前立腺がん障害年金更新の注意点|PSA改善でも支給停止を防ぐ方法

前立腺がん障害年金更新の注意点|PSA改善でも支給停止を防ぐ方法

障害年金の更新通知が届いて、「このまま受給を継続できるだろうか」と不安を感じていませんか。特に前立腺がんの治療を続けている方の中には、次のような心配を抱えている方も多いでしょう。

「ホルモン療法でPSA値が下がっているから、改善したと判断されて支給停止になるのでは」「排尿障害や倦怠感は続いているのに、どう診断書に書いてもらえばいいのか分からない」「主治医は障害年金の更新に詳しくないから、適切に書いてもらえるか不安」

実は、PSA値が改善していることと、日常生活への制限が続いていることは別の問題です。治療の効果でPSA値が下がっても、ホルモン療法の副作用による倦怠感、排尿障害、性機能障害などで生活に支障が出ている場合、障害年金を継続して受給できる可能性があります。

この記事では、前立腺がん患者の障害年金更新について、次の内容を詳しく解説します。

  • 更新手続きの基本的な流れと注意点
  • PSA値改善と症状改善の違い
  • 前立腺がん特有の更新ポイント(ホルモン療法、排尿障害など)
  • 診断書作成で伝えるべき重要事項
  • 支給停止・減額を回避するための具体的対策
  • 専門家サポートのメリット

前立腺がんで障害年金の更新にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。神戸の障害年金専門社労士が、あなたの状況を丁寧にお伺いします。

目次

障害年金の更新とは?前立腺がん患者が知っておくべき基本

障害年金の更新は、受給開始後も定期的に障害の状態を確認し、引き続き支給基準を満たしているかを審査する手続きです。前立腺がんで障害年金を受給している方も、多くの場合「有期認定」となり、1年から3年ごとに更新手続きが必要になります。

有期認定と永久認定の違い

障害年金には「有期認定」と「永久認定」の2種類があります。有期認定は、障害の状態が変化する可能性がある場合に適用され、定期的な更新が必要です。一方、永久認定は障害の状態が固定しており、今後改善の見込みがないと判断された場合に適用され、更新手続きは不要になります。

前立腺がんの場合、ホルモン療法などの治療を継続している状態では、症状の変化の可能性があるため、通常は有期認定となります。更新期間は1年、2年、3年のいずれかで設定されることが多く、年金証書に次回の更新時期が記載されています。

永久認定になるケースは限定的で、主に次のような場合です。

  • 進行がんで全身状態が著しく悪化し、回復の見込みがない
  • 骨転移などにより重度の運動機能障害が固定している
  • 複数の臓器障害を併発し、状態が固定している

ただし、永久認定の判断は日本年金機構が行うため、主治医や本人が希望しても必ずしも認められるわけではありません。

更新手続きの流れと提出期限

更新手続きは、原則として更新時期の約3ヶ月前に日本年金機構から「障害状態確認届」という書類が送られてきます。この書類には、主治医に記入してもらう診断書が含まれており、指定された提出期限までに年金事務所に提出する必要があります。

具体的な流れは以下の通りです。

  1. 更新時期の約3ヶ月前に「障害状態確認届」が自宅に届く
  2. 同封されている診断書を主治医に依頼し、記入してもらう
  3. 診断書と必要書類を揃えて、提出期限までに年金事務所に提出
  4. 日本年金機構が診断書の内容を審査(通常2〜3ヶ月程度)
  5. 審査結果が通知される(継続・等級変更・支給停止のいずれか)

提出期限は厳守が原則です。やむを得ない事情で遅れる場合は、必ず事前に年金事務所に連絡して相談してください。提出が大幅に遅れると、支給が一時停止される可能性があります。

支給停止・減額になる主な原因

障害年金の更新で支給停止や減額になる主な原因は、次の3つです。

①症状の改善
診断書の内容から、障害の程度が軽減し、等級に該当しなくなったと判断された場合です。ただし、これは客観的な判断であり、PSA値が下がっただけで自動的に「改善」と見なされるわけではありません。

