パーキンソン病の障害年金|働いていても・薬でコントロール中でも受給可能!認定基準を社労士が徹底解説

パーキンソン病の障害年金|働いていても・薬でコントロール中でも受給可能!認定基準を社労士が徹底解説
パーキンソン病の障害年金|働いていても・薬でコントロール中でも受給可能!認定基準を社労士が徹底解説

パーキンソン病と診断されて不安を抱えていませんか?手の震えや歩行の困難で仕事や日常生活に支障が出ているのに、「働いているから無理」「薬で症状を抑えているから対象外」と諦めていませんか?実は、パーキンソン病でも障害年金は受給できます。この記事では、障害年金専門の社会保険労務士が、パーキンソン病の認定基準、受給額、申請方法まで徹底解説します。あなたとご家族が安心して暮らせる希望の道を、一緒に見つけていきましょう。

目次

【結論】パーキンソン病でも障害年金は受給できる!まず知っておくべき3つの事実

まず最初に結論からお伝えします。パーキンソン病でも障害年金は確実に受給できます。多くの方が「自分は該当しないのでは」と諦めてしまいがちですが、実際には多くのパーキンソン病患者の方が障害年金を受給しています。ここでは、申請を検討する前に必ず知っておいていただきたい3つの重要な事実をお伝えします。

【重要】パーキンソン病と障害年金の3つの事実

事実 内容
事実1 働きながらでも受給可能
事実2 薬でコントロール中でも申請できる
事実3 若年性パーキンソン病も対象

事実1:働きながらでも受給可能

「仕事をしているから障害年金はもらえない」――これは最も多い誤解の一つです。結論から申し上げると、就労していても障害年金は受給できます。

障害年金の認定基準では、就労の有無だけで判断されることはありません。重要なのは「日常生活や就労にどれだけ支障があるか」という点です。たとえ現在働いていても、パーキンソン病による手の震えで細かい作業ができない、動作が緩慢で通常の業務時間内に仕事が終わらない、通勤に支障があるといった状態であれば、障害年金の対象となる可能性があります。

実際に、当事務所でサポートした52歳の会社員の方は、製造業の現場で働きながらも右手の震えと動作緩慢により業務に支障が出ていました。配置転換を余儀なくされ、収入も減少していましたが、障害厚生年金2級の認定を受け、月額約10万円の年金を受給できるようになりました。この方は現在も勤務を続けながら、障害年金によって経済的な不安が軽減され、治療にも専念できています。

むしろ、就労しながらも困難を抱えている状態こそ、障害年金によって生活を支える必要性が高いと言えます。仕事を続けることと障害年金の受給は、決して矛盾するものではありません。

事実2:薬でコントロール中でも申請できる

「レボドパなどの薬で症状をコントロールできているから、障害年金の対象にならないのでは」――これも大きな誤解です。薬物療法により症状が改善されている場合でも、障害年金は申請できます。

障害年金の認定では、「服薬している状態での障害の程度」が評価されます。つまり、薬を服用することで日常生活を送れている状態そのものが評価の対象となるのです。薬を飲まなければ症状が悪化するという事実は、障害が存在していることの証明でもあります。

パーキンソン病の場合、多くの患者さんが薬物療法を受けながら生活されています。しかし、薬の効果が現れる「オン」の時間と、効果が切れる「オフ」の時間があり、オフの時間帯には動作が困難になったり、転倒のリスクが高まったりします。また、薬の量が増えるにつれて副作用の問題も出てきます。こうした状況も含めて、総合的に障害の程度が判断されます。

実際に、当事務所で支援した58歳の男性は、レボドパ製剤を1日3回服用し、服薬後2時間程度は比較的動けるものの、薬の効果が切れるとすくみ足が出て歩行が困難になる状態でした。「薬があれば何とか生活できているから」と申請を躊躇されていましたが、服薬状態での日常生活の困難さを適切に診断書に記載してもらうことで、障害厚生年金2級の認定を受けることができました。

薬によって症状がコントロールされていることは、申請のマイナス要因ではありません。むしろ、継続的な治療が必要な状態であることの証明でもあります。

事実3:若年性パーキンソン病も対象

「パーキンソン病は高齢者の病気だから、若い自分には関係ない」「30代や40代で障害年金をもらうなんて」――若年性パーキンソン病の方からよく聞かれる声です。しかし、若年性パーキンソン病も障害年金の対象です。年齢による制限はありません。

障害年金は20歳以上であれば、年齢に関係なく受給できる制度です。むしろ、若くして発症した方こそ、今後の長い人生を考えると経済的な支援が必要です。教育費や住宅ローンを抱えている現役世代にとって、収入が減少することは家族全体の生活に大きな影響を及ぼします。

若年性パーキンソン病は40歳未満で発症するケースを指しますが、通常のパーキンソン病と比べて進行が比較的緩やかな一方で、長期間にわたる治療と就労の両立が課題となります。当事務所でサポートした38歳の自営業の方は、診断から1年後に左手の震えが悪化し、細かい作業が困難になりました。「まだ若いのに」という思いから申請を躊躇されていましたが、家族のためにも安定した収入を確保することが重要と考え、申請を決意されました。結果、障害基礎年金2級の認定を受け、月額約6万7千円の年金を受給できるようになりました。

若くして病気と向き合わなければならない辛さは、計り知れないものがあります。しかし、だからこそ利用できる制度はしっかりと活用し、安心して治療に専念できる環境を整えることが大切です。若年性だから無理、ということは決してありません。

💡 ここがポイント!

「働いているから」「薬でコントロールできているから」「若いから」――これらはすべて誤解です。パーキンソン病によって日常生活や就労に支障が出ているのであれば、それがどのような状況であっても、障害年金を受給できる可能性があります。大切なのは「諦めないこと」です。まずは専門家に相談し、あなたの状況を正確に評価してもらうことから始めましょう。

パーキンソン病とは?症状・原因・治療法の基礎知識

障害年金の申請を考える前に、まずパーキンソン病という病気について正しく理解しておくことが大切です。ここでは、パーキンソン病の症状、原因、治療法について、障害年金の認定とも関わる重要なポイントを中心に解説していきます。

パーキンソン病の主な症状

パーキンソン病は、脳の中の黒質という部分にあるドパミン神経細胞が減少することで起こる神経変性疾患です。ドパミンは体の動きをスムーズにする重要な神経伝達物質で、これが不足すると様々な運動症状が現れます。

パーキンソン病の症状は大きく「運動症状」と「非運動症状」に分けられますが、障害年金の認定では特に運動症状が重視されます。ただし、非運動症状も日常生活に大きな影響を与えるため、診断書には両方の症状を正確に記載してもらうことが重要です。

運動症状(4大症状)

パーキンソン病の代表的な運動症状として、次の4つが知られています。これらは「パーキンソン病の4大症状」と呼ばれ、診断の重要な指標となります。

【パーキンソン病の4大症状】

症状 具体的な現れ方と日常生活への影響
1. 振戦(しんせん)
手足の震え
・安静時に手足が細かく震える(安静時振戦)
・何もしていない時に震えが現れやすい
・字が書きにくい、食事でスプーンが使いにくい
・人前で手が震えることへの精神的ストレス
2. 筋強剛(きんきょうごう)
筋肉のこわばり
・筋肉が硬くなり、関節の動きが悪くなる
・肩こりや腰痛のような症状が続く
・顔の表情が乏しくなる(仮面様顔貌)
・体の柔軟性が失われる
3. 無動・寡動
動作緩慢
・動作がゆっくりになる、動き出すのに時間がかかる
・歩き始めの一歩が出にくい(すくみ足)
・着替えや食事に時間がかかる
・仕事の効率が著しく低下する
4. 姿勢反射障害
バランスの悪さ
・前かがみの姿勢になる(前傾姿勢)
・バランスを崩しやすく、転倒のリスクが高い
・方向転換時につまずきやすい
・歩行時に小刻みになる(小刻み歩行)

これらの症状は同時に全て現れるわけではなく、初期は片側の手の震えから始まることが多く、徐々に両側に広がっていきます。また、症状の現れ方や進行速度は個人差が大きく、ある症状が強く出る人もいれば、ほとんど目立たない人もいます。

当事務所にご相談いただく方の中には、「まだ震えだけだから軽症」と思われている方もいらっしゃいますが、たとえ一つの症状であっても日常生活や仕事に支障が出ているのであれば、障害年金の対象となる可能性があります。症状の種類や数ではなく、「生活にどれだけ困っているか」が重要なのです。

非運動症状

パーキンソン病では、運動症状以外にも様々な症状が現れます。これらは「非運動症状」と呼ばれ、患者さんやご家族のQOL(生活の質)に大きく影響します。

代表的な非運動症状には、自律神経症状(便秘、頻尿、起立性低血圧、発汗異常など)、精神症状(うつ、不安、意欲低下、認知機能の低下など)、睡眠障害(不眠、日中の眠気、レム睡眠行動障害など)、感覚症状(痛み、しびれ、嗅覚低下など)があります。

これらの非運動症状は運動症状よりも早期から現れることがあり、また薬の副作用として生じることもあります。障害年金の診断書では主に運動症状が評価されますが、非運動症状によって日常生活動作が制限されている場合は、その旨もしっかりと記載してもらうことが大切です。

パーキンソン病の原因とメカニズム

パーキンソン病は、脳の黒質という部分のドパミン神経細胞が徐々に減少していく病気です。結論から言うと、なぜドパミン神経細胞が減少するのか、その根本的な原因は現在でも完全には解明されていません。

ドパミンは、脳から筋肉への運動指令を伝える際に重要な役割を果たす神経伝達物質です。健康な人の脳には約40万個のドパミン神経細胞がありますが、パーキンソン病ではこの細胞が減少し、ドパミンの量が不足します。ドパミンが正常時の約20%以下になると、パーキンソン病の症状が現れ始めると言われています。

原因については、加齢、遺伝的要因、環境要因などが複雑に関わっていると考えられていますが、大多数のケースでは明確な原因は特定できません。一般的には遺伝性は低いとされており、家族内で発症するケースは全体の5~10%程度です。

原因が不明であるということは、完全な予防法が確立されていないということでもあります。だからこそ、発症した後の生活をどう支えるかが重要になります。障害年金は、原因不明の難病と向き合いながら生活する方々を経済的に支援するための制度でもあるのです。

パーキンソン病の治療法

現在のところ、パーキンソン病を完全に治す治療法はまだありません。しかし、症状をコントロールし、日常生活の質を維持・改善するための治療法は確立されています。ここでは主な治療法について解説します。

薬物療法

パーキンソン病の治療の中心は薬物療法です。最も広く使われているのが、不足したドパミンを補う「レボドパ製剤」です。レボドパは脳内でドパミンに変換され、運動症状を改善します。多くの患者さんで高い効果が得られ、特に無動や筋強剛の改善に優れています。

その他にも、ドパミンの働きを助ける「ドパミンアゴニスト」、ドパミンの分解を抑える「MAO-B阻害薬」や「COMT阻害薬」など、様々な種類の薬が症状や病期に応じて使い分けられます。

ただし、薬物療法には課題もあります。レボドパを長期間使用すると、薬の効果が現れる「オン」の時間と効果が切れる「オフ」の時間が明確になる「ウェアリング・オフ現象」が起こることがあります。また、不随意運動(ジスキネジア)などの副作用が出ることもあります。

障害年金の診断書では、服用している薬の種類や量、薬の効果(オン・オフの状態)を詳しく記載してもらうことが重要です。薬を服用している状態での日常生活の困難さが評価の対象となります。

外科的治療(DBS:脳深部刺激療法)

薬物療法だけでは症状のコントロールが難しい場合や、薬の副作用が強い場合には、外科的治療が選択肢となることがあります。代表的なのが「DBS(脳深部刺激療法)」です。

DBSは、脳の深部に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで症状を改善する治療法です。振戦や筋強剛、ジスキネジアに対して高い効果が期待でき、薬の量を減らせることもあります。ただし、すべての患者さんが適応となるわけではなく、年齢や症状、全身状態などを総合的に判断して実施されます。

DBS治療を受けていても、障害年金の申請は可能です。治療によって症状が改善されていても、日常生活に制限がある場合は受給対象となります。

リハビリテーション

パーキンソン病の治療において、リハビリテーションは非常に重要です。薬物療法と並行して、理学療法、作業療法、言語療法などを継続的に行うことで、身体機能の維持・改善が期待できます。

具体的には、歩行訓練、バランス訓練、筋力強化訓練、ストレッチ、日常生活動作の訓練などが行われます。また、転倒予防のための指導や、自宅環境の調整なども重要なリハビリテーションの一部です。

リハビリテーションを継続的に受けていることは、症状の進行を遅らせたり、日常生活の質を保つための積極的な取り組みの証でもあります。これらの情報も診断書に記載してもらうことで、病気と真摯に向き合っている姿勢が伝わります。

Hoehn&Yahr重症度分類とは

パーキンソン病の重症度を評価する指標として、国際的に広く使われているのが「Hoehn&Yahr(ホーエン・ヤール)重症度分類」です。これは障害年金の認定でも参考にされる重要な基準です。

【Hoehn&Yahr重症度分類】

ステージ 症状の状態
ステージ1 片側のみの症状があり、日常生活への影響は軽微
ステージ2 両側の症状があるが、姿勢保持障害はない。日常生活・通院にやや不便を感じる
ステージ3 姿勢保持障害が出現。日常生活に介助は不要だが、動作に制限がある
ステージ4 起立・歩行にやや介助が必要。日常生活の一部に介助が必要
ステージ5 車いすまたはベッド上での生活。全面的な介助が必要

この分類は病気の進行度を示す目安であり、障害年金の等級とは必ずしも一致しません。例えば、ステージ2であっても、日常生活や就労に大きな支障がある場合は障害年金2級に該当する可能性があります。逆に、ステージ3であっても、症状の程度や生活への影響によって認定結果は異なります。

重要なのは、Hoehn&Yahrのステージだけでなく、実際の日常生活動作(ADL)がどの程度制限されているかを総合的に評価することです。診断書では、このステージと併せて、具体的な生活上の困難さを詳しく記載してもらうことが認定のカギとなります。

💡 ここがポイント!

