20歳前傷病の障害年金|申請タイミングと準備スケジュールを徹底解説

20歳前傷病の障害年金|申請タイミングと準備スケジュールを徹底解説(1)

「来年、子どもが20歳を迎えるけれど、障害年金の手続きはいつから始めればいいのだろう…」「保険料を納めていないのに、本当に年金がもらえるのか不安…」そんな疑問をお持ちではありませんか?

20歳前に初診日がある傷病を「20歳前傷病」と呼び、保険料の納付がなくても障害基礎年金を受給できる可能性があります。しかし、いつから準備を始めればいいのか、どんな書類が必要なのか、初めての方には分かりにくい部分も多いのが実情です。

このページでは、20歳前傷病による障害年金について、申請タイミング、準備スケジュール、必要書類など、初めての方にも分かりやすく解説します。特に重要なのは「20歳の誕生日3ヶ月前からの準備」です。この時期を逃すと、受給開始が遅れてしまう可能性があります。

知的障害、発達障害、先天性の身体障害、精神疾患など、20歳前に初診がある方やそのご家族の方に向けて、段階を追って丁寧に説明していきます。

障害年金についてもっと詳しく知りたい方、ご自身のケースについて相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。神戸の障害年金専門社労士が、あなたの疑問にお答えします。

まとめ_認定日とは?障害年金をいつから申請できるか分かりやすく解説 (2)

目次

20歳前傷病の障害年金|申請準備はいつから始める?

準備開始の最適なタイミングは「誕生日の3ヶ月前」

20歳前傷病による障害年金の申請準備は、20歳の誕生日3ヶ月前(19歳9ヶ月)から始めることをおすすめします。なぜこの時期が重要なのでしょうか。

障害年金の申請には、障害認定日の前後3ヶ月以内の状態を示す診断書が必要です。20歳前傷病の多くのケースでは、20歳到達日(誕生日の前日)が障害認定日となります。つまり、診断書の現症日は、20歳到達日の前後3ヶ月以内でなければなりません。

診断書の作成には、医師の診察、必要に応じて知能検査や発達検査などが必要となり、検査結果が出るまでに1〜2ヶ月かかることもあります。そのため、20歳の誕生日3ヶ月前から準備を始めることで、余裕を持って手続きを進められるのです。

年齢別の準備スケジュール|いつ何をすべきか

20歳前傷病の障害年金申請は、年齢に応じて準備すべきことが変わります。以下のタイムラインを参考に、計画的に準備を進めましょう。

時期 準備すべきこと ポイント
15歳〜18歳頃 初診日の証明書類の確認
受診状況等証明書の検討
カルテ保存期限は5年。初診から5年以内であれば、カルテが残っている可能性が高い
18歳6ヶ月 重要な期限を確認
(詳しくは次の項目で解説)
この日付が障害認定日の決定に影響する
19歳頃 受診状況等証明書の取得検討
主治医との関係構築
長期間通院していない場合は、定期的な受診を再開
19歳9ヶ月
(誕生日3ヶ月前)
診断書の作成依頼
知能検査・発達検査の予約
病歴・就労状況等申立書の下書き
診断書作成に1〜2ヶ月かかることを想定
20歳到達日
(誕生日前日)
障害認定日を迎える
診断書の現症日の基準日
診断書は前後3ヶ月以内の状態を示すもの
20歳1ヶ月頃 年金請求書の提出
年金事務所または市区町村役場へ
すべての書類が揃ったら速やかに提出

見落とされがちな重要期限「18歳6ヶ月」とは?

20歳前傷病の申請で、多くの方が見落としがちなのが「18歳6ヶ月」という期限です。この日付が何を意味するのか、なぜ重要なのかを解説します。

障害年金の障害認定日は、原則として「初診日から1年6ヶ月を経過した日」です。つまり、初診日が18歳6ヶ月より前にある場合、初診日から1年6ヶ月後は20歳到達日より前になります。この場合、20歳到達日が障害認定日となります。

一方、初診日が18歳6ヶ月から20歳の間にある場合は、初診日から1年6ヶ月後が20歳到達日より後になります。この場合、初診日から1年6ヶ月を経過した日が障害認定日となります。

具体例で見てみましょう。

  • 【例1】初診日が15歳のAさん(2月1日生まれ)
    初診日から1年6ヶ月後は16歳6ヶ月(20歳より前)
    → 障害認定日は20歳到達日(1月31日)
    → 診断書の現症日は、1月31日の前後3ヶ月以内(10月31日〜4月30日)
  • 【例2】初診日が19歳のBさん(2月1日生まれ)
    初診日から1年6ヶ月後は20歳6ヶ月(20歳より後)
    → 障害認定日は初診日から1年6ヶ月後
    → 診断書の現症日は、その日の前後3ヶ月以内

