関節リウマチで障害年金を受給する方法|認定基準と申請のポイント

関節リウマチで障害年金を受給する方法|認定基準と申請のポイント

朝起きると、手指が強ばって思うように動かない。ボタンをかけるのに時間がかかり、包丁を握るのもつらい。階段の昇り降りに手すりが欠かせず、仕事を続けることも難しくなってきた――。

関節リウマチによる痛みや関節の変形は、日常生活のあらゆる場面に影響を及ぼします。思うように体が動かないもどかしさ、仕事を休職・退職せざるを得ない不安、そして治療費の負担。経済的な心配を抱えながら、「でも、私の症状はまだ軽い方かもしれない」「障害年金なんて、もっと重度の人のものでは」と、申請を諦めていませんか?

実は、関節リウマチで障害年金を受給している方は少なくありません。「まだ何とか働けているから」「家事は時間をかければできるから」と遠慮する必要はないのです。日常生活に支障が出ている、仕事に制限がある――そんな状態であれば、障害年金の対象になる可能性があります。

この記事では、関節リウマチで障害年金を受給するための要件、認定基準、申請の流れを、社会保険労務士の視点から詳しく解説します。具体的には、以下の内容をお伝えします。

  • 関節リウマチで受給できる障害年金の種類と金額
  • 受給するための3つの要件
  • 1級・2級・3級の具体的な認定基準
  • 実際に受給できた方の事例紹介
  • 申請の流れと必要書類
  • 医師への診断書依頼のポイント
  • 不支給を避けるための注意点

障害年金を受給できれば、経済的な不安を軽減し、治療に専念することができます。年間78万円から100万円以上を受給している方も多くいらっしゃいます。申請について不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。一人で悩まず、まずは専門家に相談することが、解決への第一歩です。

目次

関節リウマチとは?基礎知識と障害年金の対象となる症状

まず、関節リウマチがどのような病気なのか、そして障害年金の対象となる症状について確認しておきましょう。

関節リウマチの基本的な症状

関節リウマチ(RA:Rheumatoid Arthritis)は、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れが生じる病気です。本来、体を守るはずの免疫システムが、誤って自分自身の関節を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一種です。

初期には、手足の指などの小さな関節に症状が現れることが多く、特徴的なのが「朝のこわばり」です。起床時に手足の指が動かしにくくなり、この症状が30分から1時間以上続くことがあります。体を動かし始めると徐々に改善していきますが、毎朝この状態が繰り返されると、日常生活に大きな支障をきたします。

症状が進行すると、以下のような状態になります。

  • 関節の痛みと腫れ:手指、手首、肘、肩、膝、足首など、全身の関節に広がる
  • 関節の変形:炎症が続くと関節が破壊され、変形が進む
  • 関節可動域の制限:関節が十分に曲がらない、伸ばせない
  • 筋力の低下:痛みのために動かさないでいると、筋肉が衰える
  • 全身症状:倦怠感、微熱、体重減少などが現れることもある

現在は、薬物療法の進歩により、発症早期からの積極的な治療で病気の進行を抑えることが可能になっています。メトトレキサートなどの抗リウマチ薬や、生物学的製剤による治療で、関節破壊を防ぎながら日常生活を送れる方も増えています。

しかし、すでに変形してしまった関節は元には戻りません。また、治療を受けていても痛みが続いたり、関節の動きが制限されたりして、日常生活や仕事に支障が出ている方も少なくないのです。

障害年金の対象となる症状の程度

「障害年金は、車椅子生活の人や寝たきりの人がもらうもの」と思っていませんか?実は、そうではありません。関節リウマチの場合、日常生活に支障がある、仕事に制限があるという状態であれば、障害年金の対象になる可能性があります。

重要なのは、「病名」ではなく「日常生活への影響度」です。関節リウマチという診断があっても、日常生活にほとんど支障がなければ対象になりませんし、逆に「まだ何とか働けている」という状態でも、日常生活動作に明らかな制限があれば対象になり得ます。

【こんな症状があれば障害年金の対象になる可能性があります】

以下のチェックリストで、ご自身の状態を確認してみてください。いくつか当てはまる項目があれば、障害年金を受給できる可能性があります。

  • ☑ 朝のこわばりが1時間以上続き、起床後すぐに家事ができない
  • ☑ ボタンをかけたり、ファスナーを上げたりするのが困難
  • ☑ 包丁を持つのがつらく、料理に時間がかかる
  • ☑ タオルを絞れない、または絞るのに時間がかかる
  • ☑ ペットボトルのフタが開けられない
  • ☑ 箸やペンを長時間持つことができない
  • ☑ 階段の昇り降りに手すりが必要
  • ☑ 長時間立っていることができない
  • ☑ 屋外を歩く際に杖や支えが必要
  • ☑ しゃがんだり立ち上がったりするのがつらい
  • ☑ 痛みのために仕事のペースが落ちている、または仕事を休むことが増えた
  • ☑ 雨の日や寒い日は症状が悪化し、ほとんど動けない

上記のような症状がある方は、障害年金の対象になる可能性があります。「まだ軽い方かもしれない」と諦める必要はありません。実際に、パートタイムで働きながら障害年金を受給している方や、家事は何とかできているという状態でも受給できた方がいらっしゃいます。

障害年金の審査では、「良い日」の状態ではなく、「悪い日を含めた平均的な状態」「継続的な状態」が評価されます。調子の良い日だけを基準にせず、つらい日も含めた実態を正確に伝えることが大切です。

【ポイント】

  • 「まだ働けるから無理」は誤解です
  • 日常生活動作に制限があれば対象になる可能性があります
  • 痛みの変動(良い日と悪い日)がある方も対象です
  • 補助具(杖など)を使っている方も対象です

次のセクションでは、関節リウマチで受給できる障害年金の種類と、具体的な金額について詳しく見ていきましょう。

障害年金の基本|関節リウマチで受給できる金額と種類

「障害年金を受給できたら、いくらもらえるのだろう?」これは、多くの方が気になるポイントです。ここでは、関節リウマチで受給できる障害年金の種類と、具体的な金額について詳しく解説します。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害年金には、大きく分けて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。どちらを受給できるかは、初診日にどの年金制度に加入していたかによって決まります。

障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた方が受給できる年金です。具体的には、以下のような方が対象になります。

  • 自営業者・フリーランスの方
  • 無職の方
  • 学生の方
  • 専業主婦・主夫の方(第3号被保険者)
  • 20歳前に発症した方(年金未加入期間)

障害基礎年金では、障害の程度が1級または2級に該当する場合に支給されます。3級に該当する場合は、障害基礎年金は支給されませんので注意が必要です。

障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入していた方が受給できる年金です。会社員や公務員など、勤務先で厚生年金に加入している方が対象です。

障害厚生年金の大きな特徴は、障害の程度が1級・2級・3級のいずれでも支給される点です。また、1級・2級の場合は、障害基礎年金に加えて障害厚生年金も支給されるため、「2階建て」で受給額が多くなります。

さらに、3級よりも軽度の障害でも、一時金として「障害手当金」が支給される制度もあります(ただし、関節リウマチの場合、障害手当金の対象になるケースは限られます)。

種類 対象者 支給される等級
障害基礎年金 初診日に国民年金加入
(自営業、フリーランス、無職、学生、専業主婦・主夫など)
1級・2級のみ
障害厚生年金 初診日に厚生年金加入
(会社員、公務員など)
1級・2級・3級

※20歳前に発症した場合は、年金制度に加入していなくても障害基礎年金の対象になります。ただし、本人の所得制限があります。

つまり、初診日に会社員として働いていた方は、比較的軽度の障害でも障害厚生年金3級として受給できる可能性があるのです。一方、初診日に自営業だった方やフリーランスだった方は、2級以上の障害状態でなければ受給できません。

このように、初診日がいつで、その時にどの年金制度に加入していたかが非常に重要になります。初診日の特定については、後ほど詳しく解説します。

等級別の受給額(2025年度)

それでは、実際にいくら受給できるのか、具体的な金額を見ていきましょう。障害年金の金額は、障害の等級と、受給する年金の種類によって異なります。

【重要】障害等級と受給額の目安

障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金 備考
1級 年間 1,039,625円
+子の加算
障害基礎年金
+
報酬比例額×1.25
+配偶者加給年金
日常生活の用を弁ずることが
ほぼできない程度
2級 年間 831,700円
+子の加算
障害基礎年金
+
報酬比例額×1.0
+配偶者加給年金
日常生活が著しい制限を
受ける程度
3級 支給なし 最低保障額
623,800円/年
(報酬比例額がこれより
少ない場合)
労働が著しい制限を
受ける程度
(厚生年金のみ)

