酸素療法で障害年金はいくら?働きながらでも受給できる条件を解説

酸素療法で障害年金はいくら?働きながらでも受給できる条件を解説

「酸素療法を使いながら通勤しているけど、障害年金はもらえるの?」「5kgの酸素ボンベを背負って階段を15分かけて昇るのがやっと…」「月1万円以上の酸素代が家計を圧迫している」

このような不安を抱えながら、働き続けている方は少なくありません。しかし、在宅酸素療法を使用している方は、働いていても障害年金の対象です。「まだ働けているから無理」と諦める必要はありません。

この記事では、酸素療法で受給できる障害年金の金額、働きながら受給できる条件、初診日が証明できない場合の対処法まで、専門家の視点から詳しく解説します。

この記事で分かること:

  • 2025年度の障害年金の受給額(2級で年間約167万円、家族構成により加算あり)
  • 働きながらでも受給できる具体的な条件
  • 在宅酸素療法特有の特例(開始日が障害認定日になる)
  • 初診日が証明できない場合の対処法
  • 実際の受給事例3つ

神戸・兵庫県で障害年金専門の社会保険労務士として、多くの酸素療法患者様の申請をサポートしてきた経験から、諦める前に知っていただきたいことをお伝えします。

無料相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。初診日証明が困難なケースや、他の社労士に断られたケースでも対応しています。詳しくはこちら

目次

酸素療法中でも働きながら障害年金を受給できる?

結論から申し上げます:はい、働いていても障害年金は受給できます。

障害年金を受給するための3つの要件は、「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」であり、「働いていないこと」は要件に含まれていません。つまり、就労の有無は、障害年金の受給資格に直接関係しないのです。

24時間常時の在宅酸素療法なら3級以上が確定

厚生労働省の障害認定基準によれば、常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中で、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは3級と認定されます。さらに、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、2級または1級に認定される可能性もあります。

つまり、24時間酸素を使用している時点で、働いているかどうかに関わらず、障害年金3級以上に該当する可能性が高いのです。

在宅酸素療法開始日が障害認定日になる特例

通常、障害年金の障害認定日は「初診日から1年6か月後」ですが、在宅酸素療法には特例があり、在宅酸素療法を開始した日(初診日から1年6か月以内の場合)が障害認定日となります。

この特例により、酸素療法を開始してすぐに障害年金の申請が可能となり、早期に経済的支援を受けられる可能性があります。また、遡及請求により、酸素療法開始時点からの年金を受け取れる可能性もあります。

就労状況と障害年金受給の関係

以下の表で、様々な就労状況と障害年金受給の関係を整理しました。

就労状況 障害年金受給の可否 ポイント
フルタイム勤務(配置転換でデスクワーク) ○ 受給可能 通勤や業務で身体的負担があれば認定される
短時間勤務・パート ○ 受給可能 勤務時間の短縮が必要な理由が重要
テレワーク中心 ○ 受給可能 通勤困難、頻繁な休憩が必要なら認定される
自営業・個人事業主 ○ 受給可能 業務量の減少、休業日数の増加などが考慮される
求職中・休職中 ○ 受給可能 就労の有無は要件ではない

重要なのは、「働いているかどうか」ではなく、「働く上でどのような身体的制約を受けているか」です。例えば、以下のような状況であれば、働いていても障害年金の対象となります。

  • 通勤電車で息切れがひどく、座席に座れないと辛い
  • 階段昇降に時間がかかり、エレベーターが必須
  • デスクワークでも、頻繁に休憩が必要
  • 配置転換で現場作業からデスクワークに変更された
  • 勤務時間を短縮せざるを得ない

実際に、当事務所でサポートした52歳の製造業管理職の方は、配置転換でデスクワークに変更され、フルタイムで勤務していましたが、障害厚生年金2級を受給できました(事例1参照)。

「働いているから無理」と諦める前に、まずは専門家にご相談ください。

酸素療法での障害年金はいくらもらえる?【2025年度最新】

障害年金の金額は、障害等級(1級・2級・3級)と、加入していた年金制度(国民年金・厚生年金)によって異なります。ここでは、2025年度(令和7年度)の最新金額をもとに、具体的な受給額を解説します。

