額と加入期間によって個人差があります。

日常生活能力の判定|7つの評価項目

診断書では、次の7つの生活場面について、どの程度援助が必要かを4段階で評価します。この評価が等級判定の重要な材料となります。

  1. 適切な食事:バランスの取れた食事を適量、適切な時間に摂ることができるか
  2. 身辺の清潔保持:入浴、洗面、着替え、トイレ使用などが適切にできるか
  3. 金銭管理と買い物:金銭を独力で適切に管理し、やりくりができるか
  4. 通院と服薬:規則的に通院し、医師の指示通りに服薬できるか
  5. 他人との意思伝達及び対人関係:他人の話を理解し、自分の意思を伝えられるか。対人関係を適切に保てるか
  6. 身辺の安全保持及び危機対応:事故などを回避でき、危機的状況で適切に対応できるか
  7. 社会性:社会的なルールや常識に従って行動できるか

【4段階評価】

  • できる:援助なしでできる、または適切にできる
  • 自発的にできるが時には援助が必要:おおむねできるが、時に助言や指導が必要
  • 自発的かつ適正に行うことはできないが援助があればできる:常に援助や配慮が必要
  • できない:援助や配慮をしてもできない、あるいは行わない

この7項目の評価の組み合わせによって、「日常生活能力の程度」(次項)が総合的に判定されます。

日常生活能力の程度|5段階評価

7つの項目の評価を踏まえて、日常生活全体の状態を5段階で評価します。この評価が等級判定の最も重要な指標となります。

【5段階評価の目安】

  • (1) 精神障害を認めるが、日常生活及び社会生活は普通にできる
  • (2) 精神障害を認め、日常生活又は社会生活に一定の制限を受ける
  • (3) 精神障害を認め、日常生活又は社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする
  • (4) 精神障害を認め、日常生活又は社会生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする
  • (5) 精神障害を認め、身の回りのことはほとんどできない

【等級との対応関係の目安】

  • 程度(5)、(4) → 1級相当の可能性が高い
  • 程度(3) → 2級相当の可能性が高い
  • 程度(2) → 3級相当の可能性がある(障害厚生年金のみ)
  • 程度(1) → 障害等級に該当しない可能性が高い

※ただし、これは目安であり、最終的な等級は他の要素も含めて総合的に判定されます。

パワハラが原因のうつ病|因果関係をどう証明するか

障害年金の申請において、「パワハラが原因でうつ病になった」という因果関係を証明することは、労災申請ほど厳密には求められません。しかし、診断書や病歴・就労状況等申立書の中で説明されていることが望ましいです。

因果関係を示す方法

1. 診断書での記載
主治医に対して、初診時からパワハラによるストレスがあったことを伝え、診断書の「発病から現在までの病歴及び治療の内容等」欄に記載してもらうことが重要です。

2. 病歴・就労状況等申立書での詳細な説明
申請者本人が記載する「病歴・就労状況等申立書」で、次のような内容を具体的に記載します。

  • いつ頃からどのようなパワハラを受けていたか
  • パワハラによってどのような心身の変化があったか(不眠、食欲不振、動悸、涙が止まらないなど)
  • いつ、どのような症状で医療機関を初めて受診したか
  • その後の症状の経過と日常生活への影響

3. 客観的な証拠資料(あれば)
次のような資料があれば、申請時に添付することで説得力が増します。

  • パワハラの内容を示すメール、メッセージ、録音データ
  • 会社の相談窓口やハラスメント委員会への相談記録
  • 労働基準監督署への相談記録
  • 同僚や上司、家族による証言書
  • 退職理由を記した退職証明書や離職票

ただし、これらの証拠がなくても、診断書と申立書で丁寧に状況を説明すれば、認定される可能性は十分にあります。障害年金は「現在の障害状態」を主に評価するものであり、原因の証明は補助的な要素だからです。

労災認定との違い

労災保険と障害年金は、別の制度であり、判定基準も異なります。

項目 労災保険 障害年金
主な判定ポイント 業務と疾病の因果関係(業務起因性) 現在の障害状態と日常生活への影響
証明すべきこと 業務による心理的負荷が強かったこと 日常生活や労働能力に制限があること
証拠の重要度 非常に重要(パワハラの客観的証拠が必須に近い) 補助的(診断書と申立書が主、証拠は任意)
認定の難易度 因果関係の証明が難しく、ハードルが高い 現在の状態重視で、比較的認定されやすい
併給の可否 障害年金と労災の休業補償給付は調整あり 障害年金と労災の障害補償年金は調整あり

重要なポイント:労災が認定されなくても、障害年金は認定される可能性があります。逆に、労災が認定されても、障害年金の要件を満たしていなければ受給できません。両者は別の制度であり、独立して判定されます。

障害年金の認定は、病名や原因ではなく、「現在、日常生活や仕事にどの程度の支障が出ているか」で判断されます。

そのため、主治医に現在の生活の困難さを正確に伝え、診断書に適切に記載してもらうことが何より重要です。また、申立書で具体的なエピソードを記載することで、審査する側に状況を理解してもらいやすくなります。

次のセクションでは、具体的な申請手続きと必要書類について解説します。

障害年金の申請手続きと必要書類

障害年金の申請手続きは、複数の書類を集め、正確に記入し、適切なタイミングで提出する必要があります。特にパワハラが原因のうつ病の場合、初診日の証明や診断書の内容が重要になるため、慎重な準備が必要です。

このセクションでは、申請の流れと必要書類について、具体的に解説します。

障害年金申請の基本的な流れ

障害年金の申請には、大きく分けて2つの方法があります。

  1. 認定日請求(遡及請求):障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)時点で障害状態にあった場合、その時点まで遡って申請する方法
  2. 事後重症請求:障害認定日時点では症状が軽かったが、その後悪化した場合に、現在の状態で申請する方法

どちらの方法で申請するかによって、必要な診断書の枚数や受給開始時期が変わります。

認定日請求と事後重症請求の違い

項目 認定日請求(遡及請求) 事後重症請求
対象となる方 障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)時点で既に障害状態にあった方 障害認定日時点では軽かったが、その後症状が悪化した方
受給開始時期 障害認定日の翌月から(最大5年分遡及可能) 請求した月の翌月から
必要な診断書 2通(障害認定日時点と現在時点) 1通(現在時点のみ)
メリット 過去に遡って受給できるため、まとまった金額を受け取れる 診断書が1通で済み、手続きが比較的簡単
デメリット 過去の診断書作成が困難な場合がある(カルテが残っていない等) 過去に遡って受給することはできない

※パワハラが原因で退職し、既に1年6ヶ月以上経過している場合、まずは認定日請求ができるかどうかを検討することをおすすめします。過去のカルテが残っていれば、遡及して受給できる可能性があります。

申請手続きの流れ|8つのステップ

ステップ1:初診日の確認と証明資料の収集

やること:

  • いつ、どこの医療機関を初めて受診したか確認
  • 初診の医療機関に「受診状況等証明書」を依頼
  • カルテがない場合は、領収書、お薬手帳、診察券などを探す

ポイント:初診日の特定は最も重要です。まずはここから始めましょう。

ステップ2:年金事務所で相談・申請方法の確認

やること:

  • 最寄りの年金事務所に予約して相談
  • 初診日と保険料納付状況を確認
  • 認定日請求か事後重症請求か判断
  • 必要書類のリストをもらう

ポイント:年金事務所は予約制の場合が多いです。事前に電話で予約しましょう。

ステップ3:診断書の依頼

やること:

  • 現在通院中の医療機関に「精神の障害用」診断書を依頼
  • 認定日請求の場合は、障害認定日時点の診断書も依頼
  • 主治医に日常生活の困難さを具体的に伝える

ポイント:診断書作成には1〜2ヶ月かかることが多いです。早めに依頼しましょう。

ステップ4:病歴・就労状況等申立書の作成

やること:

  • 発病から現在までの経過を時系列で記載
  • パワハラの状況、症状の変化、日常生活の困難さを具体的に記載
  • 治療歴、入院歴、服薬状況を詳しく記載

ポイント:この書類は申請者本人が記載します。できるだけ具体的なエピソードを書きましょう。

ステップ5:その他の必要書類の収集

やること:

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書のコピー
  • 戸籍謄本または住民票
  • 医師の診断書(受け取り)
  • 受診状況等証明書(初診の医療機関から)
  • 預金通帳のコピー(年金受取口座)

ステップ6:申請書類の記入

やること:

  • 年金請求書(国民年金・厚生年金保険 障害給付)を記入
  • 配偶者や子がいる場合は、加算の書類も記入

ポイント:記入漏れや間違いがないよう、慎重に記入しましょう。

ステップ7:年金事務所または市区町村役場に提出

やること:

  • すべての書類を揃えて提出
  • 初診日に厚生年金加入→年金事務所に提出
  • 初診日に国民年金加入→市区町村役場に提出

ポイント:提出時に書類の確認をしてもらえます。コピーを取っておくことをおすすめします。

ステップ8:審査結果の通知を待つ

やること:

  • 審査結果を待つ(通常3〜4ヶ月、場合によっては6ヶ月以上)
  • 認定されれば「年金証書」と「年金決定通知書」が届く
  • 不支給の場合は「不支給決定通知書」が届く

