ある日突然、脳梗塞で倒れたご家族。命は助かったものの、記憶障害や注意障害といった高次脳機能障害が残り、以前のように働くことも日常生活を送ることも困難になってしまった──。このような状況に直面されたとき、「これからの生活費はどうすれば…」「医療費やリハビリ費用の負担が重い…」と、将来への不安で押しつぶされそうになっているかもしれません。
しかし、あなたは決して一人ではありません。障害年金という公的な支援制度が、あなたとご家族の生活を支える大きな力になります。この記事では、脳梗塞による高次脳機能障害で障害基礎年金2級を受給できた実際の事例をご紹介します。同じような状況で悩んでいらっしゃる方々に、少しでも希望の光をお届けできれば幸いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談者 | 50代男性(兵庫県在住) |
| 傷病名 | 脳梗塞による高次脳機能障害 |
| 決定した年金種類と等級 | 障害基礎年金2級 |
| 年金額 | 年額約129万円(令和6年度額)、遡及額約107万円 |
脳梗塞による高次脳機能障害で障害基礎年金2級を受給したケース
脳梗塞の後遺症として高次脳機能障害が残った場合、障害年金を受給できるのか、どれくらいの金額が受け取れるのか──多くの方が不安を抱えていらっしゃいます。ここでは、当事務所がサポートし、障害基礎年金2級の認定を受けた実際のケースをご紹介します。Bさん(仮名)とそのご家族の状況、申請から受給までの道のりを詳しく解説します。
Bさんのプロフィールと脳梗塞の発症状況
Bさんは50代の自営業者として、長年地元で小さな商店を営んでいました。健康には自信があり、「自分はまだまだ現役」と考えていた矢先、突然の脳梗塞に襲われました。
その日、Bさんは朝から体調に違和感を覚えていましたが、「少し休めば大丈夫」と仕事を続けていました。しかし昼過ぎ、突然激しいめまいと吐き気に襲われ、その場で倒れてしまったのです。幸い、店にいた奥様がすぐに救急車を呼び、近隣の総合病院に緊急搬送されました。
診断は「脳梗塞(脳血管疾患)」。脳の血管が詰まり、脳細胞に酸素が届かなくなる病気です。Bさんは緊急治療を受け、命は取り留めましたが、後遺症として高次脳機能障害が残りました。
奥様は当時をこう振り返ります。「夫が突然倒れて、本当に怖かったです。命が助かっただけでも良かったと思いましたが、退院後の生活を考えると不安でいっぱいでした」
高次脳機能障害による日常生活への影響
Bさんの脳梗塞後の状態は、外見上は大きな麻痺もなく、歩くこともできました。しかし、日常生活には深刻な影響が出ていました。
高次脳機能障害の主な症状:
- 記憶障害:新しいことを覚えられない、約束を忘れる、同じことを何度も聞く
- 注意障害:ひとつのことに集中できない、複数のことを同時に処理できない
- 遂行機能障害:計画を立てて行動することができない、順序立てて物事を進められない
- 易疲労性:すぐに疲れてしまい、長時間の活動ができない
- 感情コントロールの困難:イライラしやすくなり、感情の起伏が激しくなった
これらの症状により、Bさんは以下のような困難を抱えていました:
- お店の経営に必要な売上管理や発注業務ができなくなった
- お客様との会話で適切な応対ができず、トラブルが増えた
- 約束の時間を守れず、家族との関係にも影響が出始めた
- 料理の手順を忘れ、火の消し忘れなど危険な場面が増えた
- 以前は楽しんでいた趣味にも興味を示さなくなった
「外見は元気そうに見えるので、周囲からは『もう治ったんじゃないか』と言われることもありました。でも実際には、以前のようには何もできない。それが本人にも家族にも一番辛いことでした」と奥様は語ります。
高次脳機能障害は「見えない障害」とも呼ばれ、外見からは分かりにくいため、周囲の理解を得にくいという特徴があります。Bさんも、自分自身の変化に戸惑い、「なぜできないのか」と自分を責める日々が続きました。
障害年金申請を検討したきっかけ
Bさんが脳梗塞で倒れてから、店の経営は事実上ストップしてしまいました。自営業のため、働けなくなれば収入は途絶えます。貯金を切り崩しながらの生活が続き、奥様も不安な日々を過ごしていました。
「このままでは生活が立ち行かなくなる…」そう感じていた時、リハビリ病院のソーシャルワーカーから障害年金という制度があることを教えてもらいました。しかし、調べてみると申請手続きが複雑で、「自分たちだけで対応できるだろうか」と不安を感じたそうです。
また、高次脳機能障害という「目に見えない障害」で年金がもらえるのか、という疑問もありました。「身体に麻痺があるわけではないのに、本当に障害年金の対象になるのか分からなかった」と奥様は振り返ります。
