「事故の後、記憶が曖昧で仕事のミスが続く」「約束を忘れてしまい、家族に迷惑をかけている」「外見は元気だから、誰も理解してくれない」――高次脳機能障害を抱えながら、このような悩みを一人で抱えていませんか?
高次脳機能障害は「見えない障害」と言われ、周囲からは理解されにくい一方で、日常生活や仕事に深刻な影響を及ぼします。経済的な不安を感じながらも、「自分の症状で障害年金がもらえるのだろうか」「申請手続きが複雑で何から始めればいいかわからない」と、申請を躊躇している方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、高次脳機能障害は障害年金の対象となります。記憶障害、注意障害、遂行機能障害といった症状が日常生活や就労に支障をきたしている場合、適切に申請することで障害年金を受給できる可能性があります。
この記事では、以下の内容を詳しく解説します。
- 高次脳機能障害で障害年金が認定される基準と等級判定のポイント
- 申請に必要な書類の準備方法と診断書作成の注意点
- 申請手続きの流れと認定を受けるための5つのポイント
私は神戸で障害年金申請を専門とする社会保険労務士として、高次脳機能障害の方々の申請サポートに数多く携わってまいりました。「諦めない障害年金」をコンセプトに、お一人お一人の状況に寄り添いながら、受給実現のお手伝いをしています。この記事が、あなたやご家族の不安を少しでも軽くし、前向きな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
高次脳機能障害とは?障害年金との関係
まず、高次脳機能障害がどのような障害なのか、そして障害年金制度との関係について理解しておきましょう。
高次脳機能障害の基本知識
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって記憶、注意、判断、言語、感情などの高次な脳機能に障害が生じた状態を指します。外見上は健康に見えることが多いため「見えない障害」と呼ばれ、周囲からの理解が得られにくいという特徴があります。
主な症状は以下の4つに分類されます。
1. 記憶障害
新しいことが覚えられない、約束を忘れる、何度も同じことを聞くなど、日常生活に支障をきたします。「さっき聞いたことを忘れてしまう」「今日の予定が思い出せない」といった症状が典型的です。
2. 注意障害
集中力が続かない、複数のことを同時に処理できない、ミスが多くなるなどの症状が現れます。仕事でのケアレスミスが増えたり、会話の途中で話題がわからなくなったりすることがあります。
3. 遂行機能障害
計画を立てて物事を進めることが困難になります。料理の段取りができない、仕事のスケジュール管理ができない、優先順位がつけられないといった形で現れます。
4. 社会的行動障害
感情のコントロールが難しくなり、些細なことで怒りやすくなったり、反対に意欲が低下して無気力になったりします。対人関係のトラブルが増えることもあります。
高次脳機能障害の原因となる主な疾患は以下の通りです。
- 脳外傷(交通事故、転倒・転落などによる頭部外傷)
- 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)
- 低酸素脳症(心肺停止後の蘇生、溺水など)
- 脳炎・髄膜炎
- 脳腫瘍
高次脳機能障害が「見えない障害」と言われる理由は、身体的な麻痺などと異なり、外見からは障害があることがわかりにくいためです。本人も家族も、発症当初は「少し物忘れが増えた程度」と軽く考えてしまい、日常生活や仕事で問題が積み重なってから深刻さに気づくケースが少なくありません。
障害年金の対象となる高次脳機能障害
高次脳機能障害は、障害年金制度において「精神の障害」として審査されます。これは、認知機能や行動の障害が、日常生活や就労に与える影響を評価するためです。
障害年金には以下の2種類があります。
障害基礎年金
国民年金に加入している方(自営業者、学生、無職の方など)が対象です。1級または2級に認定された場合に支給されます。
障害厚生年金
厚生年金に加入している方(会社員、公務員など)が対象です。1級、2級、3級のいずれかに認定された場合に支給されます。障害基礎年金に上乗せして受給できます。
高次脳機能障害の場合、症状の程度によって1級から3級(厚生年金加入者のみ)のいずれかに認定される可能性があります。日常生活に常時援助が必要な状態であれば1級、日常生活が著しく制限される状態であれば2級、労働に著しい制限を受ける状態であれば3級となります。
障害年金を申請する上で最も重要なのが「初診日」です。初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医療機関を受診した日を指します。高次脳機能障害の場合、事故や発症で救急搬送された日、あるいは脳の異常を最初に診察された日が初診日となることが一般的です。
初診日がいつであるかによって、加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)が決まり、受給できる年金の種類や金額も変わってきます。また、初診日の前日時点で一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。
【事実確認ポイント】
高次脳機能障害の定義については、厚生労働省「高次脳機能障害診断基準」および「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて記載しています。最新の基準については、日本年金機構の公式サイトでご確認ください。
【図表1: 高次脳機能障害の主な症状と日常生活への影響】
| 症状の種類 | 具体的な症状 | 日常生活での困りごと例 |
|---|---|---|
| 記憶障害 | 新しいことが覚えられない、約束を忘れる | 服薬管理ができない、通院日を忘れる、買い物リストを持っていっても何を買うか忘れる |
| 注意障害 | 集中力が続かない、複数のことを同時処理できない | 料理中に火を消し忘れる、会話についていけない、テレビを見ながら食事ができない |
| 遂行機能障害 | 計画立案・実行ができない、段取りが悪い | 外出の準備に異常に時間がかかる、家事の手順がわからない、仕事の優先順位がつけられない |
| 社会的行動障害 | 感情コントロール困難、意欲低下、対人関係のトラブル | 些細なことで激怒する、何事にもやる気が出ない、周囲とトラブルを起こす |
高次脳機能障害の障害年金認定基準
高次脳機能障害で障害年金を受給するためには、一定の認定基準を満たす必要があります。ここでは、等級判定の考え方と具体的な認定基準について詳しく解説します。
等級判定の基本的な考え方
高次脳機能障害の障害年金は、「精神の障害」の認定基準に基づいて審査されます。身体障害のように客観的な数値で測れないため、日常生活能力と労働能力がどの程度制限されているかを総合的に評価します。
障害等級は以下の3段階です。
1級(障害基礎年金・障害厚生年金)
日常生活の用を弁ずることができない程度のもの。常時の援助が必要な状態です。
2級(障害基礎年金・障害厚生年金)
日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度の状態です。
3級(障害厚生年金のみ)
労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。日常生活には支障はないが、就労には支援や配慮が必要な状態です。
高次脳機能障害の場合、症状そのものだけでなく、その症状が日常生活や就労にどのような影響を与えているかが重視されます。たとえば、記憶障害があっても、メモを活用するなどの工夫で日常生活を自立して送れている場合と、メモを見ても理解できず常に家族の支援が必要な場合では、認定される等級が大きく異なります。
認定基準の具体的な内容
