階段を上ると息が切れる、少し歩くだけで疲れてしまう、夜間は酸素吸入が欠かせない――間質性肺炎と診断され、このような症状に悩まされている方は少なくありません。
病気の進行とともに、仕事を続けることが難しくなり、収入面での不安も大きくなります。「このまま働けなくなったら、家族の生活はどうなるのか」「治療費の負担が重い」といった経済的な心配を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、間質性肺炎で日常生活や仕事に支障が出ている場合、障害年金を受給できる可能性があります。特に在宅酸素療法を導入している方は、障害厚生年金3級以上の認定が見込まれます。症状の程度によっては、さらに上位の等級(2級・1級)に該当することもあります。
しかし、「自分の症状で本当に認定されるのだろうか」「働きながらでも年金はもらえるのか」「申請手続きが複雑で自分にはできない」といった不安や疑問から、申請をためらっている方が多いのも事実です。
この記事では、間質性肺炎で障害年金を受給するために必要な情報を、神戸で障害年金申請代行を専門とする社会保険労務士が詳しく解説します。
この記事を読むとわかること:
- 間質性肺炎で障害年金を受給できる条件
- 障害等級(1級・2級・3級)の認定基準と具体的な症状
- 等級別の受給額(年間いくらもらえるか)
- 申請から受給までの具体的な流れと必要書類
- 診断書作成のポイントや就労継続中の申請方法
障害年金は、病気やケガで生活が困難になった方を支える大切な制度です。要件を満たしていれば、堂々と受給する権利があります。
私たち清水総合法務事務所は「諦めない障害年金」をコンセプトに、複雑なケースにも対応してまいりました。間質性肺炎での申請についても、数多くのサポート実績がございます。
この記事が、あなたの不安を解消し、一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。申請について少しでも疑問や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。まずは現在の状況を一緒に確認することから始めましょう。
間質性肺炎とは?障害年金の対象になる理由
障害年金の申請を検討する前に、まず間質性肺炎がどのような病気なのか、そしてなぜ障害年金の対象になるのかを理解しておきましょう。
間質性肺炎の基礎知識
間質性肺炎は、肺の間質(肺胞と肺胞の間にある組織)に炎症が起こり、線維化(硬く厚くなること)が進行する病気です。肺という臓器をコップに例えると、コップの中で起こる病気が通常の肺炎で、コップ自体が侵される病気が間質性肺炎といえます。
間質が線維化すると、肺が硬くなり、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなります。その結果、息切れや咳といった症状が現れ、進行すると日常生活に大きな支障をきたします。
間質性肺炎は、原因によって大きく2つに分類されます。
【図表1】間質性肺炎の種類と主な原因
| 分類 | 特徴 | 主な原因・疾患 |
|---|---|---|
| 特発性間質性肺炎 | 原因が不明なもの | 特発性肺線維症(IPF) 非特異性間質性肺炎(NSIP)など |
| 二次性間質性肺炎 | 他の疾患や環境要因が原因 | 膠原病(関節リウマチ、全身性硬化症など) じん肺(粉塵による職業性疾患) 薬剤性 過敏性肺炎など |
※特発性は原因不明で約半数を占め、二次性は原因が特定できるケースです。
間質性肺炎は進行性の病気であり、完全に治癒させることは困難です。抗線維化薬などの治療で進行を遅らせることはできますが、多くの場合、徐々に症状が悪化していきます。進行の速度には個人差があり、急速に悪化するケースもあれば、ゆっくりと進行するケースもあります。
障害年金の対象となる理由
では、なぜ間質性肺炎が障害年金の対象になるのでしょうか。それは、この病気が長期的に日常生活や労働能力に重大な影響を及ぼすためです。
日常生活への制限
間質性肺炎が進行すると、以下のような日常生活上の制限が生じます。
- 階段の昇降や坂道の歩行で強い息切れ
- 入浴や着替えなどの日常動作での呼吸困難
- 夜間の呼吸困難で睡眠が妨げられる
- 在宅酸素療法が必要になり、行動範囲が制限される
- 疲れやすく、長時間の活動が困難
就労への影響
症状が進行すると、これまで通りの仕事を続けることが難しくなります。
- 肉体労働や外回りの営業が困難になる
- 通勤だけで体力を消耗してしまう
- 在宅酸素療法により職場での勤務が制限される
- 疲労のため、フルタイム勤務が維持できない
経済的支援の必要性
間質性肺炎の治療には、抗線維化薬などの高額な医療費がかかります。また、在宅酸素療法の機器レンタル費用(健康保険適用後も自己負担あり)も発生します。就労が困難になれば収入が減少する一方で、医療費の負担は続きます。
このように、間質性肺炎は進行性で完治が難しく、日常生活と就労の両面で長期的な制限をもたらす疾患です。だからこそ、障害年金制度による経済的支援の対象となるのです。
日本年金機構の障害認定基準では、間質性肺炎を含む呼吸器疾患について、明確な認定基準が定められています。次のセクションでは、障害年金を受給するための具体的な要件について解説します。
間質性肺炎で障害年金はもらえるのか?受給の3要件
間質性肺炎で障害年金を受給するためには、3つの要件すべてを満たす必要があります。ここでは、それぞれの要件について詳しく解説します。
初診日要件
初診日とは、間質性肺炎で初めて医療機関を受診した日のことです。この初診日が、国民年金または厚生年金保険の加入期間中である必要があります。
初診日の考え方で注意が必要なのは、「間質性肺炎と診断された日」ではなく、「間質性肺炎に関連する症状で初めて医師の診察を受けた日」という点です。
