「双極性障害と診断されて、仕事を続けるのが難しくなってきた…」
「躁状態とうつ状態の波が激しくて、生活が安定しない…」
「医療費や生活費が心配で、将来が不安…」
このような悩みを抱えながら、「障害年金」という制度があることは知っているけれど、「精神疾患で本当にもらえるの?」「自分は対象になるの?」と、半信半疑で検索されている方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げます。
双極性障害(躁うつ病)は、障害年金の受給対象となる疾患です。実際に多くの方が障害年金を受給され、生活の安定を取り戻されています。
しかし、残念ながら「申請が複雑そう」「自分には無理」と諦めてしまう方や、自力で申請して却下されてしまう方も少なくありません。
私は神戸で障害年金申請代行を専門とする社会保険労務士として、「諦めない障害年金」をコンセプトに、多くの双極性障害の方の申請をサポートしてきました。
この記事では、以下の内容について、できる限りわかりやすく解説していきます。
- ✓ 双極性障害で障害年金を受給できる条件
- ✓ 障害等級と具体的な受給金額
- ✓ 実際に受給された方の事例
- ✓ 申請の流れと重要なポイント
- ✓ よくある失敗例と対策
最後まで読んでいただければ、「自分も受給できるかもしれない」という希望と、「次に何をすべきか」という具体的な道筋が見えてくるはずです。
一人で悩まず、まずは正しい情報を知ることから始めましょう。
双極性障害とは?障害年金との関係を理解しよう
双極性障害(躁うつ病)の基本
双極性障害は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた精神疾患で、気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返すことが特徴です。
単なる気分の浮き沈みとは異なり、これらの状態が日常生活や仕事に大きな支障をきたし、長期的な治療が必要となる疾患です。
【図表1】双極性障害の主な症状
| 状態 | 主な症状 | 日常生活への影響例 |
|---|---|---|
| 躁状態 |
・気分の高揚、開放感 ・睡眠時間の減少 ・多弁、早口 ・衝動的な行動 ・怒りっぽくなる |
・過度な買い物や浪費 ・無謀な計画を立てる ・人間関係のトラブル ・仕事でのミス増加 ・休息が取れない |
| うつ状態 |
・気分の落ち込み ・意欲の低下 ・疲労感、倦怠感 ・集中力の低下 ・希死念慮 |
・起床できない ・外出が困難 ・仕事ができない ・人と会えない ・日常生活の遂行困難 |
双極性障害I型とII型の違い
双極性障害には、主にI型とII型の2つのタイプがあります。
【図表2】I型とII型の比較
| 項目 | I型 | II型 |
|---|---|---|
| 躁状態の程度 | 激しい躁状態(躁病エピソード) 日常生活に著しい支障 |
軽躁状態 本人や周囲が気づきにくい |
| 入院の必要性 | 入院が必要になることが多い | 入院が必要になることは少ない |
| うつ状態 | 重度のうつ状態 | 重度のうつ状態(I型より長期化しやすい) |
| 診断の難しさ | 躁状態が明確で診断されやすい | 軽躁状態が見逃されやすく 「うつ病」と誤診されることも |
| 障害年金 | 対象になる | 対象になる |
📌 コラム:「II型だから軽い」は誤解
「II型は軽い双極性障害」と思われがちですが、これは大きな誤解です。
確かに躁状態は軽度ですが、うつ状態はI型と同等かそれ以上に重く、長期化しやすいという特徴があります。そのため、日常生活や就労への影響はI型と変わらず、障害年金の対象となります。
「II型だから受給できない」ということは決してありません。重要なのは「症状の程度」と「日常生活への支障の度合い」です。
双極性障害が障害年金の対象になる理由
障害年金は、病気やケガによって「日常生活や労働に制限を受けている状態」にある方を支援する制度です。
双極性障害が障害年金の対象となる主な理由は、以下の通りです。
【1】日常生活への持続的な影響
躁状態とうつ状態の波により、安定した日常生活を送ることが困難になります。
- 規則正しい生活リズムの維持が難しい
- 家事や身の回りのことができなくなる
- 対人関係の維持が困難
- 金銭管理ができなくなる
【2】就労の継続が困難
症状の波により、継続的な就労が難しい状態が生じます。
- 欠勤・遅刻・早退の繰り返し
- 業務の遂行能力の低下
- 職場での対人トラブル
- 休職や退職を繰り返す
【3】治療の長期化
双極性障害は長期的な薬物療法と通院が必要な疾患です。
- 生涯にわたる服薬管理が必要なケースが多い
- 定期的な通院が不可欠
- 再発のリスクが常にある
このように、双極性障害は日常生活や就労に長期的かつ重大な影響を及ぼす疾患であり、障害年金による経済的支援が必要と認められています。
重要なポイント
「働いているから対象外」「II型だから無理」といった思い込みで諦める必要はありません。症状の程度と日常生活への支障が認定の基準となります。
双極性障害で障害年金を受給できる条件とは
障害年金を受給するには、いくつかの条件を満たす必要があります。「自分は対象になるのか?」を判断するために、まずは基本的な要件を確認しましょう。
障害年金受給の3つの基本要件
障害年金を受給するには、以下の3つすべての要件を満たす必要があります。
【図表3】障害年金受給の3要件
① 初診日要件
初診日とは、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診察を受けた日のことです。
初診日の重要性
- どの年金制度(国民年金・厚生年金)に加入していたかを確認
- 受給できる年金の種類(障害基礎年金・障害厚生年金)が決まる
- 保険料納付要件の判定基準となる
双極性障害の初診日で注意すべきポイント
- 最初に「うつ病」と診断され、後に「双極性障害」と診断変更された場合、最初にうつ病で受診した日が初診日となります
- 「なんとなく調子が悪い」で内科を受診した日が初診日になる可能性もあります
- 心療内科・精神科以外(内科など)での受診も初診日になり得ます
📌 コラム:初診日の証明が難しいケース
双極性障害の場合、以下のような理由で初診日の証明が難しくなることがあります。
- 転院を繰り返していて、最初の病院の記録が残っていない
- 初診から長期間が経過し、カルテが廃棄されている(医療機関の保存期間は通常5年)
- 最初は「うつ病」で受診し、別の病院で「双極性障害」と診断された
このような場合でも、諦める必要はありません。受診状況等証明書が取得できない場合の代替手段があります。専門家に相談することをお勧めします。
② 保険料納付要件
初診日の前日において、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
原則(次のいずれかを満たす)
- 初診日の属する月の前々月までに、国民年金の加入期間の2/3以上、保険料を納付または免除されている
特例(令和8年4月1日前に初診日がある場合)
- 初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない
保険料納付要件で諦めないために
学生時代や収入が少なかった時期に国民年金を払っていなかった方でも、免除申請をしていれば納付とみなされます。また、20歳前に初診日がある場合は、この要件は不要です(20歳前傷病による障害基礎年金)。
※ 事実確認要:特例の期限や免除の取り扱いについて最新情報を確認してください
③ 障害状態要件
障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日、または1年6ヶ月以内に症状が固定した日)において、障害等級に該当する程度の障害状態にあることが必要です。
双極性障害における「障害状態」の判断基準
双極性障害の場合、主に以下の観点から障害の程度が判断されます。
