同名半盲と障害年金|視野障害の認定基準と申請の流れを社労士が解説

同名半盲と障害年金|視野障害の認定基準と申請の流れを社労士が解説
目次

同名半盲でも障害年金を受給できる可能性があります

脳梗塞や脳出血の後遺症で同名半盲と診断され、日常生活に不安を感じていませんか。

視野の半分が見えないことで、歩行中に人や物にぶつかりそうになる、書類や本を読むのが困難になった、仕事を続けられなくなった——。このような状況に直面し、将来への不安を抱えている方は少なくありません。

同名半盲は、障害年金の対象となる視野障害のひとつです。障害認定基準では「半盲性視野欠損」として明確に位置づけられており、症状の程度によっては障害厚生年金2級や3級、障害手当金を受給できる可能性があります。

しかし、同名半盲による障害年金申請には、いくつかの注意点があります。初診日の考え方が一般的な眼の病気とは異なること、視野検査の結果をどのように認定基準に当てはめるか判断が難しいこと、高次脳機能障害など他の後遺症との併合認定の可能性があることなど、専門的な知識が求められる場面が多いのです。

この記事では、神戸・兵庫県で障害年金申請を専門にサポートしている社会保険労務士が、同名半盲の障害年金について詳しく解説します。認定基準、受給要件、申請の流れ、そして実際の受給事例まで、申請を検討されている方に必要な情報をまとめました。

「視野障害だけで障害年金がもらえるのだろうか」「自分のケースは該当するのだろうか」と不安に思われている方も、まずはこの記事を読んで、ご自身の状況を確認してみてください。

同名半盲で障害年金申請をお考えの方、まずはお気軽にご相談ください。神戸の障害年金専門社労士が、あなたの状況を丁寧にお伺いします。

同名半盲とは?原因と日常生活への影響

障害年金の申請を検討するにあたり、まずは同名半盲という症状について理解しておきましょう。

同名半盲の定義と原因疾患

同名半盲とは、両眼の視野の同じ側(右側または左側)が見えなくなる状態をいいます。「右同名半盲」であれば両眼とも右側の視野が欠損し、「左同名半盲」であれば両眼とも左側の視野が欠損します。

ここで重要なのは、「右目が見えない」「左目が見えない」という片眼の障害ではないという点です。右同名半盲の場合、右目で見ても左目で見ても、視野の右半分が見えなくなります。これは、眼球そのものの障害ではなく、脳の視覚を処理する部分が損傷されることで生じる症状です。

同名半盲を引き起こす主な原因疾患には、以下のようなものがあります。

  • 脳梗塞:同名半盲の最も一般的な原因です。特に後大脳動脈領域の脳梗塞で発症することが多いとされています。
  • 脳出血:後頭葉や視放線の出血により、視野障害が生じます。
  • 脳腫瘍:後頭葉や視神経付近に腫瘍ができた場合に発症することがあります。
  • 脳動静脈奇形:奇形部位からの出血により、同名半盲を発症するケースがあります。
  • 頭部外傷:事故などで脳が損傷された場合にも視野障害が生じることがあります。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)による同名半盲の場合、発症から4ヶ月程度までは改善が見込まれることもありますが、それ以降は後遺症として残りやすいとされています。

日常生活への具体的な影響

同名半盲は視野の半分が失われる障害であり、日常生活のさまざまな場面で困難が生じます。

【歩行時の危険】
視野が欠損している側から近づいてくる人や自転車、車に気づきにくくなります。道路を横断する際には特に危険が伴い、欠損側からの車両を見落とす可能性があります。また、段差や障害物にも気づきにくく、つまずいたりぶつかったりすることが頻繁に起こります。

【読書や書類確認の困難】
左同名半盲の場合、文章を読む際に行の始まりを見つけることが難しくなります。右同名半盲の場合は、行の終わりを見落としやすくなります。書類の確認作業や読書が困難になり、仕事や日常生活に支障をきたします。

【運転の制限】
同名半盲があると、安全な運転が困難になります。欠損側の車両や歩行者を認識できないため、運転免許の更新ができなくなるケースがほとんどです。これにより、通勤手段が制限される方も多くいらっしゃいます。

