障害年金の「障害認定日」という言葉に戸惑っていませんか?
障害年金について調べていると、「障害認定日」という言葉が何度も出てきます。「障害認定日とは何のことだろう」「自分の場合はいつになるのだろう」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
初診日、障害認定日、遡及請求…専門用語が多くて、何から理解すればいいのか分からなくなってしまいますよね。特に初めて障害年金の申請を検討される方にとっては、制度全体が複雑に感じられるかもしれません。
実は、障害認定日は障害年金の申請において非常に重要な日です。この日を正しく理解することで、次のようなことが分かります。
- いつから障害年金を申請できるのか
- さかのぼって年金を受け取れる可能性があるか
- どの時期の診断書を準備すればいいのか
- 1年6ヶ月を待たなくてもいいケースに該当するか
このページでは、障害年金の障害認定日について、初めての方にも分かりやすく解説します。専門用語はできるだけ平易な言葉に置き換えて、段階的に理解できるようにお伝えしていきます。
障害年金についてもっと詳しく知りたい方、ご自身のケースについて相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。神戸の障害年金専門社労士が、あなたの疑問にお答えします。
障害認定日とは?障害年金申請の「スタートライン」となる日
まず、障害認定日とは何かを分かりやすく説明します。専門的な言葉で言うと「障害の程度を判定する基準となる日」ですが、もう少し簡単に言い換えると、障害認定日とは「この日から障害年金を申請できますよ」という日のことです。
マラソンに例えると、障害認定日は「スタートライン」のようなものです。このスタートラインに到達して初めて、障害年金の申請というレースをスタートできるのです。
障害認定日の定義を分かりやすく説明
障害年金は、病気やケガをした直後にすぐ申請できるわけではありません。なぜなら、病気やケガの直後は治療によって症状が改善する可能性があるからです。
そのため、一定期間治療を続けてもなお症状が残っている場合に、その障害の状態を判定するという考え方になっています。その「判定する日」が障害認定日です。
具体的には、障害認定日には次のような意味があります。
- 障害の程度(1級・2級・3級)を判定する基準となる日
- この日の状態が等級に該当すれば、障害年金が支給される
- この日以降であれば、障害年金の申請が可能になる
言い換えると、障害認定日は「障害の程度を測る日」であり、同時に「申請できるようになる日」でもあるのです。
なぜ障害認定日が重要なのか?3つの理由
障害認定日を正しく理解することは、障害年金の申請において非常に重要です。その理由を3つ説明します。
理由1:申請のタイミングが分かる
障害認定日にならないと、障害年金の申請はできません。逆に言えば、障害認定日に到達すれば申請が可能になります。「自分はいつから申請できるのか」を知るために、障害認定日を把握することが必要です。
もし障害認定日より前に申請してしまうと、「まだ申請できる時期ではありません」として受理されないことになります。
理由2:さかのぼって受給できるかが決まる
障害認定日時点の障害の状態が等級に該当していれば、障害認定日までさかのぼって障害年金を受け取ることができます。これを「遡及請求」と言います。
たとえば、障害認定日が3年前だった場合、障害認定日時点の診断書を提出できれば、最大で過去3年分の年金をまとめて受け取れる可能性があるのです。ただし、年金には5年の時効があるため、さかのぼれるのは最大5年分までとなります。
理由3:必要な診断書の時期が決まる
障害年金の申請には診断書が必要ですが、「いつの時点の診断書」を取得すればいいのかは、障害認定日によって決まります。
基本的には、障害認定日の前後3ヶ月以内に作成された診断書が必要になります。障害認定日を正しく把握していないと、間違った時期の診断書を取得してしまい、申請がスムーズに進まないこともあります。
初診日と障害認定日の関係
障害認定日を理解する上で、もう一つ重要な日があります。それが「初診日」です。
初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診療を受けた日のことです。この初診日を起点として、障害認定日が決まる仕組みになっています。
