障害年金の受給要件とは?4つの条件をわかりやすく解説【初心者向け】

障害年金の受給要件とは?4つの条件をわかりやすく解説【初心者向け】

障害年金の受給要件とは?全体像を理解しよう

「障害年金を受け取るには、どんな条件を満たす必要があるの?」

病気やケガで生活に支障が出ている方にとって、障害年金は生活を支える重要な制度です。しかし、受給要件が複雑で、「自分は対象になるのか」「何から調べればいいのか」と迷う方が少なくありません。

障害年金の受給要件は、大きく分けて4つあります:

  1. 初診日要件 – 年金に加入している期間に初めて医師の診察を受けたか
  2. 保険料納付要件 – 一定期間、年金保険料を納めていたか
  3. 障害認定日要件 – 障害の状態を判定する日が来ているか
  4. 障害等級要件 – 障害の程度が一定基準を満たしているか

この記事では、これら4つの受給要件を初心者向けにわかりやすく解説します。「初診日が分からない」「保険料に未納がある」といった不安を抱えている方にも、具体的な対処法をご紹介します。

💡 当事務所では、障害年金の受給要件に関する無料相談を実施しています。ご自身が要件を満たしているか確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。

要件1:初診日要件 – 年金加入中に初めて医師の診察を受けたか

初診日とは何か

初診日とは、障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診察を受けた日のことです。この日がいつかによって、受給できる障害年金の種類や金額が決まります。

初診日は、以下のいずれかの期間にある必要があります:

  • 国民年金または厚生年金の被保険者期間中
  • 20歳前(国民年金に加入する前)
  • 60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる期間

初診日の判定パターン

実際の障害年金申請では、初診日がどのケースに該当するかを正確に判定する必要があります。下記の表で、初診日の主な判定パターンを確認しましょう。

ケース 初診日の扱い 受給できる障害年金
会社員として働いている時に初診 厚生年金加入中 障害厚生年金+障害基礎年金
自営業・学生の時に初診 国民年金加入中 障害基礎年金
20歳前に初診 年金未加入 20歳前障害による障害基礎年金
退職後60歳~65歳の間に初診 国民年金任意加入可能期間 障害基礎年金(加入していた場合)
複数の病気が関連している場合 最初の病気の初診日 最初の病気次第
転院している場合 最初の病院の初診日 最初の病院での加入状況次第
健康診断で異常が見つかった場合 健診後に受診した医療機関の初診日 その時の加入状況次第
誤診があった場合 誤診時の初診日 誤診時の加入状況次第

初診日の証明が難しい場合の対処法

実際の申請では、初診日の証明が最も大きな壁となることがあります。特に、以下のような状況では証明が困難です:

  • 初診から長い年月が経過しており、カルテが廃棄されている
  • 初診の病院が廃院している
  • 初診日の記憶があいまい

このような場合でも、受診状況等証明書が取れない理由書第三者証明などの方法で、初診日を証明できる可能性があります。

国民年金と厚生年金の違い

初診日が国民年金加入中なら「障害基礎年金」のみ、厚生年金加入中なら「障害基礎年金+障害厚生年金」を受給できます。厚生年金の方が手厚い保障となります。

要件2:保険料納付要件 – 一定期間、保険料を納めていたか

保険料納付要件とは

障害年金を受給するには、初診日の前日の時点で、一定期間の保険料を納めている必要があります。この要件を「保険料納付要件」と呼びます。

⚠️ 重要:初診日よりに保険料を納めても、受給要件は満たせません。必ず初診日の前日時点での納付状況が問われます。

2つの納付要件(どちらか一方を満たせばOK)

保険料納付要件には、原則特例の2種類があり、どちらか一方を満たせば要件クリアとなります。

【原則】3分の2要件

初診日の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間で保険料が納付または免除されていること。

期間 計算例
20歳から初診日(35歳)の前々月まで 15年間(180ヶ月)
必要な納付・免除期間 180ヶ月×2/3=120ヶ月以上
許容される未納期間 180ヶ月×1/3=60ヶ月未満