ポイント:不支給の場合、3ヶ月以内に審査請求(不服申立て)ができます。

必要書類の一覧とチェックリスト

障害年金の申請には、多くの書類が必要です。以下のチェックリストを活用して、漏れがないように準備しましょう。

No. 書類名 入手先・作成者 備考
1 年金請求書 年金事務所または市区町村役場でもらう 本人が記入。基礎年金用と厚生年金用で様式が異なる
2 診断書(精神の障害用) 現在通院中の医療機関の主治医 作成に1〜2ヶ月かかる。認定日請求の場合は2通必要
3 受診状況等証明書 初診の医療機関 初診日を証明する書類。現在の主治医と初診医が同じ場合は不要
4 病歴・就労状況等申立書 本人が作成 発病から現在までの経過を詳しく記載。パワハラの状況も記載
5 年金手帳または基礎年金番号通知書 本人所有 基礎年金番号がわかるもの。コピーを提出
6 戸籍謄本 本籍地の市区町村役場 請求日から6ヶ月以内のもの。配偶者や子がいる場合は家族全員分
7 世帯全員の住民票 住所地の市区町村役場 請求日から6ヶ月以内のもの。マイナンバー記載の場合は省略可
8 預金通帳のコピー 本人 年金受取口座の通帳。金融機関名、支店名、口座番号、名義人がわかるページ
9 印鑑 本人 認印可(シャチハタ不可)
10 所得証明書または課税証明書 住所地の市区町村役場 20歳前傷病による障害基礎年金を請求する場合のみ必要
※以下は該当する場合のみ必要
11 配偶者の年金手帳または基礎年金番号通知書 配偶者所有 配偶者の加算を受ける場合(障害厚生年金1級・2級のみ)
12 配偶者の所得証明書 配偶者の住所地の市区町村役場 配偶者の加算を受ける場合
13 子の年金手帳または基礎年金番号通知書 子が所有(20歳以上の場合) 子の加算を受ける場合
14 在学証明書または学生証のコピー 学校 18歳以上の子が高校・大学等に在学している場合
15 第三者証明書 第三者(家族以外)が作成 初診日を証明する資料が一切ない場合の補助資料

※書類の種類や必要な枚数は、個々のケースによって異なる場合があります。必ず年金事務所で確認してください。

診断書作成の重要ポイント|主治医に伝えるべきこと

障害年金の認定において、診断書は最も重要な書類です。診断書の記載内容によって、認定されるかどうか、何級に認定されるかが大きく変わります。

診断書を依頼する前に準備すること

  1. 日常生活の困難さを整理する
    • できないこと、困っていることを具体的にメモしておく
    • 「朝起きられない」「買い物に一人で行けない」「入浴が数日に1回」など
  2. 家族の助けを受けている内容を整理する
    • 「食事の準備は妻がしている」「通院には妻が付き添っている」など
    • 援助の頻度と内容を具体的に
  3. 仕事ができない・困難な理由を整理する
    • 「集中力が続かない」「対人関係が取れない」「ミスが多い」など
    • 実際に退職に至った経緯
  4. パワハラの状況と発病の経緯を整理する
    • いつ頃からどのようなパワハラがあったか
    • それによってどのような症状が出たか

主治医に伝えるべき具体的な内容

診察時間は限られているため、主治医は患者の日常生活の詳細をすべて把握しているわけではありません。診断書を依頼する際は、次のような具体的な内容を伝えることが重要です。

【伝えるべき内容の例】

  • 「朝、起き上がるのに1〜2時間かかります。布団から出られない日もあります」
  • 「一人での外出は不安が強く、通院にも妻が付き添っています」
  • 「食事の準備は自分ではできず、妻が全部やっています」
  • 「入浴は週に1〜2回程度です。面倒で、入る気力が出ません」
  • 「人と話すのが怖く、電話にも出られません」
  • 「金銭管理は妻に任せています。自分では計算もできない状態です」
  • 「日中はほとんどベッドで横になっているか、ぼんやりテレビを見ているだけです」
  • 「仕事をしようと思っても、集中力が続かず、何もできません」

もし、診察時にうまく伝えられない場合は、メモを持参して医師に渡すことも有効です。

診断書でよくある問題と対策

よくある問題 対策
日常生活能力の判定が実際より軽く記載されている 診察時に、日常生活の困難さを具体的なエピソードを交えて伝える。できていることではなく、できないこと・困っていることを中心に話す
「就労可能」と記載されている 「仕事に就きたいが、集中力が続かない」「対人関係が取れず働けない」など、就労が困難な具体的理由を伝える
家族の援助について記載がない 「通院には妻が付き添っている」「食事の準備は妻がしている」など、誰がどのような援助をしているかを具体的に伝える
パワハラとの因果関係が書かれていない 「職場でのパワハラがきっかけで発症した」ことを初診時から一貫して伝える。病歴・就労状況等申立書でも詳しく記載する
治療によって症状が改善していると記載されている 「薬を飲んでいても、日常生活に支障がある」ことを伝える。改善している部分だけでなく、現在も続いている困難を強調する

病歴・就労状況等申立書の書き方ポイント

病歴・就労状況等申立書は、申請者本人が記載する重要な書類です。診断書だけでは伝わらない、発病の経緯や日常生活の困難さを詳しく説明できます。

記載すべき内容

  1. 発病から初診までの経緯
    • いつ頃から、どのような症状が出始めたか
    • パワハラの具体的な内容と時期
    • 症状が悪化していった経過
    • なぜ医療機関を受診しようと思ったか
  2. 各医療機関での治療内容と経過
    • どこの医療機関に、いつからいつまで通院したか
    • どのような治療を受けたか(投薬内容、入院の有無など)
    • 症状の変化(改善・悪化)
    • 転院や医療機関を変えた理由
  3. 日常生活の状況
    • 一人でできること、できないこと
    • 家族の援助を受けている内容
    • 外出の頻度と状況
    • 対人関係の状況
  4. 就労状況
    • 発病前の仕事内容
    • パワハラの具体的内容
    • 休職や退職に至った経緯
    • 退職後の就労状況(求職活動の有無、就労の可否)

書き方のコツ

  • 時系列で整理する:発病から現在まで、時系列で記載すると審査する側が理解しやすい
  • 具体的に書く:「調子が悪かった」ではなく、「朝起きられず、会社を遅刻・欠勤することが増えた」など具体的に
  • パワハラの内容を詳しく書く:いつ頃から、誰から、どのような言動があったかを詳しく記載
  • 症状と日常生活の困難さの関連を書く:「抑うつ気分のため、入浴や食事の準備ができない」など、因果関係を明確に
  • 援助の内容を具体的に書く:「家族が通院に付き添っている」「妻が食事の準備をしている」など

障害年金の申請手続きは複雑で、多くの書類を準備する必要があります。特に診断書と病歴・就労状況等申立書は、認定結果を大きく左右する重要な書類です。

「自分一人では難しそう」と感じた場合は、社会保険労務士などの専門家に依頼することも検討してください。私たち清水総合法務事務所では、書類の準備から申請まで、トータルでサポートしています。

次のセクションでは、労災申請と障害年金の違いについて詳しく解説します。

労災申請と障害年金の違い|どちらを選ぶべきか

パワハラが原因でうつ病になり退職した方からよく受ける質問が、「労災と障害年金、どちらを申請すればいいのか?」というものです。

結論から申し上げると、労災保険と障害年金は全く別の制度であり、目的も要件も異なります。状況によっては両方申請できる場合もありますし、どちらか一方が適している場合もあります。

このセクションでは、両制度の違いを詳しく解説し、あなたの状況に合った選択ができるようサポートします。

労災保険と障害年金の基本的な違い

比較項目 労災保険(労働者災害補償保険) 障害年金
制度の目的 業務上の災害により被った損害を補償する 病気やケガで生活や仕事に支障が出た人の生活を保障する
管轄 厚生労働省(労働基準監督署) 厚生労働省(日本年金機構)
対象者 労働者(会社員、パート、アルバイト等)のみ 年金制度に加入している全ての人(会社員、自営業者、学生、無職等)
認定の重点 業務と疾病の因果関係(業務起因性) 現在の障害状態(日常生活や労働への支障)
証明すべきこと ・業務による強い心理的負荷があったこと
・業務以外の要因が主因ではないこと
・初診日が特定できること
・保険料納付要件を満たすこと
・日常生活や労働に支障があること
申請時期 在職中でも退職後でも可能(ただし時効あり) 初診日から1年6ヶ月後以降(または症状固定後)
必要な証拠 非常に重要:パワハラの客観的証拠(メール、録音、タイムカード、証言等)がほぼ必須 補助的:診断書が最重要。証拠は参考資料
認定の難易度 高い:業務起因性の立証が困難。精神疾患の労災認定率は約30〜40% 中程度:現在の状態重視。精神疾患の認定率は非公表だが、労災より認定されやすい傾向
給付内容 ・療養補償給付(治療費全額)
・休業補償給付(賃金の80%相当)
・障害補償給付(年金または一時金)
・その他
・障害基礎年金(1級・2級)
・障害厚生年金(1級・2級・3級)
※生涯にわたって受給可能
受給期間 休業補償給付:休業している間
障害補償年金:生涯または症状固定まで
原則として生涯(更新審査あり)
併給調整 障害年金と同時受給の場合、労災給付が一部減額される 労災と同時受給の場合でも減額されない

労災申請のメリット・デメリット

【メリット】

  1. 治療費が全額補償される
    • 療養補償給付により、うつ病の治療費(診察代、薬代等)が全額支給される
    • 通院交通費も支給対象
    • 障害年金には治療費の補償はない
  2. 休業中の収入が保障される
    • 休業補償給付として、賃金の約80%(休業特別支給金を含む)が支給される
    • 傷病手当金(健康保険)よりも高い給付率
  3. 会社の責任を明確にできる
    • 労災認定されることで、パワハラが業務上の問題であったことが公的に認められる
    • 精神的な意味での「証明」になる
  4. 損害賠償請求の証拠になる
    • 労災認定後、会社に対して安全配慮義務違反による損害賠償を請求する際の強力な証拠となる
  5. 初診日から1年6ヶ月を待たずに申請できる
    • 休業補償給付は休業4日目から、療養補償給付はすぐに申請可能

【デメリット】

  1. 業務起因性の証明が非常に困難
    • パワハラの事実を客観的に証明する必要がある(メール、録音、証言等)
    • 証拠がない場合、認定は極めて難しい
  2. 会社との関係悪化のリスク
    • 労災申請することで、会社との関係が悪化する可能性がある
    • 在職中の場合、職場での立場が難しくなることも
  3. 認定までに時間がかかる
    • 精神疾患の労災認定には通常6ヶ月〜1年以上かかる
    • 複雑なケースでは2年以上かかることも
  4. 認定率が低い
    • 精神障害の労災認定率は約30〜40%程度(令和4年度:請求件数2,683件、認定件数710件、認定率26.5%)
    • パワハラ単独のケースは特に認定のハードルが高い
  5. 退職後は申請がより困難になる
    • 会社からの協力が得られにくい(資料提供、証言等)
    • タイムカードや業務記録などの証拠収集が困難
  6. 時効がある
    • 療養補償給付:治療費支出日から2年
    • 休業補償給付:休業日ごとに2年
    • 障害補償給付:症状固定日から5年