つまり、障害認定日を知るためには、まず初診日がいつなのかを明らかにする必要があります。初診日が1日でもずれると、障害認定日もずれてしまうため、初診日の証明は非常に重要です。
初診日と障害認定日の違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 初診日 | 障害認定日 |
|---|---|---|
| 意味 | 病気やケガで初めて医師の診療を受けた日 | 障害の程度を判定する基準日 |
| 役割 | 計算の起点・受給要件の判定基準 | 申請できる日・支給開始の基準 |
| 証明方法 | 受診状況等証明書・診察券など | 障害認定日前後3ヶ月の診断書 |
| 重要性 | すべての計算の起点となる最重要の日 | 申請のタイミングと遡及の可否を決める日 |
このように、初診日と障害認定日は別の概念ですが、密接に関係しています。初診日が決まれば、障害認定日も計算できるようになります。
[内部リンク:初診日について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください]
障害認定日はいつになる?原則の計算方法
それでは、障害認定日は具体的にいつになるのでしょうか。ここでは原則的な考え方と、実際の計算方法について説明します。
原則の考え方:初診日から1年6ヶ月経過した日
障害年金の障害認定日は、原則として「初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日」と定められています。
たとえば、初診日が2023年6月15日であれば、そこから1年6ヶ月後の2024年12月15日が障害認定日となります。この日以降であれば、障害年金の申請が可能になるのです。
なぜ1年6ヶ月なのか?
「なぜ1年6ヶ月という期間なのだろう」と疑問に思われる方も多いでしょう。この期間には、制度上の重要な意味があります。
病気やケガをした直後は、治療によって症状が改善する可能性があります。手術や投薬、リハビリテーションなどの治療を続けることで、日常生活に支障がない程度まで回復するケースも少なくありません。
障害年金は「治療を行ってもなお、日常生活や労働に制限が残る障害」を対象とする制度です。そのため、ある程度の期間治療を続けた後の状態で判定する必要があるのです。
この「治療の効果を見極める期間」として設定されているのが、1年6ヶ月という期間です。医学的な経験則として、多くの傷病において1年6ヶ月程度の治療期間を経れば、症状がある程度安定し、今後の見通しがつきやすくなると考えられています。
つまり、1年6ヶ月という期間は「回復の可能性を見守る期間」であり、「症状が固定するまでの期間」という意味があるのです。
具体的な計算例で理解する
実際に障害認定日がいつになるのか、具体例を見ながら理解しましょう。
例1:基本的なケース
- 初診日:2023年6月15日
- 計算:2023年6月15日+1年=2024年6月15日
- 計算:2024年6月15日+6ヶ月=2024年12月15日
- 障害認定日:2024年12月15日
この場合、2024年12月15日以降であれば障害年金の申請が可能です。また、この日の前後3ヶ月以内(2024年9月15日〜2025年3月15日)に作成された診断書があれば、障害認定日請求(遡及請求)ができます。
例2:月末のケース
- 初診日:2023年1月31日
- 計算:2023年1月31日+1年=2024年1月31日
- 計算:2024年1月31日+6ヶ月=2024年7月31日
- 障害認定日:2024年7月31日
月末が初診日の場合でも、そのまま月数を数えて計算します。7月は31日まであるため、この場合は7月31日が障害認定日となります。
例3:2月生まれの特殊なケース
- 初診日:2024年8月31日
- 計算:2024年8月31日+1年=2025年8月31日
- 計算:2025年8月31日+6ヶ月=2026年2月
ここで注意が必要です。2026年2月は28日(または29日)までしかありません。この場合、障害認定日は2月の最終日、つまり2026年2月28日(うるう年なら2月29日)となります。
応当日(対応する日)がない場合は、その月の末日が障害認定日となるという考え方です。
自分の障害認定日を計算する方法
ここまでの説明を踏まえて、ご自身の障害認定日を計算する手順をまとめます。
ステップ1:初診日を確認する