インターネットで障害年金について調べているうちに、当事務所のホームページを見つけ、無料相談を申し込まれたのが、すべての始まりでした。
高次脳機能障害と障害年金の関係〜認定基準と申請のポイント
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくい障害であるため、障害年金の申請において特に注意が必要です。ここでは、専門家の視点から、高次脳機能障害による障害年金の認定基準と申請時の重要なポイントを解説します。
高次脳機能障害とは何か?〜脳梗塞後の「見えない障害」
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって、記憶、注意、遂行機能、社会的行動などの認知機能に障害が生じた状態を指します。脳梗塞、脳出血、脳外傷などが原因で発症することが多く、日常生活や社会生活に大きな支障をきたします。
高次脳機能障害の主な種類:
- 記憶障害:新しいことが覚えられない、最近の出来事を忘れる
- 注意障害:注意が散漫になる、ひとつのことに集中できない
- 遂行機能障害:計画的に行動できない、優先順位がつけられない
- 社会的行動障害:感情のコントロールができない、衝動的になる、意欲が低下する
これらの障害は、外見上は健康に見えるため、「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすく、本人も家族も大きなストレスを抱えることになります。
「夫は見た目には元気そうなので、近所の人からは『もう良くなったんですね』と言われるんです。でも実際には、ひとりで外出もできないし、簡単な用事も頼めない。その説明をするのも疲れてしまって…」という奥様の言葉が、高次脳機能障害の難しさを物語っています。
障害年金における高次脳機能障害の認定基準
高次脳機能障害で障害年金を受給するには、国が定める認定基準を満たす必要があります。認定基準は「高次脳機能障害」という項目で定められており、日常生活や労働能力への影響度によって等級が決まります。
障害年金2級の認定基準(高次脳機能障害の場合):
- 「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」の障害であること
- 具体的には、食事や身の回りのことは何とかできるが、一人で外出することは困難で、日常生活において常時援助を要する状態
- 記憶障害、注意障害、遂行機能障害などにより、日常生活に大きな支障がある
- 就労はほぼ不可能、または大幅に制限される状態
Bさんの場合、記憶障害と注意障害、遂行機能障害が顕著で、以下のような状態でした:
- ひとりでの外出は道に迷う可能性が高く、家族の同行が必要
- 金銭管理ができず、買い物も家族の付き添いが必要
- 服薬管理ができないため、家族が毎回確認
- 火の消し忘れなど危険な場面があり、ひとりでの調理は不可能
- 複雑な会話や説明の理解が困難
これらの状態が、障害基礎年金2級という認定につながりました。
「障害年金の等級判定は、身体障害者手帳の等級とは別の基準で行われます」という点も重要です。身体障害者手帳を持っていなくても障害年金を受給できる場合がありますし、逆に手帳を持っていても障害年金が認定されないこともあります。それぞれ独立した制度であることを理解しておきましょう。
初診日(しょしんび)の重要性〜障害年金申請の第一歩
障害年金の申請において、最も重要な概念のひとつが「初診日」です。初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日のことを指します。
Bさんの場合は、脳梗塞で救急搬送された日が初診日となりました。幸い、救急搬送の記録や診療録が明確に残っていたため、初診日の証明はスムーズに行うことができました。
初診日が重要な理由:
- 初診日にどの年金制度に加入していたかで、受給できる年金の種類が決まる(国民年金なら障害基礎年金、厚生年金なら障害厚生年金)
- 初診日の前日時点で、保険料納付要件を満たしている必要がある
- 初診日から1年6ヶ月経過した日が「障害認定日」となり、年金受給の基準日となる
Bさんは自営業者として国民年金に加入しており、保険料もきちんと納付していました。そのため、障害基礎年金の受給資格を満たしていることが確認できました。
「初診日の証明ができるかどうか不安でした」という声をよく聞きますが、脳梗塞のような急性疾患の場合、救急搬送の記録や診療録が残っているケースがほとんどです。もし当時の病院が閉院していたり、カルテが残っていない場合でも、受診状況等証明書が取得できない旨の証明や、他の資料(救急搬送記録、健康保険の受診記録など)で代用できる場合があります。
