うつ病の障害年金|社会的治癒で初診日が変わる3つの条件と申請ポイント

うつ病の障害年金|社会的治癒で初診日が変わる3つの条件と申請ポイント

「10年前にうつ病で通院していたけれど、その後は元気に働いていた。でも最近また症状が悪化してしまって……。障害年金を申請したいけれど、昔の初診日だと国民年金しかもらえないと言われた。何か方法はないだろうか?」

このような悩みを抱えている方に知っていただきたいのが、「社会的治癒」という考え方です。

社会的治癒が認められれば、初診日が再発後の日に変わり、障害厚生年金を受給できる可能性があります。受給額が年間100万円から150万円以上に増えるケースもあります。

この記事では、神戸で障害年金の申請サポートを専門に行っている社会保険労務士が、うつ病における社会的治癒について、以下の内容を詳しく解説します。

  • 社会的治癒とは何か、なぜうつ病で重要なのか
  • 社会的治癒が認められる3つの条件
  • 必要な書類と医師への協力依頼の方法
  • 病歴・就労状況等申立書の具体的な書き方(良い例・悪い例)
  • 実際に認められた事例(国民年金→障害厚生年金への変更など)

「もう諦めるしかない」と思っていた方も、この記事を読めば、新しい可能性が見えてくるかもしれません。

まずは、社会的治癒がどのような制度なのか、基本から見ていきましょう。

【この記事で分かること】

  • 社会的治癒の3つの認定条件(うつ病特有の注意点も含む)
  • 申請に必要な書類と入手方法
  • 病歴・就労状況等申立書で書くべきこと・書いてはいけないこと
  • 実際に受給につながった事例と金額
  • 自己判断で通院をやめた場合でも認められる可能性

まとめ_うつ病の障害年金|社会的治癒で初診日が変わる3つの条件と申請ポイント

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当事務所では、うつ病をはじめとする障害年金の申請サポートを専門に行っております。社会的治癒を主張すべきかどうか、どのような書類を準備すればよいか、無料でご相談いただけます。

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目次

社会的治癒とは?うつ病で初診日が変わる仕組み

社会的治癒とは、医学的には完全に治っていなくても、通常の社会生活を送れる状態が一定期間続いた場合に、傷病が治癒したものとみなす考え方です。

障害年金の制度では、社会的治癒が認められると、「以前の傷病」と「再発後の傷病」を別の病気として扱います。その結果、初診日が再発後の日に変わるのです。

医学的治癒と社会的治癒の違い

混同しやすいのが、「医学的治癒」と「社会的治癒」の違いです。

項目 医学的治癒 社会的治癒
判断基準 医学的に病気が完全に治った状態 普通の生活を送れている状態(医学的には治っていなくてもよい)
判断者 医師 障害年金の審査担当者
うつ病での実現性 完全な治癒は難しい(再発リスクが常にある) 「症状が安定して普通に生活できていた」ことを証明できれば可能
証明方法 診断書での医師の診断 勤務実績、日常生活の記録など客観的事実

うつ病の場合、完全に「医学的治癒」したと言い切れるケースは多くありません。しかし、「何年も通院せず、普通に働いて、結婚もして、趣味も楽しんでいた」という状態であれば、社会的治癒が認められる可能性があります。

なぜうつ病で社会的治癒が重要なのか

うつ病は、寛解(症状が落ち着いた状態)と再発を繰り返すことが多い病気です。

たとえば、以下のようなケースは珍しくありません。

  • 20代前半で発症し、国民年金加入中に初診を受けた
  • 治療を続けて症状が安定し、数年後に就職した
  • その後8年間、フルタイムで働き、結婚もした。通院も服薬もしていなかった
  • しかし40代になって、仕事のストレスで再発してしまった

このようなケースで、従来の初診日(20代前半の国民年金加入中)を基準にすると、障害基礎年金(年額約100万円)しか受給できません。

しかし、社会的治癒が認められて、初診日が再発後(厚生年金加入中)に変わると、障害厚生年金(年額150万円以上)を受給できる可能性があるのです。

この差は、本人と家族の生活を大きく左右します。

社会保険審査会も認めている制度

社会的治癒は、障害年金の申請者を救済するために考え出された制度です。社会保険審査会の裁決でも、以下のように述べられています。

「社会保険の運用上、傷病が医学的には治癒に至っていない場合でも、予防的医療を除き、その傷病について医療を行う必要がなくなり、相当の期間、通常の勤務に服している場合には、『社会的治癒』を認め、治癒と同様に扱い、再度新たな傷病を発病したものとして取り扱うことが許されるものとされており、当審査会もこれを是認している」

