【特発性難聴でも障害年金】片耳だけでも月額最大16万円!受給条件と申請方法を社労士が徹底解説

【特発性難聴でも障害年金】片耳だけでも月額最大16万円!受給条件と申請方法を社労士が徹底解説にタイトルを決定します。
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突然の聴力低下で「仕事が続けられない」「生活が不安」と悩んでいませんか?

特発性難聴は、ある日突然聞こえなくなる病気で、日常生活や仕事に大きな支障をきたします。実は、特発性難聴でも障害年金を受給できる可能性があることをご存じでしょうか。片耳だけの難聴でも、一定の条件を満たせば月額最大16万円以上の障害年金を受け取ることができます。

この記事では、障害年金専門の社会保険労務士が、特発性難聴における受給条件、認定基準、申請方法を分かりやすく徹底解説します。「諦めない障害年金」をコンセプトに、あなたが安心して暮らせる希望への第一歩をサポートいたします。

目次

特発性難聴とは?症状・原因・治療法の基礎知識

特発性難聴は、ある日突然聞こえなくなる聴覚障害です。朝起きたら片耳が聞こえない、電話中に突然音が遠くなったなど、前触れなく発症するため、多くの方が大きな不安を抱えます。まずは特発性難聴の症状・原因・治療法を正しく理解し、障害年金受給への準備を始めましょう。

特発性難聴の主な症状

特発性難聴の最も特徴的な症状は、突然の聴力低下です。多くの場合、片耳だけに発症し、ある朝目覚めたら聞こえない、電話をしていたら突然片耳が聞こえなくなったという形で気づきます。

主な症状として、以下のようなものがあります。

症状 具体的な状態
突然の聴力低下 数時間から数日以内に急激に聞こえなくなる(片耳が多い)
耳鳴り キーン、ジーといった高音や低音の耳鳴りが続く
耳閉感 耳が詰まったような感覚、水が入ったような違和感
めまい 回転性めまいや浮動感を伴うケースがある
音の歪み 音が割れて聞こえる、エコーがかかったように聞こえる

聴力低下の程度は個人差が大きく、軽度の難聴から全く聞こえなくなる高度・重度難聴まで様々です。発症時に「何かおかしい」と気づき、すぐに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

特に注意すべき点は、特発性難聴は突然発症し、進行が早いということです。「少し様子を見よう」と放置してしまうと、治療のタイミングを逃してしまう可能性があります。片耳だけの症状であっても、日常生活や仕事に大きな支障をきたし、音の方向感覚がつかめない、会議や電話対応が困難になるなど、深刻な影響が出ます。

特発性難聴の原因

特発性難聴の明確な原因は、現在の医学でも完全には解明されていません。しかし、いくつかの有力な仮説があり、それらが複合的に関与していると考えられています。

代表的な原因仮説として、以下のようなものがあります。

まず、ウイルス感染説です。ムンプスウイルス(おたふく風邪)、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスなどが内耳に感染し、炎症を起こすことで聴力が低下するという説です。実際に、風邪を引いた後や体調不良の後に発症するケースが多く見られます。

次に、内耳循環障害説です。内耳への血流が何らかの原因で悪化し、酸素や栄養が十分に届かなくなることで、聴覚細胞がダメージを受けるという説です。ストレス、過労、睡眠不足などが血流悪化の引き金になることがあります。

さらに、ストレスや過労との関連性も指摘されています。現代社会では、仕事のプレッシャー、長時間労働、睡眠不足などが慢性的に続くことで、自律神経のバランスが崩れ、内耳の血流が悪化したり、免疫力が低下したりすることが、特発性難聴の発症リスクを高めると考えられています。

原因が特定できないからこそ「特発性」と呼ばれますが、多くの場合、これらの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。いずれにせよ、突然の聴力低下に気づいたら、原因を探る前にまず早急に治療を開始することが最優先です。

特発性難聴の治療法と予後

特発性難聴の治療は、早期開始が何よりも重要です。発症後2週間以内、できれば1週間以内に治療を開始することが、聴力回復の鍵となります。この期間を「ゴールデンタイム」と呼び、この時期を逃すと回復の可能性が大きく低下します。

主な治療法は以下の通りです。

最も一般的なのはステロイド治療です。内耳の炎症を抑え、血流を改善する効果があるとされ、内服薬や点滴で投与されます。入院して集中的に治療を行うケースも多く、数日から2週間程度の入院治療が行われることがあります。

また、高気圧酸素療法も併用されることがあります。高気圧下で酸素を吸入することで、内耳への酸素供給を増やし、聴覚細胞の回復を促す治療法です。ステロイド治療と組み合わせることで、効果が高まるとされています。

その他、血流改善薬やビタミン剤の投与、安静と十分な休養も治療の一環として重要です。

治療後の予後については、一般的に以下のように言われています。

回復度 割合 状態
完全回復 約30〜40% 聴力がほぼ元通りに回復
部分回復 約30〜40% 聴力は改善するが、元には戻らない
不変・悪化 約20〜40% 聴力がほとんど改善しない、または悪化

残念ながら、治療を行っても聴力が完全に回復しないケースも少なくありません。特に、重度の聴力低下、めまいを伴うケース、高齢者、治療開始が遅れた場合などは、回復率が低い傾向にあります。

治療後、聴力がある程度固定した時点(通常は発症後1年6ヶ月後)で、障害の程度を評価し、障害年金の申請を検討することになります。治療を受けても聴力が回復せず、日常生活や仕事に支障が続く場合、障害年金という経済的支援制度があることを知っておいてください。

特発性難聴は突然の発症により、仕事やキャリア、家族との関係など、人生の様々な面に影響を及ぼします。しかし、適切な治療と、必要に応じた障害年金の受給により、安心して暮らしていける希望を持つことができます。治療と並行して、経済的な不安を軽減する準備を始めることも大切です。

特発性難聴で障害年金は受給できる!3つの受給条件を解説

「特発性難聴でも本当に障害年金はもらえるの?」という不安を抱えている方も多いでしょう。答えは「はい、受給できます」。ただし、3つの受給条件を満たす必要があります。ここでは、初診日要件・保険料納付要件・障害状態要件について、分かりやすく解説します。

障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障が出た方を経済的に支援する公的な制度です。特発性難聴のような聴覚障害も、もちろん障害年金の対象となります。しかし、誰でも無条件に受給できるわけではなく、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

要件 内容
①初診日要件 初診日に国民年金または厚生年金に加入していたこと
②保険料納付要件 一定期間、年金保険料を納めていたこと
③障害状態要件 障害認定日に、障害等級に該当する状態であること

それぞれの要件について、詳しく見ていきましょう。

初診日要件|特発性難聴で初めて医療機関を受診した日の証明

初診日要件とは、特発性難聴で初めて医療機関を受診した日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していたことを証明する必要があるという条件です。

初診日は障害年金申請において極めて重要な日付です。なぜなら、この日にどの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)が決まるからです。

具体的には、以下のような状況であれば初診日要件を満たします。

会社員や公務員として働いており、厚生年金に加入していた場合、初診日に厚生年金加入者であれば「障害厚生年金」の対象となります。自営業者や学生、無職などで国民年金に加入していた場合は、「障害基礎年金」の対象となります。

また、20歳前に初診日がある場合は、年金に加入していなくても「20歳前傷病による障害基礎年金」を受給できる可能性があります。60歳以上65歳未満で、年金に加入していないが日本国内に住所がある場合も、対象となることがあります。

初診日の証明方法ですが、多くの場合、初診日を証明するために「受診状況等証明書」という書類を、初診時の医療機関に作成してもらう必要があります。この書類には、いつ・どの病院で・どのような症状で初めて受診したかが記載されます。

ただし、初診から時間が経過していると、カルテが廃棄されていたり、病院が閉院していたりして、証明が困難なケースもあります。そのような場合でも、診察券、お薬手帳、健康保険の給付記録などを用いて初診日を推定する方法があります。「証明できないから無理」と諦めず、専門家に相談することで解決策が見つかることもあります。

保険料納付要件|年金保険料の納付状況を確認

保険料納付要件とは、初診日の前日までに、一定期間以上の年金保険料を納めていたことを証明する必要があるという条件です。

これは「年金保険料をきちんと納めてきた人が、いざという時に支援を受けられる」という年金制度の基本的な考え方に基づいています。

保険料納付要件には、2つの判定方法があります。

判定方法 条件
原則 初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること
特例(直近1年要件) 初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと(初診日が2026年4月1日前にある場合で、初診日に65歳未満の場合)

多くの方は、特例の「直近1年要件」を満たすケースが多いです。つまり、初診日の前々月から遡って1年間、保険料の未納がなければ、この要件をクリアできます。

会社員や公務員の方は、給与から厚生年金保険料が天引きされているため、ほとんどの場合この要件を満たしています。自営業や学生、無職期間があった方でも、国民年金保険料をきちんと納めていたり、免除・猶予の手続きを取っていれば問題ありません。

もし過去に未納期間がある場合でも、「納付済期間+免除期間が3分の2以上」という原則要件を満たしていれば大丈夫です。また、20歳前に初診日がある場合は、この要件は問われません。

「保険料を納めていない期間があるから無理かも…」と思っている方も、まずは年金事務所や専門家に納付状況を確認してもらうことをお勧めします。思っていたよりも条件を満たしているケースは多いのです。

障害状態要件|聴力レベルが認定基準を満たしているか

障害状態要件とは、障害認定日において、法律で定められた障害等級の状態に該当していることという条件です。

障害認定日とは、原則として「初診日から1年6ヶ月を経過した日」のことを指します。特発性難聴の場合、発症して治療を受けた後、聴力がある程度固定した時点で、障害の程度を評価します。

ただし、1年6ヶ月を待たずに症状が固定したと医学的に判断された場合は、その時点が障害認定日となることもあります。

障害年金には、1級・2級・3級という等級があり、聴覚障害の場合、聴力レベル(デシベル:dB)や語音明瞭度によって等級が判定されます。具体的な認定基準については、次の章で詳しく解説しますが、おおまかに言うと以下のような基準があります。

両耳の聴力レベルが70dB以上の場合、障害等級に該当する可能性があります。片耳が90dB以上の高度難聴で、もう片方の耳も一定程度の聴力低下がある場合も対象となります。さらに、片耳だけが90dB以上の難聴であっても、3級(厚生年金加入者のみ)に該当する可能性があります。

「片耳は聞こえるから無理だろう」「補聴器を使っているから対象外では?」と思っている方も多いのですが、実際には片耳難聴でも条件を満たせば受給できますし、補聴器の使用は受給を妨げません。

大切なのは、あなたの聴力レベルが認定基準を満たしているかどうかを、正確な検査結果に基づいて判断することです。次の章では、具体的な等級と認定基準について、デシベル数を含めて詳しく解説していきます。

【3つの要件を満たせば受給できる】

これら3つの要件をすべて満たしていれば、特発性難聴でも障害年金を受給できます。多くの方が「自分は対象外だろう」と思い込んでいますが、実際に調べてみると条件を満たしているケースは少なくありません。

「諦めない障害年金」――それは、複雑な制度に不安を感じながらも、希望を持って一歩を踏み出すことから始まります。まずは自分が3つの要件を満たしているかを確認し、受給の可能性を探ってみることが大切です。次の章では、最も気になる「どの程度の難聴で認定されるのか」という具体的な基準について、詳しく見ていきましょう。

【重要】片耳だけでも対象!特発性難聴の障害等級と認定基準

「片耳だけの難聴でも障害年金はもらえるの?」これは最も多い質問の一つです。答えは「はい、条件を満たせば受給できます」。ここでは、聴力レベル(デシベル)による具体的な認定基準を、等級別に詳しく解説します。あなたの聴力が基準を満たしているか、確認してみましょう。

障害年金の聴覚障害は、聴力レベル(デシベル:dB)語音明瞭度(言葉の聞き取り能力)によって等級が判定されます。特発性難聴の場合、片耳だけの難聴でも、一定の基準を満たせば障害年金の対象となることが重要なポイントです。

障害等級には1級・2級・3級があり、等級によって受給できる金額が異なります。3級は厚生年金加入者のみが対象となり、国民年金加入者は1級または2級のみが対象です。それでは、具体的な認定基準を見ていきましょう。

障害等級1級・2級・3級の認定基準(聴力レベル別)

聴覚障害の認定基準は、両耳の聴力レベル、片耳の聴力レベル、そして語音明瞭度によって細かく定められています。まずは全体像を表で確認してみましょう。

障害等級 認定基準
1級 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
2級 ①両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの
3級 ①両耳の聴力レベルが70デシベル以上のもの
②一側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
障害手当金
(一時金)
一側耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
※厚生年金加入者のみ。年金ではなく一時金として支給

この表を見ると、片耳だけが90デシベル以上の難聴でも、障害手当金や3級の対象となる可能性があることが分かります。それでは、両耳と片耳のケースに分けて、より詳しく見ていきましょう。

両耳の聴力レベルによる認定基準

両耳に聴力低下がある場合、聴力レベルの程度によって等級が決まります。

1級に該当するケースは、両耳の聴力レベルが100デシベル以上の場合です。これは、ほぼ全ての音が聞こえない状態で、最も重度の聴覚障害に該当します。両耳とも重度の特発性難聴を発症した場合や、両側性の難聴が進行した場合がこれに当たります。

2級に該当するケースは2つあります。1つ目は、両耳の聴力レベルが90デシベル以上の場合です。これは高度難聴と呼ばれる状態で、大きな声でも聞き取りが困難なレベルです。2つ目は、両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下の場合です。語音明瞭度については後ほど詳しく解説しますが、簡単に言えば「言葉の聞き取り能力」のことです。聴力レベルが80デシベル台でも、言葉が聞き取れない状態であれば2級に該当する可能性があります。

3級に該当するケースも2つあります。1つ目は、両耳の聴力レベルが70デシベル以上の場合です。これは中等度から高度の難聴に相当し、日常会話が困難なレベルです。認定基準では「40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度」と表現されています。つまり、耳元で大きな声で話してもらわないと聞き取れない状態です。

