「最近、視野が狭くなって、歩いていると人やものにぶつかりやすくなった」「運転中に左右から来る車に気づきにくい」――緑内障や網膜色素変性症などで視野障害にお悩みの方は、こうした日常生活の困難を抱えながら、経済的な不安も感じていらっしゃるのではないでしょうか。
視野障害は、視力が保たれていても生活に大きな支障をきたす障害です。神戸・兵庫県にお住まいの方で、視野が狭くなったことで仕事や日常生活に影響が出ている方は、障害年金の受給対象となる可能性があります。
ところで、眼科で「視野検査」を受けたことがある方も多いと思いますが、実は視野検査には大きく分けて2種類あることをご存じでしょうか。それが「ゴールドマン型視野計」と「自動視野計」です。障害年金の申請を考えている方にとって、どちらの検査を受けるべきか、どちらの基準で申請すべきかは、受給可否を左右する重要なポイントとなります。
さらに、令和4年1月に障害年金の認定基準が大きく改正されました。この改正により、これまで障害年金を受給できなかった方や、より上位の等級に該当する方が増える可能性があります。特に「自動視野計による認定基準の新設」は、多くの視野障害をお持ちの方にとって朗報といえるでしょう。
この記事では、ゴールドマン型視野計と自動視野計の違い、令和4年改正後の最新認定基準、どちらの検査を選ぶべきか、そして視野検査を受ける際の実践的なポイントまで、障害年金専門の社会保険労務士が詳しく解説します。視野障害による障害年金申請を検討されている方、既に受給中で等級改定を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
視野障害の障害年金について、まずはお気軽にご相談ください
「自分の視野の状態で障害年金は受給できるのか」「どちらの検査を受ければいいのか」など、ご不安やご質問がございましたら、神戸の障害年金専門社労士にお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。
視野検査の種類|ゴールドマン型視野計と自動視野計の違い
障害年金の視野障害認定において、視野検査の結果が非常に重要な役割を果たします。しかし、視野検査には「ゴールドマン型視野計」と「自動視野計」という2つの測定方法があり、それぞれ特徴や測定原理が異なります。まずは、この2つの検査方法について詳しく見ていきましょう。
ゴールドマン型視野計(動的視野検査)とは
ゴールドマン型視野計は、スイスの眼科医ハンス・ゴールドマンが開発した視野測定装置です。半球状のドームの中心を患者さんが注視し、検査員が周辺から中心に向かって光を動かしながら、「光が見えた」と感じた位置を記録していく方法で視野を測定します。
この検査の特徴は、「動的」であることです。つまり、光が移動する軌跡を追いながら視野の境界を測定するため、視野全体の広がりを詳細に把握できます。測定結果は同心円状の曲線(イソプター)として視野図に描かれ、地図の等高線のように視野の感度分布を表現します。
ゴールドマン型視野計のメリットは、周辺視野まで広範囲に測定できること、検査員が患者さんの反応を見ながら柔軟に測定できることです。特に視野が極端に狭い方や、自動視野計での検査が難しい方にとっては、ゴールドマン型視野計の方が正確な測定ができる場合があります。
一方でデメリットとしては、検査員の技術に結果が左右されること、検査に時間がかかること(片眼で10〜20分程度)が挙げられます。また、検査員による手動測定のため、同じ患者さんでも検査員や検査日によって多少のばらつきが生じる可能性があります。
ゴールドマン型視野計は、緑内障や網膜色素変性症などによる求心性視野狭窄(視野が外側から中心に向かって狭くなる状態)の評価に特に適しています。また、障害年金の申請において長年使用されてきた実績があり、視野障害の程度を客観的に示す有力な検査方法として認められています。
自動視野計(静的視野検査)とは
自動視野計は、コンピューター制御により自動的に視野を測定する装置です。代表的なものに「ハンフリー視野計」があります。患者さんは装置の中心を注視し、ランダムに点滅する光が見えたらボタンを押すという方法で、視野内の各ポイントの感度を測定します。
自動視野計の最大の特徴は、「静的」であることです。光は動かず、固定された位置で点滅するため、その位置での視野の感度を正確に測定できます。測定結果は数値化され、客観的なデータとして記録されます。
自動視野計のメリットは、検査員の技術に左右されず、再現性の高い結果が得られることです。また、コンピューターが自動で測定するため、検査の標準化が図られています。検査時間も比較的短く(片眼で5〜10分程度)、患者さんの負担が少ないのも利点です。
現在、多くの眼科医療機関で自動視野計が導入されており、緑内障の診断や経過観察に広く使用されています。令和4年の障害年金認定基準改正で、自動視野計による測定結果が正式に認定基準に組み込まれたのは、この普及状況を反映したものといえます。
デメリットとしては、中心視野(視野の中心30度以内)の測定が中心となるため、周辺視野の広範囲な評価にはやや不向きな点があります。また、患者さんが検査の仕組みを理解し、適切に反応できることが前提となるため、認知機能が低下している方や検査に慣れていない方では、信頼性のある結果が得られにくい場合があります。
障害年金の視野障害認定においては、両眼開放エスターマンテスト(両眼を開けた状態で日常生活に近い視野を測定)と10-2プログラム(中心10度以内の視野を詳細に測定)という2種類の測定方法が使用されます。これらの測定結果から「両眼開放視認点数」と「両眼中心視野視認点数」という2つの指標が算出され、障害等級の判定に用いられます。
障害年金申請ではどちらを選ぶべきか
「ゴールドマン型視野計と自動視野計、どちらの検査を受けるべきか」は、障害年金申請を考えている方が最も迷われるポイントの一つです。結論から申し上げると、令和4年の認定基準改正により、どちらの検査方法でも障害年金の申請が可能になりました。
重要なのは、ご自身の視野障害の状態と、通院している医療機関の設備状況に応じて、最も正確に障害の程度を反映できる検査方法を選ぶことです。一般的には、以下のような考え方で選択されることをおすすめします。