高次脳機能障害の等級判定では、診断書に記載される「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」が特に重要な評価項目となります。
【日常生活能力の判定(7項目)】
以下の7項目について、それぞれ4段階(できる・自発的にできるが時には助言や指導を必要とする・自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる・助言や指導をしてもできない若しくは行わない)で評価されます。
- 適切な食事: 配膳などの準備も含め適当量をバランスよく摂ることがほぼできる
- 身辺の清潔保持: 洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる
- 金銭管理と買い物: 金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる
- 通院と服薬: 規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができる
- 他人との意思伝達及び対人関係: 他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行える
- 身辺の安全保持及び危機対応: 事故等の危険から身を守る能力がある
- 社会性: 銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能
高次脳機能障害の方の場合、特に金銭管理、通院と服薬、危機対応、社会性の項目で困難さが現れやすい傾向があります。
【日常生活能力の程度(5段階評価)】
上記7項目の判定を踏まえて、総合的な日常生活能力を以下の5段階で評価します。
- (1) 精神障害を認めるが、社会生活は普通にできる
- (2) 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である
- (3) 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である
- (4) 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である
- (5) 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である
一般的に、程度が(4)または(5)の場合は1級、(3)の場合は2級、(2)の場合は3級または不該当となる可能性があります。ただし、これは目安であり、他の要素も総合的に判断されます。
また、就労状況も考慮されます。ただし、「働いているから認定されない」というわけではありません。就労していても、援助や配慮を受けながら限定的な業務に従事している場合、短時間勤務や福祉的就労の場合などは、その実態を踏まえて評価されます。
等級別の認定目安
ここでは、高次脳機能障害における各等級の認定目安を具体的にご説明します。
【1級の目安】
高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要な状態です。
- 食事、入浴、着替えなど基本的な日常生活動作にも援助が必要
- 記憶障害が重度で、直前のことも覚えられない
- 意思疎通が困難で、家族の声かけにも適切に反応できない
- 一人での外出は危険で不可能
- 就労は全く不可能な状態
【2級の目安】
認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受ける状態です。
- 身の回りのことは何とかできるが、家事や買い物には援助が必要
- 記憶障害のため、メモなどの補助手段を用いても約束を忘れることが多い
- 金銭管理ができず、家族が管理している
- 通院には付き添いが必要
- 一般企業での就労は困難で、福祉的就労も援助を受けながら行っている程度
【3級の目安(障害厚生年金のみ)】
認知障害、人格変化は著しくはないが、労働が制限を受ける状態です。
- 日常生活はおおむね自立しているが、複雑な作業は困難
- 記憶障害はあるが、メモ等の工夫で日常生活は何とか可能
- 一般企業で就労しているが、業務内容に制限があり、配慮が必要
- 単純作業や定型業務であれば遂行可能だが、複雑な判断を要する業務は困難
- 対人関係でのトラブルを避けるため、職場で配慮を受けている
【事実確認ポイント】
認定基準は「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(令和6年改正版)」に基づいて記載しています。精神の障害の認定基準については、日本年金機構の最新の認定基準をご確認ください。
【表1: 障害等級別の認定基準と受給額の目安(2025年度)】
| 等級 | 日常生活の状態 | 就労の状態 | 障害基礎年金(年額) | 障害厚生年金 |
|---|---|---|---|---|
| 1級 | 常時の援助が必要 | 就労不可能 | 約102万円 | 基礎年金+報酬比例額×1.25 |
| 2級 | 日常生活が著しく制限 | 一般就労困難 | 約82万円 | 基礎年金+報酬比例額 |
| 3級 | (厚生年金のみ) | 労働に著しい制限 | – | 報酬比例額(最低保障約62万円) |
※金額は2025年度の目安です。障害厚生年金の報酬比例額は加入期間と報酬額によって異なります。配偶者加給年金や子の加算がある場合、金額が増額されます。最新の金額は日本年金機構でご確認ください。
高次脳機能障害で障害年金が認定されやすいケース・されにくいケース
高次脳機能障害の障害年金申請において、認定されやすいケースとされにくいケースには一定の傾向があります。ここでは、実際の申請サポート経験から、そのポイントをお伝えします。
認定されやすいケース
以下のような場合、障害年金の認定を受けやすい傾向があります。
1. 神経心理学的検査の結果が明確に出ている
WAIS(ウェクスラー成人知能検査)、WMS(ウェクスラー記憶検査)、TMT(トレイルメイキングテスト)、WCST(ウィスコンシンカード分類検査)などの神経心理学的検査を受けており、その結果が診断書に記載されている場合、客観的な評価がしやすくなります。
特に、検査結果が平均よりも明らかに低い数値を示している場合や、検査項目間で顕著な差(例:言語理解は平均的だが、処理速度が著しく低いなど)が認められる場合は、認知機能の障害が客観的に証明されます。
2. 日常生活の具体的な支障が記録されている
診断書や病歴・就労状況等申立書に、日常生活での具体的なエピソードが詳細に記載されている場合です。「記憶障害がある」という抽象的な表現ではなく、「服薬を忘れて1日に何度も飲んでしまう」「買い物に行っても何を買うか忘れて手ぶらで帰ってくる」といった具体例があると、審査側も状況を理解しやすくなります。
また、日常生活の困難さを記録した日記やメモ、家族が記録した行動記録などがあると、より説得力が増します。
3. 家族や支援者の証言が充実している
高次脳機能障害の特徴として、本人に病識がなく、自分の困難さを正確に認識できていないケースがあります。このような場合、家族や支援者(ケアマネジャー、相談支援専門員など)からの客観的な情報が重要になります。
病歴・就労状況等申立書に家族が記載した内容や、診断書作成時に医師へ提出した家族の報告書などが、認定の判断材料となります。
4. 継続的な通院とリハビリの記録がある
定期的に専門医(脳神経外科、神経内科、精神科、リハビリテーション科など)を受診しており、作業療法や認知リハビリテーションなどの治療を継続している記録がある場合、症状の持続性と治療の必要性が明確になります。
また、リハビリテーション経過記録に「改善が見られない」「日常生活動作の自立が困難」といった記載があると、障害の固定性を示す根拠となります。
認定が難しいケース
一方で、以下のような場合は認定が難しくなる可能性があります。ただし、「認定されない」というわけではなく、適切な準備と対応によって認定を受けられる可能性は十分にあります。
1. 検査結果と実生活の乖離がある
