障害年金の保険料納付要件を徹底解説|受給資格を確認しよう

「障害年金を受給するためには、一定の要件を満たす必要があります。

その中でも特に重要なのが「保険料納付要件」です。

これは、障害の原因となった病気やケガの初診日までに、年金保険料を適切に納めているかどうかを問うものです。

この要件を満たしていないと、障害の状態が重くても、障害年金を受け取ることができません。

この記事では、障害年金の保険料納付要件について、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。ご自身の受給資格を確認するために、ぜひ最後までお読みください。」

障害年金受給のための2つの保険料納付要件

「障害年金を受給するためには、大きく分けて2つの保険料納付要件を満たす必要があります。

具体的には、

  1. 初診日の前日における直近1年間の未納がないこと(特例措置を含む)
  2. 初診日の前々月までの被保険者期間の3分の2以上が納付・免除期間であること

それぞれ詳しく見ていきましょう。」

要件1:初診日の前日における直近1年間の未納がないこと(特例措置を含む)

「障害年金の保険料納付要件の一つ目は、初診日の前日において、直近1年間に年金保険料の未納がないことです。これは、初診日の前日までの1年間、きちんと保険料を納めていれば、この要件を満たすことになります。

ただし、ここで重要なのが特例措置です。この特例措置は、初診日が2026年3月31日までの方に適用され、直近1年間に未納があった場合でも、以下のいずれかの条件を満たせば、納付要件を満たすとみなされます。

  • 初診日の前々月までの直近1年間に未納がないこと
  • 初診日の前々月までの被保険者期間のうち、納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上であること

つまり、特例措置が適用される期間内であれば、直近1年間に未納があったとしても、他の要件を満たしていれば受給の可能性が出てくるということです。この特例措置は、障害年金の受給をより多くの方に広げるための重要な措置と言えるでしょう。

特例措置とは?

「先ほど触れた特例措置について、さらに詳しく解説します。この特例措置は、初診日が2026年3月31日までの方に適用される、非常に重要な救済措置です。

通常、障害年金の保険料納付要件では、「初診日の前日において、直近1年間に未納がないこと」が求められます。しかし、この特例措置により、直近1年間に未納期間があったとしても、以下の2つの条件のいずれかを満たしていれば、納付要件を満たすとみなされるのです。

  1. 初診日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がないこと
  2. 初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上であること

例えば、初診日の直前で失業してしまい、一時的に保険料を納めることができなかったとしても、それ以前はきちんと納めており、かつ上記のいずれかの条件を満たしていれば、障害年金を受給できる可能性があるということです。 この特例措置は、不慮の事故や病気で突然障害を負ってしまった方々を救済するための制度と言えるでしょう。ご自身がこの特例措置の対象となるかどうか、しっかりと確認しておきましょう。

要件2:初診日の前々月までの被保険者期間の3分の2以上が納付・免除期間であること

「障害年金の保険料納付要件のもう一つは、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、納付済期間(保険料を納めた期間)と免除期間(保険料の納付が免除されていた期間)を合わせた期間が3分の2以上であることです。

これは、年金制度に加入していた期間のうち、きちんと保険料を納めていた期間、または免除されていた期間が、全体の3分の2以上必要ということを意味します。

例えば、20歳から年金制度に加入し、30歳で初診日を迎えた場合、10年間が被保険者期間となります。この10年間(120ヶ月)のうち、80ヶ月以上(120ヶ月×2/3)が納付済期間または免除期間であれば、この要件を満たすことになります。

ここで重要なのは、免除期間も納付期間と同様に扱われるという点です。

経済的な理由などで保険料の納付が難しい時期に、免除申請を行っていた場合、その期間も要件を満たすための期間としてカウントされます。これは、経済的に苦しい状況にある方々への配慮と言えるでしょう。

被保険者期間とは?国民年金、厚生年金、共済組合について

先ほどの3分の2要件で出てきた「被保険者期間」とは、年金制度に加入していた期間のことを指します。

具体的には、以下の年金制度に加入していた期間が被保険者期間としてカウントされます。

  • 国民年金: 日本国内に住む20歳以上60歳未満の方は、原則として国民年金に加入します。自営業者、農業・漁業者、学生、無職の方などが該当します。
  • 厚生年金: 会社員や公務員などが加入する年金制度です。国民年金に上乗せして給付が行われます。
  • 共済組合: 公務員や私立学校の教職員などが加入する年金制度です。厚生年金と同様に、国民年金に上乗せして給付が行われます。