【図表4】障害状態の判定要素
| 判定要素 | 具体的な評価内容 |
|---|---|
| 日常生活能力 |
・適切な食事摂取 ・身辺の清潔保持 ・金銭管理と買い物 ・通院と服薬 ・他人との意思伝達 ・対人関係・社会性 ・身辺の安全保持、危機対応 ・社会性(各種手続きなど) |
| 就労状況 |
・就労の可否と継続性 ・作業能力と作業持続力 ・職場での適応状況 ・援助や配慮の必要性 |
| 症状の程度 |
・躁状態の頻度と程度 ・うつ状態の頻度と程度 ・入院歴 ・希死念慮の有無 |
| 治療状況 |
・通院の頻度 ・服薬の内容と量 ・治療への反応 ・医師の意見 |
日常生活能力の程度の評価(5段階)
診断書では、日常生活能力が以下の5段階で評価されます。
- (1) 精神障害を認めるが、日常生活および社会生活は普通にできる
- (2) 精神障害を認め、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける
- (3) 精神障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする
- (4) 精神障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする
- (5) 精神障害を認め、身の回りのことがほとんどできないため、常時介護を必要とする
一般的に、(3)以上で2級、(4)(5)で1級と判定される傾向がありますが、他の要素も総合的に判断されます。
よくある誤解「働いていたらもらえない?」
障害年金について最も多い誤解の一つが、「働いていたら障害年金はもらえない」というものです。
結論:働きながらでも障害年金は受給できます
障害年金の認定基準は「働いているかどうか」ではなく、「日常生活や労働にどの程度の制限があるか」です。
【図表5】就労状況と障害年金の関係
| 就労状況 | 障害年金受給 | ポイント |
|---|---|---|
| フルタイム勤務 (制限なし) |
△ 困難 | 制限なく就労できる場合、3級以上の認定は難しい |
| 配慮を受けて勤務 (時短、業務制限など) |
○ 可能 | 著しい制限があれば2級の可能性も |
| 就労継続支援A型・B型 | ○ 可能 | 福祉的就労は「著しい制限」と評価されやすい |
| 休職中 | ○ 可能 | 就労不能の状態は高い等級が認定されやすい |
| 退職後、求職中 | ○ 可能 | 就労能力の制限程度が評価される |
【具体例】働きながら受給しているケース
ケース1:短時間勤務での受給
週3日、1日4時間の事務職。会社の配慮で静かな環境で作業。通常業務は困難で、単純作業のみ。疲れやすく、休日はほぼ寝て過ごす。
→ 2級認定
ケース2:就労継続支援B型での受給
就労継続支援B型事業所で週4日、1日3時間の軽作業。作業中も職員のサポートが必要。工賃は月1万円程度。
→ 2級認定
重要なポイント
- 「働いているから」という理由だけで諦める必要はありません
- 重要なのは「どのような制限を受けながら働いているか」です
- 配慮や援助を受けている、業務内容が限定されている、などの状況は認定において考慮されます
次のセクションでは、具体的な障害等級と受給できる金額について詳しく見ていきます。
双極性障害の障害年金、等級と受給金額
「実際にいくらもらえるの?」これは、障害年金を検討する際に最も気になる点だと思います。このセクションでは、等級の判定基準と具体的な受給金額について解説します。
障害等級の判定基準
障害年金には1級・2級・3級の3つの等級があります(3級は障害厚生年金のみ)。双極性障害では、症状の程度と日常生活への影響から等級が判定されます。
【図表6】双極性障害における障害等級の目安
| 等級 | 状態の目安 | 双極性障害での該当例 |
|---|---|---|
| 1級 | 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの (他人の介助を受けなければ、ほとんど日常生活ができない) |
・入退院を繰り返している ・単独での外出が困難 ・身の回りのことが一人でできない ・常時、家族の援助が必要 ・躁状態またはうつ状態が重篤で持続的 ・希死念慮が強く、常時見守りが必要 |
| 2級 | 日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの (必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない) |
・就労が著しく困難(就労不能、または就労継続支援などの福祉的就労) ・日常生活に家族の援助が必要 ・外出時に付き添いが必要なことがある ・家事が十分にできない ・対人関係が著しく困難 ・躁状態とうつ状態の波が激しく、生活が不安定 |
| 3級 (厚生年金のみ) |
労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの (日常生活には支障はないが、労働については制限がある) |
・フルタイム就労は困難だが、短時間や配慮があれば就労可能 ・業務内容に制限が必要 ・疲れやすく、勤務に波がある ・対人関係に一定の困難さがある ・日常生活は概ね自立している |
判定のポイント
等級の判定は、診断書の記載内容と病歴・就労状況等申立書を総合的に評価して行われます。特に「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」の評価が重要になります。
令和7年度の受給金額
障害年金の金額は、初診日にどの年金に加入していたかによって異なります。
年金の種類
- 障害基礎年金:初診日に国民年金に加入していた場合(自営業、学生、無職など)
- 障害厚生年金:初診日に厚生年金に加入していた場合(会社員、公務員など)
【図表7】令和7年度 障害年金の年額(月額)
| 等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
|---|---|---|
| 1級 |
約102万円 (月額 約8.5万円) ※ 子の加算あり |
報酬比例+基礎年金 報酬比例分×1.25+基礎年金 ※ 配偶者加算・子の加算あり |
| 2級 |
約81万円 (月額 約6.8万円) ※ 子の加算あり |
報酬比例+基礎年金 報酬比例分+基礎年金 ※ 配偶者加算・子の加算あり |
| 3級 | (対象外) |
報酬比例分 最低保障額:約61万円 (月額 約5.1万円) |
加算額について
子の加算(障害基礎年金・障害厚生年金)
- 第1子・第2子:各 約23万円/年
- 第3子以降:各 約7.6万円/年
- ※ 18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の子が対象
配偶者加算(障害厚生年金のみ)
- 約23万円/年
- ※ 65歳未満の配偶者がいる場合(1級・2級のみ)
【具体例】受給金額のモデルケース
ケース1:障害基礎年金2級・子1人
会社員だったが、初診日が20歳前(学生時代)だったため障害基礎年金
年額:約81万円 + 子の加算23万円 = 約104万円(月額 約8.7万円)
ケース2:障害厚生年金2級・配偶者あり・子2人
平均月収30万円で10年間勤務後に発症
報酬比例分:約50万円 + 基礎年金81万円 + 配偶者加算23万円 + 子の加算46万円
= 約200万円(月額 約16.7万円)
ケース3:障害厚生年金3級・単身
平均月収25万円で5年間勤務後に発症
報酬比例分(最低保障額):約61万円(月額 約5.1万円)
※ 事実確認要
上記金額は令和7年度の概算額です。実際の金額や最新の加算額については、日本年金機構の公式サイトで最新情報をご確認ください。また、障害厚生年金の報酬比例分は、加入期間や平均標準報酬額によって個人ごとに異なります。
双極性障害II型でも受給できる?