神経心理学的検査の結果は比較的良好なのに、実際の日常生活では大きな支障があるというケースです。これは、検査時には集中力を発揮できても、日常生活では持続的な注意や複数の課題を同時にこなすことが求められるため、実際の困難さが表れにくいという高次脳機能障害の特性によるものです。
このような場合は、診断書や申立書において、検査結果と実生活の差が生じる理由を具体的に説明する必要があります。「検査室という静かな環境では集中できるが、日常生活の雑音や複数の刺激がある環境では注意が散漫になる」といった記載が有効です。
2. 本人に病識がなく、困難さを訴えない
高次脳機能障害では、本人が自分の障害を認識していない(病識欠如)ケースが少なくありません。診察時に「特に困っていることはない」「自分は普通にできる」と答えてしまい、医師も実際の困難さを把握できないことがあります。
このような場合は、診察時に家族が同席し、実際の生活状況を医師に伝えることが重要です。また、事前に家族が日常生活の困難さをまとめたメモを医師に渡すことも有効な対策となります。
3. 初診日の証明が困難
高次脳機能障害の原因となった事故や発症時に意識障害があり、どの病院を最初に受診したか不明確なケースや、急性期治療を受けた病院のカルテが既に廃棄されているケースでは、初診日の証明に苦労することがあります。
初診日が証明できないと、そもそも申請自体ができません。ただし、第三者証明や参考資料の提出など、様々な方法で初診日を証明することが可能です。諦めずに証拠を集めることが大切です。
4. 軽度の症状のみ
記憶障害や注意障害があっても、メモや周囲のサポートで日常生活がほぼ自立できており、就労も通常の職場で大きな配慮なく行えている場合は、障害等級に該当しない可能性があります。
ただし、「軽度だから申請しても無駄」と考える必要はありません。実際には相当な努力や工夫、あるいは家族の見えないサポートによって何とか生活できている状態であれば、それらの実態を正確に伝えることで認定される可能性があります。
認定のポイント
認定を受けるための重要なポイントをまとめます。
1. 「できること」より「安定してできるか」
高次脳機能障害の評価では、「一時的にできること」ではなく、「日常的に安定してできるか」が重要です。調子の良い日はできても、疲労や環境の変化で容易にできなくなる状態であれば、その変動性も含めて申立書に記載しましょう。
2. 日常生活の具体的なエピソード記録
「記憶障害がある」ではなく、「昨日食べた夕食を思い出せない」「同じ質問を5分おきに繰り返す」といった具体例を記録することが大切です。日付と出来事を記録した日記形式が効果的です。
3. 神経心理学的検査の活用
まだ検査を受けていない場合は、主治医に相談して検査を受けることをお勧めします。WAIS、WMS、FAB(前頭葉機能検査)、RBMT(リバーミード行動記憶検査)などが高次脳機能障害の評価に有用です。
4. 日常生活状況の申立書の重要性
診断書だけでは伝えきれない日常生活の実態を、病歴・就労状況等申立書で詳細に記載します。発症から現在までの経過、具体的な困りごと、家族の負担なども含めて、客観的かつ具体的に記述することが認定につながります。
【コラム: 「働いていると認定されない」は本当?】
「仕事をしていると障害年金はもらえない」という誤解が広まっていますが、これは正しくありません。
障害年金の審査では、「就労の有無」ではなく「就労の実態」が評価されます。たとえば、以下のようなケースでは就労していても認定される可能性があります。
- 短時間勤務や週数日のパート勤務
- 福祉的就労(就労継続支援A型・B型)
- 職場で大幅な配慮や援助を受けながら働いている
- 単純作業のみに限定されている
- 家族が経営する会社で、実質的に戦力になっていない
重要なのは、「どのような条件で、どの程度の業務を、どのような支援を受けて行っているか」という実態です。就労していることを理由に申請を諦める必要はありません。
高次脳機能障害の障害年金申請に必要な書類
障害年金の申請には、複数の書類を準備する必要があります。それぞれの書類の役割と準備のポイントを理解しておきましょう。
基本的な提出書類
高次脳機能障害で障害年金を申請する際に必要となる主な書類は以下の通りです。
1. 年金請求書
障害基礎年金または障害厚生年金の請求書です。年金事務所または年金相談センターで入手できます。氏名、住所、年金加入歴、振込先口座などの基本情報を記入します。記入漏れや誤りがないよう、丁寧に確認しながら作成しましょう。
2. 診断書(精神の障害用)
最も重要な書類です。高次脳機能障害の場合、「精神の障害用」の診断書を使用します。主治医に作成を依頼しますが、診断書の様式は年金事務所から入手します。医師への依頼から完成まで1ヶ月程度かかることが一般的です。
診断書には、病名、発症日、症状の程度、日常生活能力の判定、神経心理学的検査の結果、現在の治療内容などが記載されます。認定の可否に直結する書類ですので、内容の正確性が極めて重要です。
3. 病歴・就労状況等申立書
発症から現在までの病状の経過、日常生活の状況、就労状況などを、申請者本人(または家族)が記載する書類です。診断書だけでは伝えきれない生活実態を具体的に説明できる重要な書類です。
この申立書は、審査において診断書と同等に重視されます。特に高次脳機能障害の場合、日常生活での具体的な困難さを伝えることが認定のカギとなります。
4. 受診状況等証明書(初診日証明)
初診日を証明するための書類です。初診時の医療機関(事故や発症で最初に受診した病院)に作成を依頼します。現在の主治医と初診時の医療機関が異なる場合に必要となります。
高次脳機能障害の場合、救急搬送先の病院が初診となることが多いですが、急性期治療後に転院している場合も多く、初診日の証明に時間がかかることがあります。
5. その他の書類
- 戸籍謄本(または戸籍抄本):申請者本人のもの
- 住民票:世帯全員分で、マイナンバー記載のないもの
- 預金通帳のコピー:年金振込先の口座情報がわかるページ
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 印鑑(認印可)
初診日が20歳前の場合や、配偶者や子がいる場合など、個別の状況によって追加で必要となる書類があります。事前に年金事務所で確認しておくことをお勧めします。
診断書作成のポイント
診断書は医師が作成するものですが、正確な内容にするためには申請者側の準備も重要です。
記載してもらうべき重要事項
診断書には以下の内容が適切に記載されている必要があります。
- 正確な病名:「高次脳機能障害」と明記されているか確認します。原因疾患(脳外傷、脳梗塞など)も併記されることが一般的です。
- 発症日と初診日:事故や発症の日付、最初に医療機関を受診した日付が正確に記載されているか確認します。
- 症状の詳細:記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など、具体的な症状が記載されているか確認します。
- 日常生活能力の判定:7項目それぞれについて、実態に即した評価がされているか確認します。
- 治療内容と経過:服薬内容、リハビリの実施状況、治療効果(改善の見込み)などが記載されているか確認します。
神経心理学的検査結果の記載
高次脳機能障害の診断書において、神経心理学的検査の結果は非常に重要です。以下のような検査結果が記載されていると、認知機能の障害を客観的に示すことができます。
- WAIS(知能検査):全検査IQ、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の各指標
- WMS(記憶検査):言語性記憶、視覚性記憶、即時記憶、遅延再生の各指標
- その他の検査:TMT(注意機能)、WCST(遂行機能)、FAB(前頭葉機能)など
検査結果だけでなく、その結果が日常生活にどのような影響を与えているかの記載も重要です。たとえば、「ワーキングメモリーが低下しているため、複数の指示を同時に理解することが困難」といった具体的な説明があると効果的です。
