IgA腎症で障害年金を受給できる?認定基準・申請方法を社労士が徹底解説
IgA腎症の治療を続けながら、「この先どうなるのだろう」「仕事は続けられるのだろうか」「医療費や生活費はどうすればいいのか」と、経済的な不安を抱えていませんか?
腎機能の低下により、階段を上るだけで息切れがしたり、疲労感が強くて思うように動けなかったり、日常生活に支障が出始めている方も多いのではないでしょうか。特に、主治医から「近い将来、人工透析が必要になるかもしれません」と告げられたとき、多くの方が大きな不安を感じられます。
実は、IgA腎症による腎機能の低下は、障害年金の対象になる可能性があります。「障害年金は透析を始めてからでないともらえない」と思われている方も多いのですが、それは誤解です。透析導入前の段階でも、腎機能の検査数値や日常生活への影響度合いによって、障害年金を受給できるケースがあるのです。
この記事では、IgA腎症で障害年金を受給するための条件、認定基準、申請手順について、障害年金を専門とする社会保険労務士が詳しく解説します。
この記事でわかること
- IgA腎症で障害年金を受給できる3つの条件
- 透析前でも受給できる具体的な基準
- 障害等級別の受給額(令和7年度最新版)
- 申請手順と必要書類
- 初診日の証明が困難な場合の対処法
- 実際の受給事例(3件)
- よくある質問と回答
「自分は対象になるのだろうか」「どうやって申請すればいいのか」「一人で申請できるのか不安」――そんな疑問や不安を、この記事で解消していただければと思います。
【この記事を読んでほしい方】
- IgA腎症と診断され、腎機能が低下している方
- 人工透析の導入を控えている方、または既に透析を受けている方
- 疲労感や息切れなど、日常生活に支障が出ている方
- 仕事の継続が難しくなり、経済的な不安を感じている方
- 障害年金の申請を考えているが、手続きが複雑で不安な方
- 過去に申請したが不支給になり、諦めかけている方
💡 重要なポイント
IgA腎症による腎機能低下は、透析導入前の段階でも障害年金の対象になる可能性があります。「透析を始めてから」と思い込んで申請を先延ばしにせず、早めに専門家にご相談ください。
それでは、まずIgA腎症という疾患について、簡単に確認しておきましょう。
IgA腎症とは|障害年金の対象になる疾患
IgA腎症は、腎臓の糸球体という部分に「IgA」という免疫グロブリン(抗体)が沈着することで炎症が起こり、徐々に腎機能が低下していく慢性の腎臓病です。
日本では慢性糸球体腎炎の中で最も多い疾患とされており、厚生労働省の指定難病(指定難病66)に認定されています。学校や職場の健康診断で血尿や蛋白尿を指摘されて発見されることが多く、10代後半から30代の比較的若い年齢で診断されるケースが多いのが特徴です。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、病状が進行すると以下のような症状が現れます:
- 持続する血尿や蛋白尿
- 全身のむくみ(浮腫)
- 疲労感、倦怠感
- 息切れ、動悸
- 食欲不振、吐き気
- 高血圧
IgA腎症は進行性の疾患で、適切な治療を受けても、一部の患者さんでは徐々に腎機能が低下し、最終的には慢性腎不全に至ることがあります。慢性腎不全が進行すると、人工透析や腎移植が必要になる場合があります。
IgA腎症は障害年金の対象
IgA腎症による腎機能の低下は、障害年金の対象となります。特に重要なのは、以下の2つのポイントです:
1. 人工透析を開始した場合は、原則として障害等級2級
人工透析療法(血液透析、腹膜透析、血液濾過のいずれも)を施行している方は、透析開始から3ヶ月経過した時点で、原則として障害等級2級に認定されます。これは障害認定基準で明確に定められており、透析を受けているという事実だけで2級が保障されているといえます。
ただし、透析による合併症や日常生活への影響がより重度である場合は、さらに上位の1級に認定される可能性もあります。
2. 透析導入前でも、条件を満たせば2級または3級に該当する
「透析を受けていないと障害年金はもらえない」というのは誤解です。透析を開始していない段階でも、腎機能の検査数値と日常生活の制限度合いによって、障害年金を受給できる可能性があります。これは意外と知られていない重要なポイントです。
具体的には、以下のような状態の場合、透析を受けていなくても障害等級2級または3級に該当する可能性があります:
- 血清クレアチニン値が5.0mg/dl以上など、検査数値が中等度または高度の異常を示している
- 日常生活に著しい制限があり、軽労働もできない状態(一般状態区分表のウまたはエに該当)
- 腎機能の低下により、階段の上り下り、家事、外出などに支障がある
- 疲労感が強く、日中の50%以上を横になって過ごす必要がある
つまり、「透析を始めるまで申請できない」というのは誤解であり、腎機能が著しく低下し日常生活に制限が出ている段階で、すでに障害年金の対象になり得るのです。
IgA腎症で障害年金を受給するためには、①初診日の要件、②保険料納付要件、③障害状態の要件という3つの条件を満たす必要があります。次のセクションで、これらの条件について詳しく見ていきましょう。
IgA腎症で障害年金を受給できる3つの条件
障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。IgA腎症の場合、どのように当てはめて考えればよいのか、一つずつ確認していきましょう。
①初診日の要件
初診日とは、「障害の原因となった病気やけがで、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」のことです。障害年金の申請において、初診日は最も重要な要素の一つです。
IgA腎症の場合、多くのケースで以下のような流れになります:
- 学校や職場の健康診断で血尿や蛋白尿を指摘される
- 健康診断の結果を受けて、内科やクリニックを受診する
- この最初に受診した日が初診日となります
初診日がなぜ重要かというと、初診日の時点でどの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金の種類が変わるからです:
- 国民年金に加入していた場合:障害基礎年金(1級・2級のみ)
- 厚生年金に加入していた場合:障害厚生年金(1級・2級・3級)+ 障害基礎年金
- 20歳前(年金未加入期間)の場合:20歳前障害による障害基礎年金
厚生年金加入中に初診日がある場合、障害基礎年金に加えて報酬比例の障害厚生年金も受給できるため、受給額が大きくなります。また、3級という比較的軽度の障害でも年金を受給できるメリットがあります。