まず、障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診療を受けた日を確認します。診察券、お薬手帳、受診状況等証明書などで確認できます。
ステップ2:初診日に1年を加える
初診日の1年後の日付を計算します。たとえば初診日が2023年6月15日なら、1年後は2024年6月15日です。
ステップ3:さらに6ヶ月を加える
ステップ2で計算した日付に、さらに6ヶ月を加えます。2024年6月15日の6ヶ月後は、2024年12月15日となります。
ステップ4:この日が障害認定日
ステップ3で計算した日が、あなたの障害認定日です。この日以降であれば、障害年金の申請が可能になります。
以下のフローチャートも参考にしてください。
| 手順 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1 | 初診日を確認 | 2023年6月15日 |
| 2 | 初診日+1年 | 2024年6月15日 |
| 3 | さらに+6ヶ月 | 2024年12月15日 |
| 4 | これが障害認定日 | 2024年12月15日 |
計算する際の注意点
障害認定日を計算する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
注意点1:日数ではなく月数で計算する
障害認定日は「初診日から起算して1年6ヶ月」であり、これは日数(547日や548日)ではなく月数で計算します。そのため、初診日が何月何日であっても、その日付を基準に月を数えていきます。
注意点2:応当日がない場合は月末
前述の例のように、計算した結果の月に対応する日がない場合(例:8月31日の6ヶ月後は2月31日だが、2月は28日または29日まで)は、その月の末日が障害認定日となります。
注意点3:民法の規定に基づく
期間の計算方法は、民法第143条(期間の計算)の規定に基づいています。初日は算入せず、翌日から起算するという原則がありますが、年金制度では「初診日から起算して」という表現が使われ、実務上は上記の計算方法で運用されています。
注意点4:初診日の証明が最優先
障害認定日を正確に計算するためには、まず初診日を正確に証明することが必要です。初診日が1日でもずれると、障害認定日もずれてしまいます。カルテ、診察券、お薬手帳など、初診日を証明できる資料を確認しておきましょう。
もし初診日の証明が難しい場合でも、諦める必要はありません。当事務所では初診日の調査についても多くのサポート実績があります。
[内部リンク:初診日の証明方法について詳しくはこちら]
障害認定日の特例|1年6ヶ月より早く申請できるケースとは
原則では初診日から1年6ヶ月後が障害認定日となりますが、一定のケースでは1年6ヶ月を待たずに申請できる「特例」が認められています。
この特例に該当する方は、通常より早く障害年金を受給できる可能性があります。ただし、該当するケースは限定的で、当事務所のご相談者の中でも約5%程度です。それでも、該当する場合は大きなメリットがあるため、しっかり理解しておきましょう。
特例が認められる考え方
特例とは、初診日から1年6ヶ月が経過する前に「傷病が治った」と認定される場合のことです。
ここで注意が必要なのは、障害年金における「治った」という言葉の意味です。一般的に「治った」と聞くと、完全に元通りになったというイメージを持たれるかもしれません。しかし、障害年金制度では少し違う意味で使われます。
障害年金における「治った」とは、次のような状態を指します。
- 症状が固定し、これ以上の治療効果が期待できない状態に至った
- 医学的な観点から、機能の回復がほとんど望めないと認められる状態
たとえば、交通事故で足を切断した場合、切断した足が元に戻ることはありません。この場合、切断した時点で「症状が固定した」と考えられます。これが「治った」という状態です。
同様に、人工透析を始めた場合、透析を続けながら生活することになり、腎機能が元通りに回復する見込みは一般的にありません。このような場合も「症状が固定した」と判断されるのです。
つまり、特例が認められるのは「これ以上良くも悪くもならない状態が確定した」と医学的に認められる場合なのです。
主な特例の一覧
それでは、具体的にどのようなケースで特例が認められるのか、主なものを一覧で見ていきましょう。
| 医療行為・状態 | 障害認定日(特例) | 障害等級の目安 |
|---|---|---|