この違いによって、診断書の現症日(診断書に記載される診察時点)が変わってきます。ご自身がどちらのパターンに該当するか、事前に確認しておくことが大切です。

早めの準備が重要な3つの理由

20歳前傷病の障害年金申請において、早めの準備が重要な理由は主に3つあります。

理由1:カルテ保存期限は5年
病院のカルテ保存期限は法律で5年と定められています。初診から5年以上経過すると、カルテが廃棄されている可能性が高まり、初診日を証明する「受診状況等証明書」が取得できなくなることがあります。初診が15歳頃であれば、20歳になる前に取得しておくことをおすすめします。

理由2:知能検査・発達検査の結果待ちに時間がかかる
知的障害や発達障害の診断書には、WAIS-Ⅳ(ウェクスラー成人知能検査)などの検査結果が必要になることがあります。検査の実施から結果が出るまで、病院によっては1〜2ヶ月かかる場合もあります。

理由3:診断書作成に時間がかかることがある
医師によっては、診断書の作成に1〜2ヶ月かかることがあります。また、長期間受診していなかった場合、すぐには診断書を書いてもらえず、数ヶ月間の通院実績が必要になることもあります。

これらの理由から、余裕を持った準備が大切です。特に、20歳到達日の直前に慌てて準備を始めると、診断書の現症日が障害認定日の前後3ヶ月以内に収まらず、遡及請求(障害認定日請求)ができなくなる可能性があります。

20歳前傷病による障害年金とは?制度の基本を理解しよう

20歳前傷病とは何か

「20歳前傷病」とは、20歳到達日(誕生日の前日)より前に初診日がある病気やケガのことを指します。国民年金に加入する義務が生じるのは20歳からですので、20歳前傷病の場合、初診日の時点では年金制度に加入していない状態です。

通常、障害年金を受給するには一定期間以上の保険料納付が必要ですが、20歳前傷病の場合は特例として、保険料の納付がなくても障害基礎年金を受給できる可能性があります。これは、年金制度に加入する前に障害を負った方を救済するための、福祉的な制度です。

対象となるのは、知的障害、発達障害、先天性の身体障害(脳性まひ、先天性心疾患など)、20歳前に発症した精神疾患(統合失調症、うつ病など)、事故や病気による後天性障害など、幅広い傷病が含まれます。

通常の障害年金との3つの違い

20歳前傷病による障害年金は、20歳以降に初診日がある通常の障害年金と比べて、いくつかの違いがあります。主な違いを整理しておきましょう。

項目 通常の障害年金 20歳前傷病
保険料納付要件 必要
(初診日の前日時点で、保険料納付済期間と免除期間が合わせて3分の2以上)
不要
(年金制度に加入していない時期のため)
受給できる年金の種類 障害基礎年金

障害厚生年金
(初診日に厚生年金加入中の場合)
障害基礎年金のみ
(ただし、初診日に厚生年金加入中であれば障害厚生年金の対象)
障害等級 1級・2級・3級
(3級は障害厚生年金のみ)
1級・2級のみ
(3級に該当する障害では受給不可)
所得制限 なし
(働きながらでも受給可能)
あり
(前年所得が一定額を超えると支給停止)

最も大きな違いは、保険料納付要件が不要という点です。通常の障害年金では、初診日の前日までに一定期間以上の保険料納付が求められますが、20歳前傷病の場合はこの要件が問われません。

一方で、20歳前傷病には所得制限があります。これは、保険料を納めずに年金を受給できるという福祉的な性格上、一定以上の所得がある場合は年金の全額または半額が支給停止となる仕組みです。所得制限の詳細については、後ほど詳しく解説します。

なぜ保険料未納でも受給できるのか|福祉的な制度としての意義

「保険料を納めていないのに、なぜ年金がもらえるのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。これには、障害年金制度の根本的な考え方が関わっています。

国民年金の保険料を納める義務が生じるのは、20歳に達した時からです。つまり、20歳前に病気やケガで障害を負った方は、そもそも保険料を納めようにも納められない状況にありました。このような方々を保険料納付要件で門前払いしてしまうと、制度の趣旨に反してしまいます。

そこで、障害年金制度では、20歳前に初診日がある場合は特例として、保険料納付要件を問わずに障害基礎年金を支給することとしています。この年金の財源は、通常の障害年金と異なり、国が全額を負担しています。つまり、20歳前傷病による障害年金は、社会保険というよりも、福祉的な給付としての性格が強い制度なのです。