※令和7年度(2025年度)の金額です。毎年度、物価や賃金の変動に応じて改定されます。最新情報は日本年金機構でご確認ください。

子の加算について

障害基礎年金(1級・2級)を受給する場合、18歳到達年度の末日(高校卒業時期)までの子がいる場合、または20歳未満で障害等級1級・2級の障害状態にある子がいる場合、以下の金額が加算されます。

  • 第1子・第2子:1人につき年間239,300円
  • 第3子以降:1人につき年間79,800円

例えば、障害基礎年金2級を受給していて、高校生以下の子どもが2人いる場合、831,700円 + 239,300円 × 2人 = 年間約131万円を受給できることになります。

配偶者加給年金について

障害厚生年金の1級または2級に認定され、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金として年間239,300円が加算されます。

ただし、配偶者の年収が850万円以上の場合や、配偶者自身が20年以上の加入期間がある老齢厚生年金や障害年金を受給している場合は、加算されません。

報酬比例額について

障害厚生年金の金額は、厚生年金加入中の給与額(正確には標準報酬月額)と加入期間によって決まります。そのため、人によって金額が大きく異なります。

一般的な目安として、会社員として10年程度勤務していた場合、報酬比例額は年間30万円〜60万円程度になることが多いです。つまり、障害厚生年金2級の場合、障害基礎年金83万円 + 報酬比例額30〜60万円 = 年間113万円〜143万円程度を受給できる計算になります。

年金生活者支援給付金について

障害年金(1級・2級)を受給している方で、前年の所得が一定額以下の場合、年金生活者支援給付金も支給されます。

  • 1級:月額6,638円(年間約8万円)
  • 2級:月額5,310円(年間約6.4万円)

※2025年度の金額。所得制限があります。

【受給額の具体例】

  • 例1:障害基礎年金2級、子ども2人(中学生・小学生)の場合
    → 831,700円 + 239,300円 × 2人 + 年金生活者支援給付金 = 年間約137万円
  • 例2:障害厚生年金2級(報酬比例額50万円)、配偶者あり、子どもなしの場合
    → 831,700円 + 500,000円 + 239,300円 = 年間約157万円
  • 例3:障害厚生年金3級(報酬比例額40万円)の場合
    → 最低保障額623,800円が適用され、年間約62万円

このように、障害年金を受給できれば、年間78万円から150万円以上の経済的支援を継続的に受けることができます。これは、治療費の負担軽減や、生活の安定に大きく貢献します。

障害年金は、原則として2か月に1回、偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、前月分と当月分がまとめて振り込まれます。例えば、6月15日には4月分と5月分が振り込まれるという形です。

次のセクションでは、関節リウマチで障害年金を受給するために満たす必要がある「3つの要件」について詳しく見ていきましょう。

関節リウマチで障害年金を受給するための3つの要件

障害年金を受給するためには、障害の種類に関わらず、必ず満たさなければならない3つの要件があります。それが「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」です。これらの要件をすべて満たして初めて、障害年金を受給できます。

ここでは、関節リウマチの方が特に注意すべきポイントを中心に、3つの要件を詳しく解説します。

要件①初診日要件

初診日とは、障害の原因となった病気で、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。障害年金の申請において、初診日の特定は最も重要な要素と言っても過言ではありません。

なぜなら、初診日によって以下のことが決まるからです。

  • 受給できる年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)
  • 保険料納付要件を満たしているかどうか
  • 障害認定日がいつになるか

【重要】接骨院・整骨院は初診日として認められません

関節リウマチの場合、初期症状として関節の痛みが現れたとき、「まずは接骨院や整骨院で診てもらおう」と考える方がいらっしゃいます。しかし、接骨院・整骨院・鍼灸院などで施術を受けた日は、原則として初診日として認められません

障害年金における初診日は、「医師または歯科医師」の診療を受けた日に限られます。柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師などの施術は、医師の診療には該当しないため、初診日とはならないのです。

例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。

【ケース例】
2020年4月:手指の痛みが出始め、近所の接骨院に通い始める
2020年10月:痛みが改善しないため、整形外科を受診し、関節リウマチと診断される

この場合、初診日は「2020年10月の整形外科を受診した日」となります。接骨院に通い始めた2020年4月ではありません。

ただし、接骨院での施術記録が残っていれば、「その時期から症状があった」という参考資料にはなります。また、整形外科の診療録(カルテ)に「数か月前から接骨院に通っていた」という記載があれば、症状の経過を証明する材料になることもあります。

転院している場合の初診日

関節リウマチの場合、最初は一般の整形外科を受診し、その後リウマチ専門医のいる病院に転院するケースがよくあります。この場合、初診日は最初に受診した整形外科の日になります。

転院歴がある場合は、初診日を証明するために「受診状況等証明書」という書類を、最初に受診した病院で取得する必要があります。

初診日の証明が困難な場合の対処法

初診日から長い年月が経過していると、以下のような問題が生じることがあります。

  • 初診の病院がすでに閉院している
  • カルテの保存期間(通常5年)が過ぎて破棄されている
  • 病院名や受診時期を正確に思い出せない

このような場合でも、諦める必要はありません。以下のような方法で初診日を証明できる可能性があります。

【初診日を証明する方法】

  1. 次に受診した病院のカルテ
    次の病院の診療録に「○○病院からの紹介」「以前から△△で治療中」などの記載があれば、それが証拠になります
  2. 診察券・領収書・お薬手帳
    古い診察券や領収書、お薬手帳に初診時期の記録が残っていることがあります
  3. 第三者証明
    初診日頃の受診状況を知る第三者(家族、友人、職場の同僚など)に証明してもらう方法です
  4. 身体障害者手帳の記録
    身体障害者手帳を取得している場合、その申請時の診断書に初診日の記載があることがあります
  5. 健康診断の記録
    会社の健康診断で異常を指摘された記録があれば、参考資料になります

初診日の証明は複雑で、個別の状況によって対応が異なります。証明が難しいと感じたら、早めに専門家(社会保険労務士)に相談することをお勧めします。

また、初診日に加入していた年金制度も重要です。初診日の時点で、原則として以下のいずれかの公的年金に加入している必要があります。

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 共済組合

ただし、20歳未満の方と、60歳以上65歳未満で日本国内に在住している方は、年金制度に加入していなくても障害年金の対象になる場合があります。

要件②保険料納付要件

障害年金を受給するためには、初診日の前日時点で、一定期間以上の保険料を納付している必要があります。これを「保険料納付要件」といいます。

保険料納付要件には、以下の2つの基準があり、どちらか一方を満たせば要件クリアとなります。

【保険料納付要件】以下のいずれかを満たすこと

  • 原則要件:初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間について保険料を納付または免除されていること
  • 特例要件:初診日が令和8年4月1日前にあり、初診日において65歳未満の場合、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

多くの方は、特例要件の方が満たしやすいでしょう。「初診日の前日時点で、直近1年間に未納がなければOK」ということです。

注意点①:「初診日の前日」時点で判定される

保険料納付要件は、初診日当日ではなく「初診日の前日」時点で判定されます。そのため、初診日以降に過去の未納分を納付しても、要件を満たしたことにはなりません。

これは、病気になってから慌てて保険料を納付することを防ぐための制度です。普段から、年金保険料はきちんと納付しておくことが大切です。

注意点②:免除期間も「納付済み」として扱われる

経済的な理由などで保険料の納付が困難な場合、免除制度を利用していれば、その期間は「納付済み」として扱われます。学生納付特例や納付猶予制度も同様です。

「未納」と「免除」は全く異なります。未納は要件を満たしませんが、免除は要件を満たします。収入が少ない時期は、未納のままにせず、必ず免除申請をしておきましょう。

20歳前に発症した場合

20歳前に初診日がある場合は、そもそも年金制度に加入義務がないため、保険料納付要件は問われません。ただし、20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限があります。

