前立腺がんで障害年金を受給する方法|認定基準と申請のポイント

前立腺がんで障害年金を受給する方法|認定基準と申請のポイント

乳がんの治療を続けながら、経済的な不安を抱えていませんか?抗がん剤の副作用で体調が優れず、仕事を続けることが難しくなった。医療費の負担が重く、これからの生活に不安を感じている。そんな状況の中で、「障害年金」という制度があることをご存知でしょうか。

実は、乳がんで治療を受けている方の中には、障害年金の受給対象になる可能性がある方が少なくありません。障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が出ている方を支援するための公的な制度です。症状の程度によっては、年間78万円から165万円程度の年金を受け取ることができます。

しかし、「自分は対象になるのだろうか」「申請の手続きが複雑そうで諦めてしまいそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。実際、障害年金の申請には専門的な知識が必要で、診断書の内容や書類の準備が不十分だと、本来受給できるはずの方が不支給になってしまうケースもあります。

この記事では、乳がんで障害年金を受給するために知っておくべき情報を、社会保険労務士の立場から詳しく解説します。具体的には、以下の内容をご紹介します。

  • 乳がんで障害年金を受給できる3つの条件
  • 障害認定基準(どのような状態で何級に認定されるか)
  • 診断書や申請書類の作成ポイント
  • 実際に受給された方の事例(3件)
  • 初診日の証明が困難な場合の対処法
  • よくある質問と注意点

当事務所「清水総合法務事務所」は、神戸・兵庫県を中心に障害年金の申請サポートを専門的に行っています。「諦めない障害年金」をコンセプトに、初診日の証明が難しいケースや、一度不支給になった方の再申請など、複雑な状況にも対応してきました。

乳がんの治療は長期にわたることが多く、経済的な負担は想像以上に大きくなります。障害年金という制度を活用することで、少しでも生活の不安を軽減し、治療に専念できる環境を整えていただきたいと考えています。

まずはこの記事を通じて、ご自身が障害年金の対象になる可能性があるかを確認してみてください。そして、少しでも不安や疑問があれば、お気軽にご相談ください。神戸の障害年金専門社労士が、あなたの状況を丁寧にお伺いします。

目次

乳がんとは?障害年金との関係

乳がんの基本知識

乳がんは、乳房にある乳腺にできる悪性腫瘍です。多くは乳管から発生しますが、稀に小葉から発生することもあります。日本では女性の9人に1人が生涯で乳がんにかかるとされており、決して珍しい病気ではありません。また、稀ではありますが、男性も乳がんを発症することがあります。

乳がんは40代後半から50代前半の発症が多く、早期発見できれば治療の選択肢も広がります。しかし、初期段階では自覚症状が乏しいため、発見時には既に進行しているケースも少なくありません。リンパ節や、骨・肺・肝臓・脳などの臓器に転移している場合、治療はより長期にわたり、日常生活への影響も大きくなります。

治療方法としては、手術療法(乳房部分切除術、乳房全切除術など)、薬物療法(抗がん剤治療、ホルモン療法)、放射線療法などがあり、多くの場合これらを組み合わせて行われます。特に抗がん剤治療では、吐き気、倦怠感、脱毛、食欲不振、末梢神経障害といった副作用が強く現れることがあり、日常生活に大きな制限が生じます。

[要確認: 乳がんの最新の医学情報や統計データについては、厚生労働省や国立がん研究センターの公式情報をご確認ください]

障害年金の対象になる理由

「乳がん」と聞くと、「がんは障害年金の対象になるのだろうか」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は、乳がんも障害年金の対象になります。

ここで大切なのは、障害年金は「病名」で判断されるのではなく、「日常生活への支障の度合い」で判断されるという点です。たとえ病名が同じ「乳がん」であっても、症状の程度や治療の副作用によって、日常生活への影響は一人ひとり大きく異なります。

例えば、以下のような状況にある方は、障害年金の対象になる可能性があります。

  • 抗がん剤治療の副作用で、日中の大半を横になって過ごしている
  • 全身の倦怠感が強く、家事や買い物に家族のサポートが必要
  • 痛みや体調不良のため、外出が困難になっている
  • 転移による症状で、身の回りのことにも介助が必要な状態
  • 仕事を続けることが難しく、休職または退職を余儀なくされた

障害年金制度では、乳がんは「悪性新生物による障害」として認定基準が定められています。(参照: 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準)

つまり、乳がんと診断されたからといって自動的に受給できるわけではありませんが、症状や治療の副作用によって日常生活に大きな制限が生じている場合には、障害年金を受給できる可能性が十分にあるのです。

「自分はまだ寝たきりではないから」「少しは動けるから対象外では」と諦める必要はありません。次のセクションでは、具体的にどのような条件を満たせば受給できるのかを詳しく解説していきます。

乳がんで障害年金を受給できる3つの条件

障害年金を受給するためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。ご自身の状況に当てはまるかどうか、一つずつ確認していきましょう。

①初診日の要件

初診日とは、乳がんに関する症状で初めて医療機関を受診した日のことです。この初診日が証明できることが、障害年金を受給するための第一の条件になります。

初診日は、障害年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)や保険料納付要件の判断に関わる、非常に重要な日付です。多くの場合、乳がんと診断された病院の初診日が該当しますが、診断前に「しこりがある」「胸に違和感がある」などの症状で別の医療機関を受診していた場合は、その日が初診日になります。

【重要な注意点】良性腫瘍と悪性腫瘍は別傷病です

過去に乳腺線維腫などの良性腫瘍で受診したことがある方は注意が必要です。良性腫瘍と悪性腫瘍(乳がん)は、医学的に組織が異なるため、障害年金の制度上は別の傷病として扱われます。

つまり、乳腺線維腫で受診した日は初診日にはならず、あくまで悪性腫瘍である乳がんに関連する症状で初めて受診した日が初診日となります。この点を誤って申請すると、初診日の認定で問題が生じる可能性がありますので、十分にご注意ください。

初診日の証明方法

初診日を証明するためには、「受診状況等証明書」という書類を医療機関に作成してもらいます。ただし、初診の医療機関と現在診断書を作成してもらう医療機関が同じ場合は、診断書だけで初診日が証明できるため、受診状況等証明書は不要です。

初診日の証明が困難なケースについては、後ほど別のセクションで詳しく解説します。

②保険料納付要件

2つ目の条件は、年金保険料を一定期間きちんと納付していることです。具体的には、初診日の前日時点で、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。

【原則】
初診日がある月の2ヶ月前までの年金加入期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付または免除していること。