障害認定日はいつ?〜脳梗塞の場合の特例
障害年金は、原則として「障害認定日」の障害の状態によって等級が決まります。障害認定日とは、通常は初診日から1年6ヶ月を経過した日のことです。
しかし、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)の場合は、特例があります。初診日から6ヶ月経過した日以降に、医師が「症状固定」と判断した時点を障害認定日とすることができるのです。
症状固定とは:これ以上の治療効果が期待できず、症状が安定した状態のこと。リハビリを継続していても、症状固定と判断されることがあります。
Bさんの場合、初診日から約8ヶ月後に主治医が「症状固定」と判断したため、その時点を障害認定日として申請することができました。通常の1年6ヶ月を待たずに申請できたため、早期に年金を受給できることになったのです。
「リハビリを続けている間は申請できないのでは?」という質問をよくいただきますが、リハビリの継続と症状固定は別の概念です。症状が安定していれば、リハビリを続けながらでも障害年金を申請できます。
【申請プロセス】専門家によるサポートで確実な申請を実現
障害年金の申請は、多くの書類を準備し、複雑な手続きを経る必要があります。特に高次脳機能障害のような「見えない障害」の場合、いかに日常生活の困難さを適切に伝えるかが、認定の鍵となります。ここでは、Bさんのケースを通じて、専門家のサポートによる申請プロセスの実際をご紹介します。
初回相談から申請準備までの流れ
Bさんの奥様が当事務所に初めて相談にいらした時、不安そうな表情が印象的でした。「何から始めればいいのか分からない」「本当に年金がもらえるのか心配」という声を、じっくりとお聞きしました。
初回相談で確認した主な内容:
- 脳梗塞の発症日と初診日の確認
- 現在の高次脳機能障害の症状と日常生活の困難さ
- 治療経過とリハビリの状況
- 年金の加入状況と保険料納付状況
- 今後の生活の見通しと経済状況
初回相談で、Bさんの状況を詳しくお聞きした結果、障害基礎年金2級の受給の可能性が高いことをお伝えしました。また、脳血管疾患の特例により、初診日から6ヶ月経過後に申請できることもご説明しました。
「専門家の方に『大丈夫ですよ』と言っていただけて、初めて少し安心できました」と奥様は振り返ります。
申請の流れ(時系列):
- 初回相談(現状把握と申請戦略の検討)〜所要時間約90分
- 必要書類のリストアップと取得方法の説明
- 医師への診断書作成依頼のサポート
- 受診状況等証明書(初診日証明)の取得
- 病歴・就労状況等申立書の作成サポート
- その他必要書類の収集・作成
- 申請書類の最終確認
- 年金事務所への提出
- 審査状況の確認と必要に応じた追加対応
Bさんのケースでは、初回相談から約3週間で必要な書類を揃え、申請に至りました。特に診断書の作成に時間がかかるケースが多いため、早めに医師に依頼することが重要です。
診断書取得の重要ポイント〜高次脳機能障害をいかに伝えるか
障害年金の申請において、医師が作成する診断書は最も重要な書類です。特に高次脳機能障害の場合、外見からは分かりにくい障害をいかに適切に記載してもらうかが、認定の成否を分けることがあります。
Bさんの場合、リハビリ病院の脳神経外科医に診断書を依頼しました。診断書の様式は「精神の障害用」を使用します(高次脳機能障害は、身体の障害ではなく精神の障害として扱われます)。
診断書作成を依頼する際のポイント:
- 事前に主治医に障害年金の申請について説明する
- 日常生活の具体的な困難さを医師に伝える(家族が作成したメモを持参するのも効果的)
- 神経心理学的検査の結果を診断書に記載してもらう
- 日常生活能力の判定欄を具体的に記載してもらう
当事務所では、診断書を依頼する前に、医師に伝えるべきポイントをまとめた資料をBさんの奥様にお渡ししました。この資料には、以下のような内容が含まれています:
- Bさんの日常生活における具体的な困難(記憶障害、注意障害の具体例)
- 家族が常時サポートしている内容
- ひとりでできないこと、危険な場面のリスト
「診断書の記載内容で結果が変わることがあるの?」という質問をよくいただきますが、同じ症状でも、診断書の記載の仕方によって審査の印象が変わることは十分にあり得ます。医師は日常生活の詳細までは把握していないことも多いため、家族から具体的な情報を提供することが大切です。
Bさんの診断書には、以下のような具体的な記載がされました:
- 神経心理学的検査(MMSE、FABなど)の結果と数値
- 記憶障害により、服薬管理、金銭管理、スケジュール管理ができない
- 注意障害により、複数の作業を同時に処理できない、危険な場面がある
- 遂行機能障害により、計画的な行動ができず、日常生活に支障がある
- 日常生活能力の判定:単身生活は不可能、常時援助が必要
病歴・就労状況等申立書の効果的な作成〜家族の視点が重要
診断書と並んで重要な書類が「病歴・就労状況等申立書」(通称「申立書」)です。この申立書は、ご本人またはご家族が、発病からこれまでの経過や日常生活の状況を記載する書類です。
高次脳機能障害の場合、ご本人が自分の症状を正確に把握することが難しいため、家族が代筆することが多くなります。Bさんのケースでも、奥様が主に作成されました。
申立書に記載した主な内容:
- 脳梗塞発症時の状況(いつ、どこで、どのような症状で倒れたか)
- 救急搬送から急性期治療の経過
- リハビリ病院での治療内容と効果
- 退院後の日常生活の具体的な困難
- 自営業の店を閉めざるを得なくなった経緯
- 記憶障害、注意障害による具体的なエピソード
- 家族のサポート内容と負担
申立書では、「具体性」が何よりも重要です。抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを書くことで、審査する側に状況が正確に伝わります。
日常生活の困難を伝える具体的な記載例
Bさんの申立書では、以下のような具体的な記載をしました:
【記憶障害について】
「朝食を食べたことを忘れ、『まだ食べていない』と言うことが週に数回ある。薬を飲んだかどうかも覚えていないため、妻が毎回確認し、飲ませるようにしている。約束の時間を忘れてしまうため、通院などの予定は妻が管理し、当日も何度も声かけをしている。」
【注意障害について】
「テレビを見ていても内容が理解できず、すぐにチャンネルを変えてしまう。会話の途中で別のことに気を取られ、話が最後まで聞けない。料理をしようとすると、火をつけたまま別のことを始めてしまい、鍋を焦がしたことが2回あった。現在は危険なため、一人での調理は禁止している。」
【遂行機能障害について】
「以前は自分で店の発注や売上管理をしていたが、現在は簡単な計算もできない。お金の管理ができず、買い物に行くと必要のないものまで買ってしまう。そのため、現在は妻が全てのお金を管理している。朝起きてから寝るまでの一日の流れも、妻が指示しないと何をすればいいかわからない様子である。」
このように、具体的なエピソードを交えて記載することで、審査する側にBさんの日常生活の困難さが伝わり、適切な等級判定につながりました。
当事務所では、申立書の作成にあたり、ご家族から詳しくお話をお聞きし、効果的な記載をサポートしています。「何をどこまで書けばいいのかわからない」という方も、安心してご相談ください。
その他の必要書類と申請の注意点
診断書と申立書以外にも、障害年金の申請には以下のような書類が必要です:
- 年金請求書(障害基礎年金用)
- 受診状況等証明書(初診日を証明する書類)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 戸籍謄本、住民票など
- 預金通帳のコピー(年金受取口座)
- 所得証明書(必要に応じて)
これらの書類を不備なく揃えることが、スムーズな審査につながります。Bさんのケースでは、当事務所が書類の取得方法を詳しくご案内し、記入方法もサポートしたため、書類の不備による差し戻しなく、一度で申請が完了しました。
「書類の取得や記入が大変そう…」と感じる方も多いですが、専門家のサポートがあれば、ひとつひとつ確実に進めることができます。
【審査結果】障害基礎年金2級認定と受給額の詳細
申請から約3ヶ月後、Bさんの障害年金の審査結果が届きました。結果は「障害基礎年金2級」の認定──奥様は安堵の涙を流されました。ここでは、受給額の詳細と、その後の生活への影響についてご紹介します。
年額約129万円の障害基礎年金が生活を支える
Bさんは障害基礎年金2級と認定され、年額約129万円(令和6年度額:月額約10.7万円)の年金を受け取ることになりました。これは、Bさんとご家族の生活を支える大きな経済的基盤となりました。
障害基礎年金2級の受給額(令和6年度):
- 年額:816,000円(月額約68,000円)
- 子の加算:1人目・2人目 各234,800円、3人目以降 各78,300円
※Bさんには18歳未満の子が2人いたため、子の加算が付き、合計で年額約129万円(1,285,600円、月額約10.7万円)となりました。
障害基礎年金の特徴として、以下の点があります:
- 定額制:加入期間や過去の収入に関係なく、等級によって定額が支給される
- 非課税:所得税や住民税がかからないため、受給額がそのまま手元に残る
- 継続支給:障害の状態が続く限り、原則として一生涯支給される
- 物価連動:物価の変動に応じて、年金額が改定される可能性がある
奥様は次のように語ります。「月に10.7万円という金額は、決して多いとは言えません。でも、毎月安定した収入があるという安心感は計り知れないものです。夫の介護をしながら、私もパートで働いて何とか生活できています」
遡及支給約107万円〜過去にさかのぼって支給される理由
Bさんのケースでは、年金の定期支給に加えて、約107万円の遡及支給(さかのぼっての支給)も受けることができました。これは、障害認定日から申請日までの期間分がまとめて支給されるものです。
遡及支給が発生した理由:
- 障害認定日(初診日から8ヶ月後、症状固定時)の時点で、既に障害年金2級に該当する状態だった
- 障害認定日から申請日までに約10ヶ月の期間があった
- その10ヶ月分の年金がまとめて遡及支給された
遡及支給は、過去最大5年分までさかのぼって受け取ることができます(時効の関係で5年を超える分は受け取れません)。Bさんの場合、障害認定日からそれほど期間が経っていなかったため、全額を受け取ることができました。
「このまとまった金額で、バリアフリー化のための住宅改修費用の一部を賄うことができました。また、当面の生活費の心配も少し軽くなりました」と奥様は語ります。
遡及支給を最大化するためのポイント:
- 障害認定日から早めに申請する(申請が遅れると、その分の遡及期間が長くなるが、5年を超えると時効で受け取れなくなる)
- 障害認定日の診断書を別途取得する(現在の診断書とは別に、障害認定日時点の診断書が必要)
- 専門家のサポートを受けて、確実に申請する
高次脳機能障害と認定等級の関係
高次脳機能障害による障害年金は、その症状の重さによって1級から3級(厚生年金の場合)まで認定されます。Bさんが2級と認定されたのは、記憶障害、注意障害、遂行機能障害により、日常生活に著しい制限があったためです。
高次脳機能障害における等級の目安:
- 1級:高次脳機能障害により、常時援助がなければ日常生活ができない状態。食事や身の回りのことも一人では困難。
- 2級:高次脳機能障害により、日常生活が著しく制限される状態。食事や身の回りのことは何とかできるが、一人での外出は困難で、金銭管理などもできない。
- 3級(厚生年金のみ):高次脳機能障害により、労働に著しい制限がある状態。日常生活は何とかできるが、就労は大幅に制限される。
Bさんの場合、以下のような状態であったことが2級認定の決め手となりました:
- 食事や着替えなど基本的な日常生活は何とかできる
- しかし、金銭管理、服薬管理、スケジュール管理などは一人ではできない
- 一人での外出は道に迷う可能性が高く、常に家族の同行が必要
- 記憶障害、注意障害により、就労はほぼ不可能
「等級判定は、日常生活にどれだけ支障があるかが基準となります」と専門家として強調したい点です。身体の麻痺がなくても、高次脳機能障害により日常生活に大きな制限があれば、2級に認定される可能性は十分にあります。
脳梗塞による高次脳機能障害の障害年金申請でよくある質問
高次脳機能障害で障害年金を申請する際、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。ここでは、当事務所によく寄せられる質問とその回答をご紹介します。あなたの疑問の答えがここにあるかもしれません。
Q1. 高次脳機能障害は外見で分からないのに、障害年金はもらえるの?
A. はい、高次脳機能障害でも障害年金を受給できます。障害年金の審査では、外見ではなく、日常生活への影響度が重視されます。
高次脳機能障害は確かに「見えない障害」ですが、記憶障害や注意障害により日常生活に著しい制限がある場合、障害年金2級に認定される可能性は十分にあります。
重要なのは、診断書と申立書に、日常生活の具体的な困難さを詳細に記載することです。例えば:
- 服薬管理ができず、家族が毎回確認している
- 火の消し忘れがあり、一人での調理は危険
- 金銭管理ができず、買い物も家族の付き添いが必要
- 一人での外出は道に迷うため、常に家族の同行が必要
このような具体的なエピソードを記載することで、審査する側に障害の程度が伝わります。Bさんのケースも、外見上は健康に見えましたが、適切な申請により障害基礎年金2級の認定を受けることができました。
Q2. 脳梗塞から何年も経っているけど、今からでも申請できる?