要件③障害状態要件

3つ目の要件は、「障害の状態が、法令で定める障害等級に該当していること」です。これを障害状態要件といいます。

障害の状態は、原則として「障害認定日」における状態で判定されます。

障害認定日とは

障害認定日とは、初診日から1年6か月を経過した日、または1年6か月以内に症状が固定した日のことです。

関節リウマチの場合、多くは「初診日から1年6か月を経過した日」が障害認定日になります。

【障害認定日までの流れ】

初診日 関節リウマチで初めて医師の診療を受けた日

1年6か月経過
治療を継続しながら経過観察
障害認定日 初診日から1年6か月後
→ この時点の障害状態で等級を判定
申請 障害認定日以降いつでも申請可能

障害認定日請求と事後重症請求の違い

障害年金の請求方法には、主に2種類あります。

①障害認定日請求
障害認定日の時点で既に障害等級に該当している場合に行う請求です。障害認定日の翌月分から年金が支給されます。

障害認定日から1年以上経過してから請求する場合、最大5年分を遡って受給できる可能性があります(遡及請求)。例えば、障害認定日から3年後に請求した場合、3年分(時効消滅していない5年以内の分)を一括で受け取ることができます。

②事後重症請求
障害認定日の時点では障害等級に該当していなかったが、その後症状が悪化して等級に該当するようになった場合に行う請求です。請求した月の翌月分から年金が支給されます(遡及はありません)。

関節リウマチは進行性の病気です。初診時や障害認定日の時点では症状が軽くても、その後徐々に悪化していくことがあります。そのような場合は、事後重症請求で申請することになります。

【ポイント】

  • 初診日の特定が最も重要(接骨院は初診日にならない)
  • 初診日の証明が困難な場合も対処法がある
  • 保険料納付要件は「初診日の前日」時点で判定
  • 障害認定日は初診日から1年6か月後
  • 遡及請求で最大5年分を受け取れる可能性がある

3つの要件をすべて満たしていることを確認したら、次は「自分の症状が何級に該当するのか」を知ることが重要です。次のセクションでは、関節リウマチの具体的な認定基準について詳しく見ていきましょう。

関節リウマチの認定基準|どの程度で何級に認定されるか

「自分の症状は、何級に該当するのだろう?」これは、障害年金を検討するすべての方が気になるポイントです。ここでは、関節リウマチの具体的な認定基準について、日本年金機構が定める障害認定基準をもとに詳しく解説します。

肢体の機能の障害として認定される

関節リウマチは、身体の障害の中でも「肢体の障害」として認定されます。肢体の障害は、さらに以下の4つに区分されています。

  • 上肢の障害:肩関節から手指までの障害
  • 下肢の障害:股関節から足指までの障害
  • 体幹・脊柱の機能の障害:腰や背骨の障害
  • 肢体の機能の障害:上肢と下肢の両方にわたる障害

関節リウマチの症状は、手指だけ、膝だけという場合もありますが、多くの場合、上肢と下肢の両方に症状が現れます。全身の関節に炎症が起こる病気だからです。

そのため、関節リウマチの認定では、上下肢の広範囲にわたる場合は「肢体の機能の障害」の認定基準を適用して審査されることが一般的です。

ただし、症状が上肢のみ、または下肢のみに限られている場合は、それぞれ「上肢の障害」「下肢の障害」の認定基準で審査されることもあります。また、上肢と下肢の両方に症状があっても、どちらか一方の症状が明らかに重い場合は、重い方の認定基準で審査されることもあります。

認定の考え方は、個別の関節の状態だけでなく、日常生活全体への影響を総合的に評価するという点が重要です。後ほど詳しく説明しますが、関節の可動域や筋力だけでなく、「実際の日常生活でどれだけ不自由しているか」が審査のポイントになります。

1級・2級・3級の具体的な認定基準

それでは、関節リウマチで「肢体の機能の障害」として認定される場合の、1級・2級・3級の具体的な基準を見ていきましょう。

【重要】障害等級の認定基準

障害等級 障害の程度 具体的な状態
1級 日常生活の用を弁ずることを
不能ならしめる程度
・一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
・四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
2級 日常生活が著しい制限を受けるか、
著しい制限を加えることを必要とする程度
・一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
・四肢に機能障害を残すもの
3級 労働が著しい制限を受けるか、
労働に著しい制限を加えることを必要とする程度
・一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの
(障害厚生年金のみ)

※引用元:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

上記の表現は抽象的で分かりにくいので、もう少し具体的に説明します。

「用を全く廃したもの」とは

日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」、またはこれに近い状態を指します。

例えば、上肢の場合は、食事、洗顔、衣服の着脱、用便の処置など、すべての動作がほとんどできない状態です。下肢の場合は、歩行、立ち上がり、階段の昇降などが全くできない、または車椅子や常時介助が必要な状態です。

「機能に相当程度の障害を残すもの」とは

日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」、または日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」を指します。

例えば、食事はできるが時間がかかる、衣服の着脱は家族の手助けが必要、階段の昇降は手すりにつかまっても非常に困難、といった状態です。

「機能障害を残すもの」とは

日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」、またはほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」を指します。

例えば、ボタンをかけるのに時間がかかる、包丁を持つのがつらい、長時間歩くのは困難だが短距離なら何とか歩ける、といった状態です。

重要なのは、障害の程度は「良い日」だけでなく「悪い日」も含めた平均的な状態で判断されるということです。関節リウマチの症状は日によって変動があることが多いため、調子の良い日だけを基準にせず、つらい日の状態もしっかり伝えることが大切です。

日常生活動作の評価が重要

関節リウマチの認定では、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮して、日常生活における動作の状態から総合的に判定されます。

特に重要なのが、「日常生活における動作の障害の程度」です。障害年金の診断書(肢体の障害用)には、以下のような日常生活動作の評価欄があり、医師が4段階で評価します。

【日常生活における動作の評価項目】

身体機能 評価項目 4段階評価の目安
手指の機能 つまむ
(新聞紙が引き抜けない程度)
◯:できる(問題なし)
◯△:できるがやや不自由
△×:できるが非常に不自由
×:できない(全くできない)
握る
(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
タオルを絞る
(水がきれる程度)
ひもを結ぶ
上肢の機能 さじで食事をする
顔を洗う
(顔に手のひらをつける)
用便の処置をする
(ズボンの前のところに手をやる)
用便の処置をする
(尻のところに手をやる)
上衣の着脱
(かぶりシャツを着て脱ぐ)
上衣の着脱
(ワイシャツを着てボタンをとめる)
下肢の機能 片足で立つ
歩く(屋内)
歩く(屋外)
立ち上がる
階段を上る
階段を下りる

※引用元:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(肢体の機能の障害)

この評価が、障害等級の判定に大きく影響します。例えば、ほとんどの項目が「×(できない)」または「△×(できるが非常に不自由)」であれば、2級以上に該当する可能性が高くなります。

評価の際の重要なポイント

診断書の評価は、補助具(杖、装具など)を使用しない状態で評価されるのが原則です。ただし、義手や義足など、常時使用していて外すことができないものについては、装着した状態で評価されます。

また、評価は以下の点も考慮されます。

  • 時間がかかるかどうか:できても非常に時間がかかる場合は「やや不自由」または「非常に不自由」
  • 毎回できるかどうか:たまたまできたのか、毎回安定してできるのか
  • 工夫をしているか:自分で何か特別な工夫をして何とかできている場合
  • 痛みの程度:できても強い痛みを伴う場合

例えば、「ボタンをかけることはできる」という場合でも、以下のような状況があれば、「できるがやや不自由」または「できるが非常に不自由」と評価されるべきです。

  • ボタンをかけるのに通常の3倍以上の時間がかかる
  • 痛みを我慢しながら何とかかけている
  • 調子の悪い日はできない
  • 大きなボタンは何とかできるが、小さなボタンはできない

診断書を医師に作成してもらう際は、このような実態を正確に伝えることが非常に重要です。「できます」「できません」だけでなく、「時間がかかる」「痛みがある」「日によって違う」といった具体的な状況を伝えましょう。

関節可動域制限の評価

日常生活動作の評価に加えて、関節の可動域制限も重要な判定材料になります。診断書には、主要な関節(肩、肘、手関節、股関節、膝、足関節など)について、何度曲がるか(屈曲)、何度伸びるか(伸展)などが記載されます。

ただし、関節リウマチの場合、可動域の数値だけでなく、それが日常生活にどう影響しているかが重視されます。可動域がある程度保たれていても、痛みが強くて実際には動かせない、という場合もあるからです。

【認定のポイントまとめ】

  • 関節リウマチは「肢体の機能の障害」として認定されることが多い
  • 日常生活動作の評価(手指・上肢・下肢)が最も重要
  • 「良い日」だけでなく「悪い日」を含めた平均的な状態で判断
  • 補助具なしでの状態が原則
  • 「できるが時間がかかる」「痛みがある」なども評価に影響
  • 医師への正確な状態の伝達が認定の鍵