初診日を証明するためには、「受診状況等証明書」という書類を、初診の医療機関で作成してもらう必要があります。ただし、初診から長い年月が経過している場合、カルテが破棄されていたり、医療機関が閉院していたりして、証明が困難なケースもあります。このような場合の対処法については、後ほど詳しく説明します。
②保険料納付要件
障害年金を受給するためには、初診日の前日時点で、一定以上の保険料を納付している必要があります。これを「保険料納付要件」といいます。
具体的には、以下のいずれかを満たしていることが必要です:
原則:初診日の前日時点で、保険料納付期間(保険料免除期間を含む)が、年金加入期間全体の3分の2以上あること
特例:初診日の前日時点で、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと(令和8年3月31日までの特例措置)
多くの場合、特例の「直近1年間に未納がない」という条件のほうが満たしやすいため、まずはこちらを確認します。
ただし、初診日が20歳前にある場合は、保険料納付要件は不要です。20歳前は年金制度への加入義務がないため、納付要件を問わずに障害年金を受給できます(ただし、所得制限があります)。
保険料納付要件を満たしているかどうかは、年金事務所で「被保険者記録照会」を行うことで確認できます。過去に未納期間がある方でも、学生納付特例や免除制度を利用していた期間は「納付期間」として扱われますので、諦めずに確認することが大切です。
③障害状態の要件
障害年金を受給するためには、障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日、または症状が固定した日)に、障害等級表に定める障害の状態に該当している必要があります。
障害等級は1級・2級・3級に分かれており、それぞれ以下のような状態を指します:
- 1級:日常生活の用を弁ずることができない程度(他人の介助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない状態)
- 2級:日常生活が著しい制限を受けるか、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度(必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度)
- 3級:労働が著しい制限を受けるか、労働に著しい制限を加えることを必要とする程度(日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある状態)※障害厚生年金のみ
IgA腎症などの腎疾患の場合、人工透析療法を受けている方は、透析開始から3ヶ月経過した時点で原則として障害等級2級に認定されます。これは認定基準で明確に定められている特例です。
透析を受けていない場合でも、血清クレアチニン値などの検査数値と、日常生活の制限度合い(一般状態区分表)を総合的に判断して、障害等級が決定されます。詳しい認定基準については、次のセクションで解説します。
なお、障害認定日に障害等級に該当していなかった場合でも、その後症状が悪化して障害等級に該当するようになった場合は、「事後重症請求」という方法で申請することができます。
✅ 障害年金受給要件チェックリスト
- □ IgA腎症で初めて受診した日(初診日)が特定できる
- □ 初診日に国民年金または厚生年金に加入していた(または20歳前、60-65歳の国内居住)
- □ 保険料納付要件を満たしている(初診日の前日時点で、直近1年間に未納がない、または加入期間の3分の2以上納付)
- □ 腎機能の低下により日常生活に制限がある、または人工透析を受けている
これら3つの要件をすべて満たしていれば、障害年金を受給できる可能性があります。次のセクションでは、障害認定基準について、さらに詳しく見ていきましょう。
障害認定基準|IgA腎症でどのような状態なら認定されるのか
腎疾患による障害の認定基準
腎疾患による障害年金の認定は、特定の検査数値だけで機械的に判断されるわけではありません。自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等を総合的に考慮して認定されます。
つまり、「検査数値が悪いから必ず認定される」わけでもなく、「検査数値が基準に達していないから認定されない」とも限りません。日常生活にどれだけ支障が出ているかという実態が非常に重要になります。
腎疾患の障害認定で特に重視される検査項目は以下の通りです:
- 内因性クレアチニンクリアランス値(Ccr):腎臓がどれだけ老廃物をろ過できるかを示す数値
- 血清クレアチニン値(Cr):血液中の老廃物の量を示す数値(数値が高いほど腎機能が低下している)
- 推算糸球体濾過量(eGFR):腎機能の指標(数値が低いほど腎機能が低下している)
これらの検査数値は、その性質上変動しやすいため、腎疾患の経過中に測定した複数回の検査成績の平均的なもので認定を行うとされています。つまり、たまたま悪かった1回の数値ではなく、継続的な検査結果で判断されるということです。
検査数値による異常の程度
腎機能の検査数値は、「軽度異常」「中等度異常」「高度異常」の3段階に分けられています。以下の表をご覧ください。
【図表2】腎疾患の検査数値による異常の程度
| 検査項目 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
|---|---|---|---|
| 内因性クレアチニン クリアランス値 |
20以上30未満 ml/分 |
10以上20未満 ml/分 |
10未満 ml/分 |
| 血清クレアチニン濃度 | 3以上5未満 mg/dl |
5以上8未満 mg/dl |
8以上 mg/dl |
出典:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
これらの検査数値と、次に説明する「一般状態区分表」を組み合わせて、障害等級が判定されます。
一般状態区分表とは
一般状態区分表とは、日常生活にどの程度の制限があるかを5段階(ア~オ)で評価する指標です。障害年金の認定において、検査数値と並んで非常に重要な判断材料となります。
【図表3】一般状態区分表
| 区分 | 日常生活の制限の程度 |
|---|---|
| ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
| ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
| エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
| オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
出典:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
この一般状態区分表は、診断書の中で医師が判断して記載する項目です。実際の日常生活の状況を正確に医師に伝えることが、適切な認定を受けるために非常に重要です。
障害等級1級に該当する状態
障害等級1級は、検査成績が高度の異常を示すもので、かつ、一般状態区分表の「オ」または「エ」に該当するもの
具体的には以下のような状態です:
- 内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分未満、または血清クレアチニン値が8mg/dl以上
- 日中の50%以上就床しており、自力での外出がほぼ不可能、またはベッド周辺での生活に限られ、常時介助が必要
人工透析を受けている方でも、合併症が重度で日常生活に常時介助が必要な場合などは、1級に認定される可能性があります。
障害等級2級に該当する状態
【重要】人工透析療法を施行中の方は、原則として2級に認定されます
人工透析療法(血液透析、腹膜透析、血液濾過のいずれも)を施行している方は、透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日(初診日から起算して1年6ヶ月を超える場合を除く)において、障害等級2級に認定されます。
これは認定基準で明確に規定されており、透析を受けているという事実だけで2級が保障されているといえます。
透析を受けていない場合でも2級に該当する可能性
透析を受けていない段階でも、検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表の「ウ」または「エ」に該当するものは、2級に該当する可能性があります。
具体的には以下のような状態です:
- 血清クレアチニン値が5.0〜8.0mg/dl程度
- 日中の50%以上は就床しており、自力での外出がほぼ不可能
- または、歩行や身のまわりのことはできるが、軽労働はできず、時に介助が必要な状態
なお、障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日とされています(初診日から起算して1年6ヶ月を超える場合を除く)。つまり、透析開始から3ヶ月後が障害認定日となります。
障害等級3級に該当する状態
検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表の「ウ」又は「イ」に該当するもの
具体的には:
- 血清クレアチニン値が3.0mg/dl以上
- 軽労働はできないが日中の50%以上は起居している、または肉体労働は制限を受けるが軽労働や座業はできる状態
3級は障害厚生年金のみに存在する等級です。国民年金加入中に初診日がある場合は、3級には該当せず、2級以上でなければ受給できません。
障害等級と受給額の目安
【図表4】障害等級と受給額の目安(令和7年度)
| 障害等級 | 障害の状態 | 障害基礎年金 (年額) |
障害厚生年金 (年額) |
|---|---|---|---|
| 1級 | 日常生活に著しい制限 常時介助が必要 |
約104万円 (1,039,625円) 月額約86,600円 |
報酬比例×1.25 +基礎年金1級 +配偶者加算 |
| 2級 | 日常生活に制限 または人工透析施行中 |
約83万円 (831,700円) 月額約69,300円 |
報酬比例 +基礎年金2級 +配偶者加算 |
| 3級 | 労働に制限がある状態 (厚生年金のみ) |
― | 約62万円 (最低保障額623,800円) 月額約52,000円 |
※金額は令和7年度(2025年度)の基準です。
※障害基礎年金には子の加算(第1・2子:各239,300円、第3子以降:各79,800円)が別途あります。
※障害厚生年金には配偶者加算(239,300円)が別途あります。
※障害厚生年金の報酬比例部分は、加入期間や報酬額によって個人差があります。
※最新情報は日本年金機構でご確認ください。
このように、IgA腎症による腎機能の低下が障害年金の対象になるかどうかは、検査数値と日常生活の制限度合いを総合的に判断して決定されます。次のセクションでは、実際の申請手順について詳しく見ていきましょう。
IgA腎症による障害年金の申請手順
申請の全体の流れ
障害年金の申請から受給開始までには、標準的に3〜4ヶ月程度かかります。書類の準備に1〜2ヶ月、提出後の審査に約3ヶ月というのが一般的なスケジュールです。
申請手続きは、書類を揃えて年金事務所に提出するという流れ自体はシンプルですが、どの書類をどのように準備するかが重要です。特に、診断書の内容が不十分だったり、病歴・就労状況等申立書の記載が不足していたりすると、本来受給できるはずの方が不支給になってしまうこともあります。
事前にしっかりと準備することで、スムーズな申請と認定につながります。
【図表5】障害年金申請の流れ
• 初診日の確認
• 保険料納付要件の確認
• 必要書類の説明を受ける
• 受診状況等証明書の取得(初診の医療機関)
• 診断書の作成依頼(現在の主治医)
• 病歴・就労状況等申立書の作成
• その他の添付書類(住民票、年金手帳など)
• 必要書類一式を年金事務所に提出
• 受付印のある控えを受け取る
• 日本年金機構で審査
• 必要に応じて追加資料の提出
• 年金証書の送付(認定の場合)
• 不支給決定通知書の送付(不支給の場合)
• 初回振込(認定から約1〜2ヶ月後)
• 以降、偶数月の15日に2ヶ月分ずつ振込
申請に必要な書類
障害年金の申請には、以下の書類が必要です。それぞれの書類について、詳しく説明します。
①年金請求書
年金事務所で入手できる申請用紙です。「障害基礎年金」用と「障害厚生年金」用があり、初診日にどの年金に加入していたかによって使用する用紙が異なります。
記入方法が分からない場合は、年金事務所の窓口で相談しながら記入することもできます。
②診断書(腎疾患・肝疾患・糖尿病用)
現在の主治医に作成を依頼します。診断書は障害年金専用の様式があり、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードするか、年金事務所で入手できます。