まず、視野が極端に狭く、中心視野がほとんど残っていない状態の方は、ゴールドマン型視野計での測定が適している場合があります。このような状態では、自動視野計の測定範囲では視野の全体像を把握しきれない可能性があるためです。また、ゴールドマン型視野計は検査員が患者さんの状態を見ながら測定できるため、視野障害が重度の方にとって負担が少ない検査といえます。
一方、視野狭窄が比較的軽度から中等度の方、特に緑内障などで定期的に自動視野計で経過観察を受けている方は、自動視野計での測定が適している場合が多いでしょう。既に複数回の検査データがあれば、視野障害の進行状況も客観的に示すことができます。
実際には、多くの眼科医療機関で両方の検査機器を備えているわけではありません。神戸市内や兵庫県内の医療機関でも、設備状況は施設によって異なります。まずは主治医に「障害年金の申請を考えているので、視野検査を受けたい」と相談し、その医療機関で実施可能な検査方法を確認しましょう。
ここで重要なポイントがあります。障害年金の認定においては、ゴールドマン型視野計と自動視野計の測定結果を混在させて判定することはできません。つまり、ゴールドマン型視野計で測定した場合はゴールドマン型の認定基準で、自動視野計で測定した場合は自動視野計の認定基準で判定されます。両方の検査を受けている場合は、より有利な方の結果を選択して申請することができます。
もし、現在通院している医療機関で希望する検査ができない場合は、検査設備が整った医療機関を紹介してもらうことも検討してください。障害年金の申請は、正確な検査データがあってこそ成功します。少し手間はかかりますが、将来の経済的安定のために、適切な検査を受けることを優先しましょう。
| 項目 | ゴールドマン型視野計 | 自動視野計 |
|---|---|---|
| 測定方法 | 動的視野検査 (光を動かしながら測定) |
静的視野検査 (光を点滅させて測定) |
| 測定範囲 | 周辺視野まで広範囲に測定可能 (視野全体を把握) |
主に中心視野を詳細に測定 (中心30度以内が中心) |
| 検査時間 | 片眼10〜20分 両眼で20〜40分程度 |
片眼5〜10分 両眼で10〜20分程度 |
| 検査方法 | 検査員による手動測定 (検査員の技術が必要) |
コンピューター自動測定 (標準化された手順) |
| 再現性 | 検査員により差が出やすい (熟練度による影響あり) |
高い再現性 (同条件なら同じ結果) |
| 結果の表示 | イソプター(等高線)で表示 (視覚的に分かりやすい) |
数値と感度マップで表示 (客観的なデータ) |
| 適している方 | • 重度の視野狭窄がある方 • 周辺視野の評価が必要な方 • 自動視野計での検査が困難な方 |
• 軽度〜中等度の視野狭窄の方 • 緑内障で経過観察中の方 • 中心視野の詳細評価が必要な方 |
| 普及状況 | 大学病院など一部の医療機関 (設置施設は限定的) |
多くの眼科で導入済み (広く普及している) |
※どちらの検査方法でも障害年金の申請が可能です。ご自身の状態と医療機関の設備に応じて選択してください。
令和4年改正|視野障害の最新認定基準を徹底解説
令和4年1月1日、障害年金における「眼の障害」の認定基準が約10年ぶりに大きく改正されました。この改正は、日本眼科学会や日本眼科医会からの長年の要望を受けて実現したもので、視野障害をお持ちの方にとって受給の可能性が大きく広がる内容となっています。ここでは、改正のポイントと最新の認定基準について詳しく解説します。
認定基準改正の3つのポイント
令和4年の改正における最も重要なポイントは、次の3点です。これらの改正により、これまで障害年金の対象外とされていた方や、より上位の等級に該当する方が増える可能性があります。
第一のポイントは、「自動視野計による認定基準の新設」です。改正前は、ゴールドマン型視野計による測定結果のみが認定基準として定められていました。しかし、現在の眼科医療現場では自動視野計が広く普及しており、多くの患者さんが自動視野計で定期的な検査を受けています。この実態を踏まえ、自動視野計による測定結果も正式な認定基準として採用されました。
第二のポイントは、「症状による限定の撤廃」です。改正前の基準では、「求心性視野狭窄」や「輪状暗点」といった特定の症状に該当する場合のみが対象とされていました。しかし、視野障害には様々な病態があり、中心暗点など他の症状でも日常生活に大きな支障をきたす場合があります。改正後は、症状の種類を問わず、測定数値が基準を満たせば障害等級が認定されるようになりました。
第三のポイントは、「視野障害における1級および3級の基準の新設」です。改正前は、視野障害では2級と障害手当金の基準しか規定されていませんでした。改正により1級と3級の基準が追加されたことで、重度の視野障害の方はより手厚い保障を受けられるようになり、軽度から中等度の視野障害の方も障害年金の対象となる可能性が広がりました。
これらの改正により、既に障害年金を受給されている方も、等級が上がって年金額が増額される可能性があります。特に2級を受給中の方は1級に、3級を受給中の方は2級に該当する場合があるため、後ほど解説する「等級改定請求」を検討されることをおすすめします。
ゴールドマン型視野計による認定基準
ゴールドマン型視野計による視野障害の認定基準は、改正に伴い整理・明確化されました。認定には「周辺視野角度の和」と「両眼中心視野角度」という2つの指標が用いられます。
まず「周辺視野角度の和」について説明します。これは、Ⅰ/4(イチノヨン)という視標を用いて、8方向(上・内上・内・内下・下・外下・外・外上)の視野角度を測定し、その合計値を算出したものです。正常な視野では、この合計値は右眼でおよそ500度前後になりますが、視野狭窄が進行すると数値が低下します。
次に「両眼中心視野角度」について説明します。これは、Ⅰ/2(イチノニ)という視標を用いて中心視野を測定し、左右眼の測定値から特定の計算式により算出されます。計算式は、「(中心視野角度の和が大きい方の眼の値×3+中心視野角度の和が小さい方の眼の値)÷4」となります。この計算により、両眼で見た場合の実質的な中心視野の広さが評価されます。
ゴールドマン型視野計による障害等級の基準は、以下のように定められています。1級は、両眼の周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下、かつ、両眼中心視野角度が28度以下の場合です。これは、視野が極めて狭く、日常生活のほとんどの場面で他人の介助が必要な状態を意味します。