日常生活能力の評価の伝え方
診察時に医師が患者の状態を正確に把握できるよう、事前に準備しておくことが大切です。
- 日常生活での具体的な困りごとをメモにまとめておく
- 家族が同席して、客観的な状況を医師に伝える
- できないことだけでなく、「できているように見えても実は家族の支援がある」という実態も伝える
- 症状に波がある場合は、最も悪い状態も含めて伝える
医師への上手な依頼方法
診断書作成を医師に依頼する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 障害年金用の診断書であることを明確に伝える
- 診断書の様式(精神の障害用)を持参する
- 日常生活の困難さをまとめたメモを渡す
- 神経心理学的検査の結果があれば、記載を依頼する
- 作成には通常1ヶ月程度かかることを理解し、余裕を持って依頼する
医師によっては障害年金の診断書作成に慣れていない場合もあります。その場合、社会保険労務士などの専門家を通じて、診断書作成のポイントを医師に伝えてもらうことも有効です。
病歴・就労状況等申立書の書き方
病歴・就労状況等申立書は、申請者本人(または家族)が作成する書類で、診断書では伝えきれない生活実態を詳細に記載できる重要な書類です。
発症から現在までの経過
以下の流れで時系列に記載します。
- 発症時の状況:いつ、どのような状況で発症したか(事故、脳卒中など)
- 急性期の治療:入院期間、治療内容、意識障害の有無など
- 回復期リハビリ:リハビリの内容、改善の程度、退院時の状態
- 社会復帰の試み:復職や就労の試みと、その結果
- 現在の状況:現在の日常生活、通院やリハビリの状況
具体的なエピソードの記載例
抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを記載することが重要です。以下は記載例です。
【良い例】
「記憶障害のため、朝に服薬したかどうかを覚えておらず、1日に2回飲んでしまったり、全く飲まずに過ごしてしまうことがあります。そのため、家族が毎回服薬を確認し、カレンダーにチェックをつけるようにしています。また、買い物に行っても何を買うつもりだったか忘れてしまい、手ぶらで帰ってくることが週に2~3回あります。」
【悪い例】
「記憶障害があります。日常生活に支障があります。」
具体例を挙げることで、審査側も実際の生活状況をイメージしやすくなります。
家族の負担も含めて記載
本人が「何とかできている」ように見えても、実際には家族の継続的な支援があってのことである場合、その実態を記載します。
- 家族が毎日声かけをして起床・服薬・食事を促している
- 外出時は必ず家族が付き添っている
- 金銭管理は全て家族が行っている
- 家族が常に見守り、危険を回避させている
家族の負担の大きさも、本人の日常生活能力を示す重要な情報となります。
記載すべき内容・避けるべき内容
記載すべき内容:
- 日常生活の具体的な困りごとと、その頻度
- できないこと、または援助があってできていること
- 症状による仕事や社会生活への影響
- 治療やリハビリの継続状況と効果
- 将来への不安や経済的な困窮状況
避けるべき内容:
- 感情的な表現や、過度に悲観的な表現
- 虚偽の内容や、事実を誇張した記載
- 「年金が欲しい」といった直接的な表現
- 医学的な診断や判断(それは医師の役割)
客観的な事実を、具体的かつ冷静に記載することが大切です。
【図表2: 申請書類チェックリスト】
| 書類名 | 取得先 | 作成者 | 準備期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 年金請求書 | 年金事務所 | 本人 | 数日 |
| 診断書(精神の障害用) | 年金事務所(様式入手) | 主治医 | 1~2ヶ月 |
| 病歴・就労状況等申立書 | 年金事務所 | 本人または家族 | 1~2週間 |
| 受診状況等証明書 | 初診時の医療機関 | 初診時の医療機関 | 2週間~1ヶ月 |
| 戸籍謄本 | 市区町村役場 | – | 即日~数日 |
| 住民票 | 市区町村役場 | – | 即日~数日 |
| 年金手帳(または基礎年金番号通知書) | 手元にあるもの | – | – |
| 預金通帳のコピー | 手元にあるもの | – | – |
※準備期間は目安です。医療機関や役所の混雑状況により変動します。余裕を持ったスケジュールで準備しましょう。
高次脳機能障害の障害年金申請手続きの流れ
障害年金の申請は、いくつかのステップに分けて進めていきます。全体の流れを理解しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
申請前の準備(ステップ1)
申請を始める前に、以下の3つの重要事項を確認・整理しておきましょう。
初診日の確認と証明書の取得
障害年金申請において最も重要なのが初診日の確定です。高次脳機能障害の場合、以下が初診日となることが一般的です。
- 交通事故などで救急搬送された病院を受診した日
- 脳卒中で倒れて最初に診察を受けた日
- 頭痛などの症状で脳の異常が発見された日
初診時に意識障害があった場合や、急性期治療後に転院している場合でも、最初に受診した病院が初診となります。当時のカルテが残っているか、初診時の病院に確認しましょう。カルテの保存期間は法律上5年ですが、多くの病院では5年を過ぎると廃棄されます。
カルテが既に廃棄されている場合でも、受診記録や救急搬送記録などから初診日を証明できる場合があります。また、第三者証明(家族、職場の同僚など)を活用する方法もあります。
受診歴の整理
発症から現在までに受診した全ての医療機関を時系列で整理します。以下の情報をまとめておきましょう。
- 医療機関名と所在地
- 診療科
- 受診期間(○年○月から○年○月まで)
- 主な治療内容
- 転院の理由
特に、途中で通院を中断していた期間がある場合は、その理由も記録しておきます。「症状が落ち着いたと思って通院をやめたが、その後悪化した」といった経過も、病歴・就労状況等申立書に記載する重要な情報です。
年金加入歴の確認
初診日にどの年金制度に加入していたかによって、請求できる年金の種類が決まります。また、初診日の前日時点で保険料納付要件を満たしているかの確認も必要です。
- 国民年金のみ加入:障害基礎年金を請求
- 厚生年金加入中:障害厚生年金(+障害基礎年金)を請求
- 20歳前:20歳前傷病による障害基礎年金を請求
年金加入歴は、年金事務所で「被保険者記録照会」を行うことで確認できます。ねんきん定期便やねんきんネットでも確認可能です。
保険料納付要件としては、初診日の前日時点で、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付または免除されている
- 初診日が令和8年4月1日前で、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない(特例)
書類の準備と提出(ステップ2~3)
診断書の依頼から受け取りまで
準備が整ったら、主治医に診断書の作成を依頼します。
- 年金事務所で診断書様式を入手:「精神の障害用」の診断書様式をもらいます。
- 医師に作成を依頼:診断書様式と日常生活状況をまとめたメモを渡します。家族が同席して説明することも効果的です。
- 作成期間:通常1ヶ月程度かかります。医療機関によっては2ヶ月以上かかる場合もあります。
- 診断書の確認:受け取ったら、記載内容に誤りや空欄がないか確認します。
診断書は提出日から遡って3ヶ月以内に作成されたものである必要があります。作成日が古くなった場合は、再度作成を依頼する必要があります。
申立書の作成
病歴・就労状況等申立書は、様式に沿って以下の内容を記載します。
- 発病から初診までの経過
- その後の受診状況と病状の経過
- 日常生活状況と就労状況
- 現在の状況