【特例措置】
初診日がある月の2ヶ月前までの直近1年間に、保険料の未納がないこと。
※この特例は、初診日が2026年4月1日前にある場合に適用されます。

多くの方は、この特例措置の条件で判断されます。例えば、初診日が2023年6月15日の場合、2022年4月から2023年4月までの1年間に未納がなければ、保険料納付要件を満たすことになります。

会社員や公務員として厚生年金に加入し続けていた方は、給料から天引きされているため、基本的に未納の心配はありません。一方、国民年金に加入していた期間がある方や、転職・退職などで年金の切り替えがあった方は、未納期間がないか確認が必要です。

保険料の納付状況は、お近くの年金事務所で確認することができます。申請前に一度確認されることをおすすめします。

③障害状態の要件

3つ目の条件は、国が定める障害状態に該当していることです。具体的には、以下のいずれかの時点で障害状態にあることが必要です。

【障害認定日による請求】
初診日から1年6ヶ月経過した日(これを「障害認定日」といいます)の時点で、障害状態に該当している場合。この方法で認定されると、障害認定日まで遡って年金を受け取ることができます。

【事後重症による請求】
障害認定日の時点では障害状態に該当していなかったが、その後症状が悪化し、現在(請求時点)では障害状態に該当している場合。この方法では、請求した月の翌月分から年金が支給されます。

「障害状態」とは具体的にどのような状態を指すのか、次のセクションで詳しく解説します。

【重要】受給要件チェックリスト

要件 確認内容 チェック
①初診日 乳がんに関する症状で初めて医療機関を受診した日が特定できる
※良性腫瘍の受診日は含まない
②保険料納付 初診日の前日時点で、直近1年間に未納がない
または、加入期間の3分の2以上で納付・免除
③障害状態 障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)または現在、国が定める障害状態に該当している

※すべてにチェックが入る方は、障害年金を受給できる可能性があります。

この3つの条件を満たしているかどうかの判断が難しい場合や、過去に未納期間があって不安な場合は、お気軽にご相談ください。当事務所では、受給の可能性について無料で診断いたします。

障害認定基準|どのような状態で何級に認定されるか

ここでは、具体的にどのような状態であれば障害年金が受給できるのか、障害等級ごとの認定基準について詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせながらご覧ください。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。どちらが適用されるかは、初診日にどの年金制度に加入していたかで決まります。

障害基礎年金
初診日に国民年金に加入していた場合、または20歳前に初診日がある場合に該当します。障害等級は1級と2級のみで、3級はありません。自営業の方、専業主婦(夫)の方、学生の方などが対象になります。

障害厚生年金
初診日に厚生年金に加入していた場合に該当します。障害等級は1級、2級、3級があり、さらに3級に該当しない場合でも一時金として「障害手当金」が支給される可能性があります。会社員や公務員として働いていた方が対象になります。

どちらの年金に該当するかによって、受給できる等級の範囲や金額が異なりますので、まずはご自身の初診日時点での加入状況を確認することが大切です。

一般状態区分表による判断

障害年金の審査では、「一般状態区分表」という基準が用いられます。これは、日常生活の状態をア~オの5段階に分類したもので、診断書にも記載される重要な指標です。

区分 日常生活の状態 該当する障害等級の目安
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発症前と同等にふるまえる 非該当
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる
(例:軽い家事、事務作業など)
非該当
歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している 2級または3級
身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能 2級
身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られる 1級

一般状態区分表のウ~オに該当する場合、障害年金を受給できる可能性が高いとされています。ただし、この表だけで機械的に等級が決まるわけではなく、実際には以下で説明する様々な要素を総合的に判断して認定が行われます。

例えば、「日中の半分以上は横になっている」「家事に家族の手助けが必要」「通院に付き添いが必要」といった状態であれば、ウまたはエに該当する可能性があります。「寝たきりではないから対象外」と諦める必要はありません。

乳がんにおける具体的な認定基準

乳がんは「悪性新生物による障害」として認定されますが、審査では一般状態区分表に加えて、以下のような要素が総合的に考慮されます。

転移の有無と範囲
骨転移、肺転移、肝転移、脳転移など、がんが他の臓器に転移しているかどうか、転移の範囲がどの程度かが重要な判断材料になります。複数の臓器に転移している場合や、重要な臓器に転移している場合は、より上位の等級に認定される可能性があります。

抗がん剤治療の副作用の程度
抗がん剤治療を受けている場合、その副作用が日常生活にどの程度影響を与えているかが評価されます。具体的には、以下のような症状が考慮されます。

  • 強い倦怠感で、日中の大半を横になって過ごしている
  • 吐き気や食欲不振により、食事が十分に摂れない
  • 末梢神経障害により、手足のしびれや痛みがある
  • 骨髄抑制により、感染症のリスクが高く外出が制限される
  • 貧血や出血傾向がある

全身状態と体力の低下
体重減少、発熱、痛みなどの症状により、日常生活動作(ADL)がどの程度制限されているかが評価されます。例えば、以下のような状況です。

  • 入浴や着替えに時間がかかる、または介助が必要
  • 買い物や家事ができない、または家族の手助けが必要
  • 通院に付き添いが必要
  • 長時間の座位や立位が困難

就労への影響
特に障害厚生年金3級の判断では、就労に対する制限の程度も考慮されます。フルタイムでの勤務が困難で時短勤務になっている、軽作業に限定されている、頻繁に休みを取らざるを得ない、といった状況が該当します。

(参照: 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準)

障害等級と受給額の目安

実際に認定された場合、どのくらいの年金を受け取れるのか、等級ごとの目安をご紹介します。

【重要】障害等級と受給額の目安

障害等級 障害の状態 障害基礎年金(年額) 障害厚生年金(年額)
1級 終日就床を強いられ、活動範囲がベッド周辺に限られる。常に介助が必要。 約104万円
(月額約8.7万円)
約104万円
+報酬比例額×1.25
2級 日中の50%以上就床しており、身の回りのことにしばしば介助が必要。屋外への外出がほぼ不可能。 約83万円
(月額約6.9万円)
約83万円
+報酬比例額
3級 労働に著しい制限を受ける。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している。
※障害厚生年金のみ

(3級はなし)
最低保障額
約62万円
(月額約5.2万円)

※金額は2025年度(令和7年度)の基準です。子どもがいる場合は加算があります。
※障害厚生年金の報酬比例額は、加入期間や過去の給与額によって個人差があります。
※最新の金額については、日本年金機構の公式サイトでご確認ください。

