酸素療法で障害年金は受給できる?認定基準と等級判定を社労士が解説に決定

酸素療法で障害年金は受給できる?認定基準と等級判定を社労士が解説に決定

在宅酸素療法を受けながら日々の生活を送られている皆さま、毎日の酸素ボンベの管理や外出時の不便さに加え、医療費の負担も重くのしかかっていませんか?「酸素療法を受けている自分は、障害年金を受給できるのだろうか?」そんな疑問を持ちながらも、制度が複雑で諦めてしまっている方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、在宅酸素療法を受けている方の多くは、障害年金の対象となる可能性があります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎、肺線維症などの呼吸器疾患で酸素療法が必要な状態は、障害年金の認定基準に明確に定められているのです。

しかし、実際には「自分の症状が基準を満たすのか分からない」「申請の手続きが複雑そうで不安」「主治医が障害年金に詳しくない」といった理由で、申請を躊躇されている方が少なくありません。中には年金事務所に問い合わせたものの、十分な説明が得られず諦めてしまったという声も聞かれます。

私は神戸で障害年金申請を専門にサポートする社会保険労務士として、これまで多くの呼吸器疾患の方の申請をお手伝いしてきました。その経験から確信を持って言えることは、正しい知識と適切な準備があれば、障害年金の受給は決して難しいものではないということです。

この記事では、酸素療法を受けている方が障害年金を受給するために知っておくべき情報を、社労士の視点から詳しく解説します。具体的には以下の内容をお伝えします。

  • 酸素療法で障害年金が受給できる医学的・制度的な根拠
  • 認定基準の詳細(動脈血酸素分圧などの検査数値、障害等級の判定方法)
  • 実際に受給できる年金額の目安
  • 申請の具体的な流れと必要書類
  • 初診日の特定など、申請時の注意点
  • よくある疑問への回答

専門用語もできるだけ分かりやすく説明しますので、制度に詳しくない方でも安心してお読みください。また、記事を読んで「自分のケースはどうだろう?」と疑問に思われた点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。当事務所では、皆さまの状況に応じた具体的なアドバイスを無料でご提供しています。

それでは、まず酸素療法と障害年金の基本的な関係から見ていきましょう。

目次

酸素療法と障害年金の基本

在宅酸素療法(HOT)とは

在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)は、慢性的な呼吸不全により血液中の酸素が不足している状態を改善するための治療法です。酸素濃縮器や酸素ボンベを使用して、自宅や外出先で継続的に酸素を吸入することで、息切れや呼吸困難を軽減し、日常生活の質を維持することを目的としています。

在宅酸素療法が必要となる主な呼吸器疾患には、以下のようなものがあります。

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患):長年の喫煙などにより気道が狭くなり、呼吸が困難になる疾患
  • 間質性肺炎:肺の間質という部分に炎症が起こり、肺が硬くなる疾患
  • 肺線維症:肺の組織が線維化して硬くなり、酸素の取り込みが困難になる疾患
  • 肺気腫:肺胞が破壊され、ガス交換機能が低下する疾患
  • 重症気管支喘息:気道の慢性的な炎症により呼吸機能が低下した状態
  • 肺結核後遺症:肺結核治療後に残る呼吸機能障害

これらの疾患により、室内の空気だけでは十分な酸素を取り込めなくなった場合、医師の判断で酸素療法が導入されます。酸素療法の導入は、呼吸機能が著しく低下していることの医学的な証明でもあり、これが障害年金の申請において重要な意味を持ちます。

障害年金制度の概要

障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が出た場合に支給される公的年金です。多くの方が「障害年金は身体障害者手帳を持っている人のもの」と誤解されていますが、実際には手帳の有無に関係なく、障害の状態が一定の基準を満たせば受給できる制度です。

障害年金には2つの種類があります。

障害基礎年金:国民年金に加入している方が対象です。自営業者、学生、専業主婦(主夫)、会社員や公務員の方も該当します。1級と2級があり、等級によって受給額が異なります。

障害厚生年金:会社員や公務員として厚生年金に加入している期間中に初診日がある方が対象です。1級、2級に加えて3級があり、障害基礎年金に上乗せする形で支給されます。

呼吸器疾患による障害も、当然ながら障害年金の対象となります。「見た目では分からない」「外見は普通に見える」という理由で遠慮される方もいらっしゃいますが、日常生活に制限があり、検査数値が基準を満たしていれば、正当な受給権があります

障害年金を受給するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 初診日要件:障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日(初診日)が、国民年金または厚生年金の加入期間中にあること
  • 保険料納付要件:初診日の前日において、一定期間以上の保険料納付または免除期間があること
  • 障害状態要件:障害の状態が、障害認定基準で定められた等級に該当すること

これらの要件については、後ほど詳しく解説します。

酸素療法で障害年金を受給できる理由

では、なぜ酸素療法を受けている方が障害年金の対象となるのでしょうか。その根拠は、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準に明確に定められています。

障害認定基準では、呼吸器疾患による障害の程度を判定する際、以下の要素を総合的に評価することとされています。

  • 動脈血ガス分析値(動脈血酸素分圧、動脈血二酸化炭素分圧)
  • 肺機能検査値(%肺活量、1秒率など)
  • 運動能力(6分間歩行試験など)
  • 在宅酸素療法の実施状況
  • 日常生活動作(ADL)の制限程度

この中で特に重要なのが動脈血ガス分析値在宅酸素療法の実施です。酸素療法が必要ということは、室内の空気(酸素濃度約21%)だけでは体内に十分な酸素を取り込めない状態であることを示しており、これ自体が重度の呼吸器障害の指標となります。

実際、障害認定基準では「常時(24時間)または間欠的に在宅酸素療法を実施している場合、その必要性が医学的に認められる限り、原則として2級以上に認定される」との記載があります。つまり、医師が医学的に必要と判断して酸素療法を処方している状態であれば、障害年金の対象となる可能性が極めて高いのです。

また、酸素療法を必要とする状態は、以下のような日常生活への制限を伴います。

  • 階段の昇降や平地での歩行時に息切れが生じる
  • 入浴や着替えなど日常動作で呼吸困難を感じる
  • 外出時に酸素ボンベの携帯が必要で、行動範囲が制限される
  • 就労が困難、または大幅な制限を受ける
  • 常時または夜間の酸素吸入により、睡眠や休息が妨げられる

障害年金は「日常生活または労働に著しい制限を受ける状態」を救済する制度です。酸素療法を受けている状態は、まさにこの制度の趣旨に合致しているのです。

次の章では、より具体的な認定基準について、検査数値や障害等級との関係を詳しく見ていきましょう。

【障害年金の種類と対象者】

種類 対象者 等級 主な特徴
障害基礎年金 国民年金加入者
(自営業、学生、主婦・主夫、会社員等すべて)
1級・2級 定額支給
子の加算あり
障害厚生年金 厚生年金加入期間中に初診日がある会社員・公務員 1級・2級・3級 報酬比例で計算
配偶者加給年金あり
障害基礎年金に上乗せ

※初診日にどの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金の種類が決まります。

酸素療法における障害年金の認定基準【重要】

ここからは、酸素療法を受けている方が最も知りたい「自分は何級に該当するのか」「どの程度の状態なら認定されるのか」という具体的な認定基準について詳しく解説します。この情報は、日本年金機構が定める「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいた正確な内容です。

呼吸器疾患の障害等級と認定基準

呼吸器疾患による障害は、その程度によって1級、2級、3級(厚生年金のみ)に区分されます。それぞれの等級の基準を見ていきましょう。

1級の基準:身の回りのことにも他人の介助を必要とするほどの状態です。具体的には以下のような状態が該当します。

  • 常時の安静と常時の介助が必要
  • ベッド周辺での生活がやっと
  • 入浴、食事、着替えなどすべてに介助が必要
  • 動脈血酸素分圧が50mmHg以下で、かつ常時の酸素療法が必要
  • 身体活動能力が極度に低下している

2級の基準:日常生活が著しく制限される状態です。これが酸素療法を受けている方の多くが該当する等級です。

  • 家庭内での生活は概ねできるが、外出時には介助や酸素ボンベの携帯が必要
  • 軽い家事や身の回りのことはできるが、それ以上の活動は困難
  • 動脈血酸素分圧が60mmHg以下で、在宅酸素療法を実施している
  • 労働は不可能か、極めて軽度なものに限られる
  • 平地でも50メートル程度の歩行で息切れが生じる

3級の基準(厚生年金のみ):労働に著しい制限を受ける状態です。

  • 日常生活には大きな支障はないが、労働には制限がある
  • 動脈血酸素分圧が70mmHg以下で、運動時に酸素療法が必要な場合がある
  • デスクワークなど軽作業は可能だが、立ち仕事や重労働は困難
  • 階段の昇降や長時間の歩行で著しい息切れがある