【特例】直近1年要件

初診日が令和8年(2026年)4月1日前にあり、かつ初診日に65歳未満の場合、直近1年間に未納がなければ要件を満たします。

これは、過去に長期の未納期間があっても、直近1年間さえ納付していれば受給できる特例措置です。

条件 内容
対象期間 初診日の前々月から遡って1年間
要件 この1年間に未納がないこと
期限 初診日が令和8年4月1日前
年齢制限 初診日に65歳未満

20歳前の初診日は納付要件なし

初診日が20歳前にある場合、保険料納付要件は問われません。20歳前は国民年金への加入義務がないためです。

「未納」と「免除」の違い

保険料の免除を受けた期間は、納付要件において納付済み期間と同じ扱いになります。一方、未納のまま放置した期間は要件を満たしません。

状態 納付要件での扱い 注意点
保険料納付済み ✅ 納付期間にカウント
全額免除・一部免除 ✅ 納付期間にカウント 初診日に申請が必要
学生納付特例 ✅ 納付期間にカウント 初診日に申請が必要
納付猶予 ✅ 納付期間にカウント 初診日に申請が必要
未納(何もしていない) ❌ 未納期間にカウント 要件を満たせない原因に

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「未納期間があって不安」「自分が納付要件を満たしているか分からない」という方は、当事務所の無料相談をご利用ください。年金事務所への照会も含め、納付状況の確認をサポートいたします。

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要件3:障害認定日要件 – 障害の状態を判定する日

障害認定日とは

障害認定日とは、障害の状態を判定する基準日のことです。原則として、初診日から1年6ヶ月経過した日が障害認定日となります。

この日に、障害等級(1級・2級・3級)に該当する障害状態であれば、障害年金を受給できます。

障害認定日の特例(1年6ヶ月より早まるケース)

一部の傷病や治療では、初診日から1年6ヶ月を待たずに障害認定日が設定されます。下記の表で、主な特例パターンを確認しましょう。

特例ケース 障害認定日
人工透析を開始 透析開始から3ヶ月経過した日
人工骨頭・人工関節を挿入 挿入した日
心臓ペースメーカー・ICD等を装着 装着した日
人工弁を置換 置換した日
人工肛門を造設 造設から6ヶ月経過した日
新膀胱を造設 造設した日
在宅酸素療法を開始 開始した日
脳血管疾患による機能障害 症状固定と判断された日
切断・離断 切断・離断した日
喉頭全摘出 摘出した日
遷延性植物状態 状態に至った日から3ヶ月経過した日
人工血管を挿入 挿入した日

障害認定日に等級に該当しなかった場合:事後重症

障害認定日の時点では等級に該当しなくても、その後に症状が悪化した場合は、事後重症請求という方法で障害年金を受給できます。

事後重症請求では、請求した日から障害年金が支給されます(遡っての支給はありません)。65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。