②診断書の記載不備
診断書に日常生活への具体的な影響が記載されていない、症状の詳細が不十分、治療経過が不明確などの場合、審査で不利になる可能性があります。

③治療状況の変化の誤解
治療の効果で検査数値が改善していることを、そのまま「日常生活能力の回復」と誤解されるケースがあります。特に前立腺がんでは、ホルモン療法でPSA値が下がっても、副作用による生活制限は続いていることが多いため、この点を診断書で明確にする必要があります。

更新の流れ 時期・期間 注意点
更新通知の到着 更新時期の約3ヶ月前 住所変更していると届かない可能性
診断書の依頼 通知到着後すぐ 主治医に時間的余裕を持って依頼
書類提出 指定期限まで 期限厳守、郵送は余裕を持って
審査期間 2〜3ヶ月程度 この間は現在の年金が継続支給
結果通知 審査完了後 継続・変更・停止のいずれか

※審査期間は目安であり、書類の内容によって前後する場合があります。

前立腺がん特有の更新ポイント|PSA値と症状の関係を正しく理解する

前立腺がんの障害年金更新で最も重要なのは、「PSA値の改善」と「日常生活能力の改善」は必ずしも一致しないという点です。この違いを理解し、診断書に正確に反映してもらうことが、継続受給の鍵となります。

PSA値が改善しても支給停止にならないケース

ホルモン療法(ADT療法)や放射線療法などの治療により、PSA値が低下することは前立腺がん治療では一般的です。しかし、PSA値が下がることは「がんの活動が抑制されている」ことを示すのであって、「患者の日常生活能力が回復した」ことを意味するわけではありません。

障害年金の審査では、検査数値そのものよりも、次の点が重視されます。

  • 日常生活にどの程度支障があるか
  • 労働能力がどの程度制限されているか
  • 介助や支援がどの程度必要か

したがって、PSA値が治療により低値で安定していても、次のような症状や制限が続いていれば、障害年金を継続して受給できる可能性があります。

【継続受給できる可能性が高いケース】

  • ホルモン療法の副作用で倦怠感が強く、日常生活に支障がある
  • 排尿障害(頻尿、尿失禁、残尿感)により外出や仕事が制限される
  • 筋力低下や骨密度低下により、身体活動が著しく制限される
  • 治療による精神的負担(不安、うつ状態)が日常生活に影響している
  • 性機能障害によりQOL(生活の質)が著しく低下している

診断書では、「PSA値は治療により○○ng/mlで安定しているが、ホルモン療法の副作用により倦怠感が続き、日常生活動作に制限がある」というように、治療効果と生活制限を分けて記載してもらうことが重要です。

ホルモン療法(ADT療法)の副作用と障害認定

アンドロゲン除去療法(ADT療法)をはじめとするホルモン療法は、前立腺がんの標準的な治療法ですが、次のような副作用が現れることがあります。

  • 全身倦怠感、易疲労性
  • 筋力低下、筋肉量の減少
  • 骨密度の低下、骨折リスクの増加
  • ホットフラッシュ(ほてり、発汗)
  • 気分の落ち込み、うつ傾向
  • 認知機能の低下
  • 性機能障害

これらの副作用は、がんの障害認定基準における「全身衰弱または機能障害」として評価されます。障害年金の認定では、がんによる障害を「一般状態区分表」で評価しますが、ホルモン療法の副作用による上記の症状も、この区分表に当てはめて判定されます。

一般状態区分 状態の目安 障害等級の目安
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等に行動できる 対象外
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる 3級程度
歩行や身の回りのことはできるが、時に介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している 2級または3級
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となった 2級程度
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られる 1級程度

※日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」より

診断書では、ホルモン療法の副作用が具体的にどの程度日常生活に影響しているかを記載してもらうことが重要です。たとえば、「倦怠感により午前中はほぼ横になっている」「筋力低下により階段昇降が困難」などの具体的な表現が有効です。

排尿障害・性機能障害のQOL評価

前立腺がんの治療(手術、放射線、ホルモン療法)により、排尿障害や性機能障害が生じることがあります。これらは検査数値では評価しにくい症状ですが、日常生活やQOLに大きな影響を与えるため、障害年金の審査でも重要な判断材料となります。