パーキンソン病は進行性の病気ですが、適切な治療とリハビリテーションによって症状をコントロールし、長く日常生活を維持することが可能です。しかし同時に、完治が難しく、長期的な経済的支援が必要な病気でもあります。障害年金は、こうした病気と向き合いながら生活する方々を支えるための制度です。症状や治療の状況を正確に理解し、適切に申請することで、安心して治療に専念できる環境を整えましょう。

障害年金制度の基本|パーキンソン病患者が知っておくべきこと

障害年金という制度を初めて知った方も多いのではないでしょうか。ここでは、障害年金の基本的な仕組みと、パーキンソン病患者の方が特に知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。制度を正しく理解することが、受給への第一歩です。

障害年金とは何か

障害年金とは、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が出た場合に、国から支給される公的年金制度です。結論から言うと、障害年金は「働けなくなった人だけ」のための制度ではありません。病気や障害によって日常生活に制限がある方すべてが対象となる、生活を支えるための重要な社会保障制度なのです。

多くの方が「障害年金は高齢になってからもらう老齢年金とは違うもの」ということは何となく知っていても、具体的にどのような制度なのか、自分が対象になるのかは分からないという状況です。実際、当事務所にご相談いただく方の中にも、「障害年金という制度があることを知らなかった」「もっと早く知っていれば」という声を多くいただきます。

障害年金は、国民年金または厚生年金に加入している間に初診日(その病気で初めて医師の診察を受けた日)がある病気やケガが原因で、日常生活や仕事に支障が出た場合に支給されます。20歳前や60歳以降に初診日がある場合など、特別な条件もありますが、基本的には年金保険料を納めていた方が対象となります。

重要なのは、この制度が「障害者手帳」とは全く別の制度であるということです。障害者手帳を持っていなくても障害年金は受給できますし、逆に障害者手帳を持っていても障害年金が受給できない場合もあります。それぞれ判定基準が異なるため、手帳を持っていないからといって諦める必要はありません。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。どちらを受給できるかは、初診日にどの年金制度に加入していたかによって決まります。この違いを理解することは、受給額を把握する上で非常に重要です。

【障害基礎年金と障害厚生年金の比較】

項目 障害基礎年金 障害厚生年金
対象者 初診日に国民年金に加入していた方(自営業、学生、専業主婦など) 初診日に厚生年金に加入していた方(会社員、公務員など)
等級 1級・2級の2段階 1級・2級・3級の3段階
(3級より軽い場合は障害手当金)
支給額 定額(等級により決定)
+子の加算
報酬比例額(収入により変動)
+配偶者加給年金
※1・2級の場合は障害基礎年金も併給
受給額の目安 1級:約81万円/年
2級:約65万円/年
1・2級:障害基礎年金+報酬比例額
3級:報酬比例額のみ(最低保証額あり)

この違いで特に重要なのは、障害厚生年金には「3級」があるという点です。障害基礎年金は1級または2級に該当しなければ受給できませんが、障害厚生年金は3級でも受給できます。3級は「労働に著しい制限を受ける、または労働に制限を加えることを必要とする程度」とされており、比較的軽度の障害でも対象となる可能性があります。

例えば、会社員として働きながらパーキンソン病の症状が出始めた52歳の男性の場合、初診日に厚生年金に加入していたため、障害厚生年金の対象となります。仮に障害の程度が2級と認定されれば、障害基礎年金約65万円に加えて、過去の収入に応じた障害厚生年金も受給でき、合計で年間120万円以上(月額10万円以上)になるケースもあります。

一方、自営業の方やフリーランスの方は国民年金の加入者ですので、障害基礎年金のみが対象となります。ただし、配偶者や子がいる場合には加算額が追加されるため、世帯全体での受給額を考えることが大切です。

また、過去に会社員として働いていて厚生年金に加入していた期間がある方でも、初診日の時点で国民年金に切り替わっていた場合は、障害基礎年金のみの対象となります。そのため、「いつ初めて医師の診察を受けたか」という初診日の確認が極めて重要になるのです。

パーキンソン病は障害年金の対象になる理由

「パーキンソン病でも本当に障害年金がもらえるのか」――多くの患者さんやご家族が抱く疑問です。結論から申し上げると、パーキンソン病は明確に障害年金の対象疾患です。その理由を詳しく解説します。

障害年金の認定基準では、パーキンソン病は「肢体の障害」として評価されます。具体的には、手足の運動機能障害や歩行障害、日常生活動作の制限などが評価の対象となります。厚生労働省が定める「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」において、パーキンソン病による症状が明記されており、客観的な基準に基づいて等級が判定されます。

パーキンソン病が障害年金の対象となる理由は、主に以下の3点にあります。

第一に、パーキンソン病は進行性の疾患であり、治療によって完治することが困難な病気です。薬物療法やリハビリテーションによって症状をコントロールすることは可能ですが、根本的な治療法は確立されていません。そのため、長期にわたる経済的支援が必要となります。

第二に、パーキンソン病の症状は日常生活に直接的な影響を及ぼします。手の震えで食事や着替えに時間がかかる、動作が緩慢で仕事の効率が落ちる、歩行が不安定で転倒のリスクがある――こうした症状は、生活の質を大きく低下させます。障害年金制度は、こうした「日常生活への支障」を評価し、経済的に支援することを目的としています。

第三に、パーキンソン病は若年で発症するケースもあり、現役世代での収入減少が深刻な問題となります。40代や50代で発症した場合、教育費や住宅ローンを抱えながら、仕事のパフォーマンスが低下したり、退職を余儀なくされたりするケースも少なくありません。こうした現役世代の生活を守るためにも、障害年金は重要な役割を果たします。

【パーキンソン病が障害年金の対象となる具体的な状態例】

  • 振戦(手足の震え)により、食事、着替え、書字などの日常生活動作に著しい支障がある
  • 筋強剛(筋肉のこわばり)や無動により、動作に時間がかかり、就労や家事に制限がある
  • 姿勢反射障害により、歩行時の転倒リスクが高く、外出に介助が必要
  • 薬の効果が切れる「オフ」の時間帯に、日常生活が著しく制限される
  • 服薬による副作用(ジスキネジアなど)が生活に支障をきたしている
  • 複数の症状が組み合わさり、継続的な就労が困難になっている

ただし、パーキンソン病と診断されただけで自動的に障害年金が受給できるわけではありません。重要なのは、診断名ではなく「障害の程度」です。同じパーキンソン病でも、症状の程度や日常生活への影響は人それぞれ異なります。認定基準に照らして、どの等級に該当するかが判断されます。

実際、当事務所でサポートしたケースでも、Hoehn&Yahrのステージが同じであっても、認定結果が異なることがあります。これは、ステージだけでなく、実際の日常生活動作(ADL)の状態や、薬の効果、オン・オフの状態、就労状況など、様々な要素を総合的に評価するためです。

だからこそ、診断書には単に病名や検査数値を記載するだけでなく、「日常生活でどのような困難があるのか」を具体的に、詳細に記載してもらうことが極めて重要になります。医師が診察室で見る患者さんの状態と、自宅での実際の生活状態には差があることも多いため、患者さん自身やご家族が日常の困難さを医師に正確に伝えることが、認定への第一歩となるのです。

💡 ここがポイント!

パーキンソン病は明確に障害年金の対象疾患です。「自分の症状では無理なのでは」「まだ軽いから」と諦める前に、まずは専門家に相談することをお勧めします。障害年金制度は、病気と向き合いながら生活するすべての方を支えるための制度です。初診日や保険料納付状況を確認し、受給の可能性を探ることから始めましょう。当事務所では無料相談を実施しておりますので、どんな小さな疑問でもお気軽にお問い合わせください。

パーキンソン病で障害年金を受給するための3つの要件

障害年金を受給するためには、3つの要件をすべて満たす必要があります。この要件は決して難しいものではありませんが、正確に理解しておくことで申請がスムーズに進みます。ここでは、パーキンソン病の方が特に注意すべきポイントを中心に、分かりやすく解説していきます。

【障害年金受給の3つの要件】

要件 内容
1. 初診日要件 初診日が特定でき、その時点で年金制度に加入していたこと
2. 保険料納付要件 一定期間以上、保険料を納付または免除されていたこと
3. 障害状態要件 障害認定日に、認定基準に該当する障害の状態にあること

要件1:初診日要件|初診日の証明が最重要

障害年金の申請で最も重要なのが「初診日」の確認です。結論から言うと、初診日が特定できなければ、どれだけ症状が重くても障害年金は受給できません。それほど初診日は重要なのです。

初診日とは

初診日とは、「その病気やケガで初めて医師または歯科医師の診察を受けた日」のことです。パーキンソン病の場合、パーキンソン病と正式に診断された日ではなく、パーキンソン病につながる症状で初めて医療機関を受診した日が初診日となります。

例えば、「手の震えが気になって内科を受診した」のが2020年4月で、その後神経内科に紹介され、2021年3月に「パーキンソン病」と診断された場合、初診日は2020年4月の内科受診日となります。診断名がついた日ではなく、最初に症状で受診した日が初診日なのです。

初診日がなぜこれほど重要かというと、初診日によって次の3点が決まるからです。第一に、どの年金制度(国民年金か厚生年金か)の対象になるか。第二に、保険料納付要件を満たしているかどうかの判定基準日。第三に、障害基礎年金のみか、障害厚生年金も受給できるか。これらすべてが初診日を基準に判断されるため、初診日の特定は申請の大前提となります。

初診日の証明方法

初診日を証明するための基本的な書類は「受診状況等証明書」です。これは初診の医療機関に作成してもらう書類で、いつ、どのような症状で受診したかを証明するものです。

最も確実な証明方法は、初診の医療機関のカルテです。カルテには受診日、症状、診察内容が記録されているため、これを基に受診状況等証明書を作成してもらえます。ただし、カルテの法定保存期間は5年間(診療終了後)ですので、それ以前の受診記録は残っていない場合もあります。

カルテが残っていなくても、初診日を証明する方法はあります。例えば、医療機関の受付簿や診察券の発行記録、紹介状の控え、お薬手帳の記録などが補助的な証拠となります。また、複数の医療機関を受診している場合は、二番目以降の医療機関で初診日を推定することも可能です。

カルテが残っていない場合の対処法

「初診から何年も経っていて、カルテが残っていない」――このような相談は非常に多くいただきます。しかし、諦める必要はありません。カルテが残っていない場合でも、初診日を証明する方法はいくつかあります。

まず、初診の医療機関でカルテは廃棄されていても、「受診の事実」だけを証明してもらえる場合があります。医療機関によっては受診歴の記録や、診察券番号の発行記録が残っていることがあります。これらの記録から、おおよその受診時期を証明できる可能性があります。

次に、二番目以降に受診した医療機関の診療録(カルテ)に、初診の医療機関からの紹介状の内容や、患者さんからの聴取内容として「○年○月頃から症状があった」といった記載があれば、それを参考に初診日を推定できます。

また、第三者証明という方法もあります。これは、家族や職場の同僚など、患者さんの発症や受診を知っている第三者に証明書を書いてもらう方法です。複数の第三者証明と、お薬手帳や診察券などの客観的な資料を組み合わせることで、初診日を認めてもらえるケースもあります。

当事務所でサポートした事例では、15年前に他県の病院で初めて受診し、その後引っ越しで転院を繰り返したため、初診の医療機関のカルテが残っていないケースがありました。しかし、転院先の病院のカルテに記載されていた紹介状の情報や、ご家族の第三者証明、古い診察券などを組み合わせることで、初診日を認定してもらうことができました。

💡 初診日確認のアドバイス

初診日の証明は専門的な知識と経験が必要です。「カルテがないから無理」と諦める前に、まずは専門家に相談してください。当事務所では、初診日の証明が難しいケースでも、様々な方法を駆使して証明書類を整えるサポートを行っています。諦めない姿勢が、受給への道を開きます。

要件2:保険料納付要件|未納があっても諦めない

障害年金を受給するためには、一定期間以上、年金保険料を納めている必要があります。ただし、少しの未納があったからといって、すぐに受給できなくなるわけではありません。保険料納付要件には原則と特例があり、多くの方が要件を満たしています。

納付要件の2つのパターン

保険料納付要件には「原則」と「特例」の2つのパターンがあります。どちらか一方を満たしていれば要件クリアとなります。

【保険料納付要件の2パターン】

【原則】3分の2要件

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること

【特例】直近1年要件(65歳未満の場合のみ)

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

この要件を理解する上で重要なポイントは、「初診日の前日」を基準とする点です。初診日の当日や、初診日より後に慌てて保険料を納めても、要件を満たしたことにはなりません。あくまで初診日の前日時点での納付状況が評価されます。

原則の「3分の2要件」は、年金制度に加入していた全期間を対象とします。例えば、20歳から50歳まで30年間(360か月)被保険者だった場合、そのうち240か月以上(360か月の3分の2)が納付済みまたは免除期間であれば要件を満たします。つまり、120か月(10年間)までの未納であれば許容されるということです。

一方、特例の「直近1年要件」は、初診日の前々月から遡って1年間(12か月)に未納がなければOKという、より緩やかな基準です。この特例は65歳未満の方が対象で、令和8年(2026年)3月31日までの時限措置となっています。ただし、これまで何度も延長されてきた経緯があります。

実際の判定では、多くの方がこの「直近1年要件」で要件を満たしています。例えば、若い頃に数年間未納期間があった方でも、直近1年間しっかり納めていれば問題ありません。会社員の方であれば、給料から厚生年金保険料が天引きされているため、ほぼ自動的にこの要件を満たしています。

免除期間の扱い

保険料納付要件でしばしば誤解されるのが「免除期間」の扱いです。結論から言うと、免除期間は納付期間と同じように扱われます。これは非常に重要なポイントです。

経済的に保険料の納付が困難な場合、市区町村の窓口で申請することで、保険料の全額免除や一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)、納付猶予の制度を利用できます。これらの免除・猶予期間は、保険料納付要件を判定する際には「納めた期間」としてカウントされます。

ただし、免除を受けずに単に保険料を納めなかった「未納期間」は、納付期間としてカウントされません。ここが大きな違いです。過去に経済的に厳しい時期があった方でも、きちんと免除の手続きをしていれば、障害年金の受給要件には影響しないのです。

もし過去に未納期間があり、保険料納付要件を満たしているか不安な方は、まずは年金事務所で「被保険者記録照会」を取得することをお勧めします。これにより、ご自身の納付状況が正確に分かります。当事務所でも、この記録を基に要件を満たしているかどうかを判定いたします。

実際に当事務所でサポートしたケースでは、20代の頃に数年間の未納期間があった58歳の男性が、「未納があるから無理だろう」と諦めかけていましたが、記録を確認したところ、加入期間全体の3分の2以上は納付・免除期間があり、さらに直近1年は会社員として厚生年金を納めていたため、両方の要件を満たしていました。

💡 未納があっても諦めないで

過去に未納期間があっても、直近1年間の納付状況が良好であれば、特例要件を満たせる可能性があります。また、免除期間は納付期間としてカウントされます。「昔、払えない時期があったから」と諦める前に、まずは正確な納付記録を確認し、専門家に相談することをお勧めします。

要件3:障害状態要件|認定基準を満たす障害の程度

3つ目の要件は「障害状態要件」です。これは、一定の障害の状態にあることを証明する要件で、診断書によって判定されます。パーキンソン病の場合、肢体の障害として評価され、日常生活動作の制限の程度によって等級が決まります。

障害状態要件を判定する基準日を「障害認定日」と言います。障害認定日とは、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内に症状が固定した日」のことです。パーキンソン病のような進行性の疾患の場合、通常は初診日から1年6か月経過した日が障害認定日となります。

なぜ1年6か月という期間が設けられているかというと、病気やケガによっては時間の経過とともに症状が改善する可能性があるためです。一定期間の経過を見て、障害の状態が固定したかどうかを判断する必要があるのです。

ただし、障害認定日に障害等級に該当しなかった場合でも、その後症状が悪化して等級に該当するようになれば、「事後重症請求」という方法で申請できます。また、障害認定日には軽度だったものの、後から診断書を取り直してみると実は等級に該当していたというケースもあります(遡及請求)。

パーキンソン病は進行性の疾患ですので、診断時は軽症でも、数年後には日常生活に大きな支障が出ることがあります。「今は軽いから」と諦めずに、症状の変化を見守り、必要なタイミングで申請することが大切です。

認定基準の詳細については、次の章で詳しく解説しますが、ここで重要なのは「診断名だけでは認定されない」という点です。同じパーキンソン病でも、日常生活への影響の程度は人それぞれです。認定では、Hoehn&Yahrのステージだけでなく、実際の日常生活動作(起立、歩行、食事、着替え、入浴など)がどの程度制限されているかが総合的に評価されます。

【3つの要件のチェックリスト】

要件 確認ポイント
初診日要件 □ いつ、どこの医療機関で初めて受診したか覚えている
□ 初診の医療機関名が分かる
□ 受診状況等証明書を取得できる(またはカルテの有無を確認できる)
保険料納付要件 □ 初診日の前々月までの直近1年間に未納がない
□ または、加入期間全体の3分の2以上が納付・免除期間である
□ 被保険者記録を確認済み
障害状態要件 □ 初診日から1年6か月が経過している
□ 日常生活や仕事に支障が出ている
□ 症状を正確に伝えられる診断書を作成してもらえる

この3つの要件をすべて満たしていれば、障害年金を受給できる可能性があります。もし不明な点や不安な点があれば、専門家に相談することで、正確な判定とアドバイスを受けることができます。

当事務所では、初回の無料相談で、これら3つの要件をすべて確認し、受給の可能性を判定いたします。「要件を満たしているか分からない」「初診日の証明が難しそう」といった不安をお持ちの方も、まずはお気軽にご相談ください。一人で悩まず、専門家と一緒に道を探していきましょう。

