働きながらでも受給できた!発達障害(ASD・ADHD)で障害厚生年金3級認定を受けた30代男性の実例と申請成功のポイント

働きながらでも受給できた!発達障害(ASD・ADHD)で障害厚生年金3級認定を受けた30代男性の実例と申請成功のポイント

「発達障害があっても、何とか仕事は続けている。でも毎日がこんなに辛いなんて…誰にもわかってもらえない」そんな思いを一人で抱え込んでいませんか?職場での人間関係、業務の管理、日々の生活。周りの人には簡単にできることが、あなたにとっては想像以上に困難で、心も体も疲れ果てている。それでも「働いているから障害年金なんて無理だろう」と、諦めてしまっている方が多くいらっしゃいます。

でも、知っていただきたいことがあります。働きながらでも、障害年金を受給できる道があるのです。この記事では、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた30代男性Bさんが、仕事を続けながら障害厚生年金3級の認定を受け、年額約61万円の年金を受給できた実例をご紹介します。同じように日々苦しんでいるあなたに、少しでも希望の光をお届けできれば幸いです。

項目 内容
相談者 30代男性(兵庫県在住・会社員)
傷病名 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)
決定した年金種類と等級 障害厚生年金3級
年金額 年額約61万円(月額約5万円)
就労状況 時短勤務(1日6時間)で就労継続中
申請から認定まで 約4ヶ月
目次

働きながら障害年金を受給できた発達障害の事例

「発達障害があっても働いているから、障害年金は関係ない」そう思い込んでいる方が本当に多いのです。しかし実際には、職場で大きな配慮を受けながら、何とか仕事を続けている方こそ、障害年金の対象となる可能性があります。ここでは、当事務所がサポートし、働きながら障害厚生年金3級を受給できたBさんのケースを詳しくご紹介します。

Bさんのプロフィールと発達障害が発覚するまで

Bさんは30代前半、IT企業でプログラマーとして働く会社員です。実は、子どもの頃から「ちょっと変わっている」と言われ続けてきました。

  • クラスメイトとうまく話せず、いつも一人で過ごしていた
  • 忘れ物が多く、先生によく注意された
  • 興味のあることには没頭するが、興味のないことは全くできない
  • 急な予定変更があるとパニックになってしまう
  • 整理整頓が極端に苦手で、机の中はいつもぐちゃぐちゃ

しかし、当時は「性格の問題」「努力が足りない」で片付けられ、発達障害という言葉も一般的ではありませんでした。Bさん自身も「自分はダメな人間なんだ」と自分を責め続けていました。

大学卒業後、プログラマーとして就職。技術力は高く評価されていましたが、職場では様々な問題が起きました。

  • 上司からの口頭指示を理解できず、何度も聞き返してしまう
  • 報連相(報告・連絡・相談)のタイミングがわからず、トラブルに
  • 複数の業務を同時に抱えると、何から手をつけていいかわからなくなる
  • 急な予定変更で頭が真っ白になり、何もできなくなる
  • 電話対応で極度に緊張し、相手の言っていることが理解できない
  • 会議で「空気を読めない」発言をしてしまい、周囲から浮いてしまう

「このままでは仕事を続けられない」。28歳の時、インターネットで自分の症状を調べ、発達障害の可能性があることを知りました。勇気を出して精神科クリニックを受診したところ、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。

診断後の職場での対応と生活の変化

診断を受けたBさんは、思い切って上司に自分の障害について打ち明けました。幸いにも理解のある職場だったため、以下のような配慮をしていただけることになりました。

配慮の内容 具体的な対応
業務内容の限定 プログラミング作業に特化。顧客対応、電話応対、会議での発表は免除
タスク管理 上司が業務の優先順位を管理。一度に一つのタスクのみ割り当て
勤務時間の調整 フルタイム8時間から時短勤務6時間へ変更
コミュニケーション 口頭指示は必ずメールでも送付。質問しやすい環境づくり
定期面談 週1回、上司との個別面談で困りごとを相談

これらの配慮により、何とか仕事を続けることはできるようになりました。しかし、新たな問題が生じました。

時短勤務となったことで、給与が月額で約8万円減少。さらに通院費(月2回、1回3,000円)、薬代(月約5,000円)、カウンセリング費用(月1回、5,000円)など、月に約1万円以上の医療費がかかるようになりました。