次のセクションでは、実際に関節リウマチで障害年金を受給できた3つのケースをご紹介します。具体的な事例を通じて、「自分も受給できるかもしれない」というイメージを持っていただければと思います。

【実例紹介】関節リウマチで障害年金を受給できた3つのケース

ここでは、実際に関節リウマチで障害年金を受給できた方の事例をご紹介します。「自分と似た状況の人が受給できている」と知ることで、希望を持っていただければ幸いです。

※個人情報保護のため、内容の一部を変更しています。

ケース①40代女性・障害基礎年金2級(年間約136万円)

【Aさんの状況】

Aさん(45歳・女性)は、夫と中学生・小学生の2人の子どもと暮らしていました。週4日、事務のパートで働きながら、家事と子育てを両立する日々を送っていました。

3年前、朝起きると両手の指が強ばって動かしにくいことに気づきました。最初は「疲れているだけ」と思っていましたが、症状は徐々に悪化。手首や膝も痛むようになり、近所の整形外科を受診したところ、関節リウマチと診断されました。

【症状と日常生活への影響】

投薬治療を始めましたが、症状はなかなか改善しませんでした。朝のこわばりは1時間以上続き、起きてすぐに朝食の準備ができません。包丁を握ると手首に激痛が走り、野菜を切るのに家族の手を借りるようになりました。

ボタンのついたシャツは着られず、被るタイプの服しか選べません。子どもの学校の提出書類に記入するのも一苦労で、長く書いていると手が震えてしまいます。階段の昇り降りは手すりが必須で、買い物に行っても重い荷物は持てません。

パートの仕事も、パソコン入力のスピードが落ち、ミスが増えました。欠勤も増え、職場に迷惑をかけていると感じて、ついに休職することに。傷病手当金は受給していましたが、期限が迫っていました。

【経済的な不安と心理的な葛藤】

夫の収入だけでは、住宅ローンと子どもの教育費、そして月3万円近くかかる治療費を賄うのが精一杯でした。「このまま働けなくなったらどうしよう」「子どもたちの将来に影響が出るのでは」と、夜も眠れないほど悩みました。

病院の待合室で障害年金のパンフレットを見つけ、インターネットで調べてみました。しかし、「私の症状はまだ軽い方では?」「働きたい気持ちがあるのに申請してもいいの?」と迷い、なかなか行動に移せませんでした。

【専門家への相談と申請】

悩んだ末、思い切って当事務所に相談されました。「日常生活にこれだけ支障が出ているなら、十分に対象になります。諦めないでください」という言葉に勇気づけられ、申請を決意しました。

社労士のアドバイスを受けながら、主治医に日常生活の困難を具体的に伝えました。「包丁が持てない」「ボタンがかけられない」「階段がつらい」という実態を、メモにまとめて診察時に見せました。主治医も状況を理解してくれ、診断書には実態が詳しく記載されました。

【結果とその後】

申請から約3ヶ月後、障害基礎年金2級の認定通知が届きました。年金額は、基本額83万円に子どもの加算(2人分で約48万円)が加わり、年間約136万円。さらに年金生活者支援給付金も支給されることになりました。

「まさか本当に受給できるなんて」と、Aさんは涙を流して喜びました。経済的な不安が軽減されたことで、治療に専念できるようになりました。医師が勧めていた生物学的製剤の治療も開始し、痛みが少し和らいできたそうです。

「諦めずに相談して本当に良かった。同じように悩んでいる方がいたら、ぜひ専門家に相談してほしいです」とAさんは語っています。

ケース②50代男性・障害厚生年金3級(年間約110万円+遡及約450万円)

【Bさんの状況】

Bさん(57歳・男性)は、製造業の会社で30年以上働いてきました。妻と大学生の息子の3人暮らしです。

5年前、両手首と膝に痛みを感じ始めました。最初は「年のせいだろう」と思い、近所の整骨院でマッサージを受けていました。しかし痛みは改善せず、半年後に整形外科を受診。さらに専門病院に紹介され、関節リウマチと診断されました。

【症状と仕事への影響】

製造ラインでの立ち仕事が中心だったBさんにとって、関節リウマチは致命的でした。両膝の痛みで長時間立っていられず、重い部品を持つこともできません。朝のこわばりで出勤時間に間に合わないことも増えました。

職場は配慮してくれましたが、できる仕事が限られてしまい、同僚に負担をかけていることが心苦しく感じられました。症状が悪化した1年前、ついに退職を決断しました。

【初診日証明の困難と経済的困窮】

退職後、ハローワークで障害年金の存在を知り、自分で申請を試みました。しかし、大きな壁にぶつかりました。初診日の証明ができなかったのです。

最初に通った整骨院は初診日として認められず、次に受診した整形外科はすでに閉院していました。カルテも残っていません。「これでは申請できない」と諦めかけました。

妻のパート収入月10万円だけでは生活が苦しく、退職金を切り崩す日々。年金受給まではまだ5年以上あり、「このままでは生活が立ち行かなくなる」という不安が募りました。

【専門家の支援で解決】

藁にもすがる思いで、障害年金専門の当事務所に相談されました。社労士は、初診日証明の別の方法を提案してくれました。

  • 次に受診した専門病院のカルテに「以前から他院で治療中」という記載があることを確認
  • 当時の職場の同僚に第三者証明を依頼
  • 古い診察券と領収書が自宅から見つかり、それも証拠として提出

これらの資料を組み合わせることで、初診日を証明することができました。また、病歴・就労状況等申立書には、仕事にどれだけ支障が出ていたか、日常生活でどんな困難があるかを詳細に記載しました。

【結果とその後】

申請から約4ヶ月後、障害厚生年金3級の認定通知が届きました。しかも、障害認定日請求が認められ、5年分を遡って約450万円を一括で受け取ることができました。その後も、年間約110万円を継続して受給しています。

「諦めていたのに、専門家のおかげで受給できた。まとまったお金が入ったことで、当面の生活の心配がなくなりました」とBさん。現在は治療を続けながら、無理のない範囲で短時間のアルバイトも始めたそうです。

ケース③30代女性・障害基礎年金2級(年間約83万円)

【Cさんの状況】

Cさん(36歳・女性)は、フリーランスのグラフィックデザイナーとして活躍していました。一人暮らしで、デザインの仕事が生きがいでした。

2年前、手指の関節が腫れて痛むようになりました。大学病院のリウマチ科を受診し、関節リウマチと診断されました。

【症状と仕事への影響】

デザイナーにとって、手は命です。マウスを長時間操作すると手首が痛み、タブレットでペンを使った細かい作業ができなくなりました。パソコンのキーボード入力も、1時間も続けると指が痛んで休憩が必要です。

納期に間に合わないことが増え、クライアントからの信頼を失いました。仕事の依頼は激減し、月収は以前の半分以下に。国民年金保険料は何とか納付していましたが、貯蓄が底をつきそうでした。

【若年者ゆえの葛藤】

SNSで同じ病気の方が障害年金を受給していると知り、興味を持ちました。しかし、「35歳で障害年金なんて」「まだ働けているのに申請するのは甘えでは」と葛藤しました。

友人に相談すると、「フリーランスだから国民年金しかないし、無理じゃない?」と言われ、さらに迷いました。

【決断と申請】

ある日、痛みで仕事ができず、納期を守れなかったことで大口のクライアントを失いました。「このままでは生活できない」と危機感を覚え、思い切って当事務所に相談されました。

社労士からは「国民年金でも、2級以上なら受給できます。年齢は関係ありません。あなたの症状なら十分に対象になります」と言われ、背中を押されました。

主治医との診察では、「デザインの仕事がどれだけ制限されているか」「日常生活でどんな動作が困難か」を具体的に伝えました。診断書には、手指の細かい作業が困難であること、長時間のパソコン作業ができないことが詳しく記載されました。

【結果とその後】

申請から約3ヶ月後、障害基礎年金2級に認定されました。年間約83万円の受給が決まりました。月額にすると約7万円弱ですが、生活の下支えになっています。

「若いから申請を躊躇していましたが、本当に相談して良かったです。経済的な不安が少し和らいだことで、仕事のペースを調整できるようになりました」とCさん。現在は、無理のない範囲で仕事を受けながら、治療と両立しているそうです。