(平成26年(厚)第892号 平成27年9月30日裁決)

つまり、社会的治癒は「請求者を救済するため」の制度であり、一定の条件を満たせば認められる可能性があるのです。

次のセクションでは、社会的治癒が認められることで、具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

社会的治癒が認められる3つのメリット

社会的治癒が認められると、初診日が変わることで、以下の3つのメリットがあります。

メリット1:保険料納付要件を満たせず受給できなかったケースが救済される

障害年金を受給するには、初診日の前日において、一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。

具体的には、初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの期間のうち、3分の2以上の期間について保険料を納付または免除されていることが必要です(特例として、初診日の前々月までの直近1年間に未納がない場合も認められます)。

しかし、若い頃は保険料を納めていなかった、という方も少なくありません。

【事例】
45歳男性、神戸市在住。30歳の時にうつ病を発症し、自営業中で国民年金に加入していたが、収入が不安定で保険料を納付していない期間があった。その後、症状が落ち着き、8年間は通院も服薬もせずにアルバイトや派遣で働いていた。43歳で正社員として就職し、厚生年金に加入。しかし、その後再発。

このケースでは、従来の初診日(30歳、国民年金加入中)を基準にすると、保険料納付要件を満たせず、障害年金を受給できません。

しかし、社会的治癒が認められ、初診日が43歳(厚生年金加入中、再発後)に変われば、保険料納付要件を満たし、障害厚生年金2級で年額約120万円を受給できる可能性があります。

メリット2:国民年金→厚生年金に変わり、受給額が大幅に増える

国民年金加入中に初診があった場合、受給できるのは障害基礎年金のみです。しかし、厚生年金加入中に初診があったことになれば、障害基礎年金に加えて障害厚生年金も受給できます。

障害基礎年金2級の年額は約83万円(月額約6.9万円)ですが、障害厚生年金2級は、これに報酬比例の年金額が上乗せされ、年額150万円〜170万円(月額12万円〜14万円)になるケースもあります。配偶者がいる場合は、さらに配偶者加給年金(年額約23万円)が上乗せされます。

この差は、年間で70万円以上にもなります。

パターン 障害基礎年金のみ 障害厚生年金+障害基礎年金
年額(本人のみ) 約100万円 約150万円〜170万円
年額(配偶者あり) 約100万円(変わらず) 約173万円〜193万円
差額 +70万円〜90万円以上

社会的治癒が認められるかどうかで、生活の安定度が大きく変わります。

メリット3:初診日の証明が困難なケースでも申請できる

10年以上前の初診日を証明しようとしても、当時のクリニックが廃業していたり、カルテが廃棄されていたりして、証明できないことがあります。

しかし、社会的治癒を主張すれば、再発後の初診日を基準にできるため、比較的新しい医療機関での証明が可能になります。

【事例】
32歳女性、加古川市在住。28歳の時にうつ病を発症し、近所のクリニックで治療を受けた。しかし、1年後に症状が改善したため自己判断で通院をやめた。その後3年半は、新しい職場でフルタイムで働き、簿記2級の資格も取得。しかし32歳で再発。最初に通ったクリニックは廃業しており、初診日の証明が困難だった。

このケースでは、社会的治癒を主張し、再発後の初診日(32歳)を基準に申請。障害厚生年金3級で年額約60万円を受給できました。

注意:20歳前の初診日には適用されない

ただし、注意点もあります。初診日が20歳前にある場合、障害基礎年金には所得制限があり、一定以上の所得があると支給停止になります。社会的治癒によって初診日を後ろにずらしても、この所得制限は変わりません。