「II型は軽いから受給できないのでは?」という不安を持つ方が多いのですが、これは誤解です。
📌 II型でも十分に受給対象となります
重要なのは「I型かII型か」ではなく、「症状の程度」と「日常生活への影響」です。
II型でも2級認定されるケース
- うつ状態が重度で長期化している
- 就労が継続的に困難
- 日常生活に家族の援助が必要
- 対人関係が著しく制限されている
- 軽躁状態でも判断力の低下や衝動性により問題が生じている
実際に、当事務所でサポートした双極性障害II型の方の多くが、2級の認定を受けられています。
【図表8】I型とII型の障害年金受給における違い
| 項目 | I型 | II型 |
|---|---|---|
| 受給の可否 | ○ 対象 | ○ 対象 |
| 等級の傾向 | 躁状態の重症度により1級の可能性も | うつ状態の重症度・持続性により1〜2級 |
| 診断書のポイント | 躁状態での問題行動、入院歴 | うつ状態の持続性、日常生活能力の低下 |
| 申請の注意点 | 躁状態とうつ状態の両方を詳細に記載 | 「軽い」という印象を与えないよう、具体的な困難さを記載 |
II型の方へのメッセージ
「II型だから」と諦める必要は全くありません。重要なのは、あなたの日常生活の困難さ、就労の難しさを正確に伝えることです。診断書や申立書で、具体的な症状と生活への影響を詳しく記載することが認定への鍵となります。
次のセクションでは、実際に障害年金を受給された方の具体的な事例をご紹介します。
【実例紹介】双極性障害で障害年金を受給したケース
ここでは、実際に障害年金を受給された方の事例をご紹介します。「自分と似た状況だ」と感じる部分があれば、ぜひ参考にしてください。
※ プライバシー保護について
以下の事例は、個人が特定されないよう、複数のケースを組み合わせたり、内容の一部を変更したりしています。実際の事例をもとにしていますが、そのまま再現したものではありません。
ケース1:双極性障害II型・2級認定(30代女性・元事務職)
【基本情報】
- 年齢・性別:34歳・女性
- 診断:双極性障害II型
- 診断時期:2年前
- 職歴:一般企業で事務職(現在は退職)
- 初診日:会社員時代(厚生年金加入中)
【症状と経過】
最初はうつ病と診断
28歳の時、仕事のストレスから気分の落ち込みが続き、心療内科を受診。「うつ病」と診断され、服薬治療を開始しました。
実は双極性障害II型だった
その後、時々「調子が良すぎる」時期があり、その際に衝動買いをしてしまったり、普段はしないような積極的な行動をとったりすることに。医師に相談したところ、「双極性障害II型」と診断が変更されました。
退職に至るまで
うつ状態の時は、朝起きられず欠勤が増加。軽躁状態の時は、職場で余計なことを言ってトラブルになることも。気分の波が激しく、安定して働くことができなくなり、休職を経て退職しました。
【申請時の状況】
| 就労状況 | 退職後、就職活動を試みるも困難 |
| 日常生活 |
・家事は最低限のみ(実家に戻り、親のサポート必要) ・外出は通院のみ ・対人関係は家族以外ほとんどなし |
| 症状 |
・うつ状態:月の半分以上、起床困難、希死念慮 ・軽躁状態:月に数日、多弁、衝動的行動 ・気分の波が激しく予測不能 |
| 通院 | 月2回、精神科クリニック |
| 服薬 | 気分安定薬、抗うつ薬、睡眠薬(5種類) |
【認定のポイント】
✓ 診断書での日常生活能力の評価が「(3)」
「日常生活に著しい制限があり、時に応じて援助が必要」と評価されました。
✓ 病歴・就労状況等申立書で具体的なエピソードを記載
「うつ状態の時は入浴も困難で、1週間着替えができないこともある」「軽躁状態で高額な買い物をしてしまい、後で後悔する」など、日常生活の困難さを具体的に記載しました。
✓ 就労が継続的に不可能であることを明確化
退職に至った経緯、現在も就労が困難な理由を詳細に説明しました。
✓ 「II型でも重度」であることを強調
「II型=軽症」という誤解を避けるため、うつ状態の重症度と持続性、日常生活への影響の大きさを明確に記載しました。
【結果と受給後の変化】
認定結果:障害厚生年金2級
年額:約150万円(報酬比例分を含む)
受給後の状況
- 経済的な不安が軽減され、治療に専念できるようになった
- 「働けない自分」を責める気持ちが少し楽になった
- 焦らず、ゆっくりと回復を目指せるようになった
ケース2:双極性障害I型・2級認定(40代男性・休職中)
【基本情報】
- 年齢・性別:42歳・男性
- 診断:双極性障害I型
- 診断時期:5年前
- 職歴:営業職(現在休職中)
- 初診日:会社員時代(厚生年金加入中)
【症状と経過】
躁状態での問題
37歳の時、急に「何でもできる」という万能感に包まれ、上司や取引先に対して高圧的な態度をとるように。夜もほとんど眠らず仕事をし、大きなプロジェクトを複数立ち上げようとして周囲を困惑させました。
入院を経験
躁状態がエスカレートし、家族の勧めで精神科を受診。そのまま医療保護入院となり、約2ヶ月間入院しました。診断は「双極性障害I型」。
その後の経過
退院後、復職を試みましたが、うつ状態に転じて欠勤が続き、再度休職。以降、躁状態とうつ状態を繰り返し、休職を3回経験しています。
【申請時の状況】
| 就労状況 | 休職中(3回目)、復職の見通し立たず |
| 日常生活 |
・妻のサポートが必要 ・金銭管理は妻に任せている(躁状態での浪費防止) ・家事はほとんどできない |
| 症状 |
・躁状態:年に2〜3回、多弁、易怒性、浪費 ・うつ状態:大半の期間、意欲低下、希死念慮 ・入院歴:2回 |
| 通院 | 月1回、精神科クリニック |
【認定のポイント】
✓ 入院歴が認定の重要な根拠に
医療保護入院の記録により、症状の重症度が客観的に証明されました。