「働いているのに生活が苦しい。でも、これ以上働くのは無理…」Bさんは経済的な不安を抱えるようになりました。

障害年金の申請を決意したきっかけ

ある日の診察で、Bさんが「経済的に厳しくて…」と主治医に相談したところ、主治医から「障害年金を申請してみてはどうか」と勧められました。

「えっ、働いているのに年金がもらえるんですか?」驚くBさんに、主治医は「障害厚生年金には3級という等級があり、働きながらでも受給できる可能性がある」と説明してくれました。

しかし、障害年金について調べるほどに、その複雑さに圧倒されました。

  • 「初診日」って何?証明するにはどうすればいい?
  • どんな書類が必要なの?
  • 働いていることが不利にならないか?
  • 申請書類の書き方がわからない…

発達障害の特性として、複雑な事務手続きが非常に苦手なBさん。「自分一人では絶対に無理だ」と感じ、インターネットで専門家を探しました。そして当事務所の「発達障害の障害年金申請サポート」という記事を見つけ、無料相談を申し込まれたのです。

発達障害で働きながら障害年金を受給できる条件

今回のポイントは、「働いているかどうか」ではなく、「どのような状態で働いているか」が重要だということです。ここでは、発達障害で障害年金を受給するための基準について、専門的な観点から解説します。

障害厚生年金3級の認定基準とは

障害年金には1級から3級までの等級があり、そのうち3級は「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度」の障害が対象です。

認定基準では、以下のような状態が3級に該当すると考えられます:

  • 職場で大幅な配慮(業務の限定、時短勤務、ジョブコーチなど)を受けている
  • 一般的な労働者と同等の業務遂行が困難
  • 対人関係の構築や維持に著しい困難がある
  • 援助や指導なしでは適切な就労の継続が困難

重要なのは、障害厚生年金3級は「働けない」のではなく、「大きな制限を受けながら働いている」状態を評価するという点です。

等級 認定基準 就労との関係
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 就労は極めて困難
2級 日常生活が著しい制限を受ける程度 一般的な就労は困難
3級 労働が著しい制限を受ける程度 大きな配慮のもとで就労可能

Bさんの場合、時短勤務、業務の大幅な限定、上司の継続的な管理といった配慮を受けており、「労働に著しい制限を加えることを必要とする」状態に該当すると判断されました。

発達障害の初診日はいつになる?重要なポイント

障害年金の申請で最も重要なのが「初診日(障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日)」の特定です。

発達障害の場合、初診日の判定が特に複雑です。なぜなら、発達障害は生まれつきの特性であり、「いつ発病したか」を明確に定められないからです。

発達障害の初診日のパターン

パターン1:大人になってから初めて受診

Bさんのように28歳で初めて精神科を受診した場合、その日が初診日となります。この場合、会社員として厚生年金に加入していれば、障害厚生年金(1級~3級)の対象となります。

パターン2:子どもの頃に受診歴がある

子どもの頃に「ADHD」「自閉症」などと診断されていた場合、その最初の受診日が初診日となります。20歳前に初診日がある場合は「20歳前傷病による障害基礎年金」の対象となり、所得制限があります。

パターン3:知的障害を伴う場合

知的障害を伴う発達障害の場合、初診日は「出生日」とされます。この場合も20歳前傷病として扱われます。

今回のポイントは、初診日によって受給できる年金の種類や金額が大きく変わるため、慎重な調査と判断が必要だということです。

「働きながら」でも認定される具体的な状態

では、具体的にどのような状態であれば、働きながらでも障害厚生年金3級に認定される可能性があるのでしょうか。

対人関係における困難

  • 職場での適切なコミュニケーションが困難(報告・連絡・相談のタイミングがわからない)
  • 暗黙のルールや「空気を読む」ことができず、トラブルになりやすい
  • 顧客対応や電話応対が極度に困難
  • 会議での発言や意見交換ができない

業務遂行における困難

  • 複数の業務を同時に進行できない
  • 優先順位をつけることができず、締め切りを守れない
  • 予定変更やイレギュラーな事態に対応できない
  • ミスが多く、常に確認が必要
  • 一般的な業務量の半分程度しかこなせない