つまり、会社員として厚生年金に加入していた期間は、国民年金の被保険者期間と同時に厚生年金の被保険者期間としてもカウントされます。また、共済組合に加入していた期間も同様です。

例えば、20歳から30歳まで会社員として厚生年金に加入し、その後35歳まで自営業者として国民年金に加入していた場合、20歳から35歳までの15年間が被保険者期間となります。 この被保険者期間を正確に把握することが、3分の2要件を満たしているかを確認する上で非常に重要になります。

保険料納付要件を満たしているか確認する方法

「自分が障害年金の保険料納付要件を満たしているかどうかを確認する方法はいくつかあります。以下に代表的な方法をご紹介します。

  1. ねんきんネットで確認する: 日本年金機構が運営する「ねんきんネット」では、ご自身の年金記録をオンラインで確認することができます。納付状況や免除期間などが詳細に記載されているため、要件を満たしているかどうかを簡単に確認できます。ねんきんネットを利用するには、事前に登録が必要です。
  2. 年金事務所で相談する: お近くの年金事務所に直接相談することも可能です。年金事務所では、年金記録の確認だけでなく、個別の状況に応じたアドバイスを受けることができます。必要書類などについても教えてもらえるため、不安な方は相談してみることをお勧めします。
  3. 年金定期便で確認する: 毎年誕生月に送られてくる「年金定期便」にも、年金加入状況や納付状況などが記載されています。ただし、年金定期便は過去の記録が中心となるため、最新の情報はねんきんネットや年金事務所で確認することをお勧めします。

これらの方法を活用することで、ご自身が保険料納付要件を満たしているかどうかを正確に把握し、障害年金の受給に向けてスムーズに手続きを進めることができるでしょう。

保険料納付要件でよくある質問

「障害年金の保険料納付要件については、多くの方から様々な質問が寄せられます。ここでは、特によくある質問とその回答をまとめました。

20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は関係ないのですか?

はい、20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。これは、20歳前は国民年金への加入が義務付けられていないためです。ただし、20歳以降に保険料の未納期間がある場合は、受給に影響する可能性があります。

免除申請をしていなかった期間は、やはり未納期間として扱われるのでしょうか?

はい、免除申請をしていない期間は、原則として未納期間として扱われます。ただし、後からでも追納することで、納付済期間に算入することができます。

ねんきんネットで確認したところ、記録が正しくないように思えます。どうすれば良いですか?

ねんきんネットの記録に誤りがある場合は、お近くの年金事務所に問い合わせて、記録の訂正を依頼してください。

 過去に厚生年金に加入していた期間は、国民年金の納付期間としてカウントされますか?

はい、厚生年金に加入していた期間は、国民年金の納付期間としてもカウントされます。これは、厚生年金は国民年金に上乗せされる形で給付が行われる制度であるためです。

これらの質問以外にも、ご不明な点があれば、お近くの年金事務所や社会保険労務士にご相談ください。

まとめ|保険料納付要件をしっかり確認して障害年金の手続きを進めよう

「この記事では、障害年金の受給要件の一つである「保険料納付要件」について詳しく解説してきました。

最後に、今回の内容を改めてまとめ、今後の手続きを進める上でのポイントをお伝えします。

  • 保険料納付要件は、障害年金を受給するために必ず満たさなければならない重要な要件です。
  • 原則として、「初診日の前々月までの被保険者期間の3分の2以上が納付・免除期間であること」が求められます。
  • 初診日が2026年3月31日までの方には、直近1年間の未納期間があっても救済される特例措置があります。
  • ご自身の納付状況は、ねんきんネットや年金事務所で確認することができます。

障害年金の手続きは複雑で、不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、保険料納付要件をしっかりと理解し、必要な手続きを行うことで、受給の可能性を高めることができます。

もしご自身で判断が難しい場合は、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、安心して手続きを進めることができるでしょう。