心不全の障害年金申請|初診日・診断書・認定率を上げる3つのポイント

心不全の障害年金申請初診日・診断書・認定率を上げる3つのポイント

心不全と診断され、息切れや疲労感で以前のように働けなくなった。

通院や治療費の負担が重く、これからの生活に不安を感じている。

そんな状況の中で「障害年金」という制度があることを知り、自分も対象になるのではないかと考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に調べてみると

「自分の症状で本当に認定されるのか」

「申請手続きが複雑で何から始めればいいか分からない」

「働いているから無理なのでは」

といった疑問や不安が次々と浮かんでくるかもしれません。特に、初診日の証明や診断書の内容など、専門的な知識が必要な部分も多く、途中で諦めてしまう方も少なくありません。

この記事では、心不全による障害年金申請について、認定率を高めるための3つの実践的なポイントを中心に、社会保険労務士として多数の心不全ケースをサポートしてきた経験から詳しく解説します。

この記事で分かること:

  • 心不全での障害年金認定基準(NYHA心機能分類、左室駆出率など)
  • 認定率を上げる3つの重要ポイント(初診日証明・診断書・申立書)
  • ペースメーカーやICD装着時の認定基準
  • 働きながらの申請や、不認定からの再申請の可能性
  • 実際の申請の流れと必要書類

心不全の障害年金申請は、確かに簡単ではありません。しかし、ポイントを押さえて適切に準備すれば、認定される可能性は十分にあります。本記事の内容は、日本年金機構の最新の認定基準に基づいており、障害年金専門の社会保険労務士として、拡張型心筋症、虚血性心疾患、心臓弁膜症など、さまざまな心不全のケースに対応してきた実務経験を反映しています。

一度不認定になった方でも、症状の変化や新たな証拠により再申請で認定されるケースも多くあります。また、初診日の証明が難しいケースでも、適切な方法で対応できる場合があります。「諦めずに適切なサポートを受けること」が、障害年金受給への第一歩です。

申請について不安な点や疑問がある方は、まずはお気軽にご相談ください。当事務所では、心不全による障害年金申請のサポートを専門的に行っています。

清水総合法務事務所
社会保険労務士 清水 良訓
電話: 050-7124-5884
メール: mail@srkobe.com

目次

心不全で障害年金は受給できる?基本的な条件

結論から申し上げると、心不全は障害年金の対象疾患です。心不全により日常生活に制限が生じている場合、障害年金を受給できる可能性があります。ただし、すべての心不全患者が対象となるわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。

障害年金制度の基本

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事が制限されるようになった場合に、現役世代も含めて受け取ることができる公的年金制度です。多くの方が「年金は高齢者のもの」と考えがちですが、障害年金は年齢に関係なく、20歳以上であれば受給の対象となります。

障害年金には、大きく分けて2つの種類があります。

障害基礎年金
国民年金に加入している方が対象です。自営業者、学生、20歳前に発症した方などが該当します。障害等級は1級と2級の2段階で、受給額は年額で1級が約104万円(月額約8.7万円)、2級が約83万円(月額約6.9万円)となっています。

障害厚生年金
厚生年金に加入している会社員や公務員が対象です。障害等級は1級、2級、3級の3段階があり、さらに障害手当金という一時金の制度もあります。受給額は加入期間や報酬額によって異なりますが、障害基礎年金に上乗せして受給できるため、基礎年金のみの場合よりも多くなります。

心不全の場合、初診日(心不全の症状で初めて医療機関を受診した日)にどちらの年金に加入していたかによって、受給できる年金の種類が決まります。

心不全が対象となる3つの要件

心不全で障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

1. 初診日要件
心不全の症状で初めて医療機関を受診した日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることが必要です。ただし、20歳前に初診日がある場合や、60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる場合も対象となる場合があります。

心不全の場合、注意が必要なのは「初診日の特定」です。例えば、高血圧や糖尿病で以前から通院していて、その後心不全を発症した場合、初診日は心不全と診断された日ではなく、原因疾患である高血圧や糖尿病で最初に受診した日となる可能性があります。この点は、次の章で詳しく解説します。

2. 保険料納付要件
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付または免除されていることが必要です。また、初診日が令和8年4月1日前にあり、初診日において65歳未満の場合は、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ要件を満たします。

この要件は一見複雑に見えますが、会社員として厚生年金に継続的に加入していた方や、国民年金保険料をきちんと納付していた方であれば、通常は問題なく満たせます。未納期間がある方でも、免除制度を利用していれば納付期間としてカウントされます。

3. 障害状態要件
障害認定日(初診日から1年6ヶ月を経過した日、またはそれ以前に症状が固定した日)において、国が定める障害等級に該当する状態であることが必要です。心不全の場合、NYHA心機能分類や左室駆出率(EF値)、日常生活動作の制限度などを総合的に判断して等級が決定されます。

認定基準の詳細については、次の章で具体的に解説しますが、「心不全と診断されている」だけでなく、「日常生活にどの程度の制限があるか」が重要なポイントとなります。

【重要】障害年金の受給要件チェックリスト

  • ☑ 心不全の症状で初めて医療機関を受診した日(初診日)が特定できる
  • ☑ 初診日に国民年金または厚生年金に加入していた(または20歳前、60〜65歳の国内居住者)
  • ☑ 初診日の前日時点で、保険料納付要件を満たしている(未納期間が少ない)
  • ☑ 初診日から1年6ヶ月経過している、または症状が固定している
  • ☑ 日常生活に制限があり、国の定める障害等級に該当する可能性がある
  • ☑ 診断書を作成してもらえる主治医がいる

※上記のチェック項目に不安がある場合でも、専門家に相談することで解決策が見つかる場合があります。

これらの要件を満たせば、心不全で障害年金を受給できる可能性があります。次の章では、心不全特有の認定基準について、より詳しく見ていきましょう。

心不全の障害認定基準|等級別の判定ポイント

心不全で障害年金を受給するためには、国が定める障害等級の認定基準を満たす必要があります。このセクションでは、心不全特有の認定基準について、NYHA心機能分類、左室駆出率(EF値)、ペースメーカーやICD装着時の判定基準など、具体的なポイントを解説します。

障害等級の基本的な考え方

障害年金の等級は、障害の程度によって1級、2級、3級(厚生年金のみ)に分かれています。心不全の場合、等級は以下のような目安で判定されます。

1級の目安
身のまわりのことすらできない状態です。他人の介助を受けなければ、ほとんど日常生活を送ることができません。心不全で1級と認定されるのは、安静時にも症状があり、常に寝たきりまたはそれに近い状態の場合です。

2級の目安
日常生活が著しく制限される状態です。身のまわりのことは何とかできても、それ以上の活動は困難で、家庭内での軽い活動や座っての作業も制限されます。軽い労作(軽い家事、ゆっくりとした歩行など)で息切れや疲労が生じる場合が該当します。

3級の目安(厚生年金のみ)
労働が著しく制限される状態です。日常生活には大きな支障はありませんが、通常の労働に従事することが難しい、または大幅な制限を必要とする状態です。デスクワークなど軽作業であれば可能な場合もありますが、フルタイムでの就労は困難な状態が該当します。

NYHA心機能分類と認定等級

心不全の重症度評価で最も重要な指標の一つが、NYHA(ニューヨーク心臓協会)心機能分類です。これは、日常生活動作でどの程度の負荷によって症状が出現するかを、Ⅰ度からⅣ度の4段階で評価するものです。

NYHA分類Ⅰ度
心疾患はあるが、日常生活に制限はない状態です。通常の身体活動では疲労、動悸、呼吸困難などの症状が現れません。この段階では、原則として障害年金の対象とはなりません。

NYHA分類Ⅱ度
日常生活が軽度に制限される状態です。安静時には症状がありませんが、通常の身体活動(階段昇降、早歩き、重い荷物の運搬など)で疲労、動悸、呼吸困難が生じます。この段階では、日常生活の制限の程度や他の検査所見と合わせて、3級に該当する可能性があります。

