脳梗塞で障害年金はもらえる?受給条件・等級認定基準・申請方法をわかりやすく解説【2025年最新版】

脳梗塞で障害年金はもらえる?受給条件・等級認定基準・申請方法を わかりやすく解説【2025年最新版】
脳梗塞で障害年金はもらえる?受給条件・等級認定基準・申請方法を わかりやすく解説【2025年最新版】

脳梗塞で突然倒れ、片麻痺などの後遺症が残ってしまった。働けなくなり、住宅ローンや生活費の支払いに不安を抱えていませんか?実は、脳梗塞の後遺症で日常生活に支障がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。月額6万円から20万円程度の年金が受け取れれば、経済的な不安が軽減され、リハビリや治療に専念できます。この記事では、障害年金専門の社会保険労務士が、脳梗塞での受給条件・等級認定基準・申請方法をわかりやすく解説します。「諦めない障害年金」―あなたとご家族が希望を持って暮らせるよう、私たちが全力でサポートいたします。

目次

【結論】脳梗塞で障害年金は受給できます!

「自分のような症状でも障害年金はもらえるの?」その疑問に、まず結論からお答えします。脳梗塞による片麻痺や運動障害で日常生活に支障がある場合、障害年金の受給対象となります。諦める前に、まずは受給の可能性を確認しましょう。

脳梗塞の後遺症があれば、障害年金を受給できる可能性があります。 多くの方が「まだ若いから無理」「軽い麻痺だから対象外」と諦めてしまいますが、実際には年齢や症状の軽重に関わらず、日常生活に制限がある場合は受給できるケースが多いのです。

脳梗塞は脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死し、様々な後遺症を引き起こす病気です。その後遺症により、仕事や日常生活に支障が出ている場合、国の公的年金制度である障害年金によって生活を支えることができます。

脳梗塞の後遺症で認定されるケース

脳梗塞による後遺症は、主に「肢体の障害」として障害年金の認定対象となります。具体的には以下のような状態が該当します。

片麻痺(半身不随)による日常生活の制限があるケースです。右半身または左半身が麻痺し、歩行に杖が必要だったり、手を使った細かい作業ができなかったりする状態は、障害年金の対象となります。利き手が使えなくなり、食事や着替えに時間がかかる、文字が書けない、といった日常生活動作の困難さが認定のポイントになります。

両上下肢の機能障害も対象です。重度の脳梗塞により両手や両足に麻痺が残り、車椅子生活を余儀なくされている場合や、家族の介助なしでは日常生活が送れない場合は、より高い等級での認定が期待できます。

歩行困難・日常生活動作の制限も重要な判断基準です。杖や歩行器がなければ歩けない、階段の昇降ができない、長距離の歩行が困難、といった状態も認定の対象となります。「家の中では何とか移動できるが、外出は困難」という状態でも、日常生活の制限度合いによっては障害年金を受給できる可能性があります。

さらに、高次脳機能障害を併発している場合も認定対象です。記憶力や注意力の低下、判断力の障害、言語障害(失語症)などが残っている場合、肢体の障害とは別に「精神の障害」としても認定される可能性があります。

これらの後遺症により、以前のように働けなくなった、家事ができなくなった、趣味や社会活動が制限されているという方は、ぜひ障害年金の申請を検討してください。

受給できる障害年金の種類

障害年金には、加入していた年金制度によって2つの種類があります。

障害基礎年金は、国民年金に加入している方が対象です。自営業者、フリーランス、学生、専業主婦(主夫)、無職の方などが該当します。脳梗塞を発症した時点で国民年金に加入していた場合、この障害基礎年金を受給できる可能性があります。障害基礎年金には1級と2級があり、3級はありません。

障害厚生年金は、厚生年金に加入している方が対象です。会社員や公務員など、勤務先で厚生年金に加入していた方が該当します。脳梗塞を発症した時点で厚生年金に加入していた場合、障害厚生年金を受給できる可能性があります。障害厚生年金には1級・2級・3級があり、障害基礎年金よりも手厚い保障が受けられます。

重要なのは、脳梗塞で初めて医師の診察を受けた日(初診日)に、どの年金制度に加入していたかです。初診日が厚生年金加入中であれば、退職後に申請しても障害厚生年金の対象となります。また、厚生年金加入中に発症した場合は、障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受給できるため、より多くの年金額を受け取ることができます。

「自分はどちらに該当するのか分からない」という方も、年金事務所や専門家に相談すれば、すぐに確認することができます。諦めずに、まずは確認してみましょう。

この記事で分かること

この記事を最後まで読んでいただくと、脳梗塞による障害年金について、申請に必要な全ての情報を得ることができます。

受給条件の詳細では、障害年金を受け取るために満たすべき3つの要件(初診日要件・保険料納付要件・障害状態要件)を具体的に解説します。「自分は該当するのか」という疑問が解消されるはずです。

等級認定基準については、1級・2級・3級それぞれがどのような障害状態を指すのか、具体的な例を挙げて説明します。「片麻痺だと何級になるのか」「車椅子生活だとどうか」といった疑問にお答えします。

具体的な受給額も詳しく解説します。等級や家族構成によって金額がどう変わるのか、実際にいくら受け取れるのかを、2025年度の最新金額でお伝えします。「生活の足しになるのか」という現実的な疑問にお答えします。

申請方法とタイミングでは、いつから申請できるのか、どのような書類が必要なのか、どこに提出するのか、といった実務的な情報を5つのステップで分かりやすく説明します。

さらに、実際の受給事例もご紹介します。同じような状況の方がどのように認定され、どれくらいの金額を受給しているのかを知ることで、「自分も受給できるかもしれない」という希望を持っていただけるでしょう。

最後に、専門家サポートの活用法もお伝えします。複雑な手続きを自分で行うべきか、専門家に依頼すべきか、その判断材料を提供します。

この記事は、脳梗塞で不安を抱えるあなたとご家族が、安心して暮らせる希望を見つけるためのガイドです。一つひとつ丁寧に読み進めていただき、「諦めない障害年金」への第一歩を踏み出してください。

脳梗塞とは?症状・原因・後遺症の基礎知識

脳梗塞がどのような病気で、どんな後遺症が残るのかを正しく理解することは、障害年金申請の第一歩です。ここでは、脳梗塞の基本的な知識と、後遺症が生活に与える影響について解説します。

脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳組織が壊死する病気です。 日本人の死因の上位に位置し、命は助かっても様々な後遺症が残ることが多い疾患として知られています。

脳梗塞による後遺症は一人ひとり異なりますが、その多くが日常生活に大きな支障をきたします。だからこそ、後遺症が残った場合には障害年金という経済的支援を受けることで、治療やリハビリに専念できる環境を整えることが重要なのです。

脳梗塞とはどんな病気か

脳梗塞は、脳の血管が血栓(血の塊)によって詰まり、血流が途絶えることで発症します。脳は人間の全ての活動を司る重要な器官であり、わずか数分間血流が止まるだけで、その部分の脳細胞は壊死してしまいます。

脳の血管が詰まる原因は主に3つあります。脳の血管自体に動脈硬化が起こり、血管が狭くなったり詰まったりする「脳血栓症」、心臓でできた血栓が脳に流れてきて血管を詰まらせる「脳塞栓症」、そして細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」です。

日本では年間約30万人が脳梗塞を発症しているとされ、高齢化に伴いその数は増加傾向にあります。脳梗塞は日本人の死因の第4位であり、また要介護状態になる原因の第1位でもあります。つまり、命は助かっても、その後の生活に大きな影響を及ぼす病気なのです。

発症は突然訪れます。前日まで元気に働いていた人が、朝起きたら片側の手足が動かなくなっていた、言葉が出なくなっていた、というケースは決して珍しくありません。この突然の発症が、患者さん本人とご家族の人生を大きく変えてしまうのです。

しかし、脳梗塞による後遺症が残っても、障害年金という経済的支援を受けることで、安心して治療やリハビリに取り組むことができます。経済的な不安を軽減することが、回復への第一歩となるのです。

脳梗塞の主な症状

脳梗塞の症状は、脳のどの部分の血管が詰まったかによって異なりますが、代表的な症状をご紹介します。

急な片側の麻痺は、最も典型的な症状です。右脳が損傷すれば左半身に、左脳が損傷すれば右半身に麻痺が現れます。突然、片方の手や足に力が入らなくなり、箸が持てない、歩けない、顔の片側が歪むといった状態になります。朝起きたときに気づくケースも多く、「昨夜まで普通だったのに」という驚きとともに発見されることがよくあります。

言葉の障害も頻繁に見られます。言いたいことが言葉にならない、相手の話している内容が理解できない、ろれつが回らない、といった症状が現れます。これは「失語症」と呼ばれ、特に左脳の損傷で起こりやすい症状です。コミュニケーションが取れないことは、患者さんにとって大きなストレスとなります。

激しい頭痛やめまいを伴うこともあります。特に脳の後部にある小脳や脳幹が損傷した場合、激しいめまいや吐き気、バランス感覚の喪失が起こります。立っていられない、まっすぐ歩けない、といった状態になることもあります。

視覚障害や意識障害が現れるケースもあります。片方の視野が欠ける、物が二重に見える、意識がもうろうとする、といった症状です。重症の場合は意識を失い、昏睡状態に陥ることもあります。

これらの症状が突然現れたら、一刻も早く救急車を呼ぶことが重要です。脳梗塞は「時間との勝負」であり、発症から4.5時間以内に適切な治療を受けることで、後遺症を最小限に抑えられる可能性があります。

症状の種類 具体的な現れ方
片側の麻痺 片方の手足に力が入らない、顔の片側が歪む
言語障害 言葉が出ない、ろれつが回らない、相手の話が理解できない
歩行障害 まっすぐ歩けない、バランスが取れない、立っていられない
視覚障害 片方の視野が欠ける、物が二重に見える
頭痛・めまい 激しい頭痛、回転性のめまい、吐き気
意識障害 ぼんやりする、反応が鈍い、意識を失う

※これらの症状が突然現れたら、すぐに救急車(119番)を呼んでください。

脳梗塞の原因とリスク要因

脳梗塞は、様々な要因が重なって発症します。主なリスク要因を理解することで、再発予防にも役立ちます。

生活習慣病が最大のリスク要因です。高血圧は脳梗塞の最も大きな危険因子であり、血圧が高い状態が続くと血管が傷つき、動脈硬化が進行します。糖尿病も血管を傷める要因となり、脳梗塞のリスクを2〜3倍に高めます。さらに、脂質異常症(高コレステロール血症)は血管内に脂肪が蓄積し、血管を詰まらせる原因となります。

生活習慣の乱れも見逃せません。喫煙は血管を収縮させ、血液を固まりやすくするため、脳梗塞のリスクを大幅に上げます。過度の飲酒も血圧を上昇させ、脳梗塞の引き金となります。さらに、運動不足や肥満、塩分の取りすぎなども危険因子です。

不整脈、特に心房細動は、心臓内に血栓ができやすくなり、それが脳に流れて脳梗塞を引き起こします。心房細動がある人は、ない人に比べて脳梗塞のリスクが約5倍高いとされています。

過労やストレスも無視できません。働き盛りの40代、50代の方が、長時間労働や過度なストレスにより脳梗塞を発症するケースが増えています。「まだ若いから大丈夫」と油断せず、健康管理を心がけることが重要です。

脳梗塞を発症してしまった方の多くが、「もっと早く生活習慣を見直していれば」と後悔されています。しかし、今からでも遅くはありません。再発予防のために生活習慣を改善しながら、障害年金を活用して経済的な安定を図り、前向きに生活していくことが大切です。

脳梗塞の後遺症と肢体障害

脳梗塞の後遺症は多岐にわたりますが、障害年金の対象となる主な後遺症について詳しく解説します。

運動機能障害(肢体の障害)

運動機能障害は、脳梗塞の後遺症として最も多く見られるものです。 脳の運動野や運動神経の通り道が損傷されることで、手足の麻痺や運動障害が起こります。

片麻痺は、右半身または左半身の片側全体に麻痺が現れる状態です。右脳が損傷すれば左半身に、左脳が損傷すれば右半身に麻痺が起こります。特に利き手側に麻痺が残った場合、箸が使えない、字が書けない、ボタンが留められないなど、日常生活の様々な場面で困難が生じます。また、片足の麻痺により、杖や装具なしでは歩けない、階段の昇降が困難、長距離の移動ができないといった歩行障害も伴います。

重度の場合は両上下肢に麻痺が残り、車椅子生活を余儀なくされることもあります。寝返りや起き上がりも困難で、トイレや入浴に全面的な介助が必要となる状態です。このような場合、障害年金の1級に該当する可能性があります。

手指の巧緻運動障害も日常生活に大きな影響を与えます。手は動かせても、細かい作業ができない、力の加減ができない、物をつかんでも落としてしまう、といった状態です。料理、掃除、洗濯などの家事が困難になり、仕事に復帰することも難しくなります。

これらの運動機能障害は、障害年金の「肢体の障害」として認定され、障害の程度に応じて1級、2級、または3級の等級が決定されます。リハビリを続けていても改善が見込めない場合、あるいは改善が頭打ちになった場合は、早めに障害年金の申請を検討することをお勧めします。

高次脳機能障害

高次脳機能障害は、外見からは分かりにくいため「見えない障害」とも呼ばれますが、日常生活や仕事に深刻な影響を及ぼします。

記憶障害は、新しいことが覚えられない、約束を忘れる、同じことを何度も聞くといった症状です。つい先ほどの出来事を忘れてしまうため、仕事はもちろん、日常生活でも支障が出ます。薬を飲んだかどうか忘れる、火の始末ができないなど、一人での生活が危険になることもあります。

注意障害では、集中力が続かない、ぼんやりしている、複数のことを同時にできない、といった症状が現れます。料理中に他のことをすると鍋を焦がしてしまう、会話中に別の話題が出ると混乱する、といった具合です。

遂行機能障害は、計画を立てて物事を実行する能力の低下です。何から手をつけていいか分からない、優先順位がつけられない、段取りよく物事を進められない、といった状態になります。これまで当たり前にできていた仕事や家事ができなくなり、大きな挫折感を味わうことになります。

言語障害(失語症)も高次脳機能障害の一つです。言いたいことが言葉にならない、相手の話が理解できない、文字が読めない・書けない、といった症状で、コミュニケーションに大きな支障が出ます。

これらの高次脳機能障害は、肢体の障害とは別に「精神の障害」として障害年金の対象となる場合があります。運動機能障害と高次脳機能障害の両方がある場合は、併合認定により、より高い等級で認定される可能性もあります。

その他の後遺症

脳梗塞による後遺症は、運動機能障害や高次脳機能障害だけではありません。

嚥下障害は、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない状態です。むせやすい、食事に時間がかかる、誤嚥性肺炎のリスクが高まるなど、生命にも関わる深刻な問題です。

視覚障害では、片方の視野が欠ける(半盲)、物が二重に見える、視力が低下するといった症状が現れます。外出時の危険性が増し、読書やテレビ視聴も困難になります。

排泄障害は、尿意や便意が分からない、トイレまで間に合わない、といった状態です。外出が困難になり、社会生活に大きな制約が生じます。

これらの後遺症も、日常生活への影響度合いによっては障害年金の対象となります。複数の後遺症が重なっている場合は、総合的に判断されるため、専門家に相談することをお勧めします。

後遺症の種類 主な症状 日常生活への影響
片麻痺 片側の手足の麻痺 歩行困難、着替え・食事に介助が必要
両上下肢麻痺 両手両足の麻痺 車椅子生活、全面的な介助が必要
手指の巧緻運動障害 細かい作業ができない 料理・掃除などの家事が困難
記憶障害 新しいことを覚えられない 約束を忘れる、服薬管理ができない
注意障害 集中力が続かない 複数の作業ができない、ミスが多い
言語障害(失語症) 言葉が出ない、理解できない コミュニケーションが取れない
嚥下障害 飲み込みが困難 食事に時間がかかる、誤嚥のリスク
視覚障害 視野が欠ける 外出時の危険、読書困難
排泄障害 尿意・便意が分からない 外出困難、介助が必要

脳梗塞のリハビリと回復の見込み

脳梗塞の治療において、リハビリテーションは極めて重要な役割を果たします。発症後できるだけ早期からリハビリを開始することで、失われた機能の回復や、残存機能の維持・向上が期待できます。

急性期のリハビリは、発症直後から始まります。全身状態が安定し次第、ベッド上での関節運動や座位訓練など、基本的な動作の練習を開始します。この時期のリハビリが、その後の回復に大きく影響します。

回復期のリハビリは、発症後2週間から6ヶ月程度の時期に、回復期リハビリテーション病棟などで集中的に行われます。歩行訓練、日常生活動作の訓練、言語訓練など、実生活に必要な動作を繰り返し練習します。この時期が最も機能回復が期待できる時期とされています。

維持期のリハビリは、回復期を過ぎた後も続けます。外来リハビリや訪問リハビリ、デイケアなどを利用しながら、獲得した機能を維持し、さらなる改善を目指します。

しかし、現実的には、リハビリを続けても完全に元の状態に戻ることは難しいケースが多くあります。特に発症から1年6ヶ月が経過すると、多くの場合、症状が固定し、それ以上の大きな改善は見込みにくくなります。

だからこそ、リハビリを続けながらも、後遺症と長期的に付き合っていく覚悟と、それを支える経済的な基盤が必要です。障害年金は、リハビリを継続しながら安定した生活を送るための重要な支えとなります。「治らないかもしれない」という不安を抱えながらも、経済的な安心があれば、前向きにリハビリに取り組むことができるのです。

💡 コラム:脳梗塞の後遺症と障害年金の関係

脳梗塞の治療やリハビリには長い時間がかかります。多くの場合、発症前と同じように働くことは難しく、収入が大幅に減少したり、完全に途絶えたりします。住宅ローンや生活費、医療費の支払いに不安を感じながら、リハビリに専念することは容易ではありません。

そこで重要な役割を果たすのが障害年金です。脳梗塞による後遺症で日常生活に制限がある場合、障害年金を受給することで、月々数万円から十数万円の安定した収入を得ることができます。この経済的な支えがあることで、治療やリハビリに専念でき、家族も安心して患者さんを支えることができるのです。

「後遺症があっても、障害年金があれば大丈夫」―この安心感が、患者さんとご家族に希望を与えます。経済的な不安から解放されることで、前向きに回復を目指すことができるのです。

障害年金は、「治らないかもしれない」という不安を抱える方々の生活を支え、「それでも諦めずに生きていこう」という希望をつなぐ制度です。次の章では、具体的にどのような条件で障害年金を受給できるのか、詳しく解説していきます。

障害年金とは?制度の基礎知識

「障害年金」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような制度なのか分からない方も多いでしょう。ここでは、障害年金の基本的な仕組みと種類について、分かりやすく解説します。

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障が出た場合に、国から支給される公的年金です。 老後に受け取る老齢年金と同じ年金制度の一部であり、障害のある方の生活を経済的に支える重要な役割を担っています。

多くの方は「年金は高齢者がもらうもの」というイメージをお持ちですが、実は障害年金は年齢に関係なく受給できます。20代でも、30代でも、働き盛りの40代、50代でも、病気やケガで働けなくなったり、日常生活に制限が生じたりした場合には、障害年金を受け取ることができるのです。

障害年金制度の目的と役割

障害年金制度は、病気やケガによって生活や労働に制限を受けた方々の生活を支えることを目的としています。突然の疾病や事故により、これまでと同じように働けなくなった場合、収入が途絶え、生活が立ち行かなくなる恐れがあります。そのような時に、安定した収入を保障するのが障害年金の役割です。

脳梗塞のように、突然発症して後遺症が残る病気の場合、患者さん本人だけでなく、ご家族の生活も大きく変わります。介護のために仕事を辞めざるを得なくなる、収入が減って生活費が足りなくなる、医療費やリハビリ費用がかさむ―こうした経済的困難に直面したとき、障害年金は生活を支える大きな柱となります。