実際の認定においては、これらの基準を総合的に判断します。「2級の基準に少し届かないから3級」というような単純な判定ではなく、検査数値、日常生活の制限度、治療の状況などを総合的に評価することが重要です。

動脈血ガス分析の数値基準

呼吸器疾患の障害認定において、最も重視されるのが動脈血ガス分析の結果です。この検査は、動脈血を採取して血液中の酸素と二酸化炭素の濃度を測定するもので、呼吸機能の客観的な指標となります。

動脈血酸素分圧(PaO2)の基準値

動脈血酸素分圧は、血液中にどれだけ酸素が溶け込んでいるかを示す数値です。健康な成人の場合、通常80〜100mmHg程度ですが、呼吸器疾患があると低下します。

障害認定基準では、室内気(酸素吸入をしていない状態)での測定値を用いて、以下のように判定されます。

  • PaO2 50mmHg以下:1級相当の重度の呼吸不全
  • PaO2 60mmHg以下:2級相当の高度の呼吸不全
  • PaO2 70mmHg以下:3級相当の中等度の呼吸不全(厚生年金のみ)

例えば、あなたの検査結果がPaO2 55mmHgだった場合、2級の基準を満たしていることになります。ただし、この数値だけで機械的に判定されるわけではありません。

動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の考慮

PaCO2は、血液中の二酸化炭素の濃度を示します。正常値は35〜45mmHg程度ですが、呼吸機能が低下すると二酸化炭素が体内に蓄積し、この数値が上昇します。

PaCO2が45mmHgを超えて高値を示す場合は、CO2ナルコーシス(二酸化炭素の蓄積による意識障害)のリスクがあり、より重度と判定される可能性があります。実際の認定では、PaO2とPaCO2を組み合わせて総合的に評価します。

検査時の注意点

動脈血ガス分析の結果は、体調や測定時の状態によって変動することがあります。障害年金の診断書を作成する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 安静時の測定:室内気で、安静にした状態での測定が基本です
  • 複数回の測定:1回だけでなく、複数回の測定結果があるとより客観性が増します
  • 最も状態が悪い時期:体調の良い日と悪い日で数値が変わる場合、普段の状態を正確に反映した結果を用いることが重要です
  • 酸素療法開始前後:酸素療法を始める前の数値が残っていれば、それも重要な資料になります

主治医に診断書を依頼する際は、「障害年金用の診断書なので、室内気での動脈血ガス分析の結果を記載してください」と具体的に伝えることが大切です。

【障害等級と検査数値の対応表】

障害等級 動脈血酸素分圧
(PaO2)室内気
動脈血二酸化炭素分圧
(PaCO2)
在宅酸素療法 日常生活の制限
1級 50mmHg以下 考慮される
(高値は重症化指標)
常時必要 身の回りのことにも
常時介助が必要
ベッド周辺の生活
2級 60mmHg以下 考慮される
(45mmHg超は重視)
常時または
労作時に必要
家庭内の生活は可能
外出には介助や
酸素ボンベが必要
労働は困難
3級
(厚生年金のみ)
70mmHg以下 正常範囲または
やや高値
運動時に
必要な場合あり
日常生活は概ね可能
労働に著しい制限
軽作業に限定

※上記は目安です。実際の認定では、これらの要素を総合的に判断します。

※「室内気」とは、酸素吸入をしていない通常の空気での測定を意味します。

酸素流量と認定等級の関係

「酸素を何リットル吸入しているか」という酸素流量も、障害の程度を示す重要な指標の一つです。ただし、流量だけで等級が決まるわけではないことを理解しておく必要があります。

一般的な酸素流量と症状の関係は、以下のようになっています。

  • 安静時 1〜2L/分、労作時 2〜3L/分:中等度から高度の呼吸不全。多くの場合、2級に相当する可能性があります
  • 安静時 2〜3L/分以上、労作時 3〜4L/分以上:高度から重度の呼吸不全。1級〜2級に相当する可能性が高くなります
  • 常時 3L/分以上の高流量:重度の呼吸不全。1級に該当する可能性があります

例えば、安静時に1L/分、歩行時に2L/分の酸素吸入が必要な方の場合、動脈血ガス分析の結果がPaO2 55mmHgであれば、2級の基準を十分に満たしていると考えられます。

しかし、酸素流量は患者さんの体格や活動量、医師の処方方針によって変わることがあります。そのため、流量よりも動脈血ガス分析の数値の方が、より客観的で重要な指標とされています。

24時間酸素療法(常時酸素吸入)の重要性

日中だけでなく、夜間睡眠時も含めて24時間酸素吸入が必要な状態は、特に重度と判定されます。夜間の酸素飽和度が低下する場合や、睡眠時無呼吸を伴う場合も、障害の程度を示す重要な情報となります。

診断書には、「常時酸素療法が必要」「24時間酸素吸入」という記載があることで、認定がよりスムーズになる傾向があります。主治医に診断書を依頼する際は、普段の酸素使用状況を正確に伝えることが大切です。

その他の考慮要素

障害年金の認定は、動脈血ガス分析や酸素流量だけでなく、さまざまな要素を総合的に評価して行われます。以下の検査結果や情報も重要な判断材料となります。

肺機能検査

スパイロメトリーという検査で測定される以下の数値も参考にされます。

  • %肺活量:予測肺活量に対する実測値の割合。80%未満で拘束性障害と判定されます
  • 1秒率(FEV1.0%):1秒間に吐き出せる空気の割合。70%未満で閉塞性障害と判定されます
  • %1秒量:予測1秒量に対する実測値の割合。COPD の重症度判定に使用されます

例えば、COPD の方で%1秒量が30%台という重度の閉塞性障害があり、かつPaO2が60mmHg以下であれば、2級の認定可能性が高まります。

運動能力・活動能力

6分間歩行試験やシャトルウォーキングテストなど、実際の運動能力を測定した結果も考慮されます。

  • 6分間歩行距離が150メートル未満の場合、日常生活に著しい制限があると判定されます
  • 歩行中の酸素飽和度の低下(90%未満)も重要な指標です
  • 平地での50メートル程度の歩行でも息切れが生じる場合、2級相当と判定される可能性があります

日常生活動作(ADL)の制限程度

検査数値だけでなく、実際の生活でどの程度の制限があるかも重要です。診断書や病歴・就労状況等申立書には、以下のような具体的な情報を記載します。

  • 入浴:一人でできるか、介助が必要か、シャワーのみか
  • 着替え:息切れなくできるか、休憩が必要か
  • 家事:調理、掃除、洗濯などがどの程度できるか
  • 外出:頻度、距離、酸素ボンベの携帯の有無
  • 階段の昇降:何段程度なら可能か
  • 就労状況:働いているか、休職中か、どのような配慮が必要か

入院歴や急性増悪の頻度

呼吸不全による入院歴や、年間の急性増悪(症状の急激な悪化)の回数も、障害の程度を示す重要な情報です。

  • 過去1〜2年間の入院回数と入院期間
  • 人工呼吸器の使用歴
  • ステロイド治療の継続の有無
  • 在宅での急性増悪の頻度

これらの情報は、診断書だけでなく病歴・就労状況等申立書にも詳しく記載することで、審査する側があなたの状態をより正確に理解できるようになります。

【認定判定の確認項目チェックリスト】

◆ 検査数値の確認

  • ☑ 動脈血酸素分圧(PaO2)は60mmHg以下か?(2級基準)
  • ☑ 動脈血酸素分圧(PaO2)は50mmHg以下か?(1級基準)
  • ☑ 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は45mmHgを超えているか?
  • ☑ %1秒量や%肺活量などの肺機能検査で重度の障害が示されているか?

◆ 酸素療法の状況

  • ☑ 24時間(常時)酸素吸入が必要か?
  • ☑ 安静時の酸素流量は何L/分か?
  • ☑ 労作時(歩行時など)の酸素流量は何L/分か?
  • ☑ 夜間睡眠時も酸素吸入が必要か?

◆ 日常生活の制限

  • ☑ 入浴時に息切れや介助が必要か?
  • ☑ 平地で50メートル程度の歩行で息切れが生じるか?
  • ☑ 階段の昇降が困難か?
  • ☑ 家事や身の回りのことに制限があるか?
  • ☑ 外出時に酸素ボンベの携帯が必須か?
  • ☑ 就労が不可能、または著しく制限されているか?

◆ 治療・入院歴

  • ☑ 過去1〜2年間に呼吸不全で入院したことがあるか?
  • ☑ 急性増悪を繰り返しているか?
  • ☑ ステロイドなどの継続的な薬物治療を受けているか?
  • ☑ 人工呼吸器を使用したことがあるか?