NYHA分類Ⅲ度
日常生活が著しく制限される状態です。安静時には症状はありませんが、通常以下の軽い身体活動(ゆっくりとした歩行、軽い家事など)で疲労、動悸、呼吸困難が生じます。この段階は、多くの場合2級に該当し、日常生活の制限の程度によっては1級と認定される可能性もあります。

NYHA分類Ⅳ度
安静時にも症状がある状態です。どんな身体活動でも症状が増悪し、ほとんど寝たきりの状態となります。この段階は、通常1級に該当します。

ただし、NYHA分類だけで等級が決まるわけではありません。実際の認定では、左室駆出率(EF値)、心エコー所見、胸部X線所見、心電図所見、日常生活動作の具体的な制限度などを総合的に判断します。

左室駆出率(EF値)と認定基準

左室駆出率(Ejection Fraction、略してEF値)は、心臓が1回の収縮でどれだけの血液を送り出せるかを示す指標です。健常者のEF値は通常50〜70%程度ですが、心不全患者ではこの値が低下します。

障害年金の認定では、EF値は重要な判定材料の一つとなりますが、EF値だけで等級が決まるわけではありません。一般的な目安として、以下のような関係があります。

  • EF値20%未満: 非常に重度の心機能低下。1級に該当する可能性が高い
  • EF値20〜30%: 重度の心機能低下。日常生活の制限度により1級または2級
  • EF値30〜40%: 中等度の心機能低下。2級または3級に該当する可能性
  • EF値40%以上: 軽度の心機能低下。日常生活の制限度により3級または非該当

重要なのは、「EF値が低いから自動的に認定される」わけではないという点です。例えば、EF値が25%であっても、薬物治療が奏功して日常生活にほとんど制限がない場合は、認定されない可能性があります。逆に、EF値が40%程度であっても、NYHA分類Ⅲ度で日常生活が著しく制限されている場合は、2級に認定される可能性があります。

審査では、EF値と症状、日常生活の制限度が一致しているかどうかが重視されます。診断書に記載されたEF値と、日常生活動作の制限に関する記載内容に矛盾がないことが重要です。

ペースメーカー・ICD装着時の認定

心不全治療の一環として、ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)などの植込み型デバイスを装着している方も多くいらっしゃいます。これらのデバイス装着時の認定基準について解説します。

ペースメーカー装着
従来のペースメーカー(単純なペーシング機能のみ)を装着した場合、装着のみでは原則として3級に該当します。ただし、ペースメーカー装着後も心不全症状が残存し、日常生活に制限がある場合は、その制限の程度に応じて2級または1級に認定される可能性があります。

ICD(植込み型除細動器)装着
ICDは、致死性不整脈を検知して電気ショックを与える機能を持つデバイスです。ICD装着の場合、装着時点で2級に認定されるのが一般的です。ICDが必要ということは、致死性不整脈のリスクがあり、日常生活に相当の制限が必要と判断されるためです。

CRT-D(両室ペーシング機能付きICD)装着
CRT-Dは、心臓の左右の心室を同期させて収縮させる機能(CRT)とICD機能を併せ持つデバイスです。重症心不全の治療に用いられ、装着時点で2級に認定されるのが一般的です。装着後も重度の症状が継続している場合は、1級に認定される可能性もあります。

デバイス装着後の注意点
デバイスを装着した場合、装着日から3ヶ月程度の経過観察期間を経て、症状が安定した時点での状態で認定されます。装着直後ではなく、ある程度時間が経過した後の状態が重要となります。また、定期的な再認定では、デバイス装着後の症状の変化や日常生活の制限度が評価されます。

【重要】心不全の障害等級認定基準一覧

障害等級 NYHA分類 EF値の目安 日常生活の制限 年金額(目安)
1級 Ⅳ度 20%未満 安静時にも症状あり
身のまわりのことに介助必要
ほぼ寝たきり状態
基礎年金:約104万円/年
厚生年金:報酬比例で加算
2級 Ⅲ度(一部Ⅳ度) 20〜35%程度 軽い活動で症状出現
家事や外出に著しい制限
ICD装着
基礎年金:約83万円/年
厚生年金:報酬比例で加算
3級
(厚生年金のみ)
Ⅱ度(一部Ⅲ度) 35〜45%程度 通常の労働に制限
フルタイム就労困難
ペースメーカー装着
厚生年金:報酬比例
(最低保障額:約62万円/年)

※EF値はあくまで目安であり、実際の認定では症状や日常生活の制限度を総合的に判断します。
※年金額は令和7年度(2025年度)の基準です。最新情報は日本年金機構でご確認ください。

心不全の認定基準は、数値だけでなく「実際の生活にどれだけ支障があるか」が重視されます。次の章では、認定率を高めるための最初のポイント「初診日の証明方法」について詳しく解説します。

【ポイント1】初診日を確実に証明する方法

障害年金の申請において、最も重要かつ最初につまずきやすいポイントが「初診日の証明」です。初診日が証明できなければ、どれだけ症状が重くても障害年金を受給することはできません。このセクションでは、初診日の重要性と確実に証明する方法について解説します。

なぜ初診日が重要なのか

初診日は、障害年金申請において最も重要な基準日となります。初診日によって以下の3つが決定されるため、申請の成否を左右すると言っても過言ではありません。

1. 加入制度の決定
初診日に加入していた年金制度によって、受給できる年金の種類が決まります。厚生年金に加入していれば障害厚生年金(3級まで対象)、国民年金であれば障害基礎年金(1級・2級のみ)となります。厚生年金の方が受給額も多く、認定等級の幅も広いため、初診日の特定は受給額に大きく影響します。

2. 保険料納付要件の判定
初診日の前日時点で、保険料の納付要件を満たしているかどうかが判定されます。初診日が変わると、判定される期間も変わるため、納付要件を満たすかどうかが変わる可能性があります。

3. 遡及請求の起算点
障害年金は、条件を満たせば過去にさかのぼって受給できる場合があります(最大5年)。この遡及請求の起算点も初診日によって決まるため、初診日が古ければ古いほど、遡及して受け取れる金額が増える可能性があります。

一度不認定となった方の多くは、「初診日が証明できなかった」ことが原因です。逆に言えば、初診日さえ確実に証明できれば、申請の大きなハードルを越えたことになります。

初診日の定義と確認方法

初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」と定義されています。心不全の場合、この定義の解釈が重要なポイントとなります。

心不全の初診日の考え方
心不全と診断された日が初診日とは限りません。心不全の原因となった疾患で最初に受診した日が初診日となる場合があります。

例えば、以下のようなケースです:

  • 高血圧で10年前から通院していて、3年前に心不全を発症した場合
    → 初診日は10年前の高血圧で初めて受診した日となる可能性
  • 急性心筋梗塞で救急搬送され、その後心不全となった場合
    → 初診日は心筋梗塞で救急搬送された日
  • 健康診断で心臓の異常を指摘され、精密検査で心不全と診断された場合
    → 初診日は健康診断で異常を指摘された日ではなく、精密検査を受けた医療機関を初めて受診した日

ただし、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が必ずしも心不全の原因疾患とされるわけではありません。「相当因果関係」があるかどうかが判断されます。一般的には、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)が心不全の原因となった場合は、その虚血性心疾患の初診日が初診日となります。一方、拡張型心筋症など、原因が特定されない心不全の場合は、心不全症状で初めて受診した日が初診日となります。

この判断は専門的な知識が必要なため、不安な場合は社会保険労務士に相談することをお勧めします。

初診日証明の具体的な方法

初診日を証明するための基本的な方法は、医療機関から「受診状況等証明書」を取得することです。以下、具体的な手順を説明します。

1. 受診状況等証明書の取得
初診時に受診した医療機関で「受診状況等証明書」を発行してもらいます。この書類には、初診日、傷病名、初診時の症状、その後の受診状況などが記載されます。診断書を作成してもらう主治医がいる医療機関と初診の医療機関が同じ場合は、受診状況等証明書は不要です。