| 人工透析療法 | 透析を受け始めてから3ヶ月を経過した日 | 2級 (重症の場合1級も) |
| 心臓ペースメーカー 植込み型除細動器(ICD) 人工弁 |
装着した日 | 3級 |
| CRT(心臓再同期医療機器) CRT-D(除細動器機能付き) |
装着した日 | 重症心不全の場合2級 |
| 人工関節・人工骨頭 | 挿入置換した日 | 3級 (上肢・下肢の3大関節) |
| 人工肛門(ストーマ) 尿路変更術 |
造設または手術をした日から6ヶ月を経過した日 | 3級 (組み合わせで2級も) |
| 新膀胱の造設 | 造設した日 | 3級 |
| 肢体の切断 | 切断した日 | 1肢で2級 2肢で1級 |
| 在宅酸素療法 | 開始した日(常時使用の場合) | 3級 (24時間使用) |
| 咽頭全摘出 | 摘出した日 | 2級 |
| 脳血管疾患による機能障害 | 初診日から6ヶ月経過した日以後に症状固定と認められたとき | 個別判断 |
| 遷延性植物状態 | その状態に至った日から3ヶ月を経過した日以後 | 1級 |
それぞれの特例について詳しく
主な特例について、もう少し詳しく説明します。
人工透析療法
慢性腎不全などで人工透析を開始した場合、透析を受け始めてから3ヶ月を経過した日が障害認定日となります。ただし、その日が初診日から1年6ヶ月より後であれば、原則通り初診日から1年6ヶ月後が障害認定日となります。
障害等級は原則として2級ですが、透析中の検査成績や日常生活の状況によっては1級と認定されることもあります。
心臓ペースメーカーなど
心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、人工弁を装着した日が障害認定日となります。これらは装着した時点で症状が固定したと見なされるため、装着日が障害認定日です。
障害等級は原則として3級となります。ただし、厚生年金に加入していない方(国民年金のみ)の場合、3級の制度がないため、より重い2級に該当しない限り年金は支給されません。
人工関節・人工骨頭
変形性股関節症や変形性膝関節症などで人工関節を挿入した場合、挿入置換した日が障害認定日となります。障害等級は原則として3級です。
ただし、両側の股関節や膝関節に人工関節を入れた場合など、複数の関節に障害がある場合は、より上位の等級になることもあります。
人工肛門(ストーマ)
大腸がんなどで人工肛門を造設した場合、造設日から6ヶ月を経過した日が障害認定日となります。人工肛門だけであれば原則3級ですが、尿路変更術も併せて行っている場合など、複数の障害がある場合は2級になることもあります。
脳血管疾患による機能障害
脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患で身体に麻痺が残った場合、初診日から6ヶ月経過した日以後に、医学的な観点からこれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められたときに障害認定日となります。
ただし、「6ヶ月経過すれば必ず認定される」わけではありません。医師が診断書に「症状固定」と記載しても、実際の審査では症状固定と認められないケースも近年増えています。この点は注意が必要です。
特例を適用する際の重要な注意点
特例に該当する可能性がある方は、次の点に注意してください。
注意点1:特例の日が1年6ヶ月より後なら原則が優先
たとえば、初診日から2年後に人工透析を開始した場合を考えてみましょう。
- 初診日:2022年1月1日
- 原則の障害認定日:2023年7月1日(初診日から1年6ヶ月後)
- 透析開始:2024年1月1日
- 透析開始から3ヶ月後:2024年4月1日
この場合、特例による障害認定日(2024年4月1日)は原則の障害認定日(2023年7月1日)より後になります。このようなときは、原則通り2023年7月1日が障害認定日となります。特例は「1年6ヶ月より早くなる場合」にのみ適用されるのです。
注意点2:症状固定の判断は厳格
「症状固定」の判断は、医師の診断書の記載内容や、障害認定基準に基づいて厳格に行われます。自己判断で「症状が固定した」と考えても、認定されない可能性があります。
特に脳血管疾患の場合、以前は症状固定と認められやすかったのですが、近年は審査が厳しくなり、認められないケースも増えています。
注意点3:診断書の記載が重要
