がんと診断され、抗がん剤治療を受けている中で、副作用による倦怠感や痛み、日常生活の制限に苦しんでいらっしゃいませんか。「治療費や生活費をどうすればいいのだろう」「仕事を続けられないかもしれない」という不安は、心身ともに大きな負担となります。毎日の家事さえままならず、ご家族に負担をかけていることに心を痛めていらっしゃる方も多いでしょう。
しかし、あなたは決して一人ではありません。抗がん剤の副作用で日常生活に著しい制限を受けている場合、障害年金という公的支援制度が、あなたとご家族の生活を支える力になります。この記事では、乳がん治療中の40代女性が、抗がん剤の副作用により障害厚生年金2級を受給できた実例をご紹介します。同じような状況で悩まれている方々に、少しでも希望の光をお届けできれば幸いです。
| 相談者 | 40代女性(兵庫県在住) |
|---|---|
| 傷病名 | 乳がん(抗がん剤治療による副作用:末梢神経障害、全身倦怠感) |
| 決定した年金種類と等級 | 障害厚生年金2級 |
| 年金額 | 年額約180万円、遡及額約130万円 |
乳がんの抗がん剤治療による副作用で障害厚生年金2級を取得したケース
抗がん剤治療の副作用で障害年金を受給できるのか、どのくらいの金額が受け取れるのか、具体的な事例を知りたいと思われているのではないでしょうか。ここでは実際に当事務所がサポートし、障害厚生年金2級の認定を受けた方のケースをご紹介します。ご本人とご家族の状況、申請から受給までの道のりを詳しく解説します。
患者様のプロフィールと発症状況
40代の会社員として働いていたBさん(仮名)は、定期健診で乳がんが発見されました。幸い早期発見でしたが、リンパ節への転移も見られたため、手術後に抗がん剤治療を受けることになりました。
Bさんは事務職として長年勤務し、家計を支える大切な収入源でした。夫と二人暮らしで、住宅ローンも残っていました。しかし、抗がん剤治療が始まると、予想以上に副作用が強く現れました。特に末梢神経障害(手足のしびれや痛み)と全身倦怠感が深刻で、キーボード操作や長時間の座位保持が困難になり、仕事を続けることができなくなってしまったのです。
「治療が終われば元の生活に戻れると思っていたのに、副作用がこんなに辛いとは思いませんでした。仕事も辞めざるを得なくなり、経済的にも精神的にも追い詰められていました」とBさんは当時を振り返ります。
抗がん剤治療後の身体状況と生活への影響
Bさんの抗がん剤治療後の状態は以下のようなものでした:
- 両手足の末梢神経障害(しびれ、痛み、感覚鈍麻)により、細かい作業が困難
- パソコンのキーボード操作が長時間できない(10分程度が限界)
- ボタンの掛け外し、ファスナーの上げ下げに時間がかかる
- 包丁を使うと手が震えて危険
- 買い物袋を持つと手が痛くなる
- 全身倦怠感が強く、家事や日常生活動作に著しい制限がある
- 洗濯物を干すだけで疲れ果て、休憩が必要
- 免疫力低下により感染症のリスクが高く、外出に制限がある
こうした症状により、Bさんは日常生活の多くの場面で支障をきたしていました。料理で包丁を使うことも危険で、買い物袋を持つことも困難。洗濯物を干すことさえ、痛みと倦怠感で休憩を挟みながら行う状態でした。
「朝起きて服を着るだけで30分以上かかります。ボタンをかけるのにも時間がかかり、朝の支度だけで疲れ果ててしまいます。家族に負担をかけていることが申し訳なくて…」とBさんは涙ぐみながら語られました。
障害年金申請を検討するきっかけ
Bさんが障害年金の申請を考え始めたのは、同じ病院で治療を受けていた患者仲間からの情報がきっかけでした。しかし、「がんで障害年金なんてもらえるの?」「抗がん剤の副作用は一時的なものだから対象外では?」という疑問を抱いていました。
インターネットで調べるうちに、がん治療の副作用による日常生活の制限が続く場合、障害年金の対象になることを知り、当事務所に相談されました。
「正直、自分が障害年金の対象になるとは思っていませんでした。でも、このままでは生活が成り立たない。藁にもすがる思いで相談しました」とBさんは当時の心境を語ります。
当事務所では初回相談時に、抗がん剤の副作用による日常生活の制限が認められた場合、障害年金の対象となることを説明しました。Bさんの場合、末梢神経障害と全身倦怠感が治療終了後も長期的に続いており、医師も「症状の改善が見込めず、日常生活に著しい支障がある」と診断していたため、障害年金申請の可能性が高いことをお伝えしました。
がんの抗がん剤副作用と障害年金の関係性〜申請のタイミングと重要ポイント