2. カルテが廃棄されている場合の対処法
医療機関でのカルテ保存期間は原則5年です。初診から長期間が経過している場合、カルテが廃棄されて受診状況等証明書が取得できない場合があります。この場合、以下の対応を取ります。

まず、初診の医療機関から「受診状況等証明書が添付できない申立書」を発行してもらいます。これは「カルテが廃棄されており、受診状況等証明書を発行できない」ことを証明する書類です。

その上で、次に受診した医療機関(2番目に受診した医療機関)で受診状況等証明書を取得します。この際、2番目の医療機関のカルテに「○○病院からの紹介」「以前から心臓の治療をしていた」などの記載があれば、初診日を推定する材料となります。

3. 複数の医療機関を受診している場合の注意点
心不全の場合、複数の医療機関を受診していることが多くあります。例えば、最初は地域のクリニックで診察を受け、その後総合病院の循環器内科に紹介された、というケースです。

この場合、初診日は最初のクリニックを受診した日となります。総合病院の診断書だけでなく、最初のクリニックから受診状況等証明書を取得する必要があります。転院歴がある場合は、すべての医療機関の受診時期を時系列で整理し、証明書類を揃えることが重要です。

4. 参考資料の活用
受診状況等証明書を補完する資料として、以下のようなものが有効です:

  • 診察券(受診日が記載されているもの)
  • 領収書(初診時の領収書)
  • お薬手帳(処方された薬と日付の記録)
  • 健康診断の記録(異常が指摘された時期)
  • 入院記録(サマリーや退院証明書)

初診日が不明な場合の対応策

初診から長期間が経過していて、医療機関のカルテも廃棄されており、参考資料もない。このような「初診日が不明」なケースでも、諦める必要はありません。以下の方法で対応できる場合があります。

第三者証明の活用
第三者(家族以外)による証明を利用する方法です。初診日頃の受診状況を知る第三者(職場の同僚、友人、民生委員など)から、「○年頃に心臓の病気で病院に通っていた」という内容の証明書を作成してもらいます。

第三者証明を利用するには、以下の条件があります:

  • 第三者が2名以上いること(1名の場合は、他の参考資料と組み合わせる)
  • 第三者が初診日頃の受診状況を直接見聞きしていること
  • 第三者証明の内容に具体性があり、信憑性が高いこと

診察券や領収書による推定
診察券に初診の受付番号が記載されている場合、その前後の受付番号の患者の受診時期から、おおよその初診日を推定できる場合があります。また、古い領収書が見つかれば、それが初診日の証明となります。

これらの資料は、自宅だけでなく、実家や配偶者の実家など、保管されている可能性のある場所をすべて探してみることをお勧めします。

お薬手帳の活用
お薬手帳には、処方された薬と調剤日が記載されています。心不全の治療薬(利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬など)が処方された最も古い日付から、初診日を推定できる場合があります。

社労士による初診日調査サポート
初診日の証明は、障害年金申請の中で最も専門的な知識と経験が必要な部分です。特に、複数の医療機関を受診している場合や、カルテが廃棄されている場合は、個人で対応するのは非常に困難です。

社会保険労務士は、初診日の調査方法に精通しており、以下のようなサポートを提供できます:

  • 医療機関への証明書取得の代行
  • 参考資料の収集と整理
  • 第三者証明の作成支援
  • 相当因果関係の判断
  • 年金事務所との交渉

「初診日が証明できないから」と諦める前に、まずは専門家に相談してみることをお勧めします。一見証明が難しいケースでも、適切な方法で対応すれば認められる可能性は十分にあります。

【初診日証明の流れ】

  1. STEP 1: 初診医療機関の特定
    • 心不全症状で最初に受診した医療機関を確認
    • 原因疾患(心筋梗塞、心筋症など)がある場合はその初診も確認
    • 複数の医療機関を受診している場合は時系列で整理
  2. STEP 2: 受診状況等証明書の取得依頼
    • 初診医療機関に「受診状況等証明書」の発行を依頼
    • 診断書作成医療機関と同じ場合は不要
  3. STEP 3: カルテ保存の確認
    • カルテが保存されている → 受診状況等証明書を取得
    • カルテが廃棄されている → 次のSTEPへ
  4. STEP 4: カルテ廃棄時の対応
    • 「受診状況等証明書が添付できない申立書」を取得
    • 2番目に受診した医療機関で受診状況等証明書を取得
    • 参考資料(診察券、領収書、お薬手帳)を収集
  5. STEP 5: 困難な場合の追加対応
    • 第三者証明の作成(2名以上)
    • あらゆる参考資料の収集
    • 社会保険労務士への相談を検討

※初診日の証明が困難な場合でも、諦めずに専門家に相談することで解決策が見つかる場合があります。

初診日の証明ができたら、次は診断書の内容が重要になります。次の章では、認定につながる診断書作成のポイントについて詳しく解説します。

【ポイント2】認定につながる診断書の作成ポイント

初診日の証明ができたら、次に重要なのが診断書の内容です。診断書は、障害年金の認定可否を決める最も重要な書類であり、「診断書の内容で9割が決まる」と言っても過言ではありません。このセクションでは、認定につながる診断書作成のポイントを詳しく解説します。

診断書の重要性

障害年金の審査では、審査官が実際に申請者と面談することはありません。すべて書類審査で行われます。その中で、医学的な障害の状態を判断する唯一の資料が「診断書」です。

心不全の場合、使用する診断書は「障害年金用診断書(様式第120号の3)循環器疾患用」です。この診断書には、心エコー検査の結果、心電図所見、NYHA心機能分類、日常生活動作の制限度など、詳細な項目が設けられています。

診断書は医師が作成するものですが、医師は障害年金の認定基準について必ずしも詳しいわけではありません。そのため、診断書の内容が実際の症状よりも軽く記載されてしまい、本来認定されるべき方が不認定となってしまうケースが少なくありません。

逆に、適切な内容で診断書が作成されれば、認定される可能性は大きく高まります。診断書の重要性を理解し、適切な内容で作成してもらうことが、認定への第二のポイントとなります。

診断書に記載すべき重要項目

心不全の診断書で、特に重要な記載項目を解説します。

1. 心臓の検査所見
左室駆出率(EF値)、心拡大の有無、心エコー検査の詳細な所見、心電図所見など、客観的な検査データの記載が必要です。特にEF値は重要な判定材料となるため、最新の検査結果が記載されていることを確認してください。

検査データは、可能であれば複数時点の推移が分かるとより良いです。「1年前のEF値は45%だったが、現在は28%に低下している」といった経過が分かれば、心不全の進行と治療効果の限界が明確になります。

2. NYHA心機能分類
診断書には、NYHA心機能分類(Ⅰ度〜Ⅳ度)を記載する欄があります。この分類が、等級判定の重要な基準となります。NYHA分類Ⅲ度であれば2級、Ⅳ度であれば1級に該当する可能性が高くなります。

医師によっては、遠慮して実際よりも軽い分類で記載してしまう場合があります。日頃の診察時に、「どの程度の活動で息切れがするか」「日常生活でどんな制限があるか」を具体的に伝えておくことが大切です。

3. 日常生活における具体的な制限
診断書には「日常生活動作の障害の程度」を記載する欄があります。ここには、以下のような項目について、「支障なし」「多少の支障」「時々介助が必要」「常に介助が必要」などから選択する形式になっています。

  • 入浴、着替え、トイレなどの身のまわりの動作
  • 家事(調理、掃除、洗濯など)
  • 外出(買い物、通院など)
  • 移動(歩行、階段昇降など)

この欄が「支障なし」ばかりになっていると、日常生活に問題がないと判断され、認定されない可能性が高まります。実際に制限がある項目については、遠慮せず正確に伝えることが重要です。

4. 症状の詳細
息切れ、動悸、浮腫(むくみ)、疲労感、胸痛など、日常的に感じている症状を具体的に記載してもらいます。「どの程度の活動で症状が出るか」「症状の頻度」「症状の持続時間」なども含めて、詳しく記載されていることが重要です。