必要な配慮や支援

  • 時短勤務や勤務時間の調整
  • 業務内容の大幅な限定
  • 上司やジョブコーチの継続的な支援
  • 就労継続支援事業所などの福祉的支援

Bさんのケースでは、上記の多くの項目に該当していたため、障害厚生年金3級の認定につながりました。

【申請プロセス】専門家によるサポートの実際

発達障害の障害年金申請は、症状が目に見えにくく、また「働いている」という事実が審査に影響を与える可能性もあるため、特に慎重な書類作成が求められます。ここでは、Bさんの申請プロセスを詳しくご紹介します。

初回相談から申請までの流れ

Bさんが当事務所に来られた時、まず印象的だったのは「こんなに詳しく話を聞いてもらえると思わなかった」という言葉でした。発達障害の方は、自分の困難を言語化することが苦手な場合が多いため、専門家による丁寧なヒアリングが不可欠です。

初回相談での確認事項

  1. 子どもの頃からの特性と困難(学校生活、人間関係など)
  2. 初めて医療機関を受診した時期と経緯
  3. 現在の診断名と治療内容
  4. 職場での具体的な困難と受けている配慮の詳細
  5. 日常生活での困難(家事、金銭管理、対人関係など)
  6. 加入している年金の種類と納付状況

Bさんの場合、以下のことが明らかになりました:

  • 子どもの頃に医療機関を受診した記録はない
  • 28歳で初めて精神科クリニックを受診(初診日が明確)
  • 初診日時点で厚生年金に加入(障害厚生年金の対象)
  • 時短勤務、業務限定など大幅な配慮を受けている
  • 日常生活でも多くの困難を抱えている

これらの情報から、障害厚生年金3級に認定される可能性が高いと判断し、申請手続きを進めることになりました。

診断書作成のポイント〜職場での配慮を正確に伝える

今回のケースで最も重要だったのが、診断書に「職場での配慮」を詳細に記載してもらうことでした。

診断書には「現在の仕事の内容」を記載する欄がありますが、単に「プログラマー、時短勤務」とだけ書かれると、「ちゃんと働けている」と判断されるリスクがあります。

そこで、主治医に診断書を依頼する前に、以下の情報を整理したメモを作成しました:

項目 具体的な内容
勤務形態 時短勤務(1日6時間、週5日)。フルタイム勤務は困難
業務内容 プログラミング作業のみに限定。顧客対応、電話応対、会議参加は免除
業務量 一般的な社員の約50%程度の業務量。それ以上は対応困難
必要な配慮 ・上司が業務の優先順位を管理
・一度に一つのタスクのみ割り当て
・急な変更は極力避ける
・週1回の個別面談で状況確認
制限事項 ・複数業務の同時進行は不可
・対人業務は不可
・チーム作業は困難

このメモを主治医に渡し、診断書の「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」の欄に詳しく記載していただきました。

病歴・就労状況等申立書の書き方〜「働きながらの実態」を伝える

申請において、もう一つ重要だったのが「病歴・就労状況等申立書」です。この申立書で、Bさんが「どのような制限のもとで働いているか」を具体的に伝えることができました。

申立書の記載例(一部抜粋)

【診断を受けるまでの経緯】
子どもの頃から対人関係が苦手で、クラスでは常に一人でした。忘れ物が多く、整理整頓ができないため、周囲からは「だらしない」「やる気がない」と言われ続けました。しかし、当時は発達障害という概念がなく、「性格の問題」として片付けられていました。

大学卒業後、IT企業にプログラマーとして就職しました。技術的なスキルは評価されていましたが、以下のような問題が頻発しました:
・上司の口頭指示を理解できず、何度も聞き返す
・報告のタイミングがわからず、重要な情報を伝え忘れる
・複数の業務を抱えると、何から手をつけていいかわからなくなる
・急な予定変更でパニックになり、何もできなくなる

28歳の時、「このままでは仕事を続けられない」と感じ、○○クリニックを受診。心理検査の結果、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)と診断されました。