ここで重要なのは、3級は厚生年金加入者のみが対象であるという点です。国民年金加入者の場合、両耳の聴力レベルが70デシベル以上でも、90デシベル未満であれば障害年金の対象とはなりません。これは制度上の違いであり、会社員として働いていた方は3級でも受給できる可能性があるということです。

片耳の聴力レベルによる認定基準

「片耳だけの難聴でも障害年金はもらえるのか?」という疑問に対する答えがここにあります。結論から言えば、片耳だけでも一定の条件を満たせば受給できます

3級に該当するケース(片耳難聴)は、一側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上の場合です。これは、片方の耳が高度難聴(90dB以上)で、もう片方の耳も中等度難聴(50dB以上)である状態を指します。

具体例を挙げると、右耳が特発性難聴で90デシベルの聴力低下があり、左耳も加齢や他の原因で50デシベル以上の聴力低下がある場合、この基準を満たします。片耳だけが聞こえないわけではなく、両耳ともある程度の聴力低下がある状態です。

障害手当金(一時金)の対象となるケースは、一側耳の聴力レベルが90デシベル以上の場合です。これは、片耳だけが高度難聴で、もう片方の耳は正常または軽度の聴力低下という状態です。障害手当金は年金ではなく一時金として支給されるもので、厚生年金加入者のみが対象となります。

例えば、右耳だけが特発性難聴で90デシベル以上の聴力低下があり、左耳は正常という場合、障害手当金の対象となる可能性があります。金額は障害等級3級の年金額の2年分(最低保障額あり)が一時金として支給されます。

ここで大切なのは、「片耳だけだから無理」と諦めないことです。片耳が90デシベル以上の高度難聴であれば、もう片方の耳の状態によって3級または障害手当金の対象となる可能性があります。また、両耳とも聴力低下がある場合は、より高い等級(2級や1級)に該当する可能性もあります。

片耳の状態 もう片方の耳の状態 対象となる可能性
90dB以上 50dB以上 3級(厚生年金のみ)
90dB以上 50dB未満(軽度難聴や正常) 障害手当金(厚生年金のみ・一時金)
90dB未満 どの程度でも 基準に該当せず

聴力レベル(デシベル)の測定方法と検査の流れ

聴力レベルは、純音聴力検査という検査で測定されます。これは耳鼻咽喉科で行われる標準的な検査で、様々な高さの音(周波数)をどの程度の大きさ(デシベル)で聞き取れるかを測定します。

検査は防音室の中で行われます。ヘッドホンを装着し、様々な高さの「ピー」という音が流れます。音が聞こえたらボタンを押すか手を挙げて合図をします。音の大きさを少しずつ変えながら、どの大きさから聞こえるかを測定していきます。

測定される周波数は、通常500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzの4つです。これらの周波数での聴力レベルを測定し、その平均値を「平均純音聴力レベル」として算出します。障害年金の認定では、この平均値が使用されます。

聴力レベル 程度 日常生活への影響
25dB未満 正常 問題なく聞こえる
25〜40dB 軽度難聴 小さな声や遠くの音が聞き取りにくい
40〜70dB 中等度難聴 普通の会話が聞き取りにくい
70〜90dB 高度難聴 大きな声でないと聞き取れない
90dB以上 重度難聴 耳元の大きな声でも聞き取れないことがある

特発性難聴の場合、発症直後は聴力が不安定なこともありますが、障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)の時点で、症状が固定した状態での聴力レベルが評価されます。

検査を受ける際は、できるだけ正確に自分の聞こえ方を表現することが重要です。「少しでも聞こえた気がする」という曖昧な反応ではなく、「確実に聞こえた」時だけ合図をするようにしてください。過度に良く見せようとせず、ありのままの聴力を測定してもらうことが、適正な認定につながります。

語音明瞭度とは?言葉の聞き取り能力も評価対象

聴力レベル(デシベル)だけでなく、語音明瞭度も障害等級の判定に使用されることがあります。語音明瞭度とは、言葉をどの程度正確に聞き取れるかを示す指標です。

語音明瞭度検査では、ヘッドホンから流れる言葉(単音節や単語)を聞き取り、復唱します。例えば「あ」「か」「さ」といった音や、「いぬ」「ねこ」といった単語が流れます。100個の音を聞いて、そのうち何個正確に聞き取れたかをパーセント(%)で表します。

先ほどの認定基準で、「両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下」という条件がありました。これは、聴力レベルが80デシベル台でも、言葉の聞き取り能力が著しく低下していれば2級に該当する可能性があるということです。

特発性難聴の場合、単に音が小さく聞こえるだけでなく、音が歪んで聞こえたり、言葉が不明瞭に聞こえたりすることがあります。そのため、聴力レベルだけでは測れない「言葉の聞き取りにくさ」を、語音明瞭度検査で評価します。

診断書を作成してもらう際は、純音聴力検査だけでなく、語音明瞭度検査も受けておくことをお勧めします。特に、聴力レベルが80デシベル前後で2級に該当するかどうか微妙なラインにある場合、語音明瞭度の結果が認定に大きく影響することがあります。

【認定基準を理解することで希望が見える】

この章では、特発性難聴における具体的な認定基準を詳しく解説しました。重要なポイントをまとめると、以下の通りです。

両耳の聴力レベルが70デシベル以上であれば、3級以上に該当する可能性があります。片耳だけが90デシベル以上でも、もう片方の耳の状態によっては3級または障害手当金の対象となります。聴力レベルだけでなく、語音明瞭度も評価の対象となります。

「自分の聴力レベルがどの程度なのか」「基準を満たしているのか」を正確に把握することが、障害年金受給への第一歩です。もし基準に該当する、または該当する可能性がある場合は、諦めずに申請準備を進めていきましょう。次の章では、実際に月額いくら受給できるのか、等級別の具体的な金額について解説します。

月額いくらもらえる?特発性難聴の障害年金受給額を完全解説

「実際にいくらもらえるの?」これは最も気になるポイントです。障害年金の受給額は、等級と加入していた年金制度によって大きく異なります。国民年金と厚生年金、それぞれのケースで具体的な金額を分かりやすく解説します。生活設計の参考にしてください。

障害年金の受給額は、障害等級(1級・2級・3級)加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)によって決まります。結論から言うと、月額約5万円から16万円以上まで、かなりの幅があります。

ここでは、2025年度(令和7年度)の金額をもとに、それぞれのケースでの受給額を詳しく見ていきましょう。なお、年金額は毎年度改定されるため、実際の申請時には最新の金額を確認してください。

障害基礎年金(国民年金)の受給額

障害基礎年金は、国民年金に加入していた方が受給できる年金です。自営業者、学生、無職の方、または20歳前に初診日がある方などが対象となります。

障害基礎年金の特徴は、定額制であることです。つまり、過去の収入や納付額に関係なく、等級によって一律の金額が支給されます。

1級の受給額(月額約8.5万円)

障害基礎年金1級の年金額は、年額1,020,000円です。これを月額に換算すると、約85,000円となります。

1級は両耳の聴力レベルが100デシベル以上という、最も重度の聴覚障害が該当します。特発性難聴で両耳とも重度の難聴となった場合、この金額を受給できます。

2級の受給額(月額約6.8万円)

障害基礎年金2級の年金額は、年額816,000円です。月額に換算すると、約68,000円となります。

2級は両耳の聴力レベルが90デシベル以上、または平均聴力レベル80デシベル以上で語音明瞭度30%以下などの基準があります。特発性難聴で両耳に高度難聴がある場合、この金額を受給できます。

子の加算額

障害基礎年金には、18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子がいる場合、子の加算額が上乗せされます。

対象 加算額(年額) 月額換算
第1子・第2子 各234,800円 各約19,567円
第3子以降 各78,300円 各約6,525円

例えば、2級の障害基礎年金を受給していて、18歳未満の子どもが2人いる場合の受給額は以下のようになります。

計算例:

  • 基本額(2級):816,000円
  • 第1子加算:234,800円
  • 第2子加算:234,800円
  • 合計:1,285,600円(年額)= 約107,133円(月額)

子どもがいる家庭では、この加算によって月額10万円以上の受給となり、家計の大きな支えになります。

等級 本人のみ 子1人 子2人
1級 約85,000円/月 約104,567円/月 約124,133円/月
2級 約68,000円/月 約87,567円/月 約107,133円/月

障害厚生年金の受給額

障害厚生年金は、会社員や公務員として厚生年金に加入していた方が受給できる年金です。障害基礎年金に上乗せされる形で支給されるため、受給額が大幅に増えるのが特徴です。

障害厚生年金は、報酬比例で計算されます。つまり、過去の給与額や加入期間によって金額が変わるため、人によって受給額は異なります。ここでは、平均的な会社員のケースを例に解説します。

1級・2級の受給額(月額10万円〜16万円以上)

障害厚生年金の1級・2級の場合、障害基礎年金 + 障害厚生年金(報酬比例部分)の合計額が支給されます。

障害厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式で算出されます。

報酬比例部分 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 被保険者期間の月数
(1級の場合はこの金額の1.25倍)

※被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月として計算されます。

具体的な金額は個人の給与や加入期間によって異なりますが、一般的な会社員の例を示すと以下のようになります。

【モデルケース①:平均年収400万円・勤続15年の場合】

  • 障害基礎年金2級:約68,000円/月
  • 障害厚生年金(報酬比例部分):約40,000円/月
  • 合計:約108,000円/月

【モデルケース②:平均年収550万円・勤続20年の場合】

  • 障害基礎年金2級:約68,000円/月
  • 障害厚生年金(報酬比例部分):約70,000円/月
  • 合計:約138,000円/月

【モデルケース③:平均年収600万円・勤続25年・1級の場合】

  • 障害基礎年金1級:約85,000円/月
  • 障害厚生年金(報酬比例部分・1級):約83,000円/月
  • 合計:約168,000円/月

このように、厚生年金加入者の場合、過去の収入や勤続年数によって受給額が大きく変わります。一般的には、月額10万円から16万円程度を受給できるケースが多いです。

3級の受給額(月額約6.5万円〜)

障害厚生年金3級は、厚生年金加入者のみが対象で、障害基礎年金は支給されません。障害厚生年金のみの支給となります。

3級にも報酬比例で計算されますが、最低保障額が設定されています。2025年度の最低保障額は年額612,000円(月額約51,000円)です。

報酬比例部分で計算した金額がこの最低保障額を下回る場合でも、最低保障額が支給されるため安心です。

ケース 月額受給額
最低保障額 約51,000円
平均年収400万円・勤続15年 約65,000円
平均年収550万円・勤続20年 約80,000円

片耳が90デシベル以上で、もう片方の耳も50デシベル以上の聴力低下がある場合、この3級に該当する可能性があります。月額5万円以上の受給は、生活費や治療費の補助として大きな助けとなります。

配偶者加給年金

障害厚生年金の1級または2級を受給している方に、65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が上乗せされます。

配偶者加給年金額(2025年度):年額234,800円(月額約19,567円)

ただし、配偶者が老齢厚生年金や障害年金を受給している場合、または年収が850万円以上ある場合は支給されません。

例えば、2級の障害厚生年金を月額12万円受給していて、配偶者がいる場合、配偶者加給年金を含めると月額約13.9万円となります。

【受給額早見表】等級別・年金種別の受給額まとめ

ここまでの内容を、分かりやすく表にまとめました。

等級 国民年金のみ 厚生年金(本人のみ) 厚生年金(配偶者あり)
1級 約85,000円 約100,000〜168,000円 約120,000〜188,000円
2級 約68,000円 約80,000〜150,000円 約100,000〜170,000円
3級 対象外 約51,000〜100,000円 配偶者加給なし

※厚生年金の金額は、過去の給与や勤続年数によって個人差があります。

【子の加算がある場合の例(2級・国民年金)】
家族構成 月額受給額
本人のみ 約68,000円
本人+子1人 約87,567円
本人+子2人 約107,133円
本人+子3人 約113,658円

【受給額を知ることで、生活設計が見えてくる】

この章では、障害年金の具体的な受給額について詳しく解説しました。特発性難聴で障害年金を受給できた場合、国民年金加入者で月額約6.8万円〜8.5万円、厚生年金加入者で月額約10万円〜16万円以上を受け取ることができます。

もちろん、これだけで全ての生活費を賄うことは難しいかもしれません。しかし、収入が減った時、働けなくなった時、医療費がかさむ時、この年金があることで経済的な不安が大きく軽減されます。

住宅ローンの支払い、子どもの教育費、日々の生活費――これらの不安を少しでも和らげ、安心して治療に専念できる環境を整えることが、障害年金の大きな目的です。次の章では、実際に申請するために必要な書類と準備について、詳しく解説していきます。

特発性難聴の障害年金申請に必要な書類と準備のポイント

障害年金の申請には、様々な書類が必要です。特に重要なのが診断書と初診日の証明です。書類の準備で躓いてしまい、申請を諦めてしまう方も少なくありません。ここでは、必要書類の全体像と、スムーズに準備を進めるためのポイントを分かりやすく解説します。

障害年金の申請は、多くの書類を揃える必要があり、初めての方には複雑に感じられるかもしれません。しかし、一つひとつの書類の役割と準備方法を理解すれば、決して難しいものではありません。

ここでは、特発性難聴で障害年金を申請する際に必要となる書類と、その準備のポイントについて詳しく解説します。書類の不備は審査の遅れや不支給の原因となるため、正確に準備することが重要です。

必須書類一覧

障害年金の申請に必要な主な書類は、以下の通りです。すべての書類を揃えて、年金事務所または年金相談センターに提出します。

書類名 誰が作成するか 役割
年金請求書 本人 障害年金を請求するための申請書
診断書(聴覚の障害用) 医師 現在の聴力状態を証明する最重要書類
受診状況等証明書 初診時の医療機関 初診日を証明する書類
病歴・就労状況等申立書 本人 発症から現在までの経過と生活状況を記載
年金手帳または基礎年金番号通知書 本人 年金加入記録を確認するため
戸籍謄本または住民票 本人 本人確認と家族構成の確認
医師の診察券・お薬手帳のコピー 本人 初診日の参考資料(必要に応じて)
振込先口座の通帳コピー 本人 年金の振込先を指定
印鑑 本人 書類への押印