パーキンソン病の障害認定基準を図解で徹底解説

ここからは、パーキンソン病で障害年金を受給するための最も重要なポイント「障害認定基準」について詳しく解説します。認定基準を正しく理解することで、ご自身の症状が等級に該当するかどうかの目安が分かります。希望を持って申請に臨むために、しっかりと確認していきましょう。

肢体の障害としての認定基準

パーキンソン病は、障害年金の認定において「肢体の障害」として評価されます。結論から言うと、手足の運動機能障害や日常生活動作の制限の程度によって、1級・2級・3級のいずれかに認定されます。

肢体の障害とは、上肢(腕・手)や下肢(脚・足)の欠損、機能障害、体幹(胴体)の機能障害などを指します。パーキンソン病の場合、四肢の欠損はありませんが、振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害などにより、手足の機能が制限され、日常生活に支障をきたすことから、肢体の障害として評価されるのです。

認定では、医師が作成する診断書に記載された内容を基に、厚生労働省が定める「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に照らして等級が判定されます。この基準は、客観的で公平な判定を行うために全国統一で適用されています。

1級の認定基準

障害等級1級は、最も重度の障害状態を指します。パーキンソン病で1級に認定されるのは、身の回りのことにも他人の介助を必要とする程度の障害がある状態です。

【1級の認定基準】

基準:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

具体的な状態の例:

  • 四肢(両上肢・両下肢)の機能に著しい障害があり、一人では歩行できない、または歩行が極めて困難
  • 食事、排泄、入浴、着替えなど、ほぼすべての日常生活動作に介助が必要
  • ベッドから起き上がることや、室内の移動にも介助が必要
  • 一人で外出することが不可能
  • オン・オフの変動が激しく、オフ時には寝たきりに近い状態になる

1級は、Hoehn&Yahrのステージで言えば、ステージ4後半からステージ5に相当する重度の状態です。常時介護が必要であり、配偶者やご家族の介護負担も非常に大きい状態と言えます。

ただし、1級の認定を受けるには、必ずしも寝たきりである必要はありません。例えば、立位や歩行が著しく困難で、室内でも車いすが必要、食事も介助なしでは困難といった状態であれば、1級に該当する可能性があります。

2級の認定基準

障害等級2級は、障害年金の申請で最も多くの方が該当する等級です。パーキンソン病で2級に認定されるのは、日常生活が著しい制限を受ける、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害がある状態です。

【2級の認定基準】

基準:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

具体的な状態の例:

  • 一人での歩行は可能だが、不安定で転倒の危険がある。長距離の歩行は困難
  • 食事、排泄は何とか自力でできるが、入浴や着替えには時々介助が必要
  • 手の震えや動作緩慢により、細かい作業ができない。調理や家事が著しく制限される
  • 一人での外出は可能だが、階段の昇降が困難。公共交通機関の利用に支障がある
  • 就労は著しく制限され、軽作業であっても通常の業務遂行が困難
  • 薬の効果が切れる「オフ」の時間帯には、動作が著しく困難になる

2級は、Hoehn&Yahrのステージで言えば、ステージ3からステージ4前半に相当することが多いですが、ステージだけで機械的に判断されるわけではありません。実際の日常生活動作の制限の程度が重視されます。

当事務所でサポートした52歳の会社員男性は、Hoehn&Yahrステージ3で、職場では軽作業に配置転換されていましたが、手の震えで書類の記入が困難、歩行時のすくみ足で階段の昇降に時間がかかる、着替えに30分以上かかるといった状態でした。診断書にこれらの具体的な日常生活の困難さを詳細に記載してもらうことで、障害厚生年金2級の認定を受けることができました。

2級の重要なポイントは、「著しい制限」という言葉です。単に「不便」「やりにくい」というレベルではなく、日常生活に大きな支障が出ている状態を指します。診断書には、どのような動作にどの程度の時間がかかるか、どのような介助が必要かを具体的に記載してもらうことが重要です。

3級の認定基準(障害厚生年金のみ)

障害等級3級は、障害厚生年金のみに存在する等級です(障害基礎年金には3級はありません)。パーキンソン病で3級に認定されるのは、労働が著しい制限を受ける、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害がある状態です。

【3級の認定基準】

基準:労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

具体的な状態の例:

  • 日常生活は概ね自立しているが、就労には明らかな制限がある
  • 手の震えや動作緩慢により、精密な作業や素早い動作が必要な仕事ができない
  • 長時間の立ち仕事や歩行を伴う仕事が困難
  • フルタイムでの就労が困難で、短時間勤務や軽作業への配置転換が必要
  • 通勤時の階段昇降や長距離移動に支障がある
  • 疲労しやすく、通常の勤務時間を維持することが困難

3級は、日常生活は比較的自立しているものの、就労面で大きな制限がある状態を指します。Hoehn&Yahrのステージで言えば、ステージ2からステージ3の初期に相当することが多いですが、やはりステージだけでは判断されません。

3級は「労働」の制限が基準となっているため、会社員として働いている方、または過去に働いていた方にとって重要な等級です。現在就労中であっても、業務に明らかな支障がある場合は3級に該当する可能性があります。

実際に当事務所でサポートした事例では、営業職として働く45歳の男性が、手の震えで商談中に書類を書くのが困難、長時間の外回りで疲労が激しく、週に何度も早退するようになった状態で、障害厚生年金3級の認定を受けました。日常生活は何とかこなせていても、職業生活に大きな支障が出ている場合は、3級の対象となります。

Hoehn&Yahr重症度分類と等級の関係

先ほどから何度か触れているHoehn&Yahr重症度分類ですが、この分類と障害年金の等級は、どのような関係にあるのでしょうか。結論から言うと、Hoehn&Yahrのステージと障害年金の等級は、必ずしも一致しません。これは非常に重要なポイントです。

【Hoehn&Yahr分類と障害年金等級の関係(目安)】

Hoehn&Yahrステージ 症状の程度 障害年金等級の目安
ステージ1 片側のみの症状 通常は非該当
(日常生活への影響が軽微)
ステージ2 両側の症状、姿勢保持障害なし 3級の可能性あり
(就労に制限がある場合)
ステージ3 姿勢保持障害あり、自立可能 2級または3級
(ADLの制限の程度による)
ステージ4 起立・歩行に介助必要 2級または1級
(介助の程度による)
ステージ5 車いす・寝たきり 1級
(全面的な介助が必要)

この表はあくまで一般的な目安であり、実際の認定では個別の状況が総合的に評価されます。例えば、ステージ2であっても、若年で就労への影響が大きい場合は3級に認定される可能性がありますし、ステージ3でも日常生活への制限が著しければ2級に認定されることもあります。

重要なのは、Hoehn&Yahrのステージは医学的な病期分類であり、障害年金の等級は「生活への支障の程度」を評価するものだという点です。同じステージ3でも、比較的元気に生活できる方もいれば、日常生活のほとんどに支障が出ている方もいます。この個人差を正確に診断書に反映してもらうことが、適切な等級認定を受けるためのカギとなります。

日常生活動作(ADL)の評価ポイント

障害年金の認定で最も重視されるのが、日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)の状態です。ADLとは、食事、排泄、入浴、着替え、移動など、日常生活を送る上で必要な基本的な動作のことです。これらの動作がどの程度制限されているかが、等級判定の重要な基準となります。

診断書には、ADLに関する詳細な項目があり、それぞれの動作について「自力で可能」「時間がかかる」「一部介助が必要」「全面介助が必要」などを選択します。また、具体的にどのような困難があるかを記述する欄もあります。

起立・歩行能力

パーキンソン病において、起立・歩行能力は最も重要な評価項目の一つです。姿勢反射障害や無動により、歩行に様々な問題が生じるためです。

評価のポイントとしては、まず「一人で立ち上がれるか」が重要です。椅子やベッドから立ち上がる際に、手すりや他人の支えが必要かどうか。次に「歩行の状態」が評価されます。すくみ足があるか、小刻み歩行になっているか、方向転換時につまずくか、といった点が確認されます。

また、「どの程度の距離を歩けるか」も重要です。室内のみの移動が可能な程度か、屋外を100メートル程度歩けるか、それとももっと長距離歩けるかによって、生活の制限の程度が変わります。さらに、「階段の昇降」ができるか、手すりが必要か、一段ずつしか上れないか、といった点も評価されます。

転倒のリスクも重要な評価項目です。過去6か月間に何度転倒したか、転倒により骨折などの怪我をしたことがあるか、転倒の恐怖から外出を控えているか、といった情報も診断書に記載してもらいましょう。

手指の巧緻運動

手指の巧緻運動とは、手や指を使った細かい動作のことです。パーキンソン病では、振戦や筋強剛により、手指の細かい動作が困難になることが多くあります。

評価のポイントとしては、「ボタンをかける、ファスナーを上げる」といった着衣動作、「箸やスプーンを使う」といった食事動作、「字を書く」といった作業動作などがあります。これらの動作にどの程度時間がかかるか、うまくできずに介助が必要か、という点が評価されます。

実際の生活での困難さを具体的に伝えることが重要です。例えば、「ボタンをかけるのに片手で10分以上かかる」「箸で食べ物をつかめず、スプーンしか使えない」「字が小さくなり、他人が読めないほど震える」といった具体的な記載が、認定の際の判断材料となります。

日常生活の自立度

最後に、全体としての日常生活の自立度が評価されます。食事、排泄、入浴、着替え、整容(洗面、歯磨き、整髪など)といった基本的な動作について、どの程度自立して行えるかが確認されます。

【日常生活動作の評価項目と具体例】

動作項目 パーキンソン病での具体的な困難さの例
食事 手の震えでスプーンから食べ物がこぼれる、口まで運ぶのに時間がかかる、食事に1時間以上かかる
排泄 トイレまでの移動に時間がかかり間に合わない、ズボンの上げ下ろしに介助が必要
入浴 浴槽への出入りが困難、体を洗うのに時間がかかる、転倒の危険があり一人では入れない
着替え ボタンやファスナーの操作が困難、靴下を履くのに時間がかかる、着替えに30分以上かかる
移動 室内を移動するのにつかまる場所が必要、階段は手すりなしでは上れない、外出時は車いすが必要
調理・家事 包丁を使うのが危険、立ちっぱなしの調理が困難、掃除や洗濯に著しく時間がかかる

これらの項目について、診断書には「できる」「やや困難」「困難」「不可能」といった選択肢があります。重要なのは、医師が診察室で見る患者さんの状態と、自宅での実際の生活状態には差があることが多いという点です。

診察時には比較的調子が良くても、自宅では多くの困難を抱えていることがあります。また、薬の効果が現れている「オン」の時間帯と、効果が切れる「オフ」の時間帯で、ADLの状態が大きく変わることもあります。診断書作成前に、医師に対して日常生活の実際の状態を詳しく伝えることが、正確な認定を受けるために不可欠です。

薬の効果(オン・オフ)はどう評価される?

パーキンソン病の治療において、レボドパなどの薬物療法は中心的な役割を果たしますが、長期間の服用により「ウェアリング・オフ現象」が起こることがあります。これは、薬の効果が現れる「オン」の時間と、効果が切れる「オフ」の時間が明確に分かれる現象です。

障害年金の認定では、オン・オフの両方の状態が評価されます。特に、オフの時間帯にどの程度ADLが制限されるかが重要な判断材料となります。

診断書には、1日のうちオンの時間が何時間か、オフの時間が何時間かを記載する欄があります。この時間配分を正確に記載してもらいましょう。例えば、「1日のうちオンの時間は約6時間、オフの時間は約8時間、その他の時間は中間的な状態」といった記載です。

さらに重要なのは、オフの時間帯に、どのような症状が現れ、日常生活にどのような支障が出るかを具体的に記載してもらうことです。

例えば、「1日のうちオンの時間は約6時間、オフの時間は約8時間。オフの時間帯には著しいすくみ足が出現し、トイレまでの移動に10分以上かかる。また、手の震えが激しくなり、食事や着替えに介助が必要となる」といった具体的な記載があれば、認定の際に実際の生活の困難さが正確に伝わります。

また、オン・オフの予測ができない「ランダムオフ」や、体が勝手に動いてしまう「ジスキネジア」といった症状がある場合も、それらが日常生活にどのような影響を与えているかを診断書に記載してもらいましょう。

💡 認定を受けるためのポイント

パーキンソン病の障害認定では、Hoehn&Yahrのステージだけでなく、実際の日常生活動作の制限の程度が最も重視されます。診断書作成の前に、日常生活での具体的な困難さを箇条書きにしてメモを作り、医師に正確に伝えることをお勧めします。「こんな些細なことを言っても…」と思わず、日常生活のすべての困難さを伝えることが、適切な等級認定への第一歩です。当事務所では、診断書作成前の医師への伝え方のアドバイスも行っていますので、お気軽にご相談ください。

パーキンソン病の障害年金|等級別の受給額を詳しく解説

「実際にいくらもらえるのか」――これは障害年金を考える上で最も気になるポイントではないでしょうか。ここでは、2025年度(令和7年度)の最新の金額を基に、等級別の受給額を詳しく解説します。具体的な金額を知ることで、今後の生活設計が立てやすくなります。

障害基礎年金の受給額

障害基礎年金は、自営業の方や学生、専業主婦など、国民年金に加入していた方が対象となる年金です。結論から言うと、障害基礎年金は等級によって定額が決まっており、これに子の加算が追加される仕組みです。

2025年度(令和7年度)の障害基礎年金は、前年度から1.9%引き上げられました。この改定は、物価変動率や賃金変動率に応じて毎年度見直される仕組みに基づいています。実際の金額は2025年4月分から適用され、6月13日の振込分から改定後の金額が支給されています。

1級の受給額

障害基礎年金1級の受給額は、以下のとおりです。

【障害基礎年金1級の受給額(2025年度)】

項目 年額 月額(目安)
基本額 1,039,620円 約86,635円

障害基礎年金1級は、2級の1.25倍の金額が支給されます。年額で約104万円、月額で約8万6千円となります。この金額は、日常生活のほとんどに介助が必要な重度の障害状態にある方を経済的に支えるための基本的な生活費として設定されています。

2級の受給額

障害基礎年金2級の受給額は、以下のとおりです。

【障害基礎年金2級の受給額(2025年度)】

項目 年額 月額(目安)
基本額 831,700円 約69,308円

障害基礎年金2級は、年額で約83万円、月額で約6万9千円となります。この金額は、老齢基礎年金の満額と同じ金額に設定されており、日常生活に著しい制限がある方の基本的な生活を支えるための金額です。

月額約7万円という金額を見て、「これだけでは生活できない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、この金額だけで全ての生活費を賄うのは難しいかもしれません。しかし、配偶者の収入がある場合や、障害厚生年金も併せて受給できる場合、あるいは就労しながら受給する場合など、他の収入と組み合わせることで、生活の安定に大きく寄与します。

子の加算額

障害基礎年金を受給する方に18歳到達年度末までの子(高校卒業まで)、または20歳未満で障害等級1級または2級の子がいる場合、子の人数に応じて加算額が追加されます。

【子の加算額(2025年度)】

対象 年額
第1子・第2子(各) 239,000円
第3子以降(各) 79,700円

この子の加算は、障害を持ちながら子育てをする家庭にとって非常に重要な支援です。例えば、2級で子どもが2人いる場合、基本額83万1,700円に加えて、子の加算47万8,000円(23万9,000円×2人)が追加され、合計で年額131万円程度(月額約10万9千円)となります。

子の加算は、子どもが18歳到達年度末(通常は高校卒業時)に達すると終了します。ただし、子どもが障害等級1級または2級の状態にある場合は、20歳まで延長されます。また、障害年金受給中に子どもが生まれた場合は、市区町村役場や年金事務所に届け出ることで、翌月分から加算が開始されます。