✓ 躁状態での問題行動の具体的記載
職場でのトラブル、浪費の実例など、躁状態での社会生活上の問題を詳細に記載しました。
✓ 就労継続の困難性
休職を繰り返していること、復職の見通しが立たないことを明確に記載しました。
✓ 家族の援助の必要性
日常生活において妻の援助が不可欠であることを強調しました。
【結果と受給後の変化】
認定結果:障害厚生年金2級 + 配偶者加算
年額:約180万円
受給後の状況
- 休職中の収入減少に対する不安が軽減
- 焦って復職を試みることなく、治療に専念できるように
- 妻の精神的負担も軽減された
ケース3:一度却下されたが再申請で認定(30代男性)
【基本情報】
- 年齢・性別:36歳・男性
- 診断:双極性障害II型
- 診断時期:3年前
- 職歴:IT企業勤務(現在は退職)
- 初診日:会社員時代(厚生年金加入中)
【1回目の申請:却下】
却下された理由
|
問題点1:診断書の記載が不十分 主治医が「就労可能」と記載したため、「労働に制限がない」と判断されてしまった |
|
問題点2:病歴・就労状況等申立書が抽象的 「調子が悪い」「仕事が辛い」など抽象的な表現が多く、具体的な困難さが伝わらなかった |
|
問題点3:「働いている」ことが強調されすぎた 申請時に在職中だったため、「就労できている」と判断された |
【再申請への準備】
当事務所にご相談いただいた後の対策
Step 1: 医師とのコミュニケーション
- 診断書作成前に、医師に日常生活の困難さを詳しく説明
- 「就労できている」のではなく「配慮を受けながら何とか続けている」状態であることを伝達
- 実際には、短時間勤務、業務制限、頻繁な欠勤があることを明確化
Step 2: 病歴・就労状況等申立書の充実
- 具体的なエピソードを多数記載
- 「うつ状態の時は、朝のアラームに気づかず、週に2〜3回遅刻する」
- 「軽躁状態の時は、深夜まで仕事のアイデアが止まらず、翌日動けなくなる」
- 「会議で突然涙が出てしまい、退席することがある」
- 就労状況の実態を詳細に記載
- 月の出勤日数は平均15日程度
- 上司の特別な配慮により在籍できている状態
- 業務内容は単純作業のみに制限
Step 3: 状況の変化(退職)
- 再申請の準備中に、やはり就労継続が困難となり退職
- 退職に至った経緯を詳細に記載
【2回目の申請:認定】
認定結果:障害厚生年金2級
年額:約140万円
認定された理由
- 診断書で日常生活能力が「(3)著しい制限」と評価
- 病歴・就労状況等申立書で、具体的な生活の困難さが詳細に記載
- 就労の実態(制限、配慮、欠勤の多さ)が正確に伝わった
- 退職に至った経緯が説得力を持った
【このケースからの教訓】
✓ 一度却下されても諦めない
却下は「永遠に受給できない」という意味ではありません。状況が変われば、または申請方法を改善すれば、認定される可能性があります。
✓ 診断書の記載内容が重要
医師に、実際の生活状況を正確に伝えることが極めて重要です。
✓ 具体的な記載が鍵
抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードで困難さを伝えることが認定への近道です。
✓ 専門家のサポートが有効
社会保険労務士などの専門家に相談することで、認定されやすい申請書類を作成できます。
3つの事例から見えること
| 共通点 | 成功のポイント |
|---|---|
|
・双極性障害により日常生活に著しい制限 ・就労の継続が困難 ・長期的な治療が必要 ・家族の援助が必要な状態 |
・診断書で日常生活能力が正確に評価 ・病歴・就労状況等申立書で具体的なエピソードを記載 ・就労の実態(制限・配慮)を明確化 ・諦めずに適切な方法で申請 |
あなたも受給できる可能性があります
上記の事例と似た状況にある方は、ぜひ障害年金の申請を検討してください。「自分には無理」と諦める前に、まずは専門家に相談することをお勧めします。
次のセクションでは、実際の申請手続きの流れと重要なポイントについて詳しく解説します。
双極性障害の障害年金申請、手続きの流れ
「申請は複雑そうで自分にはできない…」と感じる方も多いかもしれません。しかし、手順を理解し、一つひとつ丁寧に進めていけば、必ず申請できます。このセクションでは、申請の全体像と重要なポイントを解説します。
申請の全体像(フロー図)
【図表9】障害年金申請の流れ
初診日の確定
いつ、どこで初めて受診したか
受診状況等証明書の取得
初診の医療機関から取得
診断書の作成依頼
現在の主治医に依頼
病歴・就労状況等申立書の作成
自分で記載(最重要書類)
必要書類の準備・提出
年金事務所または年金相談センターへ
審査・認定
3〜4ヶ月程度
所要期間の目安
書類準備から認定まで、順調に進んで約4〜6ヶ月かかります。初診日の証明に時間がかかる場合や、診断書の作成に時間を要する場合は、さらに長くなることもあります。
特に重要な3つのポイント
① 初診日の証明
初診日とは
障害の原因となった病気(双極性障害)で初めて医師の診察を受けた日です。
双極性障害における初診日の考え方
| ケース | 初診日の判断 |
|---|---|
| 最初から双極性障害と診断 | その医療機関を受診した日 |
| 最初は「うつ病」、後に「双極性障害」と診断変更 | うつ病で最初に受診した日 |
| 内科で「不眠」「倦怠感」を訴え、後に精神科へ | 内科を受診した日(※因果関係による) |
| 転院を繰り返している | 最初の医療機関を受診した日 |
初診日を証明する書類
1. 受診状況等証明書(最も重要)
- 初診の医療機関で作成してもらう
- 受診日、病名、治療内容などが記載される
- 費用:3,000円〜10,000円程度(医療機関により異なる)
- 作成期間:1〜2週間程度
2. 受診状況等証明書が添付できない申立書