「同じように若くて悩んでいる方に伝えたいです。年齢で諦めないでください」とCさんは語っています。

【3つのケースから学べること】

  • 「まだ軽い方」と諦める必要はない(ケース①)
  • 初診日証明が困難でも、方法はある(ケース②)
  • 若年者やフリーランスでも受給できる(ケース③)
  • 専門家のサポートで認定率が上がる(全ケース共通)
  • 受給後は経済的不安が軽減され、治療に専念できる(全ケース共通)

次のセクションでは、実際の申請の流れと必要書類について、ステップごとに詳しく解説します。

申請の流れと必要書類|ステップバイステップで解説

「障害年金の申請は複雑で難しそう」と感じている方も多いでしょう。ここでは、申請の全体的な流れを7つのステップに分けて、わかりやすく解説します。一つひとつ進めていけば、決して難しくありません。

申請の全体的な流れ

障害年金の申請は、以下の7つのステップで進めます。

【申請の流れ】

STEP 1 年金事務所または社労士に相談
自分が対象になるか確認し、申請方法の説明を受ける
STEP 2 初診日を確認・証明書類を取得
初診の病院で「受診状況等証明書」を取得する
(現在の病院と初診病院が同じ場合は不要)
STEP 3 医師に診断書を依頼
主治医に障害年金用の診断書(肢体の障害用)を作成依頼
作成には2週間〜1ヶ月程度かかる
STEP 4 病歴・就労状況等申立書を作成
発症から現在までの経過、日常生活の状況を記載する
(本人または家族が作成、社労士に依頼も可能)
STEP 5 その他の必要書類を準備
住民票、戸籍謄本、年金手帳、通帳のコピーなどを用意
STEP 6 年金事務所に書類を提出
すべての書類が揃ったら年金事務所に提出
(郵送も可能)
STEP 7 審査・結果通知
審査期間:約3〜4ヶ月
認定されれば年金証書が届き、翌月分から支給開始

それでは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。

STEP 1:年金事務所または社労士に相談

まず、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターで相談します。事前予約が必要な場合が多いので、電話で確認してから訪問しましょう。

相談では、以下のことを確認します。

  • 自分が障害年金の対象になるか
  • 初診日はいつか(大まかでOK)
  • 保険料納付要件を満たしているか
  • 必要な書類は何か
  • 申請方法(障害認定日請求か事後重症請求か)

年金事務所では一般的な説明を受けられますが、個別の複雑な事情には対応しきれないこともあります。初診日の証明が難しい、過去に不支給になったことがある、などの場合は、最初から障害年金専門の社会保険労務士に相談することをお勧めします。

STEP 2:初診日を確認・証明書類を取得

初診日を証明するために、初めて受診した病院で「受診状況等証明書」を取得します。この書類は、病院に依頼して作成してもらいます。

ただし、以下の場合は受診状況等証明書が不要です。

  • 初診の病院と現在通院している病院が同じ場合
  • 20歳前に初診日がある場合(一部のケース)

受診状況等証明書の作成には、通常1〜2週間程度かかります。料金は病院によって異なりますが、5,000円〜10,000円程度が一般的です。

カルテが残っていない、病院が閉院しているなど、受診状況等証明書が取得できない場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出し、他の方法で初診日を証明します(第三者証明、診察券、領収書など)。

STEP 3:医師に診断書を依頼

主治医に、障害年金用の診断書を作成してもらいます。診断書は「肢体の障害用」を使用します。診断書の様式は、年金事務所でもらうか、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

診断書依頼時の重要なポイント:

  • 診察時間に余裕がある時に依頼する(時間がかかる書類なので)
  • 日常生活の困難を具体的に伝える(メモを用意すると良い)
  • 「良い日」だけでなく「悪い日」の状態も伝える
  • 補助具(杖など)を使用している場合は必ず伝える

診断書の作成には、通常2週間〜1ヶ月程度かかります。料金は病院によって異なりますが、5,000円〜15,000円程度です。

障害認定日請求の場合は、以下の2通の診断書が必要です。

  • 障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)の診断書
  • 現在(請求時)の診断書

事後重症請求の場合は、現在の診断書1通のみでOKです。

STEP 4:病歴・就労状況等申立書を作成

病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までの経過を時系列で記載する書類です。本人または家族が作成します。この書類は、診断書だけでは伝わらない情報を補完する重要な役割があります。

記載すべき内容:

  • いつ頃から症状が出始めたか
  • どの病院をいつ受診したか
  • どんな治療を受けてきたか
  • 症状の経過(悪化・改善・変動)
  • 日常生活への影響(具体的に)
  • 仕事への影響(休職・退職の経緯など)

特に関節リウマチの場合、日常生活でどんな動作が困難かを具体的に記載することが重要です。

例えば:

  • 「朝起きると手指が強ばり、1時間以上ほぐさないと家事ができない」
  • 「包丁を持つと手首に激痛が走り、野菜を切ることができない」
  • 「階段の昇降は手すりにつかまっても非常につらく、時間がかかる」
  • 「雨の日や寒い日は症状が悪化し、ほとんど外出できない」

抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを書くことで、審査する側に実態が伝わりやすくなります。

STEP 5:その他の必要書類を準備

診断書と病歴・就労状況等申立書以外にも、いくつかの書類が必要です。以下のチェックリストを参考に、漏れなく準備しましょう。

【必要書類チェックリスト】

  • ☑ 年金請求書(年金事務所でもらう、または日本年金機構HPからダウンロード)
  • ☑ 診断書(肢体の障害用)
  • ☑ 受診状況等証明書(初診病院と現在の病院が異なる場合)
  • ☑ 病歴・就労状況等申立書
  • ☑ 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • ☑ 戸籍謄本または戸籍抄本(提出日から6ヶ月以内のもの)
  • ☑ 住民票(世帯全員、提出日から6ヶ月以内のもの)※マイナンバー記載で省略可能
  • ☑ 預金通帳またはキャッシュカードのコピー(年金受取口座)
  • ☑ 所得証明書または課税証明書(20歳前傷病の場合)
  • ☑ 子の在学証明書または学生証のコピー(18歳以上の子がいる場合)

※必要書類は、初診日の年金制度や請求方法によって異なる場合があります。詳細は年金事務所または社労士に確認してください。

STEP 6:年金事務所に書類を提出

すべての書類が揃ったら、年金事務所に提出します。提出方法は以下の2つです。

  • 窓口持参:年金事務所の窓口に直接持参。その場で書類の不備がないか確認してもらえる
  • 郵送:簡易書留など記録が残る方法で郵送。遠方の場合や体調が悪い場合に便利

提出時には、必ず書類のコピーを取っておきましょう。また、提出した日付も記録しておくと安心です。

STEP 7:審査・結果通知

書類を提出すると、日本年金機構で審査が行われます。審査期間は、通常3〜4ヶ月程度です。混雑状況によっては、さらに時間がかかることもあります。

審査の結果は、「年金証書」または「不支給決定通知書」という形で郵送されます。

認定された場合:年金証書が届きます。証書には、等級、年金額、支給開始年月などが記載されています。年金は、請求した月の翌月分から支給されます(障害認定日請求で遡及が認められた場合は、遡及分も支給)。

不支給となった場合:不支給決定通知書が届きます。理由が記載されていますので、内容を確認しましょう。不服がある場合は、3ヶ月以内に審査請求を行うことができます。

申請で困ったときは

申請手続きを進める中で、以下のような困難に直面することがあります。

  • 初診日の証明ができない
  • 医師が診断書を書いてくれない、または内容が実態と違う
  • 病歴・就労状況等申立書の書き方がわからない
  • どの書類が必要かわからない
  • 体調が悪くて年金事務所に行けない

このような場合は、無理に一人で進めようとせず、障害年金専門の社会保険労務士に相談することをお勧めします。社労士は、書類作成の代行、医師とのコミュニケーション支援、年金事務所への提出代行など、申請全般をサポートします。

次のセクションでは、認定を受けるための最も重要なポイントである「診断書と医師とのコミュニケーション」について、実務的なノウハウを詳しく解説します。

認定されるための重要ポイント|診断書と医師とのコミュニケーション

障害年金の審査において、最も重要な書類が「診断書」です。診断書の内容次第で、認定されるかどうか、何級に認定されるかが大きく変わります。このセクションでは、認定を受けるための実務的なノウハウを詳しく解説します。