障害厚生年金の場合、基礎年金部分に加えて、厚生年金加入中の報酬に応じた「報酬比例額」が上乗せされます。そのため、実際の受給額は基礎年金よりも高くなります。例えば、2級で年額130万円~180万円程度になるケースも少なくありません。

また、障害認定日での請求(遡及請求)が認められた場合、最大5年分の年金を遡って受け取ることができます。例えば、2級で3年分遡及した場合、初回に約250万円~300万円程度を受け取れる可能性があります。

次のセクションでは、実際に申請する際の具体的なポイントについて解説します。

乳がんで障害年金を申請する際のポイント

障害年金の審査は書類のみで行われるため、提出する診断書や申立書の内容が非常に重要です。ここでは、乳がんで申請する際に特に注意すべきポイントを解説します。

診断書は2種類の併用を検討する

通常、がんの症状で障害年金を請求する場合は、「血液・造血器・その他の障害用」の診断書を使用します。この診断書には、がんの進行度、転移の有無、治療内容、一般状態区分表などを記載する欄があります。

しかし、乳がんの場合、この診断書だけでは症状が十分に伝わらないケースがあります。特に以下のような後遺症や症状がある場合は、「肢体の障害用」の診断書を併用することを強くおすすめします。

  • 手術後のリンパ浮腫により、腕が上がらない、動かしにくい
  • 抗がん剤の副作用による末梢神経障害で、手足のしびれや痛みがある
  • 転移による骨の痛みで、歩行が困難
  • 全身の倦怠感や体力低下により、立ち上がる・座るなどの動作に支障がある

診断書を2通用意することで費用は増えますが(1通あたり5,000円~10,000円程度)、その分、症状を多角的に伝えることができ、不支給のリスクを大きく下げることができます。また、2つの障害を併合して認定される(併合認定)ことで、より上位の等級になる可能性もあります。

診断書作成時の重要ポイント

診断書は医師が作成しますが、実は医師の多くは障害年金の制度や認定基準を詳しく知らないというのが現実です。特にがんの場合、「がんは障害年金の対象になる」こと自体を知らない医師も少なくありません。

そのため、診断書を依頼する際には、患者側からも積極的に情報を伝える必要があります。以下のポイントを押さえておきましょう。

診察前に準備すること

  1. 日常生活の支障を具体的にメモする
    • どの動作がどの程度困難か(入浴、着替え、家事、買い物など)
    • 1日のうち、横になっている時間はどれくらいか
    • 外出の頻度と、付き添いの必要性
    • 仕事への影響(休職、退職、勤務時間の短縮など)
  2. 治療の副作用を記録する
    • 抗がん剤の種類と投与スケジュール
    • 副作用の内容(倦怠感、吐き気、食欲不振、しびれ、痛みなど)
    • 副作用が日常生活に与える影響

診断書に記載してほしい項目

  • 腫瘍マーカーの数値(CEA、CA15-3など)
  • がんのステージ(進行度)
  • 転移の有無と転移先の臓器
  • 治療内容の詳細(手術、抗がん剤の種類、放射線治療など)
  • 一般状態区分表の適切な評価(ウ、エ、オのいずれに該当するか)
  • 日常生活動作の制限(診断書の該当欄に具体的に記載)
  • 予後や余命に関する医学的見解

これらの情報を事前にまとめた資料を持参し、医師に渡すことで、より正確で詳細な診断書を作成してもらうことができます。

病歴・就労状況等申立書の書き方

病歴・就労状況等申立書は、発症から現在に至るまでの経過を、患者本人または家族が記載する書類です。診断書では伝えきれない日常生活の困難さや、症状の変化を具体的に説明することができます。

記載のポイント

  1. 発症から現在までを3~5年ごとに区切って記載
    いつ、どこの医療機関を受診し、どのような診断を受け、どんな治療を行ったかを時系列で整理します。
  2. 日常生活の支障を具体的に書く
    「体調が悪い」ではなく、「日中の6~7割は横になっており、入浴は週に2~3回、家族の介助が必要」というように、できるだけ具体的に記載します。
  3. 治療の副作用による影響を詳しく
    抗がん剤治療のスケジュール(例:月2回通院、1回あたり5時間の点滴)と、その後の副作用(例:投与後3~5日間は強い吐き気と倦怠感で動けない)を詳しく記載します。
  4. 就労への影響
    仕事を続けている場合は、どのような配慮を受けているか(時短勤務、軽作業への配置転換など)。退職した場合は、その理由と時期を明記します。
  5. 診断書との整合性を保つ
    診断書に書かれている内容と矛盾しないよう注意します。矛盾があると、審査で不利になる可能性があります。

病歴・就労状況等申立書は、審査において診断書と同じくらい重要な書類です。時間をかけて丁寧に作成することをおすすめします。

申請の流れ

実際の申請は、以下のような流れで進みます。全体で3~6ヶ月程度かかることが一般的です。

【申請から受給までの流れ】

  1. 初診日の確認
    • 初診の医療機関で「受診状況等証明書」を取得
    • カルテ、診察券、お薬手帳などで初診日を特定
    • 初診の医療機関と診断書作成医療機関が同じ場合は不要
  2. 診断書の作成依頼
    • 現在通院中の医療機関で診断書を依頼(作成期間:2週間~1ヶ月程度)
    • 「血液・造血器・その他用」と「肢体用」の2種類を依頼(該当する場合)
    • 日常生活の支障を具体的にまとめた資料を医師に渡す
  3. 必要書類の準備
    • 年金手帳または基礎年金番号通知書
    • 戸籍謄本または住民票(世帯全員分)
    • 預金通帳のコピー(振込先口座)
    • 病歴・就労状況等申立書の作成
    • 所得証明書(20歳前傷病の場合)
  4. 年金事務所または市区町村役場へ提出
    • 障害厚生年金:年金事務所
    • 障害基礎年金:市区町村役場の国民年金担当窓口
    • 提出前に、書類の不備がないか窓口で確認してもらうことをおすすめします
  5. 審査(3~4ヶ月)
    • 日本年金機構の認定医が書類審査を実施
    • 追加の資料提出を求められる場合もあります
  6. 結果通知
    • 認定された場合:年金証書と支給決定通知書が届く
    • 不支給の場合:不支給決定通知書が届く(審査請求が可能)
  7. 年金の受給開始
    • 認定後、最初の支給は申請から約4~5ヶ月後
    • 偶数月の15日に、前2ヶ月分が振り込まれます
    • 遡及請求が認められた場合は、初回に過去分がまとめて振り込まれます