初診の医療機関でカルテが廃棄されている場合などに使用
- 初診日が証明できない理由を記載
- 以下の参考資料を添付:
- 2番目以降の医療機関の診察券・領収書
- お薬手帳
- 健康保険の給付記録
- 家族や第三者の証明
📌 コラム:初診日の証明が難しい場合の対処法
双極性障害の場合、以下のような理由で初診日の証明が困難なケースがあります。
よくある困難事例
- 初診から10年以上経過し、カルテが廃棄されている
- 初診の病院が閉院している
- 転院を繰り返し、最初の病院を覚えていない
- 最初は内科など、精神科以外を受診していた
対処法
- 健康保険の給付記録を確認(協会けんぽや健康保険組合に照会)
- お薬手帳の古い記録を探す
- 家族の記憶を頼りに、受診時期を絞り込む
- 第三者証明(同僚、友人など)を活用
このような場合でも、諦めずに証拠を集めることで初診日が認められるケースは多くあります。専門家のサポートが特に有効な場面です。
② 診断書の内容
診断書は、障害の程度を判定する最も重要な書類です。現在の主治医に作成を依頼します。
診断書に記載される主な内容
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| 傷病名 | 双極性障害I型 / II型 |
| 初診日 | 最初に医師の診察を受けた日 |
| 現症及び予後 | 現在の症状、治療内容、今後の見通し |
| 日常生活能力の判定 | 8項目の評価(できる/援助があればできる/できない) |
| 日常生活能力の程度 | 5段階評価(最重要項目) |
| 就労状況 | 就労の有無、配慮の内容など |
💡 診断書作成時の重要ポイント
医師に正確に伝えるべきこと
- 「良い時」ではなく「悪い時」の状態を伝える
双極性障害は症状に波があるため、診察時に調子が良いこともあります。しかし、最も困難な時期の状態を医師に理解してもらうことが重要です。 - 日常生活の具体的な困難を伝える
「調子が悪い」という抽象的な表現ではなく:- 「起床できず、午後まで寝ている日が週に3〜4日ある」
- 「入浴が1週間できないことがある」
- 「買い物に行けず、家族に頼んでいる」
など、具体的に伝えましょう。
- 就労の実態を正確に伝える
働いている場合:- どのような配慮を受けているか
- 欠勤・遅刻・早退の頻度
- 業務内容の制限
- 周囲のサポートの状況
を詳しく伝えます。
診断書作成前の準備
- メモを作成して持参する(症状、困難な状況を箇条書き)
- 家族に同席してもらう(客観的な視点)
- 診断書の様式を事前に確認し、記載項目を理解しておく
⚠️ 診断書でよくある失敗
- 医師が「就労可能」と記載してしまう
→ 実際には配慮を受けながら何とか働いている状態なのに、医師がその実態を把握していない - 日常生活能力の評価が甘い
→ 診察室では普通に会話できるため、医師が日常の困難さを理解していない - 「良い時」の状態で記載される
→ たまたま調子の良い時期に診察を受け、その状態で診断書が作成される
③ 病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は、請求者自身(または代理人)が作成する書類で、診断書と同じく非常に重要です。
病歴・就労状況等申立書とは
発病から現在までの病歴、治療の経過、日常生活や就労の状況を時系列で記載する書類です。診断書だけでは伝わりにくい、具体的な生活の困難さを伝えることができます。
【図表10】病歴・就労状況等申立書の構成
| 時期 | 記載する内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 発病〜初診 |
・最初の異変に気づいた時期 ・どのような症状があったか ・初めて受診した経緯 |
初診日の妥当性を補強 |
| 初診〜現在 |
・治療の経過(転院、入院など) ・症状の変化 ・日常生活への影響 ・就労状況の変化 |
3〜5年ごとに区切って記載 症状の重さと持続性を強調 |
| 現在 |
・現在の症状 ・日常生活の状況 ・就労の状況 ・家族の援助 |
最も重要 具体的なエピソードを豊富に |
💡 効果的な記載のコツ
1. 具体的なエピソードを書く
❌ 悪い例(抽象的)
「調子が悪くて、仕事ができない。日常生活も大変です。」
✅ 良い例(具体的)
「うつ状態の時は、朝のアラームに気づかず、午後2時頃まで寝ていることが週に3〜4日あります。起きても着替える気力がなく、パジャマのまま1日を過ごします。食事も作れず、カップ麺だけで済ませることが多く、体重が3ヶ月で8kg減少しました。入浴は週に1回程度で、母に促されてようやく入ります。軽躁状態の時は、深夜2時まで掃除や片付けを続け、翌日は疲労困憊で動けなくなります。」
2. 数字を使って客観性を持たせる
- 欠勤日数:「月に10日程度欠勤」
- 睡眠時間:「うつ状態では14時間以上、軽躁状態では3時間程度」
- 外出頻度:「通院以外の外出は月に1〜2回」
3. 「できないこと」を明確に書く
- 「金銭管理ができず、家族に通帳を預けている」
- 「公共交通機関を一人で利用できない」
- 「買い物に行けず、家族に頼んでいる」
- 「予定を立てられず、通院も家族が管理」
4. 家族の援助を具体的に書く
- 「母が毎朝起こしに来てくれる」
- 「妻が服薬管理をしている」
- 「父が通院に付き添っている」
申請から認定までの期間
書類を年金事務所に提出してから、認定結果が届くまでの標準的な期間は約3〜4ヶ月です。
【図表11】審査の流れと期間
| 段階 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 書類提出 | 年金事務所に書類一式を提出 | − |
| 受付・審査 | 日本年金機構で書類の確認・審査 | 約2〜3ヶ月 |