2級は、両眼の周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下、かつ、両眼中心視野角度が56度以下の場合です。また、改正前の基準を引き継ぐ形で、「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの」も2級として存置されています。この等級は、日常生活が著しく制限される状態を示します。
3級は、両眼の周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下の場合です。周辺視野の狭窄により、労働に制限を受ける状態を意味します。この基準は改正により新設されたもので、厚生年金加入中に初診日がある方が対象となります。
障害手当金は、Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下の場合、または、両眼による視野が2分の1以上欠損した場合です。これも厚生年金加入者が対象で、症状が固定している場合に一時金として支給されます。
| 等級 | 認定基準 | 年金額の目安 |
|---|---|---|
| 1級 |
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下 かつ Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下
※日常生活のほとんどの場面で他人の介助が必要な状態
|
年額 約101万円〜
障害基礎年金1級
(厚生年金加入者は
報酬比例部分が加算) |
| 2級 |
① 両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下 かつ Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下 または
② 求心性視野狭窄または輪状暗点があり、Ⅰ/2視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの
※日常生活が著しく制限される状態
|
年額 約81万円〜
障害基礎年金2級
(厚生年金加入者は
報酬比例部分が加算) |
| 3級 |
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下
※労働に制限を受ける程度の状態
※厚生年金加入者のみ対象 |
年額 約61万円〜
障害厚生年金3級
(報酬比例部分のみ
最低保障額612,000円) |
| 障害 手当金 |
① Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下
または
② 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
※症状固定時の一時金
※厚生年金加入者のみ対象 |
一時金 約122万円
(報酬比例×2年分
最低保障額) |
※年金額は令和6年度の基準額です。障害厚生年金の場合は、これに報酬比例部分(加入期間と給与額により異なる)が加算されます。
※18歳到達年度末までの子どもがいる場合は、子の加算(1人目・2人目:各234,800円、3人目以降:各78,300円)が加算されます。
自動視野計による認定基準
自動視野計による視野障害の認定では、「両眼開放視認点数」と「両眼中心視野視認点数」という2つの指標が用いられます。これらは、それぞれ異なる測定プログラムにより算出されます。
「両眼開放視認点数」は、両眼を開けた状態で測定する「両眼開放エスターマンテスト」により算出されます。このテストでは、視野内の120ポイントで光が見えるかどうかを測定し、見えたポイントの数が「両眼開放視認点数」となります。最大120点で、点数が低いほど視野障害が重度であることを示します。
「両眼中心視野視認点数」は、「10-2プログラム」により測定されます。これは、中心10度以内の視野を2度間隔で68ポイント測定し、各ポイントで一定以上の感度(26dB以上)があるかどうかを評価します。左右眼それぞれの視認点数を算出し、ゴールドマン型視野計の場合と同様の計算式により、両眼での視認点数を算出します。
自動視野計による障害等級の基準は、以下の通りです。1級は、両眼開放視認点数が70点以下、かつ、両眼中心視野視認点数が20点以下の場合です。これは、日常生活に常に他人の介助が必要な程度の視野障害を意味します。
2級は、両眼開放視認点数が70点以下、かつ、両眼中心視野視認点数が40点以下の場合です。日常生活が著しく制限される状態を示します。3級は、両眼開放視認点数が70点以下の場合です。労働に制限を受ける程度の視野障害を意味し、厚生年金加入者が対象となります。
障害手当金は、両眼開放視認点数が100点以下、または、両眼中心視野視認点数が40点以下の場合です。これも厚生年金加入者が対象で、症状が固定している場合に支給されます。
| 等級 | 認定基準 | 年金額の目安 |
|---|---|---|
| 1級 |
両眼開放視認点数が70点以下 (両眼開放エスターマンテスト:120点満点) かつ 両眼中心視野視認点数が20点以下 (10-2プログラム:68点満点を両眼で計算)
※日常生活に常時他人の介助が必要な程度
|
年額 約101万円〜
障害基礎年金1級
(厚生年金加入者は
報酬比例部分が加算) |
| 2級 |
両眼開放視認点数が70点以下 (両眼開放エスターマンテスト:120点満点) かつ 両眼中心視野視認点数が40点以下 (10-2プログラム:68点満点を両眼で計算)
※日常生活が著しく制限される状態
|
年額 約81万円〜
障害基礎年金2級
(厚生年金加入者は
報酬比例部分が加算) |
| 3級 |
両眼開放視認点数が70点以下 (両眼開放エスターマンテスト:120点満点)
※労働に制限を受ける程度の状態
※厚生年金加入者のみ対象 |
年額 約61万円〜
障害厚生年金3級
(報酬比例部分のみ
最低保障額612,000円) |
| 障害 手当金 |
① 両眼開放視認点数が100点以下 (両眼開放エスターマンテスト) または
② 両眼中心視野視認点数が40点以下
※症状固定時の一時金
※厚生年金加入者のみ対象 |
一時金 約122万円
(報酬比例×2年分
最低保障額) |
📊 測定プログラムについて