当事務所では、このような複雑なケースにも対応しています

清水総合法務事務所では、障害年金申請のすべてのステップをサポートいたします。特に以下のようなサポートが可能です。

  • 初診日が不明確なケースの調査・証明
    医療機関が廃院している、カルテが残っていないなど、初診日の証明が困難なケースでも、診察券、お薬手帳、第三者証明などを活用して初診日を特定します。
  • 医師との診断書作成に関する連携サポート
    医師に渡す資料の作成、診断書の記載内容の確認など、適切な診断書が作成されるようサポートします。
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行
    ご本人やご家族からヒアリングし、審査で有利になる内容を盛り込んだ申立書を作成します。
  • 不支給決定後の再申請・審査請求
    一度不支給になった方でも、不支給理由を分析し、再申請や審査請求で認定を目指します。

神戸・兵庫県で障害年金申請サポートの豊富な実績があります。複雑なケース、困難なケースこそ、専門家にお任せください。詳しくはこちらからお問い合わせください

次のセクションでは、初診日の証明が困難なケースの対処法について、さらに詳しく解説します。

初診日の証明が困難なケースの対処法

初診日は障害年金申請において最も重要な日付ですが、実は「初診日の証明ができない」という理由で申請を諦めてしまう方が非常に多いのが現実です。しかし、諦める必要はありません。このセクションでは、初診日の証明が困難なケースでも申請を可能にする具体的な方法をご紹介します。

よくある困難なケース

初診日の証明が難しくなる原因として、以下のようなケースがよくあります。

  • 最初に受診したクリニックや病院が廃院している
    特に個人経営のクリニックは、医師の高齢化により廃院するケースが多く、受診状況等証明書を取得できないことがあります。
  • カルテが廃棄されている
    医療機関はカルテを5年間保存する義務がありますが、それを過ぎると廃棄されてしまいます。初診から10年以上経過している場合、カルテが残っていない可能性が高くなります。
  • 複数の医療機関を転院している
    最初はA病院、次にB病院、現在はC病院というように転院を繰り返している場合、どこが本当の初診日なのか特定が難しくなります。
  • 最初は別の症状で受診していた
    「胸の違和感」「体調不良」など、乳がんとは明確に診断されていない段階で受診していた場合、その受診が初診日に該当するかの判断が難しくなります。

初診日を証明する代替手段

受診状況等証明書が取得できない場合でも、以下のような資料を組み合わせることで、初診日を証明できる可能性があります。

①診察券
古い診察券が残っていれば、それが有力な証拠になります。診察券には通常、医療機関名と受診者の氏名、診察券番号が記載されており、初診日の推定に役立ちます。特に裏面に初診日が記載されているケースもありますので、捨てずに保管しておくことが重要です。

②領収書・診療明細書
医療機関の領収書には、受診日、医療機関名、診療内容が記載されています。複数枚の領収書が時系列で残っていれば、継続的な通院の証拠となり、初診日の推定が可能になります。

③お薬手帳
お薬手帳には、いつ、どこの医療機関で、どんな薬を処方されたかの記録が残っています。特に抗がん剤など、乳がん治療に特有の薬剤が記載されていれば、治療開始時期の重要な証拠になります。お薬手帳は何冊も持っている方が多いので、古いものも含めてすべて確認してください。

④健康診断の記録
会社の健康診断や人間ドックで異常が指摘された記録があれば、それが初診日の証明につながる場合があります。「要精密検査」「要再検査」といった記載があった時期を特定することで、初診日の推定が可能になります。

⑤身体障害者手帳の取得記録
乳がんで身体障害者手帳を取得している場合、その申請時の診断書や交付年月日が、初診日を推定する手がかりになります。

⑥入院記録や手術の同意書
入院時の書類、手術の同意書、退院時のサマリー(退院時要約)などには、診断名や治療開始時期が記載されており、初診日を特定する重要な資料になります。

第三者証明の活用

医療機関の記録が一切残っていない場合でも、第三者による証明が認められるケースがあります。これは、初診日当時の受診状況を知る第三者(家族、友人、職場の同僚など)が、その事実を証明する方法です。

第三者証明として認められるもの

  • 家族の証言
    配偶者、親、子どもなどが、「○年○月頃、本人が胸のしこりを訴え、一緒に○○病院を受診した」といった具体的な証言を書面で提出します。複数の家族からの証言があると、より信憑性が高まります。
  • 受診に同行した方の証言
    初診時に付き添った家族や友人がいれば、その方の証言が有力な証拠になります。「いつ、どこの病院に、誰と一緒に行ったか」を具体的に記載します。
  • 職場の同僚や上司の証言
    「○年○月頃、体調不良で早退し、病院に行くと言っていた」「健康診断で異常が見つかり、精密検査を受けると話していた」といった証言も参考資料になります。

第三者証明を補強する参考資料

  • 日記やメモ
    当時の日記に「病院に行った」「検査を受けた」などの記載があれば、それを写真に撮って提出します。
  • ブログやSNSの投稿
    TwitterやFacebook、ブログなどに「病院に行った」「検査結果が心配」といった投稿があれば、その画面を印刷して証拠として提出できます。投稿日時が記録されているため、時期の特定に役立ちます。
  • メールやLINEのやり取り
    家族や友人とのメールやLINEで、受診について触れているものがあれば、それも参考資料になります。
  • 手帳やカレンダーの記録
    手帳やカレンダーに「○○病院」「検査」などのメモがあれば、それを撮影して提出します。

第三者証明は、あくまで医療機関の証明が取得できない場合の「補完的な手段」ですが、複数の証拠を組み合わせることで、初診日を認めてもらえる可能性が高まります。

社会保険労務士による調査・証明サポート

初診日の証明は、障害年金申請の中で最も専門的な知識と経験を必要とする部分です。当事務所では、以下のような調査・サポートを行っています。

①医療機関への問い合わせと交渉
廃院した病院の記録が、他の医療機関や医師会に引き継がれているケースがあります。当事務所では、医療機関や行政機関に問い合わせ、カルテの所在を調査します。

②複数の証拠の収集と整理
診察券、領収書、お薬手帳、第三者証言など、断片的な情報を丁寧に集め、時系列で整理します。一つ一つは弱い証拠でも、組み合わせることで初診日を合理的に推定できる場合があります。

③第三者証明書の作成サポート
ご家族や関係者からヒアリングを行い、年金事務所が求める形式に沿った第三者証明書を作成します。どのような内容を、どの程度具体的に記載すべきかは、経験とノウハウが必要です。