| 認定 | 障害等級の決定 | − |
| 結果通知 | 年金証書または不支給決定通知書の送付 | 認定から約1〜2週間 |
| 初回入金 | 年金の振り込み開始 | 認定から約1〜2ヶ月後 |
※ 事実確認要
審査期間は申請の時期や混雑状況により変動します。最新の標準処理期間については、日本年金機構のウェブサイトでご確認ください。
審査中の注意点
- 追加書類の提出を求められることがあります(速やかに対応しましょう)
- 審査中に症状が悪化した場合でも、原則として認定日時点の状態で判定されます
- 結果が出るまで不安な日々が続きますが、焦らず待ちましょう
次のセクションでは、申請でよくある失敗例と、その対策について詳しく解説します。
双極性障害の障害年金申請、よくある失敗と対策
障害年金の申請は、一度却下されると再申請が難しくなるケースもあります。このセクションでは、よくある失敗パターンを知り、同じ失敗を避けるためのポイントを解説します。
却下されやすい3つのパターン
当事務所に相談に来られる方の中には、「一度自分で申請したが却下された」という方が少なくありません。却下される理由には、共通するパターンがあります。
【図表12】却下される主な理由と対策
| No. | 却下理由 | なぜ起こるか | 対策 |
|---|---|---|---|
| 1 |
診断書の記載が不十分 日常生活能力の評価が実態より高く記載される |
・診察時は調子が良い ・医師に困難さを伝えていない ・「良く見せたい」心理が働く ・医師が日常の実態を把握していない |
・診断書作成前に医師と面談 ・「最も困難な時期」の状態を伝える ・メモを持参して具体的に説明 ・家族に同席してもらう |
| 2 |
病歴・就労状況等申立書が抽象的 具体性がなく、困難さが伝わらない |
・「調子が悪い」などの抽象的表現 ・具体的なエピソードがない ・症状の重さが伝わらない ・記載すべき内容を理解していない |
・数字を使って客観的に記載 ・具体的なエピソードを豊富に ・「できないこと」を明確に記載 ・家族の援助を詳しく記載 |
| 3 |
初診日の証明不足 初診日が特定できず、要件を満たせない |
・カルテが廃棄されている ・転院を繰り返している ・最初の受診を覚えていない ・参考資料が不足 |
・健康保険の給付記録を取得 ・お薬手帳など参考資料を探す ・第三者証明を活用 ・専門家に相談 |
却下を避けるための鉄則
- 診断書作成前に医師と十分にコミュニケーション
- 病歴・就労状況等申立書は具体的に、詳細に記載
- 初診日の証明は早めに準備(参考資料を多数用意)
- 不安な場合は専門家に相談
自力申請と専門家依頼、どちらを選ぶ?
障害年金の申請は、自分で行うことも、社会保険労務士などの専門家に依頼することも可能です。それぞれのメリット・デメリットを理解して、自分に合った方法を選びましょう。
【図表13】自力申請 vs 専門家依頼の比較
| 項目 | 自力申請 | 専門家依頼(社労士) |
|---|---|---|
| 費用 |
◎ 無料 診断書代など実費のみ |
△ 有料 着手金+成功報酬 (目安:初回受給額の2ヶ月分程度) |
| 手間 |
× 大変 ・書類収集 ・申立書作成 ・医師との調整 すべて自分で対応 |
◎ 楽 ・書類収集代行 ・申立書作成代行 ・医師サポート ほとんど任せられる |
| 認定率 |
△ 低め 知識不足により記載漏れや不備が発生しやすい |
◎ 高め 専門知識により適切な書類作成が可能 |
| 等級 |
△ 低めの傾向 困難さが十分に伝わらないことがある |
◎ 適切な等級 実態に即した等級認定がされやすい |
| 精神的負担 |
× 重い ・複雑な手続きへの不安 ・却下されるかもしれない不安 ・症状悪化時の対応困難 |
◎ 軽い ・専門家に任せる安心感 ・質問や相談ができる ・治療に専念できる |
| 却下時の対応 |
× 困難 審査請求の方法がわからない |
◎ サポートあり 審査請求も対応可能 |
【図表14】こんな方は専門家への依頼がおすすめ
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 初診日の証明が難しい | カルテ廃棄、転院繰り返しなど → 専門的な対応が必要 |
| 症状が重く、手続きが困難 | 書類作成や医療機関とのやり取りが大きな負担 |
| 働きながら申請したい | 就労と障害の関係を適切に説明する必要がある |
| 一度却下された経験がある | 却下理由の分析と改善が必要 |
| 確実に受給したい | 専門知識により認定率が高まる |
| より高い等級を目指したい | 実態を適切に伝える書類作成のノウハウが必要 |
💰 専門家依頼の費用について
一般的な報酬体系(成功報酬型)
- 着手金:0円〜5万円程度(事務所により異なる)
- 成功報酬:初回受給額の2ヶ月分程度(上限あり)
- 不支給の場合:報酬不要(着手金のみの場合が多い)
費用例(2級認定、年額150万円の場合)
成功報酬:150万円 ÷ 12ヶ月 × 2ヶ月 = 約25万円
💡 考え方のポイント
専門家に依頼することで、認定率が上がり、適切な等級で認定される可能性が高まります。例えば、自力申請で不支給や3級になる可能性があるケースで、専門家依頼により2級で認定されれば、年額で数十万円〜100万円以上の差が出ることもあります。長期的に見れば、報酬以上のメリットがあると言えるでしょう。
社労士に依頼する3つのメリット
障害年金申請を専門とする社会保険労務士に依頼すると、具体的にどのようなサポートが受けられるのでしょうか。
【メリット1】診断書作成の医師サポート
何をしてくれるか:
- 診断書作成前に、医師に伝えるべき内容を整理
- 診察同席(医療機関が許可する場合)
- 医師への情報提供書類の作成