特例を適用するためには、医師が診断書に「いつ手術をしたか」「いつから透析を始めたか」などを正確に記載する必要があります。診断書を依頼する際は、特例に該当する可能性があることを医師に伝え、適切な記載をしてもらうことが大切です。
注意点4:該当するか不明な場合は専門家へ
ご自身のケースが特例に該当するかどうか判断に迷う場合は、専門家に相談することをお勧めします。特に、複数の障害がある場合や、症状固定の判断が微妙な場合は、専門的な知識が必要になります。
当事務所では、障害年金に関する様々なサポートを行っています
- 受給可能性の診断(無料相談)
- 初診日の調査・証明サポート
- 医師との診断書作成に関する連携
- 病歴・就労状況等申立書の作成代行
- 不支給決定後の再申請・審査請求
神戸・兵庫県で多数の申請サポート実績があります。特例に該当するか分からない、自分のケースではどうなるのか知りたいという方は、お気軽にご相談ください。詳しくはこちら
20歳前に初診日がある場合の障害認定日
ここまで一般的な障害認定日の考え方を説明してきましたが、20歳前に初診日がある場合は、少し特別な扱いとなります。発達障害、知的障害、先天性の疾患などでは、このケースに該当することがあります。
20歳前傷病とは
20歳前傷病とは、国民年金に加入する前の20歳未満の時期に、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた場合のことを指します。
日本の年金制度では、原則として20歳から国民年金に加入します。しかし、病気やケガは20歳前にも起こりえます。このような場合に備えて、20歳前に発病した方についても障害基礎年金を受給できる制度が設けられています。
ただし、20歳前傷病による障害基礎年金には、通常の障害年金とは異なる点がいくつかあります。
- 保険料の納付要件が不要(20歳前は年金制度に未加入のため)
- 障害基礎年金のみが対象(障害厚生年金はない)
- 所得制限がある(一定以上の所得があると支給停止または減額)
20歳前傷病の障害認定日の考え方
20歳前に初診日がある場合、障害認定日は次のように決まります。
パターン1:初診日から1年6ヶ月後が20歳より前の場合
原則通りに計算すると、初診日から1年6ヶ月後がまだ20歳に達していない場合は、20歳に到達した日(20歳の誕生日の前日)が障害認定日となります。
年金制度に加入していない期間に障害年金を支給することはできないため、年金制度に加入する20歳になるまで待つ必要があるのです。
具体例:
- 生年月日:2005年3月15日
- 初診日:2020年6月1日(15歳のとき)
- 初診日から1年6ヶ月後:2021年12月1日(16歳)
- 20歳到達日:2025年3月14日
- 障害認定日:2025年3月14日
この場合、実際に障害認定日となるのは20歳に達した日です。初診日から1年6ヶ月後ではなく、20歳の誕生日の前日が障害認定日となります。
パターン2:初診日から1年6ヶ月後が20歳以降の場合
初診日から1年6ヶ月後がすでに20歳を過ぎている場合は、原則通り初診日から1年6ヶ月後が障害認定日となります。
具体例:
- 生年月日:2005年3月15日
- 初診日:2024年1月1日(18歳のとき)
- 初診日から1年6ヶ月後:2025年7月1日(20歳)
- 20歳到達日:2025年3月14日
- 障害認定日:2025年7月1日
この場合、原則通り初診日から1年6ヶ月後が障害認定日となります。20歳到達日ではありません。
簡単な判別方法
20歳前傷病の障害認定日を判別するには、次のように考えると分かりやすいでしょう。
- 初診日から1年6ヶ月後の日付を計算する
- その日が20歳より前か、20歳以降かを確認する
- 20歳より前なら→20歳到達日が障害認定日
- 20歳以降なら→初診日から1年6ヶ月後が障害認定日
つまり、「原則の障害認定日」と「20歳到達日」のうち、遅い方が実際の障害認定日となります。
| 初診日から1年6ヶ月後 | 20歳到達日 | 実際の障害認定日 |
|---|---|---|
| 16歳(20歳より前) | 20歳 | 20歳到達日 |
| 20歳6ヶ月(20歳より後) | 20歳 | 初診日から1年6ヶ月後 |
なお、20歳前に厚生年金保険に加入していた場合(働いていた場合)は、通常の障害厚生年金の対象となり、20歳前傷病の扱いにはなりません。
[内部リンク:20歳前傷病による障害基礎年金について詳しくはこちら]
障害認定日を過ぎてしまった…今からでも申請できる?