A. はい、申請できます。ただし、遡及支給は過去5年分までという時効があるため、早めの申請をお勧めします。
障害年金は、障害認定日(初診日から原則1年6ヶ月後、脳血管疾患の場合は6ヶ月後に症状固定した時点)から受給資格が発生します。しかし、時効の関係で、申請日から5年以上前の分は受け取ることができません。
例えば、脳梗塞の発症から3年経過してから申請した場合:
- 障害認定日が2年前だとすると、過去2年分が遡及支給される
- 障害認定日が7年前だとすると、過去5年分のみが遡及支給される(残り2年分は時効で受け取れない)
「もう遅いのでは…」と諦めずに、まずは専門家に相談することをお勧めします。たとえ何年か経過していても、現在の障害の状態で申請することは可能です。
Q3. 自営業者(国民年金)だと、会社員(厚生年金)より年金額が少ないの?
A. はい、自営業者の方が受給する障害基礎年金は、会社員が受給する障害厚生年金に比べると金額は少なくなります。
年金額の違い:
- 障害基礎年金2級:年額約81.6万円(令和6年度、子の加算除く)
- 障害厚生年金2級:年額約81.6万円(基礎年金部分) + 報酬比例部分(加入期間と過去の給与による)
例えば、会社員として長く働いていた方が障害厚生年金2級を受給する場合、基礎年金部分に加えて報酬比例部分が上乗せされるため、年額150万円〜250万円程度になることが多いです。
Bさんのように自営業者(国民年金)の場合は、障害基礎年金のみとなり、金額は定額です。しかし、子の加算などがあるため、Bさんのケースでは年額約129万円を受給できることになりました。
金額は少なくても、毎月安定した収入があることの意味は大きく、生活を支える重要な基盤となります。
Q4. リハビリを続けていたら、年金が止まってしまうの?
A. いいえ、リハビリを続けているからといって、すぐに年金が止まることはありません。障害の状態が続く限り、基本的には支給が継続されます。
障害年金を受給すると、定期的に「障害状態確認届」(診断書)の提出が求められます。この提出頻度は、障害の種類や状態の安定性によって異なります(1年後、2年後、3年後、5年後など)。
リハビリによって症状が大幅に改善し、日常生活の制限が軽くなった場合は、等級変更(2級→3級など)の可能性はあります。しかし、高次脳機能障害の場合、リハビリで一定の改善が見られたとしても、日常生活に大きな制限が続くケースが多いため、等級変更になることは比較的少ないと言えます。
「リハビリを頑張ると年金がもらえなくなるのでは」と心配して、リハビリに消極的になる必要はありません。リハビリによる生活の質の向上と、障害年金による経済的支援は、どちらも大切なものです。
Q5. 障害年金の申請は自分でできる?専門家に頼むべき?
A. 障害年金の申請は、ご自身でも可能です。しかし、特に高次脳機能障害のような複雑なケースでは、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
専門家に依頼するメリット:
- 適切な書類作成:診断書や申立書に、審査のポイントを押さえた記載ができる
- 医師との連携:診断書の記載内容について、必要に応じて医師にアドバイスできる
- 申請タイミングの最適化:いつ申請すれば最も有利かを判断できる
- 遡及請求の最大化:障害認定日からの期間を適切に設定し、遡及払いを最大限に受けられる
- 不支給時の対応:不幸にして不支給となった場合でも、審査請求などの対応ができる
- 時間と労力の節約:複雑な書類作成や手続きの負担を大幅に軽減できる
Bさんのケースでも、専門家のサポートにより、複雑な書類作成の負担を軽減し、約107万円の遡及支給を受けることができました。
「費用がかかるのでは…」と心配される方もいますが、当事務所では初回相談は無料で行っており、費用についても明確にご説明しています。遡及支給や今後受け取る年金額を考えると、専門家に依頼するメリットは大きいと言えるでしょう。
まとめ:脳梗塞による高次脳機能障害でも、障害年金で生活を支えることができる
脳梗塞による高次脳機能障害は、外見からは分かりにくい「見えない障害」ですが、適切な申請により障害年金を受給できる可能性は十分にあります。Bさんのケースでは、障害基礎年金2級の認定を受け、年額約129万円、遡及額約107万円という経済的支援を受けることができました。