診断書が認定の鍵を握る

障害年金の審査では、申請者の障害状態を直接確認することはありません。審査する側(日本年金機構の認定医)は、提出された書類だけを見て判断します。

その中でも、医師が作成する診断書は、審査の中心となる最も重要な資料です。診断書の内容が実態より軽く書かれていれば、本来なら2級に該当する状態でも3級や不支給になってしまう可能性があります。逆に、実態が正確に反映されていれば、適切な等級で認定される可能性が高まります。

しかし、ここで問題があります。医師は、あなたの日常生活をすべて見ているわけではないのです。

診察室で見られるのは、せいぜい数分から十数分程度。しかも、診察時は比較的調子の良い時間帯に来院することが多く、「悪い日」「つらい時間帯」の状態を医師は直接見ていません。また、医師は医学的な観点から診察するため、「包丁が持てない」「ボタンがかけられない」といった日常生活の細かい困難までは把握していないことが多いのです。

だからこそ、患者側から積極的に、日常生活の実態を伝える必要があるのです。

医師への診断書依頼のコツ

診断書を依頼する際の具体的なポイントを、ステップごとに解説します。

①依頼のタイミングを選ぶ

診断書の作成依頼は、できるだけ診察時間に余裕がある時を選びましょう。混雑している時間帯や、診察終了間際に駆け込むように依頼しても、十分に説明する時間が取れません。

  • 予約制の病院なら、予約時に「診断書のお願いがあります」と伝えておく
  • 朝一番や午後の早い時間帯など、比較的空いている時間を選ぶ
  • 可能であれば、通常の診察とは別に時間を取ってもらう

②事前に「日常生活困難メモ」を作成する

診察室で口頭で説明しようとしても、緊張して言い忘れたり、うまく伝えられなかったりすることがあります。そこで、事前にメモを作成して持参することを強くお勧めします。

メモに書くべき内容:

項目 具体的に書くこと
朝のこわばり ・何時に起床して、何時まで続くか
・その間何ができないか
手指の動作 ・つまむ、握る、絞る、結ぶができるか
・できない、または時間がかかる具体例
食事 ・箸やスプーンは使えるか
・食べこぼしはあるか
・時間がかかるか
着替え ・ボタン、ファスナーはできるか
・靴下は履けるか
・どんな服なら着られるか
トイレ・入浴 ・一人でできるか
・手すりや補助具が必要か
・家族の手伝いが必要か
家事 ・料理(包丁、鍋を持てるか)
・洗濯(干す、たたむができるか)
・掃除(掃除機をかけられるか)
外出・移動 ・歩行距離の限界
・階段の昇降
・杖や手すりの使用状況
仕事 ・どんな作業が困難か
・勤務時間の制限
・休職・退職の経緯
痛みの変動 ・良い日と悪い日の違い
・天候や気温による影響
・一日の中での変動

③具体的なエピソードで伝える

抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードで伝えることが重要です。以下の例を参考にしてください。

【医師への伝え方:良い例と悪い例】

悪い例(抽象的) 良い例(具体的)
「料理ができません」 「包丁を持つと手首に激痛が走るため、野菜を切ることができません。家族に切ってもらっています」
「歩くのがつらいです」 「室内では壁や家具につかまって伝い歩きをしています。屋外は50メートル歩くと膝が痛くて休憩が必要で、杖を使っています」
「朝が大変です」 「朝6時に起きても、手指のこわばりで8時頃までは箸も持てません。朝食の準備は夫がしています」
「ボタンがかけにくいです」 「シャツのボタンをかけるのに10分以上かかります。小さいボタンは全く無理なので、被るタイプの服しか着られません」
「階段がきついです」 「階段は手すりにつかまっても、一段ずつ両足を揃えないと上れません。降りる時は特に怖くて、手すりと壁の両方に手をつきます」
「仕事に支障があります」 「パソコン入力が1時間続けると手が痛んで休憩が必要です。納期に間に合わないことが増え、月に2〜3日欠勤するようになりました」

④「良い日」と「悪い日」の両方を伝える

関節リウマチの症状は、日によって、また一日の中でも変動があります。診察に行く日は比較的調子の良い日を選ぶことが多いため、医師は「悪い日」の状態を知らない可能性があります。

必ず、以下のように伝えましょう。

「今日は比較的調子が良い方です。雨の日や寒い日は、もっと症状がひどくて、ほとんど家から出られません。先週の雨の日は、トイレに行くのも這うようにして行きました。」

⑤補助具の使用状況を明確に伝える

杖、装具、手すり、シャワーチェアなど、補助具を使っている場合は、必ず医師に伝えましょう。診断書には「補助用具使用状況」の記載欄がありますので、使用しているものをすべて記載してもらう必要があります。

また、「補助具を使わないとできない」ということも重要です。例えば:

  • 「杖なしでは屋外を歩けません」
  • 「手すりがないと階段の昇降ができません」
  • 「浴槽への出入りは手すりとシャワーチェアがないと無理です」

⑥家族に同席してもらう

可能であれば、診察に家族に同席してもらい、客観的な視点から日常生活の状況を説明してもらうのも効果的です。本人は「これくらいはできる」と思っていても、家族から見ると「非常に時間がかかっている」「見ていて危なっかしい」ということがあるからです。

診断書の内容確認ポイント

診断書が完成したら、必ず内容を確認してから提出しましょう。医師に失礼と感じるかもしれませんが、これは非常に重要です。診断書の内容が実態と異なっていても、提出後に修正することは困難だからです。

確認すべき主なポイント

①「日常生活における動作の障害の程度」の評価

診断書の裏面にある、手指・上肢・下肢の動作評価が最も重要です。以下をチェックしましょう。

  • 実態より軽く(「できる」寄りに)評価されていないか
  • 補助具を使った状態で評価されていないか(補助具なしでの評価が原則)
  • 「良い日」だけを基準に評価されていないか

例えば、実際には「杖を使ってやっと歩ける」状態なのに、「歩ける(◯)」と評価されていたら、実態と違います。正しくは「杖を使えば歩けるが、杖なしでは歩けない」という実態を反映して「できるが非常に不自由(△×)」または「できない(×)」とすべきです。

②関節可動域の数値

関節の曲がる角度(可動域)が記載されていますが、この数値が実態と合っているか確認しましょう。特に、痛みのために実際には動かせない場合は、その旨が備考欄などに記載されているか確認します。

③補助用具の使用状況

使用している補助具がすべて記載されているか確認します。杖、装具、手すり、シャワーチェア、歩行器など、使っているものは漏れなく記載してもらいましょう。

④病状の経過・治療内容

発症時期、治療内容、現在の投薬内容などが正確に記載されているか確認します。特に、生物学的製剤など高額な治療を受けている場合は、その記載があるかチェックしましょう。

⑤予後の見通し

「今後の見通し」の欄に、「改善の見込みは少ない」「進行性」などの記載があるか確認します。関節リウマチは進行性の病気ですので、このような記載があることが望ましいです。

内容に疑問がある場合の対処法

診断書の内容が実態と異なると感じた場合は、遠慮せずに医師にもう一度相談しましょう。その際は、以下のように丁寧に伝えます。

「先生、診断書を拝見させていただきました。大変お忙しい中、ご作成いただきありがとうございます。一点確認させていただきたいのですが、『歩く(屋外)』の項目が『◯(できる)』となっていますが、実際には杖を使っても50メートルほどで休憩が必要な状態です。この点について、もう一度ご検討いただけないでしょうか。」

具体的な事実を伝えれば、多くの医師は理解して修正してくれます。ただし、医師によっては診断書の修正を嫌がる場合もあります。その場合は、病歴・就労状況等申立書で補足する方法もあります。

また、どうしても実態が反映されない場合は、セカンドオピニオンとして別の医師に診断書を依頼することも検討できます(ただし、初診日からの継続的な診療記録が必要ですので、慎重に判断してください)。

【診断書作成・確認のポイントまとめ】

  • 診察時間に余裕がある時を選んで依頼する
  • 日常生活困難メモを事前に作成して持参する
  • 抽象的ではなく、具体的なエピソードで伝える
  • 「良い日」と「悪い日」の両方を伝える
  • 補助具の使用状況を明確に伝える
  • 診断書は必ず内容を確認する
  • 実態と異なる場合は、丁寧に修正をお願いする