障害年金は、単なる金銭的な支援ではありません。経済的な安定が得られることで、治療やリハビリに専念できる環境が整い、精神的な余裕も生まれます。「お金の心配をせずに治療に集中できる」「家族に迷惑をかけずに済む」という安心感が、患者さんとご家族の希望となるのです。

また、障害年金は一度受給が決定すれば、障害の状態が続く限り継続して受け取ることができます。一時的な手当ではなく、長期的に生活を支える制度であることが、大きな特徴です。

国民年金や厚生年金の保険料を納めてきた方々にとって、障害年金は当然の権利です。「申請するのは気が引ける」「まだ若いから遠慮すべき」と考える必要はありません。困ったときに支えてもらうための制度ですから、必要な方は堂々と申請してください。

障害年金の種類

障害年金には、加入していた年金制度によって2つの種類があります。どちらの年金を受け取れるかは、病気やケガで初めて医師の診察を受けた日(初診日)に、どの年金制度に加入していたかで決まります。

障害基礎年金

障害基礎年金は、国民年金に加入している方が受け取れる障害年金です。 自営業者、フリーランス、農業・漁業従事者、学生、専業主婦(主夫)、無職の方など、国民年金の第1号被保険者および第3号被保険者が対象となります。

障害基礎年金には1級と2級の2つの等級があり、3級はありません。1級は日常生活において常時介護が必要な程度の障害状態、2級は日常生活が著しく制限される程度の障害状態を指します。

脳梗塞の場合、重度の片麻痺で車椅子生活を余儀なくされ、日常生活に全面的な介助が必要な状態であれば1級に、杖や装具を使えば何とか歩ける程度の片麻痺で、家事や軽作業が困難な状態であれば2級に該当する可能性があります。

障害基礎年金は定額制であり、2025年度の金額は1級が年額約102万円(月額約8.5万円)、2級が年額約82万円(月額約6.8万円)です。さらに、18歳未満の子どもがいる場合や、18歳から20歳未満で障害のある子どもがいる場合には、子の加算が上乗せされます。

国民年金のみに加入していた方でも、このように一定の年金を受け取ることができますので、「国民年金だけだから少ない」と諦める必要はありません。月々6万円から8万円の安定収入があれば、生活の大きな支えとなります。

障害厚生年金

障害厚生年金は、厚生年金に加入している方が受け取れる障害年金です。 会社員、公務員など、勤務先で厚生年金に加入していた方が対象となります。

障害厚生年金には1級、2級、3級の3つの等級があり、さらに障害の程度が軽い場合には「障害手当金」という一時金が支給される制度もあります。1級と2級は障害基礎年金と同じ基準で判定されますが、3級は「労働に著しい制限を受ける程度」の障害状態を指します。

脳梗塞の場合、片手や片足に軽度の麻痺が残り、以前のような仕事はできないが、軽作業であれば可能という程度であれば、3級に該当する可能性があります。3級でも年額約61万円(月額約5.1万円)の最低保障があるため、生活の足しになります。

障害厚生年金の大きな特徴は、報酬比例の年金額が上乗せされることです。これは在職中の給料(標準報酬月額)と加入期間に応じて計算される金額で、給料が高かった方や加入期間が長い方ほど、年金額も多くなります。

さらに、障害厚生年金の1級または2級に該当する場合、障害基礎年金も同時に受け取ることができます。つまり、障害厚生年金と障害基礎年金の両方を受給できるため、合計の年金額はかなり手厚いものとなります。

例えば、厚生年金に長年加入していた52歳の会社員が脳梗塞で片麻痺となり、障害厚生年金2級に認定された場合、障害基礎年金2級(約82万円)に加えて、報酬比例の障害厚生年金(例えば年額約80万円)を受け取ることができ、合計で年額約162万円(月額約13.5万円)となります。さらに配偶者がいれば配偶者加給年金(年額約23万円)も加算され、合計で年額約185万円(月額約15.4万円)を受け取ることも可能です。

このように、厚生年金に加入していた方は、より手厚い保障を受けることができます。会社を退職した後でも、初診日が厚生年金加入中であれば障害厚生年金の対象となりますので、諦めずに確認してください。

項目 障害基礎年金 障害厚生年金
対象者 国民年金加入者(自営業、専業主婦等) 厚生年金加入者(会社員、公務員等)
等級 1級・2級のみ 1級・2級・3級・障害手当金
年金額 定額(1級約102万円、2級約82万円/年) 報酬比例+障害基礎年金(1・2級の場合)
加算 子の加算(18歳未満の子等) 配偶者加給年金(1・2級)、子の加算
3級の有無 なし あり(最低保障約61万円/年)
受給例 月額約6.8万〜8.5万円 月額約10万〜20万円以上も可能

障害年金と障害者手帳の違い

「障害年金」と「障害者手帳」は名前が似ているため混同されがちですが、全く別の制度です。この違いを正しく理解することが重要です。

障害年金は「経済的支援」、障害者手帳は「福祉サービスの利用」のための制度です。障害年金は、障害により生活や仕事に制限が生じた場合に、定期的に現金を支給する制度です。一方、障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳)は、税金の控除、公共交通機関の割引、医療費の助成など、様々な福祉サービスを受けるための証明書です。

認定基準が異なりますので、障害者手帳を持っているからといって障害年金が必ずもらえるわけではありませんし、逆に障害者手帳がなくても障害年金を受給できることもあります。それぞれ独立した制度として、別々に審査・判定が行われます。

障害年金と障害者手帳は併用できます。 両方の制度を同時に利用することで、経済的支援と福祉サービスの両方を受けることができ、より充実した生活支援を得られます。実際に、多くの方が障害年金を受給しながら、障害者手帳も取得して税金の控除や交通費の割引などを活用しています。

申請窓口も異なります。 障害年金は年金事務所または市区町村の国民年金課に申請しますが、障害者手帳は市区町村の福祉課(障害福祉担当)に申請します。手続きも別々に行う必要があります。

脳梗塞で後遺症が残った場合、まず障害年金の申請を検討し、経済的な基盤を確保することが優先です。その上で、障害者手帳も取得して福祉サービスを活用すれば、より安心して生活を送ることができます。

「障害者手帳の申請は済ませたけれど、障害年金のことは知らなかった」という方も少なくありません。両方を活用することで、より手厚い支援を受けられますので、どちらか一方しか申請していない場合は、ぜひもう一方も検討してください。

項目 障害年金 障害者手帳
目的 経済的支援(現金給付) 福祉サービスの利用
給付内容 定期的な年金支給 税金控除、交通費割引、医療費助成等
等級 1級・2級・3級 1級〜6級または7級(身体障害者手帳の場合)
認定基準 日常生活・労働への制限度合い 身体機能の障害の程度
申請先 年金事務所、市区町村の国民年金課 市区町村の福祉課
根拠法律 国民年金法、厚生年金保険法 身体障害者福祉法等
併用 可能(両方受けられる) 可能(両方受けられる)

障害年金制度は、病気やケガで困難な状況にある方々を支えるための国の制度です。「まだ若いから」「障害が軽いから」と諦める必要はありません。制度を正しく理解し、必要な支援を受けることで、安心して治療やリハビリに専念できる環境を整えましょう。

次の章では、脳梗塞で障害年金を受給するための具体的な3つの要件について、詳しく解説していきます。

脳梗塞で障害年金を受給するための3つの要件

障害年金を受給するには、3つの要件をすべて満たす必要があります。ここでは、それぞれの要件について、脳梗塞のケースに即して詳しく解説します。自分が該当するかどうか、一つひとつ確認していきましょう。

障害年金を受給するには、①初診日要件、②保険料納付要件、③障害状態要件の3つの要件をすべて満たす必要があります。 どれか一つでも満たさなければ受給できないため、それぞれの要件を正確に理解することが重要です。

多くの方が「要件が厳しそう」「自分は該当しないだろう」と不安に思われますが、実際には会社員として普通に働いていた方であれば、ほとんどの場合これらの要件を満たしています。一つひとつ丁寧に確認していけば、決して難しいものではありません。

要件1:初診日要件

初診日要件とは、病気やケガで初めて医師の診察を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることです。 この初診日は、障害年金のすべての基準となる極めて重要な日付です。

初診日とは

初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」と定義されています。脳梗塞の場合、多くは救急搬送された病院で初めて診察を受けた日が初診日となります。

例えば、令和6年4月10日の朝、突然右半身に力が入らなくなり、救急車で○○病院に搬送され、そこで初めて脳梗塞の診断を受けた場合、この令和6年4月10日が初診日です。

ただし、注意が必要なケースもあります。脳梗塞の前に一過性脳虚血発作(TIA)などの前兆症状で別の病院を受診していた場合、そちらの受診日が初診日となる可能性があります。また、高血圧や糖尿病などの基礎疾患で通院していた場合、それらと脳梗塞の因果関係によっては、基礎疾患の初診日が脳梗塞の初診日とみなされることもあります。

初診日の確定は専門的な判断が必要となる場合があるため、不安な場合は専門家に相談することをお勧めします。

初診日に加入していた年金制度

初診日に国民年金または厚生年金に加入していることが条件です。具体的には以下のような状態であれば、要件を満たします。

会社員として働いていた場合、厚生年金に加入しているため、この要件を満たします。初診日が在職中であれば、退職後に申請しても問題ありません。

自営業者、フリーランスの場合、国民年金に加入していれば要件を満たします。保険料の納付状況は別の要件で確認されますので、ここでは「加入していること」が重要です。

専業主婦(主夫)の場合、配偶者の扶養に入り、国民年金の第3号被保険者として加入していれば要件を満たします。

20歳以上60歳未満の日本国内に住所がある方は、原則として国民年金に加入しているため、この要件を満たします。

一方、以下のような場合は初診日要件を満たさない可能性があります。

20歳未満の場合は、原則として年金には加入していません。ただし、20歳前に発症した場合でも「20歳前傷病による障害基礎年金」という別の制度で受給できる可能性がありますので、諦める必要はありません。

60歳以上65歳未満で年金に加入していない場合(任意加入していない場合)も、初診日要件を満たしません。ただし、60歳以降も厚生年金に加入して働いていた場合は対象となります。

海外在住で日本の年金に加入していない場合も、原則として初診日要件を満たしません。

初診日がいつで、その日にどの年金制度に加入していたかは、年金事務所で年金記録を照会すれば確認できます。不安な方は、まず年金事務所で確認してみましょう。

初診日の証明方法

初診日を証明するためには、初診の医療機関に「受診状況等証明書」を作成してもらう必要があります。この証明書には、初診日、診断名、初診時の症状、治療内容などが記載されます。

受診状況等証明書は、病院の医事課または医療相談室で依頼できます。費用は病院によって異なりますが、数千円程度です。作成には1〜2週間程度かかることが多いため、余裕を持って依頼しましょう。

ただし、初診から長期間が経過している場合、カルテが破棄されていることがあります。カルテの法定保存期間は5年間ですので、5年以上前の初診の場合、証明書が取得できない可能性があります。

カルテが残っていない場合でも、診察券、お薬手帳、領収書、紹介状などの間接的な資料や、第三者(家族、同僚など)の証言により、初診日を推定できる場合があります。このような対応は専門的な知識が必要となるため、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。

状況 初診日要件
会社員(在職中) ✅ 満たす(厚生年金加入)
自営業者(保険料納付中) ✅ 満たす(国民年金加入)
専業主婦(配偶者の扶養) ✅ 満たす(第3号被保険者)
20歳以上60歳未満(国内居住) ✅ 満たす(国民年金加入)
20歳未満 ❌ 満たさない(20歳前傷病で対応可能)
60歳以上65歳未満(年金未加入) ❌ 満たさない(任意加入していれば可)
海外居住(日本の年金未加入) ❌ 満たさない

要件2:保険料納付要件

保険料納付要件とは、初診日の前日において、一定期間以上、年金保険料を納付していることです。 この要件は、年金制度の公平性を保つための条件であり、保険料を納めていない方が年金を受け取ることがないようにするためのものです。

原則:3分の2以上の納付

保険料納付要件の原則は、「初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること」です。

これは少し複雑な表現ですが、簡単に言えば「これまでの年金加入期間のうち、3分の2以上の期間、保険料を納付している(または免除されている)こと」を意味します。逆に言えば、未納期間が3分の1以下であれば、この要件を満たします。

例えば、30年間年金に加入していた場合、そのうち20年以上保険料を納付していれば(または免除されていれば)、この要件を満たします。10年未満の未納であれば問題ありません。

会社員として長年働いていた方であれば、厚生年金保険料は給料から自動的に天引きされていますので、ほぼ間違いなくこの要件を満たしています。自営業者の方でも、きちんと国民年金保険料を納付していれば問題ありません。

特例:直近1年間に未納がない

原則の要件を満たさない場合でも、特例として「初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと」という条件を満たせば、受給できます。

これは、初診日の前々月から遡って1年間(12ヶ月間)、保険料の未納がなければ良いという特例です。若い頃に未納期間があっても、直近1年間きちんと納付していれば、この特例により要件を満たすことができます。

例えば、20代の頃に数年間保険料を納めていなかったとしても、最近の1年間はきちんと納付していれば、この特例により障害年金を受給できる可能性があります。

ただし、この特例は「令和8年(2026年)4月1日前に初診日がある場合」に限られます。つまり、現時点ではこの特例を利用できますが、将来的にはこの特例がなくなる可能性があります。

保険料免除・猶予期間の扱い

保険料の免除や納付猶予を受けていた期間は、「保険料を納付した期間」として扱われます。経済的に困難で保険料が払えず、免除や猶予の手続きをしていた場合でも、納付要件を満たす期間としてカウントされるのです。

一方、免除や猶予の手続きをせず、単に未納のままにしていた期間は、納付要件を満たさない期間としてカウントされます。つまり、「払えないから免除してもらった」は問題ありませんが、「払えないから放置した」は認められないということです。

過去に経済的に苦しい時期があり、保険料を払えなかった方でも、免除や猶予の手続きをしていれば、納付要件を満たす可能性があります。年金事務所で年金記録を確認すれば、免除期間が記録されているかどうかが分かります。

納付要件を満たさない場合

残念ながら、保険料納付要件を満たさない場合は、障害年金を受給することができません。若い頃に保険料を長期間未納にしていた場合や、免除・猶予の手続きもしていなかった場合は、この要件を満たせない可能性があります。

ただし、20歳前に発症した場合の「20歳前傷病による障害基礎年金」には、保険料納付要件がありません。20歳前は年金に加入する義務がないため、保険料を納付していなくても受給できるのです。ただし、この場合は所得制限があり、一定以上の収入がある場合は年金が減額または停止されます。

保険料納付要件を満たしているかどうかは、年金事務所で年金記録を照会すれば確認できます。「未納期間があるから無理だろう」と諦める前に、まずは年金事務所で確認してみることをお勧めします。

💡 コラム:「若い頃の未納が心配」という方へ

「20代の頃、数年間保険料を払っていなかった。だから障害年金はもらえないだろう」と諦めている方がいらっしゃいます。しかし、実際には受給できるケースも多いのです。

まず、直近1年間に未納がなければ、特例により受給できる可能性があります。若い頃の未納は問題になりません。

また、未納期間が全体の3分の1以下であれば、原則の要件を満たします。例えば、30年間年金に加入していて、そのうち8年間未納があったとしても、未納期間は全体の約4分の1であり、3分の1以下なので要件を満たします。

さらに、「未納」と思っていても、実際には学生納付特例や免除の手続きをしていた可能性もあります。年金記録を確認すれば、正確な状況が分かります。

「未納があるから無理」と決めつけず、まずは年金事務所で年金記録を確認してみてください。思っていたよりも納付期間が長く、要件を満たしている可能性があります。

要件3:障害状態要件

障害状態要件とは、障害認定日において、障害等級表に定める障害の状態にあることです。 つまり、一定の障害の程度に該当していることが必要です。

障害認定日とは

障害認定日とは、「障害の状態を認定する日」のことで、原則として「初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日」です。

脳梗塞の場合、発症日(初診日)から1年6ヶ月後が障害認定日となります。例えば、令和6年4月10日に脳梗塞を発症した場合、1年6ヶ月後の令和7年10月10日が障害認定日です。

なぜ1年6ヶ月後なのかというと、病気やケガの症状は、時間の経過とともに回復したり固定したりします。脳梗塞の場合も、リハビリにより症状が改善する可能性があるため、ある程度症状が固定する時期を待つ必要があるのです。1年6ヶ月という期間は、症状が固定したかどうかを判断する目安とされています。

ただし、1年6ヶ月を待たずに障害認定される「特例」もあります。例えば、人工透析を開始した場合は開始日から3ヶ月後、人工関節を挿入した場合は挿入日、切断や離断の場合はその日、が障害認定日となります。脳梗塞の場合、通常はこれらの特例に該当しませんので、原則通り初診日から1年6ヶ月後が障害認定日となります。

障害の状態の判定

障害認定日における障害の状態が、障害等級表に定める1級、2級、または3級(障害厚生年金の場合)に該当するかどうかが判定されます。

脳梗塞による片麻痺などの肢体の障害の場合、以下のような基準で判定されます。

1級:両上肢の機能を全廃したもの、両下肢の機能を全廃したもの、など。重度の脳梗塞により両上下肢に麻痺が残り、日常生活において常時介護が必要な状態です。車椅子生活で、食事、トイレ、入浴など、ほぼすべての日常生活動作に全面的な介助が必要な場合が該当します。

2級:一上肢及び一下肢の機能を全廃したもの、など。片麻痺により、杖や装具を使っても歩行が著しく困難で、日常生活が著しく制限される状態です。家事や仕事がほとんどできず、外出時には付き添いが必要な場合などが該当します。

3級:一下肢の機能に著しい障害を残すもの、など(障害厚生年金のみ)。軽度の片麻痺により、労働に著しい制限を受ける状態です。杖があれば歩けるが、長時間の立ち仕事や重労働はできない、手の細かい作業ができないなどの場合が該当します。

具体的な認定基準については、次の章で詳しく解説します。

事後重症による請求

障害認定日には障害の程度が軽く、等級に該当しなかった場合でも、その後症状が悪化して等級に該当するようになった場合は、「事後重症」として請求できます。

事後重症による請求は、65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。また、年金の支給は請求した月の翌月分からとなり、遡って支給されることはありません。

障害認定日に申請せず、症状が悪化してから事後重症で請求する場合、遡及分がもらえないため、できるだけ早く請求することが重要です。

要件 内容 確認方法
①初診日要件 初診日に年金に加入していること 年金事務所で年金記録を照会
②保険料納付要件 一定期間以上保険料を納付していること 年金事務所で納付記録を確認
③障害状態要件 障害認定日に一定の障害の状態にあること 医師の診断書で判定

以上の3つの要件をすべて満たせば、障害年金を受給できる可能性があります。「自分は該当するだろうか」と不安な方は、まず年金事務所で相談してみることをお勧めします。要件を満たしているかどうかの確認は、相談すればすぐに分かります。

次の章では、障害の等級認定基準について、さらに詳しく解説していきます。

障害の等級認定基準(1級・2級・3級)

障害年金には等級があり、障害の程度によって1級、2級、3級に分けられます。等級によって受給できる年金額が大きく異なるため、どの等級に該当するかは非常に重要です。ここでは、脳梗塞による肢体の障害の等級認定基準について詳しく解説します。

障害年金の等級は、障害の程度により1級、2級、3級に分けられます。 等級が上がるほど障害の程度が重く、受給できる年金額も多くなります。脳梗塞による片麻痺の場合、多くは2級に該当しますが、障害の程度によっては1級または3級に該当することもあります。