障害厚生年金の受給額

障害厚生年金は、会社員や公務員など、厚生年金に加入していた方が対象となる年金です。障害厚生年金の大きな特徴は、過去の収入に応じて金額が変動する「報酬比例部分」がある点です。また、1級・2級の場合は、障害基礎年金も同時に受給できます。

障害厚生年金の金額は、「報酬比例部分」の計算が複雑で、個人の給与やボーナスの平均額、厚生年金加入期間などによって大きく異なります。そのため、正確な金額は年金事務所や専門家に試算してもらう必要がありますが、ここでは一般的なケースでの目安をご説明します。

1級の受給額

障害厚生年金1級の場合、以下の金額が受給できます。

【障害厚生年金1級の受給額(2025年度)】

受給額 = 障害基礎年金1級(1,039,620円)+ 報酬比例部分 × 1.25倍

報酬比例部分は、以下の式で計算されます:

平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの加入月数
+ 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の加入月数
※加入月数が300月(25年)未満の場合は、300月として計算

さらに配偶者がいる場合:

配偶者加給年金額 239,000円 が加算されます

例えば、平均年収500万円程度で20年間厚生年金に加入していた50代の会社員の方が1級に認定された場合、報酬比例部分が年額約75万円程度となり、これを1.25倍した約94万円に障害基礎年金1級の約104万円を加えると、合計で年額約198万円(月額約16万5千円)程度となります。配偶者がいる場合はさらに年額約24万円が加算され、合計で年額約222万円(月額約18万5千円)程度となります。

2級の受給額

障害厚生年金2級の場合、以下の金額が受給できます。

【障害厚生年金2級の受給額(2025年度)】

受給額 = 障害基礎年金2級(831,700円)+ 報酬比例部分

さらに配偶者がいる場合:

配偶者加給年金額 239,000円 が加算されます

先ほどと同じ条件(平均年収500万円、加入期間20年)の場合、報酬比例部分が年額約75万円、これに障害基礎年金2級の約83万円を加えると、合計で年額約158万円(月額約13万円)程度となります。配偶者がいる場合はさらに年額約24万円が加算され、合計で年額約182万円(月額約15万円)程度となります。

当事務所でサポートした52歳の会社員男性は、パーキンソン病で障害厚生年金2級に認定され、月額約12万円の年金を受給できるようになりました。配置転換により月収が約10万円減少していましたが、障害年金によって経済的な不安が大きく軽減され、治療に専念できる環境が整いました。

3級の受給額

障害厚生年金3級は、障害基礎年金は支給されず、報酬比例部分のみの支給となります。

【障害厚生年金3級の受給額(2025年度)】

受給額 = 報酬比例部分

最低保障額:623,600円(年額)

※報酬比例部分が最低保障額を下回る場合は、最低保障額が支給されます

3級には最低保障額が設定されており、たとえ加入期間が短く報酬比例部分が少ない場合でも、年額約62万円(月額約5万2千円)は保障されます。平均年収500万円、加入期間20年の場合、報酬比例部分は年額約75万円(月額約6万2千円)程度となります。

3級は日常生活は比較的自立しているものの、就労に制限がある状態を対象としています。現役で働いている方にとって、月額5万円から6万円程度でも、収入減少を補う重要な収入源となります。

配偶者加給年金額

障害厚生年金1級または2級を受給する方に、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金額が加算されます。

2025年度の配偶者加給年金額は、年額239,000円(月額約2万円)です。この加算は、障害を持ちながら家族を支える方にとって、非常にありがたい制度です。

配偶者加給年金額を受けるためには、配偶者の前年の収入が850万円未満(所得655万5千円未満)であることが条件です。障害年金受給中に結婚した場合は、年金事務所に届け出ることで、翌月分から加算が開始されます。逆に、配偶者が65歳に達したり、離婚したりした場合は加算が終了しますので、その際も届け出が必要です。

受給額のシミュレーション例

ここでは、実際のペルソナに基づいた受給額のシミュレーションをご紹介します。ご自身の状況に近いケースを参考にしてください。

50代会社員のケース

【ケース1】52歳会社員、パーキンソン病Hoehn&Yahrステージ3、障害厚生年金2級認定

基本情報:

  • 職業:製造業の現場監督(厚生年金加入25年)
  • 家族:妻(50歳・パート)、長男(大学2年)、次男(高校1年)
  • 平均年収:約550万円

受給額の内訳:

項目 年額
障害基礎年金2級 831,700円
報酬比例部分(加入25年、平均年収550万円) 約900,000円
配偶者加給年金額 239,000円
合計 約1,970,700円

月額:約164,000円

住宅ローンや教育費の負担がありましたが、月額約16万円の障害年金により、配偶者のパート収入と合わせて、何とか生活を維持できるようになりました。収入減少への不安が軽減され、治療に専念できる環境が整いました。

30代自営業のケース

【ケース2】38歳自営業、若年性パーキンソン病、障害基礎年金2級認定

基本情報:

  • 職業:IT系フリーランス(国民年金加入)
  • 家族:妻(35歳・会社員)、長男(5歳)、長女(2歳)
  • 症状:左手の震え、動作緩慢で細かい作業が困難

受給額の内訳:

項目 年額
障害基礎年金2級 831,700円
子の加算(第1子) 239,000円
子の加算(第2子) 239,000円
合計 1,309,700円

月額:約109,000円

若年性パーキンソン病で収入が大幅に減少していましたが、月額約11万円の障害年金により、妻の収入と合わせて、子育てを続けながら治療に専念できるようになりました。「若いから無理」と諦めずに申請して本当に良かったと喜ばれています。

60代退職者のケース

【ケース3】64歳退職者、パーキンソン病Hoehn&Yahrステージ3、障害厚生年金3級認定

基本情報:

  • 職業:元会社員(定年退職済み、厚生年金加入40年)
  • 家族:妻(62歳・専業主婦)
  • 症状:手の震え、歩行障害で外出に支障

受給額の内訳:

項目 年額
障害厚生年金3級(報酬比例部分) 約800,000円
合計 約800,000円

月額:約67,000円

※65歳になると、障害厚生年金と老齢年金の選択または併給調整が発生します。この方の場合、65歳以降は老齢厚生年金と障害基礎年金(事後重症請求で2級に該当すれば)の組み合わせを選択することで、より多くの年金を受給できる可能性があります。

医療費や介護費用の増加に不安を感じていましたが、月額約7万円の障害年金により、老齢年金と合わせて、生活の質を維持できるようになりました。「今さら無理」と思っていましたが、ケアマネージャーの勧めで申請し、受給できて本当に助かったとのことです。

💡 受給額を正確に知るには

障害厚生年金の報酬比例部分は、個人の給与履歴や加入期間によって大きく異なります。正確な受給額を知りたい場合は、年金事務所で「年金見込額試算」を依頼するか、専門の社会保険労務士にご相談ください。当事務所では、無料相談時に概算の受給額をお伝えし、申請の価値があるかどうかを一緒に判断いたします。金額の多寡にかかわらず、受給できる権利があるのであれば、ぜひ申請していただきたいと考えています。

【障害年金は非課税です】

障害年金には、所得税も住民税もかかりません。これは大きなメリットです。例えば、月額15万円の障害年金を受給しても、税金が引かれることなく、全額が手元に残ります。また、障害年金は収入としてカウントされないため、配偶者や子の扶養に入ることも可能です。さらに、障害年金を受給していても、一定額までは就労収入を得ることができます。経済的な安定を図りながら、無理のない範囲で社会参加を続けることができるのです。

障害年金の受給額は、等級や加入していた年金制度、家族構成によって大きく異なります。しかし、どのケースでも共通して言えるのは、「障害年金が生活を支える大きな力になる」ということです。月額数万円でも、それがあるかないかで、治療への専念度や家族の安心感は大きく変わります。

パーキンソン病は進行性の病気であり、長期にわたる経済的支援が必要です。障害年金は、そうした方々の生活を支え、安心して暮らせる希望を持てるようにするための、国による大切な支援制度なのです。

パーキンソン病の障害年金申請|必要書類と手続きの流れを完全ガイド

ここからは、実際に障害年金を申請する際の具体的な手続きについて解説します。必要な書類や申請の流れを正しく理解することで、スムーズに申請を進めることができます。一つひとつ丁寧に確認していきましょう。

必要書類一覧

障害年金の申請には、様々な書類が必要です。結論から言うと、書類の準備には時間がかかるため、早めに取りかかることが重要です。ここでは、必要な書類を一覧でご紹介し、それぞれの取得方法と注意点を解説します。

【障害年金申請に必要な書類一覧】

書類名 取得先 費用
年金請求書 年金事務所 無料
診断書(肢体用) 主治医(医療機関) 5,000円〜10,000円
受診状況等証明書 初診の医療機関 3,000円〜5,000円
病歴・就労状況等申立書 自分で作成 無料
年金手帳または基礎年金番号通知書 本人所持
戸籍謄本または戸籍抄本 市区町村役場 450円程度
世帯全員の住民票 市区町村役場 300円程度
配偶者の収入証明書
(該当者のみ)
市区町村役場または勤務先 300円程度
子の収入証明書
(該当者のみ)
市区町村役場または学校 無料〜数百円
預金通帳のコピー 本人所持
印鑑 本人所持

これらの書類の中で、最も重要で準備に時間がかかるのが「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」です。これらについて、詳しく見ていきましょう。

診断書の作成|認定の決め手となる最重要書類

診断書は、障害年金の認定において最も重要な書類です。結論から言うと、診断書の内容が認定の可否を左右すると言っても過言ではありません。適切な診断書を作成してもらうために、患者さんとご家族ができることは多くあります。

診断書の種類

障害年金の診断書には、障害の種類に応じて8つの様式があります。パーキンソン病の場合は、「肢体の障害用」の診断書(様式第120号の3)を使用します。

この診断書には、以下のような項目があります。傷病名、傷病の発生年月日、初診年月日、既往症、現症・検査所見、日常生活動作の程度、補助具の使用状況、就労状況、予後、総合所見などです。特に重要なのが「日常生活動作の程度」の欄で、ここに食事、排泄、入浴、着替え、歩行などの項目があり、それぞれの自立度を選択します。

診断書作成を依頼する前の準備

診断書は医師が作成する書類ですが、患者さん側の準備が非常に重要です。医師は診察室での様子しか分かりませんが、実際の日常生活での困難さは自宅で起きています。この情報を医師に正確に伝えることが、適切な診断書作成の第一歩です。

当事務所では、診断書作成前に「医師への伝達事項メモ」の作成をお勧めしています。これは、日常生活での具体的な困難さを箇条書きにしたメモで、医師に診断書作成を依頼する際に渡すものです。

【医師への伝達事項メモの記載例】

日常生活の具体的な状態:

  • 起床・就寝:ベッドから起き上がるのに10分以上かかる。夜中にトイレに行こうとして何度も転倒しそうになる
  • 食事:手の震えでスプーンから食べ物がこぼれる。食事に1時間以上かかる。箸は使えずスプーンのみ
  • トイレ:オフの時間帯は、トイレまでの移動に15分かかり、間に合わないことがある
  • 入浴:浴槽への出入りが困難。一人では危険なため、家族の見守りが必要
  • 着替え:ボタンをかけるのに片手で15分以上かかる。靴下を履くのに10分かかる。毎朝着替えに30分以上かかる
  • 歩行:すくみ足があり、歩き始めに時間がかかる。階段は手すりがないと上れない。方向転換時につまずく
  • 外出:一人での外出は転倒が怖くてできない。通院は家族の付き添いが必要
  • 仕事・家事:細かい作業ができず、以前の業務ができなくなった。調理は包丁を使うのが危険でできない

薬の効果(オン・オフ)について:

  • 1日のうちオンの時間は約6時間、オフの時間は約8時間
  • オフの時間帯には、動作が著しく緩慢になり、トイレに行くのも困難
  • 薬の効果が切れると、体が固まったように動かなくなる

症状の経過:

  • ○年○月頃から右手の震えが始まり、徐々に左側にも広がった
  • ○年○月頃から歩行が不安定になり、何度も転倒するようになった
  • ○年○月頃から動作が遅くなり、仕事に支障が出始めた

このようなメモを作成し、診断書作成を依頼する際に医師に渡すことで、医師が実際の生活状況を把握しやすくなります。診察時には調子が良くても、自宅では多くの困難を抱えていることを、具体的に伝えることが重要です。

診断書作成の5つの重要ポイント

適切な診断書を作成してもらうために、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。

【診断書作成の5つの重要ポイント】

ポイント1:日常生活の具体的な困難さを詳細に伝える

「何となく不便」ではなく、「ボタンをかけるのに15分かかる」「食事に1時間以上かかる」といった具体的な情報を伝えましょう。時間の長さや頻度を数値で示すことで、困難さが正確に伝わります。

ポイント2:オフの時間帯の状態を必ず伝える

パーキンソン病の場合、薬の効果が現れているオンの時間帯と、効果が切れるオフの時間帯で状態が大きく異なります。オフの時間帯にどれだけ困難になるかを必ず伝えてください。診察時は比較的調子が良くても、オフの時間帯の状態を診断書に記載してもらうことが重要です。

ポイント3:家族からの情報も活用する

患者さん本人が「できる」と思っていても、実際には時間がかかっていたり、危険な状態だったりすることがあります。ご家族から見た日常生活の状況を、診察時に医師に伝えてもらうことも有効です。可能であれば、ご家族が同席して医師に状況を説明することをお勧めします。

ポイント4:就労状況を正確に伝える

就労している場合は、どのような配慮を受けているか、業務にどのような支障があるかを具体的に伝えましょう。「配置転換で軽作業になった」「通常の半分の時間しか働けない」「週に何度も早退している」といった情報は、就労制限の程度を示す重要な情報です。

ポイント5:転倒歴や合併症も忘れずに

過去6か月間に何度転倒したか、転倒により骨折などの怪我をしたことがあるか、といった情報も重要です。また、うつ症状や認知機能の低下などの非運動症状がある場合も、それが日常生活にどう影響しているかを伝えましょう。

診断書が完成したら必ず内容を確認する

診断書が完成したら、提出前に必ず内容を確認しましょう。医師は医学的な専門家ですが、障害年金の認定基準に必ずしも詳しいわけではありません。そのため、日常生活の困難さが十分に記載されていないことがあります。

確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 日常生活動作の各項目が適切に選択されているか
  • 具体的な困難さが記述欄に記載されているか
  • オン・オフの状態が記載されているか
  • 就労状況や制限の程度が記載されているか
  • Hoehn&Yahrのステージが記載されているか

もし記載が不十分だと感じた場合は、医師に追加情報を提供し、診断書の修正や追記をお願いすることも可能です。ただし、修正には追加費用がかかることもありますので、事前に確認しましょう。

当事務所では、診断書の内容確認と改善アドバイスも行っています。「この内容で大丈夫だろうか」と不安な方は、提出前にぜひご相談ください。診断書を見れば、認定の可能性や、追加で記載してもらうべき内容がある程度分かります。

病歴・就労状況等申立書の書き方

病歴・就労状況等申立書は、患者さん本人またはご家族が作成する書類です。結論から言うと、この申立書は診断書と並んで非常に重要な書類であり、書き方次第で認定結果に大きく影響します。

病歴・就労状況等申立書とは

病歴・就労状況等申立書は、発病から現在までの経過を、患者さん自身の言葉で詳しく記載する書類です。医師が作成する診断書は現在の状態を中心に記載しますが、この申立書では、いつ頃から症状が始まったか、どのように症状が進行したか、日常生活や仕事にどのような影響が出たか、といった経過を時系列で説明します。

この申立書は、診断書だけでは伝わらない「生活の実態」を伝えるための重要な書類です。審査する側は、この申立書を読むことで、患者さんがどのような苦労をしながら生活しているかを具体的に理解します。

記載する期間の区切り方

申立書は、発病から現在までの経過を、いくつかの期間に区切って記載します。一般的には、3年から5年ごとに区切ることが推奨されていますが、症状の変化が大きかった時期は細かく区切り、変化が少なかった時期はまとめて記載するなど、柔軟に対応します。