※上記のチェック項目のうち、該当する項目が多いほど、障害年金の認定可能性が高まります。

※ご自身のケースが認定基準を満たすか不明な場合は、専門家にご相談ください。

受給できる障害年金の金額

認定基準を理解したところで、次に気になるのは「実際にいくら受給できるのか」という点でしょう。障害年金の金額は、等級と年金の種類(基礎年金か厚生年金か)によって異なります。ここでは、令和6年度(2024年度)の金額を基に、具体的な受給額を解説します。

※年金額は毎年度改定される可能性があります。最新の金額は日本年金機構のホームページでご確認ください。

障害基礎年金の年金額

障害基礎年金は、国民年金から支給される定額の年金です。自営業の方、専業主婦(主夫)の方、学生の方などが対象となりますが、会社員や公務員の方も、障害厚生年金に上乗せする形で障害基礎年金を受給します

1級の年金額

年額:約102万円(月額約8万5千円)
正確には1,020,000円です。これは2級の1.25倍の金額に設定されています。

2級の年金額

年額:約81万6千円(月額約6万8千円)
正確には816,000円です。酸素療法を受けている方の多くが該当するのが、この2級です。

子の加算額

障害基礎年金には、18歳到達年度の末日までの子ども、または20歳未満で障害等級1級・2級の子どもがいる場合、加算額が支給されます。

  • 第1子・第2子:1人につき年額約22万9千円(228,700円)
  • 第3子以降:1人につき年額約7万6千円(76,200円)

例えば、2級で18歳未満のお子さんが2人いる場合、基本額81万6千円に加えて、約45万8千円(22.9万円×2人)が加算され、合計で年額約127万4千円を受給できることになります。

障害厚生年金の年金額

障害厚生年金は、会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間の報酬(給料)に応じて計算される年金です。初診日に厚生年金に加入していた方が対象となります。

報酬比例部分の計算

障害厚生年金の額は、加入期間中の平均標準報酬額と加入月数に基づいて計算されます。計算式は複雑ですが、おおよその目安として、平均的な会社員の場合、年額50万円〜100万円程度となることが多いです。

重要なポイントは、加入期間が短くても、最低300月(25年)の加入期間があったものとして計算されるという点です。例えば、30歳で初診日があり、実際の厚生年金加入期間が8年(96月)しかなくても、300月分として計算されるため、一定の金額が保障されます。

1級の場合

障害厚生年金1級の額は、2級の1.25倍となります。さらに、障害基礎年金1級(約102万円)が加算されます。

2級の場合

報酬比例で計算された額に、障害基礎年金2級(約81万6千円)が加算されます。

3級の場合

3級は障害基礎年金が支給されないため、障害厚生年金のみとなります。ただし、最低保障額が設定されており、令和6年度は年額約61万2千円(612,000円)が保障されています。

配偶者加給年金

障害厚生年金の1級または2級に該当し、かつ生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、年額約22万9千円(228,700円)が加算されます。

配偶者の年収が850万円未満であることが条件です。この加算は、配偶者が65歳になるか、配偶者自身の老齢年金を受給し始めると停止されます。

具体的な受給額のイメージ

抽象的な説明だけでは分かりにくいと思いますので、具体的なモデルケースで受給額をイメージしてみましょう。

モデルケース1:国民年金のみの場合(自営業・専業主婦など)

60歳男性、COPD で在宅酸素療法中、障害基礎年金2級に認定
配偶者あり(60歳)、子どもなし

  • 障害基礎年金2級:年額約81万6千円
  • 合計:年額約81万6千円(月額約6万8千円)

※配偶者加給年金は障害基礎年金には付かないため、加算はありません。

モデルケース2:平均的な会社員の場合

58歳女性、間質性肺炎で在宅酸素療法中、障害厚生年金2級に認定
平均標準報酬月額30万円、厚生年金加入期間25年、配偶者あり(60歳)

  • 障害基礎年金2級:年額約81万6千円
  • 障害厚生年金2級:年額約65万円(報酬比例部分)
  • 配偶者加給年金:年額約22万9千円
  • 合計:年額約169万5千円(月額約14万1千円)

モデルケース3:加入期間が短い会社員の場合

40歳男性、肺線維症で在宅酸素療法中、障害厚生年金2級に認定
平均標準報酬月額35万円、厚生年金加入期間10年、配偶者なし

  • 障害基礎年金2級:年額約81万6千円
  • 障害厚生年金2級:年額約48万円(300月保障により計算)
  • 合計:年額約129万6千円(月額約10万8千円)

※実際の加入期間は10年(120月)ですが、300月加入したものとして計算されるため、一定の金額が保障されます。

老齢年金を既に受給している場合

65歳以上で老齢年金を受給している方が障害年金の対象となった場合、原則として、老齢年金か障害年金のどちらか一方を選択することになります。併給調整と呼ばれる仕組みです。

ただし、65歳以降は「老齢基礎年金+障害厚生年金」という組み合わせも選択できるようになります。どの組み合わせが最も有利かは、個々の状況によって異なりますので、専門家にご相談いただくことをお勧めします。

また、障害認定日が65歳前にある場合は、65歳以降でも遡って障害年金を請求できる可能性があります(遡及請求)。この場合、時効にかからない5年分までの年金が一括で支給されます。

【障害等級別の年金額一覧表(令和6年度)】

等級 障害基礎年金
(年額)
障害厚生年金
(年額・目安)
配偶者加給年金
(該当する場合)
合計額の目安
(厚生年金加入者)
1級 約102万円
(月額8.5万円)
約60〜125万円
(2級の1.25倍)
約23万円 約185〜250万円
(月額15〜21万円)
2級 約82万円
(月額6.8万円)
約48〜100万円
(報酬比例)
約23万円 約153〜205万円
(月額13〜17万円)
3級
(厚生年金のみ)
支給なし 約61〜80万円
(最低保障61万円)
支給なし 約61〜80万円
(月額5〜7万円)

※障害厚生年金の額は、加入期間や平均報酬額によって個人差があります。

※子の加算額は別途(第1子・第2子:各約23万円、第3子以降:各約8万円)

※最新の金額は日本年金機構のホームページでご確認ください。

[要確認: 令和7年度(2025年度)の最新金額を日本年金機構で確認してください]

このように、障害年金は等級や加入していた年金制度によって受給額が大きく異なります。「自分の場合はいくらくらい受給できるのか」「老齢年金と障害年金、どちらを選ぶべきか」など、個別の状況に応じた試算が必要な場合は、お気軽にご相談ください。

当事務所では、あなたの年金加入歴や現在の状況を詳しくお伺いし、受給見込み額を無料で試算いたします。また、複雑な併給調整についても分かりやすくご説明し、最も有利な選択ができるようサポートいたします。

【無料相談のご案内】

清水総合法務事務所では、障害年金に関する無料相談を実施しています。

  • 電話相談:050-7124-5884(平日9:00〜17:00)
  • メール相談:mail@srkobe.com(24時間受付)
  • お問い合わせフォーム:https://nenkin.srkobe.com/contact/

まずはお気軽にお問い合わせください。あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスをご提供します。

それでは次に、実際の申請手続きの流れと必要書類について詳しく見ていきましょう。

障害年金申請の流れと必要書類

障害年金の受給条件や金額を理解したところで、次は実際の申請手続きについて見ていきましょう。「複雑そうで不安」と感じる方も多いですが、手順を一つずつ確実に進めていけば、決して難しいものではありません。ここでは、申請の全体的な流れと、各段階で必要となる書類について詳しく解説します。

申請の全体的な流れ

障害年金の申請は、大きく分けて6つのステップで進めます。それぞれのステップを順番に見ていきましょう。

STEP1:受給要件の確認

まず、あなたが障害年金の受給要件を満たしているかを確認します。確認すべきポイントは以下の3点です。

  • 初診日要件:呼吸器症状で初めて医療機関を受診した日が、年金制度(国民年金または厚生年金)の加入期間中にあるか
  • 保険料納付要件:初診日の前日時点で、初診日の属する月の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上の期間について保険料を納付または免除されているか(直近1年間に未納がない場合も可)
  • 障害状態要件:現在の障害の状態が、認定基準に該当するか

この段階で不明な点があれば、年金事務所に問い合わせるか、社労士に相談することをお勧めします。要件を満たしていないと思い込んで諦めてしまうケースもありますが、実際には満たしていることも多いのです。

STEP2:初診日の特定

障害年金の申請において、最も重要なのが初診日の特定です。初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」を指します。

呼吸器疾患の場合、以下のようなケースが初診日となります。

  • 息切れや呼吸困難を感じて初めて医療機関を受診した日
  • 風邪や別の症状で受診した際に、レントゲン検査で異常が見つかった日
  • 健康診断で異常を指摘され、精密検査を受けた日

「最初は風邪だと思って近所の内科に行った」という場合、その内科の受診日が初診日になる可能性があります。その後、専門の呼吸器科に転院したとしても、最初に受診した日が初診日です。

カルテの保存期間は通常5年間なので、古い受診記録が残っていない場合もあります。その際は、診察券、領収書、お薬手帳、健康診断の記録などが初診日を証明する資料となります。