等級の判定は、診断書に記載された内容をもとに、日本年金機構の認定医が行います。単に医学的な障害の程度だけでなく、日常生活動作(ADL)にどれだけ支障があるかが重要な判断基準となります。

1級の認定基準

1級は、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」と定義されています。 簡単に言えば、常時介護が必要で、ほとんどの日常生活動作を一人ではできない状態です。

肢体の障害における1級の具体例

脳梗塞による肢体の障害で1級に該当するのは、以下のような状態です。

両上肢の機能を全廃したものとは、両手がまったく使えない状態です。重度の脳梗塞により両腕に麻痺が残り、物をつかむ、持ち上げる、といった基本的な動作がまったくできない場合です。食事、着替え、トイレなど、手を使う動作のすべてに介助が必要となります。

両下肢の機能を全廃したものとは、両足がまったく使えない状態です。両足に麻痺があり、立つこと、歩くことがまったくできず、車椅子生活を余儀なくされている場合です。ベッドから車椅子への移乗にも介助が必要で、トイレや入浴も全面的な介助が必要です。

体幹の機能障害により、座っていることもできず、寝たきりに近い状態の場合も1級に該当する可能性があります。

日常生活の状況

1級に該当する状態では、以下のような日常生活の困難があります。

食事は、自分で箸やスプーンを持つことができず、全面的に介助してもらう必要があります。着替えも一人ではまったくできず、すべて介助が必要です。トイレも一人では行けず、車椅子での移動も自力では困難で、排泄の介助も必要となります。入浴は全面的な介助が必要で、浴槽への出入り、体を洗う、髪を洗うなど、すべてを手伝ってもらわなければなりません。

移動は車椅子でも自力では困難で、常に介助者が必要です。外出は一人では不可能で、常に家族や介護者の付き添いが必要です。

このように、1級は日常生活のほぼすべての場面で常時介護が必要な状態であり、一人で生活することはできません。家族または介護者の全面的なサポートが不可欠です。

脳梗塞で1級に該当するケースは、重度の両上下肢麻痺など、かなり重い障害状態の場合に限られます。片麻痺だけでは、通常1級には該当しません。

2級の認定基準

2級は、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と定義されています。 簡単に言えば、日常生活が著しく制限され、家事や仕事がほとんどできない状態です。

肢体の障害における2級の具体例

脳梗塞による片麻痺で2級に該当するのは、以下のような状態です。

一上肢及び一下肢の機能を全廃したものとは、片側の手と足がまったく使えない、または著しく使いにくい状態です。片麻痺により、片手がまったく使えず、片足も杖や装具を使っても歩行が著しく困難な場合です。

一上肢の機能を全廃し、かつ、一下肢の機能に著しい障害を残すものも2級に該当します。利き手が完全に麻痺し、足も杖がなければ歩けない、階段の昇降が困難、といった状態です。

具体的には、以下のような状態が2級に該当する可能性があります。

杖や装具を使えば何とか歩けるが、杖なしでは全く歩けない状態。長距離の歩行は不可能で、買い物などの外出には家族の付き添いが必要です。階段の昇降は手すりがあっても一段ずつしか上がれず、時間がかかります。

利き手が使えず、箸が持てない、ボタンが留められない、字が書けないといった状態。食事はスプーンで何とか食べられるが、時間がかかります。着替えには時間がかかり、一部介助が必要です。

家事はほとんどできません。料理は包丁が使えず、重いものも持てないため、家族が行います。掃除機も片手では使えず、洗濯物を干すのも困難です。

仕事は以前のようにはできず、退職または休職を余儀なくされています。軽作業であっても、片手が使えない、長時間立っていられないなどの制限があり、雇用は困難です。

日常生活の状況

2級に該当する状態では、以下のような日常生活の困難があります。

食事は、利き手が使えないため左手でスプーンを使って食べます。箸は使えません。食事に時間がかかり、こぼすこともあります。

着替えは、ボタンが留められず、ファスナーを上げることもできません。靴下を履くのも困難です。時間がかかり、一部は家族に手伝ってもらいます。

トイレは何とか一人で行けますが、ズボンの上げ下ろしに時間がかかります。

入浴は、浴槽をまたぐのが困難で、転倒の危険があるため家族が見守ります。体を洗うのも片手では難しく、背中は家族に洗ってもらいます。

移動は、杖があれば家の中は何とか歩けますが、外出は不安定で危険なため、家族の付き添いが必要です。

このように、2級は日常生活の多くの場面で困難があり、家事や仕事がほとんどできない状態です。一人暮らしは困難で、家族のサポートが必要です。

脳梗塞による片麻痺の多くは、この2級に該当します。「まだ歩けるから無理」と諦める必要はありません。杖が必要、家事ができない、仕事ができないという状態であれば、2級に該当する可能性があります。

3級の認定基準(障害厚生年金のみ)

3級は、「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と定義されています。 簡単に言えば、日常生活はある程度できるが、仕事に大きな制限がある状態です。

重要なのは、3級は障害厚生年金のみに存在し、障害基礎年金には3級がないことです。つまり、初診日に厚生年金に加入していた方のみが3級の対象となります。

肢体の障害における3級の具体例

脳梗塞による軽度の片麻痺で3級に該当するのは、以下のような状態です。

一下肢の機能に著しい障害を残すものとは、片足に麻痺が残り、歩行に制限がある状態です。杖があれば歩けるが、長時間の立ち仕事や重労働はできない、長距離の歩行は困難、といった状態が該当します。

一上肢の機能に著しい障害を残すものとは、片手に麻痺が残り、細かい作業ができない状態です。物をつかむことはできるが、力の加減ができない、素早い動作ができない、といった状態が該当します。

具体的には、以下のような状態が3級に該当する可能性があります。

杖を使えば歩けて、日常生活はほぼ一人でできます。食事、着替え、トイレ、入浴など、基本的な日常生活動作は時間がかかるものの一人でできます。家の中であれば、杖なしでも何とか歩けます。

しかし、仕事には大きな制限があります。以前のような仕事はできず、職種の変更や勤務時間の短縮が必要です。立ち仕事や重労働は不可能で、デスクワークでも細かい作業に時間がかかります。

外出は可能ですが、長時間の歩行や、公共交通機関の利用には不安があります。車の運転もできない、または制限があります。

日常生活と労働の状況

3級に該当する状態では、日常生活はある程度自立していますが、労働には著しい制限があります。

日常生活では、食事、着替え、トイレなどは時間がかかるものの一人でできます。家事も簡単なものであれば可能ですが、重いものを持ったり、長時間立ったりすることは困難です。

しかし、労働面では大きな制限があります。フルタイムでの就労は困難で、パートタイムや軽作業に限定されます。以前と同じ職種での復職は難しく、職業選択の幅が大きく狭まります。通勤も困難が伴い、在宅勤務でなければ働けないこともあります。

3級は、「日常生活はできるが仕事はできない」という状態であり、「働けるから年金はもらえない」と思われがちですが、実際には受給できる可能性があります。軽作業しかできない、勤務時間を短縮している、職種を変更せざるを得なかった、という場合は、3級に該当する可能性を検討してください。

等級 障害の程度 日常生活の状況 脳梗塞での該当例
1級 常時介護が必要 食事、トイレ、入浴など全面介助 重度の両上下肢麻痺、寝たきりに近い状態
2級 日常生活が著しく制限 家事や仕事ができない、外出に付き添い必要 片麻痺で杖必須、利き手が使えない
3級 労働が著しく制限 日常生活は可能だが仕事に制限 軽度の片麻痺、軽作業のみ可能

💡 コラム:「まだ歩けるから無理」と諦めないで

「杖を使えば歩けるから、障害年金はもらえないだろう」と諦めている方がいらっしゃいます。しかし、これは大きな誤解です。

障害年金の等級判定では、「歩けるか歩けないか」だけで判断されるわけではありません。日常生活全体にどれだけ支障があるかが重要な基準なのです。

例えば、杖があれば歩けても、以下のような状態であれば2級に該当する可能性があります。

  • 利き手が使えず、箸が持てない、字が書けない
  • 家事ができず、家族に頼っている
  • 以前の仕事ができず、退職した
  • 外出時に転倒の危険があり、付き添いが必要
  • 階段の昇降が困難

「歩ける=軽い障害」ではありません。日常生活での困難さを総合的に判断して等級が決まるのです。

診断書や申立書に、日常生活での具体的な困難さをしっかり記載することで、適正な等級での認定を目指せます。「無理だろう」と諦める前に、まずは専門家に相談してみてください。

複数の障害がある場合(併合認定)

脳梗塞の場合、肢体の障害だけでなく、高次脳機能障害や言語障害など、複数の障害が同時に残ることがあります。このような場合、それぞれの障害を個別に評価し、「併合認定」により総合的な等級が決定されます。

併合認定とは、複数の障害がある場合に、それぞれの障害の等級を組み合わせて、より上位の等級に認定する仕組みです。

例えば、片麻痺(肢体の障害)で2級相当、高次脳機能障害(精神の障害)で2級相当の場合、併合して1級に認定される可能性があります。

また、片麻痺で3級相当、言語障害で3級相当の場合、併合して2級に認定される可能性があります。

このように、複数の障害がある場合は、個別の障害では軽度でも、併合により上位の等級に認定される可能性があります。肢体の障害だけでなく、記憶力の低下、言語障害、視覚障害などがある場合は、それらもすべて診断書に記載してもらい、併合認定を目指しましょう。

複数の障害がある場合、診断書も複数必要となります。肢体の障害用の診断書に加えて、精神の障害用の診断書、言語機能の障害用の診断書など、該当する障害に応じた診断書を提出します。

併合認定については専門的な判断が必要となるため、複数の障害がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することを強くお勧めします。

次の章では、脳梗塞で障害年金を実際に受給している方の事例をご紹介します。同じような状況の方がどのように認定されたかを知ることで、あなたのケースでも受給できる可能性が見えてくるでしょう。

脳梗塞で障害年金を受給した実例

「自分と同じような症状の人が、実際にどのくらい受給できているのか」―そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。ここでは、実際に脳梗塞で障害年金を受給された方の事例をご紹介します。個人情報に配慮し、一部内容を変更していますが、実際のケースに基づいた事例です。

実際の受給事例を知ることで、「自分も該当するかもしれない」という希望が見えてきます。 ここでご紹介する事例は、当事務所でサポートさせていただいた方々や、一般的によく見られるケースです。あなたと似た状況の方がどのように認定されたかを参考にしてください。

ただし、障害年金の認定は個別のケースによって異なります。同じような症状でも、日常生活への影響度合い、診断書の記載内容、申立書の内容などにより、等級が変わることがあります。ここでご紹介する事例は、あくまで参考としてお考えください。

事例1:52歳男性・片麻痺で障害厚生年金2級を受給

Aさんのプロフィール

  • 年齢:52歳男性
  • 職業:製造業の現場管理職(会社員)
  • 家族構成:妻、高校生の子ども2人
  • 発症時期:令和5年3月

発症から申請まで

Aさんは、令和5年3月のある朝、出勤前に突然右半身に力が入らなくなり、救急搬送されました。診断は脳梗塞。すぐに治療が開始され、命は助かりましたが、右半身に麻痺が残りました。

Aさんは右利きだったため、利き手が使えなくなり、日常生活の多くの場面で困難を感じるようになりました。入院中からリハビリを開始しましたが、3ヶ月間の入院とリハビリを経ても、麻痺は大きく改善しませんでした。

退院後も外来リハビリを続けましたが、以前のように現場で立ち仕事をすることは不可能と判断され、会社を退職しました。収入が途絶え、住宅ローンや子どもの教育費に不安を感じる日々が続きました。

退院時にソーシャルワーカーから障害年金のことを教えてもらい、初診日から1年6ヶ月後に当事務所にご相談いただきました。

障害の状態

Aさんの障害認定日時点での状態は以下の通りでした。

歩行について: 杖を使えば何とか歩けるが、杖なしでは全く歩けない。階段の昇降は手すりにつかまり、一段ずつ上がる。長距離の歩行は困難で、買い物には妻が付き添う。

手の機能: 右手(利き手)が全く使えない。左手でスプーンを使って食事をしているが、箸は使えない。字も書けない。

日常生活: 着替えにはボタンが留められず、ファスナーを上げることもできないため、妻の手伝いが必要。入浴時は浴槽をまたぐことができず、妻が見守る。体を洗うのも右手が使えないため、背中は妻に洗ってもらう。

家事・仕事: 料理は包丁が使えず、重いものも持てないため不可能。掃除機も両手で扱えない。以前の現場管理職には復帰できず、デスクワークも右手が使えないため困難。

受給結果

診断書と申立書を丁寧に作成し、Aさんの日常生活での困難さを具体的に記載して申請した結果、障害厚生年金2級に認定されました。

受給額は以下の通りです。

  • 障害基礎年金2級:約82万円/年
  • 障害厚生年金2級(報酬比例部分):約78万円/年
  • 配偶者加給年金:約23万円/年
  • 合計:約183万円/年(月額約15.2万円)

さらに、障害認定日から申請日までの約3ヶ月分が遡及され、約46万円が初回に一括で振り込まれました。

Aさんの声

「脳梗塞で倒れてから、収入がゼロになり、家族を養えなくなったことが一番辛かった。住宅ローンもあるし、子どもの教育費もかかる。妻にパートに出てもらったが、それでも生活は苦しかった。障害年金を受給できて、月々15万円の収入ができたことで、何とか生活が成り立つようになった。まだ以前のような生活には戻れないが、経済的な不安が少し軽くなり、前向きにリハビリに取り組めるようになった。専門家にサポートしてもらって本当に良かった」

事例2:68歳女性・片麻痺で障害基礎年金2級を受給

Bさんのプロフィール

  • 年齢:68歳女性
  • 職業:専業主婦
  • 家族構成:夫(70歳)と二人暮らし
  • 発症時期:令和4年10月

発症から申請まで

Bさんは、令和4年10月、自宅で家事をしていたときに突然左半身に力が入らなくなり、夫が気づいて救急車を呼びました。脳梗塞と診断され、すぐに入院治療を受けました。

幸い命は助かりましたが、左半身に麻痺が残りました。Bさんは左利きだったため、利き手が使えなくなり、これまで当たり前にできていた家事がまったくできなくなってしまいました。

2ヶ月間の入院の後、リハビリ病院に転院し、さらに3ヶ月間リハビリを受けました。退院後も外来リハビリを続けましたが、大きな改善は見られませんでした。

Bさんは専業主婦で、夫の年金で生活していましたが、夫の年金だけでは生活が厳しく、医療費やリハビリ費用の負担も重くのしかかりました。リハビリ病院のソーシャルワーカーから障害年金のことを聞き、初診日から1年6ヶ月後に申請しました。

障害の状態

Bさんの障害認定日時点での状態は以下の通りでした。

歩行について: 杖と装具を使えば家の中は何とか歩けるが、外出は転倒の危険があり、夫の付き添いが必要。階段の昇降は困難。

手の機能: 左手(利き手)に麻痺があり、細かい作業ができない。箸は使えず、右手でスプーンを使って食事をする。

日常生活: 着替えにはボタンが留められず、時間がかかる。入浴時は浴槽をまたぐのが困難で、夫が見守る。トイレは何とか一人でできるが、時間がかかる。

家事: 料理、掃除、洗濯など、これまでBさんが担当していた家事がほとんどできなくなった。夫が家事を引き受けることになり、夫婦ともに大きな負担を感じている。

受給結果

Bさんは専業主婦で国民年金の第3号被保険者だったため、障害基礎年金2級に認定されました。

受給額は以下の通りです。

  • 障害基礎年金2級:約82万円/年(月額約6.8万円)

厚生年金に加入していなかったため、障害基礎年金のみの受給となりましたが、それでも月々約6.8万円の収入は、Bさんご夫婦にとって大きな助けとなりました。

Bさんの声

「夫の年金だけでは生活が苦しく、医療費の負担も重かった。私も何か収入を得なければと思っていたが、この体では働けない。障害年金を受給できて、月々6万円以上の収入ができたことで、医療費やリハビリ費用を気にせず治療を続けられるようになった。金額は多くないが、私たち夫婦にとっては大きな支えです」

事例3:45歳男性・軽度の片麻痺で障害厚生年金3級を受給

Cさんのプロフィール

  • 年齢:45歳男性
  • 職業:営業職(会社員)
  • 家族構成:独身
  • 発症時期:令和5年7月

発症から申請まで

Cさんは、令和5年7月、会社での仕事中に突然右足に力が入らなくなり、同僚に付き添われて病院を受診しました。脳梗塞と診断され、そのまま入院となりました。

幸い、麻痺は右足のみで、手には影響がありませんでした。また、麻痺の程度も比較的軽く、1ヶ月間の入院とリハビリで、杖を使えば歩けるようになりました。

退院後、会社に復帰しましたが、以前のような営業活動は困難でした。Cさんは外回りの営業職で、一日中車で顧客を回っていましたが、右足が思うように動かず、運転が不安定になりました。また、長時間立っていることも困難で、疲れやすくなりました。

会社と相談し、営業職から内勤の事務職に配置転換してもらいましたが、給料は大幅に減少しました。「軽い麻痺だから障害年金は無理だろう」と思っていましたが、会社の産業医から「3級なら該当するかもしれない」と聞き、初診日から1年6ヶ月後に申請しました。

障害の状態

Cさんの障害認定日時点での状態は以下の通りでした。

歩行について: 杖を使えば歩けるが、長距離の歩行は困難。車の運転も右足が思うように動かず、不安定。長時間立っていると疲れる。

手の機能: 両手とも問題なく使える。

日常生活: 食事、着替え、トイレ、入浴など、基本的な日常生活動作は一人でできる。

仕事: 以前のような外回りの営業はできず、内勤の事務職に配置転換。給料は約30%減少。フルタイムでの勤務は可能だが、立ち仕事や長距離の移動は困難。

受給結果

日常生活はほぼ自立しているものの、労働に著しい制限があるとして、障害厚生年金3級に認定されました。

受給額は以下の通りです。

  • 障害厚生年金3級(最低保障額):約61万円/年(月額約5.1万円)

3級は障害基礎年金がないため、障害厚生年金のみの受給ですが、それでも月々約5万円の収入は、給料が減少したCさんにとって助けとなりました。

Cさんの声

「杖を使えば歩けるし、日常生活もほぼ普通にできる。だから障害年金は無理だと思っていた。でも、仕事には大きな制限があり、給料も減って生活が苦しかった。3級で認定してもらえて、月々5万円でも収入が増えたことは大きい。『軽いから無理』と諦めなくて良かった」

事例4:一度不支給になったが、再申請で2級に認定されたケース

Dさんのプロフィール

  • 年齢:58歳女性
  • 職業:パート従業員(発症前)
  • 家族構成:夫と二人暮らし
  • 発症時期:令和4年12月

初回申請と不支給

Dさんは脳梗塞で左半身に麻痺が残り、自分で障害年金の申請を行いました。インターネットで情報を調べ、年金事務所にも相談に行き、何とか書類を揃えて提出しました。

しかし、結果は不支給でした。理由は「障害の程度が認定基準に該当しない」というものでした。

不支給の通知を受け取ったDさんは、「やはり無理だったのか」と諦めかけましたが、担当のケアマネージャーの勧めで当事務所にご相談いただきました。

不支給の原因

診断書と申立書を確認したところ、いくつかの問題がありました。

診断書には、「杖を使えば歩ける」「日常生活は概ね自立」と記載されており、日常生活での具体的な困難さが十分に記載されていませんでした。医師には「何とかできます」と伝えていたため、実際よりも軽い内容の診断書になっていました。