よくあるケースでの初診日の判断
健康診断で異常が発見された場合
会社の健康診断でレントゲンに異常が見つかり、産業医の紹介状を持って総合病院を受診した場合、総合病院の受診日が初診日となります。健康診断そのものは初診日にはなりません。
別の症状で受診していた場合
咳や息切れで内科を受診し、その後の精密検査で間質性肺炎と判明した場合は、最初に咳や息切れで受診した日が初診日となります。
初診日の時点で加入していた年金制度によって、受給できる年金が変わります:
- 国民年金加入中:障害基礎年金(1級・2級のみ)
- 厚生年金保険加入中:障害厚生年金(1級・2級・3級)+ 障害基礎年金(1級・2級の場合)
- 20歳前(年金未加入期間):20歳前障害による障害基礎年金(※間質性肺炎では稀)
初診日の証明には、「受診状況等証明書」という書類を初診の医療機関から取得します。ただし、カルテの保存期間(通常5年)を過ぎている場合や、病院が閉院している場合は、証明が困難になることがあります。このような場合の対応策については、後のセクションで詳しく解説します。
保険料納付要件
初診日の前日時点で、一定の保険料納付実績が必要です。具体的には、以下のいずれかを満たす必要があります。
原則
初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて3分の2以上あること。
特例(令和8年(2026年)4月1日前に初診日がある場合)
初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。この特例は、初診日において65歳未満の方に適用されます。
※この特例は初診日が令和8年4月1日前にある場合に限られます。令和8年4月1日以降は原則の3分の2要件のみとなる予定です。
会社員として厚生年金に加入していた期間は、保険料が給与から天引きされているため、通常は納付要件を満たしています。自営業の方や、過去に国民年金の未納期間がある方は注意が必要です。
保険料納付状況は、年金事務所で「被保険者記録照会」を行うことで確認できます。申請前に必ず確認しましょう。
障害状態要件
間質性肺炎による障害の程度が、障害認定基準で定められた等級(1級・2級・3級)に該当する状態である必要があります。
呼吸器疾患の場合、以下の要素を総合的に判断して等級が決定されます:
- 動脈血ガス分析値(酸素分圧、二酸化炭素分圧)
- 予測肺活量1秒率
- 在宅酸素療法の実施状況
- 日常生活の制限の程度
- 自覚症状(息切れ、咳、疲労感など)
重要なポイント:在宅酸素療法を実施している場合、障害厚生年金3級以上の認定はほぼ確実です。さらに、症状の程度や検査数値によっては、2級または1級に該当する可能性もあります。
具体的な認定基準については、次のセクションで詳しく解説します。
【図表2】受給要件チェックリスト
以下の項目をチェックしてみましょう
- ☑ 間質性肺炎で初めて医療機関を受診した日(初診日)が特定できる
- ☑ 初診日に国民年金または厚生年金保険に加入していた
- ☑ 初診日の前々月までの期間で、保険料納付要件を満たしている
- ☑ 在宅酸素療法を実施している、または日常生活に著しい制限がある
- ☑ 医師から診断書を取得できる見込みがある
※すべてにチェックが入った方は、障害年金を受給できる可能性が高いです。
これらの要件を満たしているかどうか不安な場合は、専門家に相談することをお勧めします。特に初診日の証明や保険料納付状況の確認は、申請の可否を左右する重要なポイントです。
次のセクションでは、間質性肺炎の障害等級と具体的な認定基準について、さらに詳しく見ていきましょう。
間質性肺炎の障害等級と認定基準を詳しく解説
障害年金の等級は、障害の程度によって1級・2級・3級に区分されます。間質性肺炎を含む呼吸器疾患については、日本年金機構が定める「障害認定基準」に基づいて判定されます。ここでは、各等級の認定基準を具体的に解説します。
呼吸器疾患の障害認定基準
呼吸器疾患による障害の程度は、次の要素を総合的に評価して認定されます。
検査所見
- 動脈血ガス分析値:安静時の酸素分圧(PaO2)と二酸化炭素分圧(PaCO2)
- 予測肺活量1秒率:努力呼気1秒量(FEV1.0)の予測値に対する割合
- その他の検査:必要に応じて運動負荷試験など
臨床所見
- 在宅酸素療法の実施状況(使用時間、酸素流量)
- 自覚症状:咳、痰、息切れ、呼吸困難の程度
- 他覚所見:チアノーゼ、呼吸数の増加など
日常生活への影響
- 歩行、階段昇降時の息切れの程度
- 入浴、着替えなどの日常動作での制限
- 家事や仕事における制限の程度
重要なのは、検査数値だけでなく、実際の日常生活の制限度合いも総合的に評価されるという点です。検査数値が基準に満たなくても、日常生活に著しい制限があれば認定される可能性があります。
1級の認定基準
障害等級1級は、日常生活のほぼすべてに介助が必要で、常に他人の援助を必要とする状態です。
具体的な状態像:
- 安静時でも高度の呼吸困難があり、常時の介助が必要
- 在宅酸素療法を24時間実施しても、日常生活動作が著しく制限される
- 身の回りのことがほとんどできない
- ベッド周辺の生活が中心で、外出はほぼ不可能
- 入浴や着替えに全面的な介助が必要
検査数値の目安:
- 動脈血酸素分圧(PaO2)が50Torr以下、または動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)が70Torr以上で、かつ日常生活が著しく制限される場合
- 予測肺活量1秒率が著しく低下している場合
※ただし、数値は絶対的な基準ではなく、日常生活の制限度合いとの総合評価となります。
2級の認定基準
障害等級2級は、日常生活が著しい制限を受け、労働による収入を得ることが困難な状態です。
具体的な状態像:
- 在宅酸素療法を常時または長時間(夜間・外出時など)実施している