「障害認定日がずいぶん前だった」「もう何年も経っている」という方もいらっしゃるでしょう。障害認定日を過ぎてしまった場合、障害年金はもう受け取れないのでしょうか。
答えは「いいえ」です。障害認定日を過ぎていても、障害年金の申請は可能です。ここでは、障害認定日を過ぎた場合の申請方法について説明します。
結論:障害認定日を過ぎても申請できます
まず、大切なことをお伝えします。障害認定日を過ぎていても、障害年金の申請は可能です。
障害認定日とは「この日から申請できる」という日であり、「この日までに申請しないといけない」という期限ではありません。したがって、障害認定日が数年前であっても、今から申請することができます。
ただし、申請の方法によって、受け取れる年金額や支給開始時期が変わってきます。主に「遡及請求(障害認定日請求)」と「事後重症請求」の2つの方法があります。
遡及請求(障害認定日請求)とは
遡及請求とは、障害認定日時点の診断書を添付して申請し、障害認定日までさかのぼって障害年金を受け取る方法です。
遡及請求の仕組み
障害認定日時点の障害の状態が等級に該当していれば、障害認定日の翌月分からさかのぼって年金が支給されます。たとえば、障害認定日が5年前であれば、最大5年分の年金をまとめて受け取ることができます。
具体例で考えてみましょう
- 初診日:2020年1月15日
- 障害認定日:2021年7月15日
- 申請日:2025年12月
この場合、障害認定日時点(2021年7月15日の前後3ヶ月以内)の診断書を取得できれば、2021年8月分からさかのぼって年金を受け取れる可能性があります。
障害基礎年金2級(令和7年度の金額で年額831,700円、約83万円)の場合、約4年4ヶ月分で約360万円をまとめて受け取れることになります。
遡及請求の条件
- 障害認定日前後3ヶ月以内に作成された診断書が取得できること
- その診断書に記載された症状が、障害等級に該当すること
- 障害認定日当時のカルテや医療記録が残っていること(診断書作成のため)
5年の時効について
年金の請求権には5年の時効があります。したがって、障害認定日が10年前であっても申請は可能ですが、実際に受け取れるのは直近5年分までとなります。
たとえば、障害認定日が2018年1月で、2025年12月に申請した場合、2020年12月分から2025年11月分までの5年分を受け取ることができます。2018年から2020年の約2年分は時効により受け取ることができません。
これが、「早めの申請が大切」と言われる理由です。障害認定日から時間が経つほど、時効で受け取れない年金が増えてしまうのです。
事後重症請求とは
事後重症請求とは、障害認定日時点では障害の程度が軽かったが、その後症状が悪化した場合、または障害認定日時点の診断書が取得できない場合に利用する申請方法です。
事後重症請求の仕組み
現在の障害の状態が等級に該当していれば、申請した月の翌月分から障害年金が支給されます。障害認定日までさかのぼることはできません。
具体例で考えてみましょう
- 障害認定日:2021年7月15日
- 申請日:2025年12月
事後重症請求の場合、2026年1月分から年金が支給されます。2021年から2025年までの過去の分は受け取ることができません。
事後重症請求を選ぶケース
- 障害認定日時点の診断書が取得できない(カルテが廃棄されている、転院が多いなど)
- 障害認定日時点では症状が軽く、等級に該当しなかった
- 障害認定日時点は治療していなかった(受診の記録がない)
事後重症請求の期限