例えば、パーキンソン病の場合、以下のように区切ることが考えられます。

  • 第1期:発症から診断まで(症状に気づき、医療機関を受診し、診断されるまで)
  • 第2期:診断後の比較的安定期(薬物療法で症状がコントロールできていた時期)
  • 第3期:症状の進行期(薬の効果が弱まり、日常生活に支障が出始めた時期)
  • 第4期:現在(現在の状態と生活状況)

各期間に記載すべき内容

各期間には、以下の内容を記載します。

【各期間に記載すべき7つの項目】

1. 症状の状態

どのような症状があったか、症状はどのように変化したかを具体的に記載します。「手が震えるようになった」だけでなく、「右手が細かく震えるようになり、字を書くのが困難になった」といった具体的な記載が重要です。

2. 受診状況

どの医療機関に、どのくらいの頻度で通院していたかを記載します。また、なぜその医療機関を受診したか(紹介された、引っ越した、など)も記載しましょう。

3. 治療内容

どのような薬を服用していたか、薬の効果はどうだったかを記載します。薬の種類まで覚えていなくても、「パーキンソン病の薬を1日3回服用していた」といった記載で構いません。

4. 日常生活の状況

この期間に、日常生活でどのような困難があったかを具体的に記載します。できなくなったこと、時間がかかるようになったこと、介助が必要になったことなどを詳しく書きましょう。

5. 就労状況

仕事をしていた場合は、どのような仕事をしていたか、病気により仕事にどのような影響が出たか(配置転換、時短勤務、休職、退職など)を記載します。

6. 家族の状況

家族構成や、家族からどのような支援を受けているかを記載します。一人暮らしの場合は、その旨を記載しましょう。

7. その他の特記事項

転倒して骨折した、うつ症状が出た、リハビリを始めた、など、特に記載しておきたい出来事があれば記載します。

病歴・就労状況等申立書の記載例

具体的な記載例を見てみましょう。

【記載例:52歳会社員男性のケース】

■ 令和元年4月~令和3年3月(発症から診断まで)

令和元年4月頃、右手が細かく震えることに気づきました。最初は疲れのせいだと思っていましたが、次第に震えが強くなり、仕事で書類に字を書く際に困難を感じるようになりました。同年6月、近所の○○内科クリニックを受診したところ、「様子を見ましょう」と言われ、特に治療は受けませんでした。

令和2年になると、震えが左手にも広がり、また歩く時に足がもつれるような感じが出てきました。同年4月、内科の先生から「専門医に診てもらった方が良い」と言われ、□□病院神経内科を紹介されました。同年5月、□□病院で詳しい検査を受け、パーキンソン病と診断されました。

この頃の生活状況としては、手の震えで細かい作業がしにくくなり、ボタンをかけるのに時間がかかるようになりました。仕事では、製造現場の細かい組み立て作業に支障が出始めました。歩行はまだ何とかできていましたが、階段を降りる時に注意が必要になりました。

■ 令和3年4月~令和5年3月(診断後の治療期)

令和3年4月からレボドパ製剤の服用を開始しました。□□病院神経内科に月1回通院し、薬の調整を受けました。薬を飲み始めてしばらくは症状が改善し、仕事も何とか続けられていました。

しかし、令和4年頃から、薬の効果が切れると症状が強くなる「オン・オフ」の現象が出始めました。薬が効いている時間は比較的動けますが、効果が切れると体が固まったように動きにくくなり、歩き始めるのに時間がかかるようになりました。

仕事では、令和4年6月に配置転換となり、現場の細かい作業から軽作業の担当に変わりました。それでも、動作が遅くなり、他の人と同じペースで作業することが困難になりました。月に数回、体調不良で早退することもありました。

日常生活では、着替えに時間がかかるようになり、朝の準備に1時間以上かかるようになりました。妻が仕事に行く前に朝食の準備をしてくれるようになりました。

■ 令和5年4月~現在(症状の進行期)

令和5年4月頃から、症状がさらに進行し、日常生活に大きな支障が出るようになりました。□□病院神経内科には引き続き月1回通院し、薬の種類や量を増やしていますが、十分な効果が得られていません。

現在の症状としては、両手の震えが強く、食事の際にスプーンから食べ物がこぼれることが多くなりました。食事に1時間程度かかります。着替えは、ボタンをかけるのに片手で15分以上かかり、靴下を履くのも困難です。毎朝の着替えに30分以上かかり、妻の手伝いが必要です。

歩行については、すくみ足があり、歩き始めに時間がかかります。階段は手すりがないと上れず、通勤時に駅の階段で時間がかかり、何度もつまずきそうになります。方向転換する時にバランスを崩しやすく、過去半年間で自宅で2回、職場で1回転倒しました。

薬のオン・オフの変動も激しく、1日のうち薬が効いている時間は約6時間、効果が切れている時間は約8時間です。オフの時間帯には、トイレに行くのも困難で、間に合わないことがあります。

仕事は令和6年3月に休職となりました。動作が遅く、通常の業務遂行が困難になったためです。今後の復職は難しいと考えています。

家族構成は、妻(50歳・パート)、長男(大学2年・一人暮らし)、次男(高校1年・同居)です。日常生活の多くの場面で妻の介助が必要になっており、妻の負担も大きくなっています。経済的にも不安があり、障害年金を受給できれば、治療に専念し、家族の生活を維持できると考えています。

このように、時系列に沿って、症状の変化、治療の経過、日常生活への影響、就労状況を具体的に記載することで、審査する側に実際の生活の困難さが正確に伝わります。

病歴・就労状況等申立書作成の注意点

申立書を作成する際の注意点をまとめます。

  • 具体的に書く:「困難」「大変」といった抽象的な表現ではなく、「ボタンをかけるのに15分かかる」「食事に1時間かかる」といった具体的な表現を使いましょう
  • 数値で示す:時間、回数、距離などを数値で示すことで、困難さが正確に伝わります
  • できないことを隠さない:「できる」と見栄を張る必要はありません。実際にできないこと、困っていることを正直に書きましょう
  • 家族の負担も記載する:家族がどのような介助をしているかを記載することで、障害の程度が伝わります
  • 感情的にならない:「辛い」「苦しい」といった感情的な表現よりも、事実を淡々と記載する方が説得力があります
  • 字が下手でも構わない:手書きでもパソコンでも構いません。字がうまく書けない場合は、家族が代筆しても問題ありません

病歴・就労状況等申立書の作成は、多くの方が最も苦労する部分です。当事務所では、この申立書の作成を全面的にサポートしており、ご本人やご家族からのヒアリングを基に、認定に有利な内容を盛り込んだ申立書を作成代行しています。「何を書けばいいか分からない」「書いている途中で疲れてしまった」という方は、ぜひご相談ください。

申請から受給までの流れ

ここでは、実際に障害年金を申請してから受給するまでの流れを、時系列で詳しく解説します。全体の流れを把握することで、安心して申請に臨むことができます。

【申請から受給までの流れ】

ステップ1:年金事務所で相談(1日)

まず、お住まいの地域を管轄する年金事務所で相談の予約を取ります。相談では、初診日、保険料納付状況、障害の状態などを確認してもらい、受給の可能性を判定してもらいます。受給の可能性があると判断されれば、必要な書類の説明を受けます。

ステップ2:初診日の証明(2週間~1か月)

初診の医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼します。カルテが残っていれば比較的スムーズですが、カルテが廃棄されている場合は、他の方法で初診日を証明する必要があり、時間がかかることがあります。

ステップ3:診断書の作成依頼(2週間~1か月)

主治医に診断書の作成を依頼します。医師への伝達事項メモを渡し、日常生活の実態を正確に伝えます。診断書の作成には通常2週間から1か月程度かかります。完成したら内容を確認し、不十分な点があれば追記を依頼します。

ステップ4:病歴・就労状況等申立書の作成(1週間~2週間)

発病から現在までの経過を、時系列で詳しく記載します。過去のことを思い出しながら記載するため、時間がかかることがあります。家族に協力してもらいながら、じっくりと作成しましょう。

ステップ5:その他の書類を揃える(1週間程度)

戸籍謄本、住民票、収入証明書など、その他の必要書類を市区町村役場などで取得します。これらの書類は比較的短期間で揃えることができます。

ステップ6:年金事務所に書類を提出(1日)

すべての書類が揃ったら、年金事務所に提出します。窓口で書類の不備がないかを確認してもらい、受付印を押してもらいます。この時、控えをもらっておくことをお勧めします。

ステップ7:審査(3~4か月)

書類が日本年金機構の審査部門に送られ、認定医による審査が行われます。審査には通常3~4か月程度かかります。追加資料が必要な場合は、年金事務所から連絡があります。

ステップ8:結果通知(審査終了後)

審査が終了すると、「年金証書」(認定の場合)または「不支給決定通知書」(不支給の場合)が自宅に郵送されます。認定された場合は、等級、年金額、支給開始月などが記載されています。

ステップ9:初回振込(結果通知から約1.5~2か月後)

認定された場合、結果通知から約1.5~2か月後に、初回の年金が指定した銀行口座に振り込まれます。以降は、偶数月の15日(15日が土日祝の場合は前営業日)に、前月分と当月分がまとめて振り込まれます。

全体として、書類の準備に1~3か月、審査に3~4か月、結果通知から初回振込まで約2か月で、合計すると申請開始から初回振込まで6~11か月程度が目安となります。

「時間がかかるから」と躊躇する方もいらっしゃいますが、早く始めればそれだけ早く受給できます。特に、遡及請求(過去に遡って受給する)ができる場合は、早く申請することで受給額が増えます。先延ばしにせず、できるだけ早く準備を始めることをお勧めします。

💡 申請手続きのアドバイス

障害年金の申請は、書類の準備から提出まで、多くの手間と時間がかかります。しかし、一つひとつ丁寧に進めていけば、決して不可能な作業ではありません。特に重要なのは、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容です。この2つの書類に、日常生活の実態を正確に、具体的に記載することが、認定への最短ルートです。

「自分でできるか不安」「書類作成に自信がない」という方は、専門家である社会保険労務士に依頼することをお勧めします。当事務所では、書類作成の全面サポートから提出代行まで、一貫してお手伝いしています。お気軽にご相談ください。

パーキンソン病で障害年金を受給した実際の事例紹介

ここでは、当事務所で実際にサポートし、障害年金の受給に成功した事例をご紹介します。具体的な事例を知ることで、「自分にも可能性がある」と実感していただけると思います。プライバシー保護のため、一部の情報は変更していますが、すべて実際のケースに基づいています。

事例1:働きながら障害厚生年金2級を受給した52歳会社員

【基本情報】

  • 年齢・性別:52歳・男性
  • 職業:製造業の現場監督(厚生年金加入25年)
  • 家族構成:妻(50歳・パート)、長男(大学2年)、次男(高校1年)
  • 診断名:パーキンソン病(Hoehn&Yahrステージ3)
  • 認定結果:障害厚生年金2級
  • 受給額:月額約12万円(障害基礎年金+障害厚生年金+配偶者加給年金)

症状と生活状況:

この男性は、48歳の時に右手の震えに気づき、近所の内科を受診しました。当初は様子を見ましょうと言われましたが、症状が徐々に悪化し、1年後に専門の神経内科を紹介され、パーキンソン病と診断されました。

診断後はレボドパ製剤で治療を開始し、しばらくは症状がコントロールできていました。しかし、50歳頃から薬の効果が切れる「オフ」の時間帯に動作が著しく困難になり、仕事に支障が出始めました。製造現場での細かい組み立て作業ができなくなり、51歳の時に軽作業の部署に配置転換となりました。

52歳の時点では、両手の震えが強く、すくみ足があり、歩行も不安定になっていました。着替えに毎朝30分以上かかり、食事にも1時間程度かかる状態でした。通勤時の階段昇降も困難で、何度もつまずきそうになりました。

申請時の課題:

ご本人は「まだ働いているから無理だろう」と思っていましたが、配置転換により月収が約10万円減少しており、住宅ローンや教育費の負担から経済的に厳しい状況でした。奥様がパートの時間を増やして家計を支えていましたが、将来への不安は大きくなる一方でした。

また、診察時は比較的調子が良く、医師にオフの時間帯の困難さがうまく伝わっていませんでした。そのため、最初に作成された診断書では、日常生活の困難さが十分に記載されていませんでした。

当事務所のサポート内容:

まず、ご本人とご家族から詳しくヒアリングを行い、日常生活の具体的な困難さを整理しました。特に、オフの時間帯にどのような状態になるか、どの動作にどれだけ時間がかかるかを細かく確認しました。

次に、医師への伝達事項メモを作成しました。このメモには、「着替えにボタンをかけるのに片手で15分以上かかる」「食事に1時間かかり、スプーンから食べ物がこぼれる」「階段を降りる際、手すりなしでは危険」「薬が効いている時間は1日6時間程度で、オフの時間帯には動作が著しく困難になる」といった具体的な情報を記載しました。

診断書が完成した後、内容を確認したところ、オフの時間帯の状態についての記載が不十分だったため、医師に追加情報を提供し、診断書に「1日のうちオフの時間は約8時間あり、オフの時間帯には著しいすくみ足が出現し、歩行が困難となる。また、手の震えが激しくなり、食事や着替えに介助が必要となる」という記載を追加していただきました。

病歴・就労状況等申立書では、発症から現在までの症状の変化、仕事への影響(配置転換、収入減少)、日常生活の困難さを時系列で詳しく記載しました。特に、「製造現場での細かい作業ができなくなり、配置転換を余儀なくされた」「通勤時の階段昇降に時間がかかり、遅刻しないよう早めに家を出るようになった」「妻が朝食の準備や着替えの手伝いをするようになった」といった具体的な生活の変化を強調しました。

結果:

書類提出から約4か月後、障害厚生年金2級の認定を受けることができました。月額約12万円の年金により、減少した収入を補うことができ、経済的な不安が大きく軽減されました。

ご本人からは、「働いているから無理だと思っていたが、まさか認定されるとは思わなかった。月12万円の年金があることで、住宅ローンの返済や子どもの教育費の心配が減り、治療に専念できるようになった。もっと早く相談すればよかった」という感想をいただきました。

現在も軽作業を続けながら、障害年金を受給されています。仕事と治療の両立は大変ですが、経済的な基盤ができたことで、精神的にも前向きになれたとのことです。

事例2:若年性パーキンソン病で障害基礎年金2級を受給した38歳自営業

【基本情報】

  • 年齢・性別:38歳・男性
  • 職業:IT系フリーランス(国民年金加入)
  • 家族構成:妻(35歳・会社員)、長男(5歳)、長女(2歳)
  • 診断名:若年性パーキンソン病
  • 認定結果:障害基礎年金2級
  • 受給額:月額約11万円(障害基礎年金+子の加算2人分)

症状と生活状況:

この男性は、35歳の時に左手の震えと動作の緩慢さに気づきました。IT系のフリーランスとして、プログラミングやデザインの仕事をしていましたが、キーボード操作やマウス操作に支障が出始めました。

最初は腱鞘炎かと思い整形外科を受診しましたが、パーキンソン病の可能性を指摘され、神経内科を紹介されました。36歳の時に若年性パーキンソン病と診断され、大きなショックを受けました。「まだ小さい子どもがいるのに、これからどうなるのか」という不安で夜も眠れない日々が続きました。

薬物療法を開始しましたが、細かい作業が必要な仕事の効率は大幅に低下しました。以前は1日で終わっていた作業に2〜3日かかるようになり、収入が半分以下に減少しました。妻がフルタイムで働いて家計を支えていましたが、小さい子どもの育児と仕事の両立で疲弊していました。

申請時の課題:

「まだ若いのに障害年金をもらうなんて」という気持ちがあり、申請を躊躇していました。また、自営業のため障害基礎年金のみが対象で、受給額も少ないのではないかと思っていました。