【就労への影響】
視野障害により、これまでと同じように仕事を続けることが難しくなる場合があります。デスクワークでもパソコン画面の一部が見えない、書類を見落とすなどの問題が生じます。製造業や運輸業など、視覚に依存する仕事では、配置転換や退職を余儀なくされることも少なくありません。

このように、同名半盲は日常生活全般に大きな影響を及ぼす障害です。視力自体は保たれていることが多いため、周囲から障害の程度を理解されにくい面もありますが、当事者にとっては深刻な生活上の困難を伴います。

同名半盲で障害年金を受給するための要件

障害年金を受給するためには、3つの要件を満たす必要があります。同名半盲の場合、特に「初診日」の考え方に注意が必要です。

障害年金の3つの受給要件

障害年金を受給するには、以下の3つの要件をすべて満たさなければなりません。

【1. 初診日要件】
障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることが必要です。20歳前に初診日がある場合や、60歳以上65歳未満で国内在住の場合は、年金に加入していなくても対象となることがあります。

【2. 保険料納付要件】
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付または免除されていることが必要です。また、初診日が令和8年4月1日前にある場合は、初診日において65歳未満であり、初診日の前日において初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ、この要件を満たします。

【3. 障害状態該当要件】
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日)において、障害等級に該当する程度の障害状態にあることが必要です。同名半盲の場合は、視野障害の認定基準に基づいて判定されます。

同名半盲の「初診日」はいつ?

同名半盲の障害年金申請において、最も注意すべき点が初診日の考え方です。

同名半盲は脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患の後遺症として発症することがほとんどです。この場合、初診日は「眼科を受診した日」ではなく、原因疾患である脳血管疾患で初めて医師の診療を受けた日となります。

具体的には、以下のような日が初診日となるケースが多いです。

  • 脳梗塞や脳出血で救急搬送された日
  • 頭痛や麻痺などの症状で初めて医療機関を受診した日
  • 健康診断で脳血管疾患の疑いを指摘され、医療機関を受診した日

救急搬送された場合は、搬送先の病院で「受診状況等証明書」を取得することで初診日を証明できます。初診日が明確であることは、同名半盲の障害年金申請において有利に働く点のひとつです。

なお、脳腫瘍が原因の場合は、腫瘍の症状で初めて受診した日が初診日となります。原因疾患によって初診日の考え方が異なりますので、ご自身のケースについて不明な点があれば、専門家にご相談ください。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、初診日に加入していた年金制度によって、受給できる年金の種類が異なります。

項目 障害基礎年金 障害厚生年金
対象者 初診日に国民年金に加入していた方
(自営業、フリーランス、専業主婦、学生など)
初診日に厚生年金に加入していた方
(会社員、公務員など)
対象等級 1級・2級のみ 1級・2級・3級
(障害手当金もあり)
3級の場合 受給できない 受給できる

ここで重要なのは、障害基礎年金には3級がないという点です。初診日に国民年金に加入していた方(自営業、フリーランス、専業主婦など)は、障害等級2級以上に該当しなければ障害年金を受給できません。

一方、初診日に厚生年金に加入していた方(会社員など)は、3級に該当すれば障害厚生年金を受給できます。また、3級に該当しない軽度の障害でも、障害手当金(一時金)を受給できる場合があります。

同名半盲の場合、視野障害の程度によっては3級または障害手当金相当となることもあります。初診日に国民年金に加入していた方で、視野障害だけでは2級に該当しない場合は、高次脳機能障害など他の後遺症との併合認定によって2級を目指すことも検討すべきです。

以下のチェックリストで、ご自身が受給要件を満たしているか確認してみてください。

チェック項目 確認内容
初診日の確認 脳梗塞・脳出血等で初めて受診した日を把握していますか?
年金加入状況 初診日に国民年金または厚生年金に加入していましたか?
保険料納付状況 初診日の前々月までの保険料納付状況を確認しましたか?
障害認定日の経過 初診日から1年6ヶ月が経過していますか?
視野検査の実施 眼科でゴールドマン視野計または自動視野計による検査を受けていますか?