これらの書類の中でも、特に重要なのが「診断書」「受診状況等証明書」「病歴・就労状況等申立書」の3つです。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

診断書(聴覚の障害用)

診断書は、障害年金申請において最も重要な書類です。あなたの現在の聴力状態が、障害等級の認定基準を満たしているかどうかは、この診断書に基づいて判断されます。

診断書は、障害認定日の状態を記載してもらいます。障害認定日とは、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日です。つまり、特発性難聴を発症して治療を受けた後、1年6ヶ月経過した時点での聴力状態を診断書に記載してもらうことになります。

ただし、症状が固定したと医学的に判断された場合は、1年6ヶ月を待たずにその時点が障害認定日となることもあります。

診断書の様式は、障害の種類によって異なり、聴覚障害の場合は「聴覚の障害用」という専用の診断書を使用します。この様式は、日本年金機構のホームページからダウンロードできますし、年金事務所でも入手できます。

診断書に記載される主な内容は以下の通りです。

純音聴力検査の結果が記載されます。これは、500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzの各周波数での聴力レベル(デシベル)と、その平均値です。この数値が認定基準の最も重要な判断材料となります。

語音明瞭度検査の結果も記載されます。言葉の聞き取り能力を示すパーセンテージで、この数値も等級判定に影響します。

補聴器の使用状況についても記載されます。補聴器を使用しているか、使用している場合の効果はどうかなどが記載されます。

日常生活の支障についても記載欄があります。電話の使用、会話、テレビの視聴など、日常生活でどのような困難があるかを医師が記載します。

診断書作成のポイントについては、次のh2-7で詳しく解説しますが、医師に日常生活の困難さを具体的に伝え、実態を正確に反映してもらうことが重要です。

診断書の作成費用は、医療機関によって異なりますが、一般的に5,000円〜10,000円程度です。

受診状況等証明書(初診日の証明)

受診状況等証明書は、初診日を証明するための書類です。特発性難聴で初めて医療機関を受診した日を、その医療機関に証明してもらいます。

初診日は、障害年金において極めて重要な日付です。この日にどの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)が決まるからです。

受診状況等証明書が必要なケースは、初診の医療機関と診断書を作成する医療機関が異なる場合です。例えば、最初は近所の耳鼻咽喉科で診察を受け、その後大学病院に転院して治療を継続したというケースでは、最初の耳鼻咽喉科で受診状況等証明書を作成してもらい、大学病院で診断書を作成してもらうことになります。

逆に、初診から現在まで同じ医療機関で治療を受けている場合は、受診状況等証明書は不要です。診断書を作成する医療機関が初診日も証明できるためです。

受診状況等証明書に記載される内容は、初診日(いつ初めて受診したか)、傷病名(特発性難聴など)、初診時の症状、転医先の医療機関名(転院した場合)などです。

証明が困難なケースへの対応も知っておく必要があります。初診から長年経過していると、カルテが廃棄されていたり、医療機関が閉院していたりして、証明が困難な場合があります。そのような場合でも諦める必要はありません。

代替資料として、診察券、お薬手帳、医療費の領収書、健康保険の給付記録(レセプト)、通院していたことを証明する第三者の証言などを用いて、初診日を推定することができます。また、「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を提出し、なぜ証明書が取得できないのか、初診日をどのように推定したのかを説明します。

初診日の証明は、専門家のサポートが特に有効な部分です。証明が難しいケースでも、様々な方法で初診日を確定できる可能性があります。

病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書は、本人が作成する書類で、発症から現在までの病状の経過、治療の状況、日常生活や仕事への影響などを詳しく記載します。

この申立書は、診断書だけでは伝わらない、あなた自身の生活実態を審査する側に伝えるための重要な書類です。数値だけでは表現できない、日常生活の困難さや、病気によって失われたものを、具体的に記載することができます。

申立書に記載する主な内容は以下の通りです。

発症時の状況として、いつ、どのような症状に気づいたか、どのような経緯で医療機関を受診したかを記載します。例えば、「令和○年○月○日の朝、起床時に右耳が全く聞こえないことに気づき、同日、○○耳鼻咽喉科を受診した」といった具体的な記載が求められます。

治療の経過については、どの医療機関でどのような治療を受けたか、入院の有無、治療の効果はどうだったかを時系列で記載します。

日常生活への影響も重要です。家族との会話、電話の使用、テレビや音楽の視聴、外出時の困難、睡眠への影響など、聴力低下によって生活のどの部分に支障が出ているかを具体的に記載します。

仕事への影響については、発症前と発症後で仕事にどのような変化があったか、休職や退職の有無、業務内容の変更、収入の変化などを記載します。

申立書作成のポイントは、できるだけ具体的に書くことです。「生活に支障がある」という抽象的な表現ではなく、「会議で右側からの発言が聞き取れず、内容を理解できないことが多い」「家族との夕食時、右側に座る妻の声が聞こえず、何度も聞き返してしまう」といった具体的な場面を記載することで、実態が伝わりやすくなります。

また、過度に症状を誇張する必要はありませんが、遠慮して軽く書きすぎないことも大切です。本当に困っていることを、正直に、具体的に記載してください。

その他の添付書類

上記の3つの書類以外にも、いくつかの書類が必要です。

年金請求書は、障害年金を請求するための申請書で、年金事務所で入手できます。基本的な個人情報、家族構成、年金加入歴などを記入します。

年金手帳または基礎年金番号通知書は、年金加入記録を確認するために必要です。マイナンバーカードでも代用できる場合があります。

戸籍謄本または住民票は、本人確認と家族構成の確認のために必要です。配偶者や子どもがいる場合、加算額の判定にも使用されます。

振込先口座の通帳コピーは、年金の受取口座を指定するために必要です。本人名義の口座を指定します。

その他、状況に応じて追加の書類が必要になることもあります。例えば、所得証明書(障害者手当金の場合)、障害者手帳のコピー(持っている場合)などです。

書類準備で注意すべきポイント

書類を準備する際に、特に注意すべきポイントをまとめます。

早めに準備を始めることが重要です。診断書や受診状況等証明書は、医療機関に作成を依頼してから受け取るまでに数週間かかることがあります。また、初診日の証明が困難な場合は、さらに時間がかかることもあります。障害認定日が近づいてきたら、早めに準備を開始しましょう。

診断書の内容を確認することも大切です。診断書を受け取ったら、必ず内容を確認してください。聴力レベルの数値、検査日、日常生活の支障などが正確に記載されているか、チェックします。もし記載に誤りや不足がある場合は、医師に訂正や追記をお願いすることができます。

コピーを取っておくことも忘れずに。提出前に、すべての書類のコピーを取っておきましょう。万が一書類が紛失した場合や、不支給となって再申請する場合に、コピーが役立ちます。

提出方法の確認も必要です。書類は、年金事務所または年金相談センターの窓口に持参するか、郵送で提出します。窓口に持参する場合は、書類の不備をその場で確認してもらえるメリットがあります。郵送の場合は、簡易書留など記録が残る方法で送付しましょう。

専門家への相談を検討することも選択肢です。書類の準備は複雑で、特に初診日の証明や病歴申立書の作成は、専門的な知識が必要です。社会保険労務士に依頼すれば、書類の準備から提出までを代行してもらえます。また、診断書の内容についてのアドバイスや、医師への説明のサポートも受けられます。

【書類準備は申請の第一歩】

書類の準備は、障害年金受給への第一歩です。確かに手間はかかりますが、一つひとつ丁寧に準備していけば、決して越えられない壁ではありません。

もし書類準備に不安を感じたり、初診日の証明が困難だったりする場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することをお勧めします。「諦めない障害年金」――適切なサポートを受けることで、複雑な手続きもスムーズに進められます。

次の章では、申請から受給までの具体的な流れと期間について解説します。

申請から受給までの流れ|特発性難聴のケース別タイムライン

「申請してからどのくらいで年金がもらえるの?」「いつ申請できるの?」という疑問にお答えします。申請のタイミングから受給開始までの流れ、そして受給後の更新手続きまで、時系列で分かりやすく解説します。見通しを持つことで、安心して準備を進められます。

障害年金の申請から受給までには、いくつかの段階があり、一定の期間がかかります。また、申請できるタイミングも決まっています。ここでは、特発性難聴のケースを例に、申請から受給までの流れと期間について詳しく解説します。

申請可能な時期|初診日から1年6ヶ月後が原則

障害年金を申請できる時期は、障害認定日以降です。障害認定日とは、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日のことを指します。

なぜ1年6ヶ月という期間が設けられているかというと、障害の状態が固定し、今後の回復見込みを判断できる期間として設定されているためです。特発性難聴の場合、発症直後は治療によって聴力が回復する可能性がありますが、1年6ヶ月経過すれば、ほぼ症状が固定し、これ以上の大きな改善は見込めないと判断されます。

【申請可能時期の基本パターン】
初診日 障害認定日 申請可能時期
令和5年1月15日 令和6年7月15日 令和6年7月15日以降いつでも
令和5年6月1日 令和6年12月1日 令和6年12月1日以降いつでも

ただし、症状が早期に固定したと医学的に判断された場合は、1年6ヶ月を待たずに申請できることもあります。例えば、特発性難聴で治療を行ったものの、発症から6ヶ月後に医師が「これ以上の回復は見込めない」と判断した場合、その時点を障害認定日として申請できる可能性があります。

また、遡及請求(そきゅうせいきゅう)という制度もあります。これは、障害認定日から時間が経過してから申請する場合、障害認定日まで遡って年金を受給できる制度です。最大で過去5年分まで遡って受給できます。

例えば、令和5年1月15日が初診日で、障害認定日が令和6年7月15日だったとします。しかし、障害年金制度を知らずに令和8年7月に申請した場合でも、障害認定日時点の診断書を取得できれば、令和6年7月15日まで遡って年金を受給できます。この場合、約2年分の年金が一括で支給されます。

「もう何年も経ってしまったから今更無理」と諦める必要はありません。遡及請求という制度があるため、気づいた時点で申請すれば、過去の分も受け取れる可能性があります。

申請から受給決定までの期間(3〜6ヶ月が目安)

書類を提出してから受給決定の通知が届くまでの期間は、通常3ヶ月から6ヶ月程度です。ただし、これはあくまで目安であり、審査の状況や提出書類の内容によって前後します。

申請から受給までの流れを、時系列で見てみましょう。

【申請から受給までの流れとタイムライン】
段階 内容 期間の目安
①書類準備 診断書、受診状況等証明書、申立書等を準備 1〜2ヶ月
②書類提出 年金事務所に書類を提出
③審査開始 日本年金機構で書類審査開始
④認定審査 障害認定基準に基づいて等級判定 提出後3〜6ヶ月
⑤結果通知 年金証書または不支給決定通知書が郵送される
⑥年金支給開始 認定された場合、受給開始(年6回、偶数月に支給) 決定後1〜2ヶ月

書類を提出すると、日本年金機構で審査が行われます。審査では、提出された診断書、病歴申立書、受診状況等証明書などをもとに、障害認定基準に該当するかどうかが判定されます。

審査の結果、認定された場合は「年金証書」が郵送されます。年金証書には、認定された等級、年金額、支給開始年月などが記載されています。この証書が届いたら、晴れて障害年金の受給が決定したことになります。

一方、残念ながら不支給となった場合は、「不支給決定通知書」が届きます。この場合でも、諦める必要はありません。決定に不服がある場合は、「審査請求」という不服申立ての制度があります。これについては、h2-9で詳しく解説します。

年金の支給は、年6回、偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、前月までの2ヶ月分が振り込まれます。例えば、4月15日には2月分と3月分が振り込まれます。

遡及請求で認定された場合、過去の分の年金は、初回の振込時に一括で支給されます。2年分や3年分が一度に振り込まれるため、まとまった金額となり、経済的に大きな助けとなります。

審査期間が長くなるケースもあります。書類に不備や不足がある場合、追加の資料提出を求められることがあります。この場合、審査期間が延びる可能性があります。また、初診日の証明が困難で、複数の資料を精査する必要がある場合も、時間がかかることがあります。

そのため、最初から正確で充実した書類を提出することが、スムーズな審査につながります。専門家のサポートを受けることで、一度の提出で認定される確率が高まります。

受給開始後の更新手続き(有期認定の場合)

障害年金を受給できた後も、注意すべき点があります。それは、有期認定の場合は更新手続きが必要だということです。

障害年金の認定には、永久認定有期認定の2種類があります。

永久認定とは、今後症状が改善する見込みがなく、障害の状態が一生続くと判断された場合の認定です。この場合、更新手続きは不要で、一度認定されれば基本的にずっと年金を受給し続けることができます。

有期認定とは、症状が改善する可能性があると判断された場合の認定です。この場合、1年から5年程度の期間を区切って認定され、その期間が終了する前に再度診断書を提出して、更新手続きを行う必要があります。

特発性難聴の場合、若年者で発症した場合や、補聴器の効果がある程度期待できる場合などは、有期認定となることがあります。一方、高齢で発症し、治療によっても全く改善しなかった場合などは、永久認定となる可能性が高くなります。

【永久認定と有期認定の違い】
種類 認定期間 更新手続き 該当例
永久認定 期間の定めなし 不要 症状の改善見込みがない重度の障害
有期認定 1〜5年程度 必要 症状の改善可能性がある障害

有期認定の場合、更新時期が近づくと、日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」の提出を求める通知が届きます。この通知に記載された期限までに、最新の診断書を提出する必要があります。

更新時の診断書でも、聴力レベルや日常生活の支障などが再度評価されます。症状が変わらなければ、同じ等級で更新されます。もし症状が悪化していれば、等級が上がる(例:3級→2級)こともあります。逆に、聴力が改善していれば、等級が下がったり、支給停止となったりすることもあります。

ただし、特発性難聴の場合、一度固定した聴力が大きく改善することは稀です。そのため、多くのケースでは更新時も同じ等級で継続して受給できます。

更新手続きで注意すべき点は、期限を守ることです。診断書の提出期限を過ぎてしまうと、年金の支給が一時的に停止されることがあります。通知が届いたら、速やかに医療機関に診断書作成を依頼し、期限内に提出しましょう。