がん治療中の方から「抗がん剤の副作用で障害年金を受給できるの?」「いつから申請できるの?」という質問をよくいただきます。ここでは、障害年金の専門家として、がんの抗がん剤副作用と年金申請の重要なポイントを解説します。適切なタイミングでの申請が、経済的支援を迅速に受けるカギとなります。
抗がん剤の副作用による障害はいつ申請できる?障害認定日とは
「がんと診断されたらすぐに障害年金を申請できるの?」このような質問をよくいただきますが、実は、がんの場合も他の傷病と同様に、「障害認定日」という概念が重要になります。
障害認定日とは、障害の状態を認定する基準日のことで、原則として初診日(がんと診断され、初めて医師の診療を受けた日)から1年6ヶ月を経過した日です。この日に障害の状態が国の定める等級に該当すれば、障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、がんの場合には以下のような特例があります:
- 人工肛門を造設した場合:造設日から6ヶ月経過した日が障害認定日
- 人工膀胱を造設した場合:造設日から6ヶ月経過した日が障害認定日
- 喉頭全摘出の場合:摘出日が障害認定日
- 切断や離断の場合:その日が障害認定日
Bさんのケースでは、抗がん剤治療による副作用が主な障害であったため、初診日から1年6ヶ月を経過した時点が障害認定日となりました。この時点で、末梢神経障害と全身倦怠感が持続しており、日常生活に著しい制限が認められたため、障害年金の申請が可能と判断しました。
「治療が終わっても副作用が続いている場合はどうなるの?」という質問もよくいただきますが、抗がん剤治療が終了していても、副作用が継続し日常生活に支障がある場合は、障害年金の対象となります。重要なのは「現在の障害の状態」であり、治療中かどうかではありません。
抗がん剤の副作用による障害の認定基準
今回のポイントは、抗がん剤の副作用による障害が、どの程度の年金等級に認定されるかという点です。がんによる障害は、日常生活への影響度によって判断されます。以下のような基準で評価されます。
障害厚生年金2級の認定基準(がんの場合):
- 「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」の障害であること
- 具体的には、家庭内での軽度の活動はできるが、それ以上の活動はできない、またはこれを行うことを著しく制限される状態
- 抗がん剤の副作用により、就労が著しく困難な状態
- 全身倦怠感、末梢神経障害などにより、日常生活動作に支障がある状態
Bさんの場合、末梢神経障害による手足のしびれや痛みに加え、全身倦怠感が重なっていたため、日常生活の多くの場面で支障をきたしていました。これが障害厚生年金2級という等級の認定につながりました。
認定基準では、以下のような点が重視されます:
- 日常生活動作(食事、入浴、着替え、トイレなど)の自立度
- 家事労働(調理、洗濯、掃除など)の遂行能力
- 外出や社会参加の可能性
- 就労能力の有無
抗がん剤の副作用は人によって症状が異なります。主な副作用としては以下のようなものがあります:
- 末梢神経障害(手足のしびれ、痛み、感覚鈍麻)
- 全身倦怠感(だるさ、疲れやすさ)
- 心機能障害(心不全など)
- 腎機能障害
- 肺線維症などの呼吸器障害
- 認知機能の低下(ケモブレイン)
これらの副作用が複合的に現れている場合、日常生活への影響がより大きくなり、障害年金の認定につながりやすくなります。
がん患者が知っておくべき障害年金と他の制度との関係
がん患者の方は、障害年金以外にも様々な支援制度を利用できる可能性があります。認定基準では、これらを併用することで、より充実した経済的・生活的支援を受けることができると定められています。
主な関連制度:
- 傷病手当金:働けなくなった時の一時的な所得保障(最長1年6ヶ月)
- 高額療養費制度:医療費の自己負担額を軽減
- 障害者手帳:税金の控除や公共料金の割引などの支援
- 自立支援医療:抗がん剤などの継続的な治療費の負担軽減
- 介護保険:40歳以上で特定疾病(がん末期)に該当する場合、介護サービスが利用可能
障害年金と傷病手当金の関係については、特に注意が必要です。両者を同時に満額受け取ることはできず、障害年金の方が金額が多い場合は、差額分の傷病手当金が調整されます。逆に、傷病手当金の方が多い場合は、差額分の傷病手当金が支給されます。
Bさんのケースでは、休職中に傷病手当金を受給していましたが、障害年金の受給が決まった後は、障害年金を優先的に受給する形となりました。ただし、傷病手当金の方が金額が多かったため、最初の数ヶ月は差額分の傷病手当金も併せて受給できました。