同名半盲の障害年金認定基準と等級

同名半盲で障害年金を申請する場合、視野障害の認定基準に基づいて障害等級が判定されます。ここでは、令和4年1月に改正された最新の認定基準について解説します。

視野障害の認定基準(令和4年改正後)

眼の障害認定基準は令和4年1月1日に改正されました。この改正により、視野障害の評価方法が大きく変わり、同名半盲などの半盲性視野欠損も適切に評価されるようになっています。

改正前は、視野障害2級の認定には「求心性視野狭窄」や「輪状暗点」といった特定の症状が条件とされており、同名半盲のような半盲性視野欠損は対象外とされることがありました。しかし、改正後はこれらの症状による限定がなくなり、測定数値が基準を満たせば障害等級が認定されるように変更されました。

同名半盲は、認定基準の中で「半盲性視野欠損」として位置づけられています。具体的には、「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」の注釈において、次のように説明されています。

半盲性視野欠損は、脳梗塞等による同名半盲で両眼の視野の左右のいずれか半分が欠損するものである。

このように、同名半盲は障害年金の認定基準において明確に対象として認められています。

障害等級ごとの基準

視野障害の障害等級は、ゴールドマン型視野計または自動視野計による測定結果に基づいて判定されます。以下に、等級ごとの基準をまとめます。

障害等級 ゴールドマン型視野計による基準 自動視野計による基準
1級 両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下
かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下
両眼開放視認点数が70点以下
かつ両眼中心視野視認点数が20点以下
2級 両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下
かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下
両眼開放視認点数が70点以下
かつ両眼中心視野視認点数が40点以下
3級 両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの 両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの
障害手当金 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
またはI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの
両眼開放視認点数が100点以下に減じたもの
または両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの

【同名半盲の場合の等級判定】
同名半盲は「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」に該当するため、基本的には障害手当金相当と判定されることが多いです。ただし、以下の場合にはより上位の等級が認定される可能性があります。

  • 3級:障害が固定しておらず、症状が変動する可能性がある場合
  • 2級以上:視野検査の測定数値が2級または1級の基準を満たす場合、または他の障害との併合認定による場合

なお、障害手当金は障害厚生年金の制度であり、一時金として支給されます。初診日に国民年金に加入していた方は、障害手当金を受給することができません。

高次脳機能障害との併合認定

脳梗塞や脳出血の後遺症として同名半盲を発症した場合、視野障害だけでなく、他の後遺症を併発していることが少なくありません。特に多いのが高次脳機能障害です。

高次脳機能障害とは、脳の損傷により、記憶力、注意力、判断力、遂行機能などの認知機能に障害が生じる状態をいいます。具体的には、以下のような症状が見られます。

  • 新しいことが覚えられない、すぐに忘れてしまう(記憶障害)
  • 集中力が続かない、複数のことを同時にできない(注意障害)
  • 計画を立てて行動することが難しい(遂行機能障害)
  • 感情のコントロールが難しくなる(社会的行動障害)

障害年金では、複数の障害がある場合に「併合認定」という方法で等級を判定します。視野障害だけでは障害手当金相当であっても、高次脳機能障害や肢体の障害(片麻痺など)を併せて申請することで、2級以上の認定を受けられる可能性があります。

特に、初診日に国民年金に加入していた方は、2級以上でなければ障害年金を受給できません。このような場合、視野障害と他の障害を併せて申請することが重要な選択肢となります。

併合認定を視野に入れた申請は、複数の診断書が必要になるなど手続きが複雑になります。ご自身のケースで併合認定の可能性があるかどうか、専門家に相談されることをお勧めします。

障害者手帳の等級と障害年金の等級の違い

同名半盲で身体障害者手帳を取得されている方も多いと思いますが、障害者手帳の等級と障害年金の等級は必ずしも一致しません

障害者手帳と障害年金は、それぞれ別の制度であり、認定基準も異なります。一般的に、視野障害については以下のような対応関係があるとされています。

身体障害者手帳の等級 障害年金の等級(目安)
2級 1級相当
3級 2級相当
4級 3級相当
5級 障害手当金相当

ただし、これはあくまで目安であり、実際の認定は個々の症状や検査結果に基づいて行われます。障害者手帳をお持ちでない方でも障害年金を受給できる可能性がありますし、逆に障害者手帳の等級が高くても障害年金の等級が低くなる場合もあります。