ただし、福祉的な給付であるがゆえに、通常の障害年金にはない制約もあります。所得制限がその代表例で、受給者本人に一定以上の所得がある場合は、年金の全額または一部が支給停止となります。また、刑務所などの矯正施設に入所した場合や、海外に居住した場合なども支給停止の対象となります。

このように、20歳前傷病による障害年金は、「保険料を納めていない方でも、障害がある状態であれば生活を支援する」という福祉の理念に基づいた制度です。該当する可能性がある方は、ぜひ申請を検討してください。

20歳前傷病の障害年金|どんな人が対象?受給要件を確認

対象となる主な疾患

20歳前傷病による障害年金の対象となるのは、20歳到達日より前に初診日がある、あらゆる病気やケガです。主な疾患の例を挙げてみましょう。

精神・知的障害

  • 知的障害(精神遅滞)
  • 発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害など)
  • 統合失調症
  • うつ病、双極性障害
  • てんかん

先天性の身体障害

  • 脳性まひ
  • 先天性心疾患
  • 先天性股関節脱臼(完全脱臼の場合)
  • 先天性の視覚障害、聴覚障害
  • 筋ジストロフィー

20歳前に発症した後天性の障害

  • 事故による身体障害(脊髄損傷、高次脳機能障害など)
  • 小児がん
  • 若年性の糖尿病、腎疾患
  • その他、20歳前に初診がある疾患全般

これらはあくまで例であり、20歳前に初診日があり、障害等級1級または2級に該当する障害の状態であれば、対象となる可能性があります。「自分の病気は対象になるのか」と迷われたら、まずは専門家にご相談ください。

初診日の考え方|知的障害と発達障害では扱いが異なる

障害年金の申請において、「初診日」は非常に重要な意味を持ちます。初診日とは、原則として「障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診療を受けた日」のことです。

しかし、20歳前傷病の場合、疾患によっては初診日の考え方に特例があります。特に注意が必要なのが、知的障害と発達障害です。

【知的障害の場合】出生日が初診日とみなされる
知的障害(精神遅滞)は、発達期(通常18歳まで)に現れる知的機能の障害です。多くの場合、生まれつきまたは幼少期から症状が存在します。そのため、障害年金の手続き上は、実際に医療機関を受診した日ではなく、出生日(生まれた日)を初診日とみなすことになっています。

これにより、たとえば成人してから初めて知的障害の診断を受けた場合でも、出生日が初診日となるため、20歳前傷病として扱われます。また、知的障害の場合は、初診日を証明する「受診状況等証明書」の提出も不要です。

【発達障害の場合】初めて受診した日が初診日
発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症など)も生まれつきの脳機能の障害ですが、知的障害とは異なり、初めて医療機関を受診した日が初診日となります。

例えば、18歳で初めて発達障害の診断を受けた場合、その受診日が初診日です。この場合、初診日は20歳前ですので、20歳前傷病として申請します。一方、22歳で初めて発達障害の診断を受けた場合は、初診日が20歳以降となるため、通常の障害年金として申請します。

ただし、発達障害と知的障害が併発している場合は、知的障害の程度によって判断が分かれます。知的障害が主たる障害と認められる場合は、出生日が初診日となります。この判断は個別のケースごとに異なるため、迷われた場合は専門家に相談することをおすすめします。

【先天性股関節脱臼(完全脱臼)の場合】出生日が初診日
先天性股関節脱臼のうち、完全脱臼のまま生育した場合は、出生日が初診日とみなされます。

障害認定日の決まり方|2つのパターンを理解しよう

障害年金では、「障害認定日」という概念が重要です。障害認定日とは、障害の程度を審査する基準となる日のことで、この日において障害等級1級または2級に該当していれば、障害年金を受給できます。

通常の障害年金では、障害認定日は「初診日から1年6ヶ月を経過した日」です。しかし、20歳前傷病の場合は、以下の2つのパターンがあります。

パターン 障害認定日 該当するケース
パターン1 20歳到達日
(誕生日の前日)
初診日から1年6ヶ月を経過した日が、20歳到達日より前にある場合
(例:初診日が18歳6ヶ月より前)
パターン2 初診日から
1年6ヶ月を経過した日
初診日から1年6ヶ月を経過した日が、20歳到達日より後にある場合
(例:初診日が18歳6ヶ月から20歳の間)