突然の脳梗塞で人生が一変し、これからの生活に不安を感じているあなたとご家族にとって、障害年金は生活を支える大きな力となります。決して一人で悩まず、専門家に相談することで、確実に受給への道が開けます。
この事例から学べる重要なポイント:
- 早期相談の重要性:症状が安定したら、早めに障害年金について情報収集し、専門家に相談する
- 具体的な記載の重要性:診断書や申立書に、日常生活の困難さを具体的に記載することが認定の鍵となる
- 医師との連携:主治医に障害年金申請の意向を伝え、日常生活の状況を詳しく伝えることが大切
- 遡及請求の活用:障害認定日から早めに申請することで、過去にさかのぼって年金を受け取れる
- 専門家のサポート:複雑な手続きや書類作成を専門家に任せることで、確実性が高まり、精神的負担も軽減される
障害年金申請を検討されている方へのアドバイス
脳梗塞による高次脳機能障害で障害年金の申請を考えていらっしゃる方に、専門家として以下のアドバイスをお伝えします:
1. まずは情報収集と早期相談を
症状が安定してきたら、できるだけ早く障害年金について情報を集め、専門家に相談することをお勧めします。申請時期が遅れると、受け取れるはずの遡及金が減少する可能性があります。
2. 日常生活の困難を記録しておく
高次脳機能障害による日常生活の困難を、具体的に記録しておくことが大切です。例えば:
- 「〇月〇日、薬を飲んだことを忘れて二重に飲もうとした」
- 「〇月〇日、鍋を火にかけたまま別の部屋に行ってしまい、焦がした」
- 「〇月〇日、買い物で必要な物を買い忘れ、不要な物を買ってしまった」
このような記録が、申立書作成時に非常に役立ちます。
3. 家族のサポートを活用する
高次脳機能障害の方は、自分の症状を正確に把握することが難しいため、家族のサポートが不可欠です。診察時にも家族が同行し、医師に日常生活の状況を伝えることが重要です。
4. 関連制度も併せて検討する
障害年金だけでなく、以下のような制度も併せて検討することで、より充実したサポートを受けられます:
- 精神障害者保健福祉手帳の取得
- 自立支援医療(精神通院医療)の申請
- 介護保険の申請(65歳未満でも、特定疾病に該当すれば利用可能)
- 障害福祉サービスの利用
5. 諦めずに専門家に相談を
「外見は元気そうに見えるから無理だろう」「手続きが難しそうで諦めた」──そのような理由で、本来受け取れるはずの障害年金を受け取れていない方が多くいらっしゃいます。まずは専門家に相談し、受給の可能性を確認することをお勧めします。
Bさんのように、適切なサポートがあれば、高次脳機能障害でも障害年金2級の認定を受け、年額129万円という安定した収入を確保できる可能性があります。将来への不安を少しでも解消し、安心して生活できるよう、ぜひ一歩を踏み出してください。
【無料相談実施中】あなたやご家族の障害年金申請を全力でサポートします
脳梗塞による高次脳機能障害で将来への不安を抱えていらっしゃるなら、あなたは決して一人ではありません。障害年金という形で、国からの経済的支援を受けることができます。当事務所では、障害年金の申請に関する無料相談を実施しています。
Bさんのケースのように、外見からは分かりにくい高次脳機能障害でも、適切な申請により障害年金を受給できる可能性は十分にあります。あなたやご家族の状況をじっくりとお聞きし、最適な申請戦略をご提案いたします。
当事務所の障害年金申請サポートの特徴
当事務所は、兵庫県を中心に、数多くの障害年金申請をサポートしてきた実績があります。特に高次脳機能障害のような、外見からは分かりにくい障害のケースにも精通しています。
当事務所のサポート内容:
1. 丁寧なヒアリングと受給可能性の分析
初回相談では、あなたやご家族の状況を詳しくお聞きし、障害年金受給の可能性を分析します。医療記録や就労履歴などから、初診日や障害認定日を正確に把握し、最適な申請タイミングをアドバイスします。
2. 申請書類の作成支援
審査のポイントを押さえた効果的な申請書類の作成をサポートします。特に「病歴・就労状況等申立書」では、高次脳機能障害による日常生活の困難さを具体的に伝えるよう工夫しています。
3. 医師との連携サポート
診断書の記載内容について、必要に応じて医師と連携し、障害の状態が適切に反映されるようサポートします。診断書依頼時に医師に伝えるべきポイントをまとめた資料もご提供します。
4. 申請手続きの代行
実際の申請手続きを代行し、煩雑な書類提出や年金事務所とのやり取りの負担を軽減します。書類の不備による差し戻しを防ぎ、スムーズな審査につなげます。