障害年金申請のメリット・デメリット

【メリット】

  1. 生涯にわたって受給できる
    • 一度認定されれば、原則として生涯受給可能(1〜5年ごとの更新審査あり)
    • 長期的な生活の安定が図れる
  2. 業務起因性の証明が不要
    • パワハラの客観的証拠がなくても申請可能
    • 現在の障害状態が重視される
  3. 退職後でも申請できる
    • 退職から何年経過していても、要件を満たせば申請可能
    • 会社の協力は基本的に不要
  4. 労災よりも認定されやすい傾向
    • 診断書と申立書の内容が適切であれば、認定の可能性は高い
    • 証拠がなくても、現在の状態で判断される
  5. 厚生年金加入者は3級でも受給可能
    • 就労に著しい制限がある場合、3級として認定される可能性
    • 基礎年金には3級がない
  6. 社会復帰の妨げになりにくい
    • 障害年金を受給しながら就労することも可能(3級の場合は特に)
    • 会社との関係悪化リスクがない

【デメリット】

  1. 初診日から1年6ヶ月待つ必要がある
    • 障害認定日は原則として初診日から1年6ヶ月後
    • すぐには受給できない(ただし認定日請求で遡及可能)
  2. 初診日の特定が必要
    • 初診日を証明する資料が必須
    • カルテが残っていない場合、証明が困難
  3. 保険料納付要件がある
    • 過去に未納期間があると受給できない場合がある
  4. 治療費の補償はない
    • 障害年金は生活費の補償であり、治療費は対象外
  5. 診断書の内容に大きく左右される
    • 主治医が日常生活の困難さを適切に理解していない場合、認定されない可能性
    • 診断書の記載が軽めだと不支給になることも
  6. 更新審査がある
    • 1〜5年ごとに診断書を提出し、症状が改善していれば支給停止の可能性

どちらを選ぶべきか|ケース別の判断基準

ケース1:在職中で、パワハラの証拠がしっかりある場合

【推奨】まず労災申請、その後障害年金も検討

理由:

  • パワハラの証拠(メール、録音、証言等)があれば、労災認定の可能性が高い
  • 治療費全額と休業補償(賃金の80%)が受けられる
  • 労災認定後、初診日から1年6ヶ月経過した時点で障害年金も申請可能

注意点:

  • 会社との関係が悪化する覚悟が必要
  • 労災申請は在職中の方が証拠収集しやすい
  • 労災と障害年金を同時受給する場合、労災給付が約73〜88%に減額調整される

具体的な流れ:

  1. 労災申請(療養補償給付、休業補償給付)
  2. 初診日から1年6ヶ月経過後、障害年金を申請
  3. 両方認定されれば、調整後の金額で両方受給

ケース2:既に退職しており、パワハラの証拠がない、または少ない場合

【推奨】障害年金に専念する

理由:

  • 退職後の労災申請は証拠収集が極めて困難
  • 会社の協力が得られない場合、認定の可能性は低い
  • 障害年金は証拠がなくても、現在の障害状態で判断される
  • 時間とエネルギーを障害年金の申請に集中する方が効率的

注意点:

  • 初診日の証明が必要(お薬手帳、領収書等を活用)
  • 診断書の内容が最重要なので、主治医とのコミュニケーションを重視
  • 病歴・就労状況等申立書で、パワハラの状況を詳しく記載

具体的な流れ:

  1. 初診日を特定し、証明資料を収集
  2. 保険料納付状況を確認
  3. 主治医に日常生活の困難さを詳しく伝え、診断書を依頼
  4. 病歴・就労状況等申立書で、パワハラから発病、退職に至る経緯を詳述
  5. 障害年金を申請

ケース3:在職中だが、会社との関係を悪化させたくない場合

【推奨】まず傷病手当金、その後障害年金

理由:

  • 労災申請は会社との関係悪化リスクが高い
  • 傷病手当金(健康保険)なら会社との対立構造にならない
  • 傷病手当金受給中(最長1年6ヶ月)に、障害年金の申請準備ができる

注意点:

  • 傷病手当金は賃金の約67%(労災の80%より低い)
  • 治療費は自己負担(3割)
  • 傷病手当金と障害年金は併給調整がある(障害年金が優先され、傷病手当金が減額または停止)

具体的な流れ:

  1. 会社を休職し、傷病手当金を申請
  2. 休職中に治療に専念
  3. 初診日から1年6ヶ月経過後、障害年金を申請
  4. 障害年金が認定されれば、傷病手当金から切り替え

ケース4:退職してから時間が経っており、経済的に困窮している場合

【推奨】障害年金の認定日請求(遡及請求)を検討

理由:

  • 認定日請求が認められれば、最大5年分遡って受給できる
  • まとまった金額(数百万円)を受け取れる可能性
  • 労災は時効があり、退職から時間が経つと申請が困難

注意点:

  • 障害認定日時点(初診日から1年6ヶ月後)のカルテや診断書が必要
  • カルテが残っていない場合、認定日請求は困難
  • その場合は事後重症請求(請求月の翌月から受給)に切り替え

具体的な流れ:

  1. 初診の医療機関に連絡し、カルテの保存状況を確認
  2. カルテが残っていれば、障害認定日時点の診断書を依頼
  3. 現在の診断書も取得
  4. 認定日請求で申請
  5. 認定されれば、過去分もまとめて受給

労災と障害年金の併給調整|同時受給するとどうなるか

労災保険と障害年金は、同時に受給することも可能です。ただし、併給調整という仕組みがあり、両方が満額支給されるわけではありません。

併給調整の仕組み

労災保険の障害補償年金と障害年金を同時に受給する場合、障害年金は満額支給され、労災の給付額が減額されます。

【減額率】

  • 障害等級1級:労災給付が73%に減額
  • 障害等級2級:労災給付が83%に減額
  • 障害等級3級:労災給付が88%に減額

【具体例】

障害厚生年金2級を年額150万円、労災の障害補償年金を年額200万円受給できる場合:

  • 障害厚生年金:150万円(満額)
  • 労災の障害補償年金:200万円 × 0.83 = 166万円
  • 合計:316万円(併給調整なしの場合350万円より34万円少ない)

休業補償給付と傷病手当金の関係

労災の休業補償給付と、健康保険の傷病手当金は併給できません。どちらか一方を選択する必要があります。

項目 労災の休業補償給付 健康保険の傷病手当金
給付額 賃金の約80%(休業特別支給金含む) 賃金の約67%
受給期間 休業している間(上限なし) 最長1年6ヶ月
待機期間 休業4日目から支給 休業4日目から支給(最初の3日間は会社が休業補償)
申請の難易度 業務起因性の証明が必要(困難) 医師の証明のみ(容易)
会社との関係 悪化のリスクあり 影響少ない

※パワハラが原因の場合、まず傷病手当金を受給し、並行して労災申請の準備をするという戦略も有効です。

障害年金と傷病手当金の関係

障害年金と傷病手当金は同一の疾病で併給できません。障害年金が優先され、傷病手当金は支給停止または減額されます。

  • 障害年金の額が傷病手当金より多い場合:傷病手当金は支給停止
  • 障害年金の額が傷病手当金より少ない場合:差額が傷病手当金として支給

失業保険(雇用保険)との関係も知っておこう

パワハラで退職した場合、失業保険(基本手当)の受給も考えられます。ただし、障害年金と失業保険の関係には注意が必要です。

失業保険の基本

  • 受給条件:離職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること(会社都合退職の場合は6ヶ月以上)
  • 給付額:賃金の約50〜80%
  • 給付期間:90日〜330日(退職理由、年齢、被保険者期間による)
  • 重要な条件「働く意思と能力があること」が前提

障害年金と失業保険の矛盾

ここに大きな問題があります。

  • 失業保険:「働きたいが仕事が見つからない」人のための制度→働く能力があることが前提
  • 障害年金:「働くことが著しく困難」な人のための制度→働く能力に制限があることが前提

つまり、両者は理論上矛盾する制度です。

実務上の取り扱い

制度上は併給可能ですが、実務上は次のような問題があります。

【重要な注意点】

  1. 失業保険を受給すると、障害年金の診断書で「就労可能」と記載される可能性
    • ハローワークで求職活動をしている事実が、「働く能力がある」証拠とされる場合がある
    • これにより障害年金が不支給または等級が下がる可能性
  2. 障害年金2級以上を受給中の場合、失業保険の受給は困難
    • 障害年金2級は「労働により収入を得ることが困難」な状態
    • この状態で「働く意思と能力がある」とハローワークで認定されるのは矛盾
  3. 障害年金3級を受給中の場合、失業保険の受給は可能な場合がある
    • 3級は「労働に著しい制限がある」程度なので、「配慮があれば働ける」と解釈可能
    • ただし、診断書の内容との整合性が重要

実務的なアドバイス

【パターン1】まず失業保険、その後障害年金を検討する場合

  1. 退職後、まず失業保険を受給(90日〜)
  2. 失業保険受給中に求職活動するが、体調が悪化
  3. ハローワークで「就労困難」と認定され、失業保険の受給期間延長または傷病手当
  4. 初診日から1年6ヶ月経過後、障害年金を申請

【パターン2】最初から障害年金を目指す場合

  1. 退職後、失業保険の手続きはせず、治療に専念
  2. 初診日から1年6ヶ月経過後、障害年金を申請
  3. 認定されれば生涯受給

【おすすめの判断基準】

  • 症状が比較的軽く、数ヶ月で復職できそうなら→失業保険
  • 症状が重く、しばらく働けそうにないなら→障害年金
  • 迷ったら、専門家(社会保険労務士)に相談

【実践ノウハウ】選択を間違えないための5つのチェックポイント

チェック1:パワハラの証拠はどの程度あるか?