【排尿障害の具体例と生活への影響】

  • 頻尿:1日10回以上、夜間も3〜5回トイレに起きるため、睡眠不足となり日中の活動に支障
  • 尿失禁:パッドやおむつが必要で、外出時に常にトイレの場所を気にしなければならない、長時間の外出や仕事が困難
  • 残尿感:常に不快感があり、集中力が低下、仕事や趣味に集中できない
  • 排尿困難:排尿に時間がかかり、外出先でのトイレ使用に不安を感じる

【性機能障害とQOLへの影響】

性機能障害は、パートナーとの関係性やアイデンティティに関わる問題であり、うつ状態や自尊心の低下につながることがあります。これらの心理的影響も含めて、総合的なQOLの低下として評価される必要があります。

診断書の「日常生活活動能力及び労働能力」の欄には、次のような具体的な記載が有効です。

  • 「頻尿・尿失禁により、1時間以上の外出が困難。通勤や就労が実質的に不可能」
  • 「夜間頻尿により睡眠が分断され、日中の倦怠感が強い。家事も配偶者に依存」
  • 「排尿障害により外出を控えるようになり、社会参加が著しく制限されている」

排尿障害や性機能障害は、「身体の機能障害」であると同時に「日常生活能力の制限」として評価されます。主治医にはこれらの症状を具体的に伝え、診断書に詳細に記載してもらうことが重要です。

診断書作成で最も重要な3つのポイント

障害年金の更新では、診断書の内容が審査の最も重要な判断材料となります。前立腺がんの場合、次の3つのポイントを押さえて診断書を作成してもらうことが、継続受給の鍵となります。

①治療経過と現在の状態を正確に伝える

診断書には、がんの診断から現在までの治療経過を時系列で記載する欄があります。ここでは次の情報を正確に記載してもらう必要があります。

  • 診断時の病期:初診時のステージ、グリソンスコア、PSA値
  • これまでの治療:手術(前立腺全摘術など)、放射線療法、ホルモン療法の種類と期間
  • 現在の治療状況:ホルモン療法の種類(LHRH作動薬、抗アンドロゲン薬など)、投与頻度、継続予定期間
  • PSA値の推移:治療開始前と現在の値、治療効果の状況
  • 転移・再発の有無:骨転移、リンパ節転移などの状況

特に重要なのは、「治療の効果」と「副作用・後遺症」を分けて記載してもらうことです。たとえば、「ホルモン療法によりPSA値は○○から○○に低下し、コントロールされているが、治療の副作用として倦怠感、筋力低下、排尿障害が持続している」というように、治療効果と生活への影響を両方記載してもらいます。

②日常生活への具体的な影響を詳細に記載してもらう

診断書の最も重要な部分は、「日常生活活動能力及び労働能力」に関する記載です。ここでは、病気や治療によって日常生活がどの程度制限されているかを、できるだけ具体的に記載してもらう必要があります。

【効果的な記載例】

❌ 悪い例:「日常生活に支障がある」「仕事が困難」

→ 抽象的で、どの程度の制限かが分からない

✅ 良い例:

  • 「倦怠感が強く、午前中は臥床していることが多い。家事は配偶者が行っており、本人は最低限の身の回りのこと(食事、トイレ)のみ可能」
  • 「頻尿・尿失禁により、1時間以上の外出が困難。通勤は実質不可能で、現在休職中」
  • 「ホルモン療法の副作用による筋力低下で、階段昇降に手すりが必要。重い物を持つことができず、買い物は配偶者に依存」
  • 「夜間頻尿(3〜5回/晩)により睡眠が分断され、日中の集中力が著しく低下。座業であっても連続30分以上の作業は困難」

また、「介助の必要性」についても具体的に記載してもらうことが重要です。

  • 「買い物、調理、掃除などの家事全般を配偶者が行っている」
  • 「通院時は配偶者の付き添いと車での送迎が必要」
  • 「階段昇降時は手すりと声かけが必要」

③主治医との効果的なコミュニケーション

主治医は医学的な診断と治療の専門家ですが、障害年金の認定基準や診断書の書き方に必ずしも詳しいわけではありません。そのため、診断書を依頼する際には、患者側から積極的に情報を伝えることが重要です。