【申請プロセス】専門家による障害年金申請サポートの実際
障害年金の申請手続きは複雑で、特にがんの抗がん剤副作用による申請は、症状の記載方法や医師との連携が重要になります。ここでは、Bさんのケースを通じて、専門家のサポートによる申請プロセスの実際をご紹介します。社会保険労務士の専門知識がどのように活かされ、受給成功につながったかを詳しく解説します。
初回相談から申請までの流れ
当事務所ではBさんからのご相談を受けた際、まず現状を詳しくお聞きしました。
初回相談では、以下のような内容を確認させていただきました:
- がんの診断日と初診日の正確な特定
- 抗がん剤治療の内容と期間(使用した薬剤名、投与回数)
- 現在の副作用の症状と日常生活への具体的な影響
- 治療経過と今後の見通し(主治医の見解)
- 加入していた年金の種類と納付状況の確認
- 現在の就労状況と収入
- 傷病手当金の受給状況
「がんで障害年金がもらえるなんて知りませんでした。でも、本当に私のような症状で認定されるのでしょうか」というBさんの不安にもお応えしながら、申請に必要な書類や手続きを詳しく説明しました。
ここでの専門家としての判断ポイントは、以下の通りです:
- 障害認定日の正確な特定:初診日から1年6ヶ月後の日付を正確に算出し、その時点での症状を確認
- 遡及請求の可能性:障害認定日から相談時点までの期間を確認し、遡及請求できる金額を試算
- 申請戦略の立案:Bさんの症状から、2級認定の可能性が高いと判断し、その方向で書類作成を進めることを決定
申請の流れを時系列で整理すると、以下のようになります:
- 初回相談(現状把握と申請戦略の検討)
- 必要書類のリストアップと取得方法の説明
- 主治医への診断書作成依頼のサポート(記載ポイントの共有)
- 病歴・就労状況等申立書の作成サポート(日常生活の困難の具体的記載)
- その他必要書類の収集・作成(受診状況等証明書、年金手帳など)
- 申請書類の最終確認(記載漏れ、矛盾点のチェック)
- 年金事務所への提出
- 審査状況の確認と必要に応じた追加対応
Bさんのケースでは、初回相談から約3週間で必要な書類を揃え、申請に至りました。がん治療中は体調の波もあるため、Bさんの体調を考慮しながら、無理のないペースで進めました。
医師の診断書取得と記載内容のポイント
今回のポイントは、医師の作成する「診断書」です。これは障害年金申請において最も重要な書類の一つです。Bさんの場合は、がん治療を担当している主治医に診断書を依頼しました。
がんの抗がん剤副作用による障害年金申請では、以下の点を診断書に記載してもらうことが重要です:
- がんの診断名、病期(ステージ)、組織型
- 手術内容と時期
- 抗がん剤の種類と投与期間、投与回数
- 副作用の具体的な症状(末梢神経障害、倦怠感など)とその程度
- 副作用による日常生活への影響の程度
- 今後の治療方針と副作用の見通し
- 就労の可否に関する医学的見解
「診断書を書いてもらう際、医師に何を伝えればいいですか?」という質問をよくいただきますが、重要なのは「日常生活の具体的な困難さを医師に正確に伝える」ことです。
当事務所では、Bさんに対して診断書作成前に主治医に以下のような内容をお伝えするようアドバイスしました:
- 手足のしびれや痛みで、ボタンがかけられない、包丁が使えないなどの具体的な困難
- パソコン操作が10分程度しかできず、事務職への復職が困難な実情
- 全身倦怠感で、家事や買い物に著しく時間がかかる、または家族の介助が必要な状況
- 感染症リスクで外出に制限がある実情
- これらの症状が治療終了後も継続している事実
主治医は治療経過は把握していても、日常生活の細かい困難までは知らないことが多いため、患者さん自身が具体的に伝えることが大切です。
さらに、当事務所では診断書作成前に主治医に対して、以下のような「診断書作成のポイント」を文書でお伝えしました:
「障害年金の審査では、日常生活動作の制限が重視されます。特に以下の点について、具体的にご記載いただけますと幸いです:
1. 末梢神経障害の程度(しびれ・痛みの範囲、感覚鈍麻の程度)
2. 巧緻動作の可否(ボタン、ファスナー、箸の使用など)
3. 全身倦怠感の程度(家事労働にかかる時間、休憩の必要性)
4. 就労能力に関する医学的見解」
このような専門的なサポートにより、審査に適した診断書を取得することができました。
病歴・就労状況等申立書の効果的な書き方
「病歴・就労状況等申立書」(通称「申立書」)は、ご本人の状況を具体的に伝えるための重要な書類です。特に抗がん剤の副作用のように、外見からは分かりにくい障害の場合、この申立書が審査の鍵を握ることもあります。