- 両眼開放エスターマンテスト:両眼を開けた状態で日常生活に近い視野を測定(120点満点)
- 10-2プログラム:中心10度以内の視野を片眼ずつ詳細に測定(68点満点)
- 両眼中心視野視認点数は、左右眼の測定値から特定の計算式で算出します
※年金額は令和6年度の基準額です。障害厚生年金の場合は、これに報酬比例部分(加入期間と給与額により異なる)が加算されます。
※18歳到達年度末までの子どもがいる場合は、子の加算(1人目・2人目:各234,800円、3人目以降:各78,300円)が加算されます。
視力障害との併合認定について
視野障害と視力障害の両方がある場合、それぞれの障害を個別に評価した上で、「併合認定」という手続きにより、最終的な障害等級が決定されます。併合認定とは、複数の障害がある場合に、それぞれの障害の程度を総合的に評価して等級を決定する仕組みです。
例えば、視力障害で2級に該当し、かつ視野障害でも2級に該当する場合、併合により1級に認定される可能性があります。また、視力障害で3級、視野障害で3級の場合、併合により2級となる場合があります。このように、視力と視野の両方に障害がある方は、単独で評価するよりも上位の等級に認定される可能性が高まります。
緑内障や糖尿病性網膜症など、視力と視野の両方が障害される疾患をお持ちの方は、併合認定の可能性を念頭に置いて申請を進めることが重要です。診断書には視力と視野の両方の検査結果を記載してもらい、障害の全体像を正確に伝えるようにしましょう。
緑内障による障害年金については、「緑内障で障害年金を受給するための完全ガイド」で詳しく解説しています。また、網膜色素変性症の場合は、「網膜色素変性症と障害年金|認定基準と申請のポイント」をご参照ください。
視野検査を受ける際の重要ポイント|正確な結果を得るために
視野検査は、患者さん自身が「光が見えた」と感じた時にボタンを押したり、声で知らせたりすることで行われる自覚的な検査です。そのため、検査を受ける際の体調や集中力、理解度によって結果が左右される側面があります。障害年金の申請において、正確で信頼性の高い検査結果を得ることは極めて重要です。ここでは、視野検査を受ける際の実践的なポイントを解説します。
検査前の準備
視野検査は、集中力と持久力が求められる検査です。検査前の準備を整えることで、より正確な結果を得ることができます。まず最も重要なのは、体調を整えることです。風邪を引いていたり、体調不良の状態では集中力が低下し、検査結果に影響が出る可能性があります。
検査前日は十分な睡眠を取りましょう。睡眠不足は集中力の低下を招き、見える光を見落としてしまう原因になります。特にゴールドマン型視野計の検査は片眼で10〜20分、両眼で40分程度かかることもあるため、疲労した状態で検査を受けると正確な結果が得られません。
検査当日は、時間に余裕を持って来院しましょう。慌てて来院すると、落ち着かない状態で検査を受けることになります。また、検査前にトイレを済ませておくことも大切です。検査中は基本的に中断できないため、検査開始前に準備を整えておきましょう。
視力矯正が必要な方は、普段使用している眼鏡やコンタクトレンズを持参してください。特に近視や乱視が強い方は、適切な矯正をした状態で検査を受けないと、視野の測定精度が落ちる可能性があります。医療機関によっては検査用のレンズを用意していますが、普段使用している矯正具の方が慣れていて検査しやすい場合もあります。
検査中の心構え
視野検査で最も重要なのは、中心の固視点(注視する目印)から目を離さないことです。周辺に光が見えると、つい そちらに目を向けたくなりますが、目を動かしてしまうと正確な測定ができません。あくまでも中心を見続けながら、周辺視野に光が現れたことを感じ取る必要があります。
検査中は、「見えた」と確信できる光だけに反応するようにしましょう。「見えたような気がする」という曖昧な感覚で反応すると、実際よりも視野が広く測定されてしまう可能性があります。一方で、あまりに慎重になりすぎて反応が遅れると、本当は見えているのに見えないと判定されてしまいます。このバランスが難しいところですが、正直に「はっきり見えた」と感じた時に反応することが基本です。
集中力を保つコツとしては、適度なリラックスを心がけることです。緊張しすぎると疲れが早く来ますし、反応が過敏になったり鈍くなったりします。検査員の指示をよく聞き、自然体で検査に臨みましょう。もし途中で疲れを感じたら、検査員に伝えて休憩を取ることも可能です。
自動視野計の場合、ランダムに点滅する光に反応し続ける必要があります。光が出ないタイミングもあるため、「見えないから故障している」と不安になる必要はありません。また、時々同じ場所で何度も光が点滅することがありますが、これは検査機器が反応の信頼性を確認しているためです。淡々と見えた光に反応し続けることが大切です。
検査結果の信頼性
視野検査の結果には、検査の信頼性を示す指標が含まれています。自動視野計の場合、「固視不良(中心から目が外れた回数)」や「偽陽性率(光が出ていないのに反応した割合)」「偽陰性率(光が出ているのに反応しなかった割合)」などが記録されます。これらの値が高い場合、検査結果の信頼性が低いと判断され、再検査が必要になることがあります。
また、視野検査は1回の測定で確定するものではありません。特に初めて視野検査を受ける方は、検査の手順に慣れていないため、正確な結果が得られにくい傾向があります。医療機関では通常、複数回の検査を行い、再現性のある結果を確認してから診断に使用します。
障害年金の申請においても、複数回の検査結果があった方が望ましいとされています。特に検査数値が認定基準の境界線に近い場合は、複数回の測定結果を提示することで、視野障害の程度を客観的に示すことができます。主治医に「障害年金の申請を考えている」と伝え、適切な間隔で複数回の視野検査を受けることをおすすめします。
なお、緑内障などの進行性疾患の場合、視野検査の結果は時間とともに変化します。数か月前の検査結果と最新の検査結果では、視野の状態が異なる可能性があるため、障害年金の診断書作成時には、なるべく新しい検査データを使用することが重要です。
診断書への視野検査結果の添付
令和4年の認定基準改正に伴い、診断書の様式も変更されました。改正後の診断書では、医師が視野図を手書きで記載するのではなく、視野検査の結果をコピーして診断書に添付する形式になっています。これは、医師の負担を軽減するとともに、より正確な検査データを日本年金機構に提出できるようにするための措置です。
