「働いているから障害年金はもらえない」
同名半盲や緑内障、網膜色素変性症などの視野障害で働いている方から、このようなご相談をよくいただきます。
しかし、これは大きな誤解です。視野障害があっても、就労している方が障害年金を受給することは十分に可能です。
実際、当事務所でサポートした視野障害のクライアント様の中にも、配慮を受けながら働きつつ、障害厚生年金3級や2級の認定を受けた方が複数いらっしゃいます。
この記事では、視野障害で働きながら障害年金を受給するための5つの条件と、申請時に就労状況を正しく伝える方法を詳しく解説します。
【こんな方におすすめの記事です】
✓ 視野障害があるが、配慮を受けながら何とか働いている
✓ 「働いているから無理」と諦めかけている
✓ 申請時に就労状況をどう伝えればいいか分からない
✓ 障害者雇用や短時間勤務で働いている
視野障害があっても「働きながら」障害年金を受給できる理由
障害年金は「障害の程度」で判断される
まず、障害年金の審査において最も重要なのは、「障害の程度がどれだけ日常生活や労働に制限を与えているか」です。
「働いているかどうか」だけで判断されるわけではありません。
障害認定基準では、視野障害について以下のような具体的な数値基準が定められています:
視野障害の認定基準(令和4年改正後)
- 2級:両眼の視野が10度以内のもの、または視認点数が一定以下のもの
- 3級:両眼による視野が2分の1以上欠損しているもの、または視認点数が一定以下のもの
- 障害手当金:両眼による視野が2分の1以上欠損しているもの(症状固定)
※厚生年金加入中の初診日の場合、3級または障害手当金の対象となる可能性があります。
つまり、視野検査の結果が認定基準を満たしていれば、働いていても障害年金の対象となるのです。
就労=不支給ではない根拠
日本年金機構が公表している「障害年金の認定にあたっての考え方」においても、「就労の有無のみで判断しない」と明記されています。
審査では以下のポイントが総合的に判断されます:
- 視野検査の結果(ゴールドマン視野計、自動視野計の数値)
- 日常生活における支障の程度
- 就労している場合の業務内容と配慮の状況
- 勤務時間や勤務日数の制限
- 医師の診断書における生活能力の評価
特に厚生年金加入中に初診日がある方は、3級という選択肢があるため、「働きながらでも受給できる可能性が高い」といえます。
重要なポイント
「フルタイムで働けている」=「障害年金の対象外」ではありません。視野障害による具体的な業務制限や配慮の内容が重要になります。
視野障害で働きながら受給できる5つの条件
それでは、視野障害で働きながら障害年金を受給するためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
以下の5つの条件のうち、複数が該当する場合、認定される可能性が高まります。
条件1:業務内容に著しい制限がある
視野障害により、業務内容が大きく制限されている場合は、重要な判断材料となります。
【具体例】
- 以前は営業職だったが、視野障害により外回りができなくなり、内勤に配置転換された
- 製造ラインでの作業ができなくなり、簡易的な検品作業のみに従事
- データ入力業務のみに限定され、他の業務を担当できない
- 接客業務から、顧客と直接対面しないバックオフィス業務に変更
- 書類作成業務は可能だが、会議資料の配布や受付対応などの移動を伴う業務は困難
このように、視野障害によって業務の幅が著しく狭まっていることを示すことが重要です。
条件2:職場から特別な配慮を受けている
職場から視野障害に対する特別な配慮を受けている場合、それは「配慮がなければ就労できない状態」を意味します。
【具体例】
- 障害者雇用枠で採用されている
- デスクの配置を、欠損視野側から人が近づかない位置に変更してもらっている