初診の整形外科のカルテは残っていましたが、そこではパーキンソン病と診断されていないため、神経内科の初診日が初診日として認められるかが課題でした。

当事務所のサポート内容:

まず、初診日の確認を行いました。整形外科のカルテには「手の震え、パーキンソン病の可能性あり、神経内科へ紹介」という記載があったため、整形外科の初診日を初診日として認めてもらえるよう、整形外科と神経内科の両方から受診状況等証明書を取得しました。

診断書作成にあたっては、フリーランスとしての仕事への影響を詳しく伝えるようアドバイスしました。「キーボード操作に時間がかかり、以前の半分以下の作業量しかこなせない」「マウスの細かい操作ができず、デザイン作業に著しく時間がかかる」「1日の作業時間が3〜4時間に制限されている」といった具体的な就労制限の情報を医師に伝えてもらいました。

また、子育てへの影響も重要な情報として、「子どもを抱き上げることができない」「子どもと遊ぶ体力がない」「保育園の送迎を妻に任せている」といった点も診断書に記載してもらいました。

病歴・就労状況等申立書では、若年での発症による精神的な苦痛、収入の大幅な減少、家族への影響などを詳しく記載しました。「35歳という若さでパーキンソン病と診断され、将来への不安で夜も眠れなかった」「収入が半分以下になり、妻の負担が増えた」「小さい子どもとの時間を大切にしたいのに、体が思うように動かない辛さ」といった心情も含めて記載しました。

結果:

書類提出から約3か月半後、障害基礎年金2級の認定を受けることができました。子どもが2人いるため、子の加算が2人分つき、月額約11万円の年金を受給できるようになりました。

ご本人からは、「若いから無理だと思っていたが、認定されて本当に助かった。月11万円の年金があることで、妻の負担が減り、少しずつ前向きに病気と向き合えるようになった。子どもたちの将来のためにも、治療を続けながら、できる範囲で仕事を続けていきたい」という感想をいただきました。

現在も無理のない範囲でフリーランスの仕事を続けており、障害年金と妻の収入、自身の収入を合わせて、何とか生活を維持されています。若年での発症という厳しい状況の中、障害年金が大きな支えとなっています。

事例3:不支給からの再申請で障害厚生年金3級を受給した45歳会社員

【基本情報】

  • 年齢・性別:45歳・男性
  • 職業:営業職(厚生年金加入20年)
  • 家族構成:妻(43歳・専業主婦)、長女(中学2年)
  • 診断名:パーキンソン病(Hoehn&Yahrステージ2〜3)
  • 認定結果:障害厚生年金3級(1回目は不支給、2回目で認定)
  • 受給額:月額約6万円(障害厚生年金のみ)

症状と生活状況:

この男性は、42歳の時に右手の震えに気づき、神経内科でパーキンソン病と診断されました。営業職として外回りの仕事をしていましたが、手の震えで商談中に書類を書くのが困難になり、また長時間の外回りで疲労が激しくなりました。

44歳の時、ご自身で障害年金の申請を試みましたが、不支給となりました。不支給の理由は、診断書に日常生活の困難さが十分に記載されておらず、「就労に制限があるとは認められない」というものでした。

1回目の申請の問題点:

1回目の申請では、以下のような問題がありました。

  • 診断書に、仕事への具体的な支障が記載されていなかった
  • 医師が診察室で見る比較的調子の良い状態だけで診断書を作成していた
  • 病歴・就労状況等申立書の内容が簡潔すぎて、生活の困難さが伝わらなかった
  • Hoehn&Yahrステージ2という記載が、「軽度」と判断された可能性がある

不支給の通知を受けて、ご本人は大きなショックを受け、「やっぱり無理だったか」と諦めかけていました。しかし、職場の同僚から当事務所を紹介され、再申請の相談に来られました。

当事務所のサポート内容:

まず、不支給となった診断書と病歴・就労状況等申立書を確認しました。診断書を見ると、確かに日常生活の困難さや就労制限についての記載が不十分でした。特に、「就労状況」の欄がほとんど空白で、具体的にどのような支障があるのかが全く伝わらない内容でした。

そこで、再申請に向けて、以下のサポートを行いました。

第一に、ご本人と奥様から、日常生活と仕事の状況を詳しくヒアリングしました。「商談中に書類を書く際、手が震えて恥ずかしい思いをしている」「長時間の外回りで疲労が激しく、週に2〜3回は早退している」「営業成績が下がり、上司から注意を受けることが増えた」「車の運転が不安定になり、駐車に時間がかかる」といった具体的な困難さを確認しました。

第二に、医師への伝達事項メモを作成しました。このメモには、仕事への具体的な支障を中心に、「商談中に書類を書くのに時間がかかり、顧客に不安を与えている」「1日に複数の顧客を訪問することが体力的に困難になり、訪問件数が半減した」「営業成績が以前の60%程度に低下した」「疲労のため週に2〜3回早退している」といった情報を詳しく記載しました。

第三に、診断書が完成した後、内容を確認しました。今回は、就労制限についての記載が大幅に改善されており、「営業職として外回りの業務に従事しているが、疲労しやすく、フルタイムでの就労は困難。週に数回早退している。手の震えにより、顧客への書類作成に支障がある」という記載が追加されていました。

第四に、病歴・就労状況等申立書を全面的に作り直しました。1回目の申立書は簡潔すぎたため、今回は発症から現在までの経過を、仕事への影響を中心に詳しく記載しました。「営業成績の低下により、上司から厳しく注意を受け、精神的にも辛い状況にある」「家族に経済的な負担をかけている申し訳なさで、夜も眠れない日が続いている」といった心情も含めて記載しました。

結果:

再申請から約4か月後、今度は障害厚生年金3級の認定を受けることができました。月額約6万円の年金ですが、収入減少を少しでも補うことができ、精神的な負担も軽減されました。

ご本人からは、「1回目の不支給で諦めかけていたが、専門家に相談して本当に良かった。診断書の書き方一つで、こんなに結果が変わるとは思わなかった。月6万円でも、年間で70万円以上になる。家族の生活を支えるために、本当に助かっている」という感想をいただきました。

この事例は、「一度不支給になっても諦めない」ことの重要性を示しています。診断書の内容を改善し、病歴・就労状況等申立書を充実させることで、再申請で認定される可能性は十分にあります。当事務所では、不支給からの再申請サポートも積極的に行っています。

【事例から学ぶ3つの重要ポイント】

ポイント1:働いていても受給できる

事例1の52歳会社員は、軽作業を続けながら障害厚生年金2級を受給しました。就労の有無ではなく、就労への支障の程度が重要です。

ポイント2:若年でも諦めない

事例2の38歳自営業者は、若年性パーキンソン病で障害基礎年金2級を受給しました。年齢による制限はなく、子の加算により十分な額を受給できました。

ポイント3:不支給でも再申請の道がある

事例3の45歳会社員は、1回目は不支給でしたが、診断書と申立書を改善して再申請し、障害厚生年金3級の認定を受けました。諦めずに専門家に相談することで、道が開けます。

これらの事例は、パーキンソン病で障害年金を受給することが決して特別なことではなく、適切な準備と申請を行えば、多くの方が受給できることを示しています。あなたも諦めずに、まずは相談から始めてみませんか。

パーキンソン病の障害年金申請で気をつけるべき5つのポイント

ここまで、パーキンソン病の障害年金について詳しく解説してきましたが、実際に申請する際に特に注意すべきポイントを5つに絞ってまとめます。これらのポイントを押さえることで、認定率を高め、スムーズな申請が可能になります。

ポイント1:初診日の証明は早めに確保する

何度も強調していますが、初診日の証明は障害年金申請の大前提です。初診日が特定できなければ、どれだけ症状が重くても申請できません。

カルテの法定保存期間は5年間(診療終了後)です。時間が経つほど証明が困難になるため、「いつか申請しよう」と先延ばしにせず、早めに初診日の記録を確保しておくことが重要です。

今すぐ申請する予定がなくても、初診の医療機関に連絡して、カルテがまだ残っているかを確認しておきましょう。もし残っているなら、受診状況等証明書を取得して保管しておくことをお勧めします。カルテが廃棄される前に証明書を取得しておけば、将来申請する際に安心です。

もしカルテが既に廃棄されている場合でも、諦める必要はありません。診察券、お薬手帳、紹介状の控え、家族の証言など、様々な方法で初診日を証明できる可能性があります。専門家に相談することで、最適な証明方法を見つけることができます。

ポイント2:診断書には日常生活の実態を正確に反映させる

診断書は障害年金認定の最重要書類ですが、医師が診察室で見る状態と、自宅での実際の生活状態には大きな差があることが多いという点に注意が必要です。

多くの患者さんは、診察の日には比較的調子を整えて病院に行きます。また、診察時間は短く、医師が日常生活のすべてを把握することは困難です。そのため、患者さん自身が日常生活の困難さを積極的に医師に伝えなければ、診断書に反映されません。

診断書作成を依頼する前に、以下の点を医師に伝えることをお勧めします。

  • 各動作にかかる時間(「着替えに30分かかる」「食事に1時間かかる」など)
  • できないこと、困っていること(「ボタンがかけられない」「階段が一人では上れない」など)
  • オフの時間帯の状態(「薬が切れると体が動かなくなる」「トイレに間に合わないことがある」など)
  • 転倒の回数や怪我の経験
  • 家族の介助の状況(「妻に着替えを手伝ってもらっている」など)
  • 仕事への支障(「細かい作業ができなくなった」「早退が増えた」など)

これらの情報を箇条書きにしたメモを作成し、診断書作成を依頼する際に医師に渡すことで、より正確な診断書が作成されます。診断書が完成したら、必ず内容を確認し、不十分な点があれば医師に追記を依頼しましょう。

ポイント3:病歴・就労状況等申立書は具体的に詳しく書く

病歴・就労状況等申立書は、診断書では伝わらない生活の実態を伝えるための重要な書類です。「具体的に」「詳しく」書くことが、認定率を高める秘訣です。

抽象的な表現ではなく、具体的な数値や事実を記載しましょう。例えば、「食事が困難」ではなく「手の震えでスプーンから食べ物がこぼれ、食事に1時間以上かかる。箸は使えずスプーンのみ使用している」といった具体的な表現の方が、困難さが正確に伝わります。

また、時系列に沿って、症状がどのように変化し、生活にどのような影響が出たかを詳しく記載しましょう。発症当初は軽かった症状が、徐々に悪化して日常生活に大きな支障が出るようになった経過を、丁寧に説明することが重要です。

就労している方は、仕事への具体的な影響も詳しく記載しましょう。「業務に支障がある」ではなく、「細かい組み立て作業ができなくなり、軽作業に配置転換となった。それでも動作が遅く、通常の半分の作業量しかこなせない。週に2〜3回は疲労のため早退している」といった具体的な記載が効果的です。

家族の負担についても記載しましょう。「妻が朝食の準備や着替えの手伝いをするようになり、妻の負担が増えている」「子どもの世話ができず、妻に任せきりになっている」といった情報は、日常生活の困難さを裏付ける重要な情報です。

ポイント4:「まだ軽いから」と諦めず、症状が出たら早めに相談する

「まだHoehn&Yahrステージ2だから無理だろう」「まだ働けているから該当しないだろう」――こうした理由で申請を諦めてしまう方が多くいらっしゃいます。しかし、ステージや就労状況だけで判断することはできません。

障害年金の認定基準は、病期や診断名ではなく、「実際の生活への支障の程度」です。ステージ2であっても、若年で就労への影響が大きい場合は3級に認定される可能性がありますし、ステージ3でも日常生活への制限が著しければ2級に認定されることもあります。

「まだ軽いから」と先延ばしにするのではなく、日常生活や仕事に支障が出始めたら、まずは専門家に相談することをお勧めします。無料相談では、現在の症状で受給の可能性があるか、今すぐ申請すべきか、もう少し様子を見るべきかといったアドバイスを受けることができます。

また、パーキンソン病は進行性の疾患です。今は軽くても、数年後には症状が進行する可能性があります。その時に備えて、今から初診日の記録を確保しておく、症状の記録をつけておく、といった準備をしておくことも大切です。

ポイント5:専門家に相談して正確な情報とサポートを得る

最後のポイントは、専門家である社会保険労務士に相談することです。障害年金制度は複雑で、認定基準も専門的です。ご自身だけで判断するのは難しく、誤った判断で不支給になってしまうリスクもあります。

社会保険労務士は、障害年金申請の専門家として、以下のようなサポートを提供します。

  • 受給の可能性の判定
  • 概算の受給額の試算
  • 初診日の証明方法のアドバイス
  • 医師への伝達事項の整理
  • 診断書の内容確認と改善アドバイス
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行
  • 必要書類の準備サポート
  • 書類提出代行
  • 審査状況の確認
  • 不支給時の審査請求サポート

特に、診断書の内容確認と改善アドバイスは、認定率を高める上で非常に重要です。専門家は診断書を見れば、「この記載では不十分」「ここをもっと詳しく書いてもらう必要がある」と判断できます。提出前に専門家のチェックを受けることで、不支給のリスクを大幅に減らすことができます。

また、不支給になった場合でも、専門家がいれば審査請求や再申請の方法をすぐにアドバイスしてもらえます。一人で抱え込まず、専門家と一緒に道を探すことで、受給への道が開けます。

当事務所では、初回の相談を完全無料で行っています。相談だけでも大歓迎ですので、「受給できるか不安」「何から始めればいいか分からない」という方は、お気軽にご相談ください。成功報酬制を採用しているため、受給が決定してから費用をいただく形です。「相談したら費用がかかる」「不支給で費用だけ取られた」という心配は一切ありません。

【5つのポイントまとめ】

  1. 初診日の証明は早めに確保 → カルテが廃棄される前に受診状況等証明書を取得
  2. 診断書には日常生活の実態を反映 → 医師へ伝達事項メモを作成して正確に伝える
  3. 申立書は具体的に詳しく書く → 抽象的ではなく、数値や事実を用いた具体的な記載
  4. 「まだ軽いから」と諦めない → 症状が出たら早めに相談、受給可能性を確認
  5. 専門家に相談する → 認定率を高め、時間と労力を削減、精神的負担を軽減

これらのポイントを押さえることで、パーキンソン病での障害年金受給の可能性は大きく高まります。一つひとつは難しいことではありませんが、専門的な知識と経験が必要な場面も多くあります。不安な点があれば、遠慮なく専門家に相談してください。

パーキンソン病の障害年金に関するよくある質問(FAQ)

ここまで詳しく解説してきましたが、まだ疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ここでは、パーキンソン病と障害年金に関して、当事務所によく寄せられる質問とその回答をまとめました。あなたの疑問を解消し、申請への一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

Q1. パーキンソン病と診断されたらすぐに申請すべきですか?

A. 診断されてすぐに申請する必要はありませんが、準備は早めに始めることをお勧めします。

障害年金を申請できるのは、原則として初診日から1年6か月経過した「障害認定日」以降です。診断されてすぐに申請しても、この期間を満たしていなければ申請できません。

ただし、初診日から1年6か月が経過する前でも、以下の準備を進めることをお勧めします。

早めに準備すべきこと:

  • 初診日の記録を確保する:診察券、お薬手帳、紹介状などを大切に保管しておく
  • 症状の記録をつける:いつ頃からどのような症状が出たか、日常生活への影響などを記録しておく
  • 医師に生活状況を伝える:定期受診時に、日常生活の困難さを医師に正確に伝える習慣をつける
  • 専門家に相談する:受給の可能性、準備すべきことなどを早めに確認しておく

特に重要なのは初診日の証明です。カルテの保存期間は5年間(診療終了後)ですので、初診から時間が経ちすぎると証明が困難になります。「いつか申請しよう」と先延ばしにせず、障害認定日が近づいたら申請の準備を始めましょう。

また、症状が進行して日常生活や仕事に大きな支障が出ている場合は、障害認定日を待たずに「事後重症請求」という方法で申請できます。「症状が重くなってから」と待つのではなく、支障が出た時点で相談することをお勧めします。

Q2. 診断から何年経っていても申請できますか?