STEP3:必要書類の準備

申請に必要な書類を準備します。主な書類は次のセクションで詳しく説明しますが、特に重要なのは以下の3つです。

  • 診断書(呼吸器疾患用)
  • 受診状況等証明書(初診日の証明)
  • 病歴・就労状況等申立書

これらの書類は、それぞれ取得に時間がかかる場合があります。診断書は医療機関によっては作成に1〜2ヶ月かかることもあるため、早めに依頼することが大切です。

STEP4:診断書の作成依頼

主治医に障害年金用の診断書(様式第120号の3:呼吸器疾患用)の作成を依頼します。この診断書には、動脈血ガス分析の結果、肺機能検査の結果、酸素療法の実施状況、日常生活の制限度などが記載されます。

主治医が障害年金の診断書に詳しくない場合もあるため、以下の点を明確に伝えることが重要です。

  • 「障害年金用の診断書をお願いします」と明確に伝える
  • 「室内気での動脈血ガス分析の結果を記載してください」と依頼する
  • 「普段の生活での制限について、具体的に記載してください」とお願いする
  • 診断書の用紙は年金事務所で入手し、持参する

診断書の作成には、医療機関によって異なりますが、3千円〜1万円程度の文書料がかかります。

STEP5:年金事務所への提出

すべての書類が揃ったら、住所地を管轄する年金事務所に提出します。初診日に厚生年金に加入していた場合は年金事務所、国民年金のみの場合は市区町村の年金担当窓口でも受付可能です。

提出の際は、窓口で書類の不備がないかを確認してもらえます。もし不足や記載漏れがあれば、その場で指摘されるので、可能であれば窓口に直接持参することをお勧めします。

郵送での提出も可能ですが、書類の不備があった場合、やり取りに時間がかかることがあります。

STEP6:審査・決定

提出した書類は、日本年金機構の障害年金センターで審査されます。標準的な審査期間は3ヶ月程度ですが、書類の内容や時期によっては、4〜6ヶ月かかることもあります。

審査の結果、認定された場合は「年金証書」と「年金決定通知書」が送られてきます。年金は、請求した月の翌月分から支給され、偶数月の15日に2ヶ月分がまとめて振り込まれます。

もし不支給(認定されない)という結果になった場合でも、決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内であれば、審査請求(不服申立て)を行うことができます。

【障害年金申請の流れ】

STEP 1 受給要件の確認
□ 初診日要件(年金加入期間中か)
□ 保険料納付要件(3分の2以上納付か)
□ 障害状態要件(認定基準に該当するか)
→ 不明な点は年金事務所または社労士に相談
STEP 2 初診日の特定
□ カルテや診察券で初診日を確認
□ 受診状況等証明書を初診の医療機関に依頼
□ カルテがない場合は代替資料を探す
→ 期間:1〜2週間程度
STEP 3 必要書類の入手
□ 年金請求書を年金事務所で入手
□ 診断書用紙を入手
□ 住民票、戸籍謄本などを準備
→ 期間:数日〜1週間程度
STEP 4 診断書の作成依頼
□ 主治医に診断書作成を依頼
□ 室内気での検査結果の記載を依頼
□ 日常生活の制限を具体的に伝える
□ 病歴・就労状況等申立書を自分で作成
→ 期間:1〜2ヶ月程度(医療機関により異なる)
STEP 5 年金事務所へ提出
□ すべての書類を揃える
□ 書類の記載漏れがないか最終確認
□ 年金事務所の窓口に提出(または郵送)
→ 窓口で書類の確認をしてもらうと安心
STEP 6 審査・決定
□ 日本年金機構で審査(3〜6ヶ月)
□ 認定:年金証書が送られてくる
□ 不支給:審査請求が可能(3ヶ月以内)
→ 結果が出るまで気長に待つ
✓ 年金受給開始
請求月の翌月分から支給
偶数月の15日に2ヶ月分振込

※全体で3〜6ヶ月程度かかります。余裕を持ったスケジュールで進めましょう。

必要な書類一覧

障害年金の申請には、さまざまな書類が必要です。ここでは、主要な書類について詳しく説明します。

1. 年金請求書(障害給付)

障害年金を請求するための基本となる書類です。年金事務所または市区町村の年金担当窓口で入手できます。氏名、生年月日、住所、年金加入歴、振込先口座などを記載します。

障害基礎年金用と障害厚生年金用で様式が異なるため、初診日にどの年金制度に加入していたかを確認してから入手してください。

2. 診断書(様式第120号の3:呼吸器疾患用)

最も重要な書類です。現在の診療を受けている医療機関の主治医に作成を依頼します。診断書には以下の内容が記載されます。

  • 傷病名(COPD、間質性肺炎など)
  • 発病年月日および初診年月日
  • 動脈血ガス分析の結果(PaO2、PaCO2)
  • 肺機能検査の結果(%肺活量、1秒率など)
  • 在宅酸素療法の実施状況(流量、使用時間)
  • 運動能力(6分間歩行試験など)
  • 日常生活の制限の程度
  • 予後(今後の見通し)

診断書は、請求日以前3ヶ月以内に作成されたものである必要があります。古い診断書は使用できないので注意してください。

3. 受診状況等証明書(初診日の証明)

初診日を証明するための書類です。初診の医療機関が現在の診療を受けている医療機関と異なる場合に必要となります。

初診の医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼します。カルテが残っていない場合は、「カルテが保存されていないため証明できない」という内容の証明書を発行してもらい、代わりに診察券、領収書、お薬手帳などの資料を提出します。

4. 病歴・就労状況等申立書

これはあなた自身が作成する書類です。発病から現在までの経過、受診した医療機関、日常生活や仕事への支障などを時系列で記載します。

審査する側があなたの状況を理解するための重要な資料となるため、詳しく書くことが大切です。次のセクションで書き方のポイントを詳しく説明します。

5. その他の書類

  • 住民票:世帯全員分、マイナンバーの記載がないもの
  • 戸籍謄本:配偶者や子どもがいる場合に必要
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書:年金番号を確認するため
  • 預金通帳のコピー:年金の振込先口座の確認用
  • 所得証明書:20歳前に初診日がある場合に必要
  • 第三者証明:初診日が証明できない場合の補助資料

提出する書類は、初診日の年金制度や請求のタイミングによって異なります。年金事務所で「必要書類チェックリスト」をもらい、確認しながら準備することをお勧めします。

診断書作成の重要ポイント

診断書の内容が、認定の結果を大きく左右します。適切な内容の診断書を作成してもらうために、以下のポイントを押さえましょう。

主治医への依頼方法

多くの医師は、日常の診療では障害年金の診断書を書く機会が少なく、詳しくない場合もあります。以下のように明確に依頼することが大切です。

  • 「障害年金の申請をしたいので、診断書をお願いできますでしょうか」と丁寧に依頼する
  • 「呼吸器疾患用の様式第120号の3という診断書です」と具体的に伝える
  • 用紙は年金事務所で入手し、持参する
  • 作成にかかる期間を確認する(通常1〜2ヶ月)

もし主治医が「障害年金には詳しくない」と言われた場合でも、「診断書の項目に沿って、普段の状態を記載していただければ大丈夫です」と伝えてください。

診断書に記載してもらうべき検査結果

診断書には、以下の検査結果を必ず記載してもらう必要があります。

  • 室内気での動脈血ガス分析:酸素吸入をしていない状態での測定が必須です。「室内気」という記載がないと、再提出を求められることがあります
  • 最近3ヶ月以内の検査結果:古い検査結果では現在の状態を反映していないと判断されます
  • 複数回の測定結果:1回だけでなく、複数回の測定結果があれば、それも記載してもらうと客観性が増します

もし最近、室内気での測定をしていない場合は、診断書作成前に検査をしてもらうよう依頼してください。

日常生活の制限を正確に伝える

診断書には「日常生活能力の程度」という項目があり、以下のような内容を記載します。

  • 歩行可能な距離(平地で何メートル歩くと息切れするか)
  • 階段の昇降能力(何段くらいまで可能か)
  • 入浴の状況(一人でできるか、介助が必要か)
  • 家事の状況(調理、掃除、洗濯などがどの程度できるか)
  • 外出の頻度と範囲
  • 就労の状況

医師は診察室でのあなたの様子しか見ていないため、自宅での実際の生活状況を正確に伝えることが非常に重要です。

「診察には何とか来られているから、日常生活も問題ない」と誤解されないよう、「実は診察に来るだけでも、家族の車で送ってもらい、院内では車椅子を使っています」など、具体的な状況を伝えましょう。

診断書の内容確認

診断書ができあがったら、提出前に以下の点を確認してください。

  • 動脈血ガス分析の「室内気」の記載があるか
  • 在宅酸素療法の実施状況(流量、時間)が正確に記載されているか
  • 日常生活の制限が具体的に記載されているか
  • 記載漏れや不明瞭な箇所がないか

もし内容に疑問がある場合は、主治医に確認をお願いすることも可能です。ただし、書き直しを依頼すると、さらに時間と費用がかかることがあるため、最初の依頼時に詳しく伝えることが大切です。