次のセクションでは、不支給になりやすいケースとその対策について解説します。失敗を避けるための重要な情報ですので、ぜひご確認ください。

不支給になりやすいケースと対策

残念ながら、障害年金の申請をしても不支給になってしまうケースがあります。しかし、不支給になる理由を事前に知っておけば、対策を講じることができます。ここでは、関節リウマチで不支給になりやすいケースと、その対策について解説します。

こんな場合は不支給になりやすい

不支給になる主な理由は、以下の5つです。それぞれの対策も合わせて説明します。

①初診日の証明ができない

初診日が特定できない、または証明できない場合、申請そのものができません。これは最も多い不支給理由の一つです。

よくあるケース:

  • 最初に接骨院に通っていて、病院受診がずっと後だった
  • 初診の病院が閉院していて、カルテが取得できない
  • カルテの保存期間(通常5年)が過ぎて破棄されている
  • 病院名や受診時期を覚えていない

対策:

  • 次に受診した病院のカルテに「以前から○○で治療中」などの記載がないか確認
  • 古い診察券、領収書、お薬手帳を探す
  • 第三者証明(家族、友人、職場の同僚など)を活用
  • 健康診断の記録、身体障害者手帳の記録なども証拠になる
  • 早めに専門家(社労士)に相談する

②保険料納付要件を満たしていない

初診日の前日時点で、保険料を一定期間以上納付していない場合は、受給できません。

よくあるケース:

  • 国民年金保険料を長期間未納にしていた
  • 免除申請をせず、未納のままだった
  • 初診日以降に慌てて納付した(初診日の前日時点で判定されるため無効)

対策:

  • 納付状況を年金事務所で確認する(ねんきん定期便でも確認可能)
  • 「直近1年要件」(初診日の前日時点で直近1年間未納なし)を満たしているか確認
  • 免除期間は「納付済み」として扱われることを知っておく
  • 納付要件を満たしていない場合、20歳前に症状が出ていなかったか再確認する(20歳前傷病なら納付要件不要)

③診断書の内容が実態より軽く書かれている

これが最も多い不支給理由です。医師は日常生活のすべてを見ているわけではないため、診断書が実態より軽く書かれてしまうことがあります。

よくあるケース:

  • 「日常生活における動作の障害の程度」の評価が「できる(◯)」ばかり
  • 補助具を使った状態で評価されている
  • 「良い日」の状態だけで評価されている
  • 痛みの程度が反映されていない
  • 関節可動域の数値だけで判断され、実際の生活への影響が書かれていない

対策:

  • 診察時に、日常生活の困難を具体的に伝える(前セクション参照)
  • 日常生活困難メモを作成して医師に見せる
  • 診断書は必ず内容を確認し、実態と異なれば修正をお願いする
  • 病歴・就労状況等申立書で、診断書に書かれていない日常生活の困難を詳しく記載する
  • 家族に診察に同席してもらい、客観的な視点から状況を説明してもらう

④病歴・就労状況等申立書が不十分

病歴・就労状況等申立書は、診断書を補完する重要な書類です。しかし、簡潔に書きすぎたり、重要な情報が抜けていたりすると、審査で不利になります。

よくあるケース:

  • 「痛みがある」程度の抽象的な記載しかない
  • 日常生活の具体的な困難が書かれていない
  • 通院歴に空白期間があり、その理由が書かれていない
  • 仕事への影響が具体的に書かれていない

対策:

  • 抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを書く
  • 「包丁が持てず、家族に切ってもらっている」など、誰が読んでもイメージできる表現を使う
  • 通院を中断した期間があれば、その理由(経済的理由、症状が落ち着いていた、など)を必ず記載
  • 仕事への影響(欠勤が増えた、作業ペースが落ちた、退職した経緯など)を詳しく書く
  • 痛みの変動(雨の日、寒い日、朝の状態など)も記載する

⑤障害の程度が認定基準に達していない

実際に症状が軽度で、障害等級の基準に達していない場合も、当然ながら不支給になります。

よくあるケース:

  • 治療が奏効して、症状が大幅に改善している
  • 日常生活動作がほぼ自立してできる
  • フルタイムで就労できている
  • 国民年金加入者で3級相当の障害(3級は障害厚生年金のみ)

対策:

  • 申請のタイミングを検討する(症状が安定している時期を選ぶ)
  • 障害認定日時点では軽度でも、現在悪化していれば事後重症請求を検討
  • 初診日が厚生年金加入中なら、3級でも受給可能
  • 本当に基準に達していないなら、無理に申請せず、症状の推移を見守る

不支給になった場合の対応

万が一、不支給になってしまった場合でも、諦める必要はありません。以下の方法で再チャレンジできます。

①審査請求(不服申し立て)

不支給決定に納得できない場合、決定を知った日の翌日から3か月以内に、審査請求を行うことができます。

審査請求では、新たな資料(診断書の追加、詳細な説明書など)を提出することができます。ただし、審査請求で覆るのは全体の約10〜15%程度と言われており、決して高い確率ではありません。

審査請求を行う場合は、不支給になった理由を正確に把握し、その理由に対する反証を用意することが重要です。専門家(社労士)に依頼することを強くお勧めします。

②再審査請求

審査請求でも認められなかった場合、さらに再審査請求を行うことができます(審査請求の決定を知った日の翌日から2か月以内)。ただし、再審査請求で覆る確率はさらに低くなります。

③事後重症請求での再申請

不支給になってから一定期間経過後、症状が悪化した場合は、事後重症請求として新たに申請することができます。

この場合、前回の申請とは別の新しい申請として扱われます。前回不支給になった理由を踏まえて、診断書や病歴・就労状況等申立書の内容を充実させることが重要です。

④診断書の内容を見直して再申請

不支給理由が「診断書の内容が不十分」だった場合、診断書を作り直して再申請する方法もあります。ただし、短期間で再申請すると、症状に大きな変化がないと判断され、再び不支給になる可能性が高いため、少なくとも3〜6か月は空けることが望ましいでしょう。

再申請の際は、以下の点に注意します。

  • 医師に不支給になった理由を説明し、協力を仰ぐ
  • 日常生活の困難をより詳しく、具体的に伝える
  • 病歴・就労状況等申立書の内容を充実させる
  • 可能であれば、専門家(社労士)に依頼する

【不支給対策のポイント】

  • 不支給の主な理由:初診日証明、保険料納付、診断書の内容、申立書の不足
  • 事前の対策が最も重要(診断書の確認、申立書の充実)
  • 不支給になっても、審査請求や再申請で再チャレンジ可能
  • 専門家(社労士)に依頼すると、不支給を避けられる確率が上がる
  • 諦めないことが大切

次のセクションでは、社労士に依頼するメリットと、当事務所の具体的なサポート内容についてご紹介します。

社労士に依頼するメリットと当事務所のサポート内容

障害年金の申請は、自分で行うこともできます。しかし、複雑な制度や書類の多さに戸惑い、途中で諦めてしまう方も少なくありません。ここでは、社会保険労務士に依頼するメリットと、当事務所が提供するサポート内容についてご説明します。

自分で申請する場合の課題

障害年金を自分で申請する場合、以下のような課題に直面することがあります。

①制度の複雑さ

障害年金の制度は非常に複雑です。初診日要件、保険料納付要件、障害状態要件の3つを正確に理解し、自分のケースに当てはめるだけでも大変です。障害認定日請求と事後重症請求の違い、遡及請求の可否など、判断すべき事項がたくさんあります。

②書類の多さと専門性

必要な書類が多く、しかも専門的な内容です。診断書は医学用語が並び、病歴・就労状況等申立書は何をどう書けばいいのか分かりにくいものです。書類の不備があると、不支給や審査の長期化につながります。

③医師とのコミュニケーション

診断書を医師に依頼する際、日常生活の困難をどう伝えればいいのか、診断書の内容が実態と違う場合にどう修正をお願いすればいいのか、悩む方が多くいらっしゃいます。医師は多忙ですし、患者側も遠慮してしまいがちです。

④時間と労力の負担

関節リウマチで体が思うように動かない中、年金事務所や病院を何度も訪れ、書類を集め、記入するのは大きな負担です。痛みや疲労と戦いながら申請手続きを進めるのは、想像以上につらいものです。

⑤不支給のリスク

書類の不備や内容の不足により、本来なら受給できる状態なのに不支給になってしまうリスクがあります。一度不支給になると、再申請のハードルはさらに高くなります。

社労士に依頼するメリット

障害年金専門の社会保険労務士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

①初診日の証明をサポート

カルテが残っていない、病院が閉院しているなど、初診日の証明が困難なケースでも、第三者証明や他の資料を活用して証明する方法を提案します。諦めかけていた方でも、専門家の知識で道が開けることがあります。