- 軽い家事や身の回りのことはできるが、それ以上の活動は困難
- 歩行や階段昇降で強い息切れがあり、日常生活が制限される
- 就労は困難、またはごく軽い作業に限定される
- 通院の際も介助や配慮が必要
検査数値の目安:
- 動脈血酸素分圧(PaO2)が50〜60Torr程度で、日常生活に著しい制限がある場合
- 在宅酸素療法を実施しており、症状や日常生活状況から2級相当と判断される場合
3級の認定基準(障害厚生年金のみ)
障害等級3級は、労働に著しい制限を加える必要がある状態です。障害厚生年金のみに設定されており、障害基礎年金には3級はありません。
具体的な状態像:
- 在宅酸素療法を実施している(これだけで3級以上が確定)
- 軽作業は可能だが、重労働や長時間労働は困難
- 通勤や勤務に一定の配慮が必要
- 階段昇降や坂道で息切れがある
- 労働時間や業務内容に制限が必要
重要ポイント:
呼吸器疾患で在宅酸素療法を常時または長時間実施している場合、障害厚生年金3級以上の認定は確実です。そのうえで、症状の程度や検査数値、日常生活の制限度合いによって、2級または1級に該当するかが判断されます。
【図表3】障害等級と認定基準の比較表
| 等級 | 障害の状態 | 日常生活の制限 | 就労の可否 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 常時の介助が必要 安静時も高度の呼吸困難 |
身の回りのことがほとんどできない ベッド周辺の生活 |
就労不可能 |
| 2級 | 日常生活が著しく制限 在宅酸素療法を常時実施 |
軽い家事は可能 外出は困難 |
就労は極めて困難 ごく軽い作業のみ |
| 3級 | 労働に著しい制限 在宅酸素療法を実施 |
日常生活は概ね自立 激しい活動は困難 |
軽作業は可能 配慮や制限が必要 |
※障害基礎年金には3級はなく、1級・2級のみです。障害厚生年金には1級・2級・3級があります。
【図表4】在宅酸素療法と障害等級の関係
| 在宅酸素療法の状況 | 最低認定等級 | 上位等級の可能性 |
|---|---|---|
| 常時実施(24時間) | 3級以上確定 | 日常生活の制限度合いにより 2級・1級の可能性あり |
| 長時間実施(夜間・外出時など) | 3級以上確定 | 症状や検査数値により 2級の可能性あり |
| 実施していない | 等級判定は総合的に判断 | 検査数値と日常生活状況による |
※在宅酸素療法を実施している場合、障害厚生年金3級以上はほぼ確実に認定されます。
認定基準を理解したうえで、ご自身の症状がどの等級に該当しそうか、大まかな目安を持つことができます。ただし、最終的な等級判定は日本年金機構が行うため、「この症状なら必ず○級」と断言することはできません。
次のセクションでは、各等級で実際にいくらの年金が受給できるのか、具体的な金額について解説します。
等級別の受給額はいくら?具体的な金額を紹介
障害年金を受給できることがわかっても、「実際にいくらもらえるのか」が気になるところです。ここでは、等級別の受給額を具体的にご紹介します。
障害基礎年金の金額
障害基礎年金は、国民年金から支給される年金で、等級によって金額が定められています。
令和7年度(2025年度)の年金額
- 1級:1,039,620円(年額)= 月額約86,635円
- 2級:831,700円(年額)= 月額約69,308円
※昭和31年4月2日以降生まれの方の金額です。令和7年度は前年度から1.9%引き上げられました。
※障害基礎年金に3級はありません。
子の加算
障害基礎年金を受給している方に生計を維持されている18歳到達年度の末日までの子(障害のある子は20歳未満)がいる場合、加算額が支給されます。
- 第1子・第2子:各239,500円(年額)
- 第3子以降:各79,900円(年額)
例えば、2級の障害基礎年金を受給する方に18歳未満の子が2人いる場合:
831,700円 + 239,500円 + 239,500円 = 1,310,700円(年額)
障害厚生年金の金額
障害厚生年金は、厚生年金保険から支給される年金で、過去の報酬(給与・賞与)に応じて金額が変わります。1級・2級の場合は、障害基礎年金に上乗せして支給されます。
報酬比例の年金額の計算式
障害厚生年金の額 = 平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 被保険者期間の月数
※被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
計算式は複雑ですが、おおよその目安として、生涯を通じた平均年収から推定することができます。
【具体例】平均年収500万円で25年間勤務した場合の試算
- 1級:障害基礎年金 1,039,620円 + 障害厚生年金 約970,000円(報酬比例額×1.25)= 年額約201万円
- 2級:障害基礎年金 831,700円 + 障害厚生年金 約776,000円 = 年額約161万円
- 3級:障害厚生年金 約776,000円(最低保障額623,700円) = 年額約78万円
※あくまで目安です。実際の金額は加入期間や報酬額によって異なります。
3級の最低保障額
障害厚生年金3級には最低保障額が設定されており、令和7年度は623,700円(年額)です。報酬比例で計算した額がこれより少ない場合でも、最低保障額が支給されます。
配偶者加給年金と年金生活者支援給付金
障害厚生年金1級・2級を受給する方には、さらに加算される手当があります。
配偶者加給年金
障害厚生年金1級・2級を受給し、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、239,500円(年額)が加算されます。
加算の条件:
- 配偶者が65歳未満
- 配偶者の年収が850万円未満