視野検査を受けた際は、検査結果のプリントアウトを必ず保管しておきましょう。後日、診断書を作成する際に必要になります。特にゴールドマン型視野計の視野図や、自動視野計の測定結果シートは、診断書に添付する重要な資料となります。
医師に診断書の作成を依頼する際は、「障害年金の申請用の診断書を作成していただきたい」と明確に伝え、視野検査の結果を添付してもらうよう依頼してください。また、視野検査の測定日や使用した視標(ゴールドマン型視野計の場合)、測定プログラム(自動視野計の場合)についても正確に記載してもらうことが重要です。
検査データの保管期間にご注意ください
医療機関によっては、古い検査データを破棄している場合があります。特に数年前の検査結果は入手できない可能性があるため、視野検査を受けた際は、その場で結果のコピーをもらっておくことをおすすめします。障害年金の申請を将来的に考えている方は、定期的な検査結果を全て保管しておきましょう。
📋 視野検査の準備チェックリスト
🏥 検査前日〜当日の準備
👓 持参物の確認
📝 検査時の心構え
✅ 検査後の対応
💡 重要なポイント
視野検査は体調や集中力により結果が変動するため、最良の状態で受けることが大切です。初めて受ける方は、検査の流れに慣れるため、複数回受けることをおすすめします。
視覚障害における障害年金申請の流れと注意点
視野障害による障害年金の申請は、他の障害と同様に「初診日の特定」「障害認定日の確認」「診断書の作成」「病歴・就労状況等申立書の作成」という流れで進めます。しかし、視覚障害特有の注意点もあるため、ここでは視野障害の方が特に気をつけるべきポイントを中心に解説します。
初診日の特定|視覚障害で難しいケース
障害年金における「初診日」とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日を指します。視覚障害の場合、この初診日の特定が意外と難しいケースが多いのが実情です。
例えば、緑内障の場合を考えてみましょう。多くの方は、「見えにくい」と自覚する前に、健康診断や人間ドックで眼圧が高いことを指摘され、眼科を受診します。この時点では自覚症状がなく、「とりあえず経過観察」と言われて定期的な検査だけを受けているケースも少なくありません。その後、視野検査で異常が見つかり、本格的な治療が始まるという経過をたどることが多いのです。
この場合、「初めて見えにくいと自覚した日」ではなく、「眼圧の異常を指摘されて初めて眼科を受診した日」が初診日となります。たとえ本格的な治療を開始していなくても、緑内障という傷病について初めて医師の診療を受けた日が初診日なのです。
網膜色素変性症など、先天性または若年発症の疾患の場合は、さらに複雑です。幼少期から「夜盲(暗いところで見えにくい)」の症状があったが、成人してから正式に診断を受けたというケースでは、初めて症状を訴えて受診した日が初診日となります。ただし、20歳前に初診日がある場合は、「20歳前傷病」として扱われ、保険料納付要件は問われません。
初診日を証明するためには、「受診状況等証明書」という書類を初診時の医療機関から取得する必要があります。しかし、何十年も前に受診した医療機関のカルテが既に廃棄されているケースも多く、初診日の証明が困難な場合があります。このような場合は、「参考となる他の資料」(診察券、領収書、お薬手帳、健康診断の記録など)を可能な限り収集し、初診日を推定していくことになります。
神戸市内や兵庫県内で視覚障害の治療を受けられている方も、初診日の特定で困難を感じることがあるかもしれません。初診時の医療機関が閉院していたり、カルテの保存期間が過ぎていたりする場合は、専門家に相談しながら慎重に初診日の特定を進めることをおすすめします。
障害認定日の考え方
障害年金における「障害認定日」とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日を指します。視覚障害の場合も、基本的にはこの原則が適用されます。つまり、視野障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日から1年6か月後の状態で、障害等級に該当していれば、障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、視覚障害には「症状固定」という概念があります。例えば、外傷により視野障害が生じた場合や、手術後に視野が固定した場合は、症状固定日が障害認定日となることがあります。一方、緑内障や網膜色素変性症のような進行性の疾患の場合は、症状が徐々に悪化していくため、初診日から1年6か月後が障害認定日となります。
進行性疾患の場合、申請のタイミングが非常に重要になります。障害認定日の時点で障害等級に該当していなくても、その後症状が進行して該当するようになった場合は、「事後重症請求」という方法で申請することができます。この場合、請求した月の翌月分から障害年金が支給されます。
一方、障害認定日の時点で既に障害等級に該当していた場合は、「認定日請求」という方法で申請でき、最大5年分の遡及受給が可能です。したがって、進行性疾患の方は、定期的に視野検査を受けて自分の状態を把握し、適切なタイミングで申請することが重要です。
診断書作成の依頼方法
障害年金の申請において、診断書は最も重要な書類です。診断書の内容次第で、障害年金の受給可否や等級が決まると言っても過言ではありません。視覚障害の場合、眼科の主治医に診断書の作成を依頼することになりますが、どのように依頼するかがポイントとなります。
まず、主治医に「障害年金の申請を考えているので、診断書を作成していただきたい」と明確に伝えましょう。その際、「眼の障害用の診断書」である「様式第120号の1」を使用することも伝えてください。この診断書は、年金事務所や日本年金機構のホームページから入手できます。
診断書には、視力と視野の両方の検査結果を記載する必要があります。視野検査については、ゴールドマン型視野計または自動視野計のいずれかの結果を添付します。前述のように、令和4年の改正により、視野図のコピーを添付する形式になっていますので、最新の検査結果を用意しておきましょう。