  • 証拠が十分(メール、録音、複数の証言等)→労災申請を検討
  • 証拠が不十分(本人の記憶のみ、証言者なし)→障害年金に専念

チェック2:現在の雇用状況は?

  • 在職中→労災申請の選択肢あり(証拠収集しやすい)
  • 退職済み→障害年金が現実的(労災は困難)

チェック3:会社との関係をどうしたいか?

  • 対決姿勢(責任を追及したい)→労災申請
  • 穏便に済ませたい→傷病手当金→障害年金

チェック4:経済的に緊急性はあるか?

  • すぐに収入が必要→傷病手当金(手続き比較的簡単)
  • 長期的な保障が必要→障害年金(生涯受給)
  • 治療費の負担が大きい→労災(治療費全額補償)

チェック5:初診日からどれくらい経過しているか?

  • 1年6ヶ月未満→労災または傷病手当金を検討
  • 1年6ヶ月以上→障害年金が申請可能
  • 数年経過→認定日請求(遡及)を検討

労災保険と障害年金は、それぞれ目的も要件も異なる制度です。「どちらか一方」を選ぶ必要はなく、状況に応じて「両方」を視野に入れることも可能です。

ただし、それぞれに申請の難易度や必要な証拠、時間的な制約があります。ご自身の状況(証拠の有無、雇用状況、経済状況、初診日からの経過期間)を踏まえて、最適な選択をすることが重要です。

判断に迷った場合は、労災と障害年金の両方に詳しい社会保険労務士に相談することをおすすめします。私たち清水総合法務事務所では、あなたの状況を丁寧にお伺いし、最適な申請戦略をご提案いたします。

次のセクションでは、実際にパワハラが原因でうつ病を発症し、障害年金を受給できた具体的な事例をご紹介します。

パワハラでうつ病退職した方の受給事例

ここまで、障害年金の制度や要件について詳しく解説してきました。しかし、「実際にどのような方が受給できているのか?」「自分と似たケースはあるのか?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。

このセクションでは、私たち清水総合法務事務所が実際にサポートさせていただいた、パワハラが原因でうつ病を発症し退職した方の事例を3つご紹介します。

※プライバシー保護のため、個人が特定されないよう、内容の一部を変更・省略しています。

事例1:40代男性|在職中に発症、退職後に障害厚生年金2級を受給

【背景】Aさんの状況

Aさん(40代前半、男性)は、神戸市内の中堅企業で営業職として15年以上勤務していました。妻と小学生の子ども2人の4人家族。住宅ローンも残っており、「家族のために」と必死で働いてきました。

転機は、3年前に上司が変わったことでした。新しい上司は、部下に対して厳しい言葉遣いをする人でした。

「お前は本当に使えないな」「こんなこともできないのか」「営業に向いてないんじゃないか」——毎日のように、他の社員の前で怒鳴られる日々が続きました。

最初は「自分が頑張れば」と耐えていたAさんでしたが、次第に夜眠れなくなり、朝起きると激しい動悸がするようになりました。休日も仕事のことが頭から離れず、家族との時間を楽しめなくなっていきました。

妻から「最近、様子がおかしい」と心配され、2年半前に近所の内科を受診。「ストレスによる不眠」と診断され、睡眠薬を処方されました。しかし、症状は改善せず、食欲も落ち、体重が10kg以上減少しました。

内科医から「精神科の受診も検討してみては」と勧められ、2年前に精神科クリニックを受診。「うつ病(中等度)」と診断されました。

診断書を会社に提出し、1ヶ月間の休職を取得しました。しかし、復職後も上司の態度は変わらず、症状は再び悪化。再度休職し、結局、1年半前に退職せざるを得なくなりました。

退職後は傷病手当金を受給していましたが、1年6ヶ月で期限が切れることになり、「この先どうやって生活していけばいいのか」と途方に暮れていたとき、傷病手当金の担当者から「障害年金という制度がある」と聞き、当事務所にご相談いただきました。

【困難だった点】

Aさんのケースでは、次の3つの困難がありました。

  1. 初診日の特定
    • 最初に受診した内科は「不眠」の治療目的だったため、これが初診日と認められるかが不明確
    • 精神科の初診を初診日とすべきか、内科の初診を初診日とすべきか、判断が難しい
    • もし内科が初診日なら、在職中(厚生年金加入中)の受診となり有利
  2. パワハラとうつ病の因果関係の証明
    • 上司からのパワハラを記録したメールや録音はなかった
    • 同僚に証言を頼むことも、現実的には難しい状況
  3. 診断書の内容
    • 主治医は「症状は改善傾向」と考えており、診断書にどう記載されるか不安
    • 実際には日常生活に大きな支障があるが、診察時にうまく伝えられていなかった

【当事務所のサポート内容】

1. 初診日の調査と証明資料の収集

まず、初診日をどこに設定するかが最大のポイントでした。私たちは次の調査を行いました。

  • 内科のカルテを取り寄せ、受診時の症状を確認
  • カルテには「職場のストレスで眠れない」「気分が落ち込む」という記載があることを確認
  • 内科から精神科への紹介状の内容を確認

これらの資料から、内科の初診時点で既に精神的な不調が始まっていたことが証明できると判断し、内科の受診日を初診日として申請することにしました。これにより、在職中(厚生年金加入中)の初診日となり、障害厚生年金の対象となりました。

2. 診断書作成前の準備

Aさんには、診断書を依頼する前に、日常生活の困難さを詳しく整理していただきました。

  • 朝、起きるのに1〜2時間かかる。目覚ましを何度もかけても起きられない日がある
  • 食事の準備は妻が全て行っている。自分では何もする気力が出ない
  • 入浴は週に2〜3回。面倒で、入る気になれない
  • 一人での外出は不安が強く、通院には妻が付き添っている
  • 子どもの学校行事にも参加できない。人混みや他の保護者との会話が怖い
  • 就職活動をしようと思っても、求人情報を見るだけで動悸がして何もできない
  • 日中はほとんどベッドで横になっているか、ぼんやりテレビを見ているだけ

これらの内容をメモにまとめ、Aさんに主治医へ持参していただきました。主治医は、診察時には把握していなかったAさんの日常生活の実態を初めて知り、「それは大変でしたね。診断書にはきちんと書きますから」と言ってくださったそうです。

3. 病歴・就労状況等申立書の作成支援

私たちは、Aさんから丁寧にヒアリングを行い、病歴・就労状況等申立書の下書きを作成しました。

  • パワハラが始まった時期と具体的な内容(日常的な叱責、他の社員の前での罵倒)
  • それによって出現した症状(不眠、動悸、食欲不振、体重減少、意欲低下)
  • 内科受診から精神科受診、休職、復職、再休職、退職に至る詳細な経緯
  • 退職後の生活状況と日常生活の困難さ
  • 家族(妻)の援助の内容

パワハラの客観的証拠はありませんでしたが、具体的なエピソードと、それによる症状の変化を時系列で詳しく記載することで、説得力のある申立書を作成しました。

4. 申請書類の準備と提出

すべての書類を整え、年金事務所に提出しました。

【結果】

申請から約4ヶ月後、障害厚生年金2級が認定されました。

受給額:年額約160万円(障害基礎年金 + 障害厚生年金 + 配偶者加給年金)

Aさんからは、次のようなお言葉をいただきました。

【Aさんのお言葉】

「正直、最初は『自分なんかが障害年金をもらえるはずがない』と思っていました。でも、先生が丁寧に私の話を聞いてくださって、『可能性はありますよ』と言ってくださったことで、希望が持てました。

認定の通知が来たときは、妻と二人で泣きました。これで少なくとも生活の基盤ができる。子どもたちを路頭に迷わせなくて済む。本当にありがとうございました。

まだ完全に元気になったわけではありませんが、経済的な不安が少し軽くなったことで、少しずつ前を向けるようになってきました。ゆっくりでいいから、いつか社会復帰したいと思っています。」

事例2:30代女性|初診日の証明が困難だったが、障害基礎年金2級を受給

【背景】Bさんの状況

Bさん(30代後半、女性)は、兵庫県内の小売業の店舗で販売員として働いていました。独身で、実家を離れて一人暮らしをしていました。

職場の店長からのパワハラが始まったのは、4年前のことでした。

「こんな接客じゃダメだ」「売上が悪いのはお前のせいだ」「お前がいると店の雰囲気が悪くなる」——毎日のように、店長から否定的な言葉を浴びせられました。他のスタッフの前で叱責されることも頻繁にありました。

次第に出勤するのが怖くなり、朝になると吐き気や頭痛がするようになりました。しかし、「辞めたら生活できない」という不安から、我慢して出勤を続けました。

3年半前、あまりの辛さに耐えかねて、近所の心療内科を受診しました。しかし、そのクリニックは半年後に廃院してしまいました。

その後、症状が悪化し、出勤できない日が増え、3年前に退職しました。

退職後、実家に戻り、両親と暮らすようになりました。別の心療内科に通い始め、「うつ病(反復性うつ病性障害)」と診断されました。

しかし、症状は一進一退。良い時期もあれば、ベッドから起き上がれない日が何週間も続くこともありました。再就職を試みましたが、面接に行くことすらできず、何度も挫折しました。

貯金も底をつき、両親の年金に頼る生活が続く中、「このままではいけない」と思い、インターネットで障害年金のことを知り、当事務所にご相談いただきました。

【困難だった点】

Bさんのケースでは、次の大きな困難がありました。

  1. 初診のクリニックが廃院していた
    • 初診日を証明するための「受診状況等証明書」が取得できない
    • カルテも残っていない
    • これが最大の障壁でした
  2. 初診日が退職後だった可能性
    • 初診が在職中か退職後かが不明確
    • もし退職後なら、国民年金(障害基礎年金)の対象で、2級までしか認定されない
    • 厚生年金期間の方が長かったため、できれば障害厚生年金の対象にしたかった
  3. 日常生活の困難さの程度
    • Bさん自身は「自分はまだマシな方」と思っており、日常生活の困難さを過小評価していた
    • 実際には、両親の多大な支援を受けている状態だった