診断書作成の重要なポイント:
- 検査数値(血清クレアチニン、クレアチニンクリアランス、eGFRなど)を正確に記載してもらう
- 一般状態区分表(ア〜オ)を適切に判断してもらう
- 日常生活の制限について具体的に記載してもらう
- 透析を受けている場合は、透析開始日と透析方法を明記してもらう
診断書の内容は認定の成否に直結するため、医師に日常生活の実態を正確に伝えることが非常に重要です。「通院時は元気にしている」と医師が判断しても、実際の生活では疲労感が強く、ほとんど横になっているという場合もあります。このような実態を事前に医師に伝えておくことが大切です。
③受診状況等証明書
初診の医療機関で作成してもらう書類です。初診日を証明するための重要な書類です。
初診の医療機関と現在の主治医が同じ場合は、この書類は不要です(診断書に初診日が記載されるため)。
ただし、初診から長期間経過している場合、カルテが破棄されていたり、医療機関が閉院していたりして、取得が困難なケースもあります。このような場合の対処法については、後ほど詳しく説明します。
④病歴・就労状況等申立書
発症から現在までの経過、治療内容、日常生活や仕事への影響などを、ご自身で記載する書類です。
この申立書は、診断書だけでは伝わりにくい「日常生活の実態」を審査側に理解してもらうための重要な書類です。特に、以下の点を具体的に記載することが重要です:
- いつ頃から、どのような症状が出始めたか
- 治療の経過(投薬、入院、透析導入など)
- 日常生活への影響(家事、外出、階段の上り下りなどが困難になった時期)
- 仕事への影響(欠勤が増えた、配置転換になった、退職したなど)
- 透析を受けている場合は、透析日とそれ以外の日の生活の違い
病歴・就労状況等申立書の書き方次第で、認定結果が変わることもあります。可能な限り詳しく、具体的に記載することが大切です。
⑤その他の添付書類
- 住民票(世帯全員分)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 預金通帳のコピー(年金受取口座)
- 医師の診療情報提供書(必要に応じて)
- 戸籍謄本(配偶者や子の加算を受ける場合)
- 所得証明書(20歳前傷病の場合)
申請のタイミング
障害年金の申請は、障害認定日以降であればいつでも可能ですが、申請のタイミングによって受給開始時期が変わります。
人工透析を受けている場合
透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日が障害認定日となります(初診日から起算して1年6ヶ月を超える場合を除く)。
例えば、令和7年1月1日に透析を開始した場合、令和7年4月1日が障害認定日となり、この日以降に申請ができます。
障害認定日から1年以内に申請すれば、認定日にさかのぼって年金を受給できます(遡及請求)。ただし、1年を超えてから申請した場合は、申請した月の翌月分からの受給となります(事後重症請求)。
透析を受けていない場合
初診日から1年6ヶ月経過した日が障害認定日となります。この日に障害等級に該当していれば、認定日から年金を受給できます。
もし障害認定日に該当していなかった場合でも、その後症状が悪化して障害等級に該当するようになった場合は、「事後重症請求」として申請できます。この場合、申請した月の翌月分からの受給となります。
⚠️ 申請タイミングの重要ポイント
障害認定日から1年以内に申請すれば、認定日にさかのぼって年金を受給できます。申請が遅れるほど、受け取れる年金額が減ってしまうため、できるだけ早めに申請することをお勧めします。
次のセクションでは、申請でつまずきやすいポイントと、当事務所がどのようにサポートできるかについて説明します。
IgA腎症の障害年金申請|専門家のサポートが必要な理由
ここまで、IgA腎症による障害年金の受給要件、認定基準、申請手順について説明してきました。しかし、実際に申請してみると、様々な困難に直面することがあります。
このセクションでは、申請でよくつまずくポイントと、社会保険労務士(社労士)がどのようにサポートできるかについて説明します。
申請でよくつまずくポイント
①初診日の証明が困難
IgA腎症の場合、健康診断で血尿・蛋白尿を指摘されてから、実際に医療機関を受診するまでに時間が空いているケースや、最初に受診したクリニックが既に閉院しているケースなどがあります。
初診日を証明する「受診状況等証明書」が取得できないと、初診日が確定できず、申請自体ができなくなってしまいます。
当事務所のサポート:
- 健康診断記録の調査(学校、職場、自治体など)
- 紹介状や診療情報提供書の確認
- お薬手帳、診察券、領収書などの間接的な資料の収集
- 閉院した医療機関のカルテ引継ぎ先の調査
- 第三者証明(家族、同僚、友人など)の活用
初診日の証明は障害年金申請の中で最も困難なポイントの一つですが、様々な方法を駆使することで証明できる可能性があります。諦めずに、まずはご相談ください。
②診断書の内容が不十分
医師は治療のプロフェッショナルですが、障害年金の認定基準に精通しているとは限りません。そのため、診断書の記載内容が不十分だったり、実態と異なる内容が記載されたりすることがあります。
特に以下のような問題がよく見られます:
- 一般状態区分表が実態よりも軽く評価されている(本当は「ウ」なのに「イ」にチェックされているなど)
- 日常生活の制限について具体的な記載がない
- 検査数値の記載が不正確、または平均値ではなく一時的な良好な数値が記載されている
- 透析日以外の日常生活についての記載がない
当事務所のサポート:
- 診断書作成前に、医師に伝えるべき日常生活の状況を整理
- 診断書作成時に参考となる資料(日常生活の記録など)を提供
- 完成した診断書の内容を確認し、不足があれば追記を依頼
- 必要に応じて、医師との面談に同席
診断書は障害年金認定の最重要書類です。内容が適切かどうかを専門家の目でチェックすることで、認定の可能性が大きく高まります。
③病歴・就労状況等申立書の書き方が分からない
病歴・就労状況等申立書は、ご自身で記載する書類ですが、「何をどこまで詳しく書けばよいのか」「どのように書けば審査側に伝わるのか」が分からず、簡潔すぎる内容になってしまうことがあります。
申立書が不十分だと、実際には日常生活に大きな支障があるのに、それが審査側に伝わらず、不支給になってしまうリスクがあります。
当事務所のサポート:
- 詳しいヒアリングを行い、発症から現在までの経過を時系列で整理
- 日常生活や仕事への影響を具体的に文章化