- 拡大モニターや専用ソフトの使用を認めてもらっている
- 業務指示は必ず正面から、ゆっくりと伝えてもらうようにしている
- 移動時は同僚が声をかけて誘導してくれる
- 会議資料は事前に拡大コピーしてもらっている
- 階段の上り下りは必ず手すりを使うよう指導されている
これらの配慮は、申請時に必ず記載すべき重要な情報です。「当たり前」と思わず、すべて書き出しましょう。
条件3:勤務時間・日数が大幅に減少している
視野障害により、フルタイム勤務が困難になっている場合も、重要な判断材料です。
【具体例】
- 週5日・8時間勤務から、週4日・6時間勤務に短縮
- フルタイムから午前中のみの勤務に変更
- 残業や休日出勤が一切できなくなった
- 通勤ラッシュを避けるため、時差出勤を認めてもらっている
- 疲労により週に1〜2日は欠勤せざるを得ない
特に障害者雇用での短時間勤務の場合は、「配慮を受けて初めて就労できている状態」として評価されます。
条件4:欠損側への注意が常に必要
視野障害の特徴は、「見えない側からの危険に気づけない」ことです。この点を具体的に示すことが重要です。
【具体例】
- 左側(または右側)からの人や物に気づけず、頻繁にぶつかる
- 階段の端が見えず、踏み外しそうになることがある
- すれ違う人に気づかず、相手に避けてもらっている
- デスクの左側(または右側)に置いた物を見落とす
- 会議で左側(または右側)の人の発言に気づくのが遅れる
- 車や自転車の接近に気づかず、危険な目に遭ったことがある
これらは日常的に常に注意を払い続けなければならない状態であり、精神的な負担も大きいことを伝えましょう。
条件5:運転など特定業務ができない
視野障害により、特定の重要な業務や行動ができなくなっている場合も、明確に示すべきです。
【具体例】
- 運転免許の更新ができず、自動車通勤から公共交通機関に変更
- 業務で必要な運転業務ができなくなり、配置転換となった
- 機械操作や工具の使用に支障があり、作業内容が限定された
- 夜間や薄暗い場所での作業が著しく困難
- 細かい作業や精密な作業に時間がかかるようになった
特に運転免許の制限や失効は、視野障害の程度を客観的に示す重要な証拠となります。
【働きながらの受給を検討中の方へ】
上記の5つの条件のうち、3つ以上に該当する場合、障害年金の受給対象となる可能性が高いといえます。
「自分が対象になるか分からない」という方は、まずは無料相談をご利用ください。
視野障害の就労制限を「伝わる形」で示す方法
視野障害があっても働いている方の場合、「具体的にどのような制限を受けながら働いているか」を正確に伝えることが何より重要です。
ここでは、申請時に就労状況を適切に伝えるための3つの方法を解説します。
病歴・就労状況等申立書への具体的な書き方
病歴・就労状況等申立書は、診断書だけでは伝わらない日常生活や就労状況を、あなた自身の言葉で説明できる重要な書類です。
申立書に書くべき内容
- 視野障害による具体的な困難
- 「左側からの人や物に気づかず、1日に3〜4回はぶつかる」
- 「階段の左端が見えず、過去に2回踏み外して転倒した」
- 「書類の左半分を見落とし、上司に何度も指摘されている」
- 職場での配慮の内容
- 「障害者雇用枠で週4日・1日6時間の勤務」
- 「デスクは欠損視野側に壁がある位置に配置してもらっている」
- 「業務は拡大モニター使用が前提のデータ入力のみに限定」
- 業務上の制限
- 「以前の営業業務は視野障害により継続不可能となり、内勤に配置転換」
- 「運転免許の更新ができず、顧客訪問業務から外された」
- 「会議での資料配布や来客対応などの移動を伴う業務は危険なため免除」
- 通勤の困難
- 「通勤ラッシュ時は危険なため、時差出勤を認めてもらっている」
- 「駅から会社まで、同僚に付き添ってもらっている」
- 「自動車通勤から公共交通機関に変更し、通勤時間が2倍になった」