障害者手帳の有無にかかわらず、障害年金の受給可能性があると思われる方は、一度専門家にご相談されることをお勧めします。

同名半盲の障害年金受給額

障害年金の受給額は、障害等級や年金の種類、家族構成などによって異なります。ここでは、2025年度(令和7年度)の年金額をもとに、同名半盲で受給できる障害年金の目安をご紹介します。

障害基礎年金の受給額

障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた方が受給できる年金です。定額で支給されるため、加入期間や収入に関係なく、等級に応じた金額を受け取ることができます。

障害等級 年額 月額(目安)
1級 1,039,625円 約86,600円
2級 831,700円 約69,300円

※2025年度(令和7年度)の金額です。年金額は毎年度改定されます。

さらに、18歳到達年度末(高校卒業時)までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子がいる場合は、子の加算が上乗せされます。

子の人数 加算額(年額)
1人目・2人目 各239,300円
3人目以降 各79,800円

たとえば、障害基礎年金2級を受給し、高校生の子どもが1人いる場合、年額は831,700円+239,300円=1,071,000円(月額約89,200円)となります。

障害厚生年金の受給額

障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入していた方が受給できる年金です。1級・2級の場合は障害基礎年金に上乗せして支給され、3級の場合は障害厚生年金のみが支給されます。

障害厚生年金の金額は「報酬比例の年金額」をもとに計算され、厚生年金に加入していた期間の長さや、その間の給与額によって異なります。

障害等級 年金額の計算方法
1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級+配偶者加給年金
2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級+配偶者加給年金
3級 報酬比例の年金額(最低保障額:623,800円)
障害手当金 報酬比例の年金額×2(一時金・最低保障額:1,247,600円)

1級・2級の障害厚生年金を受給する方で、65歳未満の配偶者がいる場合は、配偶者加給年金として年額239,300円が加算されます。

【受給額の目安】
同名半盲で障害厚生年金2級を受給した場合の年金額の目安は、以下のとおりです(配偶者加給年金を含む)。

  • 障害基礎年金2級:831,700円
  • 障害厚生年金2級(報酬比例部分):約60万円~120万円(加入期間・給与により変動)
  • 配偶者加給年金:239,300円
  • 合計:約170万円~200万円程度(年額)

3級の場合は障害厚生年金のみとなり、報酬比例の年金額(最低保障額623,800円)が支給されます。障害手当金は一時金として最低保障額1,247,600円が支給されます。

障害年金生活者支援給付金

障害基礎年金1級または2級を受給している方で、前年の所得が一定額以下の場合は、「障害年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。

障害等級 給付金額(月額)
1級 6,813円
2級 5,450円

この給付金は障害年金とは別に申請が必要です。受給要件を満たす方は、忘れずに手続きを行いましょう。

なお、障害年金は非課税所得です。所得税や住民税がかからないため、受給額がそのまま手元に残ります。老齢年金と比較して、実質的な支援効果が高い点も障害年金のメリットのひとつです。

同名半盲の障害年金申請の流れと必要書類

障害年金の申請は、必要書類の準備から年金事務所への提出まで、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、同名半盲で障害年金を申請する際の具体的な流れと、準備すべき書類について解説します。

申請手続きの流れ

障害年金の申請は、以下のような流れで進めます。

【ステップ1】初診日の確認と証明書の取得
まず、障害の原因となった傷病で初めて医療機関を受診した日(初診日)を確認します。同名半盲の場合、眼科の初診日ではなく、脳梗塞や脳出血などの原因疾患で初めて受診した日が初診日となります。