- 認定基準を踏まえた、効果的な申立書の作成代行
申立書は、診断書には書かれていない「生活の実態」を伝える重要な書類です。プロの手で作成することで、あなたの状況が正確に審査側に伝わります。
④手続きに時間と労力がかかる
IgA腎症による腎機能低下で、日常生活に制限がある中、複雑な書類を揃えて年金事務所に何度も足を運ぶのは、大きな負担です。
特に、透析を受けている方は、週3回の通院に加えて、年金の手続きまで自分で行うのは非常に困難です。
当事務所のサポート:
- 必要書類の取得代行(受診状況等証明書など)
- 年金事務所への提出代行
- 審査状況の確認
- ご自宅への訪問相談(神戸市・兵庫県内)
体調が優れない中で無理をする必要はありません。手続きはすべて専門家に任せて、あなたは治療に専念してください。
⑤一度不支給になったが諦めきれない
過去にご自身で申請したものの不支給になり、「もう無理なのか」と諦めかけている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、不支給の理由を分析し、書類を適切に整え直すことで、再申請や審査請求によって認定される可能性があります。
当事務所のサポート:
- 不支給理由の詳細な分析
- 診断書・申立書の全面的な見直しと作成
- 再申請または審査請求のサポート
- 不支給決定に対する不服申立て(審査請求、再審査請求)
一度不支給になったからといって、それが最終決定ではありません。「諦めない障害年金」――それが当事務所のモットーです。
社会保険労務士に依頼するメリット
障害年金の申請を社会保険労務士に依頼することには、以下のようなメリットがあります:
✅ 社労士に依頼する5つのメリット
- 認定率が大幅に向上:専門知識に基づいた書類作成により、認定の可能性が高まります
- 手続きの負担がゼロに:書類の取得から提出まですべて代行するため、あなたは治療に専念できます
- 初診日証明の困難なケースにも対応:様々な方法を駆使して初診日を証明します
- 診断書の適切性をチェック:認定基準に照らして診断書の内容を確認し、必要に応じて医師に追記を依頼します
- 不支給後の対応も万全:審査請求や再審査請求まで、最後まで諦めずにサポートします
当事務所の強み
当事務所は、兵庫県神戸市を拠点に、「諦めない障害年金」をコンセプトとして、障害年金申請のサポートを行っています。
特に、IgA腎症などの腎疾患による障害年金申請については、多数の実績があります。以下のような強みがあります:
- 腎疾患の障害年金に精通:IgA腎症、糖尿病性腎症、慢性腎不全など、腎疾患の障害年金申請を多数サポート
- 初診日証明困難ケースの解決実績:カルテがない、閉院しているなどの困難なケースでも、様々な方法で初診日を証明
- 訪問相談対応:神戸市・兵庫県内であれば、ご自宅への訪問相談も可能
- 透析患者さんの生活に配慮:透析スケジュールに合わせて柔軟に対応
📞 まずは無料相談から
当事務所では、初回相談を無料で承っております。「自分は受給できるのか」「どんな書類が必要なのか」など、まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせ先:
📞 電話:050-7124-5884(平日9:00-17:00)
✉️ メール:mail@srkobe.com
🌐 お問い合わせフォーム:https://nenkin.srkobe.com/contact/
次のセクションでは、実際にIgA腎症で障害年金を受給された方の事例を3つご紹介します。
IgA腎症による障害年金の受給事例(3件)
ここでは、当事務所でサポートしたIgA腎症による障害年金申請の事例を3件ご紹介します。実際にどのような状況で、どのようなサポートを行い、どのような結果になったのかを具体的にお伝えします。
※個人情報保護のため、内容を一部変更しています。当事務所での一般的なケースとして紹介しています。
事例1: 40代男性・人工透析導入で障害厚生年金2級を受給
【背景】
神戸市在住の42歳男性、Aさん。製造業の営業職として18年間勤務されていました。5年前の会社の健康診断で血尿と蛋白尿を指摘され、近くのクリニックを受診。精密検査の結果、IgA腎症と診断されました。当初は食事療法と投薬治療で経過観察をしていましたが、徐々に腎機能が低下。血清クレアチニン値が6.2mg/dl、eGFRが12ml/分まで悪化し、主治医から「1〜2ヶ月以内に透析導入が必要」と告げられました。
Aさんには妻と中学生・小学生の子ども2人がおり、住宅ローンも残っていました。透析導入後は週3回の通院が必要となり、営業職の継続が困難に。会社からは内勤への配置転換を提案されましたが、給与は約2割減の見込みでした。経済的な不安が大きく、病院のソーシャルワーカーから障害年金の存在を聞き、当事務所にご相談いただきました。
【困難だった点】
Aさんは仕事と通院で非常に多忙であり、平日に年金事務所に行く時間が取れませんでした。また、透析導入を控えて体調も優れず、複雑な申請手続きを自分で行う余裕がありませんでした。初診日の証明書類や診断書の準備、病歴・就労状況等申立書の作成など、何から手をつければよいか分からない状態でした。
さらに、「まだ40代で働いているのに、障害年金なんてもらえるのだろうか」という不安もお持ちでした。透析導入前の相談だったため、「導入後に申請すべきか、それとも今から準備を始めるべきか」というタイミングについても迷われていました。
【当事務所のサポート内容】
まず、透析導入前の段階から準備を開始しました。初診日の証明については、5年前に最初に受診したクリニックで「受診状況等証明書」を取得。診断書は透析導入から3ヶ月経過後に主治医に作成を依頼し、事前に診断書の記入方法について医師に説明資料を提供しました。
病歴・就労状況等申立書は、Aさんから詳しくヒアリングを行い、当事務所で作成。発症から透析導入までの経過、仕事への影響(営業で外回りが辛くなった時期、休憩が必要になった状況など)を時系列で詳しく記載しました。必要書類をすべて揃え、年金事務所への提出も代行いたしました。
【結果】
申請から約3ヶ月後、障害厚生年金2級の認定を受けました。年額約180万円(報酬比例分+障害基礎年金2級+配偶者加算+子の加算2人分)の年金を受給できることになりました。配置転換による収入減を年金で補うことができ、住宅ローンの支払いや子どもの教育費についての不安が大きく軽減されました。
【ご本人の声】
「透析が始まって、仕事も収入も生活も、すべてが変わってしまうのではないかと不安でした。社労士の先生に相談して、手続きをすべてお任せできたことで、治療に専念できました。年金を受給できるようになり、家族にも安心してもらえました。自分では絶対にできなかったと思います。本当にありがとうございました」