病歴・就労状況等申立書の書き方

病歴・就労状況等申立書は、あなた自身が作成する唯一の書類であり、あなたの言葉で状況を伝えられる重要な機会です。審査する側は、この申立書を通じて、あなたの生活の実態を理解します。

申立書の目的

この書類の目的は、以下の情報を審査する側に伝えることです。

  • 発病から現在までの経過
  • 受診した医療機関の変遷
  • 治療内容の変化
  • 症状の変化と日常生活への影響
  • 就労状況の変化

診断書は医学的な情報が中心ですが、申立書では「実際の生活でどのような困難があるか」を具体的に伝えることができます。

発症から現在までの経過を時系列で記載

申立書は、発病時から現在までを、いくつかの期間に区切って記載します。区切り方の例は以下のとおりです。

  • 発病〜初診まで
  • 初診〜診断確定まで
  • 診断確定〜症状悪化まで
  • 酸素療法導入前後
  • 現在の状況

各期間について、以下の内容を記載します。

  • いつ頃、どのような症状が出たか
  • どの医療機関を受診したか(医療機関名、所在地、受診期間)
  • どのような診断を受け、どのような治療を受けたか
  • 症状はどのように変化したか
  • 日常生活や仕事にどのような影響があったか

日常生活の具体的な支障を記載

審査する側が最も知りたいのは、「あなたの日常生活が、どの程度制限されているか」です。以下のような具体的な記載を心がけてください。

良い記載例:

「平地を5メートル歩くと息切れが激しくなり、立ち止まって休憩が必要です。自宅内の移動でさえ、酸素ボンベを携帯しています。入浴は週に2回、妻の介助を受けて10分程度のシャワーのみです。着替えも息が切れるため、ゆっくりと時間をかけて行っています。外出は月に1〜2回の通院のみで、自家用車で妻に送迎してもらい、病院内では車椅子を使用しています。以前は趣味で園芸を楽しんでいましたが、現在は屋外での活動は一切できません。」

避けるべき記載例:

「日常生活に支障があります。外出も困難です。」

後者のような抽象的な記載では、実際にどの程度の制限があるのかが伝わりません。具体的な距離、時間、頻度、介助の有無などを記載することが重要です。

就労状況の記載

仕事をしている、または休職中、退職した場合は、その状況を詳しく記載します。

  • 症状により、どのような業務が困難になったか
  • 会社からどのような配慮を受けているか(軽作業への配置転換、勤務時間の短縮など)
  • 休職や退職に至った経緯
  • 現在の収入状況

もし現在も働いている場合でも、正直に記載してください。「働いているから障害年金はもらえない」というわけではありません。どのような制限の中で、どの程度の就労をしているかを具体的に伝えることが大切です。

記載時の注意点

  • できるだけ詳しく、具体的に書く(文字数の制限はありません)
  • 事実を正確に、誇張せずに記載する
  • 読みやすい文章を心がける(箇条書きも可)
  • 医療機関名は正式名称で記載する
  • 日付は「平成○年○月」「令和○年○月」と元号で記載する

病歴・就労状況等申立書は、あなたの状況を最も詳しく伝えられる重要な書類です。時間をかけて丁寧に作成することをお勧めします。

もし書き方に不安がある場合は、社労士に相談することで、適切な内容の申立書を作成するサポートを受けることができます。

酸素療法での障害年金申請の注意点

障害年金の申請手続きを進める中で、多くの方がつまずきやすいポイントがいくつかあります。事前にこれらの注意点を理解しておくことで、スムーズな申請が可能になります。ここでは、特に酸素療法を受けている方が知っておくべき重要な注意点について詳しく解説します。

初診日の考え方

障害年金申請において最も重要で、かつ最も複雑なのが初診日の特定です。初診日をどう認定するかによって、受給できる年金の種類や金額が大きく変わることもあるため、慎重に確認する必要があります。

呼吸器症状で初めて医療機関を受診した日

原則として、初診日とは「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」です。呼吸器疾患の場合、以下のようなケースが初診日となります。

  • 息切れや呼吸困難を感じて、初めて医療機関を受診した日
  • 咳や痰などの症状で受診し、レントゲン検査で肺の異常が見つかった日
  • 健康診断で胸部異常陰影を指摘され、精密検査を受けた日
  • 風邪だと思って受診したが、実は呼吸器疾患の初期症状だった場合の受診日

例えば、COPDの田中さんのケースを考えてみましょう。

58歳の時、風邪をこじらせて近所の内科クリニックを受診→呼吸困難で救急搬送→総合病院でCOPDと診断→呼吸器専門病院に転院

この場合、最初に受診した近所の内科クリニックの受診日が初診日となる可能性が高いです。その時点では風邪だと思っていても、後にCOPDの初期症状だったと判明すれば、そこが起点となります。

風邪や別の症状での受診が初診日になる可能性

「最初は単なる風邪だと思っていた」「別の症状で受診した」という場合でも、後に呼吸器疾患と診断されれば、その最初の受診日が初診日となることがあります。

ただし、以下のような場合は、初診日の判断が分かれます。

  • 関連性が明確な場合:風邪の症状で受診し、その後、症状が続いて呼吸器疾患と診断された場合は、最初の受診日が初診日
  • 関連性が不明確な場合:風邪で受診し、完治した後、数年経ってから別の呼吸器症状で受診した場合は、後の受診日が初診日となる可能性

この判断は非常に難しく、医学的な見解も必要となるため、迷った場合は専門家に相談することを強くお勧めします

カルテが残っていない場合の対処法

医療機関のカルテ保存期間は法律で5年間と定められているため、それ以前の受診記録が残っていないことがよくあります。特に、初診から何年も経過している場合、この問題に直面します。

カルテがない場合でも、以下の資料で初診日を証明できる可能性があります。

  • 診察券:受診した医療機関名と初診日の推定が可能
  • 領収書:受診日と医療機関名が記載されている
  • お薬手帳:処方された薬と日付から受診歴が分かる
  • 健康診断の記録:異常が指摘された時期の特定
  • 人間ドックの結果:胸部レントゲンなどの記録
  • 身体障害者手帳の申請記録:申請時の診断書に初診日の記載がある場合

これらの資料も見つからない場合は、第三者証明という方法があります。これは、当時の状況を知る第三者(家族以外の親族、友人、元同僚など)に、あなたの受診状況を証明してもらうものです。

ただし、第三者証明は補助的な資料であり、これだけで初診日が確定するわけではありません。できる限り、客観的な医療記録を探すことが重要です。

障害認定日の特定

初診日の次に重要なのが障害認定日です。障害認定日とは、「障害の程度を認定する日」で、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日と定められています。

酸素療法開始日が認定日になる可能性

ただし、呼吸器疾患の場合、特例があります。在宅酸素療法を開始した日が、初診日から1年6ヶ月以内であっても、その時点で障害認定日とすることができるとされています。

例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。

2023年4月1日:COPDの初診日
2024年3月1日:在宅酸素療法を開始(初診日から11ヶ月後)
2024年10月1日:初診日から1年6ヶ月経過

この場合、2024年3月1日の酸素療法開始日を障害認定日とすることができます。これにより、1年6ヶ月を待たずに申請が可能となり、より早く年金を受給できる可能性があります。

ただし、この特例を適用するには、酸素療法開始時点の診断書が必要となります。開始から時間が経過している場合、当時の診断書を新たに取得できるか、主治医に確認する必要があります。

認定日請求と事後重症請求の違い

障害年金の請求方法には、大きく分けて2種類があります。

認定日請求:障害認定日時点での診断書を用いて請求する方法です。認定された場合、障害認定日の翌月分から年金が支給されます。遡って最大5年分の年金を一括で受け取れる可能性があります。

事後重症請求:障害認定日時点では基準を満たしていなかったが、その後、症状が悪化して基準を満たした場合に行う請求です。請求月の翌月分から年金が支給されます。遡及はありません。

酸素療法を開始してから時間が経過している場合、どちらの方法で請求するかを検討する必要があります。

  • 酸素療法開始から3年以内:認定日請求を検討(遡及受給の可能性)
  • 酸素療法開始から3年以上経過:事後重症請求が現実的(遡及はないが、申請は可能)

どちらの方法が有利かは、個々の状況によって異なります。専門家に相談することをお勧めします。

検査のタイミングと数値の変動

障害年金の認定に重要な動脈血ガス分析の数値は、体調や測定時の状態によって変動することがあります。この点を理解しておくことが、適切な診断書作成につながります。

体調の良い日と悪い日での数値の違い

呼吸器疾患の症状は、日によって変動することがあります。

  • 急性増悪の直後は数値が悪化している
  • ステロイド治療などで一時的に改善している時期がある
  • 感染症を併発している時期は数値が悪化する
  • 季節によって症状に変動がある(冬季に悪化など)