初診日を証明するために、初診の医療機関で「受診状況等証明書」を取得します。救急搬送された場合は、搬送先の病院で証明書を依頼しましょう。

【ステップ2】保険料納付要件の確認
年金事務所で、初診日時点での保険料納付状況を確認します。納付要件を満たしているかどうか、事前に確認しておくことが重要です。

【ステップ3】診断書の作成依頼
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)以降に、主治医に診断書の作成を依頼します。同名半盲の場合は、眼科で「眼の障害用」の診断書を作成してもらいます。

視野障害の診断書には、ゴールドマン型視野計または自動視野計による検査結果が必要です。検査を受けていない場合は、診断書作成前に視野検査を受けましょう。

【ステップ4】病歴・就労状況等申立書の作成
発症から現在までの病歴や、日常生活・就労への影響を記載する書類です。申請者本人が作成します。同名半盲による生活上の困難を具体的に記載することが重要です。

【ステップ5】年金請求書の記入と提出
必要書類をすべて揃えたら、年金請求書に記入し、年金事務所(または市区町村役場)に提出します。初診日に厚生年金に加入していた方は年金事務所へ、国民年金に加入していた方は市区町村役場または年金事務所へ提出します。

【ステップ6】審査・結果通知
提出後、日本年金機構で審査が行われます。審査期間は通常3ヶ月程度ですが、ケースによってはそれ以上かかることもあります。審査結果は郵送で通知されます。

以下に、申請手続きの流れをまとめます。

  1. 初診日の確認・受診状況等証明書の取得
  2. 年金事務所で保険料納付要件を確認
  3. 眼科で診断書(眼の障害用)の作成を依頼
  4. 病歴・就労状況等申立書を作成
  5. 年金請求書と必要書類を年金事務所に提出
  6. 審査(約3ヶ月)
  7. 結果通知・年金証書の送付
  8. 年金の受給開始

必要書類一覧

同名半盲で障害年金を申請する際に必要な主な書類は、以下のとおりです。

書類名 取得先・作成者 備考
年金請求書 年金事務所で入手 申請者が記入
受診状況等証明書 初診の医療機関 脳梗塞等の初診日を証明
診断書(眼の障害用) 眼科の主治医 視野検査結果を含む
病歴・就労状況等申立書 申請者本人が作成 発症から現在までの経過を記載
戸籍謄本または抄本 市区町村役場 加算対象者がいる場合
住民票 市区町村役場 マイナンバー記載のもの
年金手帳または基礎年金番号通知書 手元にあるもの 基礎年金番号の確認用
預金通帳のコピー 手元にあるもの 年金振込先の確認用

高次脳機能障害など、視野障害以外の後遺症がある場合は、それぞれの障害に対応した診断書も必要です。併合認定を目指す場合は、複数の診断書を提出することになります。

申請時の注意点

同名半盲で障害年金を申請する際には、以下の点に特に注意が必要です。

【視野検査結果の重要性】
視野障害の等級判定は、視野検査の数値に基づいて行われます。ゴールドマン型視野計または自動視野計による正確な検査結果が必要です。検査を受けていない場合や、検査結果が古い場合は、診断書作成前に最新の検査を受けることをお勧めします。

【日常生活への影響を具体的に記載する】
病歴・就労状況等申立書には、同名半盲によって日常生活や仕事にどのような支障が生じているかを具体的に記載しましょう。たとえば、以下のような内容を盛り込むと、審査において障害の程度が適切に評価されやすくなります。

  • 歩行中に人や物にぶつかることがある
  • 階段の昇り降りに不安がある
  • 読書や書類確認が困難になった
  • 運転ができなくなり、通勤手段が制限された
  • 仕事でミスが増え、配置転換や退職を余儀なくされた
  • 外出時は常に付き添いが必要

【初診日の医療機関が廃院している場合】
脳梗塞や脳出血で救急搬送された病院が廃院している場合など、受診状況等証明書を取得できないケースもあります。このような場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出し、当時の診察券、入院記録、お薬手帳などの参考資料を添付することで、初診日を証明できる場合があります。

当事務所では、このような複雑なケースにも対応しています

  • 初診日が不明確なケースの調査・証明
  • 医師との診断書作成に関する連携サポート
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行
  • 高次脳機能障害など複数障害の併合認定申請
  • 不支給決定後の再申請・審査請求