認定基準では、申立書に記載すべき内容として以下のような点が示されています:
- 発病から現在までの経過
- 医療機関での治療内容
- 日常生活の具体的な状況
- 就労状況と収入
- 家族のサポート状況
Bさんのケースでは、以下のような内容を申立書に記載しました:
- がん発見の経緯と診断時の心境
- 手術と抗がん剤治療の経過(時系列)
- 副作用が出始めた時期と症状の推移
- 仕事を続けられなくなった経緯(具体的なエピソード)
- 現在の日常生活の具体的な困難(食事、家事、外出など)
- 家族(夫)のサポート状況
- 経済的な不安と将来への心配
日常生活の困難を具体的に伝える記載例
Bさんの申立書では、以下のような具体的な記載をしました:
「抗がん剤治療開始後、手足のしびれと痛みが強くなり、当初は治療が終われば治ると思っていたが、治療終了から8ヶ月以上経った今も症状は改善していない。朝起きた時から両手足のしびれと痛みがあり、ボタンをかけるのに5分以上かかる。ファスナーの上げ下げも困難で、夫に手伝ってもらっている。包丁を使うと手が震えて危険なため、夫に料理を任せている。買い物袋を持つと手が痛くなるため、少量ずつしか買えず、週に3回以上買い物に行かなければならないが、全身倦怠感で外出自体が負担となっている。」
「パソコンのキーボード操作は10分程度が限界で、それ以上続けると手のしびれと痛みが悪化する。事務職として復職しようと試みたが、1日2時間の時短勤務でも業務を遂行することができず、3日で断念せざるを得なかった。上司や同僚には申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、体が言うことを聞かず、結局退職することになった。」
「家事も以前の3倍以上の時間がかかり、途中で休憩を挟まなければならない。洗濯物を干すだけで疲れ果て、その後は1時間ほど横になる必要がある。掃除機をかけるのも15分が限界で、部屋全体の掃除には2日かかる。料理はほとんど夫が担当しているが、夫も仕事があるため、週末は総菜や弁当に頼ることが多い。以前は料理が得意で夫に手作りの食事を作ることが楽しみだったが、今はそれができないことが本当に辛い。」
このように具体的に記載することで、審査する側に日常生活の困難さが伝わり、適切な等級判定につながります。当事務所では、長年の経験から効果的な申立書の書き方を熟知しており、お客様の状況を最も適切に伝える記載をサポートしています。
今回のポイントは、単に「困っている」と書くのではなく、「どのように困っているか」を具体的な数字やエピソードで示すことです。例えば:
- 「ボタンをかけるのに時間がかかる」→「ボタンをかけるのに5分以上かかる」
- 「パソコン操作が困難」→「パソコン操作は10分程度が限界」
- 「家事に時間がかかる」→「以前の3倍以上の時間がかかり、休憩を挟む必要がある」
このような具体性が、審査における説得力を高めます。
【申請結果】障害厚生年金2級認定と受給額の詳細
申請の結果、実際にどのくらいの年金が受給できるのか、多くの方が最も気になるポイントではないでしょうか。Bさんのケースでは、乳がんの抗がん剤副作用による障害で障害厚生年金2級の認定を受け、年額約180万円という生活を支える年金を受給できることになりました。ここでは、受給額の詳細とその生活への影響について解説します。
年額約180万円の障害年金が生活にもたらす影響
Bさんは障害厚生年金2級と認定され、年額約180万円の年金を受け取ることになりました。月額にすると約15万円です。この金額は、Bさんとご家族の生活を支える重要な経済的基盤となります。
障害厚生年金2級の受給額は、加入期間や過去の給与(報酬)によって変わります。簡単に言えば、長く働いていて給与が高かった方ほど、受給できる年金額も高くなる傾向があります。また、障害厚生年金2級には「配偶者加算」があり、生計を共にする配偶者がいる場合には加算されます。
Bさんは次のように語ります。
「年金が決まって、本当に安心しました。仕事を辞めざるを得なくなり、貯金を切り崩す生活に不安を感じていましたが、月に約15万円の年金があることで、夫の収入と合わせて何とか生活していけるという見通しが立ちました。住宅ローンの返済もあるので、この年金がなければ本当に困っていたと思います。治療に専念できる環境が整ったことが何よりありがたいです。」
障害年金のメリットは、以下の点にあります:
- 継続的な収入源として安定している(症状が続く限り支給される)
- 非課税所得であるため、受給額がそのまま手元に残る
- 他の福祉サービスと併用できる
- 経済的な安定により、治療に専念できる環境が整う