どちらのパターンに該当するかは、初診日がいつかによって決まります。以下のフローチャートで確認してみましょう。

【障害認定日の判定フローチャート】

初診日は18歳6ヶ月より前ですか?
↓YES             ↓NO
パターン1         パターン2
20歳到達日が        初診日から1年6ヶ月後が
障害認定日         障害認定日
↓              ↓
診断書の現症日は      診断書の現症日は
20歳到達日の        障害認定日の
前後3ヶ月以内        前後3ヶ月以内

具体例で見てみましょう。

  • 【例1】Aさん:知的障害、2月1日生まれ
    出生日(初診日)から1年6ヶ月後は1歳6ヶ月(20歳より前)
    → 障害認定日は20歳到達日(1月31日)
    → 診断書の現症日は、1月31日の前後3ヶ月以内(10月31日〜4月30日)
  • 【例2】Bさん:19歳で発達障害の診断、2月1日生まれ
    初診日(19歳)から1年6ヶ月後は20歳6ヶ月(20歳より後)
    → 障害認定日は初診日から1年6ヶ月後
    → 診断書の現症日は、障害認定日の前後3ヶ月以内

ご自身がどちらのパターンに該当するかを確認し、診断書の作成時期を計画しましょう。

障害等級1級・2級の目安

20歳前傷病による障害年金は、障害基礎年金の1級または2級に該当する必要があります(3級では受給できません)。では、1級と2級の違いは何でしょうか。

【1級の目安】
日常生活において、常時他人の介助が必要な状態です。例えば、食事、入浴、着替え、トイレなどの日常生活動作において、ほぼ全面的に介助が必要な場合が該当します。

【2級の目安】
日常生活に著しい制限があり、必ずしも他人の助けを借りる必要はないものの、日常生活が極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度の状態です。例えば、一人では外出することが難しい、適切な金銭管理ができない、対人関係が著しく困難、などの状態が該当します。

精神疾患や知的障害の場合、診断書には「日常生活能力の程度」や「日常生活能力の判定」という評価項目があり、これらが等級判定の重要な要素となります。具体的には、食事、身辺の清潔保持、金銭管理、対人関係、社会性などが評価されます。

ただし、障害等級の認定は、診断書の内容、病歴・就労状況等申立書、その他の書類を総合的に審査して判断されます。「自分は何級に該当するのか」と迷われたら、専門家に相談されることをおすすめします。

20歳前傷病の障害年金|いくらもらえる?所得制限は?

令和7年度(2025年度)の受給金額

20歳前傷病による障害年金は、障害基礎年金として支給されます。令和7年度(2025年度)の年金額は、以下の通りです。

障害等級 年額 月額(目安)
1級 1,039,625円 約86,635円
2級 831,700円 約69,308円

※年金額は毎年度改定されます。最新の金額は、日本年金機構のウェブサイトでご確認ください。

子の加算について

障害基礎年金を受給している方に、生計を維持されている子(18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子)がいる場合、子の加算が支給されます。

令和7年度の子の加算額は、以下の通りです。

  • 第1子・第2子:各239,300円/年
  • 第3子以降:各79,800円/年

例えば、2級の障害基礎年金を受給している方に18歳未満の子が2人いる場合、年額831,700円+239,300円×2=1,310,300円が支給されることになります。

所得制限の詳しい内容|いくらまで働ける?

20歳前傷病による障害年金には、所得制限があります。これは、保険料を納めずに年金を受給できるという福祉的な性格上、一定以上の所得がある場合は年金の全額または半額が支給停止となる仕組みです。

所得制限の基準は、前年の所得額によって判定されます。扶養親族がいない場合の基準額は以下の通りです。

前年の所得額 支給状況
370万4,000円以下 全額支給
370万4,001円〜462万1,000円 半額支給停止
462万1,001円以上 全額支給停止

扶養親族がいる場合の加算
扶養親族がいる場合は、上記の基準額に以下の金額が加算されます。

  • 一般の扶養親族:1人につき38万円
  • 特定扶養親族(16歳以上23歳未満):1人につき63万円
  • 老人控除対象配偶者または老人扶養親族(70歳以上):1人につき48万円

例えば、一般の扶養親族が1人いる場合、370万4,000円+38万円=408万4,000円までは全額支給されます。

働きながらの受給は可能か|就労継続支援B型の工賃は?