例えば、単に「息切れあり」ではなく、「平地を50m程度歩行すると息切れが出現し、休憩が必要」といった具体的な記載があると、症状の重さが伝わりやすくなります。

5. 治療内容と効果
現在受けている治療(内服薬、デバイス治療、酸素療法など)とその効果について記載されます。「治療を行っているにもかかわらず、症状のコントロールが困難」という状況が分かる記載が重要です。

複数の薬剤を使用していること、薬剤の増量や変更を繰り返していること、入院歴があることなども、重症度を示す材料となります。

6. 就労状況と制限
診断書には就労状況を記載する欄もあります。「就労不能」「就労しているが大幅な制限あり」「軽作業のみ可能」など、就労への影響を具体的に記載してもらいます。

実際に休職中、退職、または時短勤務や配置転換を余儀なくされている場合は、その旨を明確に記載してもらうことが重要です。ただし、「就労していない=認定される」わけではありませんし、「就労している=認定されない」わけでもありません。重要なのは、心不全によってどの程度就労に制限があるかという点です。

医師に診断書を依頼する際のポイント

診断書は医師が作成しますが、適切な内容で作成してもらうために、患者側でできることがあります。以下のポイントを押さえて依頼しましょう。

日常生活の困難さを具体的に伝える
診察時には、つい「少し良くなった」と言ってしまいがちですが、診断書作成の際には、日常生活で実際に困っていることを具体的に伝える必要があります。

  • 「階段を上ると息が切れて、途中で休まないと上がれません」
  • 「入浴すると疲れて、出た後30分は横にならないといけません」
  • 「買い物に行っても、重いものは持てないので家族に頼んでいます」
  • 「以前は週5日フルタイムで働けていましたが、今は週3日の短時間勤務がやっとです」

このように、具体的なエピソードを伝えることで、医師も診断書に反映しやすくなります。

「良い日」ではなく「平均的な状態」を伝える
体調には波があり、調子が良い日もあれば悪い日もあります。診断書には、一時的な「良い日」の状態ではなく、「平均的な状態」または「悪い日の状態」を記載してもらう必要があります。

診察日がたまたま調子の良い日だった場合、その日の状態だけで判断されると、実際よりも軽く記載される可能性があります。「今日は調子が良いほうですが、普段はもっと息切れがひどいです」といった形で、日常の平均的な状態を伝えることが大切です。

検査データのコピーを持参する
心エコー検査や心電図検査の結果を、コピーして診断書作成時に医師に渡すと、正確な数値を記載してもらいやすくなります。特に、経時的な変化(以前の検査との比較)が分かる資料があると、症状の進行を示す材料となります。

依頼のタイミングを考える
診断書の作成には時間がかかります。通常の診察時間内で依頼すると、医師が十分に時間を取れず、簡略な記載になってしまう可能性があります。

可能であれば、予約時に「障害年金の診断書作成をお願いしたい」と伝え、時間を確保してもらうことをお勧めします。また、診断書の様式を事前に渡しておき、次の診察時に受け取るという方法も効果的です。

障害年金用の診断書であることを明確に伝える
一般的な診断書と障害年金用の診断書は異なります。障害年金用の診断書は、日常生活の制限度や就労への影響など、通常の診断書には記載しない項目が多く含まれています。

「障害年金の申請に使う診断書です」と明確に伝え、日本年金機構指定の様式(様式第120号の3)で作成してもらうようにしてください。

診断書でよくある失敗パターン

診断書の内容が原因で不認定となるケースには、いくつかの共通したパターンがあります。事前に知っておくことで、これらの失敗を避けることができます。

失敗パターン1: 軽めに書かれすぎる
医師が患者を励ますつもりで、あるいは遠慮して、実際よりも軽い症状で記載してしまうケースです。「まだ頑張れる」という気持ちは大切ですが、診断書では正確な現状を記載してもらう必要があります。

失敗パターン2: 日常生活の制限欄が空白または「支障なし」が多い
この欄は認定判断で非常に重視されます。空白や「支障なし」ばかりだと、「日常生活に問題がない」と判断され、認定されません。実際に制限がある項目については、正確に記載してもらうことが必須です。

失敗パターン3: 検査データと症状の記載に矛盾がある
例えば、「EF値25%」と重度の心機能低下を示すデータがあるにもかかわらず、「日常生活は自立している」「就労に支障なし」といった記載があると、矛盾と判断されます。検査データと症状、日常生活の制限度は、整合性が取れている必要があります。

失敗パターン4: 抽象的な記載が多い
「時々息切れがする」「やや疲れやすい」といった曖昧な表現では、重症度が伝わりません。「50m歩行で息切れが出現」「入浴後30分の休息が必要」など、具体的な記載が必要です。

【重要】診断書の重要チェックポイント

チェック項目 確認内容 NGパターン
検査データ 最新のEF値、心エコー所見が記載されている
検査日が診断書作成日から3ヶ月以内
古い検査データのまま
EF値の記載なし
NYHA分類 実際の症状に合った分類(Ⅱ〜Ⅳ度)が記載されている Ⅰ度と記載
未記入
日常生活動作 制限がある項目に具体的なチェックがある
「時々介助」「常に介助」の選択
全項目「支障なし」
空白が多い
症状の記載 息切れ、浮腫、疲労感など具体的に記載
「○m歩行で症状出現」等の具体性
「時々息切れ」等の抽象的表現
症状の記載が少ない
治療内容 服薬内容、デバイス治療、入院歴等が詳細に記載
治療効果の限界が示されている
「治療中」のみの簡単な記載
治療内容が不明確
就労状況 休職中、退職、勤務制限の具体的記載
就労が困難な理由の明記
「就労している」のみ
制限の内容が不明
全体の整合性 検査データ、症状、日常生活制限が一致している EF値は低いのに「日常生活は自立」等の矛盾

※診断書作成後、上記の項目を必ず確認してください。不明な点や不安な点があれば、社会保険労務士にチェックを依頼することをお勧めします。

社労士による診断書チェックの重要性
診断書は専門的な内容が多く、一般の方が内容の適切さを判断するのは困難です。当事務所では、診断書の内容を障害年金の認定基準に照らして確認し、必要に応じて修正依頼のアドバイスを行っています。

診断書作成前の段階でご相談いただければ、医師への依頼方法や伝えるべきポイントもアドバイスできます。診断書は一度作成すると修正が難しい場合もあるため、できれば作成前の段階でご相談いただくことをお勧めします。

【当事務所のサポート内容】

  • 診断書作成前の医師への依頼方法アドバイス
  • 完成した診断書の内容チェック
  • 不足している記載事項の特定と修正依頼のサポート
  • 診断書と他の書類(病歴・就労状況等申立書)の整合性確認

当事務所では、心不全をはじめとする循環器疾患の障害年金申請を多数サポートしてきた実績があります。ICD装着後のケース、働きながらの申請、初診日が不明なケースなど、複雑な状況でも諦めずに対応いたします。

まずはお気軽にご相談ください。
電話: 050-7124-5884
メール: mail@srkobe.com
お問い合わせフォーム: https://nenkin.srkobe.com/contact/

診断書の内容が適切に作成できたら、次は「病歴・就労状況等申立書」です。この書類は、診断書を補完し、あなた自身の視点から日常生活の困難さを伝える重要な書類となります。次の章で詳しく解説します。

【ポイント3】病歴・就労状況等申立書の効果的な書き方

初診日の証明、診断書の作成ができたら、次に重要なのが「病歴・就労状況等申立書」です。この書類は、申請者本人(または家族)が作成する書類で、診断書だけでは伝えきれない日常生活の困難さや、発症から現在までの詳しい経過を記載します。認定率を高める第三のポイントとして、効果的な書き方を解説します。

病歴・就労状況等申立書とは

病歴・就労状況等申立書は、障害年金の申請に必要な書類の一つで、本人(または家族)が作成します。医師が作成する診断書とは異なり、患者本人の視点から、以下の内容を記載する書類です。