- 配偶者自身が障害年金や老齢厚生年金(加入期間20年以上)を受給していないこと
※配偶者が妻でも夫でも加算されます。
年金生活者支援給付金
障害基礎年金1級・2級を受給している方には、年金生活者支援給付金が支給されます。
- 1級:月額6,813円(年額約81,756円)
- 2級:月額5,450円(年額約65,400円)
※令和7年度の金額です。前年の所得が一定額以下であることが条件となります。
【図表5】等級別受給額一覧表(モデルケース)
| 等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 (平均年収500万円・25年勤務) |
合計年額 (月額) |
|---|---|---|---|
| 1級 | 1,039,620円 | 約970,000円 | 約201万円 (約16.8万円/月) |
| 2級 | 831,700円 | 約776,000円 | 約161万円 (約13.4万円/月) |
| 3級 | なし | 約776,000円 (最低保障623,700円) |
約78万円 (約6.5万円/月) |
※配偶者加給年金、年金生活者支援給付金、子の加算は含まれていません。
※厚生年金の金額は加入期間や報酬額により大きく変動します。
※令和7年度の金額です。最新情報は日本年金機構のウェブサイトでご確認ください。
受給額の具体例
【ケース1】会社員Aさん(49歳・平均年収500万円・勤続25年・妻あり・子2人)
障害厚生年金2級に認定された場合:
- 障害基礎年金:831,700円
- 障害厚生年金:約776,000円
- 配偶者加給年金:239,500円
- 子の加算:239,500円×2人 = 479,000円
- 年金生活者支援給付金:約65,400円
合計:年額約239万円(月額約19.9万円)
【ケース2】会社員Bさん(56歳・平均年収400万円・勤続30年・独身)
障害厚生年金3級に認定された場合:
- 障害厚生年金:約700,000円
合計:年額約70万円(月額約5.8万円)
このように、障害年金の金額は等級、加入していた年金制度、過去の報酬、家族構成によって大きく変わります。ご自身の場合の概算額を知りたい方は、年金事務所または専門の社会保険労務士にご相談ください。
次のセクションでは、実際に障害年金を申請する流れと必要書類について、詳しく解説します。
間質性肺炎で障害年金を申請する流れと必要書類
障害年金の申請は、複数の書類を準備する必要があり、手続きが複雑に感じるかもしれません。ここでは、申請から受給までの流れを順を追って説明します。
申請から受給までの全体の流れ
【図表6】申請の流れフローチャート
- ステップ1:年金事務所で相談・要件確認
- 初診日や保険料納付状況の確認
- 必要書類の案内を受ける
- 年金請求書を入手
- ステップ2:初診日の証明書類を取得
- 初診の医療機関で「受診状況等証明書」を取得
- 初診日と現在の診断書作成医療機関が同じ場合は不要
- ステップ3:診断書の作成を依頼
- 現在通院中の医療機関に診断書作成を依頼
- 作成には通常2週間〜1ヶ月程度かかる
- 診断書様式は年金事務所で入手
- ステップ4:病歴・就労状況等申立書を作成
- 発症から現在までの経過を詳しく記載
- 日常生活の制限状況を具体的に記述
- 就労状況や収入の変化も記載
- ステップ5:その他の必要書類を準備
- 住民票、戸籍謄本
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 振込先金融機関の通帳のコピー
- 所得証明書(20歳前傷病の場合)
- ステップ6:年金事務所に提出
- すべての書類を揃えて提出
- 窓口での提出または郵送
- 受理後、受付票を受け取る
- ステップ7:審査・結果通知
- 審査期間:通常3〜4ヶ月
- 認定されれば「年金証書」が送付される
- 認定日の翌月分から年金支給開始
必要書類の詳細
障害年金の申請には、以下の書類が必要です。
1. 年金請求書
年金事務所で入手できる申請用紙です。障害基礎年金用と障害厚生年金用があり、初診日に加入していた年金制度によって異なります。記入方法がわからない場合は、年金事務所で相談しながら記入することもできます。
2. 診断書(最重要書類)
障害年金用の診断書は、一般的な診断書とは異なる専用の様式があります。呼吸器疾患用の診断書様式を使用します。
診断書に記載されるべき重要項目:
- 動脈血ガス分析値(酸素分圧、二酸化炭素分圧)
- 予測肺活量1秒率
- 在宅酸素療法の詳細(開始日、使用時間、酸素流量)
- 日常生活の制限状況
- 治療内容と経過
※診断書の作成には通常2週間〜1ヶ月程度かかります。また、文書料として5,000円〜10,000円程度の費用がかかります。
3. 受診状況等証明書(初診日の証明)
初診日の医療機関に作成を依頼します。現在の主治医と初診の医療機関が同じ場合は不要です。初診日から長期間が経過している場合、カルテが廃棄されていることもあるため、早めに確認しましょう。
4. 病歴・就労状況等申立書
発症から現在までの経過を、ご自身で詳しく記載する書類です。この申立書は診断書を補完する重要な書類で、以下の内容を記載します。
- 発症時の症状と受診のきっかけ
- 治療の経過(入院、在宅酸素療法の開始など)
- 日常生活の具体的な制限(歩行、入浴、家事など)
- 就労状況の変化(休職、配置転換、退職など)
- 家族のサポート状況
できるだけ具体的に、日付や状況を詳しく記載することが大切です。
5. その他の添付書類
- 住民票(世帯全員分、マイナンバー記載なし)
- 戸籍謄本(配偶者や子がいる場合)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 振込先金融機関の通帳のコピー
- 印鑑(認印可)
申請のタイミング