診断書作成のための検査は、あなたの「普段の状態」を正確に反映したタイミングで行うことが理想です。たまたま体調の良い日に検査をして、実際より良い数値が出てしまうと、認定が難しくなる可能性があります。

逆に、急性増悪の直後など、一時的に極端に悪化している時期の数値だけを用いるのも、継続的な状態を示していないと判断される可能性があります。

診断書作成時期の検査の重要性

診断書には、作成日前3ヶ月以内の検査結果を記載する必要があります。古い検査結果しかない場合は、診断書作成前に改めて検査を受ける必要があります。

主治医に診断書を依頼する際は、「障害年金の診断書用に、室内気での動脈血ガス分析をお願いできますか」と明確に伝えることが大切です。

複数回の検査結果を示すことの意義

1回の検査結果だけでなく、過去数回の検査結果を診断書に記載してもらうことで、継続的に基準を満たしている状態であることを示すことができます。

例えば、以下のような記載があると、説得力が増します。

動脈血ガス分析(室内気)
令和6年3月:PaO2 54mmHg、PaCO2 46mmHg
令和6年6月:PaO2 56mmHg、PaCO2 45mmHg
令和6年9月:PaO2 53mmHg、PaCO2 47mmHg

このように、複数回にわたって基準値以下であることを示すことで、一時的な悪化ではなく、継続的な呼吸不全の状態であることが明確になります。

不支給・却下される可能性があるケース

残念ながら、申請しても認定されない(不支給・却下)という結果になることもあります。しかし、不支給になる理由を理解しておけば、対策を講じることができます。また、一度不支給になっても、再申請や不服申立ての方法があることも知っておいてください。

1. 保険料納付要件を満たしていない

初診日の前日時点で、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。

  • 初診日の属する月の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上の期間について保険料を納付または免除されている
  • 初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない(令和8年3月31日までの特例)

若い頃に国民年金の保険料を納めていなかった期間がある場合、この要件を満たさない可能性があります。ただし、学生納付特例や納付猶予を受けていた期間は、未納ではなく「猶予期間」として扱われるため、要件を満たします。

保険料納付要件を満たしているか不安な場合は、年金事務所で「年金加入記録」を確認してもらうことをお勧めします。

2. 初診日が証明できない

初診日を証明する資料が一切ない場合、申請が却下されることがあります。特に、以下のような場合に問題となります。

  • 初診の医療機関が廃院していてカルテが取得できない
  • 複数の医療機関を転々としていて、どこが初診か不明
  • 初診から何十年も経過していて、記憶が曖昧

このような場合でも、諦める前に専門家に相談してください。第三者証明や、残されているわずかな資料を組み合わせることで、初診日を推定できる場合があります。私たちの事務所でも、初診日が不明なケースの解決実績が多数あります。

3. 診断書の記載が不十分

診断書の記載内容が不十分な場合、認定されないことがあります。よくある問題点は以下のとおりです。

  • 動脈血ガス分析で「室内気」の記載がない(酸素吸入下での測定と区別できない)
  • 検査結果の数値が記載されていない、または古い
  • 日常生活の制限の程度が具体的に記載されていない
  • 在宅酸素療法の実施状況(流量、時間)が不明確

診断書を受け取ったら、提出前に必ず内容を確認しましょう。もし不備がある場合は、主治医に追記や訂正をお願いすることも可能です。

4. 障害の程度が基準に達していない

検査数値や日常生活の制限度が、認定基準に達していないと判断される場合があります。

  • PaO2が基準値(60mmHg)をわずかに上回っている
  • 酸素療法は実施しているが、日常生活の制限が軽度と判断された
  • 就労を継続しており、障害の程度が軽いと判断された

ただし、数値が基準をわずかに上回っているだけで諦める必要はありません。他の要素(肺機能検査、運動能力、日常生活の制限など)を総合的に評価して認定されることもあります。

また、現時点で基準に達していなくても、症状が進行した段階で再度申請することが可能です。

不支給になった場合の対応

もし不支給という結果になっても、以下の方法があります。

  • 審査請求:決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に、社会保険審査官に対して不服申立てができます
  • 再審査請求:審査請求が認められなかった場合、さらに社会保険審査会に対して申立てができます
  • 再申請:症状が進行した場合や、新たな証拠が得られた場合は、改めて申請することができます

不支給の理由をしっかりと分析し、適切な対応を取ることで、認定される可能性は十分にあります。「一度ダメだったから諦める」のではなく、専門家のサポートを受けながら、再挑戦することをお勧めします

当事務所では、「諦めない障害年金」をモットーに、不支給になったケースの再申請や審査請求のサポートも行っています。どうぞお気軽にご相談ください。

よくある質問と回答

ここでは、酸素療法を受けている方から特によく寄せられる質問について、具体的にお答えします。あなたの疑問や不安の解消に役立てていただければ幸いです。

酸素療法を始めたばかりでも申請できますか?

はい、申請できます。むしろ、酸素療法を開始したタイミングこそ、申請を検討すべき時期です。

前述のとおり、在宅酸素療法を開始した日は、初診日から1年6ヶ月を経過していなくても障害認定日とすることができるという特例があります。つまり、酸素療法を開始してすぐに申請準備を始めることで、より早く年金を受給できる可能性があります。

ただし、申請には以下の要件を満たしている必要があります。

  • 初診日が年金制度の加入期間中にあること
  • 保険料納付要件を満たしていること
  • 障害の程度が認定基準を満たしていること

酸素療法を開始したということは、医学的に見て重度の呼吸不全があると医師が判断したということです。このタイミングで、一度専門家に相談し、申請の可能性を検討することをお勧めします。

なお、酸素療法開始時点の診断書が必要となりますので、できるだけ早く主治医に相談することが大切です。時間が経過すると、当時の診断書を作成することが難しくなる場合があります。

老齢年金をすでに受給していますが、障害年金ももらえますか?

状況によって異なりますが、選択して受給することは可能です。

65歳以上で老齢年金を受給している場合、原則として老齢年金か障害年金のどちらか一方を選択することになります。これを「併給調整」と呼びます。

ただし、65歳以降は以下の組み合わせも選択できるようになります。

  • 老齢基礎年金 + 障害厚生年金
  • 障害基礎年金 + 老齢厚生年金

どの組み合わせが最も受給額が多くなるかは、あなたの年金加入歴や障害の等級によって異なります。一般的には、以下のような傾向があります。

  • 厚生年金の加入期間が長く、報酬が高かった方:老齢年金の方が有利な場合が多い
  • 厚生年金の加入期間が短い、または国民年金のみの方:障害年金2級の方が有利な場合が多い
  • 障害等級が1級の方:障害年金の方が有利な場合が多い

また、重要なポイントとして、障害認定日が65歳前にある場合は、65歳以降でも遡って障害年金を請求できる可能性があります。この場合、時効にかからない5年分までの年金が一括で支給されます。

例えば、60歳で酸素療法を開始したが申請していなかった方が、68歳になって障害年金の存在を知った場合でも、遡って請求できる可能性があるということです。

どの年金を選択すべきかは、個別の試算が必要です。当事務所では、あなたの状況に応じた詳しい試算を無料で行っていますので、お気軽にご相談ください。

自分で申請するのと社労士に依頼するのとどちらがいい?

それぞれにメリット・デメリットがあります。

自分で申請するメリット

  • 社労士への報酬が不要(費用を節約できる)
  • 自分のペースで進められる
  • 制度について詳しく学べる

自分で申請するデメリット

  • 手続きに時間と労力がかかる(特に体調が悪い方には負担)
  • 書類の不備や記載漏れのリスクがある
  • 認定基準の理解が不十分で、適切な診断書が得られないことがある
  • 不支給になった場合、原因の分析や対策が難しい

社労士に依頼するメリット

  • 専門知識に基づいた適切なアドバイスが受けられる
  • 診断書の内容チェックや、医師への依頼方法の助言がもらえる
  • 病歴・就労状況等申立書の作成サポートが受けられる
  • 初診日が不明など、複雑なケースにも対応できる
  • 不支給になった場合の審査請求も対応してもらえる
  • 手続きの負担が軽減される

社労士に依頼するデメリット

  • 報酬が必要(通常、成功報酬として受給額の2ヶ月分程度)
  • 社労士との相性やコミュニケーションの問題が生じることがある

こんな方は社労士への依頼をお勧めします

  • 初診日が不明確、またはカルテが残っていない
  • 複数の医療機関を受診していて、経過が複雑
  • 過去に不支給になった経験がある
  • 体調が悪く、手続きを進める余裕がない
  • 確実に認定を得たい
  • 65歳前後で、老齢年金との併給調整が複雑

多くの社労士事務所では、初回相談を無料で行っています。まずは相談してみて、自分で進めるか依頼するかを判断することも可能です。当事務所でも無料相談を実施していますので、お気軽にお問い合わせください。

診断書の費用はどのくらいかかりますか?