A4用紙で3~5枚程度の分量が一般的です。具体的なエピソードを交えながら、時系列で丁寧に記載しましょう。下書きを作成してから清書することをお勧めします。
提出先と提出方法
全ての書類が揃ったら、以下の窓口に提出します。
- 障害基礎年金:住所地の市区町村役場の国民年金課
- 障害厚生年金:年金事務所または年金相談センター
提出方法は、窓口への持参または郵送です。窓口に持参する場合は、その場で書類の不備がないか確認してもらえるため、安心です。郵送の場合は、特定記録郵便や簡易書留など、配達記録が残る方法で送付しましょう。
提出時には、年金請求書の受付印(または受付票)を必ずもらってください。これが申請を行った証明になります。
審査から決定まで(ステップ4~5)
審査期間の目安
書類提出後、日本年金機構の障害年金センターで審査が行われます。審査期間は通常3~4ヶ月程度ですが、以下の場合はさらに時間がかかることがあります。
- 初診日の確認に時間がかかる場合
- 書類に不備があり、追加資料の提出が必要な場合
- 医療照会(医療機関への確認)が行われる場合
- 年度末や年度初めなど、審査が混み合う時期
審査中に追加の資料提出を求められる場合があります。その際は速やかに対応することで、審査期間の短縮につながります。
結果通知の見方
審査が終了すると、「年金証書」(認定の場合)または「不支給決定通知書」(不認定の場合)が郵送されます。
認定された場合:年金証書には以下の情報が記載されています。
- 認定された障害等級(1級、2級、または3級)
- 年金コード
- 障害認定日
- 年金額
不支給となった場合:不支給決定通知書には不支給の理由が記載されています。理由を確認の上、以下の対応を検討します。
- 審査請求:決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に、地方厚生局の社会保険審査官に対して審査請求ができます。
- 再請求:病状が悪化した場合や、新たな検査結果が得られた場合に、改めて申請することができます。
年金証書の受け取りと初回振込
年金証書が届いてから約1~2ヶ月後に、初回の年金が振り込まれます。障害認定日から請求日までに時間がある場合は、遡及して支給される分がまとめて振り込まれます(遡及期間は最大5年)。
初回振込後は、偶数月の15日(15日が土日祝日の場合は前営業日)に2ヶ月分ずつ振り込まれます。たとえば、6月15日には4月分と5月分が振り込まれます。
障害年金は、原則として1~3年ごとに更新(障害状態確認届の提出)が必要です。更新時期が近づくと、日本年金機構から診断書用紙が送られてきますので、主治医に作成を依頼して期限内に提出しましょう。
【図表3: 申請から受給までのフローチャート】
申請前の準備
– 初診日の確認
– 受診歴の整理
– 年金加入歴の確認
準備期間:1~2週間
書類の準備
– 診断書の依頼・受け取り
– 申立書の作成
– その他必要書類の収集
準備期間:1~2ヶ月
書類の提出
– 年金事務所または市区町村役場へ提出
– 受付印または受付票を受領
所要時間:即日
審査
– 日本年金機構で審査
– 必要に応じて追加資料提出
審査期間:3~4ヶ月
結果通知・受給開始
– 年金証書または不支給決定通知書が到着
– 初回振込(証書到着から1~2ヶ月後)
– 以降、偶数月15日に2ヶ月分ずつ振込
初回振込まで:1~2ヶ月
※各ステップの期間は目安です。個別の状況により変動します。申請から初回振込までトータルで5~8ヶ月程度かかることが一般的です。
高次脳機能障害の障害年金申請でよくある質問
高次脳機能障害の障害年金申請について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
初診日・加入要件について
Q1: 事故当時の記憶がなく初診日が不明な場合はどうすればいいですか?
A: 交通事故などで意識障害があり、本人が初診日を覚えていない場合でも、初診日を証明する方法はあります。
まず、救急搬送された病院の救急外来が初診となりますので、その病院に受診状況等証明書の作成を依頼します。カルテが廃棄されていても、救急搬送記録や入院記録が残っている場合があります。また、警察の事故証明書、救急搬送の記録、家族や事故の目撃者による第三者証明なども初診日を特定する資料となります。
初診日の証明が困難な場合でも、複数の資料を組み合わせることで初診日を認めてもらえる可能性があります。諦めずに、まずは専門家にご相談ください。
Q2: 国民年金の未納期間があるけど申請できますか?
A: 初診日の前日時点で一定の保険料納付要件を満たしていれば申請可能です。
具体的には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付または免除されている
- 初診日が令和8年4月1日前で、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない(特例)
未納期間があっても、免除や猶予の手続きをしていた期間はカウントされます。また、若い時期に短期間の未納があっても、その後長期間きちんと納付していれば3分の2要件を満たせる場合があります。年金事務所で納付記録を確認してもらいましょう。
Q3: 症状固定までどのくらい待つべきですか?
A: 高次脳機能障害の場合、発症から1年6ヶ月経過した時点(障害認定日)で申請が可能になります。
脳の損傷後、リハビリテーションにより一定の回復が期待できますが、1年6ヶ月を経過しても日常生活や就労に支障が残っている場合は、その時点で申請を検討すべきです。「もう少し様子を見よう」と待っている間に経済的に困窮してしまうケースも少なくありません。
ただし、症状が重度で明らかに日常生活に支障がある場合や、20歳前に発症した場合など、特例的に1年6ヶ月を待たずに申請できるケースもあります。
認定基準について
Q4: 軽度の記憶障害でも認定される可能性はありますか?
A: 「軽度」という表現だけでは判断できませんが、日常生活や就労に具体的な支障が出ていれば認定される可能性があります。
重要なのは、症状の「程度」ではなく、その症状が日常生活にどのような「影響」を与えているかです。たとえば、「軽度の記憶障害」でも、そのために服薬管理ができない、約束を守れない、金銭管理ができないといった具体的な支障があれば、認定の対象となりえます。
メモを活用するなどの工夫で日常生活が自立できている場合と、メモを見ても理解できず常に援助が必要な場合では評価が異なります。実際の生活状況を具体的に診断書や申立書に記載することが大切です。
Q5: 身体障害と高次脳機能障害、どちらで申請すべきですか?
A: 脳血管疾患や脳外傷の場合、身体障害(肢体の障害)と高次脳機能障害(精神の障害)の両方が残ることがあります。この場合、それぞれ別々に診断書を作成し、併合認定を受けることができます。
たとえば、脳梗塞で右半身麻痺と記憶障害が残った場合、肢体の障害用の診断書と精神の障害用の診断書の2通を提出します。それぞれの障害が単独では2級に該当しない程度でも、併合することで2級に認定される可能性があります。
どちらか一方だけで申請するより、両方の障害を適切に評価してもらう方が認定の可能性が高まります。
Q6: パート程度なら働いていても大丈夫ですか?
A: 就労の有無だけでなく、就労の実態が評価されます。短時間のパート勤務や福祉的就労であれば、認定される可能性は十分にあります。
審査では以下のような点が考慮されます。
- 勤務時間や日数(週20時間未満、週3日程度など)
- 業務内容(単純作業に限定されているか)
- 職場での配慮(業務内容の制限、頻繁な声かけなど)
- 就労の継続性(頻繁に休む、長続きしないなど)
- 福祉的就労か一般就労か
たとえば、就労継続支援A型事業所で週20時間、月給3万円程度で単純作業に従事している場合や、家族の経営する会社で名目上勤務しているが実質的に戦力になっていない場合などは、就労していても認定される可能性があります。
手続きについて
Q7: 家族が代理で申請できますか?