診断書作成時に医師に伝えるべき重要なポイントは、日常生活でどのような困難があるかということです。視野障害は、数値だけでは伝わりにくい障害です。「階段の昇り降りで足元が見えにくい」「人混みで人とぶつかりやすい」「料理中に手元の安全確認が難しい」など、具体的な生活上の支障を医師に伝えてください。
また、視野障害により仕事に支障が出ている場合は、その内容も伝えましょう。「書類の見落としが増えた」「パソコン作業で疲労が激しい」「運転業務ができなくなった」など、労働能力の制限についても診断書に反映してもらうことが重要です。
病歴・就労状況等申立書の書き方
「病歴・就労状況等申立書」は、請求者本人が記載する書類で、発病から現在までの経過、日常生活や仕事への影響などを詳しく記載します。診断書は医師が作成する客観的な書類ですが、申立書は本人の主観的な訴えを記載する書類であり、両者は補完的な関係にあります。
視野障害の場合、申立書には視野が狭くなったことで具体的にどのような困難が生じているかを詳しく記載しましょう。視野障害は外見からはわかりにくい障害であるため、日常生活の具体的なエピソードを交えて記載することが効果的です。
例えば、「左側の視野が狭くなっているため、歩行中に左から来る人に気づかずぶつかることが月に数回ある」「下方の視野が見えにくいため、階段を降りる際に必ず手すりにつかまる必要がある」「視野が狭いため、料理中にコンロの火やフライパンの端が視界に入らず、やけどをしそうになったことがある」など、具体的な場面を描写してください。
また、視野障害の進行過程も詳しく記載しましょう。「●年●月頃から夜間の運転が困難になり、●年●月には昼間の運転も不安を感じるようになった」「●年●月頃から読書中に行を飛ばすことが増え、●年●月には新聞を読むのも困難になった」など、時系列に沿って症状の変化を記載します。
仕事への影響についても、できるだけ具体的に記載してください。「事務職だが、書類の確認作業でミスが増えた」「接客業だが、視野が狭くお客様の動きに気づきにくくなった」「通勤時の階段の昇降が危険で、時間がかかるようになった」など、労働能力の制限を明確に示すことが重要です。
日常生活の支障の記載例
歩行時の困難:視野が狭く、周囲の人や物にぶつかりやすい。段差に気づかずつまずくことがある。混雑した場所での移動が困難。
家事の困難:料理中に手元の安全確認が難しい。掃除機をかける際に家具や壁にぶつける。洗濯物を干す際にベランダの端が見えにくく危険。
読み書きの困難:本や新聞を読む際に行を飛ばす。書類作成時に誤字や記入漏れが増えた。
外出時の困難:駅のホームや階段の昇降が危険。信号待ちで左右からの車に気づきにくい。夜間や暗い場所での移動がほぼ不可能。
初診日の証明が困難な場合の対処法については、「初診日が証明できない場合の障害年金申請|対処法と必要書類」で詳しく解説しています。また、診断書作成時の注意点は、「障害年金の診断書|医師への依頼方法と記載ポイント」をご参照ください。
視野障害の障害年金申請は、専門家にお任せください
清水総合法務事務所では、視覚障害をはじめとする様々な傷病による障害年金申請をサポートしています。初診日の特定、診断書の内容確認、申立書の作成支援まで、経験豊富な社労士が「諦めない申請」をお手伝いします。神戸市内はもちろん、明石・西宮・姫路など兵庫県全域に対応しております。
📋 視野障害による障害年金申請の流れ
初診日の確認
視野障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日を特定します。健康診断で異常を指摘された場合は、その後に初めて眼科を受診した日が初診日となります。
受診状況等証明書の取得
初診時の医療機関から、初診日を証明する「受診状況等証明書」を取得します。カルテが残っていない場合は、診察券、領収書、お薬手帳などの代替資料を収集します。
視野検査の実施
ゴールドマン型視野計または自動視野計で視野を測定します。体調を整えて検査に臨み、可能であれば複数回受けることで信頼性の高い結果を得ます。
診断書の作成依頼
眼科の主治医に障害年金用の診断書(様式第120号の1)の作成を依頼します。視野検査結果の添付と、日常生活への具体的な支障の記載を依頼してください。
病歴・就労状況等申立書の作成
発病から現在までの経過、視野狭窄による日常生活の具体的な困難を記載します。歩行時の不安、仕事への影響など、具体的なエピソードを盛り込みます。
必要書類の収集
年金請求書、戸籍謄本、住民票、年金手帳のコピー、通帳のコピーなど、申請に必要な書類を準備します。配偶者・子の加算がある場合は追加書類が必要です。
年金事務所へ提出
全ての書類を揃えて、お住まいの地域を管轄する年金事務所に提出します(郵送も可)。提出前に書類の不備がないか念入りに確認してください。
審査(約3か月)
日本年金機構で書類審査が行われます。通常3か月程度かかりますが、書類の不備や追加資料の提出依頼があった場合は更に時間がかかることがあります。
結果通知
年金証書(認定の場合)または不支給決定通知書(不認定の場合)が送付されます。認定された場合、請求の翌月分から年金が支給されます。
⏰ 申請のタイミングについて
- 認定日請求:初診日から1年6か月後の時点で既に認定基準を満たしている場合、最大5年分の遡及受給が可能
- 事後重症請求:症状が進行して基準を満たすようになった時点で請求(請求月の翌月分から支給)
- 進行性疾患の場合は、定期的な視野検査で状態を把握し、適切なタイミングで申請することが重要
🏢 神戸・兵庫県の年金事務所
お住まいの地域により管轄が異なります。神戸市内の方は神戸東年金事務所・神戸西年金事務所、明石市の方は明石年金事務所、西宮市の方は西宮年金事務所などが管轄となります。詳しくは日本年金機構のホームページでご確認ください。
既に受給中の方へ|等級改定請求の可能性
令和4年1月の認定基準改正は、新たに障害年金を申請する方だけでなく、既に視野障害で障害年金を受給している方にとっても大きな意味を持っています。改正により認定基準が拡大されたため、現在受給中の方の中には、より上位の等級に該当する可能性がある方がいらっしゃいます。
令和4年改正で等級が上がる可能性
改正前の認定基準では、視野障害について2級と障害手当金の基準しか規定されていませんでした。改正により1級と3級の基準が新設されたことで、特に以下のようなケースでは等級が上がる可能性があります。