障害年金の申請タイミングには、主に2つの方法があります。
障害認定日請求
初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)の状態で申請する方法です。在宅酸素療法を開始した場合、開始日から1年経過していれば、その時点で申請できます。認定されれば、障害認定日の翌月分から年金が支給されます(最大5年分まで遡及)。
事後重症請求
障害認定日時点では障害等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して等級に該当するようになった場合の申請方法です。認定されれば、申請した月の翌月分から年金が支給されます(遡及はありません)。
申請のタイミングについてのアドバイス
間質性肺炎は進行性の疾患のため、症状が悪化してから申請しようと考える方もいます。しかし、在宅酸素療法を開始している場合は、なるべく早めに申請することをお勧めします。3級でも受給できれば経済的な支えとなりますし、症状が悪化した場合は等級の見直し(額改定請求)も可能です。
ただし、申請準備には時間がかかるため、体調が悪い中で多くの手続きを行うのは大きな負担です。専門家のサポートを利用することで、手続きの負担を大幅に軽減できます。
【申請サポートについて】
清水総合法務事務所では、間質性肺炎での障害年金申請を数多くサポートしてまいりました。診断書作成時の医師へのアドバイス、病歴・就労状況等申立書の作成代行、年金事務所との連絡など、申請に関わるすべての手続きをサポートいたします。
初診日の証明が困難なケース、過去に不支給になったケース、就労継続中の申請など、複雑な状況にも対応可能です。まずは無料相談で、現在の状況を詳しくお聞かせください。
無料相談のご予約:
電話:050-7124-5884
メール:mail@srkobe.com
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次のセクションでは、診断書作成のポイントと医師とのコミュニケーション方法について、さらに詳しく解説します。
診断書作成のポイントと医師とのコミュニケーション
障害年金の申請において、診断書は最も重要な書類です。審査は主にこの診断書の内容に基づいて行われるため、適切な内容が記載されているかどうかが、認定の可否を大きく左右します。
診断書が認定の鍵を握る理由
障害年金の審査を行う日本年金機構の認定医は、申請者と直接会うことはありません。診断書に記載された情報だけを基に、障害の程度を判断します。つまり、どんなに日常生活が困難でも、それが診断書に適切に反映されていなければ、認定されない可能性があります。
間質性肺炎の場合、特に以下の情報が重要です:
- 動脈血ガス分析値などの客観的な検査データ
- 在宅酸素療法の実施状況(開始日、使用時間、酸素流量)
- 日常生活における具体的な制限
- 症状の経過と治療内容
これらの情報に不備や記載漏れがあると、実際よりも軽度の障害と判断されてしまう恐れがあります。
記載してもらうべき重要ポイント
間質性肺炎の診断書で、必ず記載されているべき項目を確認しましょう。
検査データの記載
動脈血ガス分析値は、障害年金の認定において最も重視される検査データです。以下の数値が記載されているか確認してください:
- 動脈血酸素分圧(PaO2)
- 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)
- 測定日時
- 測定時の状態(安静時、室内気、酸素吸入時など)
※安静時、室内気での測定が基本ですが、最も状態が悪い時の数値を記載してもらうことが重要です。
予測肺活量1秒率も重要な評価項目です:
- 努力呼気1秒量(FEV1.0)の実測値
- 予測値に対する割合
- 測定日
在宅酸素療法の詳細
在宅酸素療法を実施している場合、以下の情報が必須です:
- 開始年月日
- 使用時間(24時間、夜間のみ、外出時など)
- 酸素流量(安静時○L/分、労作時○L/分)
- 処方根拠(SpO2の値など)
在宅酸素療法を実施しているだけで障害厚生年金3級以上は確定しますが、詳細が記載されていないと、審査で正しく評価されない可能性があります。
日常生活の制限状況
診断書には、日常生活の動作についてチェック項目がありますが、医師は診察室での様子しか見ていないため、実際の生活状況を十分に把握していないことがあります。診察時に以下のような状況を具体的に伝えましょう:
- 歩行:平地で何メートル歩くと息切れするか
- 階段:何段で休憩が必要か、手すりが必要か
- 入浴:洗髪や体を洗う動作で息切れするか、介助が必要か
- 着替え:呼吸困難のため時間がかかるか
- 家事:調理、掃除、洗濯などができるか、どの程度時間がかかるか
- 外出:頻度、移動手段、酸素ボンベの携帯状況
- 睡眠:夜間の呼吸困難、起座呼吸の有無
医師への診断書依頼のコツ
診断書の依頼は、多くの方が「頼みにくい」と感じる部分です。しかし、適切な方法で依頼すれば、スムーズに作成してもらえます。
依頼のタイミング
診察の際に、「障害年金の申請を考えている」と事前に相談しましょう。診断書作成には時間がかかるため、急に依頼するのではなく、計画的に進めることが大切です。
伝えるべき情報
医師に診断書作成を依頼する際は、以下の点を伝えましょう:
- 障害年金用の診断書であること(通常の診断書とは異なる専用様式)
- 日常生活の困難さを具体的に説明(メモを持参すると良い)
- 仕事への影響(配置転換、休職、退職など)
- 最新の検査データの記載をお願いする
- 在宅酸素療法の詳細(開始日、使用時間など)の記載をお願いする
診断書受領後のチェック
診断書を受け取ったら、必ず以下の点を確認してください:
【図表7】診断書チェックリスト
- ☑ 傷病名が正確に記載されているか
- ☑ 初診日が記載されているか(初診医療機関と同じ場合)