A: はい、家族が代理で申請することは可能です。
高次脳機能障害の場合、本人に病識がなかったり、複雑な手続きを理解することが困難だったりするケースが少なくありません。その場合、配偶者や親などの家族が代理人として手続きを行うことができます。
代理申請の場合、申請書類に代理人の氏名と本人との続柄を記載し、本人の委任状は不要です(家族の場合)。ただし、年金の受取口座は本人名義である必要があります。
また、成年後見制度を利用している場合は、成年後見人が代理で申請を行います。
Q8: 一度不支給になったら再申請できませんか?
A: 不支給になっても、再申請は可能です。主に以下の2つの方法があります。
審査請求: 不支給決定を知った日の翌日から3ヶ月以内であれば、地方厚生局の社会保険審査官に対して審査請求ができます。「診断書の内容が実態と異なる」「日常生活の困難さが適切に評価されていない」といった理由がある場合に有効です。
再請求: 不支給決定後、病状が悪化した場合や、新たな神経心理学的検査を受けて客観的なデータが得られた場合などに、改めて申請することができます。前回の申請から一定期間(通常1年以上)経過していることが望ましいです。
不支給になった理由を分析し、不足していた情報を補って再チャレンジすることで、認定される可能性は十分にあります。
Q9: 老齢年金を受給中でも障害年金はもらえますか?
A: 65歳以降は、老齢年金と障害年金のどちらか一方を選択して受給することになります。
65歳未満の方が障害年金を受給する場合、老齢年金の繰上げ受給をしていなければ、障害年金を受給できます。
65歳以降は、以下の中から最も有利なものを選択します。
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
- 老齢基礎年金+障害厚生年金
一般的には、障害年金の方が金額が高いことが多いですが、個別の状況によって異なります。年金事務所で試算してもらい、有利な方を選択しましょう。
【事実確認ポイント】
年金制度は法改正により変更される可能性があります。最新の情報については、日本年金機構の公式サイトまたは年金事務所でご確認ください。
その他
Q10: 障害年金と障害者手帳の関係は?
A: 障害年金と障害者手帳は全く別の制度です。どちらか一方を持っていても、もう一方を自動的にもらえるわけではありません。
障害年金は経済的支援を目的とした年金制度で、日本年金機構が審査します。一方、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)は福祉サービスの利用を目的とした制度で、都道府県が審査します。
ただし、認定基準には共通する部分もあるため、障害者手帳を持っていると障害年金も認定されやすい傾向はあります。また、障害年金の診断書を障害者手帳の申請に流用できる場合もあります(自治体によって異なります)。
Q11: 申請から認定までの生活費はどうすればいいですか?
A: 障害年金の申請から初回振込までは通常5~8ヶ月かかります。その間の生活費については、以下のような制度の利用を検討しましょう。
- 傷病手当金:会社員の方で休職中の場合、健康保険から最長1年6ヶ月間、給与の約3分の2が支給されます。
- 生活福祉資金貸付制度:社会福祉協議会が実施する低金利または無利子の貸付制度です。
- 生活保護:収入がなく生活が困窮している場合、福祉事務所で相談できます。
- 障害者総合支援法のサービス:居宅介護、生活介護などのサービスを利用できる場合があります。
また、認定されて遡及支給がある場合、申請時まで遡って年金が支払われますので(最大5年)、その間の生活費の一部を補填できることもあります。
Q12: 社労士に依頼するメリットは何ですか?
A: 障害年金申請を社会保険労務士に依頼する主なメリットは以下の通りです。
- 認定の可能性を高める:診断書の確認、申立書の作成など、認定に有利な書類作りをサポートします。
- 手続きの負担軽減:複雑な手続きを代行し、書類の不備による審査の遅れを防ぎます。
- 初診日の調査:カルテが廃棄されている場合の第三者証明の作成など、困難な初診日証明をサポートします。
- 医師への橋渡し:診断書作成時に医師に伝えるべきポイントをアドバイスし、必要に応じて同行します。
- 不支給時の対応:審査請求や再請求の戦略を立て、実行をサポートします。
特に高次脳機能障害の場合、「見えない障害」をいかに客観的に示すかが重要であり、専門家のサポートが認定率の向上につながります。
報酬は成功報酬制の事務所が多く、初回相談は無料で行っている事務所もあります。まずは気軽に相談してみることをお勧めします。
高次脳機能障害の障害年金申請を成功させる5つのポイント
ここまで高次脳機能障害の障害年金について詳しく解説してきましたが、実際に申請を成功させるために特に重要な5つのポイントをまとめます。
ポイント1: 初診日を明確にする
障害年金申請において、初診日の証明は最も重要な要素の一つです。初診日が確定しなければ、申請そのものができません。
初診日証明のための具体的な方法
カルテの取得: まず、初診時の医療機関にカルテが残っているか確認しましょう。カルテの保存期間は法律上5年ですが、多くの病院では診療録を5年以上保管しています。受診状況等証明書の作成を依頼することで、初診日を公式に証明できます。
第三者証明の活用: カルテが既に廃棄されている場合でも、諦める必要はありません。以下のような第三者による証明が有効です。
- 事故や発症時に一緒にいた家族、友人、同僚の証明
- 救急隊員の搬送記録
- 警察の事故証明書
- 職場の上司や人事担当者による証明(労災申請書類など)
- 当時の日記、手帳、メモ
第三者証明は、単独では認められにくいですが、複数の証明を組み合わせることで初診日を認めてもらえる可能性が高まります。
参考資料の収集: 医療機関の領収書、お薬手帳、健康保険の給付記録(健康保険組合に請求可能)、身体障害者手帳の交付記録なども、初診日を推定する参考資料となります。
初診日の証明が難しい場合は、早めに社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。調査のノウハウを持っているため、スムーズに証明できる可能性があります。
ポイント2: 神経心理学的検査を受ける
高次脳機能障害の認定において、神経心理学的検査の結果は非常に重要な客観的証拠となります。
主要な検査とその意義
WAIS(ウェクスラー成人知能検査): 全般的な認知機能を評価します。全検査IQだけでなく、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の各指標間のバラツキが重要です。たとえば、言語理解は平均的でもワーキングメモリーが著しく低い場合、日常生活での記憶の困難さを客観的に示すことができます。
WMS(ウェクスラー記憶検査): 記憶機能を詳細に評価します。即時記憶と遅延再生の差が大きい場合、「すぐには覚えられても少し時間が経つと忘れてしまう」という記憶障害の特徴を示せます。
その他の検査:
- TMT(トレイルメイキングテスト):注意機能と処理速度を評価
- WCST(ウィスコンシンカード分類検査):遂行機能と柔軟性を評価
- FAB(前頭葉機能検査):前頭葉の機能を簡易的に評価
- RBMT(リバーミード行動記憶検査):日常生活に即した記憶機能を評価
検査を受けるタイミング
診断書作成の前に検査を受けておくことが理想的です。検査結果は診断書に記載され、認定の重要な根拠となります。まだ検査を受けていない場合は、主治医に相談して検査を依頼しましょう。
神経心理学的検査は、リハビリテーション科や神経内科、精神科で実施されます。予約から実施まで1~2ヶ月かかる場合もあるため、早めに依頼することが大切です。
ポイント3: 日常生活の困難さを具体的に記録する
高次脳機能障害は「見えない障害」であるため、日常生活での具体的な困難さを詳細に記録することが認定の鍵となります。
効果的な記録方法