「働いていたら、障害年金はもらえないのでは?」と心配される方がいらっしゃいますが、働きながらでも障害年金を受給することは可能です。ただし、前年の所得が上記の基準を超えた場合は、支給停止となります。

ここで注意が必要なのは、「所得」と「年収」は異なるという点です。所得とは、年収から必要経費(給与所得控除など)を差し引いた金額のことです。

例えば、給与年収が約500万円の場合、給与所得控除を差し引くと、所得は約356万円程度となります(給与所得控除額は年収によって異なります)。この場合、所得が370万4,000円以下ですので、全額支給されます。

【就労継続支援B型事業所の工賃について】
就労継続支援B型事業所に通所されている方の場合、工賃も「所得」に含まれます。ただし、B型事業所の工賃は月額1万円〜2万円程度であることが多く、年間でも20万円〜30万円程度です。このため、B型事業所の工賃のみで所得制限に引っかかることはほとんどありません。

【親の所得は関係ない】
よくある誤解として、「親の所得が高いと、子どもの障害年金が支給停止になるのでは?」というものがあります。しかし、所得制限は受給者本人の所得のみで判定されます。親の所得は一切関係ありません。

ただし、受給者が親の扶養に入っている場合、親の税金計算上、扶養控除の対象となります。この扶養控除と障害年金の所得制限は別の制度ですので、混同しないようにしましょう。

所得制限の適用時期|いつの所得で判定される?

所得制限は、前年の所得によって判定されます。そして、支給停止となる期間は、10月分から翌年9月分までの1年間です。

例えば、令和6年(2024年)の所得が基準を超えた場合、令和7年(2025年)10月分から令和8年(2026年)9月分までの障害年金が支給停止となります。

この適用時期を知っておくことで、所得が基準を超えそうな場合に、年内の収入調整を検討するなどの対策が可能になります。

当事務所では、障害年金に関する様々なサポートを行っています

  • 受給可能性の診断(無料相談)
  • 初診日の調査・証明サポート
  • 医師との診断書作成に関する連携
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行
  • 不支給決定後の再申請・審査請求

神戸・兵庫県で多数の申請サポート実績があります。詳しくはこちら

20歳前傷病の障害年金|必要書類と申請の流れ

申請に必要な書類一覧

20歳前傷病による障害年金の申請には、以下の書類が必要です。書類を揃えるのに時間がかかる場合もありますので、早めに準備を始めましょう。

【基本的な書類】

  1. 年金請求書
    年金事務所または市区町村役場で入手できます。日本年金機構のウェブサイトからもダウンロード可能です。
  2. 診断書(障害認定日用)
    障害認定日(多くの場合、20歳到達日)の前後3ヶ月以内の状態を示す診断書が必要です。主治医に作成を依頼します。
  3. 受診状況等証明書
    初診の病院で作成してもらう、初診日を証明する書類です。ただし、知的障害の場合は不要です。
  4. 病歴・就労状況等申立書
    発病から現在までの経過、通院状況、日常生活の状況などを記入する書類です。ご本人またはご家族が作成します。
  5. 戸籍謄本
    本籍地の市区町村役場で取得します。
  6. 住民票
    住所地の市区町村役場で取得します。
  7. マイナンバー確認書類
    マイナンバーカードまたは通知カードのコピー。
  8. 本人確認書類
    運転免許証、パスポートなどのコピー。
  9. 年金振込先の金融機関の通帳コピー
    本人名義の口座が必要です。

【子の加算を受ける場合に追加で必要な書類】

  • 子の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 子の在学証明書(18歳以上の場合)
  • 子の診断書(20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある場合)

診断書の取得方法|最も重要な書類です

障害年金の申請において、最も重要な書類が診断書です。診断書の内容が、障害等級の認定を大きく左右します。診断書取得のポイントを押さえておきましょう。

診断書作成のタイミング
診断書の現症日(診察を行った日)は、障害認定日の前後3ヶ月以内でなければなりません。多くの場合、20歳到達日が障害認定日となりますので、20歳到達日の前後3ヶ月以内に診察を受け、その時点での状態を記載してもらう必要があります。

例えば、20歳到達日が4月1日の場合、診断書の現症日は1月2日〜7月1日の間でなければなりません。診断書の作成には時間がかかるため、20歳の誕生日3ヶ月前(19歳9ヶ月)頃に主治医に作成を依頼することをおすすめします。

知能検査・発達検査について
知的障害や発達障害の診断書には、WAIS-Ⅳ(ウェクスラー成人知能検査)などの検査結果が記載されることが一般的です。検査の実施から結果が出るまで、病院によっては1〜2ヶ月かかる場合もあります。早めに主治医に相談し、検査の予約を取りましょう。

長期間受診していない場合の注意点
幼少期に診断を受けたものの、その後長期間受診していない方もいらっしゃるかもしれません。この場合、いきなり診断書の作成を依頼しても、すぐには書いてもらえないことがあります。