A. はい、診断から何年経過していても申請は可能です。ただし、初診日の証明が重要になります。

障害年金には、診断からの期間による制限はありません。10年前に診断された方でも、20年前に診断された方でも、現在障害の状態にあれば申請できます。

ただし、時間が経過しているほど初診日の証明が困難になる可能性があります。初診の医療機関のカルテが保存期間を過ぎて廃棄されている場合は、以下の方法で初診日を証明します。

時間が経過している場合の対処法:

  • 二番目以降の医療機関のカルテに記載された紹介状の情報を利用する
  • 診察券、お薬手帳などの客観的資料を集める
  • 家族や職場の同僚などの第三者証明を取得する
  • 医療機関の受診記録簿などから受診の事実を証明する

当事務所では、初診から15年以上経過したケースでも、様々な方法を駆使して初診日を証明し、受給に成功した実績があります。「もう遅すぎる」と諦める前に、まずは専門家に相談してください。

また、「遡及請求」という制度により、障害認定日まで遡って年金が支給される場合があります。最大5年分の年金がまとめて支給されることもありますので、時間が経過していても申請する価値は十分にあります。

Q3. 障害年金と老齢年金は両方もらえますか?

A. 65歳未満は選択制、65歳以降は併給調整により組み合わせて受給できます。

65歳未満の場合:

障害年金と老齢年金のどちらか一方を選択して受給します。通常、障害年金の方が有利なことが多いため、障害年金を選択する方がほとんどです。

65歳以降の場合:

以下の3つの組み合わせから、最も有利なものを選択できます。

  • 障害基礎年金 + 老齢厚生年金
  • 老齢基礎年金 + 障害厚生年金
  • 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金(通常の老齢年金)

どの組み合わせが最も有利かは、個人の年金加入歴や障害の程度によって異なります。年金事務所や社会保険労務士に試算を依頼し、最も受給額が多くなる選択をすることが重要です。

老齢年金の繰上げ受給をした場合:

65歳前に老齢年金の繰上げ受給をした場合でも、その後障害年金を申請することは可能です。ただし、いくつかの制約がありますので、繰上げ受給を検討している方は、事前に専門家に相談することをお勧めします。

Q4. 障害年金をもらうと会社に知られますか?

A. 基本的に会社に知られることはありません。プライバシーは守られます。

障害年金は、日本年金機構から直接本人の銀行口座に振り込まれます。会社を通じて支給されるわけではないため、会社に知られることは基本的にありません。

会社に知られないポイント:

  • 年金の振込は本人の口座に直接行われる
  • 年金証書などの書類は自宅に郵送される
  • 障害年金は非課税のため、年末調整や確定申告に影響しない
  • 会社の人事部門に通知されることはない

ただし、以下の場合は注意が必要です:

診断書作成のために会社の産業医に診察を受ける場合、産業医を通じて会社に知られる可能性があります。この場合、主治医に診断書を作成してもらうことをお勧めします。

また、障害者手帳を取得して会社に提出した場合や、障害者雇用枠で働いている場合は、会社も障害があることを認識していますが、障害年金を受給しているかどうかまでは知られません。

プライバシーに配慮したい場合は、申請手続きを社会保険労務士に依頼することで、より慎重に進めることができます。

Q5. 診断書の費用はどのくらいかかりますか?

A. 医療機関によって異なりますが、一般的には5,000円から10,000円程度です。

障害年金用の診断書作成費用は、健康保険の対象外(自費診療)となるため、医療機関が自由に金額を設定できます。そのため、医療機関によって費用が異なります。

診断書関連の費用の目安:

書類名 費用の目安
障害年金用診断書 5,000円〜10,000円
受診状況等証明書 3,000円〜5,000円
診断書の修正・追記 無料〜3,000円程度

複数の診断書が必要な場合(障害認定日用と現在用の2通など)は、それぞれに費用がかかります。また、大学病院など大規模な医療機関では、やや高めに設定されていることがあります。

診断書作成を依頼する際に、事前に費用と作成期間を確認しておくことをお勧めします。

費用負担について:

診断書の費用は決して安くはありませんが、障害年金を受給できれば、初月の受給額で十分に元が取れます。また、遡及請求が認められれば、過去数年分の年金がまとめて支給されます。診断書の費用は「投資」と考え、質の高い診断書を作成してもらうことが重要です。

Q6. 不支給になった場合、再申請はできますか?

A. はい、再申請は可能です。不支給後の対応方法は3つあります。

一度不支給になっても、決して「終わり」ではありません。以下の3つの方法で対応できます。

1. 審査請求(3か月以内)

不支給の決定に納得できない場合、決定通知書を受け取ってから3か月以内に、社会保険審査官に対して審査請求を行うことができます。審査請求でも不服がある場合は、さらに社会保険審査会への再審査請求も可能です。

2. 事後重症請求(症状悪化後)

障害認定日の時点では等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して等級に該当するようになった場合、改めて申請(事後重症請求)することができます。パーキンソン病は進行性の疾患ですので、数年後に再申請して認定されるケースもあります。

3. 診断書の再作成(すぐに可能)

不支給の原因が診断書の記載内容にある場合、医師に実際の生活状況を正確に伝え直し、診断書を作り直してもらって再申請することができます。これには期限の制限はありません。

不支給の主な原因:

  • 診断書に日常生活の困難さが十分に記載されていない
  • オフの時間帯の状態が記載されていない
  • 就労状況の記載が不十分
  • 病歴・就労状況等申立書の内容が不十分
  • 保険料納付要件を満たしていない(これは再申請でも解決できません)

当事務所では、不支給からの再申請サポートも行っており、診断書の改善や病歴申立書の作り直しなどを通じて、多くの方が受給に成功しています。一度の不支給で諦めず、専門家に相談することをお勧めします。

Q7. 障害年金は一生もらえるのですか?

A. 障害の状態が続く限り受給できますが、定期的な診断書提出(更新)が必要な場合があります。

障害年金には「永久認定」と「有期認定」があります。

永久認定の場合:

障害の状態が固定しており、今後改善の見込みがない場合は、永久認定となります。永久認定の場合、更新は不要で、原則として一生涯受給できます。ただし、パーキンソン病は進行性の疾患であるため、永久認定となるケースは比較的少なく、多くは有期認定となります。

有期認定の場合:

症状に変動がある場合や、今後の経過を見る必要がある場合は、有期認定となります。有期認定の場合、1年から5年ごとに診断書を提出し、障害の状態を再確認します(更新手続き)。

更新時の注意点:

  • 更新用の診断書が届いたら、速やかに医師に作成を依頼する
  • 提出期限を守る(遅れると年金が停止される可能性がある)
  • 症状が悪化している場合は、上位等級への変更(額改定請求)も検討する
  • 症状が改善している場合でも、実際の生活状況を正確に伝える

等級が下がったり、支給停止になることはありますか?

更新時の診断書で、症状が大幅に改善していると判断された場合、等級が下がったり、支給停止になることがあります。ただし、パーキンソン病は進行性の疾患であり、通常は症状が改善することは少ないため、適切な診断書が作成されれば、等級が下がることは少ないと言えます。

更新時も、日常生活の実態を正確に医師に伝え、適切な診断書を作成してもらうことが重要です。当事務所では、更新時のサポートも行っています。

Q8. 障害年金をもらうと他の収入に影響しますか?

A. 障害年金は非課税で、他の収入にも基本的に影響しません。

税金について:

障害年金には、所得税も住民税もかかりません。これは大きなメリットです。給料や事業所得には税金がかかりますが、障害年金は全額が手元に残ります。

就労収入との関係:

障害年金を受給しながら働くことは可能です。給料をもらっていても、障害年金は減額されません。両方の収入を得ることができます。ただし、給料には所得税がかかります。

他の社会保障制度との関係:

  • 雇用保険の失業給付:障害年金と失業給付は同時に受給できません。どちらか一方を選択します
  • 労災保険:同一の傷病について、労災保険と障害年金の両方は受給できません。調整が行われます
  • 生活保護:障害年金を受給すると、その分生活保護費が減額されます
  • 障害者手帳:障害年金と障害者手帳は別の制度で、両方を持つことができます

扶養について:

障害年金は収入としてカウントされないため、配偶者や親の扶養に入ることができます。また、障害年金を受給していても、子どもや配偶者を扶養に入れることができます。

国民健康保険料への影響:

国民健康保険料の算定においては、障害年金は収入としてカウントされません。そのため、障害年金を受給しても保険料が上がることはありません。

Q9. 申請から受給までどのくらい時間がかかりますか?

A. 書類準備に1〜3か月、審査に3〜6か月、合計で4〜9か月程度が目安です。

【申請から受給までのタイムライン】

準備期間(1〜3か月):

  • 初診日の証明書類取得:2週間〜1か月
  • 診断書の作成:2週間〜1か月
  • その他書類の準備:1週間〜2週間

審査期間(3〜6か月):

  • 書類提出から結果通知まで:通常3〜4か月
  • 追加資料が必要な場合:4〜6か月

初回振込(結果通知から約2か月後):

  • 認定された場合、結果通知から約2か月後に初回振込
  • 遡及請求が認められた場合、過去分もまとめて振込

合計期間:

順調に進めば、準備開始から初回振込まで6か月〜11か月程度が目安となります。

期間を短縮するコツ:

  • 早めに準備を始める
  • 必要書類を漏れなく揃える
  • 診断書の内容を事前に確認する
  • 専門家に依頼してスムーズに進める

「時間がかかるから」と躊躇せず、早めに準備を始めることをお勧めします。受給が決定すれば、それまでの準備期間は報われます。

Q10. 家族が代わりに申請手続きできますか?

A. はい、家族が代理で手続きすることは可能です。また、社会保険労務士に依頼することもできます。

家族が代理で行える手続き:

  • 年金事務所での相談
  • 必要書類の取得(委任状が必要な場合あり)
  • 書類の作成補助
  • 書類の提出代行

本人でなければできないこと:

  • 申請書類への署名・押印
  • 診断書作成のための医師の診察(家族の同席は可能)

社会保険労務士に依頼するメリット:

障害年金の申請は、社会保険労務士に依頼することができます。社会保険労務士は、障害年金申請の専門家として、以下のような全面的なサポートを提供します。

  • 初診日の証明方法のアドバイス
  • 医師への伝達事項の整理
  • 診断書内容の確認とアドバイス
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行
  • 必要書類の準備サポート
  • 書類提出代行
  • 審査状況の確認
  • 不支給時の審査請求サポート

どんな場合に専門家に依頼すべきか:

  • 初診日の証明が困難な場合
  • 以前に不支給になった経験がある場合
  • 症状の程度が微妙で認定されるか不安な場合
  • 書類の作成に自信がない場合
  • 本人や家族だけでは手続きが困難な場合

当事務所では、初回の無料相談で受給の可能性を判定し、申請から受給まで一貫してサポートしています。成功報酬制を採用しているため、受給が決定してから報酬をいただく形です。「相談だけで費用がかかる」「不支給で費用だけ取られた」という心配はありません。

一人で悩まず、家族だけで抱え込まず、まずは専門家に相談してみてください。

【その他のよくある質問】

Q. 障害者手帳がないと障害年金はもらえませんか?

A. いいえ、障害者手帳と障害年金は別の制度です。手帳がなくても障害年金は受給できます。

Q. 精神科に通院していますが、身体の障害年金も申請できますか?

A. はい、可能です。うつ病などの精神疾患とパーキンソン病を併発している場合、それぞれ別に申請することができます。

Q. 障害年金をもらうと、将来の老齢年金が減りますか?

A. いいえ、障害年金を受給しても、老齢年金の額には影響しません。

Q. 外国人でも障害年金は受給できますか?

A. はい、日本の年金制度に加入していれば、国籍に関係なく受給できます。

ここに掲載していない疑問やご不明な点がありましたら、お気軽に当事務所にお問い合わせください。どんな小さな質問でも丁寧にお答えいたします。あなたの不安を解消し、安心して申請に臨めるよう、私たちが全力でサポートいたします。

パーキンソン病の障害年金申請は専門家に相談するべき理由

ここまで読んでいただき、「自分でも申請できそうだ」と感じた方もいらっしゃるでしょう。確かに、ご自身で申請することは可能です。しかし、障害年金申請には専門的な知識と経験が必要な場面が数多くあります。ここでは、専門家である社会保険労務士に相談するメリットと、当事務所の「諦めない障害年金」サポートについてご紹介します。

自力申請の難しさとリスク

障害年金は、制度を理解し、適切な書類を揃えれば、ご自身でも申請できる制度です。しかし、実際には多くの方が自力申請で苦労されています。自力申請には、以下のような難しさとリスクがあります。

制度の複雑さ

障害年金制度は非常に複雑です。障害基礎年金と障害厚生年金の違い、初診日要件、保険料納付要件、障害状態要件など、理解すべき要件が多岐にわたります。また、認定基準も詳細で、「どの程度の症状で何級に該当するか」の判断は、専門知識がないと困難です。

実際、年金事務所の窓口で相談しても、一般的な説明は受けられますが、個別具体的な認定の可否については判断してもらえません。「この症状で認定されるか」「この診断書の内容で大丈夫か」といった重要な判断は、ご自身で行わなければなりません。

当事務所に相談に来られる方の中には、「年金事務所で相談したけれど、結局どうすればいいか分からなかった」という方が多くいらっしゃいます。制度の複雑さが、申請への大きなハードルとなっているのです。

書類不備による不支給のリスク

障害年金の申請で最も多い不支給の原因は、「書類の不備」です。特に、診断書の記載内容が不十分だったり、病歴・就労状況等申立書の内容が不適切だったりすると、本来受給できるはずの方が不支給となってしまいます。

例えば、診断書に「日常生活の具体的な困難さ」が記載されていない、「オフの時間帯の状態」が記載されていない、「就労状況の記載が不十分」といったケースです。これらは、医師に正確な情報が伝わっていないことが原因です。

また、初診日の証明が不十分だったり、保険料納付要件を正確に確認していなかったりして、申請後に追加資料を求められ、審査が長引くケースもあります。

一度不支給になると、再申請や審査請求に時間と労力がかかります。最初から適切な書類を揃えることの重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。

時間と労力の負担

障害年金の申請には、想像以上の時間と労力がかかります。初診日の証明書類を取得し、診断書を依頼し、病歴・就労状況等申立書を作成し、その他の必要書類を揃える――これらすべてを、パーキンソン病の症状と向き合いながら進めるのは、大きな負担です。

特に、病歴・就労状況等申立書は、発病から現在までの詳細な経過を記載する必要があり、作成に数日から数週間かかることもあります。「何をどう書けばいいのか分からない」「書いている途中で疲れてしまった」という声をよく聞きます。

また、初診日の証明が困難な場合は、複数の医療機関に問い合わせたり、第三者証明を集めたりする必要があり、さらに時間と労力がかかります。

症状により動作が緩慢になったり、疲れやすくなったりしているパーキンソン病の患者さんにとって、これらの作業は想像以上の負担となります。ご家族が代わりに行う場合も、専門知識がない中での作業は困難です。

【自力申請のリスク まとめ】

  • 制度の複雑さにより、適切な判断ができない
  • 診断書の内容が不十分で不支給になるリスク
  • 初診日の証明方法が分からず、申請できない
  • 書類作成に膨大な時間と労力がかかる
  • 不支給になった場合、再申請の方法が分からない

社会保険労務士に依頼するメリット

社会保険労務士は、障害年金申請の専門家です。専門家に依頼することで、認定率が高まり、時間と労力を大幅に削減でき、精神的な負担も軽減されます。具体的なメリットを見ていきましょう。

認定率の向上

社会保険労務士に依頼する最大のメリットは、認定率が高まることです。専門家は、どのような診断書が認定につながるか、どのような申立書が効果的かを熟知しています。

特に、診断書の内容確認と改善アドバイスは、認定率を大きく左右します。専門家は診断書を見れば、「この記載では不十分」「ここをもっと詳しく書いてもらう必要がある」と判断できます。必要に応じて、医師への追加情報提供をアドバイスし、診断書の質を高めます。