日記形式での記録: 日付と出来事を記録します。「○月○日:買い物に行ったが、何を買うつもりだったか忘れて手ぶらで帰宅」「○月○日:服薬を忘れて夕方まで気づかず、夕食後にまた飲もうとして家族に止められた」といった具体例を記録しましょう。
頻度の記録: 困りごとがどのくらいの頻度で起こるかも重要です。「週に2~3回」「ほぼ毎日」といった頻度を記録することで、障害の程度を示せます。
家族の観察記録: 本人に病識がない場合、家族が客観的に観察して記録することが特に重要です。以下のような視点で記録します。
- できなくなったこと(発症前との比較)
- 家族の支援がなければできないこと
- 本人は「できる」と言うが実際にはできていないこと
- 周囲とのトラブルや、感情のコントロールの問題
記録のタイミング
申請の直前に慌てて記録するよりも、日常的に記録を続けることをお勧めします。少なくとも申請の1~2ヶ月前から記録を始めると、病歴・就労状況等申立書や診断書作成時に医師へ提出する資料として活用できます。
ポイント4: 診断書の内容を事前に医師と相談する
診断書は医師が作成するものですが、正確な内容にするためには、申請者側からの適切な情報提供が不可欠です。
診察前の準備
診断書作成を依頼する際は、以下の資料を準備して医師に渡しましょう。
- 日常生活の困難さをまとめたメモ
- 家族が記録した行動観察記録
- 神経心理学的検査の結果(他院で受けた場合)
- 就労状況(職場での配慮や制限の内容)
家族の同席
可能であれば、診察時に家族が同席することをお勧めします。本人が「特に困っていない」と答えても、家族が実際の生活状況を補足説明することで、医師が正確な状態を把握できます。
伝えるべきポイント
医師に伝えるべき重要なポイントは以下の通りです。
- 日常生活で実際に困っている具体的な場面
- 家族の支援がどの程度必要か
- 就労している場合、どのような配慮や制限があるか
- 症状に波がある場合、最も悪い状態も含めて伝える
- 発症前との変化(できていたことができなくなった)
診断書受け取り後の確認
診断書を受け取ったら、必ず内容を確認しましょう。以下の点をチェックします。
- 空欄がないか
- 初診日が正確に記載されているか
- 日常生活能力の判定が実態に即しているか
- 神経心理学的検査の結果が記載されているか
- 治療内容や経過が適切に記載されているか
もし実態と異なる記載があった場合は、医師に修正を依頼することも可能です(ただし、医師の医学的判断に基づく記載については尊重する必要があります)。
ポイント5: 専門家のサポートを活用する
障害年金の申請は複雑で、特に高次脳機能障害の場合は「見えない障害」をいかに客観的に示すかが重要です。専門家のサポートを活用することで、認定の可能性を高めることができます。
社会保険労務士に依頼するメリット
認定に有利な書類作成: 診断書の確認、病歴・就労状況等申立書の作成など、認定に有利な内容になるようサポートします。日常生活の困難さを効果的に伝える表現方法や、診断書で重視される項目について専門的なアドバイスを受けられます。
初診日調査: カルテが廃棄されている場合の第三者証明の作成、複数の医療機関への照会など、困難な初診日証明をサポートします。
医療機関との連携: 診断書作成時に医師に伝えるべきポイントをアドバイスし、必要に応じて診察への同行や、医師への情報提供書の作成を行います。
手続きの代行: 書類の収集、記入、提出までを代行し、申請者や家族の負担を大幅に軽減します。
不支給時の対応: 万が一不支給になった場合も、審査請求や再請求の戦略を立て、実行をサポートします。
社会保険労務士の選び方
社会保険労務士を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- 障害年金専門:障害年金を専門分野としているか
- 高次脳機能障害の実績:高次脳機能障害の申請経験が豊富か
- 無料相談:初回相談が無料で受けられるか
- 報酬体系:成功報酬制か、着手金が必要か、金額は明確か
- 対応エリア:自宅や医療機関への訪問が可能か
相談のタイミング
「自分で申請できるか試してから、ダメなら相談しよう」と考える方もいますが、最初から専門家に相談する方が効率的です。特に以下のような場合は、早めの相談をお勧めします。
- 初診日の証明が困難
- 保険料納付要件を満たしているか不安
- 本人に病識がなく、手続きが難しい
- 過去に不支給になった経験がある
- 複雑な病歴(転院が多い、中断期間があるなど)
多くの事務所では初回相談を無料で行っていますので、まずは気軽に相談してみることをお勧めします。
【コラム: 認定されなかった場合の対処法(審査請求・再請求)】
万が一、不支給の決定が出た場合でも、諦める必要はありません。以下の方法で再チャレンジすることができます。
審査請求
不支給決定を知った日の翌日から3ヶ月以内であれば、地方厚生局の社会保険審査官に対して審査請求ができます。審査請求では、不支給決定の理由を詳しく分析し、以下のような主張を行います。
- 診断書の内容が実態を正確に反映していない
- 日常生活の困難さが十分に評価されていない
- 神経心理学的検査の結果が考慮されていない
- 就労の実態(配慮や制限の内容)が評価されていない
審査請求では、追加の医学的証拠や日常生活状況を示す資料を提出できます。新たな診断書や、より詳細な日常生活の記録、家族の陳述書などを用意しましょう。
審査請求の認容率(審査請求が認められる割合)は決して高くありませんが、不支給理由に納得できない場合は検討する価値があります。
再請求
前回の申請から状況が変わった場合に、改めて申請する方法です。以下のような場合に有効です。
- 病状が悪化した
- 新たに神経心理学的検査を受け、客観的データが得られた
- 前回は就労していたが、現在は退職(または休職)している
- 前回は病識がなかったが、現在は困難さを認識している
再請求では、前回の不支給理由を踏まえて、不足していた情報を補うことが重要です。たとえば、前回は神経心理学的検査が未実施だった場合は検査を受ける、日常生活の具体的記録が不足していた場合は詳細な日記を準備するなどの対策を講じます。
再請求に明確な期限はありませんが、前回の申請から1年以上経過していることが望ましいとされています(状況の変化を示すため)。
専門家への相談
不支給になった場合、その理由を正確に分析し、審査請求と再請求のどちらが適切かを判断することが重要です。この判断は専門的な知識を要するため、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談することを強くお勧めします。
「一度不支給になったから諦める」のではなく、「どうすれば認定されるか」を考えて再チャレンジすることが大切です。実際に、再請求や審査請求で認定される事例は数多くあります。
高次脳機能障害の障害年金申請は専門家にご相談を
高次脳機能障害の障害年金申請は、制度の複雑さに加えて「見えない障害」をいかに客観的に示すかという難しさがあります。お一人で悩まず、専門家のサポートを活用することをお勧めします。
清水総合法務事務所の特徴
当事務所は、神戸を拠点に障害年金申請を専門としている社会保険労務士事務所です。「諦めない障害年金」をコンセプトに、高次脳機能障害をはじめとする様々な疾患の障害年金申請をサポートしてまいりました。
高次脳機能障害の申請実績が豊富
当事務所では、脳外傷、脳血管疾患、低酸素脳症など、様々な原因による高次脳機能障害の申請サポート実績があります。記憶障害、注意障害、遂行機能障害といった症状が日常生活に与える影響を適切に評価し、認定につながる申請書類の作成をお手伝いいたします。
「外見は元気なのに、日常生活で困っている」「本人に病識がなく、申請に協力的でない」「初診日の証明が困難」といった高次脳機能障害特有の課題にも、豊富な経験を活かして対応いたします。
「諦めない障害年金」の実現
「一度不支給になったから」「保険料の未納期間があるから」「軽度だから無理では」――そんな理由で申請を諦めていませんか?