医療機関によって異なりますが、一般的に3,000円〜10,000円程度です。

障害年金用の診断書は、通常の診断書よりも記載項目が多く、作成に時間がかかるため、文書料が高めに設定されている医療機関が多いです。

診断書の費用の目安

  • クリニックや診療所:3,000円〜5,000円程度
  • 総合病院:5,000円〜10,000円程度
  • 大学病院:7,000円〜10,000円程度

また、初診日を証明するための「受診状況等証明書」も別途費用がかかります。こちらは2,000円〜5,000円程度が一般的です。

診断書を依頼する際に、費用と作成期間を確認しておくとよいでしょう。多くの医療機関では、診断書ができあがった際に支払う形になります。

なお、診断書の費用は医療費控除の対象にはなりませんが、障害年金が認定されれば、その費用は十分に回収できる投資と言えるでしょう。

また、もし診断書の内容に不備があり、書き直しをお願いする場合は、追加で費用がかかることがあります。そのため、最初の依頼時に、必要な検査結果や記載内容をしっかりと伝えることが重要です。

申請から受給までどのくらいの期間がかかりますか?

標準的には3〜4ヶ月程度ですが、状況によって異なります。

障害年金の申請から受給開始までの期間は、以下のように分かれます。

1. 書類準備期間:1〜3ヶ月

  • 診断書の作成:1〜2ヶ月(医療機関の混雑状況による)
  • 受診状況等証明書の取得:1〜2週間
  • その他の書類準備:1〜2週間

診断書の作成期間が最も時間がかかる部分です。医療機関によっては、繁忙期(年度末など)は2〜3ヶ月かかることもあります。

2. 審査期間:3〜4ヶ月

年金事務所に書類を提出してから、日本年金機構の障害年金センターで審査が行われます。標準的な審査期間は約3ヶ月ですが、以下の場合は時間がかかることがあります。

  • 年度末や年度初め(3月〜5月)は混雑し、4〜6ヶ月かかることがある
  • 書類に不備があり、追加資料の提出が必要な場合
  • 医療照会(年金機構から医療機関への問い合わせ)が必要な場合
  • 初診日の認定に時間がかかる場合

3. 支給開始まで:さらに1〜2ヶ月

認定の決定通知が届いてから、実際に年金が振り込まれるまで、さらに1〜2ヶ月かかります。年金は偶数月の15日に、前2ヶ月分がまとめて振り込まれます。

全体の目安

  • スムーズに進んだ場合:申請準備開始から初回振込まで4〜6ヶ月
  • やや時間がかかった場合:6〜9ヶ月
  • 複雑なケース:9ヶ月〜1年以上

時間がかかるように感じるかもしれませんが、認定日請求の場合、遡って最大5年分が一括で支給されるため、待った分以上のメリットがあります。

また、審査期間中も定期的に進捗を確認することはできませんので、気長に待つ姿勢が大切です。「忘れた頃に結果が来る」くらいの気持ちで、日常生活を送ることをお勧めします。

一度不支給になったら再申請できませんか?

はい、再申請は可能です。

不服申立て(審査請求)

まず、不支給の決定に納得できない場合は、決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に、審査請求を行うことができます。

審査請求は、社会保険審査官に対して行います。新たな証拠(追加の診断書、詳細な病歴申立書など)を提出することで、再度審査してもらえます。

審査請求で認められなかった場合は、さらに社会保険審査会に対して「再審査請求」を行うこともできます。

事後重症請求による再申請

不支給になった後、症状がさらに進行した場合は、改めて「事後重症請求」として申請することができます。

例えば、以下のようなケースです。

最初の申請時:PaO2 62mmHg、酸素療法は労作時のみ → 2級基準に届かず不支給
1年後:PaO2 56mmHg、常時酸素療法が必要に → 再申請で2級認定

症状の進行は残念なことですが、現在の状態が認定基準を満たしているのであれば、再度申請する権利があります。

不支給の理由を分析することが重要

不支給になった場合、日本年金機構からその理由が通知されます。主な理由としては以下のようなものがあります。

  • 保険料納付要件を満たしていない
  • 初診日が証明できない
  • 障害の程度が認定基準に達していない
  • 診断書の記載内容が不十分

この理由を詳しく分析し、対策を講じることが重要です。

  • 初診日が問題であれば、別の証拠を探す
  • 診断書の記載が問題であれば、より詳細な診断書を取得する
  • 検査数値が基準に届いていなければ、症状の進行を待って再申請する

専門家のサポートが有効

一度不支給になったケースは、再申請も難しいことが多いため、専門家である社労士のサポートを受けることを強くお勧めします

当事務所では、「諦めない障害年金」をモットーに、不支給になったケースの再申請や審査請求も積極的にサポートしています。不支給の理由を詳しく分析し、最も効果的な対策を一緒に考えます。

「一度ダメだったから諦める」のではなく、「なぜダメだったのか」を理解し、適切な対策を取ることで、認定される可能性は十分にあります。どうぞお気軽にご相談ください。

【よくある質問 早見表】

質問 回答の要点
酸素療法を始めたばかりでも
申請できますか?
申請できます。酸素療法開始日が障害認定日になる特例があるため、
むしろ早めの申請準備をお勧めします。
老齢年金を受給していますが
障害年金ももらえますか?
選択して受給可能です。65歳以上の場合、老齢年金と障害年金の
どちらか有利な方を選択します。組み合わせも可能です。
自分で申請 vs 社労士に依頼
どちらがいい?
状況によります。複雑なケース、初診日不明、過去の不支給歴がある場合は
社労士への依頼をお勧めします。まずは無料相談を。
診断書の費用は
どのくらいかかりますか?
3,000〜10,000円程度。医療機関によって異なります。
受診状況等証明書は別途2,000〜5,000円程度です。
申請から受給まで
どのくらいの期間?
4〜6ヶ月が目安。書類準備に1〜3ヶ月、審査に3〜4ヶ月、
支給開始まで1〜2ヶ月。複雑なケースはさらに時間がかかります。
一度不支給になったら
再申請できませんか?
再申請可能です。審査請求(3ヶ月以内)、または症状進行後の
事後重症請求が可能。専門家のサポートをお勧めします。

※詳しい内容は各質問の詳細解説をご覧ください。

社労士による障害年金申請サポート

ここまで、酸素療法における障害年金の認定基準から申請手続きまで、詳しく解説してきました。しかし、実際に申請を進めようとすると、「やはり一人では不安」「複雑で自信がない」と感じる方も多いのではないでしょうか。そのような方のために、当事務所がどのようなサポートを提供しているかをご紹介します。

当事務所のサポート内容

清水総合法務事務所では、障害年金申請に関する包括的なサポートを提供しています。単に書類を代行するだけでなく、あなたの状況を深く理解し、最善の結果を得るための戦略を一緒に考えます

1. 受給可能性の診断

まず、無料相談であなたの状況を詳しくお聞きし、障害年金の受給可能性を診断します。

  • 初診日の要件を満たしているか
  • 保険料納付要件をクリアしているか
  • 現在の障害の程度が認定基準に該当するか
  • どの等級に該当する可能性があるか
  • 認定日請求と事後重症請求、どちらが有利か

この診断により、申請すべきかどうか、申請する場合の見通しはどうか、といった判断材料を提供します。「申請しても無駄では?」という不安を抱えている方も、まずはご相談ください。

2. 初診日の調査・証明取得サポート

障害年金申請で最も困難なのが、初診日の特定と証明です。当事務所では、以下のような対応を行います。

  • カルテが残っていない医療機関への照会方法のアドバイス
  • 診察券、領収書、お薬手帳などの代替資料の活用
  • 第三者証明の作成サポート
  • 複数の医療機関を受診している場合の、初診日の認定戦略
  • 健康診断記録や人間ドック結果からの初診日推定

「カルテが残っていないから無理」と諦める前に、私たちにご相談ください。これまで多くの「初診日不明」ケースを解決してきた実績があります。

3. 診断書内容のチェックとアドバイス

主治医に作成していただいた診断書の内容を、認定基準に照らして詳細にチェックします。

  • 動脈血ガス分析の「室内気」記載があるか
  • 検査数値が正確に記載されているか
  • 在宅酸素療法の実施状況が具体的に記載されているか
  • 日常生活の制限度が適切に表現されているか
  • 記載漏れや不明瞭な箇所はないか

もし不備がある場合は、主治医への追加依頼の方法をアドバイスします。また、診断書を依頼する前の段階から、「どのように主治医に依頼すべきか」「どんな情報を伝えるべきか」といった具体的なアドバイスも行います。

4. 病歴・就労状況等申立書の作成サポート

あなた自身が作成する「病歴・就労状況等申立書」は、審査において非常に重要な書類です。当事務所では、以下のサポートを提供します。

  • 発症から現在までの経過の整理
  • 日常生活の制限を効果的に伝える表現のアドバイス
  • 審査する側が重視するポイントを踏まえた記載内容の提案
  • 下書きのチェックと改善提案