- 診断書の記載内容チェック(必要に応じて修正依頼)
なぜ重要か:
医師は病気の専門家ですが、障害年金の認定基準の専門家ではありません。診断書の記載一つで等級が変わることもあるため、認定基準を熟知した社労士のサポートが有効です。
実例:
医師が最初に「就労:可能」と記載したケースで、社労士が「週3日・4時間のみ、業務制限あり、欠勤多数」という実態を説明。医師が記載を修正し、「就労:著しい制限あり」となった結果、2級認定につながりました。
【メリット2】病歴・就労状況等申立書の代行作成
何をしてくれるか:
- 詳細なヒアリングの実施
- 認定に有利な形での文章作成
- 具体的なエピソードの掘り起こし
- 症状の重さが伝わる表現の工夫
なぜ重要か:
病歴・就労状況等申立書は、診断書では伝わらない日常生活の困難さを伝える唯一の書類です。しかし、症状が重い方ほど、この書類を書くこと自体が困難です。また、「何をどう書けばいいかわからない」という方がほとんどです。
社労士が作成すると:
- 抽象的な表現を具体的なエピソードに変換
- 「できること」ではなく「できないこと」を強調
- 数字を使った客観的な記載
- 家族の援助を詳細に記載
これにより、審査する側に正確に実態が伝わります。
【メリット3】却下時の審査請求対応
何をしてくれるか:
- 却下理由の分析
- 審査請求(不服申立)の手続き代行
- 追加資料の準備
- 再申請の戦略立案
なぜ重要か:
万が一却下された場合、3ヶ月以内に審査請求を行うことができます。しかし、この手続きは非常に専門的で、一般の方が一人で対応するのは極めて困難です。
審査請求での逆転事例:
一度不支給となったケースで、社労士が審査請求を行い、診断書の記載内容と実際の日常生活の乖離を詳細に説明。追加の医師意見書を提出した結果、2級で認定されました。
「諦めない障害年金」のために
当事務所では、「諦めない障害年金」をコンセプトに、一人ひとりの状況に寄り添った丁寧なサポートを行っています。
- 初回相談無料
- 完全成功報酬制(不支給の場合、報酬不要)
- 神戸を中心に兵庫県全域対応
- オンライン相談も可能
「自分で申請できるか不安」「一度却下された」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
次のセクションでは、双極性障害の障害年金に関するよくある質問にお答えします。
双極性障害の障害年金、気になる疑問を解決【Q&A】
ここでは、双極性障害の障害年金についてよくいただく質問にお答えします。あなたの不安や疑問の解消にお役立てください。
Q1: 働きながらでも障害年金は受給できますか?
A: はい、働きながらでも受給できます。
障害年金の認定基準は「働いているかどうか」ではなく、「日常生活や労働にどの程度の制限があるか」です。
受給できる可能性が高いケース:
- 就労継続支援A型・B型で働いている → 福祉的就労は「著しい制限」と評価されやすい
- 短時間勤務(週3日、1日4時間など)で、配慮を受けている
- 業務内容が制限されている(単純作業のみなど)
- 欠勤が多い(月の半分程度しか出勤できないなど)
- 上司や同僚の特別な配慮により何とか続けている
受給が難しいケース:
- フルタイムで制限なく働いている
- 一般的な業務を問題なく遂行できている
- 安定して出勤し、昇進や異動も可能
💡 重要なポイント
申請時に「働いている」ことを記載する際は、どのような制限や配慮を受けているかを詳しく説明することが重要です。「働けている」ではなく「配慮を受けて何とか働いている」という実態を伝えましょう。
Q2: 双極性障害の診断を受けたばかりですが、すぐに申請できますか?
A: 診断後すぐには申請できません。「障害認定日」を迎える必要があります。
障害認定日とは:
初診日から1年6ヶ月経過した日、または1年6ヶ月以内に症状が固定した日のことです。
【図表15】申請可能時期のパターン
| パターン | 申請可能時期 | 申請方法 |
|---|---|---|
| 原則 | 初診日から1年6ヶ月後 | 認定日請求 過去に遡って受給 |
| 認定日以降も症状が続く場合 | いつでも申請可能 | 事後重症請求 申請月の翌月から受給 |
例:
- 初診日:令和5年4月1日
- 障害認定日:令和6年10月1日(1年6ヶ月後)
- 申請可能:令和6年10月1日以降
💡 診断後すぐにできること
- 初診日の記録を保管:診察券、領収書、お薬手帳など
- 定期的に通院:治療の継続性が重要
- 日常生活の記録:症状や困難さをメモしておく
- 専門家に早めに相談:申請の準備を計画的に進められる
Q3: 一度却下されたら、もう申請できませんか?
A: いいえ、諦める必要はありません。再申請は可能です。
一度却下されても、以下の方法があります。
【1】審査請求(不服申立)
期限:却下の決定通知を受け取ってから3ヶ月以内
内容:却下決定を不服として、再審査を求める
メリット:認められれば、当初の申請日に遡って受給できる
注意:専門的な手続きなので、社労士のサポートが推奨される
【2】再申請(事後重症請求)
時期:いつでも可能
内容:症状が悪化した、または前回の申請内容を改善して再度申請
ポイント:
- 前回の却下理由を分析
- 診断書の記載を改善
- 病歴・就労状況等申立書を具体的に作成
- 専門家に相談して申請方法を見直す
実際に再申請で認定されたケース(前述のケース3):
- 1回目:診断書と申立書の記載が不十分で却下
- 社労士に相談し、書類作成を改善
- 2回目:障害厚生年金2級で認定
⚠️ 注意点
再申請の場合、認定されても再申請した月の翌月からの受給となります(遡及はできません)。ただし、審査請求で認められた場合は、当初の申請日まで遡って受給できます。
Q4: 会社や家族に知られずに申請できますか?