【当事務所のサポート内容】

1. 初診日の証明資料の徹底的な調査

初診のクリニックのカルテが残っていないという大きな壁に直面しました。しかし、私たちは諦めず、次のような資料を探しました。

  • お薬手帳:Bさんが保管していたお薬手帳に、初診時の処方記録が残っていました。日付と処方薬の名前、処方した医療機関名が記載されていました。
  • 調剤薬局の記録:初診時に処方箋を持って行った薬局に問い合わせ、調剤記録が残っていることを確認しました。薬局から「お薬の情報提供書」を発行してもらいました。
  • 健康保険の給付記録:Bさんが加入していた健康保険組合に連絡し、「医療費のお知らせ」を取り寄せました。そこに初診時の受診記録が残っていました。
  • 母親の証言:Bさんの母親に「第三者証明」を書いていただきました。「娘が〇年〇月頃、『心療内科に行く』と言って受診した。その後も定期的に通院していた」という内容です。

これらの資料を組み合わせることで、初診日を特定することができました。また、初診時はまだ在職中であったことも証明でき、障害厚生年金の対象となる可能性が出てきました。

しかし、年金事務所で相談したところ、「初診のクリニックが廃院しており、2番目の医療機関との間に空白期間がある場合、2番目を初診日とする可能性がある」と言われました。

そこで、2番目の医療機関の主治医に、初診時のカルテに『以前、〇〇クリニックで治療を受けていたが廃院したため転院』という記載があることを確認してもらい、「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類に詳しい事情を記載して提出しました。

2. 日常生活の実態の可視化

Bさんは「両親に迷惑をかけている」という罪悪感から、自分の症状を軽く見る傾向がありました。しかし、詳しくお話を聞くと、実際には次のような状態でした。

  • 朝、一人では起きられず、母親が何度も声をかけて起こしている
  • 食事は全て母親が準備している。自分では作れない
  • 入浴は週に1〜2回。母親に促されて、ようやく入る
  • 外出は月に数回、通院のみ。母親が付き添っている
  • 買い物や銀行などの用事は一切できない。金銭管理も母親に任せている
  • 家事は全くできない。自分の部屋の片付けもできず、散らかったまま
  • 日中は自室でぼんやり過ごしているか、寝ている
  • 友人との連絡も途絶えている。人と会うのが怖い

これらの内容を詳しく整理し、「日常生活のほぼ全てに母親の援助が必要な状態」であることを、診断書と申立書で明確にしました。

また、母親にもお話を伺い、「娘は以前は明るく活発な子だったが、今は別人のようになってしまった。一日中部屋にこもっている。このままでは将来が心配」という思いを、第三者証明の中で表現していただきました。

3. 主治医とのコミュニケーション支援

Bさんは診察時に、主治医に日常生活の困難さをうまく伝えられていませんでした。「先生は忙しそうだし、こんなことを言っても仕方ない」と思っていたそうです。

そこで、私たちはBさんに、診断書を依頼する際に主治医に伝えるべき内容を、箇条書きにしたメモを作成しました。

  • 朝、母が何度も起こしているが、起きられない日が多い
  • 食事の準備、入浴、金銭管理など、全て母に頼っている
  • 外出は通院のみで、母が付き添っている
  • 就職活動をしようと思っても、求人情報を見るだけで動悸がして何もできない
  • 将来への不安で、夜眠れないことが多い

Bさんはこのメモを持って診察に行き、主治医に渡しました。主治医は「それは知らなかった。診断書にはきちんと反映させますね」と言ってくださり、日常生活の制限を適切に評価した診断書を作成してくださいました。

【結果】

申請から約5ヶ月後、障害基礎年金2級が認定されました。

初診日については、私たちが提出した複数の証明資料が認められ、最初のクリニックの受診日が初診日として認定されました(ただし、既に退職後だったため、障害基礎年金の対象となりました)。

受給額:年額約81万円(障害基礎年金2級)

Bさんと、Bさんのお母様から、次のようなお言葉をいただきました。

【Bさんのお言葉】

「初診のクリニックが廃院していて、『もう無理だ』と思っていました。でも、先生が『諦めないでください。他の方法を探しましょう』と言ってくださって、お薬手帳や薬局の記録を探してくださいました。

認定されたときは、信じられませんでした。『自分なんかが』という気持ちがずっとあったので。でも、これで少なくとも両親に全面的に頼らなくても、少しは自分で生活費を出せるようになりました。

まだ完全に元気になったわけではないですが、少し気持ちが楽になりました。ゆっくりでいいから、いつか自分らしく生きられるようになりたいです。」

【Bさんのお母様のお言葉】

「娘が認定されたと聞いて、本当に嬉しかったです。娘はずっと『迷惑をかけてごめん』と言い続けていて、親としてどうしてあげればいいのか、ずっと悩んでいました。

障害年金が出るようになって、娘の表情が少し明るくなったように感じます。『ちゃんと制度として認められた』ということが、娘にとって大きな意味があったのだと思います。

清水先生には、本当に感謝しています。娘の将来を諦めずに済みました。ありがとうございました。」

事例3:50代男性|一度は不支給、再申請で障害厚生年金3級を受給

【背景】Cさんの状況

Cさん(50代前半、男性)は、大阪の製造業の企業で管理職として長年働いていました。妻と大学生の子ども1人の3人家族。

5年前、会社の経営方針が大きく変わり、新しい経営陣が就任しました。新しい社長は「成果主義」を掲げ、厳しい目標設定と達成圧力がかかるようになりました。

Cさんは管理職として、部下の目標未達成の責任も負わされるようになりました。毎日のように「数字が足りない」「管理職として失格だ」「このままでは降格だ」と詰められました。

真面目で責任感の強いCさんは、「部下を守らなければ」と必死で働きました。残業は月に100時間を超え、休日も出勤する日々が続きました。

4年前、激しい頭痛と倦怠感で内科を受診。「過労とストレス」と診断され、休養を勧められましたが、仕事を休むことはできませんでした。

3年半前、朝突然ベッドから起き上がれなくなり、救急車で病院に運ばれました。身体的には異常はなく、医師から「精神科の受診が必要」と言われ、心療内科を受診しました。

「うつ病(重度)」と診断され、即座に休職を命じられました。

3ヶ月間休職しましたが、復職後も状況は変わらず、症状は再燃。再度休職し、結局、3年前に退職しました。

退職後、傷病手当金を受給しながら治療を続けました。症状は少しずつ改善し、日常生活はある程度送れるようになりましたが、集中力の低下や疲れやすさは続いており、フルタイムでの就労は困難な状態でした。

傷病手当金の受給期限が近づき、経済的な不安が高まる中、自分で障害年金の申請をしましたが、不支給という結果でした。

「やはり自分には無理だったのか」と諦めかけていたとき、知人から「社労士に相談してみては」と勧められ、当事務所にご相談いただきました。

【困難だった点】

Cさんのケースでは、次の困難がありました。

  1. 一度不支給になっていた
    • 不支給の理由は、診断書の「日常生活能力の判定」が比較的軽く記載されていたこと
    • 「日常生活能力の程度」が(2)と評価されており、これは障害等級に該当しない程度
  2. 症状が改善傾向にあった
    • 治療により、最悪の時期に比べれば症状は改善していた
    • 日常生活は何とか送れるレベルになっていた
    • このような状態で認定されるのか、不安があった
  3. 「働けない」ことの証明
    • 日常生活はある程度できるが、就労は困難という微妙な状態
    • 「なぜ働けないのか」を明確に説明する必要があった

【当事務所のサポート内容】

1. 不支給理由の徹底分析

まず、不支給決定通知書と、前回提出した診断書・申立書を詳しく分析しました。

問題点は明確でした。

  • 診断書の「日常生活能力の判定」7項目のうち、6項目が「できる」または「自発的にできるが時には援助が必要」と記載されていた
  • 「日常生活能力の程度」が(2)「日常生活又は社会生活に一定の制限を受ける」と記載されていた
  • 病歴・就労状況等申立書の記載が簡素で、日常生活や就労の困難さが十分に伝わっていなかった

つまり、実際のCさんの状態よりも「軽く」評価された診断書になっていたのです。

Cさんに詳しくお話を伺うと、実際には次のような困難がありました。

  • 朝の起床に時間がかかり、午前中は何もできない日が多い
  • 集中力が続かず、本や新聞を読んでも内容が頭に入らない
  • 外出は可能だが、人混みや騒音があると強い疲労感と不安感が出る
  • 以前は趣味だったゴルフやドライブも、する気になれない
  • 就職活動をしようと思っても、求人情報を見ると「自分には無理だ」という思いが込み上げて何もできない
  • 実際に短時間のアルバイトを試みたが、2日で辞めざるを得なかった(集中力が続かず、ミスが多発)

これらは、日常生活はある程度できても、労働には著しい制限がある状態、つまり障害厚生年金3級に該当する可能性がある状態でした。

2. 主治医との面談と診断書の再検討

前回の診断書が「軽め」に書かれていた理由を探るため、Cさんに主治医とのコミュニケーションについて詳しく聞きました。

すると、次のようなことがわかりました。

  • Cさんは、診察時に「調子はどうですか?」と聞かれると、「まあまあです」「少し良くなった気がします」と答えていた
  • これは、Cさんが「先生に心配をかけたくない」「良くなっていると言わなければ」という思いから、無意識に前向きな返答をしていたため
  • 主治医は、Cさんの「まあまあです」という言葉を額面通りに受け取り、「改善傾向」と評価していた

そこで、私たちはCさんに同行して、主治医と面談する機会を設けました。

面談では、次のことを主治医にお伝えしました。

  • Cさんは「良く見せようとする」傾向があり、診察時の発言と実際の生活には乖離がある
  • 実際には、集中力の低下、疲れやすさ、意欲の低下が著しく、就労は困難な状態
  • アルバイトを試みたが2日で挫折したという事実
  • 日常生活はある程度できても、ストレス下での労働は不可能な状態