【診断後の職場での対応】
診断を受けた後、上司に障害について説明し、以下の配慮をお願いしました:
・業務内容をプログラミングに限定(顧客対応、電話応対、会議は免除)
・複数業務を抱えないよう、上司がタスク管理
・時短勤務(8時間→6時間)への変更

これらの配慮により、何とか仕事を続けることができています。しかし、一般的な社員と同等の業務量はこなせず、生産性は半分程度です。上司の継続的な管理と支援がなければ、就労の継続は困難な状態です。

【日常生活の状況】
日常生活においても、以下のような困難を抱えています:
・食事はほぼコンビニ弁当。栄養バランスを考えた食事の準備ができない
・部屋の整理整頓ができず、常に散らかっている
・洗濯や掃除を計画的に行えず、衛生状態が悪い
・金銭管理ができず、給料日前には毎月金欠になる
・服薬をアラームがないと忘れる
・対人関係を築けず、友人がほとんどいない

このように、「働いている」という事実だけでなく、「大きな配慮のもとで、ようやく働けている」「日常生活でも多くの困難がある」ことを具体的に記載することが重要です。

申請から認定までの期間

必要書類を揃えて年金事務所に申請してから約4ヶ月後、結果通知が届きました。

Bさんは障害厚生年金3級に認定され、年額約61万円(月額約5万円)の年金を受給できることになりました。

「正直、認定されるか本当に不安でした。『働いているから無理だろう』と思っていたので、認定されたと聞いた時は信じられませんでした」とBさんは安堵の表情で語ります。

【認定結果】年額61万円の年金が生活にもたらした変化

Bさんが受給することになった障害厚生年金3級について、その内容と生活への影響を見ていきましょう。

月額5万円の支援が生活を変えた

年額約61万円、月額にすると約5万円。「そんなに多くない金額かもしれない」と思われるかもしれません。しかし、Bさんにとって、この月5万円は生活を大きく変える支援となりました。

項目 年金受給前 年金受給後
収入 時短勤務の給与のみ
約18万円/月
給与18万円+年金5万円
=約23万円/月
医療費 月約1万円
(通院・薬代・カウンセリング)
年金から支払い可能
生活費 食事は安いコンビニ弁当のみ
家事代行は利用不可
栄養バランスの良い食事
週1回の家事代行利用
将来への不安 経済的不安で常に緊張 ある程度の余裕ができ、精神的に安定

特に大きかったのが、週1回の家事代行サービス(月約2万円)を利用できるようになったことです。発達障害の特性として、家事の段取りや計画的な実行が非常に困難なBさんにとって、プロに掃除や洗濯をしてもらえることは、生活の質を大きく向上させました。

「部屋がきれいになると、気持ちも落ち着きます。以前は散らかった部屋を見るたびに自己嫌悪に陥っていましたが、今はそのストレスから解放されました」とBさんは語ります。

障害厚生年金3級の受給額の決まり方

「自分だったらいくらもらえるの?」という疑問を持たれる方も多いでしょう。障害厚生年金3級の受給額は、以下の要素で決まります:

  • 厚生年金の加入期間(長いほど多くなる)
  • 加入期間中の給与額(報酬月額。高いほど多くなる)
  • 最低保証額:令和6年度は約61万円(612,000円)(これを下回る場合は最低保証額が支給)

なお、令和6年度の障害年金は前年度から2.7%の引き上げとなっており、物価変動等に応じて毎年見直しが行われます。

Bさんの場合、大学卒業後から継続して厚生年金に加入しており、また一定の給与を得ていたため、最低保証額を若干上回る金額となりました。

重要なポイントは、障害厚生年金3級は厚生年金加入中の初診日が必須条件という点です。国民年金のみ加入の方は3級の対象外となります。

受給後の注意点と他の制度との併用

障害年金を受給する際には、いくつか知っておくべき点があります。

1. 障害状態確認届の提出

1〜5年ごとに、障害の状態が続いているかを確認するため、診断書の提出が求められます。発達障害のような先天的な特性は基本的に大きく変化しないため、適切に診断書を作成すれば、継続して受給できる可能性が高いです。

2. 就労状況の大きな変化

フルタイム勤務に戻った、一般的な業務量をこなせるようになったなど、就労状況が大きく改善した場合は、等級の見直しが行われる可能性があります。

3. 他の制度との併用

Bさんは障害年金の受給開始後、精神障害者保健福祉手帳3級も取得しました。これにより、以下のメリットがありました:

  • 税制優遇(所得税・住民税の控除)
  • 公共交通機関の割引
  • 自立支援医療の利用(医療費の自己負担軽減)

発達障害で障害年金を申請する際のよくある質問

ここからは、発達障害の障害年金申請について、当事務所によく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 大人になってから診断されても申請できますか?