A: 基本的には知られずに申請できますが、一部例外があります。
【会社に知られるか】
原則:知られません
- 申請手続きは個人で行う
- 会社に連絡が行くことはない
- 年金証書も自宅に郵送される
例外的に知られる可能性があるケース:
- 初診日の証明で、会社の健康保険組合に照会が必要な場合(稀)
- 給与明細で厚生年金保険料の引き落としが変わる場合(障害厚生年金受給後)
- 自分から会社に報告した場合
【家族に知られるか】
同居家族:知られる可能性が高い
- 診断書や書類が自宅に郵送される
- 年金証書も自宅に届く
- 病歴・就労状況等申立書の作成に家族の協力が有効
別居家族:知られずに申請可能
- 郵送物は現住所に届く
- 本人の意思で伝えない限り知られない
💡 プライバシーへの配慮
当事務所では、プライバシーに最大限配慮してサポートを行います。ご希望があれば、郵送物の送付方法なども個別に相談できます。安心してご相談ください。
Q5: 受給したら一生もらい続けられますか?
A: 状況によります。定期的な診断書提出(更新)が必要なケースが多いです。
【障害年金の更新制度】
障害年金は、「有期認定」と「永久認定」の2種類があります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 有期認定 |
1〜5年ごとに診断書を提出し、障害の状態を再審査 → 症状が改善していれば等級変更や支給停止の可能性あり → 症状が悪化していれば等級が上がることも ※ 双極性障害の多くはこちら |
| 永久認定 |
診断書の再提出不要、原則として生涯受給 ※ 精神疾患では稀(身体障害に多い) |
更新時のポイント:
- 症状が安定していても、「日常生活や就労に制限がある」ことが継続していれば、受給は続きます
- 「調子が良くなった」と医師に伝えすぎると、等級が下がったり支給停止になる可能性があります
- 更新時も、実際の生活の困難さを正確に伝えることが重要です
💡 更新のサポートも可能
当事務所では、更新時の診断書作成サポートも行っています。「等級が下がらないか心配」という方も、お気軽にご相談ください。
Q6: 他の福祉サービスと併用できますか?
A: はい、多くの福祉サービスと併用できます。
【併用可能なサービス・制度】
| サービス・制度 | 併用 | 備考 |
|---|---|---|
| 精神障害者保健福祉手帳 | ✓ 可能 | 税控除、公共料金割引など |
| 自立支援医療(精神通院) | ✓ 可能 | 医療費の自己負担軽減 |
| 就労継続支援A型・B型 | ✓ 可能 | 福祉的就労との併用OK |
| 生活保護 | △ 条件付き | 障害年金は収入として計算される |
| 傷病手当金 | △ 条件付き | 同時受給は調整あり |
| 失業保険(雇用保険) | △ 原則不可 | 「就労可能」が前提の制度のため |
特に有用な組み合わせ:
【組み合わせ例1】
障害年金2級 + 精神障害者保健福祉手帳2級 + 自立支援医療
→ 生活費を確保しつつ、医療費負担も軽減
【組み合わせ例2】
障害年金2級 + 就労継続支援B型
→ 年金で生活費を確保し、無理のない範囲で社会参加
💡 相乗効果を活用
障害年金を受給することで、精神障害者保健福祉手帳の取得もしやすくなります。手帳があれば、税控除や公共交通機関の割引など、さまざまなメリットがあります。併用できる制度を積極的に活用しましょう。
他にも疑問がある方は…
ここで取り上げた以外にも、個別の状況によって様々な疑問があると思います。当事務所では、無料相談で丁寧にご質問にお答えしています。どんな小さな疑問でも、お気軽にご相談ください。
まとめ:双極性障害の障害年金、諦めずに専門家に相談を
ここまで、双極性障害における障害年金について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
この記事のポイント
✓ 双極性障害は障害年金の対象です
I型・II型を問わず、日常生活や就労に著しい制限があれば受給できます。「II型だから無理」「精神疾患だから対象外」ということはありません。
✓ 働きながらでも受給できます
配慮を受けている、短時間勤務、業務制限がある、就労継続支援を利用しているなど、「制限を受けながら働いている」状態であれば受給可能です。
✓ 受給額は等級と年金の種類で決まります
障害基礎年金2級:月額約6.8万円
障害厚生年金2級:報酬比例分+基礎年金(配偶者・子の加算あり)
家族構成により月額10万円〜15万円以上になることも。
✓ 申請のポイントは3つ
① 初診日の証明を確実に
② 診断書で実態を正確に記載
③ 病歴・就労状況等申立書を具体的に作成
✓ よくある失敗を避けましょう
診断書の記載不足、申立書が抽象的、初診日の証明不足が却下の主な原因です。専門家のサポートでこれらの失敗を避けられます。
✓ 一度却下されても諦めない
審査請求や再申請で認定される可能性があります。当事務所でも、却下後のサポートで多くの方が認定されています。
神戸で障害年金申請をお考えなら、清水総合法務事務所へ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
私たち清水総合法務事務所は、神戸市須磨区を拠点に、「諦めない障害年金」をコンセプトとして、障害年金申請の専門サポートを行っている社会保険労務士事務所です。
当事務所の特徴
障害年金申請の専門家
双極性障害をはじめとする精神疾患の障害年金申請を数多く手がけてきました。豊富な経験と専門知識で、あなたの申請をサポートします。
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初回のご相談は無料です。「自分は対象になるのか」「どう進めればいいのか」など、どんな疑問にも丁寧にお答えします。
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まずは無料相談からお気軽に
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双極性障害と診断され、日々の生活に苦しんでいる方へ。
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障害年金は、あなたのような状況にある方を支援するための制度です。「自分には関係ない」「手続きが複雑で無理」と諦める前に、まずは可能性を確認してみてください。
当事務所のコンセプトは「諦めない障害年金」です。
どんなに複雑なケースでも、どんなに困難な状況でも、私たちは諦めずにあなたをサポートします。一度却下された方、初診日の証明が難しい方、どんな状況の方でも、まずはご相談ください。
あなたが安心して治療に専念できるよう、経済的な基盤を整えるお手伝いをさせてください。
清水総合法務事務所
代表 社会保険労務士 清水 良訓
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