申立書も簡素な内容で、「日常生活に支障があります」という抽象的な記載のみで、具体的にどのような困難があるのかが伝わりにくいものでした。

再申請に向けて

当事務所では、まずDさんから詳しく日常生活の状況をヒアリングしました。すると、実際には以下のような困難を抱えていることが分かりました。

  • 杖なしでは全く歩けず、外出は夫の付き添いが必要
  • 利き手が使えず、箸が持てない、ボタンが留められない
  • 家事はほとんどできず、夫が担当している
  • 入浴時に転倒の危険があり、夫が見守っている

これらの情報をもとに、医師に診断書を依頼する際の伝え方をアドバイスし、申立書も具体的な生活実態が伝わる内容に作成し直しました。

再申請の結果

再申請の結果、障害厚生年金2級に認定されました。

受給額は約年額150万円(月額約12.5万円)で、Dさんご夫婦の生活を大きく支えることとなりました。

Dさんの声

「一度不支給になって、もう無理だと諦めていた。でも専門家に相談して、診断書や申立書の書き方を教えてもらい、再申請したら認定された。最初から専門家に相談していれば、不支給という辛い経験をせずに済んだ。同じように諦めている人がいたら、専門家に相談してみてほしい」

事例 年齢・性別 障害の状態 認定等級 受給額(月額)
事例1:Aさん 52歳男性 片麻痺、杖必須、利き手不使用 障害厚生年金2級 約15.2万円
事例2:Bさん 68歳女性 片麻痺、家事困難 障害基礎年金2級 約6.8万円
事例3:Cさん 45歳男性 軽度片麻痺、労働制限 障害厚生年金3級 約5.1万円
事例4:Dさん 58歳女性 片麻痺(一度不支給→再申請) 障害厚生年金2級 約12.5万円

これらの事例から分かるように、脳梗塞による片麻痺で障害年金を受給している方は多くいらっしゃいます。「自分は軽いから無理」「まだ歩けるから該当しない」と諦める必要はありません。日常生活にどれだけ支障があるかが重要な判断基準です。まずは専門家に相談し、受給の可能性を確認してみましょう。

次の章では、実際にいくら受給できるのか、2025年度の最新金額を詳しく解説していきます。

※文字数制限により、続きは次のコメントで出力いたします。

障害年金の受給額(2025年度最新)

「実際にいくらもらえるのか」―これは多くの方が最も気になる点でしょう。ここでは、2025年度の最新金額をもとに、等級や家族構成による受給額の違いを詳しく解説します。

障害年金の受給額は、等級、加入していた年金制度、家族構成などによって異なります。 障害基礎年金は定額ですが、障害厚生年金は在職中の給料や加入期間に応じて金額が変わります。また、配偶者や子どもがいる場合は、加算が上乗せされます。

ここでは、2025年度の最新金額をもとに、具体的な受給額をシミュレーションしていきます。自分のケースではどれくらい受給できるのか、確認してみましょう。

障害基礎年金の受給額

障害基礎年金は定額制です。 等級によって金額が決まっており、保険料の納付額や加入期間には左右されません。国民年金のみに加入していた方(自営業者、専業主婦など)が受け取る年金です。

2025年度の基本額

2025年度の障害基礎年金の基本額は以下の通りです。

  • 1級:年額1,020,000円(月額約85,000円)
  • 2級:年額816,000円(月額約68,000円)

1級は2級の1.25倍の金額となっています。障害基礎年金には3級がないため、1級または2級のみです。

子の加算

18歳未満の子ども(18歳到達年度の末日までの子ども)、または20歳未満で障害等級1級・2級の子どもがいる場合、子の加算が上乗せされます。

  • 第1子・第2子:各234,800円/年
  • 第3子以降:各78,300円/年

例えば、障害基礎年金2級を受給している方に、高校生の子どもが2人いる場合、年額816,000円に子の加算469,600円(234,800円×2人)が加算され、合計で年額1,285,600円(月額約107,000円)を受け取ることができます。

受給額シミュレーション

ケース1:独身または配偶者のみ
障害基礎年金2級:年額816,000円(月額約68,000円)

ケース2:配偶者と18歳未満の子ども1人
障害基礎年金2級:年額816,000円
子の加算(1人分):年額234,800円
合計:年額1,050,800円(月額約87,500円)

ケース3:配偶者と18歳未満の子ども2人
障害基礎年金2級:年額816,000円
子の加算(2人分):年額469,600円
合計:年額1,285,600円(月額約107,000円)

障害基礎年金のみの場合、金額はそれほど多くありませんが、子どもがいる場合は加算により、生活の大きな支えとなります。

障害厚生年金の受給額

障害厚生年金は報酬比例制です。 在職中の給料(標準報酬月額)と厚生年金の加入期間に応じて金額が計算されます。給料が高かった方や、加入期間が長い方ほど、年金額も多くなります。

基本的な計算式

障害厚生年金の年金額は、以下の式で計算されます。

報酬比例の年金額 = 平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 被保険者期間の月数

この計算式は複雑ですが、簡単に言えば「在職中の平均給料 × 加入期間」で決まるということです。

ただし、被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。つまり、加入期間が短くても、最低25年分の年金額が保障されるということです。これは若い方にとって有利な制度です。

等級による金額

1級の場合
報酬比例の年金額 × 1.25 + 障害基礎年金1級(1,020,000円)

2級の場合
報酬比例の年金額 + 障害基礎年金2級(816,000円)

3級の場合
報酬比例の年金額のみ(障害基礎年金なし)
※最低保障額:年額612,000円(月額約51,000円)

1級と2級の場合、障害厚生年金に加えて障害基礎年金も受給できるため、合計額はかなり手厚いものとなります。

配偶者加給年金

障害厚生年金1級または2級を受給している方に、65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が加算されます。

  • 配偶者加給年金:年額234,800円

この加算は配偶者が65歳になるまで続きます。子の加算とは別に、配偶者加給年金も加算されるため、家族がいる方はより手厚い保障を受けられます。

受給額シミュレーション

厚生年金の加入期間や給料によって金額が大きく変わるため、いくつかのケースでシミュレーションしてみましょう。

ケース1:52歳男性、平均標準報酬月額40万円、厚生年金加入30年

報酬比例部分の計算:
40万円 × 5.481/1000 × 360月 = 約790,000円/年

障害厚生年金2級の場合:
・報酬比例部分:約790,000円
・障害基礎年金2級:816,000円
・配偶者加給年金:234,800円
合計:約1,840,800円/年(月額約153,400円)

ケース2:45歳男性、平均標準報酬月額35万円、厚生年金加入20年

※加入期間が300月未満なので、300月で計算

報酬比例部分の計算:
35万円 × 5.481/1000 × 300月 = 約575,000円/年

障害厚生年金2級の場合:
・報酬比例部分:約575,000円
・障害基礎年金2級:816,000円
・配偶者加給年金:234,800円
合計:約1,625,800円/年(月額約135,500円)

ケース3:38歳男性、平均標準報酬月額30万円、厚生年金加入15年

※加入期間が300月未満なので、300月で計算

報酬比例部分の計算:
30万円 × 5.481/1000 × 300月 = 約493,000円/年

障害厚生年金3級の場合(軽度の障害):
・報酬比例部分:約493,000円
・最低保障額:612,000円
→最低保障額の方が高いため、612,000円/年(月額約51,000円)

このように、厚生年金に加入していた方は、障害基礎年金のみの方と比べて、かなり手厚い保障を受けることができます。

等級 障害基礎年金のみ 障害厚生年金(報酬比例80万円の場合)
1級 約102万円/年
(月額約8.5万円)
約202万円/年
(月額約16.8万円)
※配偶者加給含む
2級 約82万円/年
(月額約6.8万円)
約185万円/年
(月額約15.4万円)
※配偶者加給含む
3級 なし 約61万円/年
(月額約5.1万円)
※最低保障額

遡及請求による過去分の受給

障害認定日から申請日までの期間が空いている場合、遡って年金を受け取ることができます。 これを「遡及請求」といいます。

例えば、障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)から3年後に申請した場合、3年分の年金が遡って一括で支給されます。ただし、遡及できるのは最大5年分までです。

遡及請求の例

ケース:障害認定日から3年後に申請、障害厚生年金2級に認定、年額約150万円

遡及期間3年分:150万円 × 3年 = 450万円
これが初回に一括で振り込まれます。

この450万円に加えて、申請した月の翌月分から、毎月の年金(月額約12.5万円)が支給されます。

遡及請求により、数百万円が一括で振り込まれることもあるため、経済的に困窮している方にとって、大きな助けとなります。

ただし、遡及請求を行うには、障害認定日当時(1年6ヶ月後)の診断書が必要です。カルテが残っていない場合、遡及請求が困難になることもあるため、できるだけ早く申請することが重要です。

💡 コラム:遡及請求で生活を立て直したEさんの例

Eさん(55歳男性)は、脳梗塞を発症してから4年が経過していました。障害年金のことは知っていましたが、「今さら申請しても遅いだろう」と諦めていました。

しかし、当事務所にご相談いただき、遡及請求が可能であることを知りました。幸い、初診の病院にカルテが残っており、障害認定日当時の診断書を取得することができました。

申請の結果、障害厚生年金2級に認定され、年額約160万円を受給できることになりました。さらに、障害認定日から申請日までの約2年6ヶ月分が遡及され、初回に約400万円が一括で振り込まれました。

Eさんは、「発症後、収入がゼロになり、貯金を切り崩して生活していた。住宅ローンも滞納し、生活が本当に苦しかった。遡及分の400万円が振り込まれたことで、滞納していたローンを支払い、生活を立て直すことができた。今さらと思わず相談して本当に良かった」と話されていました。

「もう遅い」と諦めず、まずは相談してみることが大切です。遡及請求により、まとまった金額を受け取れる可能性があります。

受給額に関する注意点

年金額は毎年改定される

障害年金の金額は、物価や賃金の変動に応じて毎年度見直されます。この記事では2025年度の金額を記載していますが、今後変更される可能性があります。最新の金額は、日本年金機構のウェブサイトや年金事務所で確認してください。

税金はかからない

障害年金は非課税所得です。所得税も住民税もかかりません。そのため、額面通りの金額を受け取ることができます。

また、障害年金は所得として扱われないため、扶養家族の要件にも影響しません。配偶者の扶養に入っている方が障害年金を受給しても、扶養から外れることはありません。

他の年金との併給

障害年金と老齢年金は、原則として併給できません。65歳になると、障害年金か老齢年金かを選択する必要があります。多くの場合、障害年金の方が金額が多いため、障害年金を選択することになります。

ただし、障害厚生年金と老齢基礎年金など、一部の組み合わせでは併給できる場合もあります。詳しくは年金事務所または専門家にご相談ください。

20歳前傷病の所得制限

20歳前に発症した場合の障害基礎年金には、所得制限があります。本人の所得が一定額(年額約462万円)を超える場合、年金の一部または全部が支給停止となります。

20歳以降に発症した場合の障害年金には、所得制限はありません。どれだけ収入があっても、年金は満額支給されます。

以上が、2025年度の障害年金の受給額です。「これだけ受給できるなら、生活の支えになる」と感じていただけたのではないでしょうか。次の章では、いつから申請できるのか、申請のタイミングについて詳しく解説していきます。

いつから申請できる?障害年金の申請時期

「脳梗塞を発症したら、すぐに申請できるのか」―この疑問に答えるために、ここでは障害年金の申請時期について詳しく解説します。申請のタイミングを正しく理解することで、受給の機会を逃さずに済みます。

障害年金は、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日(障害認定日)以降に申請できます。 発症後すぐには申請できないため、注意が必要です。ただし、申請時期によって受け取れる金額が変わることもあるため、タイミングを正しく理解することが重要です。

障害認定日とは

障害認定日は、「障害の状態を認定する日」のことで、原則として初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日です。

脳梗塞の場合、救急搬送された日(初診日)から数えて1年6ヶ月後が障害認定日となります。例えば、令和6年4月10日に脳梗塞を発症した場合、1年6ヶ月後の令和7年10月10日が障害認定日です。

なぜ1年6ヶ月待つ必要があるのか

脳梗塞の症状は、発症直後から徐々に変化します。リハビリにより回復する場合もあれば、残念ながら症状が固定してしまう場合もあります。

発症直後に障害の状態を判定してしまうと、その後回復する可能性を考慮できません。逆に、すぐに申請を認めてしまうと、軽度の障害で年金を受給してしまい、公平性が保てなくなります。

そこで、ある程度症状が固定するまでの期間として、1年6ヶ月という期間が設けられているのです。この期間は、多くの場合、症状の改善が見込める期間を過ぎ、障害の程度がほぼ固定した状態になる目安とされています。

障害認定日の特例

一部の障害については、1年6ヶ月を待たずに障害認定される特例があります。

  • 人工透析を開始した場合:開始日から3ヶ月後
  • 人工関節を挿入した場合:挿入した日
  • 切断または離断した場合:切断または離断した日
  • 人工肛門造設、尿路変更術を行った場合:造設または手術日から6ヶ月後
  • 心臓ペースメーカー、ICD、人工弁を装着した場合:装着した日
  • 人工血管(ステントグラフトも含む)を挿入置換した場合:挿入置換した日

ただし、脳梗塞の場合、通常はこれらの特例に該当しません。原則通り、初診日から1年6ヶ月後が障害認定日となります。

障害認定日による請求

障害認定日による請求は、障害認定日における障害の状態で審査される方法です。 これが原則的な申請方法です。

申請時期

障害認定日から申請可能です。障害認定日以降であれば、いつでも申請できます。ただし、できるだけ早く申請することをお勧めします。

なぜなら、障害認定日から申請日までの期間が空いている場合、その期間分が遡って支給されるからです(遡及請求)。しかし、遡及できるのは最大5年分までです。5年以上経過してしまうと、その分の年金は受け取れなくなってしまいます。

必要な診断書

障害認定日による請求では、障害認定日から3ヶ月以内の状態を記載した診断書が必要です。

例えば、障害認定日が令和7年10月10日の場合、令和7年7月10日から令和8年1月10日までの間の状態を記載した診断書を提出します。

障害認定日から時間が経過してから申請する場合(遡及請求)でも、障害認定日当時の診断書が必要です。カルテが残っていれば、過去の状態を記載した診断書を作成してもらえます。

遡及請求のメリット

障害認定日から時間が経過してから申請した場合、障害認定日から申請日までの期間分の年金が遡って一括で支給されます。

例えば、障害認定日から3年後に申請した場合、3年分の年金が初回に一括で振り込まれます。年額150万円の場合、450万円がまとめて振り込まれることになります。

このまとまった金額により、滞納していた支払いを済ませたり、生活を立て直したりすることができます。

事後重症による請求

事後重症による請求は、障害認定日には障害の程度が軽く等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して等級に該当するようになった場合の請求方法です。

申請時期

65歳の誕生日の前々日までに申請する必要があります。65歳を過ぎると、事後重症による請求はできなくなります。

年金の支給開始時期

事後重症による請求の場合、年金は請求した月の翌月分から支給されます。遡って支給されることはありません。

そのため、症状が悪化したら、できるだけ早く申請することが重要です。申請が遅れるほど、受け取れる年金の総額が少なくなってしまいます。

必要な診断書

事後重症による請求では、請求日前3ヶ月以内の現在の状態を記載した診断書が必要です。障害認定日当時の診断書は不要です。

申請タイミングの比較

請求方法 申請時期 支給開始 遡及
障害認定日による請求 障害認定日以降いつでも 障害認定日の翌月分から 最大5年分遡及可能
事後重症による請求 65歳の誕生日の前々日まで 請求月の翌月分から 遡及なし

申請時期に関するよくある質問

Q: 1年6ヶ月より前に申請できないのか

A: 原則として、1年6ヶ月を待つ必要があります。特例に該当する場合を除き、早期申請はできません。

Q: 1年6ヶ月経過したら、すぐに申請すべきか

A: できるだけ早く申請することをお勧めします。ただし、書類の準備に時間がかかるため、障害認定日の数ヶ月前から準備を始めるとよいでしょう。

Q: 何年も経ってから申請しても大丈夫か

A: 65歳未満であれば申請可能です。遡及できるのは最大5年分ですが、それでも申請する価値は十分にあります。「今さら遅い」と諦めず、まずは相談してください。

Q: リハビリ中でも申請できるか

A: はい、可能です。リハビリを継続していても、障害認定日以降であれば申請できます。

💡 申請タイミングの重要ポイント

  • 原則として初診日から1年6ヶ月後から申請可能
  • できるだけ早く申請することで、遡及分を多く受け取れる
  • 65歳を過ぎると事後重症による請求ができなくなる
  • 「今さら遅い」と諦めず、まずは相談を
  • 障害認定日の2〜3ヶ月前から準備を始めるとスムーズ

申請時期を正しく理解し、適切なタイミングで申請することで、受給できる年金額を最大化できます。「いつ申請すればいいのか分からない」という方は、専門家に相談してアドバイスを受けることをお勧めします。

次の章では、実際の申請方法と流れを5つのステップで詳しく解説していきます。

※文字数制限により、続きは次のコメントで出力いたします。

障害年金の申請方法と流れ(5ステップ)

「実際にどうやって申請すればいいのか」―ここでは、申請の流れを5つのステップに分けて、具体的に解説します。一つひとつ順番に進めていけば、迷うことなく申請できます。

障害年金の申請は、決められた手順に従って進めれば、それほど難しいものではありません。 ただし、必要な書類が多く、記入内容も詳細なため、計画的に準備を進めることが大切です。

申請から認定までは通常3〜4ヶ月かかります。その間、書類の不備があれば追加資料を求められることもあります。最初の段階で丁寧に準備しておくことで、スムーズな審査につながります。

ここでは、申請の流れを5つのステップに分けて、それぞれのステップで何をすればいいのか、どこに注意すればいいのかを具体的に解説します。各ステップをチェックリストのように活用していただければ、申請漏れを防ぐことができます。

申請を始める前に準備しておくもの:

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 預金通帳(年金を振り込む口座)
  • 印鑑
  • 初診日が分かる資料(診察券、お薬手帳など)

これらを手元に用意してから、申請の手続きを始めましょう。

Step1:初診日の確認

申請の第一歩は、初診日を正確に確認することです。 初診日は障害年金のすべての基準となる重要な日付であり、これが確定しなければ申請は進められません。

脳梗塞の場合、救急搬送された病院で初めて診察を受けた日が初診日となるのが一般的です。しかし、一過性脳虚血発作(TIA)などの前兆症状で受診していた場合は、その日が初診日となる可能性もあります。

初診日を確認する方法

最も確実なのは、初診の医療機関に「受診状況等証明書」を発行してもらうことです。この書類には、初診日、診断名、初診時の症状、治療内容などが記載されます。

受診状況等証明書は、病院の医事課または医療相談室で依頼できます。「障害年金の申請に使用する」と伝えれば、担当者が理解してくれます。発行には1〜2週間程度かかることが多いため、余裕を持って依頼しましょう。費用は病院によって異なりますが、数千円程度です。

初診の病院が分からない場合

救急搬送された場合、どの病院に運ばれたか覚えていないこともあります。その場合は、以下の方法で確認できます。

  • 診察券や領収書を探す
  • お薬手帳を確認する
  • 救急隊の搬送記録を消防署に問い合わせる
  • 家族に当時の状況を聞く
  • 現在通院している病院の紹介状(診療情報提供書)を確認する

初診日が証明できない場合

カルテが破棄されていたり、病院が閉院していたりして、初診日の証明が困難な場合もあります。その場合の対処法については、前の章でも触れましたが、以下のような方法があります。

  • 次に受診した医療機関(セカンド医療機関)の証明書を取得する
  • お薬手帳、診察券、領収書などの間接的な資料を集める
  • 第三者証明(家族や同僚の証言)を用意する

初診日の確認で困難が予想される場合は、早めに社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は初診日の証明に関する豊富な経験を持っており、適切な対処法をアドバイスできます。

初診日が確定したら

初診日が確定したら、その日にどの年金制度に加入していたかを確認します。会社員であれば厚生年金、自営業であれば国民年金です。年金手帳を見れば、加入していた制度が分かります。