「どう書けばいいか分からない」「自分の状況をうまく説明できない」という方も、丁寧にサポートしますのでご安心ください。

5. 必要書類の精査と提出代行

すべての書類が揃ったら、最終的な精査を行います。

  • 記載漏れや添付書類の不足がないかの確認
  • 矛盾する記載がないかのチェック
  • 年金事務所への提出代行
  • 提出後の進捗管理

書類の不備で審査が遅れることを防ぎ、スムーズな手続きを実現します。

6. 審査結果への対応

審査の結果、もし思うような等級にならなかった場合や不支給になった場合も、サポートは続きます。

  • 不支給・低い等級の理由分析
  • 審査請求(不服申立て)の対応
  • 再審査請求の対応
  • 症状進行後の再申請サポート

「諦めない障害年金」という当事務所のモットーのもと、最後まで寄り添います。

「諦めない障害年金」の取り組み

当事務所は「諦めない障害年金」をコンセプトに、神戸を中心とした兵庫県内で障害年金申請のサポートを行っています。このコンセプトには、以下のような想いが込められています。

複雑なケースにこそ、専門性を発揮

障害年金の申請は、シンプルなケースばかりではありません。むしろ、以下のような複雑なケースの方が多いのが実情です。

  • 初診日が10年以上前で、カルテが残っていない
  • 複数の医療機関を転々としていて、初診日が特定できない
  • 検査数値が基準ギリギリで、認定されるか微妙
  • 過去に一度不支給になっている
  • 65歳を過ぎていて、老齢年金との調整が複雑
  • 就労を続けているが、実際には大きな制限がある

このような「難しい」と言われるケースでも、私たちは諦めません。これまでの経験と専門知識を活かし、あらゆる可能性を探って、最善の結果を目指します

実際の対応事例(個人情報に配慮した一般例)

例えば、以下のようなケースを解決してきました。

ケース1:初診日が20年前で証明が困難だったケース
COPDの方で、最初に症状を感じて近所の内科を受診したのが20年前。その医療機関は既に廃院しており、カルテも存在しませんでした。しかし、当時の健康診断記録、家族の記憶、受診した時期の日記などを総合的に検討し、第三者証明を活用することで初診日を認定。無事に障害厚生年金2級が認定されました。

ケース2:一度不支給になったケースの再申請
間質性肺炎で酸素療法中の方が、ご自身で申請されましたが不支給に。診断書の内容を確認したところ、「室内気」の記載がなく、日常生活の制限も具体的に記載されていませんでした。改めて適切な診断書を取得し、詳細な病歴申立書を作成して再申請。障害基礎年金2級が認定され、遡及して約160万円の年金を受給できました。

ケース3:就労を続けながらの認定
肺線維症で酸素療法中の方が、デスクワークを続けていました。「働いているから無理では?」という不安がありましたが、実際には通勤に家族の送迎が必要、勤務時間を短縮、休憩を頻繁に取る必要があるなど、大きな制限がありました。これらの状況を詳細に申立書に記載し、診断書にも反映してもらうことで、障害厚生年金2級が認定されました。

これらはほんの一例です。「自分のケースは難しいかも」と思われる方こそ、ぜひご相談ください。

地域密着型のきめ細かい対応

当事務所は神戸市須磨区に拠点を置き、兵庫県内を中心に、地域に密着したサポートを提供しています。

  • 対面での相談が可能(ご自宅への訪問も対応します)
  • 地域の医療機関や年金事務所の状況を熟知
  • 兵庫県内の方であれば、きめ細かいフォローが可能
  • 電話やメールでも丁寧に対応

酸素療法を受けている方の中には、外出が困難な方も多くいらっしゃいます。そのような方のために、ご自宅への訪問相談も行っています。また、オンライン(Zoom等)での相談も可能ですので、お気軽にお申し付けください。

透明性のある料金体系

当事務所では、成功報酬制を採用しています。

  • 初回相談:無料
  • 着手金:不要
  • 成功報酬:年金が決定した場合のみ、受給額の2ヶ月分程度

つまり、年金が認定されなければ、報酬は一切いただきません。この料金体系により、安心してご依頼いただけます。

詳しい料金については、初回相談時に丁寧にご説明します。不明な点があれば、どんなことでもお尋ねください。

「諦めない」ことの大切さ

障害年金の申請は、確かに複雑で、時には困難を伴います。しかし、適切な知識と準備があれば、多くの方が受給できる可能性を持っています

「自分には無理かもしれない」「過去に断られたから」「年齢的に遅いのでは」と諦める前に、まずは一度、専門家に相談してみてください。思わぬ道が開けることもあります。

私たちは、あなたの「諦めたくない」という気持ちに寄り添い、最後までサポートします。

まとめ:酸素療法と障害年金、諦めずに一歩を踏み出しましょう

ここまで、酸素療法を受けている方の障害年金について、制度の基本から認定基準、申請手続き、注意点まで詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

酸素療法を受けている方の多くは、障害年金の対象となる可能性があります。在宅酸素療法が医学的に必要と判断されている状態は、それだけで重度の呼吸器障害を示しており、特に動脈血酸素分圧(PaO2)が60mmHg以下の場合、障害年金2級の基準を満たす可能性が高いのです。

認定のポイントは、以下の3つでした。

  • 検査数値:動脈血ガス分析(室内気)でPaO2 60mmHg以下が2級の目安
  • 酸素療法の実施状況:常時または労作時の酸素吸入が必要な状態
  • 日常生活の制限:平地での歩行困難、入浴や家事への支障、外出時の制限など

これらの要素を総合的に評価して、障害等級が判定されます。2級に認定されれば、障害基礎年金で年額約82万円、厚生年金加入者であればさらに上乗せがあり、年額150万円〜200万円程度の年金を受給できる可能性があります。

ただし、申請手続きは決して簡単ではありません。初診日の特定、適切な診断書の取得、病歴・就労状況等申立書の作成など、注意すべきポイントが多くあります。特に以下のような状況の方は、専門家のサポートを受けることで、認定の可能性が大きく高まります。

  • 初診日が何年も前で、カルテが残っていない
  • 複数の医療機関を受診していて、経過が複雑
  • 主治医が障害年金に詳しくない
  • 検査数値が基準ギリギリで微妙
  • 過去に不支給になった経験がある
  • 体調が悪く、手続きを進める余力がない

しかし最も大切なのは、「諦めない」ということです。「自分には無理かもしれない」「申請しても認定されないのでは」という不安から、申請を躊躇している方が数多くいらっしゃいます。でも、適切な準備と専門的なサポートがあれば、多くの方が受給できる可能性を持っているのです。

酸素療法を受けながらの生活は、医療費の負担、外出の制限、将来への不安など、多くの困難を伴います。障害年金は、そのような困難を少しでも軽減し、安心して治療に専念できる環境を整えるための制度です。あなたには受給する権利があります。

まずは、無料相談で「自分のケースはどうなのか」を確認してみませんか?相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。話を聞いて、納得した上で、ご自身で申請するか、専門家に依頼するかを決めていただければと思います。

無料相談のご案内

清水総合法務事務所では、障害年金に関する無料相談を行っています。酸素療法を受けている方からのご相談を数多くお受けしており、「諦めない障害年金」をモットーに、一人ひとりの状況に寄り添ったサポートを提供しています。

以下のような疑問や不安をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

  • 自分は障害年金の対象になるのか知りたい
  • 初診日がいつなのか分からない
  • 診断書の内容をチェックしてほしい
  • 申請の進め方を教えてほしい
  • 過去に不支給になったが、再申請したい
  • 老齢年金との併給について相談したい

【お問い合わせ先】

清水総合法務事務所
代表:社会保険労務士 清水 良訓

📞 電話でのご相談
TEL: 050-7124-5884
受付時間:平日 9:00〜17:00
※酸素療法中で外出が困難な方は、ご自宅への訪問相談も承ります

✉️ メールでのご相談
Email: mail@srkobe.com
24時間受付・原則24時間以内にご返信いたします

🌐 お問い合わせフォーム
https://nenkin.srkobe.com/contact/
必要事項をご記入の上、送信してください

🏢 事務所所在地
〒654-0143 兵庫県神戸市須磨区菅の台6-8-3
ホームページ: https://nenkin.srkobe.com/

相談は完全無料です。お電話、メール、お問い合わせフォームのいずれでも構いません。あなたにとって一番楽な方法で、まずは一歩を踏み出してみてください。

「このまま我慢するしかない」と思っていた日々が、障害年金の受給によって少しでも楽になるかもしれません。私たちは、あなたの「諦めたくない」という気持ちを全力でサポートします。

酸素療法を受けながらの生活は大変ですが、あなたは一人ではありません。私たちが、そして障害年金という制度が、あなたを支えます。まずはお気軽にご相談ください。お待ちしています。

障害年金のご相談は兵庫障害年金安心サポートセンターへ
目次