事例2: 30代女性・透析前の段階で障害基礎年金2級を受給
※個人情報保護のため、内容を一部変更しています。当事務所での一般的なケースとして紹介しています。
【背景】
兵庫県在住の35歳女性、Bさん。専業主婦で、夫と5歳の子どもの3人暮らしです。Bさんは約20年前、15歳のときに中学校の尿検査で血尿と蛋白尿を指摘されました。近所の内科クリニックを受診し「経過観察」と言われましたが、その後数回通院したのみで受診を中断。18歳のときに別の病院で腎生検を受け、IgA腎症と正式に診断されました。
しかし、当時は自覚症状がなく、数年間は治療を中断していました。30歳頃から徐々にむくみや倦怠感が出現し、再び受診を開始。現在は血清クレアチニン4.8mg/dl、eGFR16ml/分で、まだ透析は導入していませんが、「あと1年以内には必要になる」と言われている状態でした。全身のむくみ、階段の上り下りでの息切れ、家事をするだけで疲れて横になる、という日常生活に大きな支障が出ていました。
【困難だった点】
最も大きな問題は、初診日の証明でした。15歳のときに最初に受診したクリニックは既に閉院しており、カルテが取得できませんでした。18歳のときに受診した病院は残っていましたが、もし18歳が初診日とされると、初診日が厚生年金期間ではなく国民年金期間(20歳前)になってしまう可能性がありました。
また、Bさんは「まだ透析を受けていないから、障害年金はもらえないのでは」と思い込んでおり、申請自体を諦めかけていました。体調も悪く、外出するのも辛い状態で、年金事務所に行く体力もありませんでした。
【当事務所のサポート内容】
初診日の証明について、まず15歳当時の中学校の健康診断記録が残っていないか確認しました。幸い、中学校に連絡したところ、健康診断の記録が保管されており、「尿検査で異常を指摘された日付」が記載されていました。また、閉院したクリニックについて、カルテの引き継ぎ先を調査。近隣の別の医療機関にカルテの一部が引き継がれており、「来院履歴」のコンピュータ記録を入手することができました。
これらの資料を基に、15歳時点を初診日として証明することに成功しました。診断書については、透析前の段階でも、検査数値(血清クレアチニン4.8mg/dl)と日常生活の制限度合い(一般状態区分表の「ウ」に該当)から、障害等級2級に該当する可能性が高いことを説明。主治医に診断書作成を依頼し、日常生活の制限を詳しく記載していただきました。訪問相談でBさんのご自宅に伺い、病歴・就労状況等申立書を作成しました。
【結果】
透析導入前の段階で、障害基礎年金2級の認定を受けました。年額831,700円に子の加算239,300円が追加され、合計で年額約107万円(月額約89,000円)を受給できることになりました。Bさんは専業主婦で収入がなかったため、年金を受給できたことで世帯の経済状況が大きく改善されました。
【ご本人の声】
「カルテがないから無理だと完全に諦めていました。先生が丁寧に調査してくださり、初診日を証明できたときは本当に驚きました。透析前でも年金がもらえることも知らなかったので、相談して本当に良かったです。体調が悪くて外出できない私のために、自宅まで来てくださったことも本当にありがたかったです。これで子どもの将来のために少しでも貯金できます」
事例3: 50代男性・一度不支給になったが再申請で障害厚生年金2級を受給
※個人情報保護のため、内容を一部変更しています。当事務所での一般的なケースとして紹介しています。
【背景】
神戸市在住の52歳男性、Cさん。会社員として働いていましたが、IgA腎症により人工透析を導入。透析開始から4ヶ月後、ご自身で障害年金の申請を行いましたが、不支給決定を受けてしまいました。不支給理由は「日常生活の制限度合いが不明確」というものでした。
Cさんは透析を受けながらも仕事を継続しており、週3回の透析日は午後半休を取得していました。「透析を受けていれば必ず2級になる」と思って申請したものの、不支給という結果にショックを受け、「もう諦めるしかない」と思っていたところ、知人の紹介で当事務所にご相談いただきました。
【困難だった点】
不支給決定を受けたことで、Cさんは大きく落ち込んでおり、「再申請しても無駄では」という諦めの気持ちが強くありました。最初の申請でご自身で作成した病歴・就労状況等申立書を拝見したところ、透析による日常生活への影響が具体的に記載されておらず、「週3回透析を受けている」という事実のみが書かれていました。
また、診断書の内容も確認したところ、一般状態区分表が「イ」(軽度の症状)に○がついており、実際の状態よりも軽く記載されていることが判明しました。
【当事務所のサポート内容】
まず、不支給理由を詳しく分析し、何が不足していたのかをCさんに説明しました。その上で、再申請に向けて以下のサポートを行いました。
診断書については、主治医に再度作成を依頼する際、透析による日常生活への具体的な影響(透析日の疲労感、透析後は帰宅してすぐ横になる、週末も疲れが取れない、食事制限による生活の制約など)を詳しく伝えていただくようお願いしました。一般状態区分表も、実態に合わせて「ウ」に修正していただきました。
病歴・就労状況等申立書は全面的に作り直し、透析導入後の日常生活の変化、仕事での制限(透析日は午後半休、透析後は疲労で残業不可、出張ができなくなった)、家庭生活への影響(家事を妻に任せるようになった、休日も疲れて外出できない)を具体的かつ詳細に記載しました。
【結果】
再申請から約3ヶ月後、障害厚生年金2級の認定を受けました。年額約160万円(報酬比例分+障害基礎年金2級)を受給できることになりました。さらに、遡及して最初の申請時点からの年金も一括で受け取ることができました。
【ご本人の声】
「一度不支給になって、もう無理だと完全に諦めていました。でも先生が『諦めずにもう一度チャレンジしましょう』と言ってくださり、何が悪かったのかを丁寧に説明してくださいました。診断書も申立書も、こんなに細かく書く必要があったのかと驚きました。専門家の力は本当に大きいと実感しました。再チャレンジして本当に良かったです」
IgA腎症と障害年金に関するよくある質問
IgA腎症で障害年金を検討される際によくいただく質問と、その回答をまとめました。ここに掲載されていない疑問点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
Q1. 人工透析を受けていなくても障害年金はもらえますか?