当事務所では、困難なケースでも可能性を探り、お一人お一人の状況に最適な方法を提案いたします。過去に不支給になった方の審査請求や再請求のサポートも行っています。諦める前に、まずはご相談ください。
神戸・兵庫県の皆様を全力サポート
神戸市須磨区に事務所を構え、神戸市内および兵庫県内の皆様を中心にサポートしています。ご自宅や医療機関への訪問相談も可能ですので、外出が難しい方もお気軽にご相談ください。
サポート内容
当事務所では、障害年金申請のすべてのプロセスをサポートいたします。
無料相談
初回相談は無料です。お電話、メール、対面のいずれでも対応いたします。現在の状況をお聞きし、障害年金受給の可能性、申請の進め方、必要な準備などについて丁寧にご説明いたします。「自分の症状で受給できるのか」「何から始めればいいのか」といった疑問に、わかりやすくお答えします。
初診日調査から書類作成まで一貫サポート
初診日の調査、受診状況等証明書の取得、年金加入記録の確認から、診断書作成のための医師への情報提供、病歴・就労状況等申立書の作成、その他必要書類の収集・作成まで、申請に必要なすべての手続きを一貫してサポートいたします。
特に高次脳機能障害の場合、診断書や申立書において日常生活の困難さを具体的に伝えることが重要です。日頃の生活状況を丁寧にヒアリングし、認定につながる内容に整理してお伝えします。
医師面談への同行(ご希望の方)
診断書作成を依頼する際、医師に何をどう伝えればよいか不安な方も多いと思います。ご希望に応じて、診察への同行や、医師へ提出する情報提供書の作成も行います。医療機関との適切な連携により、実態を反映した診断書作成をサポートいたします。
不支給時の審査請求対応
万が一不支給となった場合も、審査請求や再請求のサポートを行います。不支給の理由を詳しく分析し、追加の医学的証拠や日常生活状況を示す資料を準備して、再チャレンジをお手伝いいたします。
ご相談の流れ
ステップ1: お問い合わせ
お電話、メール、またはホームページのお問い合わせフォームからご連絡ください。お問い合わせの際は、以下の情報をお知らせいただけるとスムーズです。
- お名前、ご連絡先
- 障害の内容(高次脳機能障害の原因疾患など)
- 発症時期
- 現在の状況(通院の有無、就労の有無など)
- ご希望の相談方法(電話、メール、対面)
ステップ2: 無料相談(状況のヒアリング)
お電話または対面にて、現在の状況を詳しくお聞きします。障害年金受給の可能性、申請の進め方、必要な準備、報酬などについてご説明いたします。無料相談の時点では、まだ契約の必要はありません。じっくりとお話を伺い、ご納得いただいた上で、次のステップに進むかどうかをご判断ください。
ステップ3: 受任・着手
サポート内容と報酬にご納得いただけましたら、正式に契約を結び、申請準備に着手します。初診日の調査、必要書類のリストアップ、スケジュールの確認などを行います。
ステップ4: 申請・審査
診断書の取得、申立書の作成、その他書類の準備を進め、年金事務所または市区町村役場へ提出します。提出後は審査期間中も、必要に応じてサポートいたします。
ステップ5: 結果
審査結果が出ましたら、ご報告いたします。認定された場合は、今後の手続き(更新時の注意点など)についてもご説明します。万が一不支給となった場合は、審査請求や再請求について改めてご相談させていただきます。
【まずはお気軽にご相談ください】
高次脳機能障害で障害年金の申請をお考えの方、過去に不支給になった方、「自分の症状で受給できるのか」と悩んでいる方――まずはお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。
清水総合法務事務所
社会保険労務士 清水 良訓
📞 お電話でのご相談
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受付時間:平日 9:00~18:00
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まとめ
この記事では、高次脳機能障害における障害年金について、認定基準から申請手続き、成功のポイントまで詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
高次脳機能障害でも障害年金の受給は可能です
記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害といった症状が日常生活や就労に支障をきたしている場合、適切に申請することで障害年金を受給できる可能性があります。「見えない障害」だから無理だと諦める必要はありません。
認定のカギは「日常生活への影響」を具体的に示すこと
高次脳機能障害の認定では、症状そのものだけでなく、その症状が日常生活にどのような影響を与えているかが重視されます。神経心理学的検査の結果、日常生活の具体的なエピソード、家族の観察記録など、客観的な証拠を丁寧に準備することが重要です。
初診日の証明と保険料納付要件の確認を忘れずに
障害年金申請において、初診日の証明は最も重要です。カルテが廃棄されている場合でも、第三者証明や参考資料を活用して証明できる可能性があります。また、初診日における保険料納付要件も事前に確認しておきましょう。
診断書と申立書の内容が認定を左右します
診断書は医師が作成しますが、日常生活の困難さを事前にしっかり伝えることで、実態を反映した内容にすることができます。また、病歴・就労状況等申立書では、具体的なエピソードを交えながら、時系列で丁寧に記載することが大切です。
一人で悩まず、専門家のサポートを活用しましょう
障害年金の申請は複雑で、特に高次脳機能障害の場合は「見えない障害」をいかに客観的に示すかが重要です。初診日の調査、診断書の内容確認、申立書の作成など、専門家のサポートを受けることで認定の可能性を高めることができます。
不支給になっても諦めないでください
万が一不支給になった場合も、審査請求や再請求という方法があります。不支給の理由を分析し、不足していた情報を補って再チャレンジすることで、認定される可能性は十分にあります。
高次脳機能障害を抱えながらの生活は、本人にとっても家族にとっても大きな困難を伴います。外見からはわかりにくい障害だからこそ、周囲の理解も得られにくく、孤独感や不安を感じている方も多いでしょう。
しかし、適切な支援制度を活用することで、経済的な不安を軽減し、治療やリハビリに専念できる環境を整えることができます。障害年金は、そのための重要な制度の一つです。
「自分の症状で受給できるのだろうか」「申請は難しそう」と不安に思われるかもしれませんが、まずは一歩を踏み出してみてください。専門家に相談することで、あなたの状況に最適な方法が見つかるはずです。
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