A. はい、申請できます。

Bさんのように、大人になってから初めて発達障害と診断された場合でも、障害年金の申請は可能です。初めて精神科を受診した日が初診日となります。ただし、子どもの頃に受診歴がある場合は、その日が初診日となる可能性があるため、受診歴の確認が重要です。

Q2. フルタイムで働いていても申請できますか?

A. 状況によっては可能です。

フルタイムで働いている場合でも、以下のような状況であれば障害厚生年金3級に認定される可能性があります:

  • 職場で大きな配慮(業務限定、ジョブコーチ配置など)を受けている
  • 一般的な社員と同等の業務量や責任を負えない
  • 就労継続支援事業所などで働いている
  • 頻繁な欠勤や早退があり、勤務の継続性に問題がある

Q3. 障害者手帳を持っていれば自動的に年金はもらえますか?

A. いいえ、別の制度です。

精神障害者保健福祉手帳と障害年金は別の制度で、それぞれ独自の基準で判定されます。手帳を持っているからといって、自動的に年金がもらえるわけではありません。ただし、手帳取得時の資料は、年金申請の参考資料として活用できます。

Q4. 二次障害(うつ病など)がある場合はどうなりますか?

A. 二次障害も含めて総合的に評価されます。

発達障害に伴ううつ病や適応障害などの二次障害がある場合、それらも含めて総合的に障害の程度が評価されます。ただし、初診日の判定には注意が必要です。うつ病で最初に受診した場合でも、背景に発達障害があれば、両者は「相当因果関係がある」として同一疾患と見なされることがあります。

Q5. 自分で申請するのと専門家に依頼するのでは結果が変わりますか?

A. 専門家のサポートにより、適切な等級認定を受けられる可能性が高まります。

発達障害の場合、以下の点で専門的な知識と経験が必要です:

  • 初診日の特定と証明(子どもの頃の受診歴調査など)
  • 診断書の記載ポイント(就労していても認定される状態の伝え方)
  • 病歴・就労状況等申立書の効果的な書き方
  • 不支給となった場合の審査請求

Bさんも「発達障害の特性として、複雑な手続きが本当に苦手です。専門家のサポートがなければ、途中で挫折していたと思います」と語っています。

まとめ:発達障害で働きながらでも、障害年金は受給できる

ここまでBさんの事例を通じて、発達障害で働きながらでも障害年金を受給できることをお伝えしてきました。

もう一度、重要なポイントをまとめます:

  • 「働いているかどうか」ではなく、「どのような制限のもとで働いているか」が重要
  • 職場で大きな配慮を受けている、業務が限定されている、時短勤務などの場合は対象となる可能性がある
  • 初診日の正確な特定が申請の第一歩
  • 診断書には就労状況だけでなく、職場での配慮や日常生活の困難を詳しく記載
  • 病歴・就労状況等申立書で「働きながらの実態」を具体的に伝える
  • 専門家のサポートが適切な等級認定につながる

あなたがもし、発達障害の診断を受けていて、以下のような状況にあるなら、障害年金の申請を検討してみてください:

  • 職場で大きな配慮を受けながら働いている
  • 時短勤務や業務の限定など、働き方に制限がある
  • 一般的な社員と同等の仕事ができない
  • 日常生活でも困難を抱えている
  • 経済的な不安を感じている

発達障害の特性は生まれつきのものであり、「努力が足りない」「甘えている」といった問題ではありません。必要な支援を受けることは、あなたの当然の権利です。

Bさんのように、適切な支援があれば、障害年金という形で経済的な安心を得ることができます。そして、その安心感が、さらに生活の質を向上させ、精神的な安定にもつながります。

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