④合理的な推定による申請
完全に初診日が特定できない場合でも、複数の証拠から「○年○月頃」と合理的に推定して申請することが可能です。その際、推定の根拠を論理的に説明する必要があり、専門家の支援が有効です。

初診日が確定できない場合の最終手段

あらゆる手段を尽くしても初診日が確定できない場合、以下のような対処も検討できます。

①「初診日が○年○月から○年○月の間」として申請
完全に特定できなくても、「この期間のどこか」と幅を持たせて申請し、その期間であればどの時点でも保険料納付要件を満たしていることを証明する方法です。

②現在の症状で事後重症請求を優先
初診日の特定に時間がかかる場合、まずは現在の状態で「事後重症請求」を行い、後日、初診日が判明した時点で「遡及請求」を追加で行う方法もあります。受給開始を優先することで、経済的な不安を少しでも早く軽減できます。

初診日の証明が困難なケースは、専門家の力が最も発揮される場面です。「証明できないから諦める」のではなく、まずは専門家にご相談ください。当事務所では、これまで多くの困難なケースで初診日を証明し、受給につなげてきた実績があります。

次のセクションでは、実際に受給された方の事例を3件ご紹介します。複雑なケースでも諦めずに申請することで、受給できた実例をぜひご覧ください。

乳がんで障害年金を受給された事例(3件)

ここでは、実際に当事務所がサポートし、障害年金の受給が認められた方々の事例をご紹介します。それぞれの方が抱えていた不安や困難、そして受給に至るまでのプロセスを通じて、「諦めなければ道は開ける」ということをお伝えできればと思います。

※以下の事例は、個人情報保護のため、内容を一部変更しています。

事例1: 50代女性・乳がんで障害厚生年金2級を受給されたケース

【背景】
神戸市在住の52歳女性、Aさん。スーパーのレジで長年パート勤務をされていましたが、2年前に乳がん(ステージⅢ)と診断されました。骨と肺への転移が見つかり、抗がん剤治療が始まりました。

治療の副作用は想像以上に厳しく、吐き気と倦怠感で日中の大半をベッドで横になって過ごす日々。それまで当たり前にできていた家事も、夫の手助けなしではできなくなりました。買い物に行くこともままならず、通院するにも夫の付き添いが必要な状態でした。

仕事は続けたかったのですが、立ち仕事が困難になり、やむなく退職。夫の収入だけで生活することになり、月8万円を超える医療費の負担が家計を圧迫していました。大学生の娘の学費もあり、「この先どうなるのだろう」という不安で眠れない夜が続いたといいます。

【困難だった点】
インターネットで「乳がん 障害年金」と検索し、制度の存在を知ったAさん。しかし、申請の複雑さに圧倒されました。特に困ったのが、診断書を医師にどう依頼すればよいのかわからなかったことです。

「先生に『障害年金の診断書をください』と言って、嫌な顔をされたらどうしよう」「自分の症状をちゃんと理解してもらえるだろうか」という不安がありました。また、主治医は乳がん治療の専門家ですが、障害年金の制度についてはあまり詳しくないようでした。

病歴・就労状況等申立書も、何をどこまで書けばいいのか見当がつかず、自分だけで申請するのは無理だと感じていました。

【当事務所のサポート内容】
Aさんからご相談をいただき、まず初回の無料相談で受給の可能性について丁寧にご説明しました。一般状態区分表の「エ」に該当する可能性が高く、障害厚生年金2級の受給が見込めることをお伝えしました。

診断書の依頼に不安を感じていらっしゃったため、Aさんの日常生活の困難さを具体的にまとめた資料を作成し、それを主治医に渡していただくようアドバイスしました。「日中7割は横になっている」「入浴は週2回で夫の介助が必要」「通院には必ず付き添いが必要」など、具体的な数字と事実を盛り込みました。

病歴・就労状況等申立書は、Aさんとご家族から丁寧にヒアリングを行い、当事務所で作成。発症から現在までの経過、抗がん剤治療のスケジュールと副作用の詳細、日常生活の支障を、診断書と整合性を保ちながら具体的に記載しました。

【結果】
申請から約3ヶ月半後、障害厚生年金2級の認定通知が届きました。年額約132万円(月額約11万円)の受給が決定。さらに、障害認定日での請求が認められたため、過去2年分が遡及され、初回に約260万円が振り込まれました。

【ご本人の声】
「最初は『自分なんて対象外だろう』と思っていました。でも、先生に相談して、丁寧にサポートしていただいたおかげで受給できました。遡及分のお金が振り込まれたときは、涙が出ました。娘の学費の心配が減り、治療に専念できるようになりました。諦めずに相談して、本当によかったです」

事例2: 40代男性・初診日証明が困難だったが障害厚生年金1級を受給されたケース

【背景】
兵庫県明石市在住の46歳男性、Bさん。営業職として活躍されていましたが、3年前に胸のしこりに気づき、最初に近所の小さなクリニックを受診しました。その後、総合病院で精密検査を受け、乳がん(トリプルネガティブ、リンパ節転移あり)と診断されました。

男性の乳がんは珍しく、Bさん自身も最初は信じられなかったといいます。抗がん剤治療が始まると、激しい吐き気と全身の倦怠感、末梢神経障害による手足のしびれに苦しみました。営業の仕事は休職せざるを得なくなり、傷病手当金で何とか生活していましたが、その期限が迫っていました。

小学生の息子が2人いて、妻もパートで働いていますが、住宅ローンと教育費があり、収入が途絶えることへの不安は計り知れないものでした。

【困難だった点】
Bさんは過去に一度、自分で障害年金の申請を試みましたが、書類の準備段階で挫折した経験がありました。最大の問題は、最初に受診した小さなクリニックが廃院してしまっており、受診状況等証明書が取得できなかったことです。

「初診日が証明できないなら、申請しても無駄だろう」と諦めかけていました。また、男性の乳がんという稀なケースで、「理解されないのではないか」という不安もありました。傷病手当金の期限が迫る中、藁にもすがる思いで当事務所に相談されました。

【当事務所のサポート内容】
初診日の証明が最大の課題でした。廃院したクリニックのカルテは入手できませんでしたが、Bさんが保管していた古い診察券と、初診時に処方された薬のお薬手帳の記録が残っていました。

さらに、初診時に付き添った奥様から、第三者証明として「いつ、どのクリニックに一緒に行ったか」を具体的に記載した証明書を作成しました。加えて、当時Bさんが友人に送ったメールで「病院に行った」と触れているものがあり、その画面を印刷して参考資料としました。