多くの医師は、現在の状態を十分に把握していない状態で診断書を書くことに慎重です。そのため、診断書の作成依頼をする前に、数ヶ月間は定期的に受診し、医師に現在の状態を把握してもらうことが望ましいです。

できれば、19歳頃から定期的に受診を再開し、医師との信頼関係を築いておくことをおすすめします。

診断書作成時に医師に伝えるべきこと
診断書には、日常生活の困難さを具体的に記載してもらう必要があります。医師の診察室では、普段の困難な状態が十分に伝わらないこともあります。そのため、診断書作成を依頼する際には、以下のような点を医師に伝えましょう。

  • 日常生活でできないこと、困っていること
  • 家族の支援が必要な場面
  • 対人関係の困難さ
  • 就労が困難な理由

事前にメモを作成しておき、医師に渡すのも効果的です。

受診状況等証明書が取れない場合|第三者証明の活用

受診状況等証明書は、初診の病院で作成してもらう、初診日を証明する書類です。しかし、以下のような理由で取得できない場合があります。

  • 初診の病院が廃院している
  • カルテの保存期限(5年)を過ぎて廃棄されている
  • 初診の病院がどこか分からない

このような場合でも、諦める必要はありません。20歳前傷病の場合、第三者証明を活用することで、初診日を確認できる場合があります。

20歳前傷病における初診日証明の特例
20歳前傷病の場合、初診日が厳密に「何年何月何日」と特定できなくても、「20歳前に初診があった」ことが合理的に判断できればよいとされています。

これは、20歳前傷病の場合、初診日が20歳前であれば、20歳前のいつであっても給付内容(障害基礎年金)が同じであるためです。

第三者証明とは
第三者証明とは、家族や友人、職場の同僚など、第三者が「請求者が20歳前に医療機関を受診していたことを知っている」ことを証明する書類です。

例えば、以下のような方に証明を依頼できます。

  • 両親、兄弟姉妹
  • 親戚
  • 幼少期の友人
  • 当時の学校の先生
  • 当時の福祉施設の職員

複数の第三者証明があると、より信頼性が高まります。

2番目以降の病院の証明でも初診日を確認できる場合
初診の病院の証明が取れない場合でも、2番目以降に受診した病院の証明で初診日を確認できることがあります。

具体的には、2番目以降の病院の受診日が18歳6ヶ月より前にある場合、障害認定日が20歳到達日であることが明らかとなるため、2番目以降の病院の証明で足りるとされています。

ただし、この場合、その受診日より前に厚生年金加入期間がないことが条件となります。

申請先と提出方法

書類が揃ったら、以下のいずれかに提出します。

  • 住所地を管轄する年金事務所
  • 住所地の市区町村役場(国民年金課など)

神戸市内の方であれば、神戸東年金事務所、神戸西年金事務所、または各区役所・支所で申請できます。事前に電話で予約を取っておくとスムーズです。

また、郵送での提出も可能です。ただし、書類に不備があると差し戻しになる可能性がありますので、できれば窓口で提出し、その場で確認してもらうことをおすすめします。

申請準備チェックリスト

申請の準備がスムーズに進むよう、チェックリストを用意しました。一つずつ確認していきましょう。

項目 確認
診断書の作成依頼(誕生日3ヶ月前)
知能検査・発達検査の実施(必要な場合)
受診状況等証明書の取得(知的障害以外)
病歴・就労状況等申立書の下書き
戸籍謄本の取得
住民票の取得
マイナンバー確認書類の準備
年金請求書の記入
年金事務所への提出予約

すべてにチェックが入ったら、年金事務所または市区町村役場に提出しましょう。

20歳前傷病の障害年金|よくある疑問にお答えします

20歳前傷病による障害年金について、よくいただくご質問にお答えします。ここで解決しない疑問がある場合は、お気軽に当事務所までご相談ください。

Q1. すでに21歳ですが、今からでも申請できますか?

A. はい、可能です。65歳到達日の前日までであれば、事後重症請求という方法で申請できます。

20歳到達日の時点で障害等級1級・2級に該当していた場合は、遡及して申請する方法(障害認定日請求)もあります。この場合、20歳到達日時点の診断書が必要です。

一方、20歳到達日の時点では該当しなかったが、その後症状が悪化した場合は、事後重症請求となります。この場合、受給開始は請求月の翌月からとなり、遡って受け取ることはできません。

いずれにしても、65歳到達日の前日までに申請すれば間に合いますので、「もう遅い」と諦めずに、まずはご相談ください。

Q2. 発達障害と知的障害の両方がある場合、初診日はいつになりますか?