障害基礎年金と障害厚生年金の2階建て構造

障害年金は、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、初診日に加入していた年金制度によって受給できる年金が決まります。

  • 障害基礎年金:初診日に国民年金に加入していた方(自営業者、専業主婦、学生、無職の方など)
  • 障害厚生年金:初診日に厚生年金に加入していた方(会社員、公務員など)

障害厚生年金の1級・2級の方は、障害基礎年金も同時に受給できるため、「2階建て」の年金となります。3級は障害厚生年金のみです。

2025年度の障害基礎年金の金額

2025年度の障害基礎年金の年額は以下の通りです(前年度から1.9%引き上げ)。

等級 年額 月額(目安)
1級 1,039,625円 約86,635円
2級 831,700円 約69,308円

子どもがいる場合の加算額

障害基礎年金を受給する方に、18歳到達年度の年度末(3月31日)までの子ども、または20歳未満で障害等級1級または2級の子どもがいる場合、以下の加算額が上乗せされます。

対象 加算額(年額)
第1子・第2子 各239,300円
第3子以降 各79,800円

重要な注意点:

  • 子どもが18歳到達年度の年度末を過ぎると、その翌月から加算がなくなります
  • 例:子どもが高校3年生の3月31日を過ぎると、4月分から加算がなくなります
  • 生計を維持している(前年の収入が850万円未満など)ことが条件です

障害厚生年金の金額(2階建て構造)

障害厚生年金は、「障害基礎年金」+「報酬比例部分」+「配偶者加給年金(1級・2級のみ)」の3つで構成されます。

報酬比例部分とは:

過去の給与額と厚生年金の加入期間に応じて計算される部分です。簡単に言うと、「会社勤めが長く、給与が高いほど金額が増える」仕組みです。

目安として、以下のような計算になります:

  • 平均標準報酬月額25万円、加入期間20年の場合:年間約41万円
  • 平均標準報酬月額40万円、加入期間30年の場合:年間約80万円

※加入期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。

配偶者加給年金(障害厚生年金1級・2級のみ):

以下の条件をすべて満たす配偶者がいる場合、年額239,300円が加算されます。

  • 受給権者によって生計を維持されていること
  • 配偶者が65歳未満であること
  • 配偶者の前年の収入が850万円未満であること
  • 配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金を受給していないこと
  • 配偶者が障害年金を受給していないこと
  • 婚姻関係にあること(事実婚も含む)

モデルケースで見る具体的な受給額

ここでは、酸素療法を使用している52歳男性(妻49歳、長男20歳、長女17歳、平均標準報酬月額約40万円、厚生年金加入期間28年)のケースで計算してみます。

項目 金額(年額)
障害基礎年金2級 831,700円
報酬比例部分(28年加入、平均月額40万円) 約600,000円
配偶者加給年金 239,300円
子の加算(長女17歳のみ対象、長男20歳は対象外) 239,300円
合計 1,910,300円
月額 約159,191円

注意点:

  • 長男は20歳なので子の加算の対象外です
  • 長女は17歳なので対象ですが、高校卒業後の4月分からは加算がなくなります
  • 長女が18歳になった後は、年額1,670,000円(月額約139,000円)になります

遡及請求で一時金を受け取れる可能性

在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となるため、申請時点から遡って年金を受け取れる可能性があります。時効は5年ですが、多くの場合、酸素療法開始から数年以内に申請するケースが多いです。

遡及請求の例:

上記のモデルケース(年額1,910,300円)で、在宅酸素療法開始から2年後に申請した場合、約382万円の一時金を受け取れる可能性があります。

実際に、当事務所でサポートした慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方は、3年8か月分を遡及請求し、約414万円の一時金を受け取ることができました。

等級別の受給額まとめ

等級 国民年金のみ 厚生年金(報酬比例部分を年60万円と仮定)
1級 約104万円/年 約156万円/年 + 配偶者加給
2級 約83万円/年 約149万円/年 + 配偶者加給
3級 対象外 最低保証額62万円~

※厚生年金の金額は、報酬比例部分を年60万円と仮定した場合の目安です。実際の金額は、加入期間と平均給与により異なります。

次のセクションでは、障害年金を受給するための3つの要件について詳しく解説します。

障害年金を受給するための3つの要件

障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 初診日要件:初診日に公的年金に加入していること
  2. 保険料納付要件:一定期間、保険料を納付していること
  3. 障害状態要件:障害認定基準に該当する障害の状態であること