請求方法 支給開始日 遡及支給
障害認定日請求 障害認定日の翌月 ✅ 最大5年分遡及可能
事後重症請求 請求した日の翌月 ❌ 遡及なし

事後重症請求は、症状が悪化したらできるだけ早く請求することが重要です。請求が遅れると、その分だけ受給開始が遅れてしまいます。

要件4:障害等級要件 – 一定の障害状態に該当するか

障害年金の等級とは

障害年金を受給するには、障害の程度が障害等級に該当する必要があります。障害等級は、障害の重い順に1級・2級・3級があります。

💡 注意:障害者手帳の等級とは別の基準です。手帳を持っていなくても障害年金を受給できますし、逆に手帳を持っていても障害年金が受給できないこともあります。

各等級の認定基準

等級 障害の程度(目安) 受給できる年金
1級 日常生活において、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を足せない程度
(例:両目の視力が0.03以下、両上肢の機能に著しい障害、重度の精神障害など)
障害基礎年金1級
または
障害厚生年金1級+障害基礎年金1級
2級 日常生活が著しく制限される程度
(例:両目の視力が0.07以下、両上肢の機能に相当程度の障害、人工透析中、中等度の精神障害など)
障害基礎年金2級
または
障害厚生年金2級+障害基礎年金2級
3級 労働に著しい制限を受ける程度
(例:一眼の視力が0.06以下、軽度の精神障害、心疾患による労働制限など)
障害厚生年金3級のみ
(国民年金加入者は3級では受給不可)

⚠️ 注意:国民年金(自営業・学生等)の方は、3級では障害年金を受給できません。厚生年金(会社員・公務員等)の方のみ3級でも受給可能です。

対象となる主な傷病

障害年金は、以下のような幅広い傷病が対象となります:

  • 精神疾患:うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害、知的障害、認知症、高次脳機能障害など
  • 内臓疾患:心疾患、腎疾患、肝疾患、呼吸器疾患、糖尿病とその合併症、がんなど
  • 肢体の障害:脳卒中による麻痺、関節リウマチ、脊髄損傷、人工関節など
  • 眼の障害:視力障害、視野障害など
  • 聴覚・平衡機能の障害:難聴、メニエール病など
  • その他:線維筋痛症、慢性疲労症候群、多発性硬化症など

働きながらでも障害年金は受給できる

「働いていると障害年金はもらえない」と誤解されることがありますが、働きながらでも受給可能です。

厚生労働省の調査によると、障害年金受給者の約34%が働きながら受給しています(令和元年障害年金受給者実態調査)。

ただし、精神疾患や内臓疾患の場合、就労状況は審査の判断材料の一つとなります。診断書や申立書で、職場での配慮生活上の支障を具体的に伝えることが重要です。

よくある質問:受給要件でつまずきやすいポイント

障害年金の受給要件に関して、相談時によく寄せられる質問と回答をまとめました。

質問 回答
Q1. 初診日の証明が取れません。どうすればいいですか? カルテが廃棄されている場合でも、「受診状況等証明書が取れない理由書」や「第三者証明」で初診日を証明できる可能性があります。当事務所では、初診日証明の取得支援を行っています。
Q2. 保険料に未納期間があります。もう障害年金は受給できませんか? 未納があっても、「直近1年要件」を満たせば受給できる可能性があります。また、初診日が20歳前であれば納付要件は問われません。まずは納付状況の確認からご相談ください。
Q3. 何歳まで障害年金を請求できますか? 障害認定日請求は年齢制限がありませんが、事後重症請求は65歳の誕生日の前々日までです。できるだけ早めの請求をおすすめします。
Q4. 障害年金は更新が必要ですか? 多くの場合、1~5年ごとに更新(診断書の提出)が必要です。更新時に等級が変わることもあります。永久認定の場合は更新不要です。
Q5. 複数の病気がある場合、どう扱われますか? 主な病気で等級が決まりますが、複数の病気を併合して上位の等級になることもあります。「併合認定」と呼ばれる制度です。

上記以外にも、個別のケースによって対応方法は異なります。ご不明な点があれば、お気軽に当事務所までご相談ください。

まとめ:障害年金の4つの受給要件を理解して、適切な申請を

この記事では、障害年金の4つの受給要件について解説しました:

  1. 初診日要件:年金加入中に初めて医師の診察を受けたか
  2. 保険料納付要件:3分の2要件または直近1年要件を満たしているか
  3. 障害認定日要件:原則は初診日から1年6ヶ月、特例あり
  4. 障害等級要件:1級・2級・3級に該当する障害状態か

これらの要件は一見複雑ですが、「初診日が分からない」「未納期間がある」といった状況でも、諦める必要はありません。適切な対処法を知ることで、受給につながるケースは多くあります。

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