主治医は「そうだったのですか。それは知りませんでした。診察時にはそこまで困っているようには見えなかったので」と驚かれ、「次の診断書では、就労の困難さをきちんと記載します」と約束してくださいました。

3. 「労働能力」に焦点を当てた申立書の作成

障害厚生年金3級は、「労働に著しい制限を受ける」程度です。つまり、日常生活ではなく、労働能力に焦点を当てる必要がありました。

病歴・就労状況等申立書では、次の内容を詳しく記載しました。

  • 管理職として、長時間労働とパワハラに耐えてきた経緯
  • 過労とストレスで倒れ、うつ病と診断された経緯
  • 休職・復職を繰り返し、最終的に退職せざるを得なかった経緯
  • 退職後も、集中力の低下、疲れやすさ、意欲の低下が続いている
  • 具体的な就労困難のエピソード
    • アルバイトを試みたが、2日で辞めざるを得なかった(集中力が続かず、ミスが頻発。店長から「大丈夫ですか?」と心配され、自分から辞退した)
    • ハローワークで求人情報を見るが、「この仕事はできない」「責任を負えない」という思いが強く、応募できない
    • 以前の同僚から「一緒に仕事をしないか」と誘われたが、「迷惑をかける」と思い断った
  • 日常生活は妻の支えでなんとか送れているが、一人では不安が強い

これらの内容を、時系列で、具体的なエピソードを交えて、詳しく記載しました。

4. 再申請(事後重症請求)

不支給決定から3ヶ月以内であれば「審査請求」ができますが、Cさんの場合は既に期限が過ぎていました。

そこで、新たに事後重症請求として再申請することにしました。

新しい診断書(主治医が就労困難を適切に評価したもの)と、詳細な申立書を添えて、再度申請しました。

【結果】

申請から約3ヶ月半後、障害厚生年金3級が認定されました。

受給額:年額約90万円(障害厚生年金3級、報酬比例部分)

Cさんからは、次のようなお言葉をいただきました。

【Cさんのお言葉】

「一度不支給になったとき、『やっぱり自分は甘えているだけなんだ』『障害なんて大げさだったんだ』と、自分を責めました。でも、生活のことを考えると、何とかしなければという思いもあって、藁にもすがる思いで清水先生に相談しました。

先生は、前回の診断書を見て、『これは実際のCさんの状態よりも軽く書かれていますね。もう一度チャレンジしましょう』と言ってくださいました。

主治医との面談にも同行してくださって、私が診察時にうまく伝えられていなかったことを、先生が代わりに説明してくださいました。先生のおかげで、主治医も私の本当の状態を理解してくださったのだと思います。

認定されたときは、『ああ、自分は甘えていたわけじゃなかったんだ』『ちゃんと認められたんだ』と、涙が止まりませんでした。

3級なので金額は大きくありませんが、これで経済的な不安が少し軽くなりました。まだフルタイムで働くのは難しいですが、いつか短時間でも、自分のペースで働けるようになりたいと思っています。

一度諦めなくてよかった。清水先生、本当にありがとうございました。」

3つの事例から見えてくること

ここまで、3つの事例をご紹介してきました。それぞれのケースで状況は異なりますが、共通するポイントがあります。

【共通点1】最初は「自分には無理」と思っていた

3人とも、最初は「自分なんかが障害年金をもらえるはずがない」と思っていました。しかし、専門家のサポートを受けることで、適切な申請ができれば可能性があることがわかりました。

【共通点2】診断書の内容が最重要

3つのケースすべてで、診断書の内容が認定の鍵となりました。特に、主治医に「日常生活の困難さ」や「就労の困難さ」を適切に伝え、診断書に反映してもらうことが重要でした。

【共通点3】病歴・就労状況等申立書の重要性

パワハラの状況、発病から現在までの経過、日常生活の困難さを、具体的なエピソードを交えて詳しく記載することで、審査する側に状況を理解してもらえました。

【共通点4】「諦めない」ことの大切さ

特に事例3のCさんのように、一度不支給になっても、適切な準備をして再申請すれば認定される可能性があります。「諦めない」ことが、何より大切です。

【共通点5】専門家のサポートの価値

3つのケースすべてで、社会保険労務士のサポートが、認定への道を開きました。初診日の証明、診断書の内容の調整、申立書の作成など、専門的な知識と経験が必要な場面が多くありました。

あなたも、諦める必要はありません

もし、あなたが今、次のように感じているなら――

  • 「自分には無理かもしれない」
  • 「証拠がないから諦めた方がいいのか」
  • 「一度不支給になったから、もうダメだ」
  • 「手続きが複雑すぎて、自分ではできない」

どうか、諦めないでください。

私たち清水総合法務事務所は、「諦めない障害年金」をコンセプトに、一人ひとりの状況に寄り添い、可能性を最大限に引き出すサポートを行っています。

【当事務所のサポート内容】

  • 初診日の調査と証明資料の収集
  • 主治医とのコミュニケーション支援
  • 診断書作成前の準備サポート
  • 病歴・就労状況等申立書の作成
  • すべての申請書類の作成と提出代行
  • 不支給の場合の審査請求・再申請サポート

【このような方は、ぜひご相談ください】

  • パワハラが原因でうつ病になり、退職した方
  • 初診日の証明が難しい方(カルテがない、クリニックが廃院など)
  • 一度自分で申請したが不支給になった方
  • 手続きが複雑で、何から始めればいいかわからない方
  • 主治医に日常生活の困難さをうまく伝えられない方

初回相談は無料です。まずは、あなたの状況をお聞かせください。

📞 お電話でのご相談
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神戸・兵庫県を中心に、全国からのご相談に対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

よくある質問|パワハラ退職後の障害年金

パワハラが原因でうつ病になり退職した方から、よく寄せられる質問をまとめました。申請を検討されている方の疑問や不安にお答えします。

Q1. 退職してから何年も経っていますが、今から申請できますか?

【回答】はい、申請できます。

障害年金には、「退職から○年以内に申請しなければならない」という期限はありません。重要なのは、次の3つの要件を満たしているかどうかです。

  1. 初診日が特定できること
  2. 初診日の前日時点で、保険料納付要件を満たしていること
  3. 現在も障害状態が続いていること

退職から5年以上経過していても、要件を満たしていれば申請可能です。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 認定日請求(遡及請求)の場合:障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)から5年分まで遡って受給できます。それより前の分は時効により受給できません。
  • 事後重症請求の場合:請求した月の翌月から受給開始となります。過去に遡って受給することはできないため、早めの申請が有利です。

【具体例】

初診日が10年前、退職が8年前という方でも、現在も症状が続いており、障害認定日時点のカルテが残っていれば、認定日請求で最大5年分遡及して受給できる可能性があります。

当事務所では、退職から長期間経過した方のサポート実績も多数あります。「もう遅いのでは」と諦めず、ぜひご相談ください。

Q2. パワハラの証拠がありません。それでも申請できますか?

【回答】はい、申請できます。証拠がなくても認定される可能性があります。

障害年金は、労災保険とは異なり、業務とうつ病の因果関係を厳密に証明する必要はありません。最も重要なのは、「現在の障害状態」です。

パワハラの証拠(メール、録音、証言など)がなくても、次の方法で申請できます。

  1. 診断書での記載
    • 主治医に、初診時から「職場でのストレスが原因」と伝えていた場合、診断書に記載してもらえる可能性があります
    • 診断書の「発病から現在までの病歴及び治療の内容等」欄に、パワハラに関する記載があると良いです
  2. 病歴・就労状況等申立書での詳細な説明
    • この書類は申請者本人が記載します
    • パワハラの具体的な内容(いつ頃から、誰から、どのような言動があったか)を詳しく記載します
    • それによってどのような症状が出たか、時系列で説明します
  3. カルテや医療記録の活用
    • 初診時のカルテに「職場でのストレス」「上司からの叱責」などの記載があれば、それが証拠になります

障害年金は、「原因」よりも「結果(現在の障害状態)」を重視する制度です。パワハラの客観的証拠がなくても、診断書と申立書で丁寧に説明すれば、認定される可能性は十分にあります。

【重要なポイント】

証拠がないことを理由に諦める必要はありません。実際、当事務所がサポートした事例でも、パワハラの客観的証拠がないまま認定されたケースは多数あります。

Q3. 退職理由が「自己都合」になっています。会社都合でないと申請できませんか?

【回答】退職理由は関係ありません。自己都合退職でも申請できます。

障害年金の審査では、退職理由(自己都合か会社都合か)は判定に影響しません。

重要なのは次の点です。

  • 初診日がいつか(在職中か、退職後か)
  • 現在の障害状態がどの程度か

実際、パワハラが原因で退職する場合でも、「自己都合退職」として処理されることは非常に多いです。

  • 会社と揉めたくない
  • 早く辞めたい
  • 退職金の条件
  • 次の就職への影響を懸念

などの理由で、実質的には会社都合であっても、形式上は自己都合として退職届を出すケースがほとんどです。

障害年金の審査では、離職票の「退職理由」欄は見ますが、それが決定的な要素にはなりません。

むしろ、病歴・就労状況等申立書で、「形式上は自己都合退職だが、実際にはパワハラにより就労継続が困難になり、やむを得ず退職した」という実情を説明することが重要です。

【記載例】

「退職届には『一身上の都合により』と記載しましたが、実際には上司からの日常的な叱責により精神的に追い詰められ、休職と復職を繰り返した末、就労継続が不可能となり、退職せざるを得ませんでした。」

Q4. 障害年金を受給しながら働くことはできますか?