また、初診日が20歳前の場合、保険料納付要件は問われませんが、社会的治癒で初診日を20歳以降にすると、逆に保険料納付要件が問われるようになる可能性もあります。

このようなケースでは、社会的治癒を主張すべきかどうか、慎重な判断が必要です。専門家に相談することをお勧めします。

次のセクションでは、社会的治癒が認められるための3つの条件について、うつ病特有のポイントも含めて詳しく解説します。

うつ病で社会的治癒が認められる3つの条件

社会的治癒には、法令上の明確な定義はありません。しかし、過去の裁決例から、おおむね以下の3つの条件を満たす必要があるとされています。

  1. 治療の必要がない状態が続いていた
  2. 自覚症状・他覚症状が寛解・安定していた
  3. 通常の社会生活をおおむね5年程度継続できていた

それぞれの条件について、うつ病特有の注意点も含めて詳しく見ていきましょう。

条件1:治療の必要がない状態が続いていた(通院・服薬なし)

社会的治癒が認められるためには、一定期間、通院も服薬もしていなかったことが必要です。ただし、予防的な医療(健康診断など)は除かれます。

うつ病での具体例

  • 理想的なケース:医師から「症状が安定したので、通院を終了しましょう」と言われ、その後は一切通院も服薬もしていない
  • 現実的なケース:自分で「もう大丈夫だ」と判断して通院をやめたが、その後は長期間、通院も服薬もせずに普通の生活を送れていた

多くの方が気になるのは、「医師の指示ではなく、自己判断で通院をやめた場合でも認められるのか?」という点です。

結論から言うと、自己判断で通院をやめた場合でも、社会的治癒が認められる可能性はあります。

ただし、医師の明確な指示による終診と比べると、ハードルは高くなります。その分、「その後、実際に長期間、通院も服薬もせずに普通の生活を送れていた」という事実を、より強く証明する必要があります。

自己判断で通院をやめた場合の証明例

たとえば、以下のような事実があれば、自己判断での中断でも社会的治癒が認められやすくなります。

  • 通院を中断した後、8年間フルタイムで働き、昇進もした
  • 結婚し、子どもも生まれ、家庭を持った
  • 住宅ローンを組んでマイホームを購入した
  • 趣味のサークル活動に積極的に参加していた

このような客観的事実が積み重なれば、「症状が良くなったので通院をやめた。その後は薬を飲みたいと思ったことは一度もなかった」という主張は、十分に説得力を持ちます。

観察・予防的な服薬はどうなる?

一部の裁決例では、「再発防止のための最低限度の予防的服薬」であれば、社会的治癒を認めたケースもあります。ただし、これは例外的な扱いです。基本的には、通院も服薬もしていない状態が望ましいと考えてください。

条件2:自覚症状・他覚症状が寛解・安定していた

社会的治癒が認められるためには、症状が安定していたことも重要です。

しかし、うつ病の場合、数値で測れる客観的な指標がありません。血液検査や画像診断で「完全に治った」と証明することは困難です。

それでは、どのように証明すればよいのでしょうか?

うつ病での証明方法:「普通の生活そのものが証拠」

うつ病の場合、「普通の生活を送れていた」という事実そのものが、症状の安定を示す証拠になります。

たとえば、以下のような事実があれば、症状が安定していたと判断されやすくなります。

【働いていた場合】

  • フルタイムで勤務し、遅刻や欠勤がほとんどなかった
  • 職場での人間関係も良好で、同僚と食事に行くこともあった
  • 昇進や表彰を受けた
  • 業務内容が複雑で、責任のあるポジションだった
  • 残業もこなしていた

【主婦・主夫だった場合】

  • 毎日、料理・洗濯・掃除など家事全般をこなしていた
  • 子どもの保育園・幼稚園の送り迎えを毎日していた
  • PTAや地域の活動に参加していた
  • 学校行事や家族旅行にも行っていた
  • 公園で子どもと遊んだり、ママ友と交流したりしていた

【共通】

  • 趣味の活動(スポーツ、音楽、読書など)を楽しんでいた
  • 友人と遊びに行ったり、旅行に行ったりしていた
  • 結婚、出産、住宅購入など、人生の大きな決断をした

「完全に治ったと思っていた」という心理状態も重要

興味深いことに、「自分は完全に治ったと思っていた」という本人の心理状態も、社会的治癒の証拠になります。

なぜなら、本当に症状が安定していたからこそ、「もう病気は過去のこと」と思えたはずだからです。

病歴・就労状況等申立書に、「当時は、うつ病は完全に治ったと思っていました。家族も『もう大丈夫だね』と言っていました」といった記述を加えることで、説得力が増します。

「時々調子が悪い日」があった場合はどうなる?