- ☑ 動脈血ガス分析値が記載されているか(PaO2、PaCO2、測定日)
- ☑ 予測肺活量1秒率が記載されているか
- ☑ 在宅酸素療法の詳細が記載されているか(開始日、時間、流量)
- ☑ 日常生活の制限状況が適切にチェックされているか
- ☑ 「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄に具体的な記載があるか
- ☑ 「予後」欄に病状の見通しが記載されているか
- ☑ 医師の署名・押印があるか
記載漏れや不明瞭な点があれば、早めに医師に確認・追記をお願いしましょう。提出後の訂正は困難です。
主治医が障害年金に詳しくない場合の対応
すべての医師が障害年金制度に詳しいわけではありません。特に、障害年金用診断書の記載に慣れていない医師もいます。そのような場合の対応方法をご紹介します。
認定基準の資料を持参する
日本年金機構のウェブサイトから「障害認定基準」をダウンロードし、呼吸器疾患の部分を印刷して持参すると、医師も参考にしやすくなります。
具体的な症状を文書で伝える
日常生活の困難さをまとめたメモを作成し、医師に渡すことで、診断書に反映してもらいやすくなります。
社会保険労務士からの説明
障害年金専門の社会保険労務士に依頼している場合、社労士から医師に対して、診断書の記載ポイントを説明することができます。医療機関によっては、社労士からの電話や文書での連絡を受け入れてくれるところもあります。
セカンドオピニオンの検討
どうしても適切な診断書が作成されない場合、他の医療機関でセカンドオピニオンを受け、そちらで診断書を作成してもらうことも選択肢です。ただし、継続的に診察を受けている医師の方が、病状の経過を詳しく把握しているため、原則として現在の主治医に依頼することをお勧めします。
診断書は障害年金申請の成否を左右する最重要書類です。不安がある場合は、診断書を取得する前に、障害年金専門の社会保険労務士に相談することをお勧めします。診断書の記載内容を事前にチェックすることで、認定率を高めることができます。
次のセクションでは、多くの方が気にされる「働きながらでも障害年金は受給できるのか」という疑問について解説します。
働きながらでも障害年金は受給できる?就労と受給の関係
「障害年金をもらいたいけれど、まだ働いている」「年金をもらうと仕事を辞めなければならないのでは」――このような不安から、申請をためらっている方は少なくありません。結論から言えば、働きながらでも障害年金を受給することは可能です。
就労と障害年金受給の両立は可能
障害年金制度は、「働けない人だけのもの」ではありません。病気やケガによって労働能力が低下し、日常生活や就労に制限がある方を支援する制度です。
等級別の就労可能性
3級
障害厚生年金3級は「労働に著しい制限を加える必要がある状態」が基準です。間質性肺炎で在宅酸素療法を実施している場合、多くは3級に該当します。
- 軽作業や内勤であれば就労可能
- フルタイム勤務を継続している方も多い
- ただし、重労働、長時間労働、外回りなどは困難
- 通勤や勤務に一定の配慮が必要
例えば、営業職から内勤への配置転換、勤務時間の短縮、在宅勤務への移行などの配慮を受けながら就労を継続しているケースでも、3級の認定を受けられる可能性があります。
2級
2級は「日常生活が著しい制限を受け、労働による収入を得ることが困難な状態」が基準です。
- 原則として一般的な就労は困難
- ただし、ごく軽い作業(短時間のデスクワークなど)であれば可能な場合も
- 就労していても、著しく制限された条件下での軽作業であれば2級に該当する可能性
重要なのは、「働いているかどうか」ではなく、「どの程度の労働能力の低下があるか」という点です。形式的に就労していても、実質的に労働能力が著しく制限されていれば、障害年金の対象となります。
1級
1級は常時介助が必要な状態のため、一般的な就労は困難です。
就労継続中に申請する際の注意点
働きながら障害年金を申請する場合、以下の点に注意が必要です。
診断書での就労状況の記載
診断書には就労状況を記載する欄があります。医師が「フルタイム勤務」と記載すると、審査で不利になる可能性があります。実際には以下のような状況であれば、診察時に医師に伝えましょう:
- 出勤だけで疲労困憊し、業務に支障がある
- 酸素ボンベを携帯しながら勤務している
- 頻繁に休憩が必要
- 以前と同じ業務ができず、軽作業に限定されている
- 周囲の理解と配慮があって何とか勤務できている
- 近いうちに休職や退職を検討している
病歴・就労状況等申立書での説明
申立書では、就労状況について詳しく説明する必要があります。以下のような内容を具体的に記載しましょう:
- 病気発症前と現在の業務内容の変化
- 配置転換の経緯とその理由
- 勤務時間の短縮や休暇の取得状況
- 通勤の困難さ(妻の車で送迎、酸素ボンベ携帯など)
- 職場での配慮事項(休憩時間の確保、軽作業への限定など)
- 就労継続の困難さ(疲労、呼吸困難など)
配置転換や勤務時間短縮の記録
会社から配置転換や勤務時間短縮などの措置を受けている場合、それらの記録(辞令、人事通知など)があれば、コピーを添付することで、労働能力の低下を客観的に示すことができます。
収入についての説明
3級の場合、ある程度の収入があっても受給は可能です。ただし、高収入を得ている場合は、「労働に著しい制限がある」とは判断されにくくなります。収入が減少している場合は、その経緯を説明しましょう。
収入制限はあるのか
障害年金には、基本的に収入制限はありません。高額な収入があっても、障害の状態が認定基準に該当すれば受給できます。
例外:20歳前傷病による障害基礎年金
20歳前(国民年金に加入する前)に初診日がある場合の障害基礎年金には、所得制限があります。ただし、間質性肺炎は通常、成人後に発症する疾患のため、この制限が適用されるケースは稀です。