事後重症請求には期限があります。65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。65歳を過ぎると、原則として事後重症請求はできなくなりますので、注意が必要です。
どちらを選ぶべきか?判断のポイント
遡及請求と事後重症請求、どちらを選ぶべきかは、次のポイントで判断します。
| 判断ポイント | 遡及請求が有利 | 事後重症請求を検討 |
|---|---|---|
| 障害認定日時点の診断書 | 取得できる(カルテが残っている) | 取得できない(カルテ廃棄など) |
| 障害認定日時点の症状 | 等級に該当する程度だった | 軽度で該当しなかった |
| 障害認定日時点の受診状況 | 継続的に通院していた | 通院していなかった |
| 過去の年金額 | まとまった金額を受け取りたい | 今後の分を確実に受け取りたい |
ただし、この判断は専門的な知識が必要です。一見すると事後重症しか選択肢がないように思えても、工夫次第で遡及請求が可能になるケースもあります。
当事務所では、カルテが廃棄されているケースや、転院が多く初診日の証明が難しいケースでも、様々な方法を検討し、できる限り有利な申請をサポートしています。
実際の事例:障害認定日から3年後の申請で遡及に成功
たとえば、当時通院していた病院がすでに閉院してしまい、カルテも残っていないというケースでも、お薬手帳、診察券、他の医療機関の記録などを丁寧に収集することで、障害認定日時点の状態を証明し、遡及請求に成功した事例があります。
「もう無理だろう」と諦める前に、まずは専門家にご相談ください。
障害認定日に関するよくある質問
障害認定日について、読者の皆さまからよくいただく質問をまとめました。
Q1:障害認定日に病院を受診していなかったのですが、申請できますか?
A:障害認定日当日に受診していなくても大丈夫です。障害認定日の前後3ヶ月以内(つまり障害認定日の3ヶ月前から3ヶ月後まで)に受診していれば、その時の診断書で申請できます。
たとえば、障害認定日が2024年6月15日の場合、2024年3月15日から2024年9月15日までの間に受診していれば、その診断書で遡及請求が可能です。
ただし、障害認定日の前後3ヶ月間に一度も受診していなかった場合は、障害認定日時点の診断書を取得することが難しくなります。その場合は事後重症請求を検討することになります。
Q2:障害認定日から5年以上経過していますが、今から申請しても意味がありますか?
A:はい、十分に意味があります。
確かに、時効により受け取れるのは直近5年分までですが、認定されれば今後継続して年金を受け取ることができます。障害基礎年金2級であれば、年額約83万円が毎年支給されます。
たとえば障害認定日が10年前であっても、今から申請して認定されれば、過去5年分(約415万円)と、今後継続して毎年約83万円を受け取ることができます。
「今さら申請しても…」と躊躇されている方こそ、早めに申請することをお勧めします。時間が経つほど、時効で受け取れない金額が増えてしまうからです。
Q3:障害認定日の診断書と現在の診断書、両方必要ですか?
A:障害認定日から1年以上経過して申請する場合は、原則として2通の診断書が必要です。
- 障害認定日前後3ヶ月の診断書(障害認定日時点の状態を証明するため)
- 請求日前3ヶ月以内の診断書(現在の状態を証明するため)
両方の診断書を審査して、障害認定日時点と現在時点の障害の程度を判定します。
ただし、障害認定日から1年以内に申請する場合は、障害認定日前後3ヶ月の診断書1通のみで申請できます。この場合、その診断書で障害認定日時点と現在時点の両方を判定します。
Q4:特例に該当するかどうか、どうやって判断すればいいですか?