  • 発症から現在までの経過(病歴)
  • 症状の変化と治療の経過
  • 日常生活での具体的な困難
  • 就労状況の変化
  • 家族の支援や介助の状況

この書類は、診断書を補完する重要な役割を果たします。診断書には医学的な所見や検査データが記載されますが、「実際の生活でどのように困っているか」という具体的なエピソードは十分に記載されない場合があります。病歴・就労状況等申立書は、その部分を補い、審査官に「この人は本当に日常生活に制限がある」と理解してもらうための書類です。

審査でどのように使われるか
審査官は、診断書と病歴・就労状況等申立書を照らし合わせて、整合性を確認します。例えば、診断書に「NYHA分類Ⅲ度、日常生活に制限あり」と記載されていても、申立書に「特に困っていることはない」と書かれていれば、矛盾と判断される可能性があります。

逆に、診断書の内容と申立書の内容が一致し、申立書に具体的なエピソードが豊富に記載されていれば、説得力が増し、認定の可能性が高まります。

記載すべき重要なポイント

病歴・就労状況等申立書で記載すべき重要なポイントを、6つに分けて解説します。

1. 発症から現在までの経過を時系列で
初診日から現在まで、どのような経過をたどったのかを時系列で記載します。心不全の場合、以下のような流れで記載するとよいでしょう。

  • いつ頃から、どのような症状が出始めたか(息切れ、浮腫、疲労感など)
  • 最初に受診した医療機関と診断内容
  • その後の転院歴や紹介経緯
  • 入院治療を受けた時期と期間
  • ペースメーカーやICD装着などの治療を受けた時期
  • 症状の悪化や改善の推移

時系列で整理することで、心不全がどのように進行してきたか、治療を受けてもなお症状が残存していることが明確になります。

2. 症状の具体的な変化
発症当初と現在で、症状がどのように変化したかを具体的に記載します。心不全の場合、多くは徐々に悪化していくため、その経過を明確にすることが重要です。

例えば:

  • 「発症当初は階段の昇降程度で息切れがしていたが、現在は平地を50mほど歩くだけで息が切れて休憩が必要になった」
  • 「以前は夜間に1〜2回目が覚める程度だったが、最近は呼吸困難で横になれず、座位で寝ることが多くなった」
  • 「足のむくみは利尿薬でコントロールできていたが、最近は薬を増量してもむくみが取れない」

このように、症状の悪化傾向を具体的に示すことで、治療の限界と障害の固定を示すことができます。

3. 日常生活での困難さ(具体例を豊富に)
これが最も重要な部分です。診断書には、日常生活動作の項目にチェックを入れる形式の欄がありますが、申立書では、より具体的なエピソードを記載します。

良い記載例:

  • 「入浴は週に2〜3回が限度です。湯船につかると息が苦しくなり、出た後は30分以上横にならないと動けません。髪を洗うのも腕を上げ続けることが難しく、途中で休憩が必要です」
  • 「買い物は近所のスーパーまで行くのがやっとです。店内を歩き回ることができず、必要最小限のものだけを買い、重い荷物は持てないので家族に車で迎えに来てもらっています」
  • 「掃除機をかけることができません。少し動くと息が切れて、以前は10分でできた掃除に1時間以上かかり、途中で何度も休憩が必要です」
  • 「着替えも一苦労です。シャツのボタンを留めるだけで息が切れ、靴下を履くために前かがみになると息苦しくなります」

このように、「何ができない」だけでなく、「なぜできないのか」「どのように困っているのか」を具体的に記載することが重要です。

4. 就労への影響
就労状況がどのように変化したかを詳しく記載します。心不全によって、休職、退職、配置転換、勤務時間の短縮などを余儀なくされた場合は、その経緯を具体的に記載します。

例えば:

  • 「以前は建設現場の監督として、朝7時から夕方6時まで働いていました。現場を歩き回り、重い資材を運ぶこともありました。しかし、心不全を発症してからは、少し歩くだけで息切れがひどく、階段を上ることもできなくなりました。令和4年3月から休職し、傷病手当金で生活していますが、復職の見込みはありません」
  • 「事務職として週5日、1日8時間勤務していましたが、心不全の症状が悪化し、通勤だけで疲れ果ててしまうようになりました。会社と相談し、令和4年10月から週3日、1日5時間の勤務に変更してもらいましたが、それでも帰宅後は何もできず、横になっている状態です」

働いている場合でも、勤務に制限があることを具体的に示せば、認定の可能性はあります。「働いているから申請できない」と諦める必要はありません。

5. 治療の経過と効果
どのような治療を受け、その効果がどうだったかを記載します。特に、「治療を行っても症状が改善しない」「薬を増量しても効果が限定的」といった点を強調することが重要です。

  • 「利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬など複数の薬を服用していますが、息切れや疲労感は改善しません」
  • 「令和3年10月にICDを植込みましたが、その後も心不全症状は続いており、日常生活の制限は変わっていません」
  • 「過去3年間で5回入院しており、そのたびに薬を調整していますが、退院後もすぐに症状が悪化します」

治療を受けていても症状が残存していることを示すことで、障害の程度が重いことを証明できます。

6. 家族の支援・介助の内容
家族がどのようにサポートしているかを記載することも重要です。これにより、本人だけでは日常生活が送れない状態であることが伝わります。

  • 「妻が入浴時に見守りをしてくれています。一人では危険で、実際に浴室で息が苦しくなって倒れそうになったことがあります」
  • 「買い物は妻に頼んでいます。私が行くと時間がかかりすぎ、帰宅後は疲れ果てて何もできなくなるためです」
  • 「娘が週に2回、掃除や洗濯を手伝いに来てくれています。私一人では家事ができません」

認定につながる書き方のコツ

病歴・就労状況等申立書を効果的に書くためのコツを紹介します。

「できること」ではなく「困難なこと」を中心に
つい、「これはまだできる」と書きたくなりますが、申立書では「何ができないか」「何に困っているか」を中心に記載します。「できること」を強調しすぎると、「それほど困っていない」と判断される可能性があります。

具体的なエピソードを書く
「日常生活に支障がある」という抽象的な表現ではなく、「入浴後は30分休まないと動けない」「50m歩くと息切れで休憩が必要」といった具体的なエピソードを書きます。数字を使うことで、より具体性が増します。

時系列を明確にする
「いつ」「どこで」「何があったか」を明確にします。特に、症状の悪化時期、入院時期、治療変更の時期などは、年月まで正確に記載します。

感情論ではなく事実を淡々と
「本当に辛いです」「何とかしてください」といった感情的な表現は控え、事実を淡々と記載します。ただし、冷たい文章にする必要はなく、「このような状態で生活に大変困っています」程度の表現は問題ありません。

書き方でよくある失敗例

病歴・就労状況等申立書でよくある失敗パターンを紹介します。

失敗例1: 遠慮して軽く書きすぎる
日本人特有の謙遜や遠慮から、実際よりも軽く書いてしまうケースです。「何とか頑張っています」「まだ大丈夫です」といった表現は、認定の妨げになります。

失敗例2: 抽象的な表現が多い
「疲れやすい」「時々息切れがする」といった曖昧な表現では、重症度が伝わりません。「どの程度の活動で疲れるのか」「どのくらいの頻度で息切れがするのか」を具体的に書く必要があります。

失敗例3: 時系列が不明確
「昔から」「最近」といった曖昧な時期の表現ではなく、「令和○年○月頃」と具体的な時期を記載します。審査官は、初診日からの経過を時系列で把握したいため、時期が不明確だと判断材料が減ってしまいます。

失敗例4: 診断書と矛盾する内容
診断書に「日常生活に著しい制限」と書かれているのに、申立書に「家事は普通にできる」と書かれていると、矛盾と判断されます。診断書と申立書の内容は一致している必要があります。