障害者雇用との関係
障害年金を受給していることと、障害者雇用で働くことは別の制度です。障害年金を受給しているからといって、障害者雇用枠で働く義務はありません。逆に、障害者雇用枠で働いているからといって、必ずしも障害年金を受給できるわけでもありません。
税金や社会保険への影響
障害年金は非課税で、所得税や住民税はかかりません。また、健康保険や厚生年金保険の保険料算定には影響しません。
【就労継続中の方へのアドバイス】
間質性肺炎で在宅酸素療法を実施しながら働いている方は、まず3級での認定を目指しましょう。3級が認定されれば、年間約60万〜80万円程度の経済的支援を受けられます。
症状が悪化して就労が困難になった場合は、等級の見直し(額改定請求)によって2級への変更を申請できます。「今は何とか働いているから」と申請を先延ばしにするのではなく、要件を満たしているなら早めに申請することをお勧めします。
働きながらの申請については、個別の状況によって注意すべきポイントが異なります。不安な点がある場合は、障害年金専門の社会保険労務士に相談することで、適切なアドバイスを受けられます。
次のセクションでは、初診日証明が難しい場合や不支給になりやすいケースについて、対策とともに解説します。
初診日証明が難しい場合や不支給になりやすいケースと対策
障害年金の申請では、さまざまな理由で認定が難しくなることがあります。しかし、諦める必要はありません。ここでは、よくある困難なケースと、その対策について解説します。
初診日証明が困難なケース
初診日の証明は障害年金申請の要となりますが、以下のような理由で証明が困難になることがあります。
初診の病院が閉院している
病院が閉院してしまい、カルテが入手できないケースは少なくありません。特に個人医院の場合、院長の高齢化により閉院するケースが増えています。
カルテの保存期間が経過している
医療機関のカルテ保存義務は法律上5年間です。初診から長期間が経過している場合、カルテが廃棄されていることがあります。
健康診断での発見から受診までに時間が空いた
会社の健康診断で異常を指摘されたものの、忙しくて数ヶ月後に受診したようなケースでは、初診日の特定が複雑になることがあります。
別の症状・病名で受診していた
「咳が続く」「息切れがする」といった症状で内科を受診し、当初は別の診断(気管支炎など)を受け、後に間質性肺炎と判明したケースでは、最初の受診日が初診日となりますが、関連性の証明が必要です。
初診日証明の代替手段
初診の医療機関から受診状況等証明書が取得できない場合でも、以下の方法で初診日を証明できる可能性があります。
受診状況等証明書が添付できない申立書
初診医療機関からカルテ等が取得できない理由を記載した書類です。閉院、カルテ廃棄などの理由を具体的に説明します。
第三者証明
初診日頃の受診状況を知る第三者(家族、同僚、友人など)からの証明書を提出します。以下の情報が記載されていると有効です:
- 証明者と申請者の関係
- 初診日頃の症状や受診状況を知った経緯
- 具体的な時期や状況
- 証明者の連絡先
第三者証明は、複数名(原則として2名以上)からの証明が望ましいとされています。
参考資料の活用
以下のような資料が初診日の参考資料として認められることがあります:
- 健康診断の記録(会社保管分、本人控え)
- お薬手帳(処方開始時期の記録)
- 診察券(発行日が記載されている場合)
- 領収書・レシート
- 日記やメモ(受診や症状の記録)
- 家族とのメール・LINE等のやりとり
2番目以降の医療機関での証明
初診医療機関から証明が取れない場合、2番目、3番目の医療機関で「○○病院からの紹介で受診」といった記録があれば、初診日を推定する材料になります。
初診日証明が困難な場合は、専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。社会保険労務士は、初診日証明のノウハウを持っており、さまざまな資料を組み合わせて証明する方法を提案できます。
不支給になりやすいパターン
障害年金の申請が不支給になる主な原因を知っておくことで、事前に対策を立てることができます。
診断書の記載不足
最も多い不支給理由の一つです。
- 動脈血ガス分析値が記載されていない
- 在宅酸素療法の詳細(開始日、使用時間)が不明確
- 日常生活の制限状況が具体的に記載されていない
- 検査日が古く、現在の状態を反映していない
対策:診断書を受け取ったら、必ず記載内容を確認し、不備があれば医師に追記を依頼しましょう。
障害の程度が基準に満たない
在宅酸素療法を実施していない場合、検査数値や日常生活の制限だけでは、3級の基準に満たないと判断されることがあります。
対策:病歴・就労状況等申立書で、日常生活の具体的な困難さを詳しく記載しましょう。
保険料納付要件を満たしていない
初診日の前々月までの期間で、保険料の未納が多い場合、要件を満たさず却下されます。
対策:申請前に必ず年金事務所で納付状況を確認しましょう。追納が可能な場合もあります。
初診日が確定できない
初診日の証明ができず、または複数の可能性がある場合、却下されることがあります。
対策:初診日を特定できる資料を可能な限り集めましょう。困難な場合は専門家に相談してください。
病歴・就労状況等申立書の内容が不十分
申立書の記載が簡潔すぎたり、診断書と矛盾していたりすると、信憑性が疑われます。
対策:発症から現在までの経過を時系列で詳しく記載し、日常生活の具体的な困難を説明しましょう。
不支給決定を受けた場合の対応
万が一、不支給決定を受けた場合でも、諦める必要はありません。以下の対応が可能です。
審査請求(不服申立て)
不支給決定に納得がいかない場合、決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に審査請求を行うことができます。