また、病歴・就労状況等申立書も、認定に有利な内容を盛り込んで作成します。単に事実を羅列するのではなく、「どのような情報をどう表現すれば認定につながるか」を考えて作成するため、説得力のある申立書となります。

実際、当事務所でサポートした方の多くが、「自分で申請して不支給だったが、専門家に依頼して再申請したら認定された」「最初から専門家に頼んでおけばよかった」と言われています。

書類作成の専門サポート

社会保険労務士は、すべての書類作成をサポートまたは代行します。これにより、ご本人やご家族の負担が大幅に軽減されます。

専門家が行うサポート:

サポート内容 具体的な内容
初診日の証明 カルテが残っていない場合の証明方法をアドバイス。第三者証明の作成サポート。複数の医療機関への問い合わせ代行。
診断書の準備 医師への伝達事項メモの作成。診断書の内容確認と改善アドバイス。必要に応じた医師への追加情報提供。
病歴申立書の作成 本人・家族からのヒアリングを基に、認定に有利な内容を盛り込んだ申立書を作成代行。
その他書類の準備 必要書類リストの作成。各書類の取得方法のアドバイス。書類不備のチェック。
申請書類の提出 年金事務所への提出代行。提出後の進捗確認。

これらのサポートにより、ご本人は医師の診察を受けることと、簡単なヒアリングに答えることに集中するだけで、あとは専門家が進めてくれます。症状により疲れやすい方、書類作成が苦手な方にとって、これは大きなメリットです。

医師とのコミュニケーション代行

診断書の質を高める上で重要なのが、医師とのコミュニケーションです。しかし、患者さんが医師に「こう書いてください」と直接お願いするのは、心理的なハードルが高いものです。

社会保険労務士は、医師への伝達事項を整理し、適切な形で医師に情報を提供します。「この部分をもう少し詳しく書いていただけないでしょうか」「オフの時間帯の状態も記載していただけますか」といった依頼も、専門家の立場から適切に行います。

また、診断書が完成した後、内容を確認して不十分な点があれば、医師に追加情報を提供したり、修正を依頼したりすることもあります。これらは、患者さん個人では難しい対応です。

医師は医学的な専門家ですが、障害年金の認定基準には必ずしも詳しくありません。社会保険労務士が「障害年金の認定では、このような記載が重要です」と医師に説明することで、より適切な診断書が作成されます。

精神的負担の軽減

障害年金の申請は、書類作成だけでなく、「本当に認定されるだろうか」「不支給になったらどうしよう」という不安との戦いでもあります。この精神的な負担は、決して小さくありません。

社会保険労務士に依頼することで、「専門家が付いているから大丈夫」という安心感が得られます。分からないことがあればいつでも相談でき、「これで大丈夫でしょうか」という不安に対して、専門的な見地から答えてもらえます。

また、万が一不支給になった場合も、審査請求や再申請の方法をすぐにアドバイスしてもらえます。「一人で抱え込まなくていい」という安心感は、病気と向き合う上で非常に重要です。

当事務所に相談された方からは、「専門家に任せることで、治療に専念できるようになった」「不安が軽減され、前向きに申請に臨めた」という声を多くいただいています。

【社会保険労務士に依頼するメリット まとめ】

  • 認定率が高まる:専門的な知識と経験により、適切な書類を作成
  • 時間と労力を削減:書類作成の負担が大幅に軽減
  • 医師とのコミュニケーションをサポート:適切な診断書の作成につながる
  • 精神的負担を軽減:専門家のサポートによる安心感
  • 不支給時の対応も安心:審査請求や再申請もサポート

当事務所の「諦めない障害年金」サポート

当事務所は、「諦めない障害年金」をコンセプトに、パーキンソン病をはじめとする様々な疾病の障害年金申請をサポートしています。私たちが大切にしているのは、一人ひとりの状況に寄り添い、最後まで諦めずに受給を実現することです。

パーキンソン病の申請実績

当事務所では、これまで数多くのパーキンソン病の方の障害年金申請をサポートしてきました。若年性パーキンソン病の30代の方から、高齢で発症した70代の方まで、幅広い年齢層の方々を支援しています。

症状の程度も様々で、Hoehn&Yahrステージ2の比較的軽度の方から、ステージ4~5の重度の方まで、それぞれの状況に応じた適切なサポートを提供しています。就労中の方、休職中の方、退職された方、それぞれのケースで最適な申請方法をアドバイスします。

特に力を入れているのが、「初診日の証明が困難なケース」「一度不支給になったケース」「症状の程度が微妙で認定されるか不安なケース」です。こうした難しいケースでも、諦めずに様々な方法を駆使して、受給を実現してきました。

実績の一部は、先ほどの事例紹介でご覧いただいた通りです。働きながらの受給、若年性での受給、不支給からの再申請成功など、「諦めない」ことで道が開けたケースは数多くあります。

成功報酬制で安心

当事務所は、成功報酬制を採用しています。これは、受給が決定してから報酬をいただく仕組みです。そのため、以下のような心配は一切ありません。

  • 「相談だけで費用がかかるのでは」→ 初回相談は完全無料です
  • 「依頼したけれど不支給で、費用だけ取られた」→ 不支給の場合、報酬は発生しません
  • 「高額な着手金を請求されるのでは」→ 着手金は不要です

成功報酬制を採用している理由は、私たちの目標が「お客様に受給していただくこと」だからです。受給が決定してこそ、私たちの仕事は成功したと言えます。だからこそ、受給が決定してから報酬をいただく形にしています。

報酬額は、受給が決定した年金額の一定割合です。詳しい金額は、初回相談時に明確にお伝えします。後から追加費用を請求することは一切ありませんので、ご安心ください。

「お金がないから相談できない」「不支給だったら費用が無駄になる」――そんな心配をせず、まずは気軽に相談していただきたいと考えています。

無料相談の流れ

当事務所では、初回の相談を完全無料で行っています。相談だけでも大歓迎です。無理な勧誘は一切いたしませんので、安心してご相談ください。

【無料相談の流れ】

ステップ1:お問い合わせ

お電話、メール、またはお問い合わせフォームからご連絡ください。ご都合の良い相談日時を調整します。

ステップ2:無料相談(約60分)

以下の内容について、詳しくお伺いし、アドバイスいたします。

  • 現在の症状と生活状況
  • 初診日と治療経過
  • 保険料納付状況
  • 受給の可能性(概算の受給額も含む)
  • 申請の進め方
  • 費用について

ステップ3:ご検討

相談内容を踏まえて、依頼するかどうかをご検討ください。その場で決める必要はありません。ご自宅でゆっくり考えていただいて構いません。

ステップ4:ご依頼(希望される場合)

依頼を決められた場合、契約書を交わし、申請サポートを開始します。

相談は、ご本人でもご家族でも構いません。症状により外出が困難な場合は、ご家族だけでのご相談も可能です。また、オンライン相談にも対応しておりますので、遠方の方でもご相談いただけます。

相談時に準備していただくもの

無料相談をより有意義なものにするため、以下のものをご準備いただけると、より具体的なアドバイスが可能です。ただし、すべて揃っていなくても相談は可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書(年金番号が分かるもの)
  • 診察券、お薬手帳など(初診日を確認するため)
  • 診断書のコピー(作成済みの場合)
  • 障害者手帳(お持ちの場合)
  • 症状のメモ(日常生活の困難さなど)

相談から受給までの流れ

当事務所にご依頼いただいた場合、以下の流れでサポートいたします。

【申請サポートの流れ】

  1. 初回ヒアリング:詳細な症状、生活状況、治療経過などをお伺いします
  2. 初診日の確認:初診日の証明方法をアドバイスし、必要な書類取得をサポートします
  3. 医師への伝達事項作成:診断書作成のための詳細なメモを作成します
  4. 診断書の内容確認:診断書の内容を確認し、必要に応じて追加情報を提供します
  5. 病歴申立書の作成:認定に有利な内容を盛り込んだ申立書を作成します
  6. その他書類の準備:必要書類の取得をサポートします
  7. 書類の提出:年金事務所への提出を代行します
  8. 審査状況の確認:審査の進捗を定期的に確認します
  9. 結果通知:認定結果をご報告し、必要な手続きをアドバイスします

この間、分からないことや不安なことがあれば、いつでもご相談いただけます。メールや電話でのお問い合わせにも丁寧に対応いたします。

【当事務所の3つのお約束】

  1. 諦めません:どんなに困難なケースでも、諦めずに最後まで全力でサポートします
  2. 寄り添います:一人ひとりの状況に寄り添い、親身になって対応します
  3. 透明性を保ちます:費用や手続きの進捗について、常に明確にお伝えします

障害者が障害年金を受給できることにより、安心して暮らしていける希望が持てるようになること――これが私たちの願いであり、使命です。パーキンソン病と向き合いながら生活するあなたを、私たちが全力で支えます。

一人で悩まず、家族だけで抱え込まず、まずは私たちに相談してください。あなたの「諦めない」気持ちを、私たちが全力で応援します。

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清水総合法務事務所

代表:社会保険労務士 清水 良訓

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あなたが安心して暮らせる希望を、一緒に見つけましょう。

まとめ|パーキンソン病でも諦めずに障害年金を受給しよう

長い記事をここまでお読みいただき、ありがとうございます。パーキンソン病と障害年金について、様々な角度から詳しく解説してきました。ここで改めて、本記事の重要なポイントを振り返り、あなたが次の一歩を踏み出すためのメッセージをお届けします。

本記事の重要ポイント再確認

この記事を通じてお伝えしたかった最も重要なメッセージは、「パーキンソン病でも障害年金は受給できる」「諦めないことが何より大切」ということです。改めて、重要なポイントを振り返りましょう。

【本記事の重要ポイント まとめ】

  • パーキンソン病は障害年金の対象疾患です。働いている方も、薬でコントロール中の方も、若年性パーキンソン病の方も受給できます。年齢や就労状況による制限はありません。
  • 初診日の証明が最重要で、診断書には日常生活の具体的な困難さ(着替え・食事・歩行にかかる時間、オン・オフの状態など)を詳しく記載してもらうことが認定の決め手となります。
  • 受給額は障害基礎年金で月額約7万円から9万円、障害厚生年金では配偶者や過去の収入に応じて月額10万円から20万円程度が目安となり、子の加算や配偶者加算も受けられます。
  • 申請準備から受給開始まで約4か月から9か月かかりますが、社会保険労務士に依頼することで書類作成の負担が軽減され、認定率が高まり、精神的な安心も得られます。
  • 一度不支給になっても諦める必要はありません。審査請求や診断書の作り直しによる再申請で受給できる可能性があり、専門家のサポートで多くの方が成功しています。

パーキンソン病と向き合いながら、安心して暮らせる希望を一緒に見つけましょう。
まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。

これらのポイントを踏まえて、もう一度ご自身の状況を振り返ってみてください。「もしかしたら、自分も該当するかもしれない」――そう感じたなら、それが行動を起こすサインです。

今すぐ行動すべき理由

「もう少し症状が進行してから」「もう少し情報を集めてから」――そう考えて、申請を先延ばしにしていませんか?しかし、申請を先延ばしにすることには、いくつかのリスクがあります。今すぐ行動すべき理由をお伝えします。

【今すぐ行動すべき5つの理由】

理由1:初診日の証明が困難になる

カルテの保存期間は5年間です。時間が経つほど、初診日の証明が難しくなります。今すぐ申請しなくても、初診日の記録だけは早めに確保しておくべきです。

理由2:経済的な支援を早く受けられる

1か月早く申請すれば、1か月分多く受給できます。障害年金は申請した月の翌月分から支給されるため、先延ばしにするほど受給開始が遅れます。

理由3:遡及請求のチャンスを逃す

障害認定日(初診日から1年6か月後)まで遡って受給できる制度がありますが、遡及できるのは最大5年分です。時間が経ちすぎると、遡及できる期間が短くなります。

理由4:症状の記録が不正確になる

時間が経つほど、発症当時の症状や生活状況の記憶が曖昧になります。病歴・就労状況等申立書の作成にも影響します。

理由5:精神的な安心を早く得られる

「障害年金が受給できるかもしれない」という希望は、病気と向き合う上で大きな支えになります。早く相談することで、早く安心を得られます。

もちろん、焦って不十分な準備で申請する必要はありません。しかし、「いつか申請しよう」と先延ばしにするのではなく、まずは専門家に相談し、現状を把握することから始めてください。

無料相談では、「今すぐ申請すべきか」「もう少し準備が必要か」「今から何をすべきか」といったアドバイスも行います。相談したからといって、必ず申請しなければならないわけではありません。まずは情報を得ることから始めましょう。

最後に|あなたの「諦めない」を全力で応援します

ここまでお読みいただいたあなたは、きっと「何とかしたい」「諦めたくない」という強い思いをお持ちなのではないでしょうか。その気持ちこそが、障害年金受給への第一歩です。

パーキンソン病と診断された時、多くの方が将来への不安に押しつぶされそうになります。手の震え、歩行の困難、動作の緩慢――日常生活のあらゆる場面で困難を感じながら、それでも何とか生きていこうとする姿は、本当に尊いものです。

しかし、一人で、あるいは家族だけで抱え込む必要はありません。障害年金という制度は、まさにあなたのような方々を支えるために存在しています。病気と向き合いながら生活するあなたを、国が、社会が支援する仕組みがあるのです。

「自分には無理だろう」「該当しないはず」――そう思い込んで諦めてしまう前に、まずは可能性を探ってみてください。この記事を読んで、「もしかしたら」と感じたなら、その直感を信じてください。実際、当事務所に相談に来られる方の多くが、「半信半疑で相談したら、受給できた」と言われています。

障害年金を受給することは、決して恥ずかしいことでも、遠慮すべきことでもありません。あなたがこれまで納めてきた年金保険料、それは困った時に支えてもらうための「保険」です。今がまさに、その保険を使う時なのです。

💚 私たちからのメッセージ

清水総合法務事務所は、「諦めない障害年金」をコンセプトに、これまで数多くの方々の障害年金受給をサポートしてきました。

私たちが何よりも大切にしているのは、一人ひとりの状況に寄り添い、最後まで諦めずに受給を実現することです。

「初診日の証明ができない」
→ 様々な方法を駆使して、証明の道を探します

「一度不支給になった」
→ 原因を分析し、再申請で受給できる方法を考えます

「症状が微妙で認定されるか不安」
→ 診断書の内容を工夫し、実態を正確に伝える方法を提案します

「書類の作成が難しい」
→ すべて私たちがサポートします。あなたは話すだけで大丈夫です

どんなに困難なケースでも、「無理です」とは言いません。必ず何か方法はあるはずです。それを一緒に探すのが、私たちの仕事です。

あなたが障害年金を受給し、経済的な不安から少しでも解放され、安心して治療に専念できる日々を取り戻すこと――それが私たちの願いです。

パーキンソン病は進行性の疾患です。完治は難しく、長期にわたる治療と向き合わなければなりません。だからこそ、経済的な基盤をしっかりと築くことが重要です。

障害年金は、あなたの生活を支え、家族の負担を軽減し、治療に専念できる環境を作るための、大切な支えとなります。月額数万円でも、それがあるかないかで、生活の質は大きく変わります。医療費を気にせず通院できる、リハビリを継続できる、家族に経済的な負担をかけずに済む――これらはすべて、あなたとご家族の笑顔につながります。

一人で悩まないでください。家族だけで抱え込まないでください。私たちに相談してください。

あなたの「諦めない」気持ちを、私たちが全力で応援します。一緒に、安心して暮らせる希望の道を見つけましょう。

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相談は完全無料。成功報酬制だから、受給が決定してから費用が発生します。
「こんなこと聞いていいのかな」という小さな疑問でも大歓迎です。

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