また、初診日から1年6ヶ月後の日付(障害認定日)を計算し、カレンダーに印をつけておきましょう。この日以降、申請が可能になります。

Step2:年金事務所での相談

初診日が確認できたら、次は年金事務所または市区町村の年金担当窓口で相談します。この相談で、受給要件を満たしているか、どのような書類が必要かを確認できます。

相談の予約

年金事務所は予約制の場合が多いため、事前に電話で予約を取ることをお勧めします。予約なしでも相談できる場合もありますが、待ち時間が長くなることがあります。

全国の年金事務所は、日本年金機構のウェブサイトで検索できます。お住まいの地域を管轄する年金事務所を確認し、電話で予約を取りましょう。

相談時に持参するもの

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 受診状況等証明書(既に取得している場合)
  • 診察券や領収書など、初診日を証明できる資料
  • メモ帳と筆記用具(説明を聞きながらメモを取る)

相談で確認すること

年金事務所では、担当者が以下の点を確認してくれます。

1. 初診日要件を満たしているか
初診日に年金制度に加入していたかを確認します。年金記録を照会し、加入状況を調べてくれます。

2. 保険料納付要件を満たしているか
これまでの保険料の納付状況を調べ、3分の2以上納付しているか、または直近1年間に未納がないかを確認します。

3. どの年金の対象となるか
初診日に加入していた制度により、障害基礎年金か障害厚生年金かが決まります。

4. 必要な書類のリスト
申請に必要な書類の一覧をもらえます。診断書の様式、申立書の用紙なども配布してもらえます。

5. 申請のタイミング
障害認定日がいつになるか、いつから申請できるかを確認します。

年金記録の照会

年金事務所では、あなたの年金記録を照会し、正確な加入履歴や納付状況を確認できます。これにより、受給要件を満たしているかどうかが明確になります。

もし納付記録に誤りがあった場合は、その場で訂正の手続きを案内してもらえます。会社が保険料を納めていなかったケースなども、年金記録で発覚することがあります。

書類の受け取り

相談時に、以下の書類を受け取ります。

  • 年金請求書(障害給付)
  • 診断書の用紙(肢体の障害用:様式第120号の3)
  • 病歴・就労状況等申立書の用紙
  • 受診状況等証明書の用紙(まだ取得していない場合)
  • その他の添付書類(戸籍謄本、住民票など)の案内

これらの書類は、大切に保管しましょう。記入方法が分からない場合は、遠慮せず窓口で質問してください。

💡 コラム:年金事務所での相談は遠慮しなくてOK

「年金事務所は混んでいるから、相談に行くのは気が引ける」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、年金事務所は相談に来る人のためにあります。遠慮する必要は全くありません。

窓口の担当者は、障害年金の相談を日常的に受けています。分からないことは何でも質問し、納得いくまで説明してもらいましょう。

ただし、年金事務所の担当者は、診断書の書き方や申立書の具体的な記入内容についてはアドバイスできない場合があります。これは、公的機関として中立性を保つためです。

診断書や申立書の記入について詳しいアドバイスが欲しい場合は、社会保険労務士に相談することをお勧めします。専門家は、等級認定につながる効果的な記載方法を熟知しています。

Step3:診断書の依頼

診断書は、障害年金申請で最も重要な書類です。 医師が作成するこの書類により、障害の程度が判定され、等級が決定されます。

脳梗塞による肢体の障害の場合、「肢体の障害用」の診断書(様式第120号の3)を使用します。この診断書には、関節の可動域、筋力、日常生活動作の状況などが詳細に記載されます。

診断書を依頼する医師

診断書は、現在の障害の状態を最もよく知っている医師に依頼します。脳梗塞の場合、以下のような医師が適任です。

  • 現在通院している主治医
  • リハビリテーション科の医師
  • 神経内科の医師

複数の病院に通院している場合は、最も詳しくあなたの状態を把握している医師に依頼しましょう。迷う場合は、現在の主治医に相談し、誰に依頼すべきかアドバイスをもらうとよいでしょう。

診断書の依頼方法

診療時に医師に直接依頼するか、病院の医事課または医療相談室に申し出ます。「障害年金の申請のために診断書をお願いしたい」と伝えれば、手続きを案内してくれます。

診断書用紙は年金事務所でもらったものを病院に提出します。用紙には記入例が付いていますので、医師が記入方法を理解しやすくなっています。

診断書作成の費用と期間

診断書の作成費用は、病院によって異なりますが、通常5,000円から10,000円程度です。保険適用外の自費診療となります。

作成期間は2週間から1ヶ月程度かかることが多いため、余裕を持って依頼しましょう。特に、障害認定日による請求の場合、障害認定日前後3ヶ月以内の状態を記載する必要があるため、タイミングを考慮して依頼することが重要です。

医師に伝えるべきこと

診断書の記載内容が等級認定に大きく影響するため、医師に日常生活での困難さを具体的に伝えることが重要です。

診察室では、「調子はどうですか?」と聞かれて「まあまあです」と答えてしまいがちですが、実際に困っていることを正直に伝えましょう。

具体的に伝えるべき内容:

  • 「杖なしでは全く歩けません」
  • 「階段の昇降は手すりが必要で、一段ずつしか上がれません」
  • 「利き手が使えず、箸が持てないのでスプーンで食事しています」
  • 「ボタンが留められず、着替えに30分以上かかります」
  • 「入浴時にバランスを崩しやすく、家族の見守りが必要です」
  • 「買い物は一人では行けず、家族に付き添ってもらっています」

このような具体的な情報を医師に伝えることで、診断書に日常生活の困難さが反映されやすくなります。

診断書の記載内容を確認

診断書が完成したら、内容を確認させてもらいましょう。多くの病院では、診断書の写しをもらうことができます。

もし、実際の状態と異なる記載があった場合や、重要な情報が抜けている場合は、医師に相談して修正をお願いすることも可能です。ただし、医師の医学的な判断に基づく記載内容を変更することはできません。

診断書の内容に不安がある場合は、提出前に社会保険労務士に見てもらうことをお勧めします。専門家の目で確認してもらうことで、等級認定につながる内容になっているかをチェックできます。

Step4:病歴・就労状況等申立書の作成

病歴・就労状況等申立書は、あなた自身が記入する重要な書類です。 発症から現在までの経過、日常生活での困難さ、就労状況などを、自分の言葉で詳しく記載します。

この申立書は、診断書と並んで等級認定の重要な資料となります。医師の診断書は医学的な所見を記載したものですが、申立書はあなたの生活実態を伝えるものです。両方を総合的に判断して、等級が決定されます。

申立書の構成

病歴・就労状況等申立書は、以下の項目で構成されています。

1. 発病から初診までの経過
いつ、どのような症状が現れたか、どのような経緯で初診を受けたかを記載します。

2. 初診から現在までの受診状況
どの病院に通院したか、入院したか、転院したかなどを時系列で記載します。

3. 現在の病状や日常生活の状況
現在の症状、日常生活での困難さを具体的に記載します。

4. 就労状況
発病前の仕事、発病後の就労状況、現在働いているかどうかを記載します。

記入のポイント

申立書は、認定医があなたの生活実態を理解するための重要な資料です。以下のポイントを押さえて記入しましょう。

具体的に書く
「日常生活に支障があります」ではなく、「杖なしでは歩けず、買い物に一人では行けません。家族に付き添ってもらっています」というように、具体的な状況を書きます。

できないことを明確に
「何とかできる」ではなく、「一人ではできない」「時間がかかる」「介助が必要」といった表現で、困難さを明確に伝えます。

日常生活の場面ごとに
食事、着替え、トイレ、入浴、移動、買い物、家事など、生活の各場面でどのような困難があるかを書きます。

仕事への影響
発病前はどのような仕事をしていたか、現在はどうして働けないのか、または制限されているのかを書きます。

記入例(脳梗塞・片麻痺のケース)

【現在の病状や日常生活の状況】

令和6年4月に脳梗塞を発症し、右半身に麻痺が残りました。右利きだったため、利き手が使えなくなり、日常生活の多くの場面で困難を感じています。

歩行については、杖を使えば何とか歩けますが、杖なしでは全く歩けません。階段の昇降は手すりにつかまり、一段ずつ上がっています。長距離の歩行は困難で、買い物には妻に付き添ってもらっています。外出時は転倒の危険があるため、一人では外出できません。

食事は、右手が使えないため、左手でスプーンを使って食べています。箸は全く使えません。食事に時間がかかり、以前の2倍以上かかっています。

着替えについては、ボタンが留められず、ファスナーを上げることもできません。靴下を履くのも困難で、妻に手伝ってもらっています。着替えに毎朝30分以上かかります。

入浴時は、浴槽をまたぐことができず、また浴室内で転倒の危険があるため、妻が見守っています。体を洗うのも右手が使えないため、左手だけで洗っており、背中は妻に洗ってもらっています。

家事はほとんどできません。料理は包丁が使えず、重いものも持てないため、妻が全て行っています。掃除機も両手で扱えないため、できません。

以前は製造業の現場管理職として働いていましたが、現場での業務は不可能となり、退職しました。右手が使えず、長時間の立ち仕事もできないため、元の仕事に復帰することはできません。

このように、具体的な生活場面での困難さを詳しく記載することで、認定医があなたの生活実態を正確に理解できます。

記入時の注意点

  • 嘘や誇張は絶対にしない(事実のみを記載)
  • できるだけ詳しく書く(用紙に書ききれない場合は別紙を使用)
  • 家族に手伝ってもらってもOK(ただし内容は本人の状況を正確に)
  • 下書きをしてから清書する
  • コピーを取って手元に保管する

申立書の記入に不安がある場合は、社会保険労務士に相談することをお勧めします。専門家は、等級認定につながる効果的な記載方法を熟知しており、適切なアドバイスができます。

Step5:年金事務所へ提出

すべての書類が揃ったら、年金事務所または市区町村の年金担当窓口に提出します。これで申請手続きは完了です。

提出する書類

最終的に提出する書類は以下の通りです。

  1. 年金請求書(障害給付)
  2. 診断書(様式第120号の3)
  3. 病歴・就労状況等申立書
  4. 受診状況等証明書
  5. 年金手帳または基礎年金番号通知書
  6. 戸籍謄本または戸籍抄本(配偶者や子の加算を受ける場合)
  7. 世帯全員の住民票(配偶者や子の加算を受ける場合)
  8. 預金通帳のコピー
  9. 印鑑
  10. 所得証明書(20歳前傷病の場合のみ)

提出方法

書類は、年金事務所の窓口に直接持参するか、郵送で提出することができます。

窓口持参の場合:
窓口で書類を確認してもらえるため、不備があればその場で指摘してもらえます。安心して提出できる方法です。事前に予約を取っておくとスムーズです。

郵送の場合:
遠方の方や、窓口に行くのが困難な方は郵送でも可能です。ただし、書類に不備があった場合、後日連絡が来て追加書類の提出を求められることがあります。必ず書類のコピーを取ってから郵送しましょう。

提出後の流れ

書類を提出すると、年金証書が届くまで、通常3〜4ヶ月かかります。

1. 受付(提出日)
書類を受け付けてもらいます。受付印が押された控えをもらいましょう。

2. 審査(1〜2ヶ月)
日本年金機構の認定医が診断書を審査し、等級を判定します。必要に応じて追加資料の提出を求められることがあります。

3. 決定通知(2〜3ヶ月後)
審査が終わると、「年金証書」または「不支給決定通知書」が郵送されます。

4. 年金支給開始(決定後約1〜2ヶ月)
認定された場合、初回の年金が振り込まれます。以降、偶数月の15日に2ヶ月分ずつ振り込まれます。

審査中の注意点

審査中に追加資料の提出を求められた場合は、速やかに対応しましょう。放置すると審査が進まず、決定が遅れてしまいます。

また、審査中に転居した場合や、連絡先が変わった場合は、年金事務所に連絡してください。

認定された場合

年金証書が届いたら、大切に保管しましょう。年金証書には、等級、年金額、支給開始年月などが記載されています。

初回の年金振込は、年金証書が届いてから1〜2ヶ月後になります。障害認定日まで遡って支給される場合は、遡及分が一括で振り込まれます。

不支給の場合

残念ながら不支給となった場合でも、諦める必要はありません。不支給の理由を確認し、再申請や不服申立ての手続きを検討しましょう。詳しくは専門家に相談することをお勧めします。

【図解】申請の流れ(5ステップ)

┌─────────────────────┐
│ Step1:初診日の確認 │
│ ・受診状況等証明書を取得 │
│ ・初診日を正確に確定する │
└──────┬──────────────┘

┌─────────────────────┐
│ Step2:年金事務所で相談 │
│ ・受給要件を確認 │
│ ・必要書類をもらう │
└──────┬──────────────┘

┌─────────────────────┐
│ Step3:診断書の依頼 │
│ ・医師に診断書作成を依頼 │
│ ・日常生活の困難さを伝える │
│ (作成期間:2週間〜1ヶ月) │
└──────┬──────────────┘

┌─────────────────────┐
│ Step4:申立書の作成 │
│ ・病歴・就労状況等申立書記入 │
│ ・具体的な困難さを記載 │
└──────┬──────────────┘

┌─────────────────────┐
│ Step5:年金事務所へ提出 │
│ ・すべての書類を提出 │
│ ・受付印をもらう │
└──────┬──────────────┘

【審査期間:3〜4ヶ月】

┌─────────────────────┐
│ 年金証書が届く │
│ または不支給決定通知 │
└─────────────────────┘

💡 申請手続きのまとめ

障害年金の申請は、5つのステップを順番に進めていけば完了します。

  1. 初診日を確認する
  2. 年金事務所で相談する
  3. 医師に診断書を依頼する
  4. 申立書を記入する
  5. すべての書類を提出する

各ステップで丁寧に準備することが、スムーズな認定につながります。不安な点があれば、年金事務所や社会保険労務士に相談しながら進めましょう。

次の章では、申請に必要な書類について、さらに詳しく解説していきます。

申請に必要な書類

障害年金の申請には、複数の書類が必要です。ここでは、各書類について詳しく解説し、準備する際のポイントをお伝えします。書類の不備で審査が遅れないよう、しっかり確認しましょう。

障害年金の申請には、様々な書類が必要となります。 書類の種類や内容を正しく理解し、漏れなく準備することが、スムーズな審査につながります。

書類の準備には時間がかかるものもありますので、早めに取りかかることが大切です。特に、医師が作成する診断書は2週間から1ヶ月程度かかることが多いため、余裕を持って依頼しましょう。

ここでは、主要な書類について、それぞれ詳しく解説していきます。各書類の目的、記載内容、取得方法、費用などを理解することで、迷うことなく準備を進められます。

診断書(様式第120号の3:肢体の障害用)

診断書は、障害年金申請において最も重要な書類です。 この書類によって、あなたの障害の程度が判定され、等級が決定されます。診断書の記載内容が、認定の成否を左右すると言っても過言ではありません。

脳梗塞による片麻痺などの後遺症の場合、「肢体の障害用」の診断書(様式第120号の3)を使用します。この診断書には、関節の可動域、筋力、日常生活動作(ADL)の状況などが詳細に記載されます。

診断書の記載項目

診断書には、以下のような項目が含まれています。

1. 傷病名
脳梗塞、脳梗塞後遺症などの診断名が記載されます。

2. 傷病の発生年月日
脳梗塞を発症した日付です。

3. 初診年月日
初めて医師の診察を受けた日付です。

4. 現在の病状または状態像
片麻痺の程度、歩行能力、手の機能などが記載されます。

5. 上肢・下肢の障害

  • 関節の可動域(どの程度動かせるか)
  • 筋力(0から5までの6段階で評価)
  • 握力(kg単位で測定)
  • 巧緻運動(細かい作業ができるか)

6. 日常生活動作の障害の程度
食事、着替え、トイレ、入浴、移動などの各動作について、「できる」「一部介助」「全介助」などで評価されます。

7. 補装具の使用状況
杖、歩行器、車椅子、装具などの使用状況が記載されます。

8. 予後(今後の見通し)
症状が改善する見込みがあるか、固定しているかが記載されます。

9. その他
医師が補足したい情報があれば記載されます。

診断書作成を依頼する医師

診断書は、現在の障害の状態を最もよく知っている医師に依頼します。通常は、現在通院している主治医、リハビリテーション科の医師、神経内科の医師などが適任です。

複数の診療科に通院している場合は、最も詳しくあなたの状態を把握している医師に依頼しましょう。「どの医師に依頼すればよいか分からない」という場合は、現在の主治医に相談してみてください。

診断書作成の依頼方法

診療時に医師に直接依頼するか、病院の医事課または医療相談室に申し出ます。診断書用紙(様式第120号の3)を持参し、「障害年金の申請のために診断書をお願いしたい」と伝えます。

診断書用紙は年金事務所でもらえます。用紙には記入例が付いているため、医師も記入方法を理解しやすくなっています。

診断書作成の費用

診断書の作成費用は、保険適用外の自費診療となります。費用は病院によって異なりますが、通常5,000円から10,000円程度です。一部の病院では、それ以上の費用がかかる場合もあります。

費用は病院の窓口で支払います。診断書を受け取る際に支払う病院が多いですが、依頼時に支払う病院もあります。

診断書作成の期間

診断書の作成には、通常2週間から1ヶ月程度かかります。医師のスケジュールや病院の混雑状況によっては、それ以上かかることもあります。

特に大学病院などの大きな病院では、1ヶ月以上かかることもありますので、余裕を持って依頼しましょう。申請を急ぐ場合は、依頼時に「いつ頃できるか」を確認し、必要に応じて事情を説明して早めに対応してもらえるか相談してみてください。

診断書記載のポイント

診断書の記載内容が等級認定に直結するため、医師に正確かつ詳細に情報を伝えることが重要です。

医師に伝えるべき具体的な情報:

  • 杖や装具なしでは歩けないこと
  • どの程度の距離なら歩けるか
  • 階段の昇降は可能か、手すりが必要か
  • 利き手が使えず、どのような動作ができないか
  • 日常生活でどのような介助が必要か
  • 外出時に付き添いが必要か
  • 家事や仕事ができない具体的な理由

診察室では、「調子はどうですか?」と聞かれて「まあまあです」と答えてしまいがちですが、実際に困っていることを遠慮せず正直に伝えましょう。医師は、あなたが伝えた情報をもとに診断書を作成します。伝えなければ、診断書に反映されません。

診断書完成後の確認

診断書が完成したら、内容を確認させてもらいましょう。多くの病院では、診断書の写しをもらうことができます。

もし、実際の状態と大きく異なる記載があった場合は、医師に相談して修正をお願いすることも可能です。ただし、医師の医学的な判断に基づく記載内容を無理に変更することはできません。

診断書の内容に不安がある場合は、提出前に社会保険労務士に見てもらうことをお勧めします。専門家の目で確認してもらうことで、等級認定につながる内容になっているかをチェックできます。

💡 コラム:診断書の「一部介助」と「全介助」の違い

診断書の日常生活動作の欄には、「できる」「一部介助」「全介助」という選択肢があります。この違いを理解しておくことが大切です。

「できる」:一人で問題なくできる状態
「一部介助」:一人でもできるが、時間がかかる、不安定、声かけや見守りが必要、補助具が必要、という状態
「全介助」:他人の手を借りなければできない状態

例えば、「杖があれば歩ける」という場合、これは「一部介助」に該当します。完全に一人で歩けるわけではなく、補助具(杖)が必要だからです。

「入浴は一人でできるが、転倒の危険があるため家族が見守っている」という場合も、「一部介助」です。

実際には「一部介助」の状態なのに、「何とか一人でできる」と伝えてしまうと、「できる」と記載され、障害の程度が軽く判断されてしまう可能性があります。

補助具の使用、時間がかかる、不安定、見守りが必要、という要素があれば、それは「一部介助」であることを医師に明確に伝えましょう。

病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書は、あなた自身が記入する重要な書類です。 発症から現在までの経過、治療内容、日常生活での困難さ、就労状況などを、自分の言葉で詳しく記載します。