これらの断片的な証拠を時系列で整理し、初診日を合理的に推定できる資料を作成。診断書は「血液・造血器・その他用」と「肢体用」の2種類を取得し、末梢神経障害による歩行困難も詳しく記載していただきました。

【結果】
申請から約4ヶ月後、障害厚生年金1級の認定通知が届きました。初診日も認められ、年額約165万円(月額約13.8万円)の受給が決定。遡及はありませんでしたが、請求月の翌月から受給が開始されました。

【ご本人の声】
「初診日が証明できないと完全に諦めていました。でも、先生が『諦めないでください。必ず方法はあります』と言ってくださって、本当に救われました。診察券やメールなど、捨てずに残していたものが役に立つとは思いませんでした。家族の生活が何とか安定し、治療を続ける希望が持てました。男性の乳がんで悩んでいる方にも、諦めないでほしいと伝えたいです」

事例3: 50代女性・一度不支給になったが再申請で障害基礎年金2級を受給されたケース

【背景】
神戸市在住の55歳女性、Cさん。5年前に乳がんと診断され、手術と抗がん剤治療を受けました。治療が一段落した後も、慢性的な倦怠感と体力の低下に悩まされ、それまでしていたパートの仕事も辞めざるを得ませんでした。

2年前、ご自身で障害年金の申請をされましたが、結果は不支給。理由は「診断書の記載が不十分で、日常生活の支障の程度が判断できない」というものでした。その後、症状は悪化し、現在は転移による骨の痛みで、歩行にも支障が出るようになりました。

一度不支給になった経験から、「もう無理だろう」と諦めていましたが、経済的な困窮が深刻になり、最後の望みとして当事務所を訪ねてこられました。

【困難だった点】
一度不支給になったことで、Cさんは深く傷ついていました。「自分の苦しみが理解されなかった」「もう二度と申請したくない」という気持ちを持たれていました。

前回の不支給理由を確認したところ、診断書の一般状態区分表が「イ」と評価されており、日常生活の支障が具体的に記載されていませんでした。また、病歴・就労状況等申立書も簡潔すぎて、症状の深刻さが伝わらない内容でした。

さらに、前回の申請から2年が経過し、症状は明らかに悪化していましたが、「また不支給になったらどうしよう」という恐怖心がありました。

【当事務所のサポート内容】
まず、Cさんの心理的なハードルを下げることから始めました。前回の不支給理由を詳しく分析し、「診断書の記載が不十分だっただけで、Cさんの症状自体は受給対象になる可能性が十分にある」ことを丁寧にご説明しました。

診断書の依頼時には、主治医に現在の症状を正確に伝えられるよう、Cさんと一緒に日常生活の状況を詳しく整理しました。「朝起きるのに30分以上かかる」「入浴は週1回で、浴槽に入るのも困難」「買い物は家族に頼んでいる」「骨の痛みで夜中に何度も目が覚める」など、具体的な事実を時系列でまとめました。

診断書では一般状態区分表を「エ」と評価していただき、日常生活動作の各項目についても、できないこと、介助が必要なことを詳細に記載していただきました。病歴・就労状況等申立書では、前回申請後の症状の悪化と、現在の生活の困難さを具体的に記載しました。

【結果】
再申請から約3ヶ月後、障害基礎年金2級の認定通知が届きました。年額約81万円(月額約6.8万円)の受給が決定。事後重症請求のため遡及はありませんでしたが、請求月の翌月から受給が開始されました。

【ご本人の声】
「一度ダメだったときは、本当に絶望しました。でも、先生が『諦めないでください。やり方を変えれば可能性はあります』と励ましてくださって、もう一度頑張ってみようと思えました。年金証書が届いたとき、涙が止まりませんでした。『諦めない障害年金』という言葉の通りでした。同じように一度不支給になった方にも、再チャレンジしてほしいです」

受給事例のまとめ

事例 年代・性別 主な困難 認定等級 年額
事例1 50代女性 診断書依頼の不安
申請書類の書き方
障害厚生年金2級 約132万円
(遡及約260万円)
事例2 40代男性 初診日証明困難
クリニック廃院
障害厚生年金1級 約165万円
事例3 50代女性 過去に不支給
心理的ハードル
障害基礎年金2級 約81万円

これらの事例が示すように、「申請が複雑だから」「初診日が証明できないから」「一度不支給になったから」という理由で諦める必要はありません。適切なサポートを受ければ、多くの困難は乗り越えられます。

次のセクションでは、よくある質問にお答えします。

よくある質問(Q&A)

乳がんで障害年金を申請される方から、よくいただく質問にお答えします。不安や疑問の解消にお役立てください。

Q1: 乳がんの治療中でも働いている場合、障害年金は受給できますか?

A: 受給できる可能性があります。

障害年金は、就労の有無だけで判断されるわけではありません。重要なのは、日常生活や就労にどの程度の支障があるかです。

例えば、以下のような状況であれば、働いていても受給できる可能性があります。

  • フルタイムから時短勤務に変更せざるを得なくなった
  • 立ち仕事から座り仕事に配置転換された
  • 営業職から事務職など、軽作業に限定された
  • 頻繁に休みを取らざるを得ない状況
  • 在宅勤務や短時間勤務で、何とか仕事を続けている

特に障害厚生年金3級は、「労働に著しい制限を受ける」状態が対象ですので、仕事を続けていても認定される可能性が十分にあります。ただし、診断書や申立書で、就労にどのような制限があるかを具体的に説明することが重要です。

Q2: 抗がん剤治療が終わった後でも申請できますか?

A: 申請できます。

抗がん剤治療が終了した後でも、副作用や後遺症が残り、日常生活に支障がある場合は障害年金の対象になります。

ただし、治療終了後に症状が大きく改善し、軽作業が可能な状態まで回復している場合は、3級レベルと判断されたり、場合によっては非該当となる可能性もあります。

重要なのは、現在の日常生活の状況です。「治療が終わったから対象外」ということはありませんので、慢性的な倦怠感や体力低下、後遺症に悩まされている場合は、ぜひ申請をご検討ください。

Q3: 診断書の費用はどれくらいかかりますか?