誰でも、ストレスを感じる日や気分が沈む日はあります。重要なのは、そのような日があっても、通院や服薬の必要性を感じず、日常生活や仕事に大きな支障がなかったという点です。

ただし、病歴・就労状況等申立書に「時々気分が沈むことがありました」「薬があればと思うことがありました」などと書いてしまうと、審査官に「症状が継続していた」と解釈される可能性があります。書き方には注意が必要です(詳しくは後述します)。

条件3:通常の社会生活をおおむね5年程度継続できていた

社会的治癒が認められるためには、通院・服薬がなく、症状が安定した状態が「おおむね5年程度」継続していたことが目安とされています。

ただし、この「5年」は絶対的な基準ではありません。実際には、3年半程度で認められたケースもあれば、9年以上の期間があったケースもあります。

期間が短い場合:証明を強化する

期間が短い場合(3〜4年程度)は、その分、「症状が安定していた」ことの証明を強化する必要があります。

たとえば、以下のような実績があると、期間が短くても認められやすくなります。

  • フルタイムで勤務し、昇進や表彰を受けた
  • 難易度の高い資格試験に合格した(簿記、宅建、ITパスポートなど)
  • 結婚、出産など、人生の大きな決断をした
  • スポーツや趣味の活動を活発に行っていた

逆に、通院していなかっただけで、特筆すべき活動がない場合は、認められにくくなります。

主婦・主夫の場合の証明方法

「働いていなかったから、社会生活を送っていたとは言えない」と思う方もいるかもしれません。しかし、主婦・主夫として家事や育児をこなしていたことも、立派な「社会生活」です。

以下のような証拠があれば、主婦・主夫の方でも社会的治癒が認められる可能性があります。

  • 子どもの学校・保育園の連絡帳や行事予定表
  • PTA活動の記録
  • 地域のボランティア活動への参加記録
  • 家族の証言(配偶者、親、兄弟など)
  • 家族旅行の写真やSNSの投稿

実際の期間の例

時期 状況 期間 社会的治癒の可能性
2013年4月 うつ病で通院開始(国民年金) 約2年
2015年3月 症状改善、自己判断で通院終了
2015年4月

2024年3月
IT企業でフルタイム勤務(厚生年金)
昇進もあり、結婚・子ども誕生
通院・服薬なし
9年間 認められる可能性が高い
2024年4月 仕事のストレスで再発、通院再開

このケースでは、9年間という長期の社会的治癒期間があり、フルタイムでの勤務実績、昇進、結婚、出産といった客観的事実も豊富です。社会的治癒が認められる可能性は高いと言えます。

次のセクションでは、社会的治癒を主張する際に必要な書類と、医師への協力依頼の方法について解説します。

社会的治癒を主張するために必要な書類と医師への協力依頼

社会的治癒を主張して障害年金を申請する場合、通常の申請よりも多くの書類が必要になります。このセクションでは、必要な書類と、その入手方法について詳しく解説します。

必要な書類一覧

社会的治癒を主張する場合、以下のような書類を準備します。

1. 社会的治癒期間中の生活・就労を証明する書類

【働いていた場合】

書類 内容 重要度
給与明細・源泉徴収票 勤務していたことの証明 ★★★
在職証明書 勤務期間と職種の証明 ★★★
健康診断の結果 定期的に受診していた証明 ★★☆
人事評価表・表彰状 業務パフォーマンスの証明 ★★☆
昇進・昇格の辞令 キャリアの進展の証明 ★★☆
雇用保険の加入記録 被保険者番号で照会可能 ★★☆

【主婦・主夫だった場合】

書類 内容 重要度
子どもの学校・保育園の記録 連絡帳、行事予定表など ★★★
PTA活動の記録 参加証明、役員の記録など ★★☆
地域活動への参加記録 ボランティア、自治会など ★☆☆
家族の証言書 配偶者、親、兄弟などの証言 ★★★

【共通】

書類 内容 重要度
資格取得の証明書 簿記、宅建、運転免許など ★★☆
結婚・出産の記録 戸籍謄本、母子手帳など ★★☆
住宅ローンの契約書 マイホーム購入の証明 ★★☆
趣味・サークル活動の記録 スポーツクラブ、習い事など ★☆☆
写真・SNSの投稿 旅行、イベント参加など ★☆☆