【診断書依頼時のポイント】

  1. 事前に「障害年金の更新」であることを明確に伝える
    通常の診断書と障害年金の診断書では、求められる内容が異なります。受付や主治医に、「障害年金の更新のための診断書です」と明確に伝えましょう。
  2. 困っていることをメモして持参する
    診察時間は限られているため、日常生活で困っていることを事前にメモにまとめて持参すると、漏れなく伝えることができます。
  3. 診断書の下書きを確認させてもらう
    可能であれば、診断書が完成する前に下書きを見せてもらい、記載内容を確認することをお勧めします。特に、日常生活への影響が十分に記載されているかをチェックしましょう。
  4. 具体的な数字や頻度を伝える
    「排尿が頻繁」ではなく「1日10〜12回、夜間4〜5回」、「倦怠感がある」ではなく「午前中はほぼ横になっている、午後も2時間程度しか活動できない」など、具体的に伝えます。
  5. 治療の副作用を強調する
    PSA値が下がっていることは治療効果ですが、ホルモン療法の副作用は継続していることを明確に伝えます。

診断書依頼前の準備チェックリスト

  • □ 現在の治療内容(薬剤名、投与頻度)を確認した
  • □ 最近のPSA値を把握している
  • □ 日常生活で困っていることをメモにまとめた
  • □ 排尿回数(昼間・夜間)を記録した
  • □ 介助が必要な場面を整理した
  • □ 倦怠感で臥床している時間を記録した
  • □ 外出の頻度と制限を確認した
  • □ 就労状況(休職中、退職など)を整理した
  • □ 診断書が「障害年金の更新用」であることを伝える準備をした

これらの準備をしておくことで、主治医に正確な情報を伝え、実態に即した診断書を作成してもらうことができます。

支給停止・減額を回避するための具体的対策

障害年金の更新で支給停止や減額を回避するためには、事前の準備と正確な情報提供が不可欠です。ここでは、前立腺がん患者が実践できる具体的な対策を紹介します。

更新前にできる準備

更新通知が届く前から、日常生活の状況を記録しておくことが重要です。以下の項目を1〜2週間程度記録しておくと、診断書依頼時や主治医との面談時に役立ちます。

【記録しておくべき項目】

  • 排尿回数:昼間と夜間に分けて記録(例:昼間8回、夜間4回)
  • 尿失禁の状況:パッドの使用枚数、漏れる頻度、量
  • 活動時間と臥床時間:何時から何時まで活動できたか、何時間横になっていたか
  • 外出の頻度と制限:外出できたか、どのくらいの時間か、トイレの心配はなかったか
  • 倦怠感の程度:活動できた時間、できなかった家事や作業
  • 家族の介助内容:誰が何を手伝ってくれたか(買い物、調理、掃除、通院付き添いなど)
  • 睡眠の状況:夜間何回起きたか、日中の眠気

これらの記録は、診断書の「日常生活活動能力」の欄に記載してもらう際の重要な資料となります。

診断書の記載内容チェックポイント

診断書が完成したら、可能な限り受け取り前に内容を確認させてもらいましょう。確認できない場合でも、受け取り後にコピーを取り、以下の点をチェックすることをお勧めします。

【チェックポイント】

  1. 治療経過が正確に記載されているか
    • ホルモン療法の種類と期間
    • PSA値の推移
    • 副作用の記載
  2. 日常生活への影響が具体的に記載されているか
    • 抽象的な表現(「支障がある」など)だけでなく、具体的な制限が記載されているか
    • 排尿障害、倦怠感、筋力低下などの症状が詳細に記載されているか
  3. 「軽快」「改善」などの表現に注意
    • PSA値の低下を「症状の改善」と記載していないか
    • 「治療により軽快」などの表現が、日常生活制限の継続と矛盾していないか
  4. 一般状態区分の選択が適切か
    • 実際の生活状況と一般状態区分表の記載が一致しているか
    • 過度に軽い区分になっていないか
  5. 介助の必要性が記載されているか
    • 家事、買い物、通院などで家族の支援が必要なことが記載されているか