- 精神的な安心感が得られ、療養に集中できる
「非課税所得」であることも大きなメリットです。例えば手取り15万円の給与収入を得ようとすると、税金や社会保険料の負担があるため、額面では18万円以上の収入が必要になるケースもあります。障害年金は非課税のため、受給額がそのまま生活費に充てられます。
遡及支給約130万円が可能となった理由
Bさんのケースでは、年金の定期支給に加えて、約130万円の遡及支給(さかのぼっての支給)も受けることができました。これは多くの方が見落としがちな重要なポイントです。
遡及支給とは、障害認定日までさかのぼって支給される年金のことです。障害年金は、申請した日からではなく、「障害認定日」からさかのぼって最大5年間分が支給されます。
Bさんのケースでは、以下の理由で大きな遡及支給につながりました:
- 初診日から1年6ヶ月経過時点(障害認定日)の症状が認められた
- 障害認定日から申請までに約9ヶ月の期間があった
- 2級という等級で認定された
- 専門家が障害認定日時点の診断書を適切に取得した
今回のポイントは、障害認定日時点の診断書の取得です。遡及請求を行うには、障害認定日から3ヶ月以内の状態を記載した診断書が必要です。Bさんの場合、障害認定日から9ヶ月が経過していたため、通常であれば当時の診断書を取得するのは困難です。
しかし、当事務所では以下のような専門的な対応を行いました:
- 障害認定日当時のカルテや検査記録を精査
- 主治医に対して、当時の記録に基づいた診断書作成を依頼
- Bさん自身が記録していた症状日記を証拠資料として提出
この結果、障害認定日時点でも2級相当の症状があったことを証明でき、約130万円の遡及支給を受けることができました。
この遡及支給は、治療費や生活費でひっ迫した家計に大きな余裕をもたらします。Bさんは「まとまった金額が入ったことで、治療費の一部に充てることができ、また貯金を補填することもできました。何より、精神的な余裕ができたことが大きいです」と語っています。
専門家として重要なアドバイスは、「障害認定日から早めに申請することが大切」ということです。申請が遅れると、その分の年金が時効(5年)で受け取れなくなる可能性があります。年金を最大限に受け取るためにも、症状が固定したら早めに専門家に相談することをお勧めします。
抗がん剤の副作用と認定等級の関係
抗がん剤の副作用による障害は、その症状の程度によって2級または3級に認定されることが一般的です。Bさんが2級と認定されたのは、末梢神経障害と全身倦怠感の両方があり、日常生活の多くの場面で支障をきたしていたからです。
認定基準では、障害年金の等級は、主に以下のような基準で決まります:
- 2級:「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」(家庭内での軽度の活動はできるが、それ以上の活動はできない、またはこれを行うことを著しく制限される程度)
- 3級:「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度」(就労に大きな支障があるが、日常生活は概ね自立している程度)
抗がん剤の副作用と認定される可能性のある等級の関係は、おおよそ以下のようになります:
- 重度の末梢神経障害があり、全身倦怠感で日常生活に著しい制限(家事がほとんどできない、外出が困難など)→ 2級の可能性
- 中等度の副作用があり、就労に支障があるが日常生活は概ね自立→ 3級の可能性
ただし、これはあくまで目安であり、実際の認定は個々の症状や日常生活への影響度によって判断されます。例えば、副作用の程度が軽くても、心機能障害や腎機能障害などの重篤な合併症がある場合は、より高い等級になる可能性もあります。
Bさんのように複数の副作用が重なっている場合は、それらを総合的に評価して等級が決まります。今回のポイントは、「総合的に見て障害としてどれだけ日常生活に支障があるか」という点です。
当事務所では、お客様の状態を詳しくお聞きした上で、どの等級に認定される可能性があるかをアドバイスしています。症状をありのままに伝えることが適切な等級認定につながりますので、「少し良く見せよう」と思わず、日常生活の実際の困難さを正直に伝えることが大切です。
抗がん剤副作用による障害年金申請でよくある質問と回答
がん治療中の方から、障害年金の申請に関して多くの疑問や不安のお声をいただきます。ここでは、当事務所に寄せられる代表的な質問とその回答をご紹介します。あなたが抱えている疑問と同じものがあるかもしれません。専門家の立場から、わかりやすく解説します。
抗がん剤治療が終了しても副作用が続く場合は申請できる?