【病歴・就労状況等申立書の記載例】

【悪い例】

  • 「心不全と診断されてから体調が悪いです」
  • 「時々息切れがします」
  • 「仕事はできていません」
  • 「日常生活に困っています」

→ 抽象的で具体性がなく、重症度が伝わらない

【良い例】

  • 「令和2年8月20日、急性心筋梗塞で○○病院に救急搬送されました。緊急でステント留置術を受け、3週間入院しました。退院後も労作時の息切れが続き、以前のようには働けなくなりました」
  • 「現在、平地を50m程度歩くと息切れがひどくなり、立ち止まって休憩が必要です。階段は2〜3段上っただけで動悸と息切れが出現し、それ以上は上れません」
  • 「令和3年3月まで、週5日フルタイムで事務職として勤務していましたが、通勤だけで疲れ果て、午後は頻繁に休憩が必要な状態となりました。会社と相談し、同年4月から休職しています。傷病手当金で生活していますが、復職の見込みはないと主治医から言われています」
  • 「入浴は週に2〜3回が限度です。湯船につかると息が苦しくなり、出た後は30分以上横にならないと次の動作ができません。買い物は妻に頼んでおり、掃除機をかけることもできません。掃除は週1回、娘が手伝いに来てくれています」

→ 時期、症状、日常生活の制限が具体的で、重症度が明確に伝わる

社労士による申立書作成代行のメリット
病歴・就労状況等申立書は、本人が作成する書類ですが、「何をどう書けばいいか分からない」「書いてみたが内容に自信がない」という方は多くいらっしゃいます。

社会保険労務士は、申立書の作成代行やアドバイスを行うことができます。ご本人やご家族から詳しくお話を伺い、認定につながるポイントを押さえた申立書を作成いたします。特に、以下のような場合は、専門家のサポートが効果的です。

  • 複数の医療機関を転々としており、時系列の整理が複雑な場合
  • 心不全以外にも複数の疾患があり、どれを中心に書けばいいか分からない場合
  • 診断書の内容と整合性を取りながら記載する必要がある場合
  • 書くこと自体が体力的に困難な場合

当事務所では、病歴・就労状況等申立書の作成代行を含め、障害年金申請の全面的なサポートを行っています。まずはお気軽にご相談ください。

ここまで、認定率を高める3つのポイント(初診日の証明、診断書、申立書)を解説しました。次の章では、実際の申請の流れと必要書類について、具体的に説明します。

心不全の障害年金申請の流れと必要書類

ここまで、認定率を高める3つのポイントについて解説してきました。このセクションでは、実際に申請する際の具体的な流れと、必要となる書類について説明します。全体像を把握することで、スムーズに申請を進めることができます。

申請から受給までの全体の流れ

障害年金の申請は、以下の7つのステップで進みます。それぞれのステップについて、具体的に解説します。

STEP 1: 年金事務所または社労士への相談
まずは、年金事務所または社会保険労務士に相談することから始めます。年金事務所では、基本的な制度の説明や、ご自身が対象となるかどうかの簡易的な判定を受けられます。

社会保険労務士に相談する場合は、より専門的なアドバイスを受けられます。初診日の特定方法、必要書類の準備、診断書の内容チェック、申立書の作成など、申請全体をサポートしてもらえます。特に、複雑なケース(初診日が不明、複数疾患がある、一度不認定になったなど)の場合は、専門家のサポートが有効です。

STEP 2: 初診日の確認と証明書類の取得
初診日を特定し、初診の医療機関から「受診状況等証明書」を取得します。診断書を作成してもらう医療機関と初診の医療機関が同じ場合は、この書類は不要です。

初診の医療機関でカルテが廃棄されている場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を取得し、次に受診した医療機関で受診状況等証明書を取得します。この手続きには、通常2〜4週間程度かかります。

STEP 3: 診断書の作成依頼
主治医に障害年金用の診断書(様式第120号の3)の作成を依頼します。診断書は、障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)時点の状態を記載するものと、現在の状態を記載するものがあります。

遡及請求(過去にさかのぼって受給する)を希望する場合は、障害認定日時点の診断書と現在の診断書の両方が必要です。診断書の作成には、医療機関によって異なりますが、通常1〜2週間から1ヶ月程度かかります。

診断書には有効期限があり、作成日から3ヶ月以内に提出する必要があります。期限を過ぎると、再度作成が必要になるため注意してください。

STEP 4: 必要書類の収集と申立書作成
診断書以外の必要書類を揃えます。年金手帳、戸籍謄本、住民票、通帳のコピーなどです。また、病歴・就労状況等申立書を作成します。申立書の作成には、発症からの経過を整理する必要があるため、時間をかけて丁寧に作成することをお勧めします。

STEP 5: 年金事務所への提出
すべての書類が揃ったら、年金事務所(または街角の年金相談センター)に提出します。窓口で提出する場合は、その場で書類の不備がないか確認してもらえます。郵送でも提出可能です。

社会保険労務士に依頼している場合は、社労士が代理で提出します。書類の最終チェックも行うため、不備による審査遅延のリスクを減らせます。

STEP 6: 審査(通常3〜4ヶ月)
提出後、日本年金機構の障害年金センターで審査が行われます。審査期間は通常3〜4ヶ月ですが、書類に不備がある場合や、審査が混雑している時期は、さらに時間がかかる場合があります。

審査中に追加の書類提出を求められる場合もあります。例えば、診断書の記載内容について医師に確認が必要な場合や、初診日の証明が不十分な場合などです。このような場合、迅速に対応することが重要です。

STEP 7: 結果通知と年金受給開始
審査が終わると、年金証書(認定の場合)または不支給決定通知書(不認定の場合)が郵送されます。認定された場合、年金証書に記載された日から年金の受給が始まります。年金は偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、2ヶ月分がまとめて振り込まれます。

遡及請求が認められた場合は、最大5年分の年金が一括で振り込まれます。例えば、2級で5年間遡及した場合、約415万円(83万円×5年)が一括支給されることになります。

必要な書類一覧

障害年金の申請には、以下の書類が必要です。事前に準備しておくことで、スムーズに申請できます。

1. 年金請求書
障害基礎年金または障害厚生年金の請求書です。年金事務所で入手できます。氏名、住所、年金加入歴、銀行口座などを記載します。

2. 診断書(障害年金用)
心不全の場合は「様式第120号の3(循環器疾患用)」を使用します。主治医に作成を依頼します。遡及請求する場合は、障害認定日時点と現在の2通が必要です。

3. 受診状況等証明書
初診の医療機関で発行してもらいます。診断書を作成する医療機関と初診の医療機関が同じ場合は不要です。

4. 病歴・就労状況等申立書
本人または家族が作成します。発症から現在までの経過、日常生活の困難さ、就労状況などを記載します。

5. 年金手帳または基礎年金番号通知書
年金の加入記録を確認するために必要です。紛失している場合は、年金事務所で再発行できます。

6. 戸籍謄本
本籍地の市区町村役場で取得します。発行から3ヶ月以内のものが必要です。

7. 住民票
現住所の市区町村役場で取得します。世帯全員分の記載があるもので、発行から3ヶ月以内のものが必要です。

8. 金融機関の通帳(写し)
年金を受け取る口座の通帳のコピーです。口座番号と口座名義人が確認できるページをコピーします。

9. その他(状況に応じて)

  • 身体障害者手帳のコピー(持っている場合)
  • 診察券のコピー(初診日証明の参考資料)
  • 領収書、お薬手帳(初診日証明の参考資料)
  • 第三者証明(初診日が不明な場合)
  • 受診状況等証明書が添付できない申立書(カルテが廃棄されている場合)

申請時の注意点

申請をスムーズに進めるため、以下の点に注意してください。

診断書の有効期限に注意
診断書は作成日から3ヶ月以内に提出する必要があります。他の書類の準備が遅れて期限を過ぎてしまうと、診断書を再度作成してもらう必要があり、費用と時間がかかります。診断書を取得する前に、他の書類をできるだけ揃えておくことをお勧めします。

遡及請求の可能性と時効
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)から現在まで継続して障害状態にある場合、遡及して年金を受給できる可能性があります。ただし、時効は5年のため、6年以上前の分は受給できません。

例えば、初診日が10年前の場合、障害認定日は8年6ヶ月前ですが、時効により受給できるのは直近5年分のみとなります。早めに申請することで、より多くの遡及分を受給できる可能性があります。