また、更新時の診断書作成も、初回と同様に重要です。日常生活の困難さや、補聴器を使用しても改善しない状況などを、医師にしっかり伝えることが大切です。

【見通しを持つことで安心して準備できる】

この章では、申請から受給までの流れと期間について解説しました。重要なポイントをまとめると、以下の通りです。

申請は原則として初診日から1年6ヶ月後以降に可能です。遡及請求により、過去5年分まで遡って受給できる可能性があります。申請から受給決定まで3〜6ヶ月程度かかります。有期認定の場合は、定期的な更新手続きが必要です。

申請から受給までには時間がかかりますが、一つひとつのステップを理解し、丁寧に準備を進めていけば、必ず結果につながります。「いつ申請できるのか」「どのくらいで受給できるのか」という見通しを持つことで、不安が軽減され、前向きに準備を進めることができます。

次の章では、診断書作成において最も重要な「医師に何をどう伝えるか」について、詳しく解説します。

診断書作成のポイント|医師に正確に伝えるべき日常生活の困難さ

診断書は障害年金審査の最重要書類です。しかし、医師は検査数値は把握していても、あなたの日常生活の困難さまでは十分に理解していないことがあります。認定につながる診断書を作成してもらうために、医師に何をどう伝えるべきか、具体的に解説します。

診断書は、障害年金の認定において最も重要な書類です。審査では、この診断書に記載された内容をもとに、障害等級に該当するかどうかが判断されます。しかし、診断書を作成するのは医師であり、あなた自身ではありません。

ここに大きな問題があります。医師は聴力検査の数値は把握していますが、あなたが日常生活でどれほど困っているか、仕事にどんな支障が出ているかまでは、詳しく知らないことが多いのです。短い診察時間の中では、そこまで深く話す機会がないからです。

そのため、診断書を依頼する際には、あなた自身が日常生活の困難さを具体的に医師に伝えることが極めて重要です。この章では、医師に何をどう伝えれば、実態を正確に反映した診断書を作成してもらえるか、そのポイントを詳しく解説します。

聴力検査の結果を正確に記載してもらう

まず基本となるのが、聴力検査の結果を正確に診断書に記載してもらうことです。診断書には、純音聴力検査の結果(500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzでの聴力レベルとその平均値)と、語音明瞭度検査の結果を記載する欄があります。

これらの検査結果は、障害等級を判定する上で最も重要な数値となります。そのため、検査は正確に行われる必要があり、診断書にも正確に転記される必要があります。

検査を受ける際の注意点があります。聴力検査は、できるだけ症状が安定している時期に、防音室で正確に測定してもらうことが理想です。体調が悪い日や、耳の状態が普段と違う日に検査を受けると、正確な聴力レベルが測定できない可能性があります。

また、検査時には正直に反応することが大切です。「少しでも良く見せたい」と思って、聞こえていないのに聞こえたふりをすることは避けてください。逆に、「悪く見せたい」と思って、聞こえているのに反応しないことも不正確な結果につながります。ありのままの聴力を測定してもらうことが、適正な認定を受けるための第一歩です。

診断書作成前に検査結果を確認することも有効です。診断書を依頼する前に、最近の聴力検査の結果を見せてもらい、数値を確認しておきましょう。もし検査から時間が経っている場合は、診断書作成前に改めて検査を受けることをお勧めします。

語音明瞭度検査も忘れずに受けることが重要です。特に、聴力レベルが80デシベル前後で、2級に該当するかどうか微妙なラインにある場合、語音明瞭度の結果が認定を左右することがあります。診断書を依頼する際に、「語音明瞭度検査も受けて、結果を記載してください」と医師にお願いしましょう。

診断書を受け取ったら、記載された聴力レベルの数値が正確かどうか、必ず確認してください。もし誤りがあれば、医師に訂正をお願いすることができます。

日常生活の具体的な支障を医師に伝える

聴力検査の数値だけでなく、日常生活でどのような困難があるかを具体的に医師に伝え、診断書に記載してもらうことが非常に重要です。

診断書には、「日常生活の制限」や「就労への影響」などを記載する欄があります。しかし、医師は診察室でのやり取りだけでは、あなたの生活の実態を十分に把握できません。そのため、診断書を依頼する際に、あなた自身が具体的に説明する必要があります。

説明する際のポイントは、抽象的な表現ではなく、具体的な場面を伝えることです。「生活に支障があります」ではなく、「どのような場面で、どんな困難があるか」を具体的に伝えましょう。

医師に伝える内容を整理するために、事前にメモを作成しておくことをお勧めします。仕事での困難、家庭生活での困難、社会生活での困難などをカテゴリー別に書き出し、それを見ながら医師に説明すると、漏れなく伝えることができます。

仕事での困難(電話対応、会議、接客など)

特発性難聴によって仕事にどのような支障が出ているかを、具体的に医師に伝えましょう。仕事への影響は、障害年金の審査において重要な判断材料となります。

職種や業務内容によって困難は様々ですが、以下のような例を参考に、あなた自身の状況を医師に伝えてください。

電話対応に関する困難としては、例えば営業職や事務職の場合、「右耳で電話を取ることができず、常に左耳側に持ち替える必要がある」「電話の相手の声が聞き取りにくく、何度も聞き返してしまい、クレームになることがある」「騒音のある環境では電話の内容がほとんど聞き取れない」といった具体的な状況があります。

会議やミーティングでの困難もあります。「会議室で右側に座っている人の発言が全く聞こえず、議論についていけない」「複数人が同時に話すと、誰が何を言っているか判別できない」「オンライン会議では音声が歪んで聞こえ、内容が理解できない」といった状況です。

接客業務での困難では、「店舗の騒音の中でお客様の声が聞き取れず、注文を間違えることがある」「レジでお客様からの質問に気づかず、クレームになる」「後ろから話しかけられても気づかない」などがあります。

職場での危険も伝えるべき重要な点です。「工場で機械の警告音が聞こえず、危険を察知できない」「建設現場で重機の音が聞こえず、事故の危険がある」「後方から車が近づいても気づかない」といった安全面での問題があります。

業務効率の低下についても具体的に伝えましょう。「電話や会議での聞き間違いにより、業務のやり直しが頻繁に発生する」「聞き取れない部分を何度も確認するため、業務に通常の2倍の時間がかかる」「顧客対応でのミスが増え、営業成績が大幅に低下した」といった状況です。

休職や退職、配置転換の状況も重要な情報です。「聴力低下により営業職を続けることができず、休職している」「接客業から内勤に配置転換されたが、それでも電話対応が困難」「仕事を辞めざるを得なくなり、現在求職中だが、聴覚障害があると採用されない」などの状況があれば、必ず伝えてください。

これらの具体的な困難を医師に伝えることで、診断書の「就労への影響」欄に実態が反映され、審査で適切に評価される可能性が高まります。

日常生活での困難(家族との会話、テレビ、外出時の危険など)

仕事だけでなく、日常生活でどのような困難があるかも、具体的に医師に伝えることが重要です。

家族とのコミュニケーションに関しては、「夕食時、右側に座る妻の声が聞こえず、何度も聞き返してしまい、家族に申し訳ない気持ちになる」「子どもが後ろから話しかけても気づかず、無視していると思われて悲しい思いをさせている」「家族が別の部屋から呼んでも全く聞こえない」といった状況があります。

テレビや音楽の視聴では、「テレビの音量を大きくしないと聞こえないため、家族から苦情が出る」「ニュースやドラマの内容が聞き取れず、楽しめなくなった」「音楽が趣味だったが、歪んで聞こえるため聴けなくなり、生きがいを失った」などの困難があります。

外出時の危険も深刻な問題です。「車の運転時、右側から近づく車やバイクの音が聞こえず、危険を感じる」「歩行中、右側から来る自転車のベルが聞こえず、ぶつかりそうになることがある」「駅のホームで電車の接近に気づかず、危険な目に遭った」といった状況があります。

来客や電話への対応では、「玄関のチャイムが聞こえず、宅配便を受け取れないことが多い」「固定電話の呼び出し音が聞こえず、重要な連絡を逃すことがある」「火災警報器の音が聞こえるか不安で、夜眠れない」などの不安があります。

社会参加の制限も伝えるべき点です。「友人との食事会で会話が聞き取れず、孤立してしまう」「趣味のサークル活動を諦めた」「映画館や劇場に行っても内容が理解できない」「人との交流を避けるようになり、精神的に落ち込んでいる」といった状況です。

睡眠や精神面への影響についても忘れずに伝えましょう。「耳鳴りがひどく、夜眠れない日が続いている」「聞こえないことへの不安で常に緊張状態にあり、疲れやすい」「将来への不安でうつ状態になっている」などの状況があれば、それも重要な情報です。

【日常生活での困難を伝える際のポイント】
ポイント 具体例
場面を特定する ×「生活が不便」→○「夕食時に家族の会話が聞こえない」
頻度を伝える 「毎日」「週に数回」「常に」など
感情も伝える 「不安」「申し訳ない」「孤独」など
具体的な数値 「テレビの音量を通常の2倍にしないと聞こえない」など

これらの日常生活の困難を具体的に医師に伝えることで、診断書に実態が反映され、審査において「日常生活にどの程度の制限があるか」が適切に評価されます。

補聴器の使用状況と効果を明記してもらう

「補聴器を使っているから障害年金はもらえない」と誤解している方がいますが、これは間違いです。補聴器を使用していても、障害年金を受給できます。むしろ、補聴器を使用してもなお困難がある状況を診断書に記載してもらうことが重要です。

診断書には、補聴器の使用状況を記載する欄があります。ここに、以下のような情報を正確に記載してもらいましょう。

補聴器の使用状況として、補聴器を使用しているかどうか、使用している場合は、いつから使い始めたか、どのような種類の補聴器か(耳かけ型、耳あな型など)、毎日使用しているか、時々使用しているかなどを記載してもらいます。

補聴器の効果については、補聴器を装用した状態での聴力レベル、補聴器を使用しても日常会話が困難であるか、電話や会議での聞き取りは改善したか、騒音下では補聴器を使用しても効果がないかなど、具体的な効果と限界を記載してもらうことが重要です。

補聴器使用時の困難も忘れずに伝えましょう。例えば、「補聴器を使用すると全ての音が大きくなり、必要な音だけを選択して聞くことができない」「風の音や雑音が増幅されて、かえって聞き取りにくくなる」「長時間使用すると耳が疲れて、頭痛がする」「補聴器を使用しても、複数人の会話や騒音下での会話は聞き取れない」といった状況があれば、医師に伝えてください。

障害年金の認定では、補聴器を装用しても、なお日常生活や仕事に著しい支障がある場合は、認定の対象となります。補聴器はあくまで補助具であり、完全に聴力を回復させるものではありません。補聴器を使用していても困難が残る実態を、診断書に正確に記載してもらうことが大切です。

【補聴器使用に関する診断書記載のポイント】
記載してもらう内容 具体例
使用開始時期 「令和○年○月から補聴器使用開始」
補聴器の種類 「デジタル耳かけ型補聴器を右耳に装用」
装用時の聴力改善 「補聴器装用時も平均聴力75dBで、日常会話困難」
効果の限界 「補聴器使用しても騒音下での会話は不可能」
使用時の困難 「長時間使用で疲労、雑音の増幅により聞き取り困難」

補聴器を使用している事実を隠す必要はありません。むしろ、「補聴器を使ってもなお、これだけ困難がある」という実態を診断書に記載してもらうことが、適正な認定につながります。

【実態を正確に伝えることが認定への近道】

この章では、診断書作成において医師に何をどう伝えるべきかを詳しく解説しました。重要なポイントは以下の通りです。

聴力検査の結果を正確に診断書に記載してもらいましょう。仕事での具体的な困難を、場面を特定して医師に伝えましょう。日常生活での困難も、具体的な例を挙げて説明しましょう。補聴器を使用していても、その効果と限界を正確に記載してもらいましょう。

診断書は、あなたの障害の状態を審査する側に伝える唯一の手段です。医師は検査数値は把握していますが、あなたの生活の実態までは知りません。だからこそ、あなた自身が具体的に説明し、実態を診断書に反映してもらうことが極めて重要なのです。

「こんなことまで伝えるのは大げさかも」と遠慮する必要はありません。本当に困っていることを、正直に、具体的に医師に伝えてください。それが、適正な認定を受けるための第一歩です。

次の章では、「働きながらでも障害年金は受給できるのか」という疑問について、詳しく解説します。

働きながらでも受給できる?特発性難聴と障害年金の就労制限

「働いていると障害年金はもらえないのでは?」これは大きな誤解です。障害年金には収入制限はなく、働きながらでも受給できます。ただし、等級の認定には就労状況が考慮されます。ここでは、就労と障害年金の関係について、正確に解説します。

「仕事をしているから障害年金は申請できない」「収入があると受給できない」と思い込んで、申請を諦めている方が多くいらっしゃいます。しかし、これは大きな誤解です。

障害年金には収入制限がありません。働いていても、一定の収入があっても、障害の状態が認定基準を満たしていれば、障害年金を受給することができます。ここでは、働きながら障害年金を受給できるケースと、就労状況が審査に与える影響について、詳しく解説します。

障害年金は働いていても受給可能

まず、最も重要な原則をお伝えします。障害年金は、働いていても受給できます

障害年金は、「障害の程度」によって認定されるものであり、「働いているかどうか」や「収入がいくらあるか」で自動的に決まるものではありません。障害の状態が認定基準を満たしていれば、仕事をしていても受給できるのです。

なぜこのような誤解が生まれるかというと、生活保護や一部の福祉制度には所得制限があるため、「障害年金にも収入制限があるのでは」と勘違いしてしまうからです。しかし、障害年金は社会保険制度の一つであり、これまで納めてきた保険料に基づいて支給される権利です。収入の多寡によって受給の可否が決まるものではありません。

【障害年金と他の制度の違い】
制度 収入・所得制限 就労の影響
障害年金 なし 就労状況は等級判定の参考となるが、働いているだけで不支給にはならない
生活保護 あり 収入があると受給額が減額または停止
障害者手当 制度による 多くの手当には所得制限あり