神戸・兵庫県で多数の申請サポート実績があります。詳しくはこちら

同名半盲で障害年金を受給した事例

ここでは、当事務所で障害年金申請をサポートし、受給に至った事例をご紹介します。同名半盲の症状や状況は人それぞれですが、ご自身のケースと照らし合わせて参考にしていただければ幸いです。

事例1: 50代男性・脳梗塞後の左同名半盲で障害厚生年金2級を受給

※個人情報保護のため、内容を一部変更しています

【背景】
兵庫県在住の50代男性。製造業の会社に30年以上勤務し、管理職として働いていました。ある日、勤務中に突然の頭痛と吐き気に襲われ、救急搬送されました。検査の結果、後大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、約1ヶ月間入院しました。

退院後、左側の視野が見えにくいことに気づき、眼科を受診したところ「左同名半盲」と診断されました。視力自体は両眼とも1.0を維持していましたが、左側の視野が大きく欠損しており、歩行中に左側から来る人や物にぶつかることが頻繁に起こるようになりました。

【困難だった点】
復職を試みましたが、書類の左側を見落とす、会議中に左側に座っている人の発言に気づかないなど、仕事に支障をきたすようになりました。結局、休職を余儀なくされ、傷病手当金の受給期間も残りわずかとなり、経済的な不安が大きくなっていました。

ご本人は「視力は普通に見えているのに、障害年金がもらえるのだろうか」と半信半疑の状態で、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

【当事務所のサポート内容】
まず、視野障害の認定基準について詳しくご説明し、同名半盲が障害年金の対象となることをお伝えしました。初診日は救急搬送された日であり、搬送先の病院で受診状況等証明書を取得できたため、初診日の証明はスムーズに進みました。

眼科での診断書作成にあたっては、ゴールドマン型視野計による検査結果が認定基準を満たしていることを確認し、日常生活への影響が適切に記載されるよう、主治医との連携をサポートしました。また、病歴・就労状況等申立書には、歩行時の危険や就労困難の状況を具体的に記載しました。

【結果】
申請から約3ヶ月後、障害厚生年金2級の認定を受けることができました。年間約180万円の年金を受給できることになり、経済的な不安が大きく軽減されました。

【ご本人の声】
「視力は普通なのに年金がもらえるとは思っていませんでした。傷病手当金が終わる前に相談してよかったです。申請手続きも複雑で、一人ではとても無理だったと思います。専門家に相談して本当によかったです。」

事例2: 30代女性・高次脳機能障害との併合認定で障害基礎年金2級を受給

※個人情報保護のため、内容を一部変更しています

【背景】
兵庫県在住の30代女性。フリーランスのデザイナーとして自宅で仕事をしていました。ある日、突然の激しい頭痛に襲われ、意識を失って救急搬送されました。検査の結果、脳動静脈奇形からの脳出血と診断され、緊急手術を受けました。

手術後、右同名半盲の後遺症が残りました。さらに、注意力の低下や疲れやすさなど、高次脳機能障害の症状も見られるようになりました。PC作業を長時間続けることができなくなり、フリーランスの仕事をほぼ休止せざるを得ない状況でした。

【困難だった点】
ご本人は発症時に国民年金に加入していたため、障害基礎年金の対象でした。障害基礎年金には3級がないため、2級以上に該当しなければ年金を受給できません。視野障害だけでは障害手当金相当と判定される可能性があり、2級の認定を受けられるか不安を抱えていらっしゃいました。

また、5歳のお子さんがいらっしゃり、夫の収入だけでは生活が厳しく、経済的な不安も大きい状況でした。

【当事務所のサポート内容】
ご相談を受け、視野障害だけでなく高次脳機能障害についても詳しくお話を伺いました。日常生活の状況を確認したところ、注意障害や易疲労性により家事や育児にも支障が生じていることがわかりました。

そこで、眼科の診断書(眼の障害用)に加えて、精神科で高次脳機能障害の診断書(精神の障害用)も作成していただき、併合認定を目指すことにしました。両方の診断書において、日常生活への影響が適切に評価されるよう、医師との連携をサポートしました。