A: はい、可能です。
人工透析を受けていない段階でも、腎機能の検査数値(血清クレアチニン、内因性クレアチニンクリアランス、eGFRなど)や日常生活の制限度合いによって、障害等級2級または3級に認定される可能性があります。
具体的には、血清クレアチニン値が5.0mg/dl以上など中等度または高度の異常を示し、かつ日常生活に著しい制限がある場合(例:軽労働ができない、日中の50%以上を起居している、時に介助が必要など)は、透析前でも障害等級2級に該当する可能性があります。
「透析を始めるまで申請できない」というのは誤解です。腎機能が著しく低下し、日常生活に支障が出ている段階で、すでに障害年金の対象になり得ます。ご自身の状態が該当するかどうか、まずはご相談ください。
Q2. 働きながらでも障害年金は受給できますか?
A: はい、受給できます。
障害年金は「障害の状態」で認定されるため、就労の有無は直接的な要件ではありません。実際に、人工透析を受けながら仕事を続けている方で、障害年金を受給されている方は多くいらっしゃいます。
ただし、フルタイムで問題なく働けており、日常生活にも特に制限がない場合は、「障害の程度が軽い」と判断される可能性はあります。重要なのは、仕事や日常生活にどの程度の制限があるかという点です。
例えば、透析日は午後半休を取る必要がある、透析後は疲労で残業ができない、出張や外回りが困難になった、配置転換を余儀なくされた、といった就労上の制限がある場合は、それらを診断書や病歴・就労状況等申立書に具体的に記載することで、認定につながります。
Q3. 初診日が古く、カルテが残っていません。どうすればいいですか?
A: カルテがない場合でも、初診日を証明できる可能性があります。
初診日の証明には、以下のような方法があります:
- 健康診断記録(学校、職場、自治体の健診など)
- 紹介状や診療情報提供書
- お薬手帳、診察券、領収書
- 閉院した医療機関のカルテ引継ぎ先の調査
- 第三者証明(家族、友人、同僚などによる証明)
初診日の証明は障害年金申請の中で最も困難なポイントの一つですが、様々な資料を組み合わせることで証明できる場合があります。諦めずに、まずは専門家にご相談ください。
Q4. 障害年金の申請はいつするのがベストですか?
A: できるだけ早めに申請することをお勧めします。
人工透析を開始した場合は、透析開始から3ヶ月経過後が障害認定日となります。障害認定日から1年以内に申請すれば、認定日にさかのぼって年金を受給できます(遡及請求)。申請が遅れると、さかのぼって受給できる期間が短くなってしまいます。
透析前の段階でも、腎機能が著しく低下し日常生活に制限がある場合は、早めに専門家に相談されることをお勧めします。「症状が悪化してから」と待っているうちに、受給できたはずの期間の年金を受け取れなくなってしまう可能性があります。
Q5. 社労士に依頼すると費用はどのくらいかかりますか?
A: 当事務所では成功報酬制を採用しています。
一般的に、着手金と成功報酬の形式が多いです。成功報酬は、年金が認定されて初回入金があった後にお支払いいただく形になります。つまり、不支給の場合は成功報酬が発生しないため、安心してご依頼いただけます。
当事務所では初回相談は無料で承っております。費用の詳細については、お問い合わせの際に丁寧にご説明いたします。
Q6. 障害年金を受給すると、他の社会保障制度は利用できなくなりますか?
A: いいえ、併用できる制度は多数あります。
障害年金と併用できる主な制度:
- 難病医療費助成制度(IgA腎症は指定難病66)
- 身体障害者手帳(1級:じん臓機能障害、透析療法を実施している場合など)
- 特別障害者手当(重度の障害がある場合)
- 障害者雇用制度
- 医療費控除
むしろ、複数の制度を併用することで、より充実した支援を受けられます。それぞれの制度について、詳しくは担当窓口にお問い合わせください。
Q7. 障害年金を受給すると、家族に迷惑がかかりますか?
A: いいえ、家族に不利益が及ぶことはありません。
障害年金は、あなた自身が加入してきた年金制度から支給されるものです。家族の年金や社会保険に影響を与えることはありません。
むしろ、障害年金を受給することで、世帯の経済状況が安定し、家族の負担が軽減されます。配偶者や子どもがいる場合は、加算額も支給されるため、家族全体にとってプラスになります。
Q8. 一度不支給になったら、もう申請できませんか?