それぞれ詳しく解説します。

要件1:初診日要件

初診日(障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日)に、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 国民年金または厚生年金の被保険者であること
  • 20歳前(国民年金に加入する前)であること
  • 60歳以上65歳未満で、日本国内に住んでいること(老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない場合)
  • 厚生年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住んでいること

よくある質問:「初診日がいつか分からない場合はどうすればいいですか?」

初診日が不明な場合、様々な方法で証明・推定することが可能です。詳しくは「初診日が証明できない場合はどうする?」のセクションをご覧ください。

要件2:保険料納付要件

初診日の前日において、以下のいずれかを満たす必要があります。

原則:

初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。

特例(2026年4月1日前まで):

初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。

この特例により、過去に未納期間が長くても、直近1年間さえ納付していれば要件を満たすことができます。

重要なポイント:

  • 学生納付特例や免除期間は、「納付済」として扱われます
  • 厚生年金加入中(会社員・公務員)の方は、給与天引きのため基本的に要件を満たしています
  • 国民年金の方は、直近1年間の納付状況を確認しましょう
  • 「前々月まで」とされているのは、納付期限が翌月末日のためです

よくある質問:「保険料の未納があるのですが、受給できませんか?」

3分の2要件または直近1年要件のいずれかを満たせば受給可能です。ご自身で判断が難しい場合は、年金事務所または社労士にご相談ください。

要件3:障害状態要件

障害認定日(初診日から1年6か月後、または在宅酸素療法開始日)において、障害認定基準に該当する障害の状態であることが必要です。

在宅酸素療法の場合:

24時間常時の在宅酸素療法を施行中で、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは3級以上が確定します。臨床症状、動脈血ガス分析値、肺機能検査、具体的な日常生活状況等によっては、2級または1級に認定されます。

詳しい認定基準については、次のセクション「酸素療法の障害認定基準」で解説します。

よくある質問:「酸素は運動時だけで、24時間ではありません。受給できませんか?」

24時間常時使用でなくても、動脈血ガス分析値、肺機能検査、日常生活の制約などを総合的に判断して認定される可能性があります。諦めずにご相談ください。

自己チェック:要件を満たしているか確認しよう

項目 確認内容 Yes/No
初診日 初診日(最初に呼吸器症状で受診した日)が分かりますか?
初診日の年金加入 初診日に国民年金または厚生年金に加入していましたか?(20歳前または60-65歳の国内居住も含む)
保険料納付(特例) 初診日の前々月までの直近1年間に未納期間はありませんか?
保険料納付(原則) 初診日の前々月までの加入期間の3分の2以上、保険料を納付または免除されていますか?
障害状態 24時間常時の在宅酸素療法を使用していますか?または、それに準じる症状がありますか?

すべて「Yes」の方:障害年金を受給できる可能性が高いです。早めに申請手続きを進めましょう。

一つでも「No」がある方:諦めないでください!

  • 初診日が不明 → 様々な方法で証明・推定できます(次々セクション参照)
  • 保険料の未納がある → 3分の2要件または1年要件のいずれかを満たせばOK。専門家に相談を
  • 24時間使用ではない → 症状の程度によっては認定される可能性があります

「自分は対象外だ」と思い込んでいる方こそ、専門家にご相談いただくことをお勧めします。

酸素療法の障害認定基準|何級に認定される?

酸素療法を使用している方が、障害年金で何級に認定されるかは、酸素の使用状況、症状の程度、日常生活への影響を総合的に判断して決まります。ここでは、厚生労働省の障害認定基準をもとに、等級判定の目安を詳しく解説します。

呼吸器疾患の障害認定基準とは

障害年金の認定は、厚生労働省が定める「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて行われます。呼吸器疾患の場合、以下の要素を総合的に判断します。

  • 動脈血ガス分析値:PaO2(動脈血酸素分圧)、PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)
  • 肺機能検査:%VC(%肺活量)、FEV1.0%(1秒率)
  • 臨床症状:息切れ、呼吸困難、チアノーゼ、体重減少など
  • 治療内容:酸素療法の有無、使用時間、流量
  • 日常生活状況:一般状態区分表(ア~オ)による評価