【回答】はい、できます。ただし、等級によって状況は異なります。

【障害等級別の就労可能性】

■ 障害厚生年金3級の場合

  • 3級は「労働に著しい制限を受ける」程度なので、配慮があれば就労可能な状態です
  • 短時間勤務、軽作業、在宅勤務などの形で働いている方も多くいます
  • 就労していても、「労働に制限がある」状態であれば、3級の認定は継続されます

■ 障害基礎年金・厚生年金2級の場合

  • 2級は「労働により収入を得ることができない程度」とされています
  • ただし、「一切働いてはいけない」というわけではありません
  • 次のような就労であれば、2級の認定が継続される可能性があります:
    • 福祉的就労(就労継続支援A型・B型など)
    • 短時間のアルバイト(週数時間程度)
    • 家族の手伝い程度の軽作業
  • ただし、フルタイムでの就労や、一般企業での通常の勤務をしている場合、更新時に等級が下がる、または支給停止になる可能性があります

■ 障害基礎年金・厚生年金1級の場合

  • 1級は「常時介護が必要」な程度なので、就労は通常困難です
  • 就労している場合、更新時に等級が下がる可能性が高いです

【重要な注意点】

  1. 収入額の制限はない
    • 障害年金には、「年収○○万円以下」といった収入制限はありません(20歳前傷病による障害基礎年金を除く)
    • 重要なのは「収入額」ではなく「労働能力」です
  2. 更新時の診断書が重要
    • 障害年金は1〜5年ごとに更新審査があります
    • 更新時の診断書で「就労している」と記載されると、「改善した」と判断される可能性があります
    • 就労していても、「配慮が必要」「制限がある」ことを診断書に記載してもらうことが重要です
  3. 主治医への説明が重要
    • 就労を始める前、または始めた後、主治医に状況を説明しましょう
    • 「短時間の軽作業のみ」「頻繁に休憩が必要」「ストレスの少ない環境でのみ可能」など、制限があることを伝えましょう

【実務的なアドバイス】

障害年金を受給しながら、リハビリ的に少しずつ働いてみることは、社会復帰への良いステップです。ただし、無理をして症状を悪化させないよう、自分のペースで進めることが大切です。

就労を始める際は、事前に社会保険労務士に相談し、更新審査への影響をアドバイスしてもらうことをおすすめします。

Q5. 申請してから受給できるまで、どのくらいの期間がかかりますか?

【回答】通常3〜4ヶ月、場合によっては6ヶ月以上かかることもあります。

【申請から受給までの流れと期間の目安】

ステップ 期間の目安 内容
1. 診断書の作成 1〜2ヶ月 医療機関に診断書を依頼してから受け取るまで。医療機関によっては3ヶ月以上かかることもあります。
2. 書類の準備・提出 1〜2週間 その他の必要書類を揃え、申請書類を作成し、年金事務所または市区町村役場に提出。
3. 審査 3〜4ヶ月 日本年金機構で審査が行われます。書類に不備があると、追加資料の提出を求められ、さらに時間がかかります。
4. 結果通知 審査完了後
1〜2週間
認定の場合は「年金証書」と「年金決定通知書」が届きます。不支給の場合は「不支給決定通知書」が届きます。
5. 初回振込 結果通知後
1〜2ヶ月
認定された場合、初回の年金が振り込まれます。

【トータルの期間】

  • スムーズに進んだ場合:申請書類提出から結果通知まで約3〜4ヶ月
  • 追加資料が必要な場合:約5〜6ヶ月
  • 複雑なケース(初診日の証明が困難など):6ヶ月以上かかることもあります

【期間を短縮するためのポイント】

  1. 診断書を早めに依頼する
    • 診断書の作成に最も時間がかかります
    • 申請を決めたら、すぐに主治医に依頼しましょう
  2. 書類に不備がないようにする
    • 記入漏れ、添付書類の不足があると、追加提出を求められて時間がかかります
    • 提出前に、必ず全ての書類を確認しましょう
  3. 社会保険労務士に依頼する
    • 専門家に依頼すれば、書類の不備を防ぎ、スムーズに手続きが進みます

【審査中の生活について】

審査期間中は収入がない、または少ない状態が続くため、経済的に厳しい方もいらっしゃいます。次のような制度も検討してください。

  • 傷病手当金(健康保険、最長1年6ヶ月)
  • 失業保険(雇用保険、ただし障害年金との兼ね合いに注意)
  • 生活保護(最終手段として)
  • 家族や親族の援助

Q6. 一度申請して不支給になりました。再申請できますか?

【回答】はい、再申請できます。実際、再申請で認定されるケースは多くあります。

【不支給後の対応方法】

不支給決定を受けた場合、次の3つの選択肢があります。

1. 審査請求(不服申立て)

  • 期限:不支給決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内
  • 内容:「審査請求」という不服申立てを行います。同じ資料を再審査してもらう手続きです。
  • メリット:新たな診断書が不要(追加資料の提出は可能)
  • デメリット:審査請求での認容率(覆る確率)は約10〜20%程度と低い
  • 向いているケース:明らかに判定ミスがあると思われる場合、提出した資料の内容は適切だが判定が誤っていると思われる場合

2. 新たな事後重症請求(再申請)

  • 期限:特に期限はありません。いつでも再申請できます。
  • 内容:新しい診断書を取得し、再度申請します。
  • メリット:前回の不支給理由を分析し、それを改善した診断書・申立書で申請できる
  • デメリット:新しい診断書の費用がかかる(通常1万円前後)
  • 向いているケース:前回の診断書の内容が不十分だった場合、申立書の記載が不十分だった場合

3. 症状悪化後の再申請

  • 期限:特に期限はありません。
  • 内容:前回申請時よりも症状が悪化した場合、その時点で再申請します。
  • メリット:明確に状態が悪化していれば、認定される可能性が高い
  • デメリット:症状が悪化するのを待つ必要がある

【不支給になる主な理由と対策】

不支給の理由 再申請時の対策
診断書の「日常生活能力の判定」が軽く記載されていた 主治医に日常生活の困難さを具体的に伝え、適切な評価をしてもらう。診察時にメモを持参する。
診断書の「日常生活能力の程度」が(1)または(2)だった 実際の生活状況を主治医に詳しく説明し、(3)以上の評価をしてもらう。家族からの情報提供も有効。
病歴・就労状況等申立書の記載が簡素だった 発病から現在までの経過、日常生活の困難さ、就労困難の理由を、具体的なエピソードを交えて詳しく記載する。
「就労可能」と記載されていた 「配慮があっても就労困難」または「就労に著しい制限がある」ことを診断書に記載してもらう。実際に就労を試みて挫折したエピソードがあれば記載。
初診日が認められなかった 初診日を証明する追加資料を探す。お薬手帳、健康保険の記録、第三者証明など。社会保険労務士に相談。

【再申請のポイント】

  1. 不支給理由を正確に分析する:不支給決定通知書には、不支給の理由が記載されています。それを詳しく分析し、何が問題だったかを把握しましょう。
  2. 前回の診断書・申立書を見直す:どこが不十分だったかを確認し、改善点を明確にしましょう。
  3. 社会保険労務士に相談する:不支給後の対応は、専門的な判断が必要です。自己判断で再申請するよりも、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

【成功事例】

当事務所がサポートした事例でも、一度不支給になった後、診断書の内容を改善し、申立書を詳細に作成し直すことで、再申請で認定されたケースは多数あります(本記事の事例3参照)。

一度不支給になったからといって、諦める必要はありません。適切な準備をすれば、再申請で認定される可能性は十分にあります。

Q7. 傷病手当金を受給していますが、障害年金との関係はどうなりますか?

【回答】傷病手当金と障害年金は、同一の疾病について同時に受給することはできません。併給調整があります。

【傷病手当金とは】

  • 制度:健康保険の給付
  • 対象:業務外の病気やケガで働けなくなった会社員(健康保険の被保険者)
  • 金額:標準報酬日額の3分の2相当
  • 期間:最長1年6ヶ月

【障害年金との併給調整】

傷病手当金を受給している方が、同一の疾病で障害年金が認定された場合、次のようになります。

原則:障害年金が優先され、傷病手当金は支給停止

  • 障害年金(日額換算)が傷病手当金より多い場合
    → 傷病手当金は全額支給停止(障害年金のみ受給)
  • 障害年金(日額換算)が傷病手当金より少ない場合
    → 差額分が傷病手当金として支給(実質的に傷病手当金の金額は変わらない)

【具体例】

ケース1:障害年金の方が多い場合

  • 傷病手当金:月額20万円(年額240万円)
  • 障害厚生年金2級:年額150万円(月額約12.5万円)
  • → 障害年金の方が少ないため、差額分(月額7.5万円)が傷病手当金として支給されます

ケース2:傷病手当金の方が多い場合

  • 傷病手当金:月額15万円(年額180万円)
  • 障害厚生年金2級:年額200万円(月額約16.7万円)
  • → 障害年金の方が多いため、傷病手当金は全額支給停止。障害年金のみ受給

【実務的なアドバイス】

  1. 傷病手当金受給中に障害年金を申請するのは推奨
    • 傷病手当金には1年6ヶ月という期限があります
    • 期限切れ前に障害年金が認定されれば、その後も継続して収入を得られます
  2. 申請のタイミング
    • 初診日から1年6ヶ月経過した時点で申請可能です
    • 傷病手当金受給中でも、並行して障害年金の申請準備を進めましょう
  3. 遡及受給がある場合の調整
    • 認定日請求で過去に遡って障害年金が認定された場合、その期間に受給した傷病手当金は返還する必要があります
    • ただし、遡及した障害年金の金額から、返還分を差し引いた金額を受け取れるため、実質的な損はありません

傷病手当金を受給している方は、期限切れになる前に、障害年金の申請を検討することを強くおすすめします。

Q8. 家族に扶養されています。障害年金を受給すると、扶養から外れますか?