A. 知的障害の程度によって判断が分かれます。

知的障害が主たる障害と認められる場合は、出生日が初診日となります。一方、発達障害が主たる障害と認められる場合は、初めて医療機関を受診した日が初診日となります。

判断の基準は、療育手帳の等級、知能検査の結果、日常生活の困難さの主な原因が知的障害か発達障害かなど、総合的に審査されます。個別のケースによって判断が異なるため、迷われた場合は専門家にご相談ください。

Q3. 20歳前に厚生年金に加入していた場合はどうなりますか?

A. 初診日に厚生年金加入中であれば、通常の障害厚生年金の対象となります。

例えば、高校卒業後に就職して厚生年金に加入し、18歳や19歳の時に初診がある場合、初診日に厚生年金加入中であれば、20歳前傷病ではなく、通常の障害厚生年金として申請します。

この場合、以下の点が20歳前傷病と異なります。

  • 障害厚生年金(1級・2級・3級)が対象となる
  • 所得制限がない
  • 保険料納付要件を満たす必要がある

ただし、初診日に厚生年金加入中であっても、保険料納付要件を満たさない場合は、20歳前傷病の障害基礎年金として申請することになります。

Q4. 療育手帳や精神障害者保健福祉手帳を持っていないと申請できませんか?

A. いいえ、手帳がなくても申請できます。

障害年金と障害者手帳(療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳)は、全く別の制度です。手帳を持っていなくても障害年金は申請できますし、逆に手帳を持っていても障害年金が受給できるとは限りません。

ただし、手帳を持っている場合、その等級は障害年金の等級判定の参考資料となります。例えば、療育手帳の等級が重度(A判定など)であれば、障害年金の1級または2級に該当する可能性が高いと考えられます。

Q5. 親の所得が高い場合、子どもの障害年金は支給停止になりますか?

A. いいえ、親の所得は一切関係ありません。

所得制限は、受給者本人の所得のみで判定されます。親の所得がいくら高くても、受給者本人の所得が基準以下であれば、全額支給されます。

よくある誤解として、「親の扶養に入っているから、親の所得で判定される」というものがありますが、これは誤りです。所得制限は、あくまで受給者本人の所得で判定されます。

ただし、受給者が親の扶養に入っている場合、親の税金計算上、扶養控除の対象となります。これは税制上の話であり、障害年金の所得制限とは別の制度です。

Q6. 就労継続支援B型事業所に通っていますが、工賃は所得に含まれますか?

A. はい、工賃も「所得」に含まれます。ただし、年間の工賃が370万4千円を超えることは稀です。

就労継続支援B型事業所の工賃は、月額1万円〜2万円程度が一般的です。年間でも12万円〜24万円程度ですので、工賃のみで所得制限に引っかかることはほとんどありません。

ただし、B型事業所に通いながら、別途アルバイトなどで収入を得ている場合は、それらを合算した所得で判定されますので、注意が必要です。

Q7. 初診の病院が廃院していて、受診状況等証明書が取れません。どうすればいいですか?

A. 第三者証明や2番目以降の病院の証明で初診日を確認できる場合があります。

20歳前傷病の場合、初診日が厳密に「何年何月何日」と特定できなくても、「20歳前に初診があった」ことが合理的に判断できればよいとされています。

以下の方法で初診日を確認できる可能性があります。

  • 第三者証明:家族、親戚、友人、当時の学校の先生などに、「20歳前に医療機関を受診していたことを知っている」という証明をしてもらう方法です。
  • 2番目以降の病院の証明:2番目以降に受診した病院の証明で、初診日を確認できる場合があります。特に、2番目の病院の受診日が18歳6ヶ月より前であれば、初診日が18歳6ヶ月より前であることが明らかとなるため、初診日の証明として認められます。

また、知的障害の場合は、そもそも受診状況等証明書の提出が不要ですので、初診日の証明に悩む必要はありません。

Q8. 診断書の現症日が20歳到達日からずれてしまいました。大丈夫ですか?