もし記載内容に疑問や不足がある場合は、提出前に主治医に相談するか、障害年金専門の社労士に診断書を確認してもらうことをお勧めします。

提出前の最終確認

診断書と必要書類を提出する前に、以下の最終確認を行いましょう。

  • □ 診断書の記入漏れがないか(特に日常生活活動能力の欄)
  • □ 診断書の日付が適切か(指定期間内か)
  • □ 必要書類がすべて揃っているか
  • □ 提出期限を確認した(郵送の場合は余裕を持って)
  • □ 診断書と添付書類のコピーを取った
  • □ 提出先の年金事務所を確認した

提出後は、審査結果が出るまで通常2〜3ヶ月程度かかります。この間、現在の障害年金は継続して支給されますので、過度に心配する必要はありません。ただし、もし診断書の内容に不安がある場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。

骨転移など状態が悪化した場合の額改定請求

前立腺がんの経過中に骨転移が発見されたり、全身状態が著しく悪化したりした場合、現在の障害等級よりも重い等級に該当する可能性があります。このような場合、定期的な更新を待たずに「額改定請求」を行うことができます。

額改定請求(上位等級への変更)とは

額改定請求とは、障害の程度が重くなり、現在よりも上位の等級に該当すると思われる場合に、等級の見直しを請求する手続きです。通常、前回の更新または認定日から1年を経過していれば請求できます。

ただし、がんによる障害は、精神疾患と同様に「症状が変動しやすい」という理由で、額改定請求に一部制限があります。平成26年の法改正により、がんの場合は「1年を待たずに額改定請求できる」という特例から除外されましたが、1年経過後であれば通常通り請求可能です。

請求が認められやすいケース

前立腺がんで額改定請求が認められやすいのは、次のようなケースです。

  • 骨転移により運動機能が著しく制限された
    • 脊椎転移により下肢の麻痺や筋力低下が生じた
    • 骨折リスクが高く、歩行に常時介助が必要
    • 疼痛により日常生活動作が著しく制限される
  • 全身状態が著しく悪化した
    • 一般状態区分表で2段階以上悪化(例:イ→エ、ウ→オ)
    • 常時臥床が必要になった
    • 介助なしでは日常生活が送れなくなった
  • 複数の障害を併発した
    • 前立腺がんによる排尿障害と、骨転移による肢体障害
    • 治療の影響による精神障害(うつ病など)の併発

複数の障害がある場合は「併合認定」として、単独の障害よりも重い等級で認定される可能性があります。たとえば、がんによる全身衰弱(3級相当)と骨転移による肢体障害(3級相当)があれば、併合して2級に認定される場合があります。

請求のタイミングと注意点

額改定請求を行う際の注意点は以下の通りです。

  1. 前回の認定から1年以上経過していることを確認
    額改定請求は、原則として前回の障害認定日または更新日から1年を経過していなければできません。骨転移などが見つかった時期を確認し、1年経過後に請求しましょう。
  2. 診断書は最新の状態を反映したものを使用
    診断書は、請求日から遡って3ヶ月以内の状態を記載したものが必要です。骨転移の状況、疼痛の程度、運動機能の制限、日常生活への影響などを詳細に記載してもらいます。
  3. 複数の診断書が必要になる場合がある
    骨転移による運動機能障害がある場合は、「肢体の障害用診断書」も追加で必要になることがあります。がんによる全身衰弱は「その他の障害用診断書」、運動機能障害は「肢体の障害用診断書」というように、障害の種類に応じた診断書を提出します。
  4. 医師に状況を詳しく説明
    主治医に、「前立腺がんの障害年金を3級で受給中だが、骨転移により状態が悪化したため、2級への変更を請求したい」と明確に伝えましょう。

額改定請求は、審査の結果、等級が上がることもあれば、現状維持や逆に下がることもあり得ます。請求するかどうかは、現在の状態を専門家と相談しながら慎重に判断することをお勧めします。

専門家(社労士)に依頼するメリット

障害年金の更新手続きは、書類の準備から診断書の確認、提出まで多くのステップがあり、専門的な知識が必要です。特に前立腺がんの場合、PSA値と症状の関係など、疾患特有の注意点を理解した上で手続きを進める必要があります。