A: 医療機関によって異なりますが、1通あたり5,000円~10,000円程度が一般的です。

障害年金用の診断書は、通常の診断書よりも記載項目が多く、医師が時間をかけて作成する必要があるため、やや高額になります。医療機関によっては、3,000円程度のところもあれば、15,000円程度かかるところもあります。

乳がんの場合、「血液・造血器・その他用」と「肢体用」の2種類の診断書を併用することをおすすめしていますので、2通分の費用がかかります。費用は医療機関の窓口で事前に確認することをおすすめします。

なお、診断書の費用は医療費控除の対象にはなりませんが、障害年金の申請に必要な経費として考えていただければと思います。

Q4: 申請してから実際に年金を受け取るまで、どれくらいの期間がかかりますか?

A: 通常、申請から3~4ヶ月程度かかります。

申請の流れと期間の目安は以下の通りです。

  • 診断書の作成: 依頼から完成まで2週間~1ヶ月
  • 書類の準備と提出: 1週間~2週間
  • 審査: 提出から結果通知まで3~4ヶ月
  • 最初の支給: 認定後、約1~2ヶ月後(偶数月の15日に振込)

つまり、申請を思い立ってから最初の年金を受け取るまで、トータルで4~6ヶ月程度かかることが一般的です。

ただし、初診日の証明に時間がかかる場合や、追加の資料提出を求められた場合は、さらに長くなることがあります。また、年金事務所の混雑状況によっても審査期間は変動します。

障害年金は、初診日から1年6ヶ月経過していれば、いつでも申請できます。経済的に困窮する前に、早めに申請されることをおすすめします。

Q5: 社会保険労務士に依頼する場合、費用はどれくらいかかりますか?

A: 事務所によって異なりますが、成功報酬制が一般的です。

多くの社会保険労務士事務所では、以下のような料金体系を採用しています。

  • 成功報酬制: 受給が決定した場合のみ報酬が発生。初回受給額(遡及分を含む)の10~15%程度、または定額で20万円~30万円程度
  • 着手金: 一部の事務所では、着手金として3万円~5万円程度を最初に支払い、受給決定後に成功報酬を支払う形
  • 初回相談: 多くの事務所が初回相談を無料で実施

当事務所でも、初回相談は無料で承っております。ご相談いただいた上で、受給の可能性や費用について詳しくご説明させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

なお、社労士に依頼せずご自身で申請することも可能ですが、診断書の内容確認や書類作成に不安がある場合、特に初診日の証明が困難なケースや過去に不支給になった経験がある場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

Q6: 障害年金を受給すると、他の年金は受け取れなくなりますか?

A: 原則として、複数の年金を同時に満額受給することはできませんが、65歳以降は選択が可能になります。

年金制度には「一人一年金の原則」があり、複数の年金の受給権がある場合は、原則としていずれか一つを選択する必要があります。

障害年金と老齢年金の関係

  • 65歳未満: 障害年金と老齢年金の両方の受給権がある場合、どちらか一方を選択
  • 65歳以降: 以下の3つの組み合わせから選択可能
    • 障害基礎年金 + 老齢厚生年金
    • 老齢基礎年金 + 障害厚生年金
    • 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金

障害年金と遺族年金の関係

障害年金と遺族年金の両方の受給権がある場合も、原則としてどちらか一方を選択します。ただし、65歳以降は組み合わせて受給できる場合があります。

制度が複雑なため、ご自身の状況でどの年金を選択するのが有利かは、個別に確認する必要があります。詳しくは年金事務所または当事務所にご相談ください。

よくある質問まとめ

質問 回答のポイント
就労中でも受給できる? 可能。就労に制限がある場合は対象になる
治療終了後でも申請できる? 可能。後遺症や副作用が残っていれば対象
診断書の費用は? 1通あたり5,000円~10,000円程度
申請から受給まで? 通常3~4ヶ月、トータル4~6ヶ月程度
社労士費用は? 成功報酬制が一般的。初回相談は無料が多い
他の年金との関係は? 原則一つを選択。65歳以降は組み合わせ可能

この他にも疑問や不安がある方は、お気軽にご相談ください。一人ひとりの状況に応じて、丁寧にご説明いたします。

申請時の注意点・落とし穴

障害年金の申請では、ちょっとした見落としや記載ミスが不支給につながることがあります。ここでは、申請時に特に注意すべきポイントと、陥りやすい落とし穴を解説します。

診断書と申立書の整合性を必ず保つ

障害年金の審査で最も重視されるのが、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容が一致しているかという点です。この2つの書類に矛盾があると、審査官は「どちらが正しいのか判断できない」として不支給にする傾向があります。

よくある矛盾の例

  • 診断書: 「日中の50%以上は就床している」と記載
    申立書: 「午前中は家事ができる」と記載
    → 矛盾していると判断される可能性
  • 診断書: 一般状態区分表が「ウ」
    申立書: 「ほとんど寝たきりで動けない」と記載
    → 診断書の評価が軽すぎるか、申立書が誇張していると判断される
  • 診断書: 「入浴は自立」
    申立書: 「入浴には必ず家族の介助が必要」と記載
    → 明らかな矛盾

整合性を保つための対策

  1. 診断書を先に取得し、内容を確認してから申立書を作成する
    診断書に記載された一般状態区分表の評価や、日常生活動作の記載内容を確認し、それと矛盾しない範囲で申立書を作成します。
  2. 医師に渡す資料と申立書の内容を統一する
    診断書作成時に医師に渡す「日常生活の状況をまとめた資料」と、申立書の内容を同じにすることで、自然と整合性が保たれます。
  3. 数字や表現を具体的に統一する
    「日中の6~7割は横になっている」「入浴は週2回で、浴槽の出入りに介助が必要」など、具体的な数字や状況を両方の書類で統一します。

整合性の確認は専門的な視点が必要です。当事務所では、診断書と申立書の内容をチェックし、矛盾がないか確認するサポートも行っています。

良性腫瘍の受診日を初診日としない(再確認)

前述しましたが、非常に重要なポイントなので再度強調します。

乳腺線維腫などの良性腫瘍は、悪性腫瘍(乳がん)とは医学的に別の疾患です。良性腫瘍ががん化することはなく、障害年金の初診日としては認められません。

間違った初診日の設定例

  • 2018年: 乳腺線維腫で受診(良性腫瘍)
  • 2022年: 乳がんと診断(悪性腫瘍)
  • → 初診日は2022年であり、2018年ではない

もし誤って良性腫瘍の受診日を初診日として申請してしまうと、以下のような問題が生じます。

  • 初診日の認定が却下される
  • 保険料納付要件の判定が誤る(2018年時点と2022年時点では、納付状況が異なる場合がある)
  • 障害基礎年金か障害厚生年金かの判定が変わる(初診日時点の加入制度で決まる)