「抗がん剤治療は終わったけれど、副作用が続いています。これでも障害年金の対象になりますか?」という質問をよくいただきます。
答えは「はい、対象になります」。認定基準では、重要なのは現在の障害の状態であると定められています。抗がん剤治療が終了していても、副作用が継続し日常生活に著しい支障がある場合は、障害年金の対象となります。
実際、Bさんのケースでも、抗がん剤治療は終了していましたが、末梢神経障害と全身倦怠感が持続しており、日常生活に著しい制限が認められたため、障害年金2級の認定を受けることができました。
抗がん剤の副作用は、治療終了後も長期間続くことが知られています。特に以下のような副作用は、治療終了後も継続することが多いです:
- 末梢神経障害(手足のしびれ、痛み):タキサン系、プラチナ系の抗がん剤で多い
- 心機能障害:アントラサイクリン系の抗がん剤で多い
- 腎機能障害:プラチナ系の抗がん剤で多い
- 慢性的な倦怠感:多くの抗がん剤で見られる
- 認知機能の低下(ケモブレイン):多くの抗がん剤で見られる
これらの症状が日常生活に支障をきたしている場合は、障害年金の申請を検討すべきです。治療終了から数ヶ月経っても改善しない場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。
がんの再発や転移があった場合、等級は変わる?
「障害年金を受給中にがんが再発したり転移したりした場合、等級は変わりますか?」というご質問もよくいただきます。
障害年金は定期的な「障害状態確認」によって継続の可否や等級が見直されます。がんの再発や転移により、障害の状態が悪化した場合は、等級が上がる可能性があります。逆に、治療により状態が改善した場合は、等級が下がることもあります。
認定基準では、重要なポイントとして以下のような点が示されています:
- 障害の状態が悪化した場合は「額改定請求」を行うことができる
- 額改定請求は、原則として障害年金の受給権を取得してから1年を経過した日以降に行える
- 定期的な障害状態確認届(診断書)の提出時に、正確な状態を報告することが大切
- 悪化した場合は、次回の定期提出を待たずに額改定請求を検討すべき
がんの治療は長期にわたることが多く、状態も変化します。その時々の状態に応じて、適切な等級で年金を受給できるよう、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
抗がん剤以外の治療(手術、放射線など)も障害年金の対象になる?
「抗がん剤だけでなく、手術や放射線治療の後遺症でも障害年金は受給できますか?」というご質問もよくあります。
はい、がん治療全般による障害が対象となります。認定基準では、具体的には以下のような障害が示されています:
- 人工肛門造設(ストーマ):造設日から6ヶ月経過で3級以上
- 人工膀胱造設:造設日から6ヶ月経過で3級以上
- 喉頭全摘出:摘出日から3級以上
- 手術による機能障害(切断、臓器摘出など)
- 放射線治療による後遺症(皮膚障害、臓器障害など)
- 乳房切除による上肢の機能障害(リンパ浮腫など)
特に人工肛門や人工膀胱の場合は、造設日から6ヶ月経過した時点で障害認定日となり、通常より早く申請できるというメリットがあります。これは抗がん剤の副作用とは異なる特例です。
また、乳がんの手術後にリンパ浮腫などの上肢機能障害が生じた場合も、障害年金の対象となることがあります。複数の障害が重なっている場合は、それらを総合的に評価して等級が決まります。
がんで障害年金を受給しながら働くことはできる?