【回答】年金額によっては扶養から外れる可能性があります。

【健康保険の扶養】

健康保険の被扶養者の認定基準は、年収130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)です。

  • 障害基礎年金2級:約81万円 → 扶養に入れる
  • 障害厚生年金2級(報酬比例部分が少ない場合):年額130万円未満 → 扶養に入れる可能性あり
  • 障害厚生年金2級(報酬比例部分が多い場合):年額130万円以上 → 扶養から外れる

※障害年金は非課税ですが、健康保険の扶養判定では「収入」としてカウントされます。

【税法上の扶養(扶養控除)】

税法上の扶養控除の判定では、障害年金は非課税所得のため、収入としてカウントされません。

  • 障害年金をいくら受給していても、他に所得がなければ、税法上の扶養には入れます

【扶養から外れた場合】

健康保険の扶養から外れると、次のいずれかに加入する必要があります。

  1. 国民健康保険:市区町村で加入手続き。保険料は自治体によって異なります。
  2. 任意継続:退職前の健康保険を最長2年間継続できます(ただし保険料は全額自己負担)。

ただし、障害年金を受給している方は、保険料の減免制度が利用できる場合があります。市区町村の国民健康保険担当窓口に相談してみてください。

【実務的なアドバイス】

扶養から外れることで保険料の負担は増えますが、障害年金による収入増加の方が大きいため、総合的には経済状況は改善します。

扶養の問題を心配して障害年金の申請を躊躇する必要はありません。むしろ、経済的自立のために、積極的に申請を検討すべきです。

その他のご質問について

この他にも、障害年金に関するご質問は多岐にわたります。

  • 「更新審査で支給停止になることはありますか?」
  • 「引っ越しをしたら手続きは必要ですか?」
  • 「結婚したら年金額は変わりますか?」
  • 「主治医が変わったら再診断書が必要ですか?」

など、個別の状況によって答えが異なる質問も多くあります。

ご不明な点、ご不安な点がございましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。初回相談は無料です。あなたの状況に合わせて、丁寧にお答えいたします。

まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう

ここまで、パワハラが原因でうつ病になり退職した方が、障害年金を受給するための情報を詳しくお伝えしてきました。

長い記事をここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

この記事でお伝えしたこと

改めて、この記事の要点をまとめます。

✓ パワハラが原因のうつ病でも、障害年金を受給できる可能性がある

すべてのケースで受給できるわけではありませんが、要件を満たせば可能性はあります。「自分には無理」と決めつける必要はありません。

✓ 3つの要件をすべて満たす必要がある

  • 初診日の要件:初診日が特定でき、その日に年金制度に加入していた
  • 保険料納付要件:初診日の前日時点で、一定期間の保険料を納めていた
  • 障害状態の要件:日常生活や仕事に一定以上の支障が出ている

✓ 障害等級は1級・2級・3級があり、日常生活への影響度で判定される

病名ではなく、「日常生活や労働にどれだけ支障が出ているか」で判断されます。診断書の内容が最も重要です。

✓ パワハラの証拠がなくても申請できる

労災保険とは異なり、業務起因性の厳密な証明は不要です。診断書と病歴・就労状況等申立書で、丁寧に状況を説明すれば認定される可能性があります。

✓ 申請手続きは複雑だが、一つひとつ進めれば大丈夫

診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書など、多くの書類が必要です。しかし、順を追って準備すれば、必ず完成します。

✓ 労災申請と障害年金は別の制度

それぞれメリット・デメリットがあります。あなたの状況(証拠の有無、雇用状況、経済状況)に応じて、最適な選択をすることが重要です。

✓ 一度不支給になっても、諦めない

適切な準備をして再申請すれば、認定される可能性は十分にあります。実際に、再申請で成功した事例は多数あります。

あなたに知っておいてほしいこと

この記事を通じて、私たちが最もお伝えしたかったこと——それは、「諦めないでほしい」ということです。

あなたは一人ではありません

パワハラによって心身を傷つけられ、仕事を失い、経済的にも精神的にも追い詰められている。そんな状況の中で、「自分なんかが障害年金をもらえるはずがない」「制度が複雑すぎて、自分には無理だ」と感じるのは、当然のことです。

しかし、あなたと同じような状況から、実際に障害年金を受給し、生活を立て直している方は、たくさんいらっしゃいます。

この記事でご紹介した3つの事例も、最初は皆さん「自分には無理」と思っていました。しかし、適切なサポートを受けることで、可能性の扉が開きました。

「諦めない障害年金」という私たちの想い

私たち清水総合法務事務所は、「諦めない障害年金」をコンセプトに掲げています。

これは、「どんなケースでも必ず認定される」という意味ではありません。制度には要件があり、残念ながらすべての方が受給できるわけではないことも、事実です。

しかし、制度の複雑さや手続きの難しさから諦めてしまう方が、あまりにも多いのです。

  • 「初診日を証明する資料がない」と思っていたが、実はお薬手帳や健康保険の記録が残っていた
  • 「症状が軽いから無理」と思っていたが、実際には日常生活に大きな支障があり、2級に認定された
  • 「一度不支給になったから終わり」と思っていたが、診断書を改善して再申請し、認定された

このように、「諦めなければ道が開けた」というケースを、私たちは数多く見てきました。

だからこそ、私たちは「諦めないでほしい」とお伝えしたいのです。

パワハラで傷ついたあなたを、制度は支えてくれる

パワハラは、あなたの責任ではありません。

理不尽な言動によって心身を傷つけられ、働く意欲を奪われ、生活の基盤を失った——それは、あなたが「弱い」からでも、「甘えている」からでもありません。

障害年金は、そんなあなたを支えるための制度です。

「こんな自分が年金をもらっていいのだろうか」と罪悪感を感じる必要はありません。あなたには、受給する権利があるのです。

私たち清水総合法務事務所ができること

障害年金の申請は、確かに複雑です。多くの書類を集め、正確に記入し、適切なタイミングで提出する必要があります。

特にパワハラが原因のうつ病の場合、初診日の特定、因果関係の説明、診断書の内容など、注意すべきポイントが多くあります。

「自分一人では難しい」と感じたら、どうか私たちにお任せください。

【清水総合法務事務所のサポート内容】

■ 初回相談(無料)

  • あなたの状況を丁寧にお伺いします
  • 受給の可能性を専門的な視点から判断します
  • 申請の流れと必要な準備について、わかりやすくご説明します
  • 不安なこと、わからないことに、すべてお答えします

■ 初診日の調査と証明資料の収集

  • カルテが残っていない場合でも、お薬手帳、健康保険の記録、第三者証明など、あらゆる方法を駆使して初診日を特定します
  • 複雑な初診日の判定(内科→精神科など)も、豊富な経験をもとに適切に対応します

■ 主治医とのコミュニケーション支援

  • 診断書を依頼する前に、主治医に伝えるべき内容を整理します
  • 日常生活の困難さを、主治医に適切に理解してもらうためのサポートをします
  • 必要に応じて、主治医との面談に同行します(ご希望の場合)

■ 病歴・就労状況等申立書の作成

  • あなたから詳しくヒアリングを行い、パワハラの状況、発病の経緯、日常生活の困難さを、説得力のある文章にまとめます
  • 「何をどう書けばいいかわからない」という不安を、すべて解消します

■ すべての申請書類の作成と提出代行

  • 複雑な申請書類を、すべて私たちが作成します
  • 記入漏れや間違いがないよう、何重にもチェックします
  • 年金事務所または市区町村役場への提出も、すべて代行します

■ 審査中のフォローと結果後の対応

  • 審査中に追加資料を求められた場合も、迅速に対応します
  • 認定された場合は、今後の手続き(更新審査など)についてアドバイスします
  • 不支給の場合は、理由を分析し、審査請求または再申請の戦略を立てます

■ 不支給からの再申請サポート

  • 過去に不支給になった方のご相談も、歓迎します
  • 前回の問題点を分析し、改善して再申請します
  • 「一度ダメだったから」と諦める必要はありません

こんな方は、ぜひご相談ください

  • ✓ パワハラが原因でうつ病になり、退職した
  • ✓ 経済的に困窮しており、障害年金を受給したい
  • ✓ 自分が受給できるかどうか知りたい
  • ✓ 初診日の証明が難しい(カルテがない、クリニックが廃院など)
  • ✓ パワハラの証拠がない
  • ✓ 退職理由が「自己都合」になっている
  • ✓ 一度自分で申請したが、不支給になった
  • ✓ 手続きが複雑で、何から始めればいいかわからない
  • ✓ 主治医に日常生活の困難さをうまく伝えられない
  • ✓ 診断書の内容が心配
  • ✓ 神戸・兵庫県で障害年金に詳しい社会保険労務士を探している

一つでも当てはまる方は、ぜひ一度ご相談ください。

ご相談の流れ

Step 1:お問い合わせ
お電話、メール、またはお問い合わせフォームから、ご連絡ください。簡単に状況をお伺いし、面談の日程を調整します。

Step 2:初回面談(無料)
事務所にお越しいただくか、オンライン(Zoom等)で面談を行います。じっくりとお話を伺い、受給の可能性や申請の流れについてご説明します。(所要時間:60〜90分程度)

Step 3:ご依頼の判断
面談後、ご依頼いただくかどうかをご判断ください。無理な勧誘は一切いたしません。ご納得いただいた上で、ご依頼ください。

Step 4:申請手続きの開始
ご依頼いただいた場合、すぐに申請準備を開始します。必要な資料の収集、診断書の依頼、申請書類の作成など、すべて私たちがサポートします。

※神戸・兵庫県を中心に、全国からのご相談に対応しています。遠方の方も、オンライン面談やお電話でのご相談が可能です。

料金について

初回相談料:無料

申請代行費用:成功報酬制

  • 着手金:0円
  • 報酬:年金が認定された場合のみ、初回振込額(2ヶ月分)の範囲内でお支払いいただきます
  • 不支給の場合:費用は一切いただきません

※詳しい料金については、初回面談時にご説明いたします。

成功報酬制ですので、「費用が心配で相談できない」という方も、安心してご相談ください。

今すぐ、一歩を踏み出しましょう

経済的な不安、将来への不安、「自分には無理かもしれない」という不安——
そのすべてを、一人で抱え込む必要はありません。

まずは、私たちにお話を聞かせてください。
あなたの状況を丁寧にお伺いし、最善の道を一緒に考えます。

初回相談は無料です。
あなたが一歩を踏み出すことを、心よりお待ちしています。

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清水総合法務事務所
代表 社会保険労務士 清水 義憲

〒658-0081 神戸市東灘区田中町1丁目15番5号
【事業所番号】兵庫県労働局長(労規)第28080035号

「諦めない障害年金」
あなたの可能性を、私たちは信じています。

※この記事の内容は、2025年11月時点の情報に基づいています。制度の内容は変更される場合がありますので、最新の情報は年金事務所または当事務所にご確認ください。


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