②診断書の内容確認とアドバイス

完成した診断書の内容を専門的な視点からチェックし、実態と異なる部分があれば、医師にどう伝えるべきかアドバイスします。診断書は審査の中心となる書類ですので、この確認が認定率を大きく左右します。

③病歴・就労状況等申立書の作成

日常生活の困難を、審査する側に伝わる形で文章化します。「どんな言葉で表現すれば実態が伝わるか」を知っているからこそ、効果的な申立書を作成できます。

④医師とのコミュニケーション支援

医師への診断書依頼時に、何をどう伝えるべきか、具体的なアドバイスを提供します。必要に応じて、医師への説明文書を作成することもあります。

⑤すべての手続きを代行

書類の収集、記入、提出まで、すべての手続きを代行します。体調が悪い中で何度も外出する必要がなくなり、治療に専念できます。

⑥認定率の向上

専門家が申請をサポートすることで、書類の不備や内容不足による不支給を防ぎ、適切な等級での認定を目指せます。実際、社労士が関わった申請の認定率は、自己申請に比べて大幅に高いと言われています。

⑦精神的な安心感

「これで合っているのだろうか」という不安を抱えながら進めるのではなく、専門家に任せることで安心して治療に専念できます。相談相手がいることも、大きな支えになります。

清水総合法務事務所の特徴

当事務所は、「諦めない障害年金」をコンセプトに、神戸・兵庫を中心に障害年金申請のサポートを専門的に行っています。

【当事務所の強み】

①障害年金申請代行の専門事務所

当事務所は、障害年金の申請代行を専門としています。社会保険労務士の清水良訓が、豊富な経験と専門知識をもとに、一人ひとりの状況に合わせた最適な申請方法をご提案します。

②「諦めない」をモットーに

「初診日の証明が難しい」「過去に不支給になった」「症状が軽いと言われた」――そんな理由で諦めかけている方こそ、ぜひご相談ください。複雑なケースでも、諦めずに解決策を探します。これまでも、困難な状況から受給につなげてきた実績があります。

③神戸・兵庫の地域密着型サポート

神戸市須磨区に事務所を構え、神戸市内、明石市、西宮市、芦屋市など、兵庫県内を中心にサポートしています。地域の医療機関や行政機関との連携もあり、地元ならではのきめ細かいサービスを提供できます。

対面でのご相談も可能です。ご自宅への訪問相談にも対応していますので、体調が悪くて外出が難しい方もご安心ください。

④初回相談は無料

「自分は対象になるのか」「どれくらいの費用がかかるのか」といった疑問に、まずは無料でお答えします。相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。お気軽にご相談ください。

⑤丁寧なヒアリングと寄り添う姿勢

申請には、ご本人の症状や日常生活の状況を詳しくお聞きする必要があります。当事務所では、時間をかけて丁寧にヒアリングを行い、一人ひとりに寄り添ったサポートを心がけています。

【このような方はぜひご相談ください】

  • 関節リウマチで日常生活に支障があり、障害年金を受給できるか知りたい
  • 申請したいが、手続きが複雑で何から始めればいいか分からない
  • 初診日の証明が難しく、諦めかけている
  • 医師に診断書を依頼する方法が分からない
  • 過去に不支給になったが、再申請を検討している
  • 自分で申請を始めたが、途中で行き詰まっている
  • 体調が悪くて、何度も外出するのが難しい

当事務所では、関節リウマチの障害年金申請を数多くサポートしてきました。初診日の証明が難しいケースや、過去に不支給になった方の再申請にも対応しています。「諦めない障害年金」の実現のために、全力でサポートいたします。

【お問い合わせ先】

清水総合法務事務所
社会保険労務士 清水 良訓

まずはお気軽にお電話、メール、またはお問い合わせフォームからご連絡ください。無料相談で、あなたの状況をお聞かせください。一人で悩まず、私たちと一緒に解決への道を探しましょう。

次のセクションでは、この記事の重要なポイントをまとめ、今後の行動についてご案内します。

まとめ|諦めずに、まずは一歩を踏み出しましょう

この記事では、関節リウマチで障害年金を受給するための方法について、詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

【この記事の重要ポイント】

  • 関節リウマチでも障害年金を受給できる
    日常生活に支障がある、仕事に制限があるという状態であれば、対象になる可能性があります。年間78万円から150万円以上を受給している方も多くいらっしゃいます。
  • 「まだ軽い方」と諦める必要はない
    「まだ何とか働けている」「家事は時間をかければできる」という方でも、受給できる可能性があります。重要なのは、日常生活への影響度です。
  • 3つの受給要件を満たす必要がある
    初診日要件、保険料納付要件、障害状態要件の3つをすべて満たすことが必要です。特に初診日の特定が重要で、接骨院は初診日として認められない点に注意が必要です。
  • 認定基準は日常生活動作の評価が中心
    手指・上肢・下肢の日常生活動作がどれだけ制限されているかが、等級判定の重要なポイントです。関節可動域の数値だけでなく、実際の生活への影響が評価されます。
  • 診断書の内容が認定の鍵を握る
    医師は日常生活のすべてを見ているわけではないため、患者側から積極的に日常生活の困難を伝える必要があります。診断書の内容確認も必須です。
  • 専門家のサポートで認定率が向上する
    初診日の証明、診断書の確認、病歴・就労状況等申立書の作成など、専門的な知識が必要な場面が多くあります。社労士に依頼することで、不支給のリスクを減らせます。

関節リウマチによる痛みや関節の変形は、目に見えにくい障害です。周囲の人には「見た目は元気そう」と思われても、実際には毎日痛みと戦い、思うように体が動かないつらさを抱えています。

「私なんかが障害年金をもらっていいのだろうか」「もっと大変な人がいるのでは」と遠慮する必要はありません。障害年金は、病気や障害によって生活に困難を抱える人を支援するための制度です。条件を満たしていれば、受給する権利があるのです。

確かに、申請手続きは複雑です。初診日の証明、診断書の準備、書類の作成と、乗り越えるべきハードルがいくつもあります。体調が悪い中で、これらをすべて一人でこなすのは大変なことです。

しかし、諦めないでください

初診日の証明が難しくても、カルテが残っていなくても、過去に不支給になったことがあっても、道はあります。専門家の力を借りれば、一人では乗り越えられなかったハードルも、きっと乗り越えられます。

実際に、当事務所がサポートした方々の中にも、「もう無理だと思っていた」「諦めかけていた」という方が数多くいらっしゃいました。それでも、一緒に解決策を探し、書類を整え、申請を進めた結果、障害年金の受給につながりました。

受給が決まった方々は、口々にこう言われます。

「経済的な不安が軽減されて、治療に専念できるようになりました」
「諦めずに相談して本当に良かった」
「同じように悩んでいる人がいたら、ぜひ相談してほしい」

あなたにも、その可能性があります。

まずは、一歩を踏み出してみませんか。

無料相談では、あなたの状況を詳しくお聞きして、障害年金の対象になるか、どのような申請方法が適しているか、丁寧にご説明します。相談したからといって、必ず申請しなければならないわけではありません。「とりあえず話を聞いてみたい」という段階でも、大歓迎です。

一人で悩んでいても、解決には近づきません。専門家に相談することで、見えなかった道が見えてくることがあります。

関節リウマチの痛みや不自由さと戦いながら、経済的な不安まで抱える必要はありません。使える制度は、しっかり活用しましょう。それが、あなた自身のため、そしてあなたの家族のためにもなります。

清水総合法務事務所は、「諦めない障害年金」を実現するために、全力であなたをサポートします。

どうか、諦めないでください。まずはお気軽にご連絡ください。あなたからのご連絡を、心よりお待ちしています。

【お問い合わせ・無料相談のご予約】

清水総合法務事務所
社会保険労務士 清水 良訓
〒654-0143 兵庫県神戸市須磨区菅の台6-8-3

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受付時間:平日9:00〜17:00
「障害年金の相談です」とお伝えください。

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障害年金に関する詳しい情報を掲載しています。

お電話、メール、お問い合わせフォームのいずれでも結構です。あなたに合った方法でご連絡ください。

初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

あなたの不安が希望に変わる日まで、私たちが寄り添います。一緒に、諦めない道を歩みましょう。

障害年金のご相談は兵庫障害年金安心サポートセンターへ
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