「障害年金を受給しながら、体調の良い時だけ働くことはできますか?」というご質問もよくいただきます。
障害年金2級や3級を受給している方が、体調に応じて働くことは可能です。ただし、認定基準では以下の点に注意が必要とされています:
- 障害年金は「労働能力の喪失または制限」に対して支給されるものです
- フルタイムで問題なく働ける状態になった場合は、等級変更や支給停止の可能性があります
- 一方で、短時間勤務やパート勤務程度であれば、多くの場合問題ありません
- 重要なのは「障害の状態」であり、「労働の有無」ではありません
- 就労による収入が多額になった場合でも、障害の状態が変わらなければ年金は継続されます
Bさんのケースでも、「体調の良い日は少しでも働きたい」という希望がありました。当事務所では、「無理のない範囲での就労は問題ありません。ただし、フルタイムで問題なく働ける状態になった場合は、その旨を年金事務所に報告する必要があります」とアドバイスしました。
障害年金の受給は、「働けない」ことを強制するものではありません。体調に応じて無理のない範囲で就労することは、むしろ社会復帰や生活の質の向上につながる良いことです。ただし、定期的な障害状態確認の際には、就労状況を正確に報告することが大切です。
今回のポイントは、「障害の状態が続いている限り、年金は継続される」ということです。就労の有無よりも、日常生活にどの程度の制限があるかが重要な判断基準となります。
まとめ:がんの抗がん剤副作用による経済的支援を確実に受け取るために
辛い治療を乗り越えてこられたあなた、そしてご家族の皆様、本当にお疲れ様です。がんと診断されてから今日まで、どれほど大変な日々を過ごされてきたことでしょう。抗がん剤の副作用で日常生活に制限を受けながらも、毎日を懸命に生きていらっしゃる姿は、本当に尊いものです。
障害年金は、そんなあなたとご家族にとって、生活を支える重要な経済的支援です。Bさんのケースでは、乳がんの抗がん剤副作用による末梢神経障害と全身倦怠感で障害厚生年金2級を取得し、年額約180万円、遡及額約130万円という経済的支援を受けることができました。この事例が示すように、適切な申請と専門的なサポートにより、将来の生活への大きな安心につながるのです。
がんと診断されることは、誰にとっても人生の大きな転機です。治療やその副作用に苦しむ中で、経済的な不安を抱えることは、心身ともに大きな負担となります。「こんなに辛いのに、お金の心配までしなければならないなんて」と、やりきれない思いを抱えていらっしゃるかもしれません。
しかし、障害年金という公的支援制度があることを知っていただき、適切に利用することで、治療に専念できる環境を整えることができます。一人で悩まず、まずは専門家に相談してみてください。あなたの辛さを理解し、寄り添いながら、最適なサポートをさせていただきます。
Bさんのケースのポイントを振り返ると:
- 抗がん剤の副作用が治療終了後も継続し、日常生活に著しい支障がある状態であることを明確にした
- 医師の診断書や申立書に日常生活の困難さを具体的に記載した(ボタンがかけられない、包丁が使えないなど)
- 専門家のサポートにより、書類作成や申請手続きの負担を軽減できた
- 遡及請求のための障害認定日時点の診断書を適切に取得できた
- 結果として、障害厚生年金2級という等級が認定された
- 遡及支給も含め、経済的に大きな支援を受けることができた
障害年金の申請をご検討の方々へのアドバイスとして、以下の点が特に重要です:
1. 早めの情報収集と相談
がんと診断され、抗がん剤治療を受けることになったら、早めに障害年金について情報収集し、専門家に相談することをお勧めします。初診日から1年6ヶ月が経過した時点で申請可能となりますので、その前に準備を始めておくとスムーズです。
2. 医師との良好な関係構築
診断書を作成する医師に、日常生活の困難さをしっかり伝えることが大切です。「病院では頑張って元気に振る舞ってしまう」という方も多いですが、実際の日常生活の困難さを正直に伝えることが、適切な診断書作成につながります。医師はあなたの味方です。遠慮せずに、辛いことは辛いと伝えてください。
3. 具体的な症状と生活への影響の記録
日常生活でどのような困難があるか、具体的に記録しておくと、申立書の作成時に役立ちます。特に抗がん剤の副作用は日によって波があることも多いため、辛い日の状況を記録しておくことをお勧めします。メモやスマートフォンのメモ帳に記録しておくだけでも、後で大きな助けになります。
4. 関連制度との併用検討
障害年金だけでなく、傷病手当金、高額療養費制度、障害者手帳など、関連する制度も併せて検討することで、より充実したサポートを受けられます。使える制度は全て活用して、少しでも負担を軽減しましょう。
がん治療は長い道のりになることもあります。しかし、障害年金という安定した収入があれば、経済的な不安を軽減し、治療に専念できます。また、将来の生活設計も立てやすくなるでしょう。何より、「支えてくれる制度がある」という安心感が、心の支えになります。
当事務所では、これまで多くのがん患者の方の障害年金申請をサポートしてきました。Bさんのように、適切な等級認定と遡及支給を受けられるよう、一人ひとりの状況に合わせたサポートを行っています。障害年金の申請に不安を感じている方は、まずは専門家に相談することをお勧めします。