更新手続きでの社労士の役割

障害年金を専門とする社会保険労務士は、更新手続きにおいて次のようなサポートを提供します。

  • 診断書の事前チェック:診断書が完成する前、または完成後に内容を確認し、記載不足や誤解を招く表現がないかをチェックします。
  • 主治医への依頼方法のアドバイス:診断書を依頼する際に、どのような点を主治医に伝えるべきか、どのような資料を用意すべきかを具体的にアドバイスします。
  • 障害状態確認届の作成代行:診断書以外の必要書類の準備や、病歴・就労状況等申立書(必要な場合)の作成を代行します。
  • 提出書類の最終確認と提出代行:書類の記載漏れや誤りがないかを確認し、期限内に確実に提出します。
  • 審査結果への対応:もし支給停止や減額の決定が出た場合、不服申立て(審査請求)の手続きをサポートします。

清水総合法務事務所のサポート内容

前立腺がんの障害年金更新に関する複雑な手続きにも対応しています。

  • 診断書の記載内容チェックとアドバイス
  • 主治医への依頼方法の具体的指導
  • 障害状態確認届の作成代行
  • 支給停止・減額時の不服申立てサポート
  • 額改定請求(上位等級への変更請求)のサポート

神戸・兵庫県で多数の前立腺がん患者の更新手続きをサポートした実績があります。詳しくはこちら

社労士に依頼するメリット

  1. 継続受給の可能性が高まる
    診断書の記載内容を事前にチェックすることで、記載不足や誤解を招く表現を防ぎ、適切な審査を受けることができます。
  2. 精神的な負担が軽減される
    治療を続けながら複雑な手続きを自分で行うのは大きな負担です。専門家に任せることで、安心して治療に専念できます。
  3. 時間と労力の節約
    書類の準備、記載内容の確認、提出手続きなどを代行してもらえるため、自分で行うよりも大幅に時間と労力を節約できます。
  4. 最新の認定基準に基づいたアドバイス
    障害年金の認定基準は定期的に見直されます。専門家は最新の基準や審査の傾向を把握しているため、的確なアドバイスが受けられます。
  5. 不支給時の対応もサポート
    もし更新で支給停止や減額の決定が出た場合でも、不服申立ての手続きをサポートしてもらえます。

特に前立腺がんの場合、PSA値の改善を「症状の改善」と誤解されないよう、診断書の記載に細心の注意を払う必要があります。専門家のサポートを受けることで、このような誤解を防ぎ、適切な審査を受けることができます。

前立腺がん患者の障害年金更新事例

ここでは、実際に当事務所でサポートした前立腺がん患者の更新事例を3つご紹介します。個人情報保護のため、内容を一部変更していますが、実際のケースに基づいています。

※個人情報保護のため、内容を一部変更しています

事例1:PSA値改善でも3級継続認定されたケース

【背景】
58歳男性、会社員(管理職)。3年前に前立腺がん(ステージIII)と診断され、ホルモン療法を開始。2年前に障害厚生年金3級の認定を受け、現在2回目の更新を迎えた。ホルモン療法の効果でPSA値は診断時の45ng/mlから0.2ng/mlまで低下し、安定している。しかし、治療の副作用による倦怠感、頻尿、尿失禁が続いており、休職中。

【困難だった点】
「PSA値が大幅に改善しているので、症状も改善したと判断されて支給停止になるのでは」という強い不安を抱えていた。主治医から「PSAは順調に下がっていますね」と言われており、診断書に「改善」と書かれることを心配していた。

【サポート内容】
まず、PSA値の改善と日常生活能力の回復は別の問題であることを説明し、診断書には次の点を明確に記載してもらうよう主治医へのアドバイスを行いました。

  • ホルモン療法の効果によりPSA値は低値で安定しているが、これは治療効果であり症状の改善ではない
  • 治療の副作用として倦怠感が強く、午前中はほぼ臥床している
  • 頻尿(1日12回、夜間5回)と尿失禁によりパッド使用が必須で、外出が著しく制限される
  • 上記の理由により就労困難で休職中、家事も配偶者に依存

また、日常生活の状況を2週間記録してもらい、それをもとに主治医に具体的な生活制限を伝えることをサポートしました。

【結果】
診断書には「治療によりPSAは良好にコントロールされているが、ホルモン療法の副作用による倦怠感、排尿障害が持続し、日常生活に著しい制限がある。一般状態区分ウに該当」と記載され、障害厚生年金3級が継続認定されました(年額約80万円)。