【結果】
視野障害と高次脳機能障害の併合認定により、障害基礎年金2級の認定を受けることができました。子の加算も含めて年間約107万円の年金を受給できることになりました。

【ご本人の声】
「国民年金だったので、2級にならないと年金がもらえないと聞いて諦めかけていました。高次脳機能障害との併合認定という方法があることを教えていただき、希望が持てました。子どもがまだ小さいので、年金を受給できて本当に助かっています。」

事例3: 40代男性・一度不支給後、再申請で障害厚生年金3級を受給

※個人情報保護のため、内容を一部変更しています

【背景】
神戸市在住の40代男性。営業職として働いていましたが、脳梗塞を発症し、右同名半盲の後遺症が残りました。発症から1年6ヶ月が経過した後、ご自身で障害年金の申請を行いましたが、結果は不支給でした。

不支給の理由は、診断書の記載内容が認定基準を満たしていないと判断されたためでした。ご本人は「やはり視野障害だけでは難しいのか」と落胆し、一度は申請を諦めていました。

【困難だった点】
不支給決定から1年以上が経過した頃、知人の紹介で当事務所にご相談にいらっしゃいました。当時の診断書を確認したところ、視野検査の結果は記載されていましたが、日常生活や就労への影響に関する記載が不十分でした。

また、ご本人は障害者雇用枠で再就職していましたが、「働いていると障害年金はもらえない」と思い込んでいらっしゃいました。

【当事務所のサポート内容】
まず、就労していても障害年金を受給できる可能性があることをご説明しました。そのうえで、再申請に向けて準備を進めました。

眼科で改めて視野検査を受けていただき、最新の検査結果をもとに診断書を作成していただきました。その際、日常生活や就労にどのような支障が生じているかを医師に詳しくお伝えし、診断書に具体的に記載していただくようお願いしました。

病歴・就労状況等申立書には、障害者雇用枠で働いているものの、視野障害により多大な配慮を受けていること、業務内容が大幅に制限されていることなどを具体的に記載しました。

【結果】
再申請の結果、障害厚生年金3級の認定を受けることができました。年間約62万円の年金を受給できることになり、働きながら年金を受け取れることで生活の安定につながりました。

【ご本人の声】
「一度不支給になったときは、もう無理だと諦めていました。でも、専門家に相談したことで、診断書の書き方や申立書の内容が重要だとわかりました。働いていても年金がもらえると知って驚きました。諦めずに再申請してよかったです。」

これらの事例はあくまで一例であり、同名半盲の症状や状況は人それぞれ異なります。ご自身のケースで障害年金を受給できるかどうか、まずは専門家にご相談ください。

同名半盲の障害年金申請でよくある質問

当事務所に寄せられるご質問の中から、同名半盲の障害年金申請に関するよくある質問をまとめました。

Q1: 障害者手帳がなくても障害年金を受給できますか?

はい、障害者手帳がなくても障害年金を受給できます。障害者手帳と障害年金は別々の制度であり、それぞれ独立した認定基準があります。障害者手帳を取得していなくても、障害年金の認定基準を満たしていれば受給可能です。逆に、障害者手帳を持っているからといって、自動的に障害年金が支給されるわけではありません。それぞれ別途申請が必要です。

Q2: 働いていても障害年金を受給できますか?

はい、働いていても障害年金を受給できる可能性があります。障害年金は、障害の状態が認定基準に該当するかどうかで判断されるため、就労しているという理由だけで不支給になることはありません。

同名半盲の場合、視野障害があっても視力は保たれていることが多く、障害者雇用枠などで働いている方も少なくありません。ただし、就労状況は審査の参考にされることがあるため、病歴・就労状況等申立書には、職場でどのような配慮を受けているか、業務にどのような制限があるかを具体的に記載することが重要です。

Q3: 脳梗塞から何年経っても申請できますか?