A:医師の診断書や手術記録で確認できます。
人工透析、ペースメーカー、人工関節などの医療行為を受けた場合、診断書や手術記録にその日付が記載されています。それをもとに特例に該当するかを判断します。
ただし、脳血管疾患の症状固定など、判断が難しいケースもあります。ご不安な場合は、専門家にご相談いただくことをお勧めします。当事務所では無料相談を承っております。
Q5:障害認定日を間違えて申請してしまったらどうなりますか?
A:年金事務所から訂正や追加資料の提出を求められることになります。
障害認定日の計算を間違えて、間違った時期の診断書を提出してしまった場合、年金事務所から「障害認定日の診断書を再度取得してください」という指示が来ます。
この場合、正しい時期の診断書を取り直す必要があり、手続きに時間がかかってしまいます。
重要なのは、初診日を正確に証明し、そこから正確に障害認定日を計算することです。不安な方は、申請前に専門家に確認してもらうと安心です。
Q6:初診日が古すぎてカルテがない場合は?
A:カルテがなくても、他の資料で証明できるケースもあります。
病院のカルテは法律上5年間の保存義務があり、それ以降は廃棄されることが多いです。しかし、初診日を証明する資料はカルテだけではありません。
- 診察券(日付の記載があるもの)
- お薬手帳
- 領収書や医療費の記録
- 健康診断の記録
- 会社や学校の記録
- 家族や知人の証言(第三者証明)
これらの資料を組み合わせることで、初診日を証明できる場合があります。
当事務所では、初診日の調査に関して多数の実績があります。「カルテがないから無理だろう」と諦めずに、まずはご相談ください。
まとめ:障害認定日を理解して、適切なタイミングで申請しましょう
ここまで、障害年金の障害認定日について詳しく説明してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
障害認定日について押さえておくべきポイント
- 障害認定日とは、障害年金を申請できる基準となる日のこと
- 原則は初診日から1年6ヶ月経過した日
- 人工透析やペースメーカーなど、特例で早まるケースもある
- 20歳前に初診日がある場合は、20歳到達日が障害認定日になることも
- 障害認定日を過ぎていても申請は可能(遡及請求または事後重症請求)
- 年金には5年の時効があるため、早めの申請が大切
次のステップ:まずは確認から始めましょう
この記事を読んで、「自分の障害認定日はいつだろう」「今から申請できるのだろうか」と感じた方は、次のステップに進むことをお勧めします。
- 初診日を確認する:診察券、お薬手帳、病院の記録などを確認しましょう
- 障害認定日を計算する:初診日から1年6ヶ月後を計算してみましょう
- 診断書の取得可否を確認する:障害認定日時点のカルテが残っているか、病院に確認しましょう
- 専門家に相談する:判断に迷う場合は、障害年金の専門家に相談しましょう
「諦めない障害年金」という考え方
障害年金の申請は、確かに複雑です。初診日の証明、障害認定日の計算、診断書の取得、申立書の作成…様々なステップがあり、一人で進めるのは大変かもしれません。
しかし、複雑だからこそ、専門家のサポートが価値を持ちます。当事務所では「諦めない障害年金」をコンセプトに、様々な困難なケースにも対応してきました。
- 初診日の証明が難しいケース
- 転院が多く、カルテが分散しているケース
- 障害認定日から長期間経過しているケース
- 過去に不支給になったケース
こうしたケースでも、丁寧な調査と適切な書類作成によって、受給につながった事例が多数あります。
「自分のケースは難しそうだ」と感じている方こそ、まずはご相談ください。あなたが受け取る権利のある年金を、一緒に確保していきましょう。
まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう
障害年金の制度は複雑で、ご自身で判断するのが難しい部分も多くあります。当事務所では、初回相談を無料で承っております。「自分は対象になるのか」「どのように申請すればいいのか」など、どんな疑問でもお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ方法】
- お電話: 050-7124-5884(平日9:00-17:00)
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神戸市須磨区の清水総合法務事務所まで、お気軽にご相談ください。兵庫県内であれば、訪問相談も承ります。
「諦めない障害年金」 – あなたの権利を、私たちと一緒に守りましょう。