書類の不備による審査遅延
提出書類に不備があると、審査が中断され、補正を求められます。これにより、審査期間が大幅に延びてしまいます。提出前に、すべての書類が揃っているか、記載漏れがないかを十分に確認してください。

社会保険労務士に依頼すれば、提出前に書類の最終チェックを行うため、不備による遅延のリスクを大幅に減らせます。

不認定時の不服申立て手続き
万が一不認定となった場合、不服申立て(審査請求)を行うことができます。不支給決定通知書を受け取ってから3ヶ月以内に、社会保険審査官に対して審査請求を行います。

審査請求でも認められなかった場合は、さらに社会保険審査会に対して再審査請求を行うことができます。不服申立ての手続きは複雑で専門的な知識が必要なため、社会保険労務士のサポートを受けることを強くお勧めします。

【障害年金申請の流れと必要期間】

ステップ 内容 所要期間の目安
STEP 1 年金事務所または社労士への相談
制度の説明、対象可否の判定
即日〜1週間
STEP 2 初診日の確認と証明書類の取得
受診状況等証明書の発行依頼
2〜4週間
STEP 3 診断書の作成依頼
主治医に障害年金用診断書を依頼
1〜4週間
STEP 4 必要書類の収集と申立書作成
戸籍謄本、住民票等の取得
1〜2週間
STEP 5 年金事務所への提出
窓口または郵送で提出
即日
STEP 6 審査
日本年金機構で書類審査
3〜4ヶ月
(不備があれば更に延長)
STEP 7 結果通知と年金受給開始
年金証書の郵送、振込開始
通知後、翌月15日から
(偶数月に2ヶ月分支給)

※所要期間は目安であり、ケースによって異なります。
※書類準備から受給開始まで、トータルで5〜7ヶ月程度かかるのが一般的です。

申請の流れと必要書類について理解できたら、次は「働きながらの申請」や「よくある質問」について見ていきましょう。

働きながらの申請・よくある質問

ここまで、心不全の障害年金申請について詳しく解説してきました。このセクションでは、「働いていても申請できるのか」という疑問に答えるとともに、心不全の障害年金申請でよくある質問にお答えします。

働いていても障害年金は受給できる?

「働いているから障害年金は無理」と思い込んでいる方は非常に多くいらっしゃいます。しかし、これは大きな誤解です。結論から申し上げると、働きながらでも障害年金を受給することは可能です。

障害年金の認定基準は、「労働能力」ではなく「日常生活能力」で判定されます。つまり、仕事ができるかどうかではなく、日常生活にどの程度の制限があるかが重要なのです。

就労と障害年金受給は両立できる理由
障害年金の等級判定では、NYHA心機能分類、EF値などの医学的所見と、日常生活動作の制限度が重視されます。就労の有無は判定の絶対的な基準ではありません。

例えば、以下のようなケースでは、働きながらでも障害年金を受給できる可能性があります。

  • フルタイムから時短勤務に変更し、勤務時間を大幅に減らしている
  • 以前は立ち仕事だったが、デスクワークに配置転換された
  • 通勤や業務中に頻繁な休憩が必要で、業務効率が著しく低下している
  • 週の勤務日数を減らし、パートタイム勤務になった
  • 在宅勤務に切り替え、通勤の負担を避けている

重要なのは、「どのような制限の中で働いているか」です。心不全の症状により、以前と同じように働けず、勤務形態や業務内容に大幅な制限がある場合は、その制限の内容を診断書と申立書に具体的に記載することで、認定される可能性があります。

パートタイム・時短勤務のケース
週3日、1日5時間程度のパートタイム勤務の場合、3級に認定される可能性があります。また、デスクワークであっても、通勤や業務中に頻繁な休憩が必要で、日常生活にも著しい制限がある場合は、2級に認定される可能性もあります。

重要なのは、「軽作業を短時間行うことはできるが、通常の労働は困難」という状態であることを、診断書と申立書で明確に示すことです。

配置転換・業務内容の軽減がある場合
会社の配慮により、以前の業務から軽作業に配置転換された場合、それ自体が「労働に制限がある」ことの証明となります。このような場合は、診断書や申立書に、配置転換の経緯と理由を明確に記載することが重要です。

例えば、「心不全により現場作業ができなくなり、会社の配慮で事務作業に配置転換された。しかし事務作業であっても、通勤と午前中の勤務だけで疲労困憊し、午後は自宅で休む必要がある」といった具合です。

心不全でよくある質問

心不全の障害年金申請について、よくいただく質問とその回答をまとめました。

Q1: 糖尿病や高血圧など他の病気もある場合は?

A: 心不全の原因や合併症として、糖尿病、高血圧、腎臓病などの疾患がある場合、これらも含めて総合的に評価されます。

障害年金には「併合認定」という制度があり、複数の障害を合わせて等級を判定する場合があります。例えば、心不全で2級相当、糖尿病性腎症で2級相当の場合、併合して1級に認定される可能性があります。

また、因果関係のある疾患(例:糖尿病が原因で心不全を発症した場合)は、一連の傷病として扱われ、初診日は最初の疾患(糖尿病)で受診した日となります。複数の疾患がある場合は、相当因果関係の判断が重要になるため、専門家に相談することをお勧めします。

Q2: 心臓移植待機中の場合は?

A: 心臓移植待機リストに登録された場合、非常に重度の心不全と判断され、通常は1級または2級に認定されます。

移植待機中は、日常生活が著しく制限され、入院が必要な場合も多いため、障害の程度は重いと判断されます。診断書には、移植待機中であることを明記してもらい、UNOS(国際心臓移植学会)のステータス分類や、日本循環器学会の重症度分類なども記載してもらうとよいでしょう。

移植後は、拒絶反応や合併症の状況により、等級が見直されます。移植が成功し症状が改善すれば等級が下がる可能性がありますが、免疫抑制剤の服用継続や合併症により日常生活に制限が残る場合は、引き続き受給できる可能性があります。

Q3: 一度不認定になりましたが再申請できますか?

A: はい、再申請は可能です。再申請には主に2つの方法があります。

1つ目は「額改定請求(再申請)」です。前回の申請から1年以上経過し、症状が悪化した場合に行います。例えば、前回の申請時はNYHA分類Ⅱ度だったが、現在はⅢ度に悪化し、ICD装着が必要になった、という場合です。

2つ目は「不服申立て」です。不支給決定に納得できない場合、決定を受け取ってから3ヶ月以内に審査請求を行うことができます。例えば、診断書の内容が実際の状態を反映していなかった、初診日の認定に誤りがあった、などの理由がある場合です。

また、前回の不認定の原因を解消することで、認定される可能性が高まります。例えば、前回は初診日が証明できなかったが、新たな資料が見つかった場合や、診断書の記載内容が不十分だったため、今回は詳細に記載してもらう、などです。

一度不認定になったからといって、諦める必要はありません。原因を分析し、適切に対応すれば、再申請で認定されるケースは多くあります。

Q4: 申請から受給まで生活費が心配です

A: 障害年金の審査には通常3〜4ヶ月かかります。その間の生活費については、以下の制度を検討してください。

傷病手当金との関係
会社員の方で、健康保険の傷病手当金を受給している場合、障害年金との併給調整があります。障害年金が認定されると、傷病手当金は支給停止となりますが、障害年金のほうが金額が低い場合は、差額分の傷病手当金が支給されます。申請中は引き続き傷病手当金を受給できます。

生活保護の検討
収入が途絶え、生活が困窮している場合は、生活保護の申請も検討できます。生活保護は最後のセーフティネットであり、本当に困っている場合は遠慮なく利用すべき制度です。市区町村の福祉課に相談してください。

遡及請求による過去分の受給
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)まで遡及して認定された場合、最大5年分の年金が一括で支給されます。例えば、3年前が障害認定日の場合、約249万円(83万円×3年)が一括で振り込まれます。この制度により、申請中の生活費不足を補える可能性があります。

Q5: 社労士に依頼した場合の費用は?