まず、現在2級を受給されている方の中で、視野障害が非常に重度の方は、1級に該当する可能性があります。具体的には、ゴールドマン型視野計で「周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下、かつ、中心視野角度が28度以下」または、自動視野計で「両眼開放視認点数が70点以下、かつ、中心視野視認点数が20点以下」という基準を満たす場合です。
次に、現在障害厚生年金3級を受給されている方で、視野障害がさらに進行している場合は、2級に該当する可能性があります。視野障害で3級を受給している方は、主に視力障害との併合で3級となっているケースが多いと思われますが、視野障害単独でも2級の基準を満たしている可能性があります。
また、改正前に障害手当金を受け取った方で、その後も視野障害が持続または進行している場合は、3級に該当する可能性があります。障害手当金は「症状が固定している」場合に支給される一時金ですが、実際には症状が固定せず進行していくケースも少なくありません。このような場合、改正後の3級の基準に該当すれば、継続的な年金受給が可能になります。
額改定請求の手続き
既に障害年金を受給している方が、障害の程度が重くなったことにより上位の等級を請求する手続きを「額改定請求」といいます。通常、額改定請求は、障害年金の受給権を取得した日または前回の額改定請求をした日から1年を経過していなければ行うことができません。
しかし、令和4年の認定基準改正に伴い、特例措置が設けられました。眼の障害で2級または3級の障害年金を受給している方は、1年の待機期間を経過していなくても、額改定請求を行うことができます。この特例措置により、改正後すぐに等級改定の請求ができるようになっています。
額改定請求に必要な書類は、通常の障害年金申請とほぼ同じです。主なものは、「年金請求書(額改定請求用)」「診断書(眼の障害用)」「視野検査の結果(視野図のコピー)」です。診断書は改正後の新様式を使用し、最新の視野検査結果を添付する必要があります。
額改定請求の審査には、通常3か月程度かかります。審査の結果、上位の等級に該当すると認められた場合は、請求した月の翌月分から増額された年金が支給されます。仮に審査で等級の変更が認められなかった場合でも、現在の等級が下がることはありませんので、安心して請求することができます。
診断書の再取得ポイント
額改定請求を行う際は、新たに診断書を取得する必要があります。この際、改正後の認定基準に基づいた新様式の診断書を使用し、最新の視野検査結果を添付することが重要です。既に受給中の方でも、最後に視野検査を受けてから時間が経過している場合は、改めて検査を受ける必要があります。
主治医に診断書作成を依頼する際は、「障害年金の等級改定請求のため」と明確に伝えましょう。その際、令和4年に認定基準が改正されたことも併せて伝えると、医師も改正内容を意識して診断書を作成してくれます。特に、改正により新設された1級や3級の基準に該当する可能性がある場合は、その旨を医師に相談してみてください。
視野検査については、可能であればゴールドマン型視野計と自動視野計の両方を受けることをおすすめします。どちらか一方の基準だけでは等級変更に該当しなくても、もう一方の基準では該当する可能性があるためです。両方の検査結果があれば、より有利な方を選択して申請することができます。
神戸市内や兵庫県内にお住まいで、既に視野障害による障害年金を受給されている方は、一度最新の視野検査を受けて、現在の状態を確認されることをおすすめします。令和4年の改正により、等級が上がる可能性がある方は少なくないと考えられます。
よくあるご質問
視野障害による障害年金受給事例
ここでは、実際に視野障害により障害年金を受給された事例をご紹介します。個人情報保護のため、内容を一部変更していますが、視野障害の方が障害年金を受給するまでの実際の流れを理解していただけると思います。
事例1:緑内障による視野狭窄|認定日請求で2級認定
【背景】
Aさん(仮名)は、10年前の会社の健康診断で眼圧が高いことを指摘され、眼科を受診しました。当時は自覚症状がなく、緑内障の疑いとして経過観察となりました。その後、定期的に通院を続けていましたが、徐々に視野が狭くなり、5年ほど前から歩行時に人やものにぶつかることが増えてきました。特に下方と鼻側の視野が狭く、階段の昇降や混雑した場所での移動に支障が出るようになりました。
【困難だった点】
Aさんは事務職として働いていましたが、視野が狭いために書類の見落としが増え、業務に支障が出始めていました。また、通勤時の駅のホームや階段の昇降にも不安を感じるようになり、家族から障害年金の申請を勧められました。しかし、初診日が10年前であることや、当時のカルテがまだ残っているかが心配でした。また、視野検査を定期的に受けていましたが、どの時点の結果を使えばいいのかわからず、申請を躊躇していました。
【サポート内容】
当事務所にご相談いただき、まず初診日の証明から着手しました。幸い、初診時の医療機関にカルテが保存されており、「受診状況等証明書」を取得することができました。次に、過去の視野検査結果を確認したところ、初診日から1年6か月後(障害認定日)の時点で既に認定基準を満たしていることが判明しました。そこで、障害認定日請求を行うことにし、認定日当時の診断書と現在の診断書の両方を取得しました。視野検査はゴールドマン型視野計で行われており、両眼の周辺視野角度の和がそれぞれ70度前後、中心視野角度が50度前後という結果でした。病歴・就労状況等申立書には、視野が狭くなったことで日常生活や仕事にどのような支障が出ているかを具体的に記載しました。
5年間の遡及により約400万円を受給
【ご本人の声】
「視野が狭くなって生活に不便を感じていましたが、まさか障害年金がもらえるとは思いませんでした。しかも5年分も遡って受給できたことで、経済的に大きな助けとなりました。専門家に相談して本当に良かったです。」
事例2:網膜色素変性症|初診日特定が困難だったケース
【背景】
Bさん(仮名)は、幼少期から夜になると見えにくいという症状がありました。しかし、「暗いところでは誰でも見えにくいもの」と思い、特に気にせず過ごしていました。30代になってから視野が徐々に狭くなり、昼間でも歩行中につまずいたり、人にぶつかったりすることが増えてきました。心配になって眼科を受診したところ、網膜色素変性症と診断されました。現在は、中心視野は比較的保たれているものの、周辺視野が著しく狭窄しており、日常生活に大きな支障が出ています。