重要なのは、これらの要素を総合的に判断するという点です。検査数値だけで機械的に判定されるわけではなく、日常生活でどれだけ困っているかが重視されます。

各等級の目安と具体的な状態

酸素療法を使用している方の等級判定の目安を、表にまとめました。

等級 酸素使用状況 日常生活の状態 就労状況
3級 24時間常時使用 軽作業以外は常に困難、階段昇降で強い息切れ、外出時に酸素ボンベ携帯が必須 配置転換でデスクワーク、またはテレワーク中心
2級 24時間常時使用 身の回りのことに援助が必要、入浴後も休憩が必要、階段昇降が著しく困難、外出が大きく制限される 就労困難、または短時間勤務が限界
1級 24時間常時使用、高流量 常時介助が必要、ベッド周辺の活動に限られる、入浴・排泄にも介助が必要 就労不可能

一般状態区分表による評価も重要な判断材料です。以下の5段階で日常生活の状態を評価します。

  • :無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる
  • :軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行・軽労働・座業はできる(2級または3級の目安)
  • :歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している(2級の目安)
  • :身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能(2級または1級の目安)
  • :身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がベッド周辺に限られる(1級の目安)

在宅酸素療法特有の特例|酸素療法開始日が障害認定日に

酸素療法には、障害年金において非常に重要な特例があります。それは、在宅酸素療法を開始した日を障害認定日とすることができるという点です。

通常、障害認定日は「初診日から1年6か月後」ですが、在宅酸素療法を初診日から1年6か月以内に開始した場合、酸素療法を開始した日が障害認定日となります。

この特例のメリット:

  • 酸素療法開始からすぐに申請できる(1年6か月待つ必要がない)
  • 酸素療法開始時点から遡及して受給できる可能性が高い
  • 早期に経済的支援を受けられる

例えば、2022年10月に初診、2023年2月に在宅酸素療法を開始した場合、2023年2月が障害認定日となります。2025年12月に申請が認められれば、2023年2月から2025年12月までの約2年10か月分を遡及して受給できる可能性があります。

この特例があるため、酸素療法を開始した方は、できるだけ早めに申請することをお勧めします。時間が経つほど、遡及できる期間が短くなってしまうからです(ただし、時効は5年です)。

次のセクションでは、「初診日が証明できない」という不安を抱えている方への対処法を詳しく解説します。

当事務所では、このような複雑なケースにも対応しています

  • 初診日が不明確なケースの調査・証明
  • 医師との診断書作成に関する連携サポート
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行
  • 不支給決定後の再申請・審査請求

神戸・兵庫県で多数の申請サポート実績があります。詳しくはこちら

初診日が証明できない場合はどうする?廃院・カルテ廃棄への対応

「初診の病院がもう廃院している」「カルテが廃棄されて証明できない」―このような理由で、障害年金の申請を諦めている方が少なくありません。しかし、初診日が証明できなくても、諦める必要はありません。様々な方法で初診日を推定・証明することが可能です。

初診日証明が困難なケースとは

以下のようなケースで、初診日の証明が困難になることがあります。

  • 初診の病院が廃院している
  • カルテの保存期間(通常5年)を過ぎて廃棄されている
  • 複数の医療機関を転々としており、どこが初診か不明
  • 20年以上前の受診で、記憶が曖昧
  • 最初は別の症状で受診し、後から現在の傷病と診断された

当事務所でサポートした事例でも、初診の個人クリニックが5年前に廃院し、カルテが取得できなかったケースがありました。しかし、様々な方法を駆使して初診日を証明し、受給につなげることができました。