A: 社会保険労務士への報酬は、多くの場合「着手金+成功報酬」の形式です。

一般的な相場は以下のとおりです:

  • 着手金: 0円〜5万円程度
  • 成功報酬: 年金の2ヶ月分程度(遡及分がある場合は別途)

例えば、障害厚生年金2級で年額120万円が認定された場合、成功報酬は20〜30万円程度となるのが一般的です。遡及して3年分が一括支給される場合は、その10〜15%程度が加算されることが多いです。

当事務所の料金体系については、初回相談時に詳しくご説明いたします。費用についてもご納得いただいた上で、正式にご依頼いただく形となりますので、まずはお気軽にご相談ください。

なお、社労士に依頼するメリットは、単に書類作成の手間が省けるだけではありません。認定基準を熟知した専門家が書類をチェックすることで、認定率が高まること、また、不認定となった場合の不服申立てまで対応できることが大きなメリットです。

心不全特有の認定事例

最後に、心不全の障害年金申請で実際に認定されたケースをご紹介します。個人情報に配慮し、一般的な事例として記載します。

事例1: 拡張型心筋症で2級認定されたケース
50代男性、会社員。拡張型心筋症と診断され、NYHA分類Ⅲ度、EF値28%。ICD装着後も、軽い活動で息切れが出現し、以前の現場監督の仕事は継続できず休職中。診断書に日常生活の具体的な制限(入浴後の休息が必要、階段昇降困難など)が詳細に記載され、申立書でも具体的なエピソードを豊富に記載。障害厚生年金2級に認定され、初診日から2年遡及で一括約200万円、以後年額約110万円(報酬比例部分含む)を受給。

事例2: 虚血性心疾患で働きながら3級認定されたケース
40代女性、事務職パート勤務。急性心筋梗塞後、心不全を発症。NYHA分類Ⅱ度、EF値38%。フルタイム勤務から週3日・1日5時間の時短勤務に変更。通勤と午前中の勤務で疲労し、午後は休息が必要。家事も制限があり、重いものは持てない。診断書に「軽作業のみ可能、通常の労働は困難」と記載され、申立書で配置転換の経緯と日常生活の制限を詳述。障害厚生年金3級に認定。

事例3: ICD装着後に2級認定されたケース
60代男性、自営業廃業。虚血性心疾患による心不全で、不整脈のリスクが高くICD装着。NYHA分類Ⅲ度、EF値30%。装着後も症状は改善せず、自営業(印刷業)は廃業せざるを得なかった。在宅酸素療法の導入も検討中。診断書にICD装着と装着後も症状が残存していることを明記。申立書で廃業に至った経緯と、現在の日常生活の困難さを具体的に記載。障害基礎年金2級に認定。

事例4: 初診日が10年前で遡及認定されたケース
50代女性、主婦。10年前に心筋症で初診。当時のカルテは廃棄されていたが、診察券と古い領収書を発見。2番目の医療機関で受診状況等証明書を取得し、カルテの記載から初診時期を推定。第三者証明(友人2名)も作成。現在はNYHA分類Ⅲ度、EF値25%で日常生活に著しい制限。社労士のサポートにより初診日を証明し、障害認定日まで遡及。5年分の年金約415万円が一括支給され、以後年額約83万円を受給。

これらの事例から分かるように、診断書と申立書の内容が具体的で、日常生活の制限度が明確に示されていれば、認定される可能性は高まります。また、初診日の証明が困難なケースでも、適切な方法で対応すれば認定される可能性があります。

次の章では、記事全体のまとめと、具体的な相談方法についてご案内します。

まとめ:心不全の障害年金申請で諦めないために

この記事では、心不全による障害年金申請について、認定率を高めるための実践的なポイントを詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

心不全は障害年金の対象です
心不全により日常生活に制限が生じている場合、障害年金を受給できる可能性があります。NYHA心機能分類Ⅱ度以上、または左室駆出率(EF値)の低下があり、日常生活動作に制限がある場合は、申請を検討する価値があります。ICD装着やCRT-D装着の場合は、通常2級に認定されます。

認定率を上げる3つのポイント
本記事で解説した3つのポイントを再度確認しましょう。

  1. 初診日を確実に証明する
    受診状況等証明書の取得が基本です。カルテが廃棄されている場合でも、参考資料の収集や第三者証明の活用で対応できる場合があります。初診日が証明できないと不認定となるため、最も重要なポイントです。
  2. 認定につながる診断書を作成する
    診断書の内容が認定の9割を決めます。NYHA分類、EF値などの医学的所見だけでなく、日常生活動作の制限度が具体的に記載されていることが重要です。医師への依頼方法を工夫し、日常の困難さを具体的に伝えましょう。
  3. 病歴・就労状況等申立書を効果的に書く
    診断書を補完する重要な書類です。発症からの経過を時系列で整理し、日常生活での具体的なエピソードを豊富に記載します。「できないこと」を中心に、数字を使って具体的に書くことがポイントです。

働きながらでも受給できます
障害年金は「労働能力」ではなく「日常生活能力」で判定されます。時短勤務、配置転換、業務内容の軽減など、就労に制限がある場合は、その内容を具体的に示すことで、働きながらでも認定される可能性があります。「働いているから無理」と諦める必要はありません。

諦めないことが大切です
一度不認定になった方でも、症状の変化や新たな証拠により、再申請で認定されるケースは多くあります。また、初診日の証明が難しいケースでも、適切な方法で対応すれば認められる可能性は十分にあります。「諦めない」姿勢と「適切なサポート」が、障害年金受給への道を開きます。

心不全で日常生活に制限があり、経済的な不安を抱えている方にとって、障害年金は重要な支えとなります。症状の重さや生活の困難さは、あなた自身が一番よく知っています。その現状を、適切な形で書類に反映させることができれば、認定される可能性は高まります。

申請手続きは確かに複雑で、一人で進めることは簡単ではありません。しかし、専門家のサポートを受けることで、その複雑さを乗り越え、適切な申請を行うことができます。当事務所では、「諦めない障害年金」をコンセプトに、心不全をはじめとする循環器疾患の障害年金申請を専門的にサポートしています。

ICD装着後のケース、初診日が不明なケース、一度不認定になったケース、働きながらの申請など、複雑な状況でも諦めずに対応いたします。多くの方が「自分のケースは難しい」と思い込んでいますが、実際には適切な対応で認定されるケースがほとんどです。

まずは無料相談から始めませんか?

当事務所では、心不全による障害年金申請のご相談を承っています。初回のご相談は無料です。お電話、メール、お問い合わせフォームのいずれかで、お気軽にご連絡ください。

ご相談時にお伺いする内容:

  • 心不全の診断時期と現在の症状
  • NYHA分類やEF値(わかる範囲で)
  • 治療内容(服薬、デバイス装着など)
  • 日常生活での困難さ
  • 就労状況(休職中、退職、継続勤務など)
  • 初診日が特定できるかどうか

これらの情報をもとに、障害年金の対象となる可能性、申請の流れ、必要な準備などについて、具体的にアドバイスいたします。ご相談いただいたからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは現状を確認し、今後の選択肢を知っていただくだけでも構いません。

【お問い合わせ先】

清水総合法務事務所
社会保険労務士 清水 良訓

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TEL: 050-7124-5884
受付時間: 平日 9:00〜18:00

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神戸・兵庫県内はもちろん、遠方の方もオンライン相談や郵送でのやり取りで対応可能です。ご来所が難しい場合でも、お気軽にご相談ください。

心不全による日常生活の制限、経済的な不安、将来への心配。そのすべてを一人で抱え込む必要はありません。障害年金という制度があり、それを専門的にサポートする社会保険労務士がいます。

あなたの状況をお聞かせください。一緒に、障害年金受給への道を探しましょう。社会保険労務士 清水良訓が、あなたの障害年金申請を全力でサポートいたします。

まずは無料相談から。お気軽にお問い合わせください。

障害年金のご相談は兵庫障害年金安心サポートセンターへ
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