【困難だった点】
Bさんの最大の困難は、初診日の特定でした。網膜色素変性症は先天性または若年発症の疾患であり、幼少期から症状があったものの、正式に診断を受けたのは30代でした。幼少期に症状を訴えて受診した記憶はあるものの、当時の医療機関の名前も場所も覚えておらず、カルテも残っていないと思われました。また、診断を受けた時点では既に視野狭窄が進行しており、障害認定日(初診日から1年6か月後)の診断書を遡って取得することも困難でした。
【サポート内容】
当事務所では、まず初診日の推定作業から始めました。Bさんの母親から幼少期の受診状況を詳しく聞き取り、当時住んでいた地域の眼科をリストアップしました。また、小学校の健康診断の記録や、眼鏡店の処方箋記録など、あらゆる資料を収集しました。最終的に、小学校の健康診断で視力異常を指摘された記録が見つかり、その後に受診したと思われる眼科を特定することができました。しかし、その眼科は既に閉院しており、カルテは入手できませんでした。そこで、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、収集した参考資料を全て添付して初診日を推定しました。診断書は、現在の状態に基づいて作成し、事後重症請求を行いました。自動視野計での測定結果では、両眼開放視認点数が60点、両眼中心視野視認点数が35点で、2級の基準を満たしていました。
【ご本人の声】
「初診日の証明ができないと諦めていましたが、専門家の方が様々な資料を集めてくださり、無事に受給することができました。視野が狭くなって外出も不安でしたが、経済的な支えができたことで、前向きに生活できるようになりました。」
事例3:既受給者の等級改定請求|3級→2級へ
【背景】
Cさん(仮名)は、糖尿病性網膜症により視力と視野の両方に障害があり、数年前から障害厚生年金3級を受給していました。当初は視力障害が主で、視野障害は軽度でしたが、徐々に視野狭窄が進行してきました。令和4年に認定基準が改正されたことを知り、自分の視野の状態で等級が上がる可能性があるのではないかと考え、当事務所に相談されました。
【困難だった点】
Cさんは、最後に視野検査を受けてから1年以上が経過しており、最新の視野の状態を把握していませんでした。また、これまではゴールドマン型視野計での検査しか受けたことがなく、令和4年の改正で新設された自動視野計の基準については全く知識がありませんでした。等級改定請求の手続きについても初めてで、どのような書類が必要か、審査にどのくらい時間がかかるのかなど、不安が多くありました。
【サポート内容】
当事務所では、まずCさんに最新の視野検査を受けていただくようアドバイスしました。その際、可能であればゴールドマン型視野計と自動視野計の両方を受けるよう提案しました。検査の結果、ゴールドマン型視野計では周辺視野角度の和が両眼とも75度前後、中心視野角度が50度前後でした。また、自動視野計では両眼開放視認点数が65点、両眼中心視野視認点数が35点という結果でした。これらの結果から、どちらの基準でも2級に該当することが確認できました。額改定請求の手続きを進め、改正後の新様式で診断書を作成してもらい、最新の視野検査結果を添付して提出しました。
(障害基礎年金2級+障害厚生年金2級)
【ご本人の声】
「認定基準が改正されたことを知らなければ、3級のまま受給し続けていたと思います。等級が上がったことで年金額も大幅に増え、生活にゆとりができました。視野が狭くなって自営業の仕事も大変になっていましたが、経済的な不安が軽減されて助かりました。」
※注釈:上記の事例は、個人情報保護のため、内容を一部変更しています。実際のケースは個々の状況により異なりますので、ご自身のケースについては専門家にご相談ください。
まとめ|視野検査の正しい理解が受給への第一歩
この記事では、ゴールドマン型視野計と自動視野計の違い、令和4年改正後の最新認定基準、視野検査を受ける際のポイント、そして視覚障害における障害年金申請の流れについて詳しく解説してきました。ここで、重要なポイントを改めて整理しておきましょう。
まず、視野検査には「ゴールドマン型視野計」と「自動視野計」という2つの測定方法があり、それぞれ特徴が異なります。令和4年の認定基準改正により、どちらの検査方法でも障害年金の申請が可能になりました。ご自身の視野障害の状態と、通院している医療機関の設備状況に応じて、最も正確に障害の程度を反映できる検査方法を選ぶことが重要です。
次に、令和4年の認定基準改正により、視野障害の認定が大きく変わりました。自動視野計の認定基準が新設され、症状ではなく測定数値で判定されるようになり、視野障害に1級と3級の基準が追加されました。これらの改正により、これまで障害年金を受給できなかった方や、より上位の等級に該当する方が増える可能性があります。
視野検査を受ける際は、体調を整え、十分な睡眠を取り、集中力を保つことが正確な結果を得るために重要です。また、検査結果の信頼性を高めるために、複数回の検査を受けることをおすすめします。診断書には視野検査の結果をコピーして添付する形式になっていますので、検査を受けた際は必ず結果を保管しておきましょう。
視覚障害における障害年金申請では、初診日の特定が困難なケースが多くあります。特に、緑内障や網膜色素変性症など、発症から診断までに時間がかかる疾患では、初診日の証明に苦労することがあります。しかし、諦めずに様々な資料を収集し、専門家のサポートを受けることで、多くのケースで初診日を特定することができます。
視野障害は、外見からはわかりにくい障害です。しかし、日常生活や仕事に大きな支障をきたす深刻な障害であることに変わりはありません。「まだ見えている」「まだ働けている」と我慢せず、ご自身の権利として障害年金の受給を検討してください。
清水総合法務事務所は、「諦めない障害年金」をコンセプトに、視覚障害をはじめとする様々な傷病による障害年金申請をサポートしています。神戸市内はもちろん、明石・西宮・姫路など兵庫県全域に対応しており、初診日の特定から診断書の内容確認、申立書の作成支援まで、経験豊富な社労士が丁寧にお手伝いします。
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