書き方の注意点
- ❌ 「視野が狭くて大変です」→ 抽象的で伝わりません
- ⭕ 「左側120度の視野が欠損しており、左から近づく人に1日3〜4回気づかずぶつかります」→ 具体的で伝わります
数字や頻度を使って、具体的に書くことがポイントです。
病歴・就労状況等申立書の詳しい書き方については、以下の記事で解説しています。
→ 視野障害の病歴・就労状況等申立書|審査に通る書き方7つのコツ
診断書に盛り込むべき就労上の困難
診断書は医師が作成しますが、視野障害による日常生活や就労上の困難を医師にしっかり伝えることが重要です。
医師に伝えるべき内容
- 視野欠損により、仕事でどのような困難があるか
- 職場からどのような配慮を受けているか
- 通勤でどのような困難があるか
- 業務内容がどう制限されているか
- 勤務時間や勤務日数がどう減少したか
診断書作成の前に、これらの情報を箇条書きでメモにまとめて医師に渡すと、診断書に反映されやすくなります。
【医師への伝え方の例】
「先生、障害年金の診断書をお願いしたいのですが、仕事での困りごとを伝えてもよろしいでしょうか。」
「左側の視野が欠損しているため、以下のような困難があります:」
- 営業から内勤に配置転換
- 障害者雇用で週4日・6時間勤務
- 拡大モニター使用
- 移動を伴う業務は免除
- 通勤に同僚の付き添いが必要
「こうした状況を診断書に記載いただけますでしょうか。」
職場の配慮事項を文書化する
可能であれば、職場からの配慮内容を文書化してもらうと、申請時の有力な証拠となります。
文書化してもらうべき内容
- 障害者雇用での採用であること
- 勤務時間・日数の短縮
- 業務内容の制限
- デスク配置などの物理的配慮
- 拡大モニターなどの器具の使用
- 通勤時の配慮(時差出勤など)
これらは「就労状況に関する申出書」や「雇用主の証明書」などの形で取得できることがあります。人事部や上司に相談してみましょう。
文書化が難しい場合
職場に依頼しづらい場合は、病歴・就労状況等申立書に詳しく記載することで対応できます。無理に会社に依頼する必要はありません。
視野障害で働きながら受給した実例
実際に、視野障害で働きながら障害年金を受給した事例をご紹介します。
事例1:障害者雇用・短時間勤務で3級認定(Aさん・40代男性)
【基本情報】
- 傷病名:緑内障による視野障害
- 認定等級:障害厚生年金3級
- 年金額:年額約78万円(月額約6.5万円)
- 就労状況:障害者雇用枠で週4日・1日6時間勤務(データ入力業務)
【状況】
Aさんは、緑内障の進行により両眼の視野が著しく狭窄。以前はフルタイムで営業職として働いていましたが、視野障害により外回りが困難になり、内勤のデータ入力業務に配置転換されました。
その後、障害者雇用枠に移行し、週4日・1日6時間の短時間勤務となりました。
【認定のポイント】
- 視野検査で両眼の視野が2分の1以上欠損
- 障害者雇用枠での短時間勤務
- 業務内容が大幅に制限(営業 → データ入力のみ)
- 拡大モニター使用、デスク配置の配慮
- 通勤時は同僚の付き添いが必要
【申請のポイント】
病歴・就労状況等申立書に、営業職時代と現在の業務内容の違い、障害者雇用での配慮内容を具体的に記載。視野障害により通常の勤務が困難であることを明確に示しました。
事例2:デスクワーク中心に配置転換で2級認定(Bさん・50代女性)
【基本情報】
- 傷病名:脳梗塞後遺症による同名半盲と高次脳機能障害
- 認定等級:障害厚生年金2級(併合認定)
- 年金額:年額約200万円
- 就労状況:週3日・1日4時間勤務(簡易的な事務作業)
【状況】
Bさんは、脳梗塞の後遺症で右側同名半盲と軽度の高次脳機能障害が残存。以前は接客を伴う事務職でしたが、視野障害により接客が困難になり、簡易的な事務作業のみに業務が限定されました。
また、疲労しやすくなり、週3日・1日4時間の勤務に短縮。