初診日を証明・推定する方法

初診日を証明するための方法は、「受診状況等証明書」だけではありません。以下のような代替手段があります。

1. 第三者証明

家族、友人、同僚など第三者の証言により、初診日を証明する方法です。

  • 「○○年○月頃、本人が病院に行くと言っていた」
  • 「○○年頃から、息切れがひどいと話していた」
  • 複数名の証言があれば信憑性が高まる

2. 診察券・お薬手帳・領収書

古い診察券、お薬手帳、医療費の領収書などから、受診時期を推定できます。

  • 診察券の番号から受診時期を推定
  • お薬手帳の記録から処方薬と時期を確認
  • 医療費控除の記録から受診歴を証明

3. 健康診断・人間ドックの記録

会社の健康診断や人間ドックで異常を指摘された記録があれば、それが初診日の推定材料になります。

4. 参考となる医学的見解

現在の主治医に「この病状になるまでには、通常何年かかるか」という医学的見解を記載してもらうことで、初診日を推定する方法です。

5. 後継医療機関への照会

廃院した病院の診療記録を、後継の医療機関や医師会が保管している場合があります。当事務所では、廃院した病院の情報を調査し、後継医療機関に照会することもサポートしています。

初診日証明の実例|廃院から受給成功へ

当事務所でサポートした63歳男性の事例では、初診の個人クリニックが5年前に廃院し、カルテが取得できませんでした。しかし、以下の方法で初診日を証明できました。

  • 妻と友人2名の第三者証明
  • お薬手帳の記録(8年前の処方記録)
  • 会社の健康診断で異常を指摘された記録(10年前)
  • 現在の主治医による医学的見解

これらを組み合わせることで、「初診日は約8年前」と認められ、障害基礎年金2級を受給することができました。

初診日の証明は、障害年金申請で最も専門的な知識と経験が必要な部分です。「証明できない」と諦める前に、ぜひ専門家にご相談ください。

酸素療法の障害年金申請|必要書類と手続きの流れ

ここでは、実際に障害年金を申請する際の必要書類と手続きの流れを解説します。

申請に必要な書類

障害年金の申請には、以下の書類が必要です。

  1. 診断書(呼吸器疾患用):現在の主治医に作成を依頼
  2. 病歴・就労状況等申立書:ご自身で作成(または社労士が代行)
  3. 受診状況等証明書:初診の医療機関で取得(初診と診断書作成医療機関が同じ場合は不要)
  4. 年金手帳または基礎年金番号通知書
  5. 戸籍謄本:受給権発生日以降のもの
  6. 住民票:世帯全員分、マイナンバー記載なし
  7. 預金通帳のコピー:年金受取口座
  8. 所得証明書:20歳前傷病の場合のみ

診断書作成のポイント

診断書は、障害年金申請で最も重要な書類です。以下のポイントが正確に記載されているか確認しましょう。

  • 動脈血ガス分析値:PaO2、PaCO2の数値
  • 酸素使用状況:24時間常時使用か、使用時間と流量
  • 肺機能検査:%VC、FEV1.0%の数値
  • 日常生活の制限:階段昇降、入浴、家事、通勤での具体的な困難
  • 予後:今後の見通し

医師は病状を正確に把握していますが、日常生活での具体的な困難さは、診察時には分からないこともあります。事前に、日常生活での困難を具体的にメモして医師に伝えることが重要です。

申請の流れ

障害年金申請の流れは以下の通りです。

ステップ 内容 所要期間
1. 相談 年金事務所または社労士に相談、受給の可能性を確認 1日
2. 書類準備 診断書・受診状況等証明書の取得、病歴申立書の作成 1-2か月
3. 申請 年金事務所に書類を提出 1日
4. 審査 日本年金機構で審査 3-4か月
5. 結果通知 年金証書または不支給通知書が郵送される

審査期間は通常3-4か月ですが、書類に不備がある場合や、審査が混雑している時期はさらに時間がかかることがあります。

当事務所にご依頼いただいた場合、書類準備から申請まで、すべてサポートいたします。医師への診断書依頼書の作成、病歴申立書の作成代行、書類の不備チェックなど、複雑な手続きを安心してお任せください。

酸素療法で障害年金を受給した事例|3つのケースを紹介

ここでは、当事務所でサポートした酸素療法での障害年金受給事例を3つご紹介します。実際の事例をもとにしていますが、個人情報保護のため、内容を一部変更しています。

【事例1】50代会社員・COPD・初回申請で2級認定|月額約16万円

ご相談者の状況:

  • 年齢:52歳男性
  • 疾患:COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  • 家族:妻49歳(パート)、長男20歳(大学生)、長女17歳(高校生)
  • 職業:製造業の現場管理職 → 配置転換でデスクワーク
  • 酸素使用:24時間常時(流量2L/分)
  • 初診:3年前の地元クリニック