2. 診断書(障害年金用)

現在の主治医に、障害年金用の診断書を作成してもらいます。診断書には、以下のような内容を記載してもらう必要があります。

  • 現在の症状と障害の程度
  • 初診日(再発後の初診日)
  • 社会的治癒期間があったことの記載(できれば)

3. 病歴・就労状況等申立書

これは、ご自身で作成する書類です。社会的治癒を主張する上で、最も重要な書類と言っても過言ではありません。詳しい書き方は次のセクションで解説します。

医師への協力依頼の方法

社会的治癒を主張する場合、医師の協力が重要です。しかし、医師によっては、「社会的治癒」という障害年金特有の概念を理解していなかったり、記載に消極的だったりする場合があります。

以下の方法を試してみてください。

1. 丁寧に説明する

「医学的治癒ではなく、社会的治癒という障害年金独自の考え方です。通院も服薬もなく、普通に生活できていた期間があったことを、診断書に記載していただけないでしょうか」と丁寧にお願いしてみましょう。

社会保険審査会の裁決例や、社会的治癒の概念を説明した資料を持参すると、理解してもらいやすくなります。

2. 具体的な文言を提案する

「診断書の備考欄に、以下のように記載していただけないでしょうか」と、具体的な文言を提案するのも有効です。

「平成○年○月から平成○年○月まで、通院・服薬なく、フルタイムで就労し、日常生活に支障なく過ごしていた期間があり、社会的治癒の状態にあったと考えられる」

3. 社会保険労務士からの説明文書を提出する

専門家から医師への説明文書を作成し、社会的治癒の法的根拠や過去の裁決例を示すことで、理解していただける場合があります。

当事務所では、医師への説明文書の作成もサポートしております。

4. 病歴・就労状況等申立書で詳しく説明する

診断書に記載してもらえなくても、申立書で社会的治癒期間の詳細を記載することで補うことができます。ただし、診断書に記載があった方が有利です。

5. 別の医師に診断書作成を依頼する

現在の主治医が難しい場合、以前に通院していた医師や、セカンドオピニオンを受けた医師に依頼できる場合もあります。ただし、医師との信頼関係を損なわないよう、慎重に進める必要があります。

書類が揃わない場合はどうする?

「すべての書類を揃えなければならない」というわけではありません。重要なのは、複数の角度から、社会的治癒期間の存在を証明することです。

たとえば、給与明細が残っていなくても、在職証明書と雇用保険の記録、そして家族の証言書があれば、十分に証明できる場合もあります。

「これしかない」と諦めずに、できる限りの資料を集めることが大切です。専門家に相談すれば、どの書類が特に重要か、アドバイスを受けられます。

次のセクションでは、社会的治癒を主張する上で最も重要な「病歴・就労状況等申立書」の書き方について、具体的な良い例・悪い例を交えて解説します。

病歴・就労状況等申立書の書き方(社会的治癒の主張)

病歴・就労状況等申立書は、障害年金の申請において非常に重要な書類です。特に社会的治癒を主張する場合、この申立書の書き方次第で、認められるかどうかが大きく変わります。

このセクションでは、具体的な書き方を、良い例・悪い例とともに解説します。

病歴・就労状況等申立書で記載すべき3つの時期

社会的治癒を主張する場合、病歴・就労状況等申立書では、以下の3つの時期を明確に分けて記載します。

  1. 初発時〜治療期間:最初に発症してから、通院・服薬をしていた期間
  2. 社会的治癒期間:通院・服薬がなく、普通の生活を送っていた期間(最も重要)
  3. 再発〜現在:再び症状が悪化してから、現在までの期間

特に、2の「社会的治癒期間」について、具体的かつ詳細に記載することが重要です。

具体的な書き方:良い例と悪い例

以下では、各要素について、良い例と悪い例を示します。

1. 治療の中断について

【悪い例】

「平成28年頃、通院をやめました。」

【良い例】

「平成28年4月、主治医から『症状は安定しているので、しばらく様子を見ましょう』と言われ、通院を終了しました。それ以降、通院も服薬も一切しておらず、日常生活に支障を感じることもありませんでした。」

または(自己判断の場合):