【ご本人の声】
「PSAが下がっていることで不安でしたが、生活の大変さは全く変わっていないことをしっかり伝えられました。専門家に相談して本当に良かったです。」

事例2:骨転移で2級へ等級変更されたケース

【背景】
62歳男性、元会社員(退職済み)。4年前に前立腺がんと診断、ホルモン療法継続中。3年前に障害厚生年金3級を認定され、順調に更新していた。しかし、更新後半年で骨盤と腰椎に骨転移が発見された。強い腰痛と下肢の筋力低下により、歩行に杖が必要となり、家の中でも介助が必要になった。

【困難だった点】
「更新したばかりだが、状態が悪化したので等級を上げてもらいたい。でも、更新直後だから無理かもしれない」と諦めかけていた。また、額改定請求の方法が分からず、どこに相談すべきかも分からなかった。

【サポート内容】
前回の更新から1年が経過していたため、額改定請求が可能であることを説明しました。骨転移による運動機能障害については、がんの診断書(その他の障害用)に加えて、肢体の障害用診断書も必要になる可能性があることを説明し、整形外科の医師にも診断書を依頼するよう案内しました。

診断書には以下の点を詳細に記載してもらうようアドバイスしました。

  • 骨転移(骨盤、L4-L5)による持続的な疼痛
  • 下肢筋力低下(MMT 3レベル)により、屋内歩行も杖が必要
  • 階段昇降不可、外出は車椅子使用
  • 日常生活の多くの場面で配偶者の介助が必要
  • 疼痛により日中の50%以上臥床している(一般状態区分エに該当)

【結果】
額改定請求から約3ヶ月後、障害厚生年金2級への等級変更が認定されました(年額約150万円、配偶者加給年金含む)。3級から2級への変更により、年間約70万円の増額となりました。

【ご本人の声】
「骨転移で痛みと動けない辛さがあり、経済的にも不安でした。諦めずに相談して、本当に良かったです。」

事例3:不支給決定→不服申立てで3級継続認定

【背景】
60歳男性、自営業。5年前に前立腺がんと診断、前立腺全摘術後にホルモン療法継続中。3年前に障害厚生年金3級を認定され、1年ごとの更新を続けていた。今回の更新で、「症状が改善した」という理由で不支給決定を受けた。

【困難だった点】
診断書の「治療経過」欄に「ホルモン療法により病状は安定している」と記載され、これが「改善した」と解釈されてしまった。実際には尿失禁と性機能障害が続いており、外出や仕事に大きな支障があったが、診断書には十分に記載されていなかった。不支給決定を受けて諦めかけていた。

【サポート内容】
不支給決定から3ヶ月以内であれば不服申立て(審査請求)が可能であることを説明し、手続きをサポートしました。

新たに取得した診断書では、次の点を明確に記載してもらいました。

  • 「病状が安定」とは、PSA値が低値を維持していることであり、症状の改善ではない
  • 手術後の後遺症として尿失禁が持続し、パッド使用が必須
  • 尿失禁により外出時は常にトイレの場所を気にする必要があり、1時間以上の外出は困難
  • 自営業の仕事(接客業)は実質的に継続不可能で、配偶者が主に業務を担っている
  • 性機能障害によるQOL低下と、それに伴う精神的負担

また、病歴・就労状況等申立書を詳細に作成し、手術後から現在までの生活制限の継続を説明しました。

【結果】
審査請求から約6ヶ月後、「日常生活に著しい制限があり、障害厚生年金3級に該当する」として、不支給決定が取り消され、3級の継続認定となりました(年額約75万円)。さらに、不支給期間分も遡及して支給されました。

【ご本人の声】
「一度不支給になって諦めていましたが、専門家の力を借りて本当に良かった。生活の辛さを分かってもらえて安心しました。」

前立腺がん患者の障害年金更新に関するよくある質問

前立腺がんで障害年金を受給中の方からよく寄せられる質問について、分かりやすくお答えします。

Q1:ホルモン療法でPSA値が下がっていますが、更新で支給停止になりますか?