審査請求では、新たな医学的証拠(追加の診断書や検査結果)を提出したり、不支給理由に対する反論を行ったりします。審査請求での認容率は決して高くありませんが、適切な主張と証拠があれば覆る可能性があります。
再審査請求
審査請求が棄却された場合、さらに再審査請求を行うことができます。
再申請(事後重症請求)
不支給決定後、症状が悪化した場合は、改めて事後重症請求として申請することができます。前回の不支給理由を踏まえ、診断書の記載内容や申立書の書き方を改善することが重要です。
専門家への相談
不支給になった場合、その理由を正確に分析し、適切な対応を取ることが重要です。障害年金専門の社会保険労務士に相談することで、審査請求や再申請の可能性を判断してもらえます。
【重要なメッセージ】
障害年金の申請は、一度不支給になったら終わりではありません。適切な対応により、認定される可能性は残されています。当事務所では、過去に不支給になったケースの再申請サポートも行っており、認定に至った実績が多数あります。
初診日証明が困難なケース、診断書の記載に不安があるケース、過去に不支給になったケースなど、複雑な状況でも諦めずにご相談ください。「諦めない障害年金」のコンセプトのもと、最後までサポートいたします。
次のセクションでは、この記事のまとめと、障害年金申請への一歩を踏み出すための行動喚起を行います。
まとめ:間質性肺炎で障害年金を受給するために
この記事では、間質性肺炎で障害年金を受給するための情報を詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
この記事の重要ポイント5つ
- 間質性肺炎は障害年金の対象疾患
進行性で日常生活や就労に制限をもたらすため、障害年金制度による支援を受けられます。 - 在宅酸素療法実施で3級以上はほぼ確実
在宅酸素療法を実施している場合、障害厚生年金3級以上の認定が見込まれます。症状の程度によっては2級・1級の可能性もあります。 - 働きながらでも受給可能
就労継続中でも、労働能力に制限がある場合は障害年金を受給できます。収入制限もありません。 - 診断書が最重要書類
動脈血ガス分析値、予測肺活量1秒率、在宅酸素療法の詳細、日常生活の制限状況が適切に記載されているか確認しましょう。 - 初診日証明や複雑なケースも対応可能
カルテが廃棄されている、過去に不支給になったなど、困難なケースでも適切な対策により認定される可能性があります。
「諦めない障害年金」――あなたの権利を守るために
間質性肺炎と診断され、在宅酸素療法を受けながら生活している方、呼吸困難で仕事を続けることが難しくなっている方、経済的な不安を抱えている方――障害年金は、そのような方々を支えるための制度です。
「自分の症状では認定されないのでは」「手続きが複雑で無理」「働いているから対象外だろう」と諦める必要はありません。要件を満たしていれば、堂々と受給する権利があります。
しかし、障害年金の申請には専門的な知識が必要です。診断書の記載内容、病歴・就労状況等申立書の書き方、初診日の証明方法など、適切に対応しないと不支給になる可能性があります。
早めの相談が成功への第一歩
間質性肺炎は進行性の疾患です。症状が悪化してから慌てて申請するのではなく、在宅酸素療法を開始した時点で、早めに相談することをお勧めします。早期に申請すれば、それだけ早く経済的な支援を受けられます。
また、診断書を取得する前の段階でご相談いただければ、医師に依頼する際のポイントをアドバイスできます。診断書の記載不備は、不支給の大きな原因となるため、事前の準備が重要です。
【図表8】よくある質問と回答
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 働きながらでも申請できますか? | はい、可能です。労働に制限がある場合は就労中でも受給できます。 |
| 初診から何年も経っていますが大丈夫ですか? | はい。初診日が証明できれば、何年経過していても申請可能です。 |
| 過去に不支給になったのですが… | 再申請や審査請求が可能です。前回の不支給理由を分析して対策を立てます。 |
| 申請にどのくらい時間がかかりますか? | 書類準備に1〜2ヶ月、審査に3〜4ヶ月程度が目安です。 |
| 費用はどのくらいかかりますか? | 診断書作成費用(5,000〜10,000円程度)、社労士報酬(成功報酬制が一般的)です。 |
清水総合法務事務所にご相談ください
私たち清水総合法務事務所は、神戸を拠点に障害年金申請代行を専門としている社会保険労務士事務所です。「諦めない障害年金」をコンセプトに、複雑なケースにも対応してきました。
私たちができること:
- 受給要件の確認と申請可能性の診断
- 初診日証明が困難なケースへの対応
- 診断書作成時の医師へのアドバイス
- 病歴・就労状況等申立書の作成代行
- 必要書類の収集サポート
- 年金事務所との連絡・交渉
- 不支給になった場合の審査請求・再申請サポート
まずは無料相談から
「自分のケースで障害年金がもらえるのか」「どこから手をつければいいのか」――まずはお気軽にご相談ください。現在の症状、治療状況、就労状況などをお聞きし、申請の可能性について無料でアドバイスいたします。
相談は電話、メール、お問い合わせフォームのいずれでも承っております。兵庫県内はもちろん、全国からのご相談に対応可能です。
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代表者:社会保険労務士 清水 良訓
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間質性肺炎による日常生活の困難さ、経済的な不安を一人で抱え込まないでください。障害年金は、あなたの生活を支える大切な制度です。私たちと一緒に、一歩を踏み出しましょう。
あなたからのご連絡を、心よりお待ちしております。