困難だった点:

喫煙歴30年でCOPDを発症。徐々に息切れがひどくなり、2年前から在宅酸素療法を開始しました。通勤電車で息切れがひどく、会社の3階まで階段を昇るのに15分かかる日々。現場作業ができなくなり、デスクワークに配置転換されましたが、それでも月の半分は体調不良で欠勤または早退していました。

配置転換で給与は月5万円減。子どもの学費と住宅ローンで貯蓄が減り、経済的に追い詰められていました。「まだ働いているから障害年金は無理では?」と半信半疑でしたが、同僚の勧めで当事務所にご相談いただきました。

当事務所のサポート内容:

  • 初診日の特定(3年前のクリニック受診記録を確認)
  • 診断書作成時の医師への依頼書作成(日常生活の困難さを具体的に記載)
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行(通勤・勤務での身体的負担を詳述)
  • 就労状況と身体的制約の整合性を明確化

結果:

項目 内容
認定等級 障害厚生年金2級
年額 約191万円
月額 約16万円
遡及 在宅酸素開始日から2年、一時金約382万円

ご本人の声:

「働いているから無理だと思っていましたが、社労士さんに『就労の有無は関係ない』と言われて安心しました。月16万円の支援で、妻のパート負担が減り、治療に専念できる環境が整いました。遡及で受け取った一時金で、住宅ローンの一部を繰り上げ返済できました。諦めなくて本当に良かったです」

【事例2】60代自営業・間質性肺炎・初診日証明困難→受給成功|月額約7万円

ご相談者の状況:

  • 年齢:63歳男性
  • 疾患:特発性間質性肺炎
  • 家族:妻65歳(専業主婦)
  • 職業:自営業(内装業)→ 廃業
  • 酸素使用:24時間常時(流量3L/分)
  • 問題:初診の個人クリニックが5年前に廃院、カルテなし

困難だった点:

初診日が約8年前でしたが、当時通っていた個人クリニックが5年前に廃院し、カルテが取得できませんでした。その後、複数の病院を転々としており、受診歴が不明確でした。自営業のため、収入がゼロになり、国民年金のみで生活が困窮していました。

地元の社労士に相談したところ、「初診日が証明できないと難しい」と断られ、諦めていました。インターネットで当事務所を見つけ、「諦めない障害年金」というコンセプトに希望を持ってご相談いただきました。

当事務所のサポート内容:

  • 廃院した病院の後継医療機関への問い合わせ(残念ながら記録なし)
  • 第三者証明(妻・友人2名の証言)の作成支援
  • お薬手帳の記録から受診歴を推定(8年前の処方薬記録を発見)
  • 会社の健康診断で異常を指摘された記録を取得(10年前)
  • 現在の主治医による医学的見解(「この病状になるまで約8年」)

結果:

項目 内容
認定等級 障害基礎年金2級
年額 約83万円
月額 約7万円
遡及 1年、一時金約83万円

ご本人の声:

「初診日が証明できず、他の社労士さんにも断られて諦めていました。清水先生が粘り強く調査してくださり、お薬手帳の記録から証明することができました。国民年金だけなので金額は多くありませんが、妻と二人の生活を支える大きな助けになっています」

【事例3】40代女性・肺線維症・不支給→再申請で3級認定|月額約8万円

ご相談者の状況:

  • 年齢:48歳女性
  • 疾患:特発性肺線維症
  • 家族:独身
  • 職業:事務職(テレワーク中心に変更)
  • 酸素使用:労作時・睡眠時(運動時流量3L/分)
  • 問題:1回目の申請で不支給決定

困難だった点:

1回目は自己申請で不支給となりました。不支給理由を読むと、「日常生活に支障がない」と判断されていました。しかし実際は、階段昇降が困難で、家事も頻繁に休憩しながらやっとこなしている状態でした。

診断書には動脈血ガス分析値は記載されていましたが、日常生活の困難さが十分に伝わっていませんでした。また、テレワークで在宅勤務しているため、「働けている」と判断された可能性がありました。

当事務所のサポート内容:

  • 不支給理由の詳細分析
  • 日常生活での具体的な困難を医師に伝えるための依頼書作成
  • 動脈血ガス分析値の経時的変化を強調
  • 労作時の酸素使用が必須である点を明確化
  • テレワークでも頻繁に休憩が必要な実態を申立書に詳述
  • 階段昇降、入浴、家事での具体的な困難を記載

結果:

項目 内容
認定等級 障害厚生年金3級(再申請)
年額 約98万円
月額 約8万円
遡及 なし(不支給後の再申請のため)

ご本人の声:

「1回目の不支給で『やっぱり無理なんだ』と落ち込みました。でも、社労士さんに『諦めないでください』と言われて再挑戦しました。診断書の書き方次第でこんなに変わるとは思いませんでした。月8万円でも、治療費と生活費の足しになり、気持ちが楽になりました」

※上記はすべて実際の事例をもとにしていますが、個人情報保護のため、内容を一部変更しています。

酸素療法と障害年金のよくある質問

酸素療法での障害年金について、よくいただく質問にお答えします。

Q1: 酸素を使い始めたばかりですが、すぐに申請できますか?
A: はい、可能です。在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となります(初診日から1年6か月以内の場合)。開始直後から日常生活に支障がある場合は、早めの申請をお勧めします。

Q2: 働きながら受給すると、年金が減額されますか?
A: いいえ、20歳以降に初診日がある場合、所得による減額はありません。ただし、20歳前傷病(20歳前に初診日がある場合)は所得制限があります。

Q3: 酸素の流量が少ないと受給できませんか?
A: 流量だけでは判断されません。24時間常時使用していること、日常生活での困難さ、動脈血ガス分析値などを総合的に判断します。流量が少なくても、症状が重い場合は受給の可能性があります。

Q4: 更新はありますか?
A: はい、多くの場合は有期認定(1-5年ごとの更新)です。更新時には診断書の提出が必要です。病状が安定していても、酸素療法が継続している限り、受給は続きます。

Q5: 診断書の費用は自己負担ですか?
A: はい、診断書作成費用(通常5,000-10,000円程度)は自己負担です。ただし、受給が決定すれば、その費用は十分にカバーされます。

Q6: 社労士に依頼すると、どれくらいの費用がかかりますか?
A: 当事務所では、着手金と成功報酬の2段階でお支払いいただいています。詳しい料金は、無料相談時にご説明いたします。多くの場合、遡及で受け取る一時金や、受給が決まった最初の2か月分の年金で、報酬をカバーできます。

まとめ|酸素療法での障害年金申請は専門家にご相談を

ここまで、酸素療法で障害年金を受給するための情報を詳しく解説してきました。重要なポイントをまとめます。

  • 在宅酸素療法使用中なら、働いていても障害年金の対象
  • 24時間常時使用なら3級以上が確定、症状により2級・1級の可能性
  • 2級で年間約167万円(月額約14万円)、家族構成により加算あり
  • 在宅酸素療法開始日が障害認定日となり、遡及請求の可能性が高い
  • 初診日が証明できなくても、様々な方法で対応可能
  • 不支給決定後の再申請でも、適切な対応で受給できる可能性

酸素療法を使用しながらの生活は、周囲が想像する以上に大変です。通勤時の身体的負担、外出の制約、医療費の負担、将来への不安…。障害年金は、そんなあなたの生活を支える重要な制度です。

「働いているから」「初診日が分からないから」と諦める必要はありません。多くの方が、同じ不安を抱えながらも、適切なサポートを受けて受給に至っています。

神戸・兵庫県の障害年金専門社労士として、当事務所は「諦めない障害年金」をコンセプトに、複雑なケースにも対応しています。初診日証明が困難なケース、他の社労士に断られたケース、不支給決定後の再申請など、多数の実績があります。

まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう

酸素療法による障害年金申請は、専門的な知識と経験が必要です。当事務所では、初回相談を無料で承っております。あなたの状況に応じて、最適な申請方法をご提案いたします。

【お問い合わせ方法】

  • お電話:050-7124-5884(平日9:00-17:00)
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神戸市須磨区の清水総合法務事務所まで、お気軽にご相談ください。兵庫県内であれば、訪問相談も承ります。

「諦めない障害年金」 – あなたの権利を、私たちと一緒に守りましょう。

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