A:PSA値の低下だけで自動的に支給停止になることはありません。障害年金の審査では、検査数値よりも「日常生活にどの程度支障があるか」が重視されます。PSA値が下がっていても、ホルモン療法の副作用による倦怠感、排尿障害、筋力低下などで日常生活に制限が続いていれば、継続受給の可能性があります。診断書には、「治療の効果でPSAは安定しているが、副作用による生活制限は継続している」と明確に記載してもらうことが重要です。

Q2:更新の診断書は誰に書いてもらえばいいですか?

A:前立腺がんの治療を担当している泌尿器科の主治医に依頼するのが一般的です。もし骨転移などで整形外科にも通院している場合は、障害の種類に応じて複数の診断書が必要になることがあります。診断書を依頼する際は、「障害年金の更新のための診断書である」ことを明確に伝え、日常生活への具体的な影響を詳しく記載してもらうようお願いしましょう。

Q3:更新で等級が下がることはありますか?

A:はい、症状が改善していると判断された場合、等級が下がる可能性があります。たとえば、2級から3級への変更、3級から支給停止への変更などがあり得ます。ただし、実際の生活状況が変わっていないにもかかわらず、診断書の記載不足により誤って等級が下がるケースもあります。このような事態を避けるため、診断書の内容を事前に確認し、必要に応じて専門家のチェックを受けることをお勧めします。

Q4:骨転移が見つかった場合、すぐに等級変更できますか?

A:前回の障害認定日または更新日から1年以上経過していれば、額改定請求により等級変更を申請できます。骨転移により運動機能が著しく制限された場合、現在の等級よりも重い等級に認定される可能性があります。ただし、額改定請求は審査の結果、必ずしも等級が上がるとは限りませんので、現在の状態を専門家と相談しながら請求するかどうかを判断することをお勧めします。

Q5:自分で更新手続きをするのと、社労士に依頼するのではどう違いますか?

A:自分で手続きを行うことも可能ですが、社労士に依頼すると次のようなメリットがあります。①診断書の記載内容を事前にチェックし、記載不足や誤解を招く表現を防げる、②主治医への依頼方法や伝えるべきポイントについて具体的なアドバイスが受けられる、③書類の準備や提出を代行してもらえるため、時間と労力が節約できる、④もし支給停止や減額の決定が出た場合、不服申立ての手続きもサポートしてもらえる。特に前立腺がんの場合、PSA値の改善を誤解されないよう診断書に注意深く記載する必要があり、専門家のサポートが有効です。

Q6:パートタイムで働いていますが、障害年金は継続できますか?

A:障害年金は「働いているかどうか」ではなく、「日常生活や労働にどの程度制限があるか」で判断されます。パートタイムで働いていても、勤務時間が短い、職場で特別な配慮を受けている、仕事内容が制限されているなどの場合は、障害年金を受給できる可能性があります。診断書には、就労状況(週何時間、どのような配慮があるか)と、それでも残っている制限を具体的に記載してもらうことが重要です。

Q7:更新通知が届かないのですが、どうすればいいですか?

A:まず、住所変更の届出が正しく行われているかを確認してください。住所が変わっているのに年金事務所に届け出ていない場合、更新通知が届かないことがあります。それでも届かない場合は、できるだけ早く最寄りの年金事務所に連絡して状況を確認してください。更新時期は年金証書に記載されていますので、その時期が近づいても通知が届かない場合は、必ず問い合わせましょう。

まずは無料相談から、安心して更新手続きを進めましょう

前立腺がんによる障害年金の更新は、PSA値と症状の関係、ホルモン療法の副作用、排尿障害など、疾患特有の注意点を理解した上で進める必要があります。特に、「治療の効果」と「日常生活への制限」を正しく診断書に反映させることが、継続受給の鍵となります。

この記事でお伝えした重要なポイントを改めて整理すると、次の通りです。

  • PSA値の改善≠症状の改善であることを診断書で明確にする
  • ホルモン療法の副作用(倦怠感、筋力低下など)を具体的に記載してもらう
  • 排尿障害や性機能障害がQOLに与える影響を詳細に伝える
  • 日常生活の制限を具体的な数字や頻度で記載してもらう
  • 骨転移などで状態が悪化した場合は額改定請求を検討する
  • 不安がある場合は専門家のサポートを受ける

前立腺がんによる障害年金の更新は、専門的な知識と経験が必要です。当事務所では、初回相談を無料で承っております。

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