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当事務所では、障害年金申請のプロフェッショナルとして、以下のようなサポートを提供しています:
丁寧なヒアリングと状況分析
あなたやご家族の状況を詳しくお聞きし、障害年金受給の可能性を分析します。医療記録や治療履歴などから、初診日や障害認定日を正確に把握し、最適な申請タイミングをアドバイスします。
申請書類の作成支援
審査のポイントを押さえた効果的な申請書類の作成をサポートします。特に「病歴・就労状況等申立書」は、日常生活の困難さを具体的に伝えるよう工夫しています。あなたの辛さを、審査する側に正確に伝えられる文章にいたします。
医師との連携
診断書の記載内容について必要に応じて医師と連携し、障害の状態が適切に反映されるようサポートします。医師に何をどう伝えればいいかわからない時も、私たちがアドバイスいたします。
申請手続きの代行
実際の申請手続きを代行し、煩雑な書類提出や年金事務所とのやり取りの負担を軽減します。がん治療中は体調の波もあるため、できるだけ負担を少なくすることを心がけています。辛い時は無理をせず、私たちに任せてください。
「障害年金の制度がよくわからない」「自分のケースでは受給できるのか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。Bさんのように乳がんの抗がん剤副作用で障害厚生年金2級を取得し、年額180万円の安定した収入を確保できた事例をはじめ、様々ながん患者の方のケースに対応してきた経験があります。
無料相談の申し込み方法
当事務所では、障害年金に関する初回相談を無料で承っています。相談方法は、ご状況やご希望に合わせて選べます。体調の良い時間帯、ご都合の良い方法でお気軽にご連絡ください。
電話での相談
お電話一本で、障害年金の専門家に直接相談できます。急ぎのご質問や、まずは簡単に状況を確認したいという方に適しています。声を聞きながら相談できるので、不安な気持ちも和らぐかもしれません。
相談専用ダイヤル:050-7124-5884
受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝は要予約)
「どんな些細な質問でも大丈夫ですか?」というご心配をいただくこともありますが、障害年金に関することであれば、どんな小さな疑問でもお気軽にお電話ください。「こんなことで電話していいのかな」と躊躇される必要は全くありません。
お問い合わせフォームからの相談
ウェブサイトのお問い合わせフォームから、24時間いつでも相談を受け付けています。体調の良い時間帯にゆっくりと状況を記入できるため、がん治療中の方にも便利です。
お問い合わせフォーム:https://nenkin.srkobe.com/contact/
フォームに必要事項を記入し送信いただければ、担当者から24時間以内にご連絡いたします。夜中や早朝に思いついたことでも、フォームならいつでも送信できます。
メールでの相談
メールでも相談を受け付けています。文章でじっくりと状況を説明したい方、資料を添付して相談したい方に適しています。
メールアドレス:mail@srkobe.com
できるだけ詳しく状況をお知らせいただければ、的確なアドバイスをお返しいたします。検査結果や診断書のコピーなどがあれば、添付していただくことも可能です。
訪問相談
外出が困難な方、入院中の方のために、ご自宅や入院先への訪問相談も無料で行っています。がん治療中で外出に不安がある方、体調の波があって外出が難しい方に喜ばれているサービスです。
- 兵庫県内および関西エリアに対応(それ以外の地域もご相談ください)
- 事前予約制:ご希望の日時と場所をお知らせください
- 必要書類の確認やその場での申請アドバイスが可能
- ご家族のみの相談も可能です
「入院中でも相談できますか?」というご質問もいただきますが、病院での面会が可能であれば、病室にもお伺いします。治療のスケジュールに合わせて調整いたしますので、遠慮なくお申し付けください。
障害年金の申請は、あなたとご家族の生活を支える大切な手続きです。「まだ決めていない」「とりあえず話を聞いてみたい」という段階でも構いません。あなたの状況に合わせて、最適なアドバイスをさせていただきます。
Bさんのケースのように、がんの抗がん剤副作用で年額180万円の障害厚生年金2級を取得できる可能性があります。将来への不安を少しでも解消し、安定した生活を取り戻すための第一歩として、ぜひ無料相談をご利用ください。
あなたの力になりたい。その一心で、私たちは日々業務に取り組んでいます。まずは一度、お話を聞かせてください。
【個人情報の取り扱いについて】
本事例は、以下の方針に基づき掲載しております:
- 依頼者様の同意のもと、情報を公開しています
- プライバシー保護の観点から、個人が特定されない形に年齢、職業、経過等の詳細を一部加工しています
- 事例の本質的な部分は正確に保持しています
- 記載している給付額は一例であり、加入期間や保険料納付状況等により個人差があります
当センターでは、依頼者様の個人情報保護を最優先としつつ、障害年金の申請を検討されている方々へ、参考となる情報を提供できるよう努めています。