5. 審査請求などのアフターフォロー
万が一、不支給や予想より低い等級の決定となった場合でも、審査請求や再申請のサポートを行います。最後まで諦めずに、あなたの権利を守ります。
無料相談のご案内〜まずはお気軽にご連絡ください
「障害年金の制度がよくわからない」「自分のケースでは受給できるのか不安」「何から始めればいいのか分からない」──そんな小さな疑問や不安でも、まずはお気軽にご相談ください。
当事務所では、障害年金に関する初回相談を無料で承っています。相談方法は、ご状況やご希望に合わせてお選びいただけます。
お電話でのご相談
お電話一本で、障害年金の専門家に直接相談できます。急ぎのご質問や、まずは簡単に状況を確認したいという方に適しています。
相談専用ダイヤル:050-7124-5884
受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝は要予約)
「どんな些細な質問でも大丈夫ですか?」というご心配は不要です。障害年金に関することであれば、どんな小さな疑問でもお気軽にお電話ください。
メールでのご相談
お急ぎでない場合や、詳しい状況を文章で伝えたい方は、メールでのご相談も可能です。
メールアドレス:mail@srkobe.com
以下の内容をお書き添えください:
- お名前(ご本人またはご家族)
- ご連絡先(電話番号、メールアドレス)
- 傷病名と発症時期
- 現在の症状と日常生活の状況
- ご相談内容
原則として、2営業日以内にご返信いたします。
お問い合わせフォームからのご相談
当事務所のウェブサイトから、24時間いつでもお問い合わせいただけます。
お問い合わせフォーム:https://nenkin.srkobe.com/contact/
フォームに必要事項をご記入の上、送信してください。折り返し、担当者よりご連絡いたします。
ご訪問でのご相談
外出が困難な方のために、ご自宅や入院先・施設への訪問相談も無料で行っています。特に高次脳機能障害の方は移動に不安がある場合も多いため、訪問相談をご利用いただくケースが多くあります。
- 兵庫県内および関西エリアに対応(それ以外の地域もご相談ください)
- 事前予約制:ご希望の日時と場所をお知らせください
- 必要書類の確認やその場での申請アドバイスが可能
よくあるご質問(相談について)
Q. 相談したら必ず依頼しなければいけませんか?
A. いいえ、相談だけでも構いません。まずは情報収集として、お気軽にご相談ください。
Q. 家族だけの相談でも大丈夫ですか?
A. はい、ご家族だけのご相談でも問題ありません。特に高次脳機能障害の場合、ご家族が代理でご相談されるケースが多くあります。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 初回相談は無料です。正式にご依頼いただく場合の費用については、初回相談時に詳しくご説明いたします。当事務所では、着手金無料、成功報酬制を採用しており、年金が決定しなければ費用は一切いただきません。
Q. 遠方に住んでいますが、相談できますか?
A. はい、電話やメール、オンライン(Zoom、LINEなど)での相談も可能です。全国どこからでもご相談いただけます。
最後に〜一歩踏み出す勇気を
脳梗塞による高次脳機能障害で、これからの生活に不安を感じているあなたへ。
Bさんも、最初は「本当に年金がもらえるのだろうか」「申請は難しそうだ」と不安を抱えていました。しかし、専門家のサポートを受けることで、障害基礎年金2級の認定を受け、年額約129万円という安定した収入を確保することができました。
あなたも、決して一人で悩む必要はありません。障害年金という制度は、まさにこのような時のために存在する公的支援です。専門家のサポートを受けることで、確実に受給への道が開けます。
まずは無料相談で、あなたの状況をお聞かせください。一緒に、これからの生活を支える道を見つけましょう。あなたからのご連絡を、心よりお待ちしております。
【お問い合わせ先】
兵庫障害年金安心サポートセンター
清水綜合法務事務所
電話:050-7124-5884(平日9:00〜18:00)
メール:mail@srkobe.com
お問い合わせフォーム:https://nenkin.srkobe.com/contact/
初回相談無料・着手金無料・完全成功報酬制
あなたの「諦めない障害年金」を、私たちが全力でサポートします。