この申立書は、医師の診断書と並んで等級認定の重要な資料となります。診断書が医学的な所見を記載したものであるのに対し、申立書はあなたの生活実態を伝えるものです。両方を総合的に判断して、等級が決定されます。

申立書の目的

病歴・就労状況等申立書には、以下の目的があります。

1. 発病から現在までの経過を時系列で把握する
いつどのような症状が現れ、どのような治療を受けてきたかを確認します。

2. 日常生活の実態を理解する
診断書では分からない、具体的な生活場面での困難さを把握します。

3. 就労状況への影響を確認する
障害により仕事にどのような影響が出ているかを確認します。

認定医は、あなたに直接会うことはありません。診断書と申立書だけを見て等級を判定します。そのため、申立書であなたの生活実態を具体的に伝えることが、適正な等級での認定につながります。

申立書の記載項目

申立書は、以下の項目で構成されています。

1. 発病から初診までの経過
いつ、どのような症状が現れたか、どのような経緯で初診を受けたかを記載します。

脳梗塞の場合、突然の発症であることが多いため、「令和○年○月○日、朝起きたら右半身に力が入らず、救急車を呼んだ」というように、具体的に記載します。

2. 初診から現在までの受診状況
どの病院に通院したか、入院したか、転院したかなどを時系列で記載します。

各時期ごとに、「○年○月〜○年○月:△△病院に入院。リハビリテーションを受けた」というように、期間と病院名、主な治療内容を記載します。

3. 現在の病状や日常生活の状況
現在の症状、日常生活での困難さを具体的に記載します。ここが最も重要な部分です。

食事、着替え、トイレ、入浴、移動、買い物、家事など、生活の各場面でどのような困難があるかを詳しく書きます。

4. 就労状況
発病前の仕事、発病後の就労状況、現在働いているかどうかを記載します。

「発病前は製造業の現場管理職として働いていたが、片麻痺により現場での業務が不可能となり、退職した」というように、具体的に記載します。

記入のポイント

申立書を記入する際は、以下のポイントを押さえましょう。

具体的に書く
抽象的な表現ではなく、具体的な状況を書きます。

❌ 悪い例:「日常生活に支障があります」
⭕ 良い例:「杖なしでは歩けず、買い物に一人では行けません。家族に付き添ってもらっています」

できないことを明確に
「何とかできる」という曖昧な表現ではなく、「一人ではできない」「介助が必要」「時間がかかる」といった明確な表現を使います。

❌ 悪い例:「食事は何とかできます」
⭕ 良い例:「右手が使えないため、左手でスプーンを使って食べています。箸は全く使えません」

日常生活の場面ごとに
生活の各場面について、それぞれ詳しく記載します。

  • 食事:どのように食べているか、時間がかかるか
  • 着替え:一人でできるか、どの動作が困難か
  • トイレ:一人でできるか、介助が必要か
  • 入浴:一人で入れるか、見守りが必要か
  • 移動:杖や車椅子が必要か、外出は可能か
  • 買い物:一人で行けるか、付き添いが必要か
  • 家事:料理、掃除、洗濯ができるか

仕事への影響
発病前はどのような仕事をしていたか、現在はどうして働けないのか、または制限されているのかを詳しく書きます。

「以前は営業職で一日中外回りをしていたが、現在は杖歩行で長距離の移動ができず、元の仕事に復帰できない」というように、具体的に記載します。

感情や心情も大切
事実だけでなく、「右手が使えず、文字が書けないことがとても辛い」「家族に迷惑をかけていることが申し訳ない」といった心情も記載することで、あなたの置かれている状況がより伝わります。

記入時の注意点

  • 嘘や誇張は絶対にしない
    事実のみを記載してください。嘘や誇張が発覚すると、不支給になるだけでなく、今後の申請にも影響します。
  • できるだけ詳しく書く
    用紙に書ききれない場合は、別紙を使用して構いません。詳しく書くほど、認定医があなたの状況を理解しやすくなります。
  • 家族に手伝ってもらってもOK
    字を書くのが困難な場合、家族に代筆してもらっても構いません。ただし、内容は本人の状況を正確に記載してください。
  • 下書きをしてから清書する
    いきなり本番の用紙に書くのではなく、まず下書きをして内容を整理してから清書しましょう。
  • コピーを取って手元に保管する
    提出前に必ずコピーを取り、手元に保管しておきましょう。更新時や再申請時に参考になります。

専門家のサポート

申立書の記入に不安がある場合は、社会保険労務士に相談することをお勧めします。専門家は、等級認定につながる効果的な記載方法を熟知しており、適切なアドバイスができます。

当事務所では、申立書の記入サポートも行っています。あなたから詳しくお話を伺い、それを適切な表現で申立書にまとめるお手伝いをいたします。

受診状況等証明書

受診状況等証明書は、初診日を証明するための書類です。 初診の医療機関に作成を依頼します。

この証明書には、初診日、診断名、初診時の症状、治療内容などが記載されます。初診日は障害年金のすべての基準となる重要な日付ですので、この証明書は非常に重要です。

受診状況等証明書が必要なケース

以下の場合に、受診状況等証明書が必要となります。

1. 初診の医療機関と、診断書を作成する医療機関が異なる場合
脳梗塞で救急搬送された病院(初診の病院)と、現在通院している病院が異なる場合、初診の病院で受診状況等証明書を取得します。

2. 転院した場合
初診の病院から別の病院に転院している場合、初診の病院で受診状況等証明書を取得します。

受診状況等証明書が不要なケース

初診の医療機関と、診断書を作成する医療機関が同じ場合は、受診状況等証明書は不要です。診断書に初診日が記載されるため、それで初診日が証明されます。

取得方法

初診の医療機関の医事課または医療相談室に、「障害年金の申請のために受診状況等証明書をお願いしたい」と申し出ます。

証明書の用紙は年金事務所でもらえますので、それを病院に提出します。用紙には記入例が付いているため、病院の担当者も記入方法を理解しやすくなっています。

費用

受診状況等証明書の作成費用は、病院によって異なりますが、通常数千円程度です。保険適用外の自費診療となります。

作成期間

通常1〜2週間程度で作成されます。病院によっては、もう少し時間がかかる場合もあります。

カルテが残っていない場合

初診から長期間経過している場合、カルテが破棄されていることがあります。カルテの法定保存期間は5年間ですので、5年以上前の初診の場合、カルテが残っていない可能性があります。

カルテが残っていない場合でも、診療録の要約、紹介状、検査結果などが残っていれば、それらをもとに証明書を作成してもらえることがあります。まずは病院に相談してみましょう。

どうしても初診の病院で証明書が取得できない場合は、次に受診した医療機関(セカンド医療機関)で証明書を取得したり、間接的な資料で初診日を推定したりする方法があります。詳しくは専門家に相談してください。

その他の添付書類

診断書、申立書、受診状況等証明書以外にも、以下の書類が必要となります。

1. 年金請求書(障害給付)

年金事務所でもらった用紙に、住所、氏名、生年月日、年金の振込先口座などの基本情報を記入します。記入例が付いているため、それを参考に記入しましょう。

2. 年金手帳または基礎年金番号通知書

基礎年金番号を確認するために必要です。年金手帳を紛失している場合は、年金事務所で基礎年金番号を確認できます。

3. 戸籍謄本または戸籍抄本

配偶者や子の加算を受ける場合に必要です。本籍地の市区町村役場で取得します。発行から6ヶ月以内のものが必要です。

単身の方で、配偶者や子の加算を受けない場合は不要です。

4. 世帯全員の住民票

配偶者や子の加算を受ける場合に必要です。お住まいの市区町村役場で取得します。発行から6ヶ月以内のもので、マイナンバーの記載がないものが必要です。

単身の方で、配偶者や子の加算を受けない場合は不要です。

5. 預金通帳のコピー

年金を振り込む口座の情報を確認するために必要です。通帳の表紙と、口座番号が記載されているページのコピーを提出します。

口座は本人名義である必要があります。配偶者や家族名義の口座は使用できません。

6. 印鑑

年金請求書に押印するために必要です。認印で構いません。シャチハタは不可の場合が多いため、朱肉を使う印鑑を用意しましょう。

7. 所得証明書(20歳前傷病の場合のみ)

20歳になる前に脳梗塞を発症した場合(20歳前傷病)は、本人および配偶者の所得を証明する書類が必要です。市区町村役場で取得します。

20歳以降に発症した場合は不要です。

8. 医師の意見書(必要に応じて)

障害の状態について、診断書だけでは判断が難しい場合、追加で医師の意見書の提出を求められることがあります。ただし、これは審査中に求められるもので、最初の申請時には通常不要です。

書類名 取得先 費用 期間 備考
診断書(様式120号の3) 主治医 5,000〜10,000円 2週間〜1ヶ月 最重要書類
病歴・就労状況等申立書 自分で記入 無料 詳しく記載する
受診状況等証明書 初診の病院 数千円 1〜2週間 初診病院が異なる場合
年金請求書 年金事務所 無料 基本情報を記入
年金手帳 手元にあるもの 紛失時は年金事務所で確認
戸籍謄本 本籍地の役場 450円程度 即日〜数日 配偶者・子がいる場合
住民票 居住地の役場 300円程度 即日 配偶者・子がいる場合
預金通帳コピー 手元にあるもの 本人名義の口座
印鑑 手元にあるもの 認印でOK

💡 書類準備のスケジュール

書類の準備には時間がかかるため、計画的に進めることが大切です。

障害認定日の3ヶ月前:

  • 年金事務所で相談
  • 必要書類をもらう
  • 受診状況等証明書を初診の病院に依頼

障害認定日の2ヶ月前:

  • 医師に診断書作成を依頼
  • 戸籍謄本、住民票を取得
  • 病歴・就労状況等申立書の下書き開始

障害認定日の1ヶ月前:

  • 診断書の完成を待つ
  • 申立書の清書
  • その他の書類を揃える

障害認定日以降:

  • すべての書類を確認
  • 年金事務所に提出

このようなスケジュールで進めれば、障害認定日から大きく遅れることなく申請できます。

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清水総合法務事務所では、書類準備の全てをサポートいたします。

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書類の準備から提出まで、丁寧にサポートいたします。まずは無料相談から。

自分で申請する?専門家に依頼する?

「自分で申請できるのか」「専門家に頼むべきか」―多くの方が迷う点です。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを比較し、あなたに最適な選択肢をご提案します。

障害年金の申請は、自分で行うことも、社会保険労務士などの専門家に依頼することもできます。 どちらを選ぶかは、あなたの状況、申請の難易度、時間的余裕などによって異なります。

「費用をかけたくないから自分でやりたい」という気持ちは理解できます。しかし、申請の複雑さ、書類作成の難しさ、不支給のリスクなどを考慮すると、専門家のサポートを受けることで、結果的により確実に、より有利に受給できる可能性が高まります。

特に脳梗塞による片麻痺がある場合、利き手が使えず書類作成そのものが困難であることも多いでしょう。また、精神的にも経済的にも不安を抱えている状況で、複雑な手続きに時間と労力を費やすことは、大きな負担となります。

ここでは、自分で申請する場合と専門家に依頼する場合の、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。どちらが自分に合っているか、じっくり検討してください。

自分で申請するメリット・デメリット

障害年金の申請を自分で行うことは可能です。実際に、多くの方が自分で申請し、受給に成功しています。しかし、メリットとデメリットの両方があることを理解しておく必要があります。

メリット

費用がかからない

自分で申請する最大のメリットは、専門家への報酬が不要なため、費用がかからないことです。診断書作成費用や戸籍謄本などの実費のみで済みます。

経済的に余裕がない状況では、報酬を節約したいという気持ちは当然です。特に、収入が途絶えている状態では、少しでも出費を抑えたいと考えるのは自然なことです。

自分のペースで進められる

専門家とのやり取りや打ち合わせの時間を取る必要がなく、自分の都合のよいタイミングで手続きを進めることができます。

病院への通院やリハビリで忙しい中、専門家との面談のために時間を調整するのは負担になることもあります。自分で進めれば、そうした調整が不要です。

制度について詳しく学べる

申請手続きを自分で行うことで、障害年金制度について詳しく学ぶことができます。今後の更新手続きや、制度の変更があった場合にも、自分で対応できる知識が身につきます。

また、自分で調べて申請することで、他の支援制度についても知る機会が増え、総合的な知識が得られるかもしれません。

デメリット

複雑な手続きで時間と労力がかかる

障害年金の申請は、必要な書類が多く、記入内容も詳細で複雑です。制度の理解、書類の準備、記入、提出まで、すべてを自分で行うには、相当な時間と労力が必要です。

特に、初めて申請する方にとっては、どこから手をつければよいのか分からず、途方に暮れることもあります。インターネットで情報を調べても、情報が断片的だったり、古い情報だったりして、正確な情報を得るのが難しいこともあります。

書類作成の難しさ

特に「病歴・就労状況等申立書」の記入は、何をどのように書けばよいのか分かりにくく、多くの方が苦労しています。等級認定につながる効果的な書き方を知らないまま記入すると、実際の障害の程度が正しく伝わらない可能性があります。

また、診断書についても、医師にどのように伝えればよいのか分からず、結果的に実態よりも軽い内容の診断書になってしまうこともあります。

片麻痺による物理的な困難

脳梗塞で利き手が使えない場合、字を書くこと自体が困難です。左手で書類を記入するのは時間がかかり、大きな負担となります。パソコンでの入力も、片手では効率が悪く、疲労がたまります。

病院への書類依頼、年金事務所への相談、書類の提出など、外出を伴う手続きも、歩行困難がある場合は大きな負担です。

不支給のリスク

自分で申請した場合、書類の記載内容が不十分だったり、適切でなかったりすることで、本来受給できるはずの等級よりも低い等級になったり、最悪の場合は不支給になったりするリスクがあります。

一度不支給になると、再申請には新たな診断書の取得が必要で、費用も時間もかかります。また、精神的なダメージも大きく、「やはり無理だったのか」と諦めてしまう方も少なくありません。

初診日の証明が困難な場合の対応

初診日の証明が困難な場合、どのように対処すればよいのか、専門的な知識がないと判断が難しいです。間接的な資料の収集、第三者証明の作成など、専門家でなければ対応が難しいケースもあります。

更新時の対応

障害年金は、1〜5年ごとに更新審査があります。更新時にも診断書の提出が必要で、その際の対応も自分で行う必要があります。更新時に等級が下がったり、支給停止になったりするリスクもあり、継続的な対応が求められます。

メリット デメリット
費用がかからない 複雑な手続きで時間と労力がかかる
自分のペースで進められる 書類作成が難しい
制度について詳しく学べる 片麻痺による物理的な困難
不支給のリスクが高い
初診日証明が困難な場合の対応が難しい
更新時も自分で対応が必要

💡 コラム:自分で申請して不支給になった方の声

当事務所にご相談いただく方の中には、「一度自分で申請したが不支給になった」という方が多くいらっしゃいます。

Eさん(60歳女性)は、脳梗塞で左半身に麻痺が残り、自分で障害年金の申請を行いました。インターネットで情報を調べ、年金事務所にも相談に行き、何とか書類を揃えて提出しました。

しかし、結果は不支給でした。理由は「障害の程度が認定基準に該当しない」というものでした。

不支給の通知を受け取ったEさんは、「やはり無理だったのか」と諦めかけましたが、ケアマネージャーの勧めで当事務所にご相談いただきました。

診断書を確認すると、日常生活での困難さが十分に記載されていませんでした。また、申立書も簡素な内容で、実際の生活実態が伝わりにくいものでした。

そこで、改めて医師に診断書の作成を依頼する際のアドバイスを行い、申立書も詳しく記載し直して再申請したところ、今度は障害基礎年金2級に認定されました。

Eさんは、「最初から専門家に相談していれば、不支給という辛い経験をせずに済んだ。診断書の費用を節約しようとして自分で申請したが、結局は再申請で診断書をもう一度取ることになり、費用も時間も余計にかかってしまった」と話されていました。

この事例から学べるのは、「費用を節約しようとして自分で申請し、不支給になると、結果的により多くの費用と時間がかかる可能性がある」ということです。

社会保険労務士に依頼するメリット

社会保険労務士は、障害年金申請の専門家です。 年金制度に関する深い知識と豊富な経験を持ち、申請から認定まで、あなたをトータルにサポートします。

社会保険労務士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

受給可能性の正確な診断

まず、あなたのケースで障害年金を受給できる可能性があるかどうかを、専門的な知識に基づいて正確に診断します。受給要件を満たしているか、どの等級に該当する可能性があるかを判断し、申請すべきかどうかをアドバイスします。

無駄な申請をして費用と時間を浪費することを防ぎ、逆に受給できる可能性があるのに諦めてしまうことも防ぎます。

書類作成の完全サポート

診断書を医師に依頼する際のアドバイス、病歴・就労状況等申立書の作成サポートなど、書類作成のすべてをサポートします。

特に申立書は、等級認定につながる効果的な書き方を熟知しているため、あなたの生活実態が正確に伝わる内容にすることができます。医師への伝え方もアドバイスすることで、適切な内容の診断書が作成されやすくなります。

片麻痺で字を書くのが困難な場合でも、ヒアリングをもとに専門家が代わりに書類を作成しますので、身体的な負担が大幅に軽減されます。

不支給リスクの軽減

専門家のサポートにより、書類の不備や記載内容の不足による不支給のリスクを大幅に軽減できます。長年の経験に基づき、認定されやすい書類の作り方を熟知しているため、適正な等級での認定を目指せます。

万が一不支給になった場合でも、不服申立てや再申請の手続きをサポートできます。

遡及請求で過去分も受給できる可能性

障害認定日から時間が経過している場合、遡及請求により過去に遡って年金を受け取れる可能性があります。専門家は、遡及請求の可能性を判断し、必要な資料の収集方法をアドバイスできます。

カルテが残っていない場合の対処法、第三者証明の作成方法など、初診日の証明が困難なケースでも、豊富な経験に基づいて最善の方法を提案します。

時間と労力の節約

複雑な手続きをすべて専門家に任せることができるため、あなたは治療やリハビリに専念できます。病院への書類依頼、年金事務所とのやり取り、書類の作成など、煩雑な手続きから解放されます。

体調が優れない中、複雑な手続きに時間を費やすストレスからも解放され、精神的な負担も軽減されます。

更新時のサポート

障害年金は、1〜5年ごとに更新審査があります。更新時にも診断書の提出が必要ですが、専門家に依頼していれば、更新時のサポートも受けられます。

更新時に等級が下がらないように、適切なアドバイスを受けることができ、長期的に安心して年金を受給し続けることができます。

不服申立てのサポート

万が一、希望する等級で認定されなかった場合や、不支給になった場合でも、不服申立て(審査請求、再審査請求)の手続きをサポートできます。

不服申立ては、通常の申請よりもさらに専門的な知識が必要となるため、専門家のサポートが特に重要です。

精神的な安心感

専門家に任せることで、「これで大丈夫だろうか」という不安から解放されます。「プロに任せたのだから大丈夫」という安心感を持つことができ、精神的な負担が大幅に軽減されます。

困ったときに相談できる専門家がいるという安心感は、申請中だけでなく、受給後も続きます。

社会保険労務士の費用

社会保険労務士に依頼する場合の費用について、正直にご説明します。

一般的な報酬体系

社会保険労務士の報酬は、事務所によって異なりますが、一般的には以下のような体系が多いです。

着手金(初期費用)