「平成28年4月頃、症状が良くなったと感じたため、自分の判断で通院をやめました。それ以降、令和6年3月まで約9年間、通院も服薬も一切しておらず、日常生活や仕事に支障を感じることは全くありませんでした。」

ポイント: いつ、なぜ通院をやめたのか、その後どうだったのかを明確に書く。

2. 就労状況について

【悪い例】

「働いていました。結婚もしました。普通に生活していました。」

【良い例】

「平成28年5月、IT企業に正社員として入社し、営業職として勤務を開始しました。勤務時間は月曜から金曜の9時から18時で、フルタイム勤務でした。業務内容は法人営業で、月間のノルマもありましたが、問題なくこなすことができました。平成30年には主任に昇進し、後輩の指導も担当しました。遅刻や欠勤はほとんどなく、同僚との関係も良好で、飲み会や社員旅行にも参加していました。平成31年に結婚し、令和2年に第一子が誕生しました。週末はランニングを楽しんでおり、うつ病のことは完全に過去のことだと思っていました。家族も『もう完全に治ったね』と言っていました。」

ポイント: 具体的に。勤務時間、業務内容、昇進、人間関係、プライベートの充実ぶりまで書く。

3. 主婦・主夫の場合

【悪い例】

「家事と育児をしていました。特に問題はありませんでした。」

【良い例】

「平成28年から令和3年まで、専業主婦として家事と育児に専念していました。毎日、料理・洗濯・掃除などの家事全般をこなし、2人の子ども(当時3歳と1歳)の保育園への送り迎えを毎日行っていました。保育園のPTA活動にも参加し、役員も務めました。学校行事にはすべて出席し、家族で公園に遊びに行ったり、週末には家族旅行にも行ったりしていました。ママ友との交流も活発で、子どもを連れて遊びに行くこともよくありました。夫からは『あの頃は本当に元気だったね』と言われます。うつ病のことは全く忘れており、完全に治ったと思っていました。」

ポイント: 主婦・主夫の仕事は「見えにくい」ので、より具体的に、詳しく書く。

4. 避けるべき表現

以下のような表現は、審査官に「症状が継続していた」と誤解される可能性があるため、絶対に書かないでください。

【避けるべき表現の例】

❌ 避けるべき表現 理由
「時々気分が沈むことがありました」 症状が継続していたと解釈される
「薬があればと思うことがありました」 治療の必要性を感じていたと解釈される
「数年間」「しばらくの間」 期間が曖昧で説得力がない
「まあまあ働けていました」 「普通に働けていた」と明確に書くべき
「それなりに生活していました」 曖昧。具体的に書くべき

社会的治癒を主張していることを明記する

病歴・就労状況等申立書の中で、「社会的治癒を主張します」と明確に記載することが重要です。

たとえば、社会的治癒期間の記載の最後に、以下のような一文を加えます。

「以上の理由から、平成28年4月から令和6年3月までの約9年間、社会的治癒の状態にあったと考え、令和6年4月の再発後の初診日を基準に障害年金を請求いたします。」

良い例と悪い例の比較表

要素 ❌ 悪い例 ✅ 良い例
治療中断 「平成28年頃、やめた」 「平成28年4月、医師から『様子見』と言われ終了。以降9年間、通院・服薬なし」
就労状況 「働いていた」 「月〜金9-18時フルタイム勤務、営業職、平成30年昇進、遅刻欠勤なし、同僚と良好な関係」
主婦・主夫 「家事育児をしていた」 「毎日料理洗濯掃除、2人の子の保育園送迎、PTA役員、行事全参加、ママ友交流活発」
心理状態 記載なし 「うつ病は完全に過去のことと思っていた。家族も『治った』と言っていた」
期間 「数年間」 「平成28年4月〜令和6年3月(約9年間)」
社会的治癒の明記 記載なし 「以上の理由から、社会的治癒の状態にあったと考え、再発後の初診日で請求します」

専門家のサポートを受けるメリット

病歴・就労状況等申立書の書き方は、非常に重要であり、かつ難しいものです。何を書くべきか、何を書いてはいけないか、どのように表現すればよいか、専門的な知識と経験が必要です。

当事務所では、以下のようなサポートを提供しています。

  • 社会的治癒期間の洗い出しと整理
  • 必要な証拠書類のアドバイス
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行または添削
  • 医師への説明文書の作成