A: いいえ、再申請や審査請求が可能です。
不支給決定を受けた場合でも、以下の方法で再チャレンジできます:
- 審査請求:不支給決定の通知を受けてから3ヶ月以内に、社会保険審査官に対して審査請求ができます
- 再申請:症状が悪化した場合や、書類を適切に整え直した場合は、再度申請することができます
一度不支給になったからといって、それが最終決定ではありません。不支給理由を詳しく分析し、適切に対処することで、認定される可能性があります。当事務所では、不支給後の審査請求や再申請のサポートも行っています。
IgA腎症による障害年金申請の注意点
障害年金の申請にあたって、失敗しやすいポイントや、注意すべき点をまとめました。これらを事前に理解しておくことで、スムーズな申請と認定につながります。
申請時によくある失敗例
①診断書の記載が不十分
診断書は障害年金認定の最重要書類ですが、以下のような問題がよく見られます:
- 一般状態区分表が実態よりも軽く評価されている
- 日常生活の制限度合いが具体的に記載されていない
- 検査数値が不正確、または一時的な数値が記載されている
- 透析による生活への影響が記載されていない
対策:診断書作成前に、医師に日常生活の実態を詳しく伝えましょう。通院時は元気にしていても、自宅では疲労で横になっている時間が長い、といった実態を正確に伝えることが重要です。
②病歴・就労状況等申立書の記載不足
病歴・就労状況等申立書は、診断書には書かれていない「生活の実態」を伝える重要な書類です。しかし、以下のような不十分な記載になってしまうことがあります:
- 発症から現在までの経過が時系列で整理されていない
- 日常生活や仕事への具体的な影響が書かれていない
- 「疲れる」「辛い」といった抽象的な表現のみで、具体例がない
- 記載が簡潔すぎて、審査側に実態が伝わらない
対策:発症から現在までの経過を時系列で詳しく記載し、日常生活や仕事への影響を具体的な場面を挙げて説明しましょう。「階段を上ると息切れがする」「家事は30分が限界」など、具体的な記述が効果的です。
③初診日の証明ができない
初診日の証明ができないと、申請自体ができなくなってしまいます。特に以下のようなケースで困難が生じます:
- 初診から長期間経過してカルテが破棄されている
- 初診の医療機関が閉院している
- 健康診断で指摘されてから受診までに時間が空いている
- 受診した医療機関を正確に覚えていない
対策:健康診断記録、お薬手帳、診察券、領収書など、初診日を推定できる資料をできるだけ集めましょう。閉院した医療機関については、カルテの引継ぎ先を調査することで証明できる場合があります。
④保険料納付要件を確認していない
保険料納付要件を満たしていないと、どんなに症状が重くても障害年金を受給できません。
対策:申請前に、年金事務所で「被保険者記録照会」を行い、保険料納付要件を満たしているか必ず確認しましょう。過去に未納期間がある場合でも、学生納付特例や免除を受けていれば納付要件を満たしている場合があります。
申請を成功させるためのポイント
①診断書の内容を提出前に必ず確認する
診断書を医師に作成してもらったら、提出前に必ず内容を確認しましょう。以下の点をチェックします:
- 検査数値が正確に記載されているか
- 一般状態区分表が実態に合っているか
- 日常生活の制限度合いが具体的に記載されているか
- 透析を受けている場合、透析開始日と透析方法が記載されているか
もし不足があれば、医師に追記をお願いしましょう。
②日常生活の制限を主治医に正確に伝える
医師は通院時のあなたの様子しか見ていません。自宅での生活の実態を正確に伝えることが重要です。
- 疲労感の程度(横になっている時間はどのくらいか)
- 家事や外出の制限(どの程度のことができて、何ができないか)
- 透析日とそれ以外の日の違い
- 睡眠障害や食事制限の影響
これらを事前にメモしておき、診察時や診断書作成依頼時に医師に伝えましょう。
③病歴・就労状況等申立書は時系列で詳しく書く
病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までの経過を時系列で詳しく記載します。以下の内容を含めましょう:
- いつ、どのような症状で発症したか
- どこの医療機関を受診したか(時系列で)
- 治療内容(投薬、入院、透析導入など)
- 日常生活への影響が出始めた時期と内容
- 仕事への影響(欠勤、配置転換、退職など)
④不明な点は専門家(社労士)に相談する
障害年金の申請は複雑で、専門的な知識が必要です。不明な点がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。
特に、以下のような場合は専門家のサポートを受けることで、認定の可能性が大きく高まります:
- 初診日の証明が困難な場合
- 診断書の内容に不安がある場合
- 病歴・就労状況等申立書の書き方が分からない場合
- 過去に不支給になった経験がある場合
⑤諦めずに再申請・審査請求も視野に入れる
一度不支給になったとしても、それが最終決定ではありません。不支給理由を分析し、書類を適切に整え直すことで、再申請や審査請求によって認定される可能性があります。
「諦めない障害年金」――それが当事務所のモットーです。諦めずに、最後までチャレンジすることが大切です。
まとめ:IgA腎症でも諦めずに障害年金の申請を
この記事では、IgA腎症による腎機能低下で障害年金を受給するための条件、認定基準、申請手順について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
IgA腎症で障害年金を受給するための重要ポイント
- 透析前でも受給できる可能性がある:「透析を始めるまで申請できない」というのは誤解です。腎機能の検査数値と日常生活の制限度合いによって、透析導入前の段階でも障害等級2級または3級に認定される可能性があります。
- 人工透析を受けている方は原則2級:人工透析療法を施行している方は、透析開始から3ヶ月経過した時点で、原則として障害等級2級に認定されます。
- 3つの受給要件を満たす必要がある:①初診日の要件、②保険料納付要件、③障害状態の要件をすべて満たしていることが必要です。
- 診断書と申立書の内容が認定を左右する:診断書の記載内容、特に一般状態区分表と日常生活の制限度合いが適切に記載されているかが重要です。また、病歴・就労状況等申立書で生活の実態を具体的に伝えることも不可欠です。
- 初診日の証明が困難なケースでも方法はある:カルテがない、閉院しているなどの困難なケースでも、様々な資料を組み合わせることで初診日を証明できる可能性があります。
- 専門家のサポートで認定率が向上する:社会保険労務士に依頼することで、書類の適切な準備、医師との連携、初診日証明の調査など、認定につながる適切なサポートを受けられます。
- 一度不支給になっても諦めない:再申請や審査請求によって認定される可能性があります。「諦めない障害年金」の精神で、最後までチャレンジすることが大切です。
障害年金は、あなたの権利です
障害年金は、あなたがこれまで納めてきた保険料に基づいて支給される、当然の権利です。IgA腎症による腎機能低下で日常生活に支障が出ている方、人工透析を受けている方は、ぜひ申請を検討してください。
経済的な不安が軽減されることで、治療に専念でき、精神的にも安定します。家族にも安心してもらえます。障害年金を受給することは、あなたと家族の未来を守ることにつながります。
「自分は対象になるのだろうか」「手続きが複雑で不安」「一人では申請できない」――そんな不安があれば、まずは専門家にご相談ください。
まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう
IgA腎症による障害年金申請は、専門的な知識と経験が必要です。当事務所では、初回相談を無料で承っております。あなたの状況に応じて、最適な申請方法をご提案いたします。
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