依頼時に支払う費用です。0円から数万円程度の事務所が多いです。当事務所では、経済的に困難な状況の方に配慮し、着手金を低く設定しています。

成功報酬

障害年金の受給が決定した場合に支払う費用です。一般的には、初回に振り込まれる年金額の1〜2ヶ月分程度が相場です。

例えば、月額10万円の年金が認定され、遡及分が12ヶ月分(120万円)ある場合、初回振込額が約130万円となり、その1〜2ヶ月分(10万〜20万円程度)が成功報酬となります。

不支給の場合

障害年金が不支給となった場合、成功報酬は発生しません。着手金のみの負担で済む事務所が多いです。当事務所も、不支給の場合は成功報酬をいただきません。

費用対効果を考える

「報酬が高い」と感じるかもしれませんが、費用対効果を考えると、専門家に依頼する価値は十分にあります。

例1:遡及請求で3年分が認められた場合

障害厚生年金2級で月額12万円、遡及期間3年の場合:

  • 遡及分:12万円 × 36ヶ月 = 432万円
  • 初回振込額:約440万円
  • 社労士報酬(2ヶ月分):約24万円
  • 手元に残る金額:約416万円

自分で申請して不支給になるリスクを考えれば、報酬を支払っても確実に受給できる方が、結果的に得られる金額は大きくなります。

例2:自分で申請して不支給、再申請で認定された場合

  • 1回目の診断書費用:約8,000円(無駄になった)
  • 2回目の診断書費用:約8,000円
  • 社労士報酬:約20万円
  • 合計:約21.6万円

最初から社労士に依頼していれば、不支給という精神的なダメージを受けることもなく、時間のロスもありませんでした。

分割払いの相談

多くの社会保険労務士事務所では、成功報酬の分割払いにも対応しています。初回に一括で支払うのが困難な場合は、遠慮せず相談してみてください。

当事務所でも、ご事情に応じて柔軟に対応いたします。

項目 金額 備考
着手金 0円〜数万円 依頼時に支払う
成功報酬 初回年金額の1〜2ヶ月分 受給決定時に支払う
不支給時の費用 着手金のみ 成功報酬は発生しない
診断書費用 5,000〜10,000円 病院に支払う実費
戸籍謄本等 数千円 役場に支払う実費

※費用は事務所によって異なります。依頼前に必ず確認してください。

当事務所の障害年金申請代行サービス

清水総合法務事務所では、「諦めない障害年金」の理念のもと、障害年金申請を全力でサポートいたします。

当事務所の特徴

1. 障害年金専門の社会保険労務士

代表の清水良訓は、障害年金申請を専門とする社会保険労務士です。豊富な経験と専門知識を活かし、一人ひとりに寄り添った丁寧なサポートを提供します。

脳梗塞による障害年金申請の実績も多数あり、様々なケースに対応してきました。あなたのケースに最適な申請方法をご提案します。

2. 無料相談から始められる

まずは無料相談で、あなたのケースをお聞かせください。受給の可能性、必要な手続き、費用などを詳しくご説明します。

相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。相談だけでも大歓迎です。まずはお気軽にご連絡ください。

3. 成功報酬制で安心

当事務所は成功報酬制です。障害年金が認定されなかった場合、成功報酬は一切いただきません。この仕組みにより、経済的な不安を抱えている方でも、安心してご依頼いただけます。

4. 親身なヒアリング

あなたの生活状況、困っていること、不安なことを、じっくりと時間をかけてお聞きします。表面的な情報だけでなく、日常生活の細かな困難まで丁寧にヒアリングすることで、実態が伝わる申立書を作成します。

「こんなことまで話していいのか」と遠慮する必要はありません。どんな小さなことでも、すべてお話しください。

5. 医師への伝え方をアドバイス

診断書は、医師があなたから聞いた情報をもとに作成します。そのため、医師に何をどう伝えるかが重要です。

当事務所では、医師に診断書を依頼する際に、どのような点を伝えればよいか、具体的にアドバイスします。これにより、実態を反映した診断書が作成されやすくなります。

6. 遠方の方も対応可能

兵庫県神戸市に事務所がありますが、全国どこからでもご依頼いただけます。電話、メール、オンラインでの相談・打ち合わせも可能ですので、外出が困難な方や遠方の方でも安心です。

7. 更新時のサポートも

障害年金の受給後も、更新時のサポートを行います。更新時に等級が下がらないよう、診断書の内容についてアドバイスし、長期的に安心して年金を受給し続けられるようサポートします。

サービスの流れ

Step1:無料相談
電話、メール、またはお問い合わせフォームからご連絡ください。あなたのケースをお聞きし、受給の可能性を診断します。

Step2:ご依頼・契約
サービス内容と費用にご納得いただけましたら、正式にご依頼ください。契約書を交わし、手続きを開始します。

Step3:詳細なヒアリング
発症から現在までの経過、日常生活の状況、困っていることなどを詳しくお聞きします。

Step4:書類準備のサポート
診断書の依頼方法をアドバイスし、申立書を作成します。その他の必要書類の取得もサポートします。

Step5:申請書類の提出
すべての書類を確認し、年金事務所に提出します。

Step6:審査期間のフォロー
審査中に追加資料が必要になった場合も、迅速に対応します。

Step7:結果の報告
年金証書が届いたら、内容をご説明します。不支給の場合は、今後の対応をご提案します。

💡 まとめ:あなたに最適な選択を

自分で申請するか、専門家に依頼するかは、あなたの状況によって最適な選択が異なります。

自分で申請することをお勧めするケース:

  • 書類作成に自信がある
  • 時間的余裕がある
  • 身体的な困難が少ない(字が書ける、外出できる)
  • 申請内容が比較的シンプル

専門家に依頼することをお勧めするケース:

  • 確実に受給したい
  • 片麻痺で書類作成が困難
  • 時間的余裕がない
  • 初診日の証明が困難
  • 遡及請求を検討している
  • 不支給のリスクを避けたい
  • 精神的な負担を減らしたい

多くの場合、脳梗塞による片麻痺がある方は、専門家に依頼することで、確実性、効率性、精神的な安心感の面で大きなメリットが得られます。

まずは無料相談で、あなたのケースに最適な方法をご相談ください。相談だけでも大歓迎です。一人で悩まず、専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。

次の章では、障害年金と併用できる他の支援制度について解説していきます。

障害年金と併用できる他の支援制度

障害年金だけでなく、他にも様々な支援制度があります。これらを組み合わせて活用することで、より充実した生活支援を受けることができます。ここでは、併用可能な主な制度をご紹介します。

障害年金を受給しながら、他の支援制度も併用することができます。 複数の制度を組み合わせることで、経済的な支援だけでなく、医療費の軽減、福祉サービスの利用など、総合的なサポートを受けることが可能です。

脳梗塞の後遺症により、医療費やリハビリ費用、介護費用など、様々な出費がかさみます。また、日常生活での困難を軽減するために、様々なサービスを利用する必要もあります。こうした負担を軽減するために、利用できる制度はすべて活用しましょう。

「障害年金だけで十分」と考えず、他の制度も積極的に利用することで、生活の質を大きく向上させることができます。ここでは、障害年金と併用できる主な支援制度について、詳しく解説していきます。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体に障害のある方が様々な福祉サービスを受けるための証明書です。 障害年金とは別の制度であり、両方を同時に利用することができます。

身体障害者手帳を取得することで、税金の控除、公共交通機関の割引、医療費の助成、公共施設の利用料減免など、多くのメリットがあります。障害年金が経済的な支援であるのに対し、身体障害者手帳は福祉サービスを受けるためのものです。

身体障害者手帳の等級

身体障害者手帳には、1級から6級までの等級があります(7級単独では手帳は交付されません)。脳梗塞による片麻痺の場合、障害の程度によって以下のような等級が認定される可能性があります。

  • 1級:両上肢または両下肢の機能を全廃したもの
  • 2級:両上肢または両下肢の機能の著しい障害
  • 3級:一上肢及び一下肢の機能を全廃したもの、または両上肢の機能の著しい障害
  • 4級:一上肢及び一下肢の機能の著しい障害、または一上肢の機能を全廃したもの
  • 5級:一上肢または一下肢の機能の著しい障害
  • 6級:一上肢または一下肢の機能の軽度の障害

脳梗塞による片麻痺の場合、多くは3級から5級程度に認定されることが多いです。

身体障害者手帳のメリット

身体障害者手帳を取得すると、以下のようなサービスや減免を受けることができます。

税金の控除
所得税、住民税の障害者控除を受けることができます。1級・2級の場合は特別障害者控除として、より大きな控除が受けられます。また、自動車税・自動車取得税の減免も受けられる場合があります。

公共交通機関の割引
JR、私鉄、バス、タクシーなどの運賃割引を受けることができます。多くの交通機関では、本人だけでなく介護者1名も割引対象となります。

医療費の助成
自治体によっては、重度心身障害者医療費助成制度により、医療費の自己負担が軽減されます。

公共施設の利用料減免
博物館、美術館、動物園、水族館などの公共施設の入場料が無料または割引になります。

NHK受信料の減免
重度の障害(1級・2級)の場合、NHK受信料が全額免除されます。その他の等級でも、世帯全員が住民税非課税の場合は全額免除されます。

駐車禁止除外指定車標章
歩行困難な方は、駐車禁止除外指定車標章の交付を受けることができ、駐車禁止区域でも駐車できるようになります。

障害年金との関係

身体障害者手帳と障害年金は、全く別の制度です。認定基準も異なるため、身体障害者手帳を持っているからといって障害年金が必ずもらえるわけではなく、逆に障害年金を受給しているからといって身体障害者手帳が必ずもらえるわけでもありません。

しかし、両方を併用することで、経済的支援と福祉サービスの両方を受けることができ、より充実した生活支援が得られます。

申請方法

身体障害者手帳の申請は、お住まいの市区町村の福祉課(障害福祉担当)で行います。

申請に必要なもの:

  • 身体障害者手帳交付申請書(窓口でもらえます)
  • 指定医師による診断書・意見書
  • 顔写真(縦4cm×横3cm)
  • 印鑑
  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)

診断書は、都道府県が指定した指定医師に作成してもらう必要があります。主治医が指定医でない場合は、紹介状を書いてもらい、指定医のいる病院を受診する必要があります。

申請から手帳の交付まで、通常1〜2ヶ月程度かかります。

医療費助成制度

脳梗塞の治療やリハビリには、継続的な医療費がかかります。これらの医療費を軽減するための助成制度があります。

自立支援医療(更生医療)

18歳以上の身体障害者手帳を持っている方が、障害を軽減・改善するための医療を受ける場合に、医療費の自己負担を軽減する制度です。

脳梗塞の場合、リハビリテーション、人工関節置換術、装具の作成などが対象となる場合があります。

自己負担額は、原則として医療費の1割です(ただし、所得に応じて月額上限額が設定されます)。

申請窓口は、お住まいの市区町村の福祉課です。

重度心身障害者医療費助成制度

身体障害者手帳1級・2級の方など、重度の障害がある方を対象に、医療費の自己負担を助成する制度です。自治体によって制度の内容や名称が異なります。

多くの自治体では、医療費の自己負担分の全額または一部が助成されます。これにより、医療費の負担が大幅に軽減されます。

申請窓口は、お住まいの市区町村の福祉課または国保年金課です。

高額療養費制度

1ヶ月の医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。所得に応じて自己負担限度額が設定されており、一般的な所得の方であれば、月額8万円程度が上限となります。

入院やリハビリで医療費が高額になった場合は、この制度を活用しましょう。加入している健康保険(国民健康保険、健康保険組合など)に申請します。

介護保険サービス

介護保険は、40歳以上の方が利用できる制度です。 脳梗塞は、介護保険の「特定疾病」に該当するため、40歳以上65歳未満の方でも介護保険サービスを利用できます。

介護保険サービスを利用することで、訪問介護、訪問看護、通所リハビリテーション(デイケア)、福祉用具のレンタルなど、様々なサポートを受けることができます。

要介護認定

介護保険サービスを利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態を調査します。その後、認定審査会で要介護度が判定されます。

要介護度は、要支援1・2、要介護1〜5の7段階に分かれており、介護の必要度が高いほど数字が大きくなります。脳梗塞で片麻痺がある場合、要介護1〜3程度に認定されることが多いです。

利用できるサービス

要介護認定を受けると、以下のようなサービスを利用できます。

訪問介護(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排泄などの身体介護や、掃除、洗濯、買い物などの生活援助を行います。

訪問看護
看護師が自宅を訪問し、健康状態の確認、服薬管理、リハビリテーションなどを行います。

通所介護(デイサービス)
日帰りで施設に通い、食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを受けます。

通所リハビリテーション(デイケア)
日帰りで施設に通い、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを受けます。

福祉用具のレンタル
車椅子、歩行器、介護ベッド、手すりなどの福祉用具をレンタルできます。

住宅改修費の支給
手すりの取り付け、段差の解消、滑り止めの設置など、自宅のバリアフリー化にかかる費用の一部が支給されます(上限20万円)。

費用

介護保険サービスの自己負担は、原則として費用の1割です(所得に応じて2割または3割の場合もあります)。

また、1ヶ月の利用者負担には上限額が設定されており、上限を超えた分は「高額介護サービス費」として払い戻されます。

障害年金との関係

介護保険サービスと障害年金は、全く別の制度であり、両方を併用できます。障害年金を受給しているかどうかは、介護保険の利用に影響しません。

申請方法

お住まいの市区町村の介護保険担当窓口(高齢福祉課など)に申請します。地域包括支援センターやケアマネージャーに相談すると、申請のサポートを受けることができます。

💡 コラム:複数の制度を活用して生活を立て直したFさんの例

Fさん(58歳男性)は、脳梗塞で右半身に麻痺が残り、会社を退職しました。収入が途絶え、医療費や生活費の負担に不安を抱えていました。

当事務所にご相談いただき、障害年金の申請サポートを行った結果、障害厚生年金2級に認定され、月額約13万円を受給できるようになりました。

さらに、以下の制度も併用することをアドバイスしました。

身体障害者手帳3級を取得

  • 所得税・住民税の障害者控除で年間約10万円の節税
  • JR運賃の割引で通院費用が半額に
  • 公共施設の利用料が無料または割引

介護保険サービスを利用

  • 週2回の訪問リハビリテーション
  • 福祉用具(歩行器)のレンタル
  • 自己負担は月額約5,000円

重度心身障害者医療費助成

  • 医療費の自己負担が月額1,000円程度に軽減

これらの制度を組み合わせることで、Fさんは以下のような生活を実現できました。

  • 月額13万円の障害年金で生活費を確保
  • 医療費の負担が大幅に軽減
  • リハビリを継続して、ADLが少し改善
  • 税金の控除で実質的な可処分所得が増加

Fさんは、「障害年金だけでは生活が苦しかったが、他の制度も併用することで、何とか生活が成り立つようになった。複数の制度があることを教えてもらって本当に良かった」と話されていました。

傷病手当金(会社員の場合)

傷病手当金は、会社員(健康保険加入者)が病気やケガで働けなくなった場合に、健康保険から支給される手当です。 最長1年6ヶ月間、給料の約3分の2が支給されます。

脳梗塞で入院・療養し、仕事を休んでいる間、この傷病手当金を受給できる可能性があります。ただし、自営業者(国民健康保険加入者)は対象外です。

支給条件

以下の条件をすべて満たす場合に支給されます。

  1. 業務外の病気やケガで療養中であること(業務上の場合は労災保険の対象)
  2. 療養のため仕事に就けないこと
  3. 連続して3日間休んだ後、4日目以降の休業日があること
  4. 休業期間中に給料の支払いがないこと(または給料が傷病手当金より少ないこと)

支給額

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 3分の2

おおよそ、給料の3分の2程度が支給されると考えてください。

支給期間

支給開始日から最長1年6ヶ月間です。この期間は、障害認定日(初診日から1年6ヶ月)とちょうど重なります。

障害年金との調整

傷病手当金と障害年金の両方を受け取る権利がある場合、調整が行われます。障害年金が優先され、障害年金の日額が傷病手当金の日額より少ない場合のみ、その差額が傷病手当金として支給されます。

実質的には、傷病手当金の支給期間が終了する頃(初診日から1年6ヶ月後)に、障害年金に切り替わるイメージです。

申請方法

勤務先の会社または加入している健康保険組合に申請します。「傷病手当金支給申請書」に、本人、会社、医師それぞれが記入して提出します。

労災保険(業務中・通勤中の発症)

脳梗塞が業務中または通勤中に発症した場合、労災保険の対象となる可能性があります。 労災保険が適用されると、医療費が無料になり、休業補償給付も受けられます。

労災保険の対象となるケース

脳梗塞が以下の場合に発生したときは、労災保険の対象となる可能性があります。

1. 業務中
仕事中に脳梗塞を発症した場合。ただし、業務と発症の因果関係(過労、長時間労働、強いストレスなど)が認められる必要があります。

2. 通勤中
通勤途中(自宅と職場の往復中)に脳梗塞を発症した場合。

労災保険の給付内容

療養補償給付
治療費が全額労災保険から支給されます。本人の自己負担はありません。

休業補償給付
仕事を休んでいる間、給料の約8割(休業補償給付6割+特別支給金2割)が支給されます。

障害補償給付
治療後に障害が残った場合、障害の程度に応じて年金または一時金が支給されます。

障害年金との調整

労災保険の障害補償年金と障害年金の両方を受け取る権利がある場合、調整が行われます。両方とも受給できますが、労災保険の障害補償年金が一部減額されます(障害年金は満額支給されます)。

申請方法

労働基準監督署に申請します。会社を通じて申請することもできますが、会社が協力しない場合は、個人で直接申請することも可能です。

労災認定には専門的な知識が必要となるため、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。

制度名 目的 主なメリット 申請窓口 障害年金との併用
身体障害者手帳 福祉サービスの利用 税金控除、交通費割引、施設利用料減免 市区町村福祉課 可能
重度心身障害者医療費助成 医療費の軽減 医療費の自己負担軽減 市区町村福祉課 可能
介護保険サービス 介護・リハビリ支援 訪問介護、デイケア、福祉用具レンタル 市区町村介護保険課 可能
傷病手当金 休業中の所得保障 給料の約3分の2を最長1年6ヶ月 健康保険組合 調整あり
労災保険 業務災害の補償 医療費無料、休業補償、障害補償 労働基準監督署 調整あり

💡 制度を組み合わせて活用しましょう

障害年金だけでなく、他の支援制度も積極的に活用することで、生活の質を大きく向上させることができます。

まずは情報収集から
お住まいの市区町村の福祉課、地域包括支援センター、病院のソーシャルワーカーなどに相談すると、利用できる制度を教えてもらえます。

一つずつ申請していく
すべての制度を一度に申請する必要はありません。まずは障害年金と身体障害者手帳から始め、必要に応じて他の制度も利用していきましょう。

専門家に相談
どの制度が自分に合っているか分からない場合は、社会保険労務士やソーシャルワーカーに相談してみましょう。あなたの状況に最適な制度を提案してくれます。

次の章では、脳梗塞の障害年金に関するよくある質問にお答えしていきます。

脳梗塞の障害年金に関するよくある質問(FAQ)

ここまで読んでいただいた方の中にも、まだ疑問や不安が残っている方がいらっしゃるでしょう。ここでは、脳梗塞の障害年金に関してよく寄せられる質問に、分かりやすくお答えしていきます。

障害年金について、多くの方が同じような疑問を持たれます。 ここでは、当事務所に寄せられることの多い質問を厳選し、Q&A形式でお答えしていきます。

あなたの疑問もこの中にあるかもしれません。一つひとつ確認していただき、不安を解消してください。もし、ここに載っていない疑問がある場合は、遠慮なく当事務所にお問い合わせください。

Q1. 発症後すぐに申請できますか?