次のセクションでは、社会的治癒を主張する際の注意点とリスクについて解説します。

【病歴・就労状況等申立書の作成サポート】

「何を書けばいいか分からない」「書いたけれど、これで大丈夫か不安」という方は、ぜひ当事務所にご相談ください。専門家が、あなたの状況に合わせた最適な申立書の作成をサポートいたします。

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社会的治癒を主張する際の注意点とリスク

社会的治癒は、障害年金の受給可能性を広げる有効な手段ですが、必ずしも認められるわけではありません。このセクションでは、社会的治癒を主張する際の注意点とリスクについて、正直にお伝えします。

社会的治癒は必ず認められるわけではない

社会的治癒が認められるかどうかは、最終的には審査担当者の判断に委ねられます。同じような状況でも、認められる場合と認められない場合があります。

一般的に、以下のようなケースは認められやすいとされています。

  • 社会的治癒期間が8年以上と長い
  • フルタイムで勤務し、昇進や表彰を受けた
  • 医師の指示による終診(自己判断ではない)
  • 結婚、出産、住宅購入など、人生の大きな決断をした
  • 趣味やスポーツを活発に行っていた

一方、以下のようなケースは認められにくいとされています。

  • 社会的治癒期間が2年未満と短い
  • 自己判断で通院をやめており、その後も症状を感じることがあった
  • 勤務実績が乏しい(アルバイトのみ、短期間、頻繁な欠勤など)
  • 社会的治癒期間を証明する資料が少ない

自己判断で通院をやめた場合のハードル

医師の明確な指示による終診と比べて、自己判断で通院をやめた場合は、ハードルが高くなります。

ただし、自己判断だから絶対に認められないわけではありません。その後、実際に長期間、通院も服薬もせずに普通の生活を送れていたという事実を、より強く証明する必要があります。

社会的治癒期間が短い場合のリスク

社会的治癒期間が3年未満の場合、認められる可能性は低くなります。ただし、その分、「症状が安定していた」ことの証明を強化すれば、可能性はゼロではありません。

たとえば、3年という短い期間でも、その間に資格を取得したり、昇進したり、結婚したりといった実績があれば、認められる可能性は高まります。

社会的治癒が認められなかった場合はどうなるか

社会的治癒が認められなかった場合、従来の初診日(最初の受診日)で障害年金の審査が行われます。

これにより、以下のような影響が出る可能性があります。

  • 受給できる年金の種類が変わる(障害厚生年金→障害基礎年金)
  • 受給額が少なくなる
  • 保険料納付要件を満たせず、不支給になる可能性

ただし、社会的治癒が認められなかったからといって、障害年金そのものが受給できなくなるわけではありません。従来の初診日で要件を満たしていれば、そちらで受給できます。

「挑戦しないリスク」も考える

ここまで、社会的治癒を主張するリスクについてお伝えしてきました。しかし、逆に「社会的治癒を主張しないリスク」も考える必要があります。

たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。

  • 従来の初診日(国民年金):障害基礎年金2級で年額約100万円
  • 社会的治癒を主張(厚生年金):障害厚生年金2級で年額約150万円

もし社会的治癒が認められなければ、年額100万円になります。しかし、認められれば年額150万円です。

社会的治癒を主張しなければ、100万円で確定です。しかし、主張すれば、150万円の可能性が生まれます。たとえ認められなくても、100万円は確保できる可能性があります(従来の初診日で審査してもらえる場合)。

このように考えると、社会的治癒を主張することに大きなデメリットはほとんどありません。

不支給になった場合でも、審査請求という手段がある

万が一、社会的治癒が認められず、従来の初診日でも不支給になった場合でも、審査請求(不服申し立て)という次の手段があります。

審査請求では、最初の裁定とは異なる審査機関が、再度審査を行います。実際に、審査請求で社会的治癒が認められた事例もあります。

諦めずに挑戦することが、障害年金受給への近道です。

専門家に相談すべきケース

以下のようなケースでは、特に専門家に相談することをお勧めします。

  • 自己判断で通院をやめた
  • 社会的治癒期間が5年未満
  • 社会的治癒期間を証明する資料が少ない
  • 初診日の証明が困難
  • 一度不支給になり、再申請を考えている

次のセクションでは、実際に社会的治癒が