正しい初診日の考え方

悪性腫瘍に関する症状で初めて受診した日が初診日です。具体的には以下のいずれかです。

  • 乳がんと診断された日
  • 「しこりが気になる」「胸に違和感がある」など、後に乳がんと判明した症状で受診した日
  • 健康診断で異常を指摘され、精密検査を受けた日(結果的に乳がんだった場合)

良性腫瘍で受診していた時期がある方は、初診日の設定に特に注意が必要です。不安な場合は、専門家に相談されることをおすすめします。

有期認定の場合、更新時期を見逃さない

障害年金が認定されると、「永久認定」または「有期認定」のいずれかになります。

永久認定: 更新審査なしで、継続的に年金が支給される
有期認定: 1年~5年ごとに更新審査があり、診断書を再提出する必要がある

乳がんの場合、症状が改善する可能性があるため、多くは有期認定になります。有期認定の場合、以下の点に注意が必要です。

更新時期の通知

更新時期の約3ヶ月前に、日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」が送られてきます。この診断書を期限までに提出しないと、年金の支給が停止されてしまいます。

  • 引っ越しをした場合は、住所変更の届出を忘れずに行う(通知が届かないリスクを防ぐ)
  • 通知が届いたら、すぐに医師に診断書作成を依頼する(作成に時間がかかるため)
  • 提出期限を厳守する(遅れると支給停止の可能性)

更新時に等級が下がる・支給停止になる可能性

更新審査の結果、以下のような判定が出ることがあります。

  • 等級が下がる: 2級から3級へ(受給額が減る)
  • 支給停止: 症状が改善し、障害状態に該当しなくなったと判断される

これは、実際に症状が改善した場合もありますが、更新時の診断書の書き方が不十分だった場合にも起こります。

更新時の診断書作成のポイント

  • 前回の診断書のコピーを保管しておき、更新時の診断書と比較する
  • 症状が悪化している場合は、その変化を具体的に医師に伝える
  • 症状が横ばいの場合でも、日常生活の支障が続いていることを改めて説明する
  • 「治療が終わった」=「症状がなくなった」ではないことを医師に理解してもらう

更新時の診断書作成に不安がある場合も、当事務所がサポートいたします。

不支給になった場合の対処法

万が一、申請が不支給になった場合でも、諦める必要はありません。以下の2つの方法があります。

①審査請求(不服申立)

不支給決定に納得できない場合、結果通知を受け取ってから3ヶ月以内に「審査請求」を行うことができます。

  • 審査請求では、不支給理由を分析し、それに対する反論や追加の証拠を提出します
  • 診断書の記載が不十分だった場合は、医師に補足資料を作成してもらう
  • 審査請求で認められるケースも少なくありません

審査請求の結果が出るまでには、さらに数ヶ月かかります。審査請求でも認められなかった場合は、さらに「再審査請求」を行うことも可能です。

②再申請

不支給決定後、以下のような状況であれば、再申請を検討できます。

  • 不支給決定後、症状が悪化した
  • 前回の申請時に提出できなかった証拠が新たに見つかった
  • 診断書の記載内容を改善できる見込みがある

再申請の場合、前回の不支給理由を踏まえて、診断書や申立書の内容を改善することが重要です。事例3のCさんのように、再申請で認定されるケースは実際に多くあります。

不支給になりやすいパターン

  • 診断書の一般状態区分表が「ア」または「イ」と評価されている
  • 日常生活動作の各項目が「自立」ばかりになっている
  • 病歴・就労状況等申立書が簡潔すぎて、症状の深刻さが伝わらない
  • 診断書と申立書の内容に矛盾がある
  • 初診日の証明が不十分

これらのパターンに該当する場合は、審査請求や再申請の際に改善することで、認定される可能性が高まります。

専門家のサポートを受けるタイミング

以下のような場合は、特に専門家(社会保険労務士)のサポートを受けることをおすすめします。

  • 初診日の証明が困難なケース
  • 過去に不支給になった経験がある
  • 診断書の内容に不安がある
  • 医師が障害年金の制度をあまり知らない
  • 複雑な病歴があり、申立書の作成が難しい
  • 時間的・体力的に、自分で申請書類を準備するのが困難

当事務所では、「諦めない障害年金」をコンセプトに、困難なケースにも全力でサポートいたします。まずは無料相談で、受給の可能性について確認してみませんか。

まとめ|まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう

ここまで、乳がんで障害年金を受給するための条件、認定基準、申請のポイント、そして実際の受給事例について詳しく解説してきました。改めて、重要なポイントをまとめます。

  • 乳がんで障害年金を受給するには、①初診日、②保険料納付、③障害状態の3つの条件を満たす必要がある
  • 一般状態区分表のウ~オに該当する場合、受給の可能性が高い
  • 診断書は「血液・造血器・その他用」と「肢体用」の2種類の併用を検討する
  • 初診日の証明が困難でも、診察券、お薬手帳、第三者証明などの代替手段がある
  • 一度不支給になっても、再申請や審査請求で認定される可能性がある

障害年金の申請は、確かに複雑で専門的な知識が必要です。「自分には無理かもしれない」「手続きが面倒で諦めそう」と感じるお気持ちは、よくわかります。しかし、適切なサポートを受ければ、多くの困難は乗り越えられます。

実際に、この記事でご紹介した3つの事例のように、診断書の依頼に不安を感じていた方、初診日の証明ができずに諦めかけていた方、一度不支給になって絶望していた方、皆さんが障害年金の受給に至っています。諦めなければ、道は開けます。

乳がんの治療は長期にわたり、医療費の負担も大きくなります。経済的な不安を抱えながら治療を続けることは、想像以上に心身に負担がかかります。障害年金という制度を活用することで、少しでも生活の不安を軽減し、治療に専念できる環境を整えていただきたいと願っています。

清水総合法務事務所の強み

当事務所は、神戸・兵庫県を中心に、障害年金の申請サポートを専門的に行っています。

  • 豊富な実績: 神戸・兵庫県で数多くの申請サポートを行ってきました
  • 複雑なケースに対応: 初診日の証明が困難、一度不支給になった、医師が制度を知らないなど、困難な状況でも諦めずにサポートします
  • 「諦めない障害年金」: 申請の複雑さに挫折しそうな方、過去に諦めた経験がある方に寄り添い、最後まで伴走します
  • 初回相談無料: まずはお気軽にご相談ください。受給の可能性や申請の流れについて、丁寧にご説明いたします

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  • 事務所名: 清水総合法務事務所
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