A: いいえ、原則として初診日から1年6ヶ月経過後に申請できます。

脳梗塞の場合、発症直後はリハビリによって症状が改善する可能性があるため、症状が固定する時期を待つ必要があります。初診日から1年6ヶ月を経過した日(障害認定日)以降に申請が可能となります。

ただし、この1年6ヶ月の間にも、傷病手当金(会社員の場合)などの他の支援制度を活用できます。また、この期間を利用して、申請の準備を進めておくことができます。

「今すぐ申請したい」というお気持ちは理解できますが、焦らずに1年6ヶ月を待ち、その間にリハビリに専念し、申請準備を進めることをお勧めします。

Q2. 軽度の片麻痺でも対象になりますか?

A: 日常生活にどの程度支障があるかによって判断されます。軽度でも対象となる可能性があります。

「軽度だから無理」と決めつける必要はありません。医学的な障害の程度だけでなく、日常生活動作にどれだけ支障があるかが重要な判断基準となります。

例えば、医師から「軽度の片麻痺」と言われていても、実際には以下のような困難がある場合、2級または3級に該当する可能性があります。

  • 杖がなければ歩けない
  • 利き手が使えず、仕事ができない
  • 家事が困難で家族の支援が必要
  • 外出時に付き添いが必要

診断書や申立書に、日常生活での具体的な困難さをしっかり記載することで、適正な等級で認定される可能性が高まります。専門家に相談して、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。

Q3. リハビリ中でも申請できますか?

A: はい、可能です。障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)以降であれば、リハビリを継続していても申請できます。

リハビリを続けていることは、申請の妨げにはなりません。むしろ、症状の改善を目指して努力していることは、前向きな姿勢として評価されます。

ただし、診断書には「リハビリ継続中」と記載されますので、リハビリによってどの程度改善する見込みがあるかも医師が記載します。大きく改善する見込みがある場合は、認定が見送られる可能性もありますが、多くの場合、1年6ヶ月経過後はある程度症状が固定しているため、問題なく認定されます。

リハビリを続けながら障害年金を受給し、経済的な安定を得ることで、より充実したリハビリに取り組めるようになります。

Q4. 働きながらでも受給できますか?

A: はい、可能です。障害の程度で判断されるため、働いているかどうかは直接的な要件ではありません。

障害年金は、障害の程度によって等級が決定されます。そのため、軽作業やパートタイムで働いていても、障害の程度が等級に該当すれば受給できます。

ただし、以下の点に注意が必要です。

等級の判定への影響
フルタイムで以前と同じように働けている場合は、「労働に制限がない」と判断され、3級にも該当しない可能性があります。一方、勤務時間を短縮している、軽作業のみ担当している、職種を変更したなどの制限がある場合は、それらを診断書や申立書に明記することで、認定される可能性があります。

20歳前傷病の場合
20歳前に発症した場合の障害年金には所得制限があります。一定額以上の収入がある場合、年金の一部または全部が支給停止となります。

働きながら障害年金を受給している方は多くいらっしゃいます。「働いているから無理」と諦めず、まずは専門家に相談してみてください。

Q5. 一度不支給になったら再申請できませんか?

A: 再申請可能です。状態が悪化した場合や、適切な書類を揃え直すことで、再申請により認定される可能性があります。

一度不支給になっても、諦める必要はありません。以下のような場合に再申請ができます。

事後重症による請求
不支給の判定後、症状が悪化した場合は、事後重症として再申請できます。新たに診断書を取得し、現在の状態で申請します。

書類を揃え直して再申請
初回申請時に、診断書の記載内容が不十分だったり、申立書の内容が簡素だったりした場合、適切な書類を揃え直すことで認定される可能性があります。

実際に、当事務所にご相談いただいた方の中にも、一度不支給になった後、専門家のサポートを受けて再申請し、認定された方が多くいらっしゃいます。

不支給になった場合でも、諦めずに専門家に相談してみてください。不支給の理由を分析し、再申請の可能性を判断します。

Q6. 障害者手帳と障害年金は同時にもらえますか?

A: はい、別の制度なので併用可能です。両方を同時に受けることができます。

身体障害者手帳と障害年金は、全く別の制度です。認定基準も、申請窓口も、給付内容も異なります。

身体障害者手帳は福祉サービスを受けるための証明書であり、障害年金は経済的な支援です。両方を併用することで、より充実した生活支援を受けることができます。

「障害者手帳を持っているから障害年金はもらえない」「障害年金をもらっているから障害者手帳は必要ない」ということはありません。両方を活用して、利用できる支援をすべて受けましょう。

Q7. 高齢者でも申請できますか?

A: はい、可能です。ただし、初診日が65歳未満である必要があります(事後重症の場合)。

障害年金に年齢の上限はありません。70代、80代の方でも受給している方は多くいらっしゃいます。

ただし、事後重症による請求の場合、65歳の誕生日の前々日までに申請する必要があります。65歳を過ぎてからの申請はできません。

一方、障害認定日による請求の場合は、65歳を過ぎていても申請できます。初診日から1年6ヶ月後(障害認定日)における障害の状態で判定されるためです。

「もう年だから遠慮した方がいい」と考える必要はありません。年金を受給する権利がある以上、堂々と申請してください。

Q8. 国民年金だけでも受給できますか?

A: はい、可能です。障害基礎年金の対象になります。

国民年金のみに加入していた方(自営業者、専業主婦など)も、障害年金を受給できます。これを「障害基礎年金」といいます。

障害基礎年金は、1級で年額約102万円(月額約8.5万円)、2級で年額約82万円(月額約6.8万円)です。厚生年金に比べると金額は少なくなりますが、収入がゼロの状態と比べれば、大きな助けとなります。

また、18歳未満の子どもがいる場合は、子の加算が上乗せされ、受給額が増えます。

「国民年金だけだから少ないだろう」と諦めず、まずは申請を検討してください。

Q9. 診断書の費用は?

A: 病院によって異なりますが、通常5,000円から10,000円程度です。

診断書の作成は保険適用外の自費診療となります。費用は病院が独自に設定するため、病院によって異なります。

大学病院など大きな病院では10,000円程度、一般的なクリニックでは5,000円から8,000円程度が相場です。診断書を依頼する際に、費用を確認しておくとよいでしょう。

診断書は障害年金申請において最も重要な書類ですので、費用はかかりますが、必要な投資と考えてください。適切な診断書があれば、障害年金を受給でき、その何百倍もの金額を受け取ることができます。

Q10. 審査にどれくらい時間がかかりますか?

A: 通常3〜4ヶ月程度です。

書類を提出してから、年金証書(または不支給決定通知書)が届くまで、通常3〜4ヶ月かかります。

審査の流れは以下の通りです。

  1. 書類受付(提出日)
  2. 日本年金機構での形式審査(1〜2週間)
  3. 認定医による医学的審査(1〜2ヶ月)
  4. 決定通知の発送(2〜3ヶ月後)

審査期間は、時期や書類の内容によって前後します。年度末や年始は混雑するため、やや時間がかかることがあります。

審査中に追加資料の提出を求められた場合は、さらに時間がかかります。速やかに対応することで、審査の遅延を防げます。

Q11. 高次脳機能障害も対象ですか?

A: はい、精神の障害として認定される可能性があります。

脳梗塞による高次脳機能障害(記憶障害、注意障害、遂行機能障害など)も、障害年金の対象となります。この場合、「精神の障害」として認定されます。

診断書は、肢体の障害用(様式第120号の3)ではなく、精神の障害用(様式第120号の4)を使用します。

肢体の障害(片麻痺)と高次脳機能障害の両方がある場合は、それぞれ別々に評価し、「併合認定」により総合的な等級が決定されます。例えば、片麻痺で2級、高次脳機能障害で2級の場合、併合して1級に認定される可能性があります。

高次脳機能障害は外見からは分かりにくいため、見過ごされがちです。記憶力や判断力の低下を感じている場合は、医師に相談し、神経心理学的検査を受けることをお勧めします。

Q12. 更新審査はありますか?

A: はい、1〜5年ごとに更新審査があります。

障害年金は、一度認定されれば終身もらえるわけではなく、定期的に更新審査があります。更新時期は、年金証書に記載されています。

更新審査では、再度診断書を提出し、現在の障害の状態を審査されます。障害の状態が変わっていなければ、同じ等級で更新されます。

更新時の注意点

  • 症状が改善している場合、等級が下がったり、支給停止になったりする可能性があります
  • 症状が悪化している場合、等級が上がる可能性があります
  • 診断書の記載内容が重要ですので、医師に正確に状態を伝えてください

更新時も、専門家のサポートを受けることをお勧めします。当事務所では、更新時のサポートも行っています。

Q13. 年金を受給すると健康保険はどうなりますか?

A: 変わりません。継続して健康保険に加入できます。

障害年金を受給しても、健康保険の加入資格に影響はありません。

会社を退職して国民健康保険に加入している方は、そのまま継続して加入できます。家族の扶養に入っている方も、扶養から外れることはありません(ただし、障害年金以外の収入がある場合は、扶養の要件を確認する必要があります)。

障害年金は非課税所得ですので、健康保険料の算定にも影響しません。

安心して障害年金を受給してください。

Q14. 不支給の理由で多いものは?

A: 保険料未納、障害の程度が軽い、初診日の証明ができない、などが主な理由です。

不支給となる主な理由は以下の通りです。

保険料納付要件を満たしていない
保険料の未納期間が多く、納付要件を満たしていない場合。若い頃に保険料を払っていなかった期間があると、この要件を満たせないことがあります。

障害の程度が認定基準に該当しない
診断書の記載内容から、障害の程度が1級、2級、3級のいずれにも該当しないと判断された場合。日常生活での困難さが診断書に十分に記載されていないことが原因のことが多いです。

初診日が証明できない
初診日が確定できず、受給要件を満たしているかどうかが判断できない場合。カルテが残っていない、病院が閉院しているなどで証明が困難なケースです。

これらの不支給理由は、適切な準備と専門家のサポートにより、ある程度回避できます。特に、診断書の記載内容については、専門家のアドバイスが有効です。

Q15. 相談は本当に無料ですか?

A: はい、当事務所では初回相談を完全無料で行っています。

障害年金について、少しでも疑問や不安がある方は、まず無料相談をご利用ください。

無料相談では、以下のような内容をお話しします。

  • あなたのケースで受給できる可能性があるか
  • どの等級に該当する可能性があるか
  • 申請に必要な書類は何か
  • 専門家に依頼した場合の費用
  • 申請のスケジュール

相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。相談だけでも大歓迎です。話を聞いた上で、自分で申請するか、専門家に依頼するかを判断していただいて構いません。

「こんなことを聞いていいのか」と遠慮する必要はありません。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

質問 回答
発症後すぐに申請できる? いいえ。初診日から1年6ヶ月後から
軽度の麻痺でも対象? 日常生活への支障の程度による
リハビリ中でも申請できる? はい、可能
働きながらでも受給できる? はい、可能(制限の程度による)
不支給後の再申請は? 可能
障害者手帳と併用できる? はい、可能
高齢者でも申請できる? はい、可能(初診日が65歳未満)
国民年金だけでも受給できる? はい、障害基礎年金の対象
診断書の費用は? 5,000〜10,000円程度
審査期間は? 3〜4ヶ月程度
高次脳機能障害も対象? はい、精神の障害として認定
更新審査はある? はい、1〜5年ごと
健康保険はどうなる? 変わらず継続
不支給の理由は? 保険料未納、障害の程度、初診日証明
無料相談できる? はい、当事務所は初回無料

💡 他にも疑問があれば、お気軽にご相談ください

この記事で、脳梗塞による障害年金について、かなり詳しく解説してきました。しかし、それでもまだ疑問や不安が残っている方もいらっしゃるでしょう。

一人ひとりの状況は異なりますので、「自分の場合はどうなのか」という個別の質問については、直接お問い合わせいただくのが確実です。

当事務所では、無料相談を行っていますので、どんな些細なことでもお気軽にご連絡ください。あなたの状況を詳しくお聞きし、最適なアドバイスをいたします。

次の章では、この記事のまとめをお伝えします。

まとめ:脳梗塞で障害年金を諦めないでください

ここまで長い記事をお読みいただき、ありがとうございました。最後に、この記事の重要なポイントをまとめ、あなたに伝えたいメッセージをお届けします。

脳梗塞による後遺症で困難を抱えているあなたへ。障害年金という支援制度があることを、どうか忘れないでください。 この記事を通じて、障害年金について理解を深めていただけたなら幸いです。

突然の脳梗塞により、人生が大きく変わってしまった。働けなくなり、家族に迷惑をかけ、経済的にも精神的にも追い詰められている。そんな苦しい状況の中で、この記事にたどり着いた方も多いでしょう。

しかし、あなたは一人ではありません。障害年金という制度があり、専門家のサポートがあり、そして何より「諦めない」という選択肢があります。

この記事のポイント整理

この記事で解説してきた重要なポイントを、改めて整理します。

  • 脳梗塞の後遺症で障害年金は受給できる
    片麻痺や歩行困難などの後遺症により、日常生活に支障がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。「まだ若いから」「症状が軽いから」と諦める必要はありません。
  • 受給条件は3つ
    ①初診日要件:初診日に年金に加入していること
    ②保険料納付要件:一定期間以上保険料を納付していること
    ③障害状態要件:障害認定日に一定の障害状態にあること
    多くの方がこれらの要件を満たしています。
  • 等級によって受給額が変わる
    1級:常時介護が必要な状態
    2級:日常生活が著しく制限される状態
    3級:労働に著しい制限を受ける状態(厚生年金のみ)
    脳梗塞による片麻痺の場合、多くは2級に該当します。月額6万円から20万円程度の年金を受け取ることができます。
  • 申請時期は初診日から1年6ヶ月後
    発症後すぐには申請できませんが、1年6ヶ月を待つ間に準備を進めることができます。障害認定日以降、できるだけ早く申請することで、遡って年金を受け取れます。
  • 診断書と申立書が重要
    診断書には日常生活での困難さを具体的に記載してもらうことが重要です。申立書も、生活実態が伝わるよう詳しく記載しましょう。専門家のサポートを受けることで、適正な等級での認定を目指せます。
  • 他の支援制度も併用できる
    身体障害者手帳、医療費助成、介護保険サービスなど、他の支援制度と併用することで、より充実した生活支援を受けることができます。
  • 専門家のサポートが有効
    社会保険労務士などの専門家に依頼することで、確実性が高まり、時間と労力を節約でき、精神的な安心感が得られます。

「諦めない障害年金」私たちの想い

当事務所のコンセプトは「諦めない障害年金」です。 この言葉には、私たちの強い想いが込められています。

障害年金制度は、病気やケガで困難に直面した方々を支えるための、国の大切な制度です。しかし、制度が複雑であるため、多くの方が申請を諦めてしまっています。

「手続きが難しそう」「自分は該当しないだろう」「今さら申請しても遅いかもしれない」―そんな思いから、本来受け取れるはずの年金を受け取らずに、経済的に苦しい生活を送っている方が数多くいらっしゃいます。

私たちは、そのような方々に「諦めないでください」とお伝えしたいのです。

制度は複雑でも、専門家がサポートします。
手続きが難しくても、私たちが一緒に進めます。書類作成も、医師への伝え方も、すべてサポートします。

「該当しない」と決めつけないでください。
実際に診断書を見てみなければ、受給できるかどうかは分かりません。「無理だろう」と諦める前に、まずは相談してください。

遅すぎることはありません。
何年経っていても、65歳未満であれば申請できます。遡って年金を受け取れる可能性もあります。「今さら」ではなく、「今こそ」です。

障害年金を受給することで、経済的な不安が軽減され、治療やリハビリに専念できる環境が整います。家族への負担も減り、前向きに生きていく希望が生まれます。

あなたが安心して暮らせる希望を、私たちと一緒につかみましょう。

今すぐできること

この記事を読んで、「障害年金を申請してみよう」と思われた方へ。今すぐできることをご提案します。

1. 無料相談に申し込む

まずは、専門家に無料相談してみましょう。あなたのケースで受給できる可能性があるか、どのように進めればよいか、具体的なアドバイスを受けることができます。

当事務所では、電話、メール、お問い合わせフォームから、いつでも無料相談を受け付けています。遠慮なくご連絡ください。

2. 初診日を確認する

脳梗塞で初めて受診した日(初診日)を確認しましょう。診察券、お薬手帳、領収書などを探してみてください。初診日が分かれば、障害認定日(申請できる時期)が計算できます。

3. 年金記録を確認する

年金事務所で、自分の年金記録を確認しましょう。保険料の納付状況、加入していた制度などが分かります。受給要件を満たしているかどうかの判断材料になります。

4. 主治医に相談する

次回の診察時に、主治医に「障害年金の申請を考えている」と伝えてみましょう。診断書作成の可否や、申請のタイミングについてアドバイスがもらえるかもしれません。

5. 家族と話し合う

障害年金の申請について、家族と話し合いましょう。書類作成のサポートや、専門家への依頼について、家族の理解と協力を得ることが大切です。

一歩ずつで大丈夫です。
すべてを一度にやる必要はありません。できることから、一つずつ始めてください。専門家に相談すれば、あとは一緒に進めていけます。

📞 清水総合法務事務所からのメッセージ

あなたの不安と痛みに、私たちは寄り添います。

脳梗塞で突然人生が変わってしまった。働けなくなり、家族に迷惑をかけている。経済的に苦しく、将来が見えない。そんな苦しみを、あなたは一人で抱え込んでいませんか。

私たちは、障害年金の専門家として、多くの方の申請をサポートしてきました。その中で、数え切れないほどの涙と、そして笑顔を見てきました。

不支給の通知を受け取り、絶望の中で相談に来られた方が、再申請で認定され、「希望が見えた」と涙を流される姿。

長年、障害年金のことを知らずに苦しんでこられた方が、遡及分を含めて数百万円を受け取り、「これで生活を立て直せる」と安堵される姿。

申請をずっと諦めていた方が、「相談して本当に良かった」と笑顔を取り戻される姿。

そうした姿を見るたびに、私たちは「諦めない障害年金」の大切さを実感します。

あなたにも、希望を持ってほしい。
あなたにも、安心して暮らせる未来を掴んでほしい。
あなたにも、笑顔を取り戻してほしい。

そのために、私たちは全力でサポートいたします。

障害年金は、あなたの権利です。遠慮する必要も、諦める必要もありません。困ったときに支えてもらうための制度です。

一人で悩まないでください。まずは無料相談から。あなたのお話を、じっくりとお聞かせください。

「諦めない障害年金」―あなたに寄り添い、希望をつなぎます。

📞 無料相談のご案内

清水総合法務事務所
障害年金専門 社会保険労務士 清水 良訓

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〒654-0143 兵庫県神戸市須磨区菅の台6-8-3

全国どこからでもご相談いただけます。
遠方の方は、電話やオンラインでの相談も可能です。外出が困難な方も、安心してご相談ください。

💡 最後に

ここまで長い記事を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

脳梗塞という突然の出来事で、人生が大きく変わってしまったあなた。今は不安で、苦しくて、希望が見えないかもしれません。

でも、どうか諦めないでください。

障害年金という制度があります。支援してくれる専門家がいます。そして何より、あなたには生きる権利があり、幸せになる権利があります。

経済的な不安が少しでも軽減されれば、心に余裕が生まれます。余裕が生まれれば、治療やリハビリに前向きに取り組めます。前向きに取り組めば、回復への希望も見えてきます。

その第一歩が、障害年金の申請です。

一人で抱え込まないでください。
一人で悩まないでください。
一人で諦めないでください。

私たちは、いつでもあなたの味方です。あなたの不安を聞き、あなたの希望を支え、あなたの未来を一緒に考えます。

まずは無料相談から。今すぐご連絡ください。

あなたとご家族が、安心して暮らせる日々を取り戻せることを、心から願っています。

「諦めない障害年金」―あなたの希望を、私たちと一緒につかみましょう。

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