【認定のポイント】
- 同名半盲による視野障害(視野検査で基準該当)
- 高次脳機能障害との併合認定で2級
- 週3日・1日4時間の大幅な勤務短縮
- 接客業務から簡易事務作業のみに制限
- 通勤は家族の送迎が必要
【申請のポイント】
視野障害と高次脳機能障害の両方の診断書を取得し、併合認定を申請。視野障害だけでは3級相当でしたが、高次脳機能障害と併合することで2級の認定となりました。
同名半盲と高次脳機能障害の併合認定について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
→ 同名半盲と高次脳機能障害の併合認定で2級を目指す申請戦略
事例から学ぶポイント
- 「働いている」=「不支給」ではない
- 障害者雇用や短時間勤務は、「配慮を受けて働いている」証拠
- 業務内容の制限を具体的に示すことが重要
- 視野障害だけで2級が難しい場合、他の障害との併合を検討
よくある質問
Q1. フルタイムで働いていても障害年金はもらえますか?
A. 視野障害の程度によっては可能です。重要なのは「勤務時間」ではなく、「視野障害による業務制限や配慮の内容」です。フルタイムでも、業務内容が大きく制限されていたり、職場から特別な配慮を受けている場合は、障害年金の対象となる可能性があります。
Q2. 障害者雇用で働いていますが、それだけで認定されますか?
A. 障害者雇用であることは有利な要素ですが、それだけでは認定されません。視野検査の結果が認定基準を満たしていることが前提です。その上で、障害者雇用での配慮内容や業務制限を具体的に示すことで、認定の可能性が高まります。
Q3. 申請後に就労状況が変わったらどうなりますか?
A. 申請後に勤務時間が増えたり業務内容が拡大した場合でも、認定時点での状況で判断されます。ただし、受給開始後に就労状況が大きく変わった場合は、更新時(1〜5年後)に等級が見直される可能性があります。
Q4. 運転免許がまだ有効ですが、申請できますか?
A. 運転免許の有無だけで判断されるわけではありません。視野検査の結果が認定基準を満たしていれば、申請は可能です。ただし、運転免許の更新ができなくなった場合や、業務での運転ができなくなった場合は、視野障害の程度を示す重要な情報となります。
Q5. 在職中に申請すると、会社に知られますか?
A. 基本的に、障害年金の申請は会社に知られることはありません。ただし、「就労状況に関する申出書」などで会社から証明をもらう場合は、人事部などに相談する必要があります。会社への依頼が難しい場合は、病歴・就労状況等申立書に詳しく記載することで対応できます。
Q6. 3級と2級の違いは何ですか?働いていると3級になりますか?
A. 3級と2級の違いは、視野障害の程度です。「働いているから3級」というわけではありません。視野検査の結果が2級の基準を満たしていれば、働いていても2級に認定される可能性があります。ただし、3級は厚生年金加入者のみが対象で、国民年金加入者には3級がない点に注意が必要です。
まずは無料相談から
視野障害で働きながら障害年金を受給することは、決して「無理」ではありません。
しかし、就労状況を正しく伝える方法を知らないと、本来受給できるはずの方が不支給になってしまうこともあります。
この記事のまとめ
- 視野障害で働いていても、障害年金は受給できる
- 重要なのは「視野障害の程度」と「業務制限・配慮の内容」
- 5つの条件のうち、3つ以上に該当すれば受給の可能性が高い
- 病歴・就労状況等申立書に、具体的な困難を数字で示すことが重要
- 障害者雇用や短時間勤務は、「配慮を受けている」証拠
当事務所では、視野障害で働きながら障害年金を受給したいという方のサポート実績が多数あります。
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