A. 前後3ヶ月以内であれば問題ありません。

診断書の現症日は、障害認定日の前後3ヶ月以内であれば有効です。例えば、20歳到達日が4月1日の場合、診断書の現症日は1月2日〜7月1日の間であればOKです。

ただし、3ヶ月以内に収まらなかった場合は、障害認定日請求(遡及請求)ができず、事後重症請求となります。この場合、受給開始は請求月の翌月からとなり、遡って受け取ることはできません。

診断書の現症日が適切な期間内に収まるよう、早めに主治医に作成を依頼することが大切です。

20歳前傷病の障害年金|申請時の注意点と落とし穴

申請を急ぎすぎない|質の高い準備が重要です

20歳到達日が近づくと、「早く申請しなければ」と焦ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、焦って申請するよりも、質の高い準備をすることが大切です。

障害認定日が20歳到達日の場合、20歳になってすぐに申請する必要はありません。診断書の現症日が障害認定日の前後3ヶ月以内であれば、障害認定日請求(遡及請求)が可能です。つまり、20歳到達日が4月1日であれば、7月1日までに診断書を取得すればよいのです。

早く申請したい気持ちは分かりますが、診断書の内容が不十分だったり、病歴・就労状況等申立書の記載が不足していたりすると、不支給や希望より低い等級での認定となる可能性があります。余裕を持って丁寧に準備することを心がけましょう。

診断書の内容が認定を左右する|医師との連携が鍵

障害年金の審査において、最も重要な書類が診断書です。診断書の内容が、障害等級の認定を大きく左右すると言っても過言ではありません。

医師は、診察室での様子や検査結果をもとに診断書を作成します。しかし、診察室では緊張して普段よりもしっかり受け答えができてしまったり、日常生活の困難さが十分に伝わらなかったりすることがあります。

そのため、診断書作成を依頼する際には、日常生活での具体的な困難さを医師に伝えることが大切です。

例えば、以下のような点を伝えましょう。

  • 一人では外出できない、または付き添いが必要
  • 金銭管理ができず、家族が管理している
  • 服薬の管理ができず、家族が声かけしている
  • 入浴や着替えに家族の声かけや介助が必要
  • 対人関係がうまくいかず、トラブルになることが多い
  • 就労が困難な具体的な理由

これらを事前にメモにまとめて、医師に渡すのも効果的です。医師も、患者さんの日常生活の様子を知ることで、より実態に即した診断書を作成できます。

また、長期間受診していなかった場合は、診断書作成の前に、数ヶ月間定期的に受診し、医師に現在の状態を把握してもらうことが望ましいです。医師との信頼関係を築くことが、質の高い診断書につながります。

病歴・就労状況等申立書の記載ポイント

病歴・就労状況等申立書は、ご本人またはご家族が作成する書類です。診断書が「医師から見た障害の状態」であるのに対し、病歴・就労状況等申立書は「本人や家族から見た日常生活の困難さ」を伝える重要な書類です。

先天性障害の場合の記載
知的障害や先天性の身体障害の場合、出生時から現在までの経過を記載します。幼少期の様子、学校生活での困難さ、療育や訓練の状況、成人後の日常生活の状況などを、時系列で具体的に記載しましょう。

「できないこと」を具体的に
病歴・就労状況等申立書では、「できないこと」「困っていること」を具体的に記載することが重要です。

例えば、単に「日常生活が困難」と書くのではなく、「一人では外出できず、買い物には必ず家族の付き添いが必要」「金銭管理ができず、お金を渡すとすぐに使ってしまうため、家族が管理している」など、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。

支援学校や療育の記録も参考に
特別支援学校や療育施設に通っていた方は、当時の連絡帳や通知表、個別支援計画などが残っていれば、それらを参考にすると具体的な記載がしやすくなります。

また、成人後も就労継続支援事業所などを利用している場合は、サービス管理責任者や支援員の方に、日常生活の様子を聞いてみるのも良いでしょう。

まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう

20歳前傷病による障害年金について、申請タイミングから準備スケジュール、必要書類、よくある疑問まで、詳しく解説してきました。重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  • 準備開始は20歳の誕生日3ヶ月前(19歳9ヶ月)から
  • 保険料納付要件は不要(福祉的な制度)
  • 18歳6ヶ月という期限が障害認定日の決定に影響
  • 知的障害は出生日が初診日、発達障害は受診日が初診日
  • 所得制限あり(前年所得370万4千円まで全額支給)
  • 親の所得は無関係(受給者本人の所得のみで判定)
  • 65歳到達日の前日まで申請可能(事後重症請求)

障害年金の制度は複雑で、ご自身やご家族だけで手続きを進めるのが難しいと感じられることもあるでしょう。「自分のケースは対象になるのか」「どのタイミングで何をすればいいのか」「診断書はどう書いてもらえばいいのか」など、疑問や不安は尽きないかもしれません。

当事務所では、初回相談を無料で承っております。20歳前傷病の障害年金申請に関する疑問やご不安について、どんなことでもお気軽にご相談ください。神戸・兵庫県で多数の申請サポート実績を持つ障害年金専門の社会保険労務士が、丁寧にお答えいたします。

【お問い合わせ方法】

  • お電話: 050-7124-5884(平日9:00-17:00)
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