はい、発症から何年経過していても申請できます。障害年金には請求期限がありません。ただし、障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)から時間が経過している場合は、「事後重症請求」という方法で申請することになります。

事後重症請求の場合、年金は請求した月の翌月分から支給されます。過去にさかのぼって支給されることはないため、受給の可能性があると思われる方は、できるだけ早く申請されることをお勧めします。

Q4: 障害者手帳3級ですが、障害年金は何級になりますか?

障害者手帳の等級と障害年金の等級は必ずしも一致しません。一般的に、視野障害については、身体障害者手帳3級は障害年金2級相当、手帳5級は障害年金の障害手当金相当といわれることがありますが、これはあくまで目安です。

実際の等級判定は、視野検査の結果や日常生活への影響などを総合的に審査して決定されます。障害者手帳の等級だけで障害年金の等級を判断することはできませんので、詳しくは専門家にご相談ください。

Q5: 視野障害以外にも後遺症がある場合、どうなりますか?

脳梗塞や脳出血の後遺症として、同名半盲以外にも高次脳機能障害や片麻痺などの障害がある場合は、「併合認定」によって等級が上がる可能性があります。

併合認定とは、複数の障害を併せて評価し、障害等級を判定する方法です。たとえば、視野障害だけでは3級相当であっても、高次脳機能障害と併せて申請することで2級に認定されるケースがあります。複数の後遺症がある方は、それぞれの障害について診断書を取得し、併合認定を検討されることをお勧めします。

Q6: 申請してから結果が出るまでどのくらいかかりますか?

通常、申請から結果通知まで約3ヶ月程度かかります。ただし、書類に不備があった場合や、審査に時間を要するケースでは、それ以上かかることもあります。書類を正確に準備し、不備なく提出することで、審査期間を短縮できる可能性があります。

以下に、よくある質問と回答をまとめます。

質問 回答のポイント
障害者手帳がなくても申請できる? 可能。障害年金と障害者手帳は別制度
働いていても受給できる? 可能。障害の状態で判断される
発症から何年経っても申請できる? 可能。ただし事後重症請求は請求月の翌月から支給
手帳の等級と年金の等級は同じ? 必ずしも一致しない。別々の基準で判定
複数の後遺症がある場合は? 併合認定で上位等級の可能性あり
審査期間はどのくらい? 通常約3ヶ月。書類不備があると延びることも

上記以外にもご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう

この記事では、同名半盲で障害年金を申請するために知っておくべき情報をお伝えしてきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

  • 同名半盲は「半盲性視野欠損」として障害年金の認定基準に明記されており、障害年金の対象となります
  • 初診日は眼科ではなく、脳梗塞や脳出血など原因疾患で初めて受診した日です
  • 障害等級は視野検査の結果に基づいて判定され、障害手当金から2級まで認定される可能性があります
  • 高次脳機能障害など他の後遺症がある場合は、併合認定で上位等級を目指せることがあります
  • 障害者手帳がなくても、働いていても、発症から何年経っていても申請できます

同名半盲は、視力自体は保たれていることが多いため、「これくらいの障害で年金がもらえるのだろうか」と申請をためらう方が少なくありません。しかし、視野の半分が見えないという障害は、日常生活や就労に大きな影響を及ぼします。

障害年金は、障害を抱えながら生活する方の経済的な支えとなる大切な制度です。受給要件を満たしているにもかかわらず、「自分には関係ない」「申請しても無理だろう」と諦めてしまうのは、非常にもったいないことです。

同名半盲による障害年金申請は、初診日の考え方や視野検査の評価、併合認定の可能性など、専門的な知識と経験が必要な場面が多くあります。当事務所では、初回相談を無料で承っております。あなたの状況を丁寧にお伺いし、障害年金を受給できる可能性があるかどうか、最適な申請方法は何かをご提案いたします。

【お問い合わせ方法】

  • お電話: 050-7124-5884(平日9:00-17:00)
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神戸市須磨区の清水総合法務事務所まで、お気軽にご相談ください。神戸市内はもちろん、兵庫県内であれば訪問相談も承ります。

一度不支給になった方、申請を諦めかけている方も、ぜひ一度ご相談ください。状況を詳しくお伺いし、受給に向けた道筋を一緒に考えます。

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