実際に、多くの方が働きながら障害年金を受給しています。特に3級の場合は、労働に制限はあるものの、何らかの形で働いている方が大半です。2級でも、短時間勤務や軽作業など、配慮のある環境で働きながら受給している方もいます。

ただし、注意すべき点があります。それは、障害年金の認定は「障害の程度」によって判断されるということです。障害の程度を判断する際に、「日常生活にどの程度の制限があるか」「労働能力にどの程度の制限があるか」が評価されます。その評価の過程で、就労状況が参考資料の一つとして考慮されることがあります。

つまり、「働いているから受給できない」のではなく、「その障害の程度で、その仕事内容をこなせているなら、障害の程度は認定基準に該当しないかもしれない」という判断がされることがあるのです。

逆に言えば、「働いているけれど、大きな制限や配慮が必要で、著しく労働能力が制限されている」という状況であれば、認定される可能性は十分にあります。

等級別の就労状況の目安

障害等級ごとに、就労状況の目安があります。これは絶対的な基準ではありませんが、認定の際の参考とされます。

【等級別の就労状況の目安】
等級 日常生活・就労の制限 就労状況の例
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 ほぼ就労不能。常時他人の介助が必要なレベル
2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度 就労が困難、または大幅な制限が必要。短時間・軽作業のみ可能な場合も
3級 労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度 労働に制限あり。職種の制限、勤務時間の短縮、配慮が必要など

1級の場合、両耳の聴力レベルが100デシベル以上という最重度の難聴で、ほとんど音が聞こえない状態です。この場合、ほぼすべての職種で就労は極めて困難であり、日常生活でも常に大きな制限があります。1級で働いている方は非常に少数です。

2級の場合、両耳の聴力レベルが90デシベル以上の高度難聴で、大きな声でも聞き取りが困難な状態です。この場合、多くの職種で就労は困難ですが、聴覚にあまり依存しない職種や、手話通訳などの支援がある環境であれば、働ける可能性があります。

例えば、以下のようなケースでは、働いていても2級に認定される可能性があります。

聴覚障害者向けの職場環境で、手話や筆談でコミュニケーションを取りながら働いているケース。在宅でのデータ入力やプログラミングなど、コミュニケーションをほとんど必要としない仕事に限定して働いているケース。障害者雇用枠で、大幅な配慮を受けながら短時間勤務をしているケースなどです。

ただし、フルタイムで通常の業務をこなしている場合は、「日常生活に著しい制限がある」とは判断されにくく、2級の認定は難しくなる可能性があります。

3級の場合(厚生年金のみ)、両耳の聴力レベルが70デシベル以上、または片耳90デシベル以上かつ他側耳50デシベル以上という基準です。この場合、労働には制限があるものの、配慮や工夫により就労を継続している方も多くいます。

例えば、以下のようなケースでは、働いていても3級に認定される可能性があります。

営業職から事務職への配置転換を受け、電話対応が少ない業務に従事しているケース。会議や打ち合わせでは筆談や要約筆記のサポートを受けているケース。顧客対応が必要な職種から、対人コミュニケーションが少ない職種に転職したケース。勤務時間を短縮し、疲労を軽減しながら働いているケースなどです。

3級は「労働に著しい制限がある」という基準ですので、何らかの制限や配慮を受けながら働いている状況であれば、認定される可能性は十分にあります。

仕事内容や収入が審査に与える影響

繰り返しになりますが、収入額そのものが認定基準になることはありません。年収が300万円でも500万円でも、それだけで不支給になることはありません。

ただし、就労状況は総合的に評価の参考にされます。審査では、以下のような点が考慮されることがあります。

職種や業務内容として、聴覚に大きく依存する職種か、それほど依存しない職種か、電話対応や会議が多い業務か、一人で完結する業務かなどが見られます。

勤務形態も考慮されます。フルタイムか、短時間勤務か、週何日勤務しているかなどです。

職場での配慮の有無として、障害者雇用枠で働いているか、職場からどのような配慮を受けているか、業務内容の変更や制限があるかなども評価されます。

就労の継続性として、安定して働けているか、頻繁に休職しているか、転職を繰り返しているかなども参考にされます。

【就労状況が審査に与える影響の例】
就労状況 認定への影響
フルタイム・通常業務・配慮なし 「労働に著しい制限がある」とは判断されにくい
短時間勤務・軽作業・大幅な配慮あり 「労働に著しい制限がある」と判断されやすい
在宅勤務・コミュニケーション不要の業務 個別に判断(職種の制限があることは考慮される)
休職中・求職中 就労困難な状態として評価される

重要なのは、「どのような制限や困難を抱えながら働いているか」を明確に伝えることです。

例えば、同じ「事務職で働いている」という状況でも、以下のように状況が異なります。

Aさんのケース:「事務職で働いているが、電話対応はすべて免除してもらい、会議では要約筆記のサポートを受け、週4日・1日6時間の短時間勤務にしてもらっている。それでも聞き取れないことが多く、業務効率は以前の半分以下」

Bさんのケース:「事務職で週5日フルタイムで働いている。電話対応も会議参加も通常通りこなしており、特別な配慮は受けていない」

この2つのケースでは、Aさんの方が「労働に著しい制限がある」と判断されやすく、認定される可能性が高くなります。

診断書の「日常生活及び労働の制限」欄や、病歴・就労状況等申立書に、これらの具体的な制限や困難を記載することが重要です。

また、以下のような状況であれば、たとえ働いていても認定される可能性は高くなります。

障害者雇用枠で働いており、通常の労働者と同等の業務はできないケース。職種や業務内容を大幅に変更せざるを得なかったケース。収入が発症前に比べて大幅に減少しているケース。頻繁な休職や通院により、就労の継続が困難になっているケース。就労はしているが、疲労が激しく日常生活に支障が出ているケースなどです。

「働いているから無理」と諦めず、「どのような制限の中で働いているか」を正確に伝えることが大切です。

【働きながらでも希望は持てる】

この章では、働きながらでも障害年金を受給できる可能性があることを解説しました。重要なポイントは以下の通りです。

障害年金には収入制限はなく、働いていても受給できます。認定は「障害の程度」によって判断され、就労状況は参考情報の一つです。等級ごとに就労状況の目安があり、制限の程度が重要です。「どのような制限の中で働いているか」を具体的に伝えることが大切です。

特発性難聴で聴力が低下しても、生活のために働き続けなければならない方は多くいます。しかし、大きな制限や困難を抱えながら働いている場合、障害年金を受給できる可能性は十分にあります。

「働いているから」と諦めず、まずは自分の障害の程度と就労状況を正確に把握し、専門家に相談してみることをお勧めします。障害年金を受給できれば、収入の減少分を補い、安心して治療や療養に取り組むことができます。

次の章では、不支給になるケースとその対策について解説します。

不支給になるケースと対策|特発性難聴の申請で失敗しないために

残念ながら、すべての申請が認定されるわけではありません。しかし、不支給になる理由の多くは事前に対策できるものです。よくある不支給理由を知り、適切に準備することで、認定の可能性を大きく高めることができます。万が一不支給になった場合の対処法もお伝えします。

障害年金の申請をしても、残念ながら不支給となるケースがあります。しかし、「不支給=もう受給できない」ではありません。不支給になった理由を分析し、適切に対応すれば、再申請や審査請求によって認定される可能性は十分にあります。

この章では、特発性難聴の申請でよくある不支給理由と、それを防ぐための対策、そして不支給になった場合の対処法について詳しく解説します。「諦めない障害年金」の精神で、最後まで希望を持って取り組むことが大切です。

よくある不支給理由

特発性難聴の障害年金申請で不支給となる主な理由は、大きく分けて3つあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

初診日の証明ができない

初診日の証明ができないことは、不支給理由の中でも特に多いケースです。初診日は障害年金において極めて重要な日付であり、この日が確定できなければ、他の要件をすべて満たしていても不支給となってしまいます。

なぜ初診日の証明が困難になるのかには、いくつかの理由があります。

最も多いのは、初診から長期間経過してカルテが廃棄されているケースです。医療機関は法律上、カルテを5年間保存する義務がありますが、それ以降は廃棄されることがあります。特発性難聴を発症してから10年、15年経過してから障害年金の存在を知り、申請しようとした時には、すでにカルテが残っていないということがあります。

また、初診時の医療機関が閉院している、または医師が亡くなっているケースもあります。特に個人経営の小規模な診療所の場合、数年後には閉院していることも珍しくありません。

さらに、複数の医療機関を転々としていて、どこが初診だったか記憶が曖昧なケースもあります。最初は近所の耳鼻科、次に別の耳鼻科、そして総合病院へと転院を繰り返した場合、どこが本当の初診だったか分からなくなることがあります。

本人が記録を残していなかったため、初診日を特定できないケースも多くあります。診察券や領収書を捨ててしまった、お薬手帳をつけていなかったなどの理由で、証拠となる資料が何も残っていないことがあります。

【初診日証明が困難になる主なケース】
ケース 理由 対策の可能性
カルテ廃棄 初診から5年以上経過 代替資料(診察券、お薬手帳、健康保険の記録等)で証明
医療機関閉院 初診時の病院が存在しない 他の医療機関の記録、第三者証明等で推定
記憶が曖昧 複数の医療機関を転院 残っている記録から初診日を推定
記録が全くない 本人が資料を保存していない 健康保険の給付記録等の公的記録を調査

これらのケースでも、完全に諦める必要はありません。受診状況等証明書が取得できない場合は、代替資料を用いて初診日を推定する方法があります。具体的には、診察券のコピー、お薬手帳の記録、医療費の領収書、健康保険の給付記録(レセプト情報)、家族や同僚などの第三者による証明などが有効です。

専門家である社会保険労務士は、このような困難なケースでも、様々な方法で初診日を証明・推定するノウハウを持っています。「証明できないから無理」と諦める前に、まずは相談することをお勧めします。

聴力レベルが認定基準に届かない

聴力レベルが認定基準に届かないケースも、不支給理由として多く見られます。

障害年金の認定基準は明確に定められており、一定の聴力レベルに達していない場合は、残念ながら認定されません。例えば、3級の基準は「両耳の聴力レベルが70デシベル以上」ですが、両耳の平均が65デシベルの場合、基準に5デシベル届かないため不支給となります。

ただし、注意すべき点があります。診断書に記載された聴力レベルが、必ずしも正確とは限らないことです。

例えば、以下のようなケースでは、実際の聴力よりも良い数値が記載されてしまうことがあります。

検査時にたまたま体調が良く、普段より良い結果が出たケース。検査環境が適切でなく、正確な測定ができなかったケース。検査方法に誤りがあり、実際より良い数値になったケース。古い検査結果を使用しており、現在の悪化した状態が反映されていないケースなどです。

もし不支給となった理由が「聴力レベルが基準に届かない」だった場合、以下の対策が考えられます。

再度、正確に聴力検査を受けることです。適切な検査環境で、症状が安定している時期に、正確に測定してもらいましょう。複数回検査を受け、最も実態に近い結果を採用することも有効です。

語音明瞭度検査も受けることが重要です。聴力レベルが80デシベル前後の場合、語音明瞭度が30%以下であれば、2級に該当する可能性があります。

また、両耳の聴力を個別に測定してもらうことも大切です。片耳が90デシベル以上であれば、もう片方の耳の状態によって3級や障害手当金の対象となる可能性があります。

聴力レベルが基準ギリギリで不支給となった場合、症状が進行してから再申請するという選択肢もあります。特発性難聴の場合、一度固定した聴力が大きく変化することは少ないですが、加齢や他の要因で聴力がさらに低下した場合は、再度申請することができます。

診断書の記載内容が不十分

聴力レベルは基準を満たしているのに不支給となるケースもあります。その多くは、診断書の記載内容が不十分だったことが原因です。

障害年金の審査では、診断書に記載された内容に基づいて総合的に判断されます。聴力レベルの数値だけでなく、日常生活の制限、労働への影響、補聴器の使用状況なども評価の対象となります。

診断書の記載が不十分になる典型的なケースは以下の通りです。

日常生活の支障が具体的に記載されていないケースでは、「日常生活に支障あり」とだけ記載されていて、具体的にどのような困難があるのかが分からない状態です。

就労への影響が記載されていない、または不十分なケースもあります。仕事でどのような困難があるか、配慮を受けているかなどが記載されていないと、審査で適切に評価されません。

補聴器使用時の効果と限界が記載されていないことも問題です。補聴器を使用していることだけが記載され、「使用しても困難がある」という点が明記されていない場合、「補聴器で改善している」と判断されることがあります。

語音明瞭度検査の結果が記載されていないケースもあります。聴力レベルが80デシベル前後の場合、語音明瞭度が重要な判定材料となりますが、検査を受けていない、または結果が記載されていないと、適切に評価されません。

病歴・就労状況等申立書の記載が抽象的で、実態が伝わらないことも不支給の原因となります。

これらの問題を防ぐためには、h2-7で解説したように、診断書作成前に医師に日常生活の困難を具体的に伝えること、病歴申立書に具体的な場面を記載することが重要です。

また、診断書を受け取ったら、必ず内容を確認し、不足があれば追記や修正をお願いすることも大切です。専門家に診断書の内容をチェックしてもらうことも有効です。

不支給を防ぐための事前対策

不支給を防ぐためには、申請前の準備が何よりも重要です。以下の対策を実施することで、認定の可能性を大きく高めることができます。

【不支給を防ぐための事前対策チェックリスト】
対策項目 具体的な内容
初診日の証明準備 受診状況等証明書の取得、代替資料の収集
正確な聴力検査 適切な環境で複数回実施、語音明瞭度も測定
診断書内容の充実 日常生活・就労の困難を具体的に医師に伝える
申立書の詳細記載 具体的な場面を記載、抽象的表現を避ける
専門家への相談 申請前に書類をチェックしてもらう

まず、初診日の証明は早めに準備を始めましょう。カルテが廃棄される前に、受診状況等証明書を取得することが理想です。万が一取得できない場合は、診察券、お薬手帳、領収書などの資料を探し、保存しておきましょう。

聴力検査は、障害認定日に近い時期に、正確に実施してもらうことが重要です。体調の良い日を選び、防音室で適切に測定してもらいましょう。また、純音聴力検査だけでなく、語音明瞭度検査も必ず受けておくことをお勧めします。

診断書作成前には、医師との面談時間を十分に取ってもらい、日常生活や仕事での具体的な困難を詳しく伝えましょう。メモを準備して、伝え漏れがないようにすることも有効です。

病歴・就労状況等申立書は、時間をかけて丁寧に作成しましょう。「生活に支障がある」ではなく、「会議で右側の人の発言が聞こえず、議論についていけない」というように、具体的な場面を記載することが重要です。

そして、申請前に専門家である社会保険労務士に書類をチェックしてもらうことを強くお勧めします。プロの目で見ることで、記載の不足や誤りを事前に発見し、修正することができます。一度の申請で認定される確率が大きく高まります。

不支給決定後の審査請求(不服申立て)

万が一、申請が不支給となった場合でも、諦める必要はありません。審査請求という不服申立ての制度があります。

審査請求とは、不支給決定に納得できない場合に、もう一度審査をやり直してもらう制度です。「諦めない障害年金」の精神で、不支給決定後も再チャレンジできる道があるのです。

【不服申立ての流れ】
段階 名称 請求先 期限</th
第1段階 審査請求 社会保険審査官 決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内
第2段階 再審査請求 社会保険審査会 審査請求の決定通知を受け取った日の翌日から2ヶ月以内
第3段階 行政訴訟 裁判所 再審査請求の裁決を受け取った日の翌日から6ヶ月以内

審査請求は、不支給決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると審査請求ができなくなるため、不支給通知が届いたら速やかに対応することが重要です。

審査請求では、新たな医学的証拠を提出することができます。例えば、以下のような資料を追加提出することで、認定される可能性があります。

不支給決定後に実施した、より詳細な聴力検査の結果、語音明瞭度検査の結果(初回申請時に未実施だった場合)、日常生活や就労の困難さを詳しく記載した新たな診断書、職場からの証明書(配慮を受けている内容、業務制限の内容など)、家族や同僚による第三者の証言などです。

審査請求で認められなかった場合は、さらに再審査請求を行うことができます。再審査請求は、社会保険審査会という別の機関で審査されます。

再審査請求でも認められなかった場合は、最終手段として行政訴訟を提起することもできます。ただし、訴訟は時間も費用もかかるため、専門家とよく相談して判断する必要があります。

審査請求の成功率を高めるポイントは、不支給となった理由を正確に分析することです。不支給決定通知書には、不支給となった理由が記載されています。その理由を踏まえて、何が不足していたのか、どの資料を追加すべきかを検討します。

また、専門家のサポートを受けることも重要です。審査請求の手続きは複雑で、どのような資料を追加すれば認定される可能性が高まるかは、専門的な知識と経験が必要です。社会保険労務士に依頼すれば、審査請求の準備から提出、そして認定まで、全面的にサポートしてもらえます。

実際に、初回申請で不支給となっても、審査請求で認定されるケースは少なくありません。適切な資料を追加し、不支給理由に対応することで、逆転認定される可能性は十分にあります。

【不支給は終わりではなく、次への一歩】

この章では、不支給になる理由とその対策、そして不支給後の対処法について解説しました。重要なポイントは以下の通りです。

不支給理由の多くは事前対策で防ぐことができます。初診日の証明、正確な聴力検査、充実した診断書が重要です。不支給になっても審査請求という救済制度があります。専門家のサポートで認定の可能性が大きく高まります。

「一度不支給になったから、もう無理だ」と諦める必要は全くありません。不支給は終わりではなく、より良い申請への準備を整える機会です。

「諦めない障害年金」――それは、一度の失敗で希望を失わず、適切な対策を講じて再チャレンジする姿勢です。専門家のサポートを受けながら、最後まで諦めずに取り組むことで、受給への道は開けます。

次の章では、実際に特発性難聴で障害年金を受給した方の事例を紹介します。

特発性難聴で障害年金を受給した実例紹介

「本当に自分のようなケースでも受給できるのだろうか?」という不安を抱えている方も多いでしょう。ここでは、実際に特発性難聴で障害年金を受給された方々の事例をご紹介します。様々な状況の方が受給されていることを知り、希望を持っていただければ幸いです。

障害年金の制度について理解を深めても、「実際に自分のようなケースで受給できた人はいるのだろうか」という不安は残るものです。ここでは、特発性難聴で障害年金を受給された方々の実例を、プライバシーに配慮しながらご紹介します。

これらの事例は、実際の受給例に基づいた参考事例です。年齢、職業、家族構成、聴力レベル、受給額など、様々なパターンをご紹介しますので、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みください。

【事例1】42歳男性・片耳90dBの難聴で2級認定(月額約15万円受給)

【Aさんのプロフィール】

  • 年齢・性別:42歳・男性
  • 職業:IT企業の営業職(正社員・勤続15年)
  • 家族構成:妻(パート)、長男(中学生)、長女(小学生)
  • 加入年金:厚生年金

発症時の状況

Aさんは、ある朝起きたら突然右耳が全く聞こえなくなっていることに気づきました。最初は「耳に水が入ったのかな」と思いましたが、何をしても改善せず、その日のうちに近所の耳鼻咽喉科を受診しました。診断は「右耳の特発性難聴」でした。

すぐに大学病院を紹介され、入院してステロイド治療を受けましたが、残念ながらほとんど改善しませんでした。治療開始が早かったにもかかわらず、右耳の聴力は回復しませんでした。

聴力の状態

障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)の時点での聴力レベルは以下の通りでした。

【Aさんの聴力レベル】
聴力レベル 状態
右耳 95dB 重度難聴(ほぼ聞こえない)
左耳 55dB 中等度難聴(会話に支障がある程度)

右耳が95デシベルの重度難聴、左耳も加齢などの影響で55デシベルの中等度難聴という状態でした。これは、「一側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上」という3級の基準を満たしていました。

しかし、Aさんのケースでは、左耳も55デシベルという中等度の難聴があり、両耳の平均聴力レベルは75デシベルとなります。また、日常生活や仕事への影響が著しかったため、最終的に2級として認定されました。

生活や仕事への影響

営業職として電話対応が業務の中心だったAさんにとって、右耳が聞こえなくなったことは致命的でした。電話を右耳で取ることができず、常に左耳側に持ち替える必要がありましたが、左耳も中等度難聴のため、騒音のある環境では電話の内容がほとんど聞き取れませんでした。

会議では、右側に座っている同僚や上司の発言が全く聞こえず、議論についていけないことが多くなりました。顧客との商談でも聞き間違いが増え、営業成績が大幅に低下しました。

会社からは営業職から事務職への配置転換を提案されましたが、それでも電話対応や会議参加は避けられず、結局休職せざるを得ない状況となりました。

家庭でも、夕食時に右側に座る妻の声が聞こえず、何度も聞き返してしまうことで家族に負担をかけていました。子どもたちが後ろから話しかけても気づかず、寂しい思いをさせていることが心苦しかったと言います。

申請のポイント

Aさんは、障害年金制度を知り、初診日から1年6ヶ月後に申請しました。申請にあたって、以下の点を重視しました。

診断書には、右耳95dB、左耳55dBという聴力レベルを正確に記載してもらいました。また、語音明瞭度検査も受け、言葉の聞き取り能力が著しく低下していることを証明しました。

医師には、営業職として電話対応ができなくなったこと、会議で議論についていけないこと、顧客対応でのミスが増えたこと、結果として休職に至ったことを具体的に伝え、診断書に記載してもらいました。

病歴・就労状況等申立書には、発症から現在までの経過、仕事での具体的な困難、家庭生活での支障、精神的な苦痛などを詳しく記載しました。

認定結果と受給額

申請から約4ヶ月後、障害厚生年金2級として認定されました。Aさんの受給額は以下の通りです。

  • 障害基礎年金2級:約68,000円/月
  • 障害厚生年金(報酬比例部分):約72,000円/月
  • 配偶者加給年金:約19,567円/月
  • 合計:約159,567円/月

年収550万円、勤続15年という職歴から計算された障害厚生年金と、配偶者がいることによる加給年金により、月額約16万円の受給となりました。

受給後の生活の変化

障害年金を受給できたことで、Aさんの生活は大きく変わりました。休職による収入減少分を障害年金で補うことができ、住宅ローンや子どもの教育費の支払いに対する不安が大きく軽減されました。

経済的な余裕ができたことで、無理に営業職に復帰する必要がなくなり、自分のペースで職業訓練を受けながら、聴覚障害があっても働ける職種への転職を検討できるようになりました。

何より、「国の制度に支えられている」という安心感が、精神的な支えとなりました。Aさんは「障害年金があることで、家族に申し訳ないという気持ちが少し楽になった。前を向いて生きていく希望が持てた」と語っています。

【事例2】35歳女性・両耳高度難聴で2級認定(月額約12万円受給)

【Bさんのプロフィール】

  • 年齢・性別:35歳・女性
  • 職業:保育士(正社員・勤続8年)
  • 家族構成:夫(会社員)、長女(5歳)
  • 加入年金:厚生年金

発症時の状況

Bさんは、風邪をひいた後に左耳が聞こえにくくなったことに気づきました。最初は風邪のせいだろうと思っていましたが、風邪が治っても聴力は戻りませんでした。耳鼻咽喉科を受診したところ、「左耳の特発性難聴」と診断されました。

ステロイド治療を受けましたが、若干改善した程度で、日常会話に支障があるレベルの聴力低下が残りました。さらに不運なことに、半年後には右耳にも同様の症状が出て、両耳とも高度難聴となってしまいました。

聴力の状態

障害認定日の時点での聴力レベルは以下の通りでした。

【Bさんの聴力レベル】
聴力レベル 状態
右耳 80dB 高度難聴
左耳 75dB 高度難聴
平均 77.5dB 高度難聴

両耳とも高度難聴で、平均聴力レベルは77.5デシベルでした。これは「両耳の聴力レベルが70デシベル以上」という基準を満たしています。さらに、語音明瞭度検査では25%という結果が出ており、言葉の聞き取り能力も著しく低下していました。

補聴器を両耳に装用していましたが、騒音の多い保育園では効果が限定的でした。

生活や仕事への影響

保育士として働いていたBさんにとって、両耳の聴力低下は仕事に致命的な影響を与えました。保育園は常に子どもたちの声や音楽、遊具の音などで騒がしい環境です。その中で、子どもたちの声を聞き分けることができず、呼ばれても気づかないことが増えました。

特に深刻だったのは、安全管理への不安でした。園庭で複数の子どもを見守る際、危険を知らせる子どもの叫び声や、事故の音が聞こえない可能性があることに、Bさん自身が強い不安を感じていました。実際に、子どもが転んで泣いているのに気づかず、他の保育士に指摘されたこともありました。

保護者とのコミュニケーションも困難になりました。お迎え時の立ち話で、保護者の話が聞き取れず、何度も聞き返してしまうことが増えました。

これらの状況から、Bさんは「子どもたちの安全を守れない」と判断し、保育士を退職することを決断しました。

家庭でも、5歳の娘との会話が聞き取れず、母親として十分にコミュニケーションが取れないことに深い悲しみを感じていました。

申請のポイント

Bさんは、退職後に障害年金の存在を知り、専門家である社会保険労務士に相談しました。社労士のアドバイスを受けながら、以下の点に注意して申請しました。

診断書には、両耳の聴力レベルと語音明瞭度を正確に記載してもらいました。特に語音明瞭度25%という数値が重要であることを社労士から教えてもらい、医師にしっかり記載してもらいました。

補聴器を使用していても、騒音下では効果がないこと、長時間使用すると疲労が激しいことを医師に伝え、診断書に明記してもらいました。

保育士として働くことができなくなった経緯、子どもの安全を守れないという不安、保護者とのコミュニケーションの困難、そして退職に至った理由を、病歴・就労状況等申立書に詳しく記載しました。

認定結果と受給額

申請から約5ヶ月後、障害厚生年金2級として認定されました。Bさんの受給額は以下の通りです。

  • 障害基礎年金2級:約68,000円/月
  • 障害厚生年金(報酬比例部分):約35,000円/月
  • 配偶者加給年金:約19,567円/月
  • 合計:約122,567円/月

保育士としての勤続8年、年収320万円という職歴から計算され、配偶者加給年金を含めて月額約12万円の受給となりました。

受給後の生活の変化

障害年金を受給できたことで、Bさんは経済的な不安から解放されました。夫の収入だけでは生活が厳しかったため、障害年金があることで家計が安定しました。

また、無理に再就職を急ぐ必要がなくなったため、時間をかけて聴覚障害があっても働ける職種を探すことができました。現在は、在宅でのデータ入力の仕事を週3日程度行いながら、障害年金と合わせて生活しています。

Bさんは「保育士という天職を失った悲しみは今もありますが、障害年金があることで生活の基盤ができ、新しい人生を前向きに考えられるようになりました。娘との時間も大切にできています」と語っています。

【事例3】58歳男性・両耳難聴で1級認定(月額約9万円受給)

【Cさんのプロフィール】

  • 年齢・性別:58歳・男性
  • 職業:個人事業主(建設業・一人親方)
  • 家族構成:妻(専業主婦)
  • 加入年金:国民年金

発症時の状況

Cさんは、両耳とも徐々に聞こえにくくなっていることに気づきました。最初は加齢による難聴かと思っていましたが、進行が早く、医療機関を受診したところ「両側性の特発性難聴」と診断されました。

治療を受けましたが、残念ながら聴力はほとんど改善せず、両耳とも重度の難聴となってしまいました。

聴力の状態

障害認定日の時点での聴力レベルは以下の通りでした。

【Cさんの聴力レベル】
聴力レベル 状態
右耳 105dB 重度難聴(ほぼ聞こえない)
左耳 100dB 重度難聴(ほぼ聞こえない)

両耳とも100デシベル以上という重度の難聴で、補聴器を使用してもほとんど効果がない状態でした。これは「両耳の聴力レベルが100デシベル以上」という1級の基準を満たしています。

生活や仕事への影響

建設業の一人親方として働いていたCさんにとって、両耳が聞こえなくなったことは仕事の継続を不可能にしました。建設現場では、重機の音、警告音、仲間からの声かけなど、聴覚が安全確保に不可欠です。

音が聞こえない状態で現場に立つことは、自分だけでなく周囲にも危険を及ぼすため、Cさんは仕事を辞めざるを得ませんでした。

日常生活でも、妻との会話は筆談が中心となり、テレビも字幕がなければ内容が分かりません。来客のチャイムや電話の音も聞こえず、日常生活のあらゆる場面で困難を感じていました。

58歳という年齢で仕事を失い、国民年金だけでは老後の生活が不安という状況に、Cさん夫婦は深い不安を抱えていました。

申請のポイント

Cさんは、市役所の福祉課で障害年金制度について教えてもらい、社会保険労務士に相談して申請を行いました。

診断書には、両耳とも100デシベル以上という聴力レベルを正確に記載してもらいました。補聴器を使用しても効果がないこと、日常生活のほぼ全てに支障があることも詳しく記載してもらいました。

建設業を続けられなくなった経緯、現場での危険性、そして収入が完全に途絶えた状況を、病歴・就労状況等申立書に詳しく記載しました。

認定結果と受給額

申請から約3ヶ月後、障害基礎年金1級として認定されました。Cさんは国民年金加入者のため、障害基礎年金のみの受給となります。

  • 障害基礎年金1級:約85,000円/月
  • 合計:約85,000円/月

国民年金のみの受給ですが、1級認定により月額約8.5万円を受給できることになりました。

受給後の生活の変化

障害年金を受給できたことで、Cさん夫婦の生活は大きく変わりました。仕事を失って収入がゼロになっていた状況から、月額8.5万円の収入が得られるようになり、最低限の生活が維持できるようになりました。

妻のパート収入と合わせることで、何とか生活していけるめどが立ち、老後への不安が大きく軽減されました。

Cさんは「自分は国民年金だから少ないだろうと思っていましたが、1級に認定されて月8.5万円もらえることになり、本当に助かりました。これがなければ、妻と二人でどう生活していけばよいか途方に暮れていました。障害年金があることで、何とか生きていける希望が持てました」と語っています。

【実例から見える希望】

この章では、3つの実例を紹介しました。それぞれ年齢、職業、家族構成、聴力レベル、加入年金が異なりますが、共通しているのは以下の点です。

特発性難聴という病気によって、生活や仕事に大きな支障が出た。障害年金を受給できたことで、経済的な不安が軽減された。「諦めない」気持ちで申請し、認定された。受給後、安心して暮らしていける希望を持てるようになった。

これらの事例が、今まさに特発性難聴で苦しんでいる方々にとって、「自分も受給できるかもしれない」という希望の光となれば幸いです。

あなたの状況が、これらの事例と完全に同じでなくても構いません。一人ひとりの状況は異なりますが、障害の程度が認定基準を満たしていれば、受給できる可能性は十分にあります。

次の章では、よくある質問とその回答をまとめたFAQをご紹介します。

【Q&A】特発性難聴の障害年金でよくある10の質問

これまでの内容を読んで、まだ疑問や不安が残っている方もいらっしゃるでしょう。ここでは、特発性難聴の障害年金申請でよくある質問を10個ピックアップし、分かりやすく回答します。あなたの疑問も、ここで解決できるかもしれません。

障害年金の制度は複雑で、様々な疑問が生まれるものです。ここでは、多くの方が抱える代表的な質問に対して、Q&A形式でお答えします。もし、ここにない疑問がある場合は、遠慮なく専門家にご相談ください。

片耳だけの難聴でも障害年金はもらえますか?

【回答】はい、条件を満たせば受給できます。

片耳だけの難聴でも、以下の条件を満たせば障害年金の対象となります。

3級(厚生年金加入者のみ)の場合:
一側耳の聴力レベルが90デシベル以上で、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上の場合

障害手当金(一時金・厚生年金加入者のみ)の場合:
一側耳の聴力レベルが90デシベル以上の場合(もう片方の耳は正常または軽度難聴)

「片耳は聞こえるから無理だろう」と諦めている方が多いのですが、実際には片耳が90デシベル以上の高度難聴であれば、もう片方の耳の状態によって受給できる可能性があります。

ただし、国民年金加入者の場合、片耳だけの難聴では残念ながら対象となりません。国民年金の場合は、両耳の聴力レベルが90デシベル以上(2級)または100デシベル以上(1級)が必要です。

片耳難聴でも、日常生活や仕事に大きな支障が出ます。音の方向感覚がつかめない、騒音下での会話が困難、電話対応が片耳しかできないなど、様々な困難があります。これらの実態を診断書や申立書にしっかり記載することが重要です。

補聴器を使っていても受給できますか?

【回答】はい、受給できます。

これは非常に多い誤解ですが、補聴器を使用していても障害年金を受給できます。補聴器の使用は、受給を妨げる理由にはなりません。

障害年金の認定は、補聴器を使用してもなお残る聴力低下の程度や、日常生活・労働への支障の程度によって判断されます。補聴器はあくまで補助具であり、完全に聴力を回復させるものではありません。

むしろ、診断書には以下のように記載してもらうことが重要です。

  • 補聴器を使用していること
  • 補聴器を装用しても、聴力レベルがどの程度か
  • 補聴器を使用しても、騒音下では会話が困難であること
  • 補聴器の長時間使用による疲労があること
  • 補聴器では全ての音が増幅され、必要な音だけを選択して聞くことができないこと

「補聴器を使っているから対象外では?」と心配する必要はありません。補聴器を使用してもなお困難がある実態を、正確に伝えることが大切です。

治療中でも申請できますか?

【回答】障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)以降であれば、治療中でも申請できます。

治療を続けていても、障害認定日を過ぎていれば申請は可能です。特発性難聴の場合、初期のステロイド治療などは通常1〜2ヶ月程度で終了しますが、その後も経過観察のために通院を続けることがあります。通院を続けていても、申請に問題はありません。

むしろ、定期的に通院していることは、病状の経過を医師が把握しているという点で、診断書作成においてプラスに働くこともあります。

また、「治療中だから症状が固定していない」と心配する方もいますが、特発性難聴の場合、発症から1年6ヶ月経過すれば、ステロイド治療などの急性期治療の効果は判定できており、症状が固定したと判断されることが一般的です。

ただし、新しい治療法を試している最中で、まだ効果が出る可能性がある場合は、治療の効果を見てから申請するという選択肢もあります。この判断は、主治医や専門家と相談して決めることをお勧めします。

発症してからどのくらい経てば申請できますか?

【回答】原則として初診日から1年6ヶ月後以降に申請できます。

障害年金の申請は、障害認定日以降に可能です。障害認定日とは、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日のことです。

例えば、令和5年1月15日に特発性難聴で初めて医療機関を受診した場合、障害認定日は令和6年7月15日となり、この日以降であればいつでも申請できます。

ただし、以下の場合は例外があります。

症状が早期に固定した場合:
発症から1年6ヶ月を待たずに、医師が「これ以上の回復は見込めない」と判断した場合、その時点を障害認定日として申請できる可能性があります。ただし、これは医学的に症状固定と認められる必要があるため、主治医に相談が必要です。

遡及請求の場合:
障害認定日から時間が経過してから申請する場合、障害認定日まで遡って年金を受給できます。例えば、障害認定日から3年後に申請した場合でも、障害認定日時点の診断書を取得できれば、3年分の年金を遡って受け取ることができます(ただし、遡及は最大5年まで)。

「もう何年も経ってしまったから今更無理」と諦める必要はありません。気づいた時点で申請すれば、過去の分も受け取れる可能性があります。

一度不支給になった場合、再申請はできますか?

【回答】はい、再申請できます。また、審査請求という不服申立ての制度もあります。

一度不支給になっても、諦める必要は全くありません。対処法は主に2つあります。

①審査請求(不服申立て):
不支給決定に納得できない場合、決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に「審査請求」を行うことができます。審査請求では、新たな医学的証拠を追加提出することができます。

例えば、以下のような資料を追加することで、認定される可能性があります。

  • より詳細な聴力検査の結果
  • 語音明瞭度検査の結果(初回申請時に未実施だった場合)
  • 日常生活や就労の困難さを詳しく記載した新たな診断書
  • 職場からの証明書(配慮の内容、業務制限など)

審査請求で認められなかった場合は、さらに「再審査請求」を行うこともできます。

②再申請:
不支給理由を分析し、不足していた点を補って、改めて申請することもできます。例えば、初回申請時に語音明瞭度検査を受けていなかった場合、検査を受けてから再申請するなどです。

また、症状が進行した場合は、その時点で再度申請することもできます。

実際に、初回申請で不支給となっても、審査請求や再申請で認定されるケースは少なくありません。不支給理由に適切に対応し、専門家のサポートを受けることで、逆転認定される可能性は十分にあります。

「一度ダメだったから、もう無理」と諦めないでください。「諦めない障害年金」の精神で、再チャレンジする道があります。

障害年金を受給すると、他の年金はもらえなくなりますか?

【回答】原則として、障害年金と老齢年金は併給できませんが、選択することができます。

障害年金を受給していても、65歳以降に老齢年金の受給資格ができた場合、以下のように対応します。

65歳未満の場合:
障害年金と老齢年金は原則として併給できません。どちらか一方を選択する必要があります。ただし、障害厚生年金と老齢基礎年金のように、種類が異なる年金であれば併給できるケースもあります。

65歳以降の場合:
以下の組み合わせから選択できます。

  • 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金
  • 障害基礎年金 + 老齢厚生年金
  • 老齢基礎年金 + 障害厚生年金

どの組み合わせが最も有利かは、それぞれの年金額によって異なります。65歳になる前に、年金事務所や専門家に相談して、最も有利な選択をすることをお勧めします。

遺族年金との関係:
配偶者が亡くなった場合の遺族年金についても、障害年金との併給には制限があります。原則として、どちらか一方を選択する必要があります(65歳以降は一部併給可能)。

なお、障害年金を受給していても、国民年金保険料の納付は継続する必要があります(ただし、障害年金1級または2級を受給している間は、申請により保険料が法定免除されます)。

自分で申請できますか?それとも専門家に依頼すべきですか?

【回答】自分で申請することも可能ですが、専門家に依頼することで認定率が大幅に向上します。

障害年金の申請は、ご自身で行うことも可能です。年金事務所で書類をもらい、医師に診断書を書いてもらい、必要書類を揃えて提出すれば、申請自体はできます。

しかし、障害年金の申請は非常に複雑で、以下のような困難があります。

自分で申請する場合の困難:

  • 初診日の証明が困難なケースでの対応方法が分からない
  • 診断書にどのような内容を記載してもらえば良いか分からない
  • 病歴・就労状況等申立書の書き方が分からない
  • 認定基準を正確に理解できていない
  • 不支給になった場合の対処法が分からない

一方、社会保険労務士に依頼した場合、以下のようなメリットがあります。

【専門家に依頼するメリット】
メリット 内容
認定率の向上 適切な書類準備により、認定される可能性が大幅に高まる
手続きの代行 複雑な手続きを全て代行してもらえる
診断書のチェック 診断書の内容を専門的な視点でチェックし、不足があれば医師に追記を依頼
初診日証明のサポート 困難なケースでも、様々な方法で初診日を証明・推定
不支給時の対応 不支給になった場合も、審査請求まで対応
時間と労力の節約 体調が優れない中、複雑な手続きに時間を取られずに済む

特に、以下のような状況の方は、専門家への依頼を強くお勧めします。

  • 初診日の証明が困難な場合
  • 聴力レベルが認定基準ギリギリのライン上にある場合
  • 過去に一度不支給になっている場合
  • 体調が悪く、自分で手続きを進める余裕がない場合

費用はかかりますが、認定率の向上と手間の削減を考えれば、十分に価値のある投資と言えます。多くの社労士事務所は成功報酬制を採用しており、受給が決定してから報酬を支払う形なので、安心して依頼できます。

申請費用はどのくらいかかりますか?

【回答】自分で申請する場合は診断書代など数万円、専門家に依頼する場合は成功報酬として年金額の約2ヶ月分が一般的です。

障害年金の申請にかかる費用は、自分で申請するか、専門家に依頼するかによって大きく異なります。

【自分で申請する場合の費用】
項目 金額の目安
診断書作成費用 5,000円〜10,000円(医療機関により異なる)
受診状況等証明書作成費用 3,000円〜5,000円
戸籍謄本・住民票取得費用 1,000円〜2,000円
郵送費など 数百円
合計 約1〜2万円

【専門家(社会保険労務士)に依頼する場合の費用】

多くの社労士事務所では、成功報酬制を採用しています。これは、受給が決定してから報酬を支払う形式で、不支給の場合は報酬が発生しないため、依頼者にとって安心な仕組みです。

一般的な報酬の目安は以下の通りです。

  • 年金受給が決定した場合: 年金額の約2ヶ月分(初回入金額の約10〜20%程度)
  • 着手金: 無料〜3万円程度(事務所により異なる)
  • 不支給の場合: 報酬なし、または着手金のみ

例えば、月額12万円の障害年金を受給できることになった場合、報酬は約24万円程度となります。これに加えて、診断書代などの実費が別途かかります。

高額に感じられるかもしれませんが、以下の点を考慮すると、妥当な費用と言えます。

  • 専門家に依頼することで認定率が大幅に向上する
  • 受給が決定すれば、その後は毎月年金を受け取り続けられる
  • 複雑な手続きを全て代行してもらえる
  • 不支給になった場合の審査請求にも対応してもらえる

当事務所(清水総合法務事務所)では、無料相談を実施しております。費用や手続きの流れについて、詳しくご説明いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

受給が決まったら、一生もらい続けられますか?

【回答】永久認定の場合は更新不要ですが、有期認定の場合は定期的な更新が必要です。

障害年金の認定には、永久認定有期認定の2種類があります。

永久認定の場合:
症状が改善する見込みがなく、障害の状態が一生続くと判断された場合は、永久認定となります。この場合、更新手続きは不要で、一度認定されれば基本的にずっと年金を受給し続けることができます。

特発性難聴の場合、高齢で発症し、治療によっても全く改善しなかったケースなどは、永久認定となる可能性が高くなります。

有期認定の場合:
症状が改善する可能性があると判断された場合は、有期認定となります。この場合、1年から5年程度の期間を区切って認定され、その期間が終了する前に再度診断書を提出して、更新手続きを行う必要があります。

更新時期が近づくと、日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」の提出を求める通知が届きます。この通知に記載された期限までに、最新の診断書を提出します。

更新時の診断書でも、聴力レベルや日常生活の支障などが再度評価されます。症状が変わらなければ、同じ等級で更新されます。症状が悪化していれば等級が上がることもあり、改善していれば等級が下がったり支給停止となることもあります。

ただし、特発性難聴の場合、一度固定した聴力が大きく改善することは稀です。そのため、多くのケースでは更新時も同じ等級で継続して受給できます。

更新手続きの注意点:

  • 期限を守って診断書を提出する
  • 更新時も、日常生活や就労の困難を医師にしっかり伝える
  • 診断書の内容を確認し、不足があれば追記を依頼する

更新手続きが不安な場合は、社会保険労務士にサポートを依頼することもできます。

家族にバレずに申請できますか?

【回答】基本的には可能ですが、状況によっては家族の協力が必要なこともあります。

障害年金の申請は、本人が行うものであり、家族の同意は必須ではありません。そのため、基本的には家族に知られずに申請することは可能です。

年金事務所からの通知や年金証書は、本人宛に郵送されます。振込先も本人名義の口座を指定すれば、家族に知られずに受給することができます。

ただし、以下のような場合は、家族の協力があった方がスムーズです。

家族の協力があった方が良いケース:

  • 配偶者や子どもがいる場合(加算額の対象となるため、戸籍謄本などが必要)
  • 初診日の記憶が曖昧で、家族の記憶を頼りにする必要がある場合
  • 病歴・就労状況等申立書に、家族から見た日常生活の支障を記載する場合
  • 体調が悪く、書類準備や手続きに家族のサポートが必要な場合

また、配偶者加給年金や子の加算を受ける場合は、家族の戸籍謄本や住民票が必要になるため、完全に秘密にすることは難しくなります。

なぜ家族に言いたくないのか:
「家族に心配をかけたくない」「障害者だと思われたくない」「経済的に依存していると思われたくない」など、様々な理由があると思います。

しかし、障害年金はあなたが当然受け取るべき権利です。これまで納めてきた年金保険料に基づいて支給されるものであり、決して恥ずかしいことではありません。

家族に打ち明けることで、申請がスムーズになるだけでなく、精神的な支えを得られることもあります。可能であれば、家族に相談することをお勧めします。

ただし、どうしても家族に知られたくない事情がある場合は、専門家に相談することで、できる限りプライバシーを守りながら申請する方法をアドバイスしてもらえます。

【疑問を解消して、一歩を踏み出そう】

この章では、特発性難聴の障害年金申請でよくある10の質問にお答えしました。これらの疑問が解消され、申請への不安が少しでも軽減されたなら幸いです。

もし、ここで取り上げていない疑問や不安がある場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談してください。障害年金制度は複雑ですが、適切なサポートを受けることで、必ず道は開けます。

「諦めない障害年金」――あなたの疑問や不安に寄り添い、受給への道を一緒に歩むサポートがあります。次の章では、専門家である社会保険労務士に依頼するメリットと、当事務所のサポート内容についてご紹介します。

専門家に依頼するメリット|社会保険労務士による障害年金申請サポート

ここまで読んで、「自分で申請するのは難しそう」と感じた方もいらっしゃるでしょう。障害年金の申請は複雑ですが、専門家である社会保険労務士に依頼することで、認定の可能性が大きく高まり、手続きの負担も軽減されます。ここでは、専門家に依頼するメリットと、当事務所のサポート内容をご紹介します。

障害年金の申請は、制度の複雑さから、多くの方が途中で挫折したり、不支給となったりしています。しかし、障害年金を専門とする社会保険労務士のサポートを受けることで、これらの問題の多くは解決できます。

この章では、社会保険労務士に依頼することの具体的なメリットと、当事務所がどのようなサポートを提供しているかについて、詳しくご説明します。

社会保険労務士に依頼する3つのメリット

社会保険労務士に障害年金申請を依頼することには、大きく分けて3つのメリットがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

認定率が大幅にアップ

専門家に依頼する最大のメリットは、障害年金の認定率が大幅に向上することです。

一般の方が自分で申請した場合と、障害年金を専門とする社会保険労務士が申請をサポートした場合では、認定率に大きな差があります。これは、専門家が以下のような点で適切な対応ができるためです。

まず、認定基準の正確な理解があります。障害年金の認定基準は複雑で、どの程度の聴力レベルで何級に該当するか、どのような状況であれば認定されるかを正確に理解するには、専門知識が必要です。社労士は、最新の認定基準や過去の裁決事例などを熟知しており、あなたのケースが認定される可能性を的確に判断できます。

次に、診断書内容の最適化です。診断書は認定の可否を左右する最重要書類ですが、医師は障害年金の認定基準を必ずしも熟知しているわけではありません。社労士は、診断書にどのような内容を記載してもらえば認定につながるかを知っており、医師への説明資料の作成や、診断書内容のチェック、不足があれば追記依頼などをサポートします。

さらに、病歴・就労状況等申立書の質の向上も重要です。申立書は本人が作成する書類ですが、どのように書けば実態が正確に伝わるか、どのような表現が効果的かを知っているのが専門家です。社労士は、あなたからのヒアリング内容をもとに、認定につながる申立書の作成をサポートします。

初診日証明の困難ケースへの対応も専門家の強みです。初診日の証明が困難なケースは多くありますが、社労士は様々な代替資料を用いて初診日を証明・推定する方法を知っています。カルテがない、病院が閉院しているといった困難なケースでも、諦めずに対応します。

そして、不支給ケースの事前回避ができることも大きなメリットです。申請前の段階で、書類に不備がないか、記載内容が十分かを専門家の目でチェックすることで、不支給となるリスクを大幅に減らすことができます。

「申請すれば誰でも受給できる」わけではありませんが、適切な準備と書類作成により、認定される可能性は大きく高まります。専門家のサポートは、その可能性を最大化するための投資と言えます。

複雑な手続きを完全代行

障害年金の申請手続きは、想像以上に複雑で時間がかかります。専門家に依頼することで、これらの複雑な手続きを全て代行してもらえます。

社労士が代行する主な手続きは以下の通りです。

必要書類の案内と準備サポート、診断書作成の医師への説明資料作成、受診状況等証明書の取得代行、病歴・就労状況等申立書の作成サポート、年金事務所への書類提出、審査状況の確認、結果通知の受領と説明などです。

特発性難聴で体調が優れない中、複雑な手続きに時間と労力を費やすことは大きな負担です。専門家に任せることで、あなたは治療や療養に専念でき、手続きの心配から解放されます。

不支給時の審査請求にも対応

万が一、申請が不支給となった場合でも、専門家に依頼していれば審査請求までトータルでサポートしてもらえます。

不支給決定を受けた時、多くの方は「もう無理だ」と諦めてしまいます。しかし、審査請求という制度があり、適切に対応すれば逆転認定される可能性は十分にあります。

社労士は、不支給理由の分析、追加資料の準備、審査請求書の作成と提出、審査の経過報告、再審査請求への対応など、最後まで諦めずにサポートします。

実際に、初回申請で不支給となったケースでも、社労士のサポートにより審査請求で認定されたケースは少なくありません。「諦めない障害年金」の精神で、最後まで伴走するのが専門家の役割です。

当事務所の「諦めない障害年金」サポート

清水総合法務事務所は、「諦めない障害年金」をコンセプトに、障害年金申請を専門としてサポートしています。

私たちが大切にしているのは、「障害者が障害年金を受給できることにより、安心して暮らしていける希望が持てるようになる」ことです。

障害年金制度は複雑で、申請のハードルが高いことは事実です。そのため、本来受給できるはずの方が、制度の複雑さに諦めてしまうケースが多くあります。また、一度不支給になったことで、「自分には無理だ」と希望を失ってしまう方もいらっしゃいます。

しかし、適切な準備と正しい方法で申請すれば、受給の可能性は大きく高まります。諦めずに向き合うことで、道は開けるのです。

私たちは、そんなあなたの「諦めない」気持ちに寄り添い、受給を実現するまで全力でサポートします。一度の不支給で終わらせず、何度でもチャレンジできるよう、戦略を練り、準備を整えます。

無料相談のご案内|まずはお気軽にご相談ください

当事務所では、無料相談を実施しております。障害年金についての疑問や不安、あなたのケースで受給できる可能性があるかなど、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせ方法(電話・メール・フォーム)

以下の方法で、無料相談をお申し込みいただけます。

【お問い合わせ先】

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受付時間:平日9:00〜18:00

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24時間受付。2営業日以内にご返信いたします。

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ホームページ:https://nenkin.srkobe.com/

相談から受給までの流れ

無料相談から受給までの流れは、以下の通りです。

【ステップ1:無料相談】
まずは無料相談で、あなたの状況を詳しくお聞かせください。発症時期、現在の聴力レベル、生活や仕事への影響、加入している年金制度などをお伺いします。相談方法は、電話、メール、対面(事務所またはご自宅)、オンライン(Zoom等)からお選びいただけます。

【ステップ2:受給可能性の判断】
お聞きした内容をもとに、障害年金の受給可能性を判断します。認定基準に照らして、どの等級に該当する可能性があるか、月額いくら受給できそうかなどをご説明します。

【ステップ3:ご依頼・契約】
サポート内容と費用についてご説明し、ご納得いただけましたら契約を締結します。この時点で着手金をいただく場合がありますが、成功報酬は受給決定後のお支払いです。

【ステップ4:書類準備・申請】
診断書作成のサポート、受診状況等証明書の取得、病歴・就労状況等申立書の作成など、申請に必要な書類を準備します。書類が揃ったら、年金事務所に申請します。

【ステップ5:審査・結果通知】
審査状況を定期的に確認し、ご報告します。認定されれば、年金証書が届きます。不支給の場合は、審査請求をご提案します。

【ステップ6:報酬のお支払い】
受給が決定したら、成功報酬をお支払いいただきます。年金の初回入金後のお支払いで構いません。

成功報酬制で安心

当事務所では、成功報酬制を採用しております。これは、受給が決定してから報酬をお支払いいただく制度で、不支給の場合は成功報酬が発生しないため、安心してご依頼いただけます。

【費用の目安】

  • 着手金:ご相談ください(無料または低額に設定)
  • 成功報酬:年金額の約2ヶ月分程度(受給決定後のお支払い)
  • 不支給の場合:成功報酬は発生しません

詳しい費用については、無料相談時に丁寧にご説明いたします。

【こんな方はぜひご相談ください】

✅ 特発性難聴で聴力が低下し、生活や仕事に支障がある
✅ 障害年金を受給できるか知りたい
✅ 自分で申請するのは難しそうだと感じている
✅ 初診日の証明が困難で諦めかけている
✅ 過去に一度不支給になったが、再チャレンジしたい
✅ 片耳だけの難聴でも対象になるか知りたい
✅ 働きながらでも受給できるか知りたい

【最後に】

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

特発性難聴という病気は、突然の聴力低下により、あなたの人生に大きな影響を与えたことでしょう。仕事を続けられなくなった、家族とのコミュニケーションが困難になった、将来への不安が尽きない――そんな日々を過ごしているかもしれません。

しかし、あなたは一人ではありません。障害年金という制度が、そして私たち専門家が、あなたを支えます。

「諦めない障害年金」――それは、複雑な制度に立ち向かい、希望を持って一歩を踏み出すことです。一度の失敗で終わらせず、何度でもチャレンジすることです。そして、受給を実現し、安心して暮らしていける基盤を築くことです。

経済的な不安が少しでも軽減されれば、治療に専念できます。家族に申し訳ないという気持ちが和らぎます。前を向いて生きていく希望が持てます。

まずは無料相談から。あなたの状況をお聞かせください。受給の可能性があるかどうか、一緒に確認しましょう。相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは話を聞いてみたい、それだけでも構いません。

あなたからのご連絡を、心よりお待ちしています。

清水総合法務事務所
社会保険労務士 清水 良訓

📞 TEL:050-7124-5884(平日9:00〜18:00)
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🌐 お問い合わせフォーム:https://nenkin.srkobe.com/contact/
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あなたが安心して暮らしていける希望への第一歩を、今日、踏み出しませんか。

【まとめ】特発性難聴の障害年金申請で押さえるべき5つのポイント

  • 特発性難聴でも障害年金は受給できます。片耳だけの難聴でも、一側耳が90デシベル以上であれば、もう片方の耳の状態によって3級または障害手当金の対象となる可能性があります。「片耳は聞こえるから無理」と諦める必要はありません。
  • 受給には3つの条件を満たす必要があります。初診日に年金に加入していたこと、一定期間保険料を納めていたこと、障害認定日に認定基準を満たしていることです。多くの方がこれらの条件を満たしており、まずは確認することが大切です。
  • 受給額は等級と年金制度によって異なります。国民年金加入者で月額約6.8万円〜8.5万円、厚生年金加入者で月額約10万円〜16万円以上を受給でき、配偶者や子どもがいる場合はさらに加算されます。経済的な安心につながる金額です。
  • 診断書作成時には、医師に日常生活や仕事での具体的な困難を伝えることが極めて重要です。電話対応ができない、会議で聞き取れない、家族との会話に支障があるなど、具体的な場面を説明することで、実態が正確に診断書に反映されます。
  • 専門家である社会保険労務士に依頼することで、認定率が大幅に向上し、複雑な手続きも全て代行してもらえます。不支給になった場合も審査請求までサポートしてもらえるため、最後まで諦めずに受給を目指すことができます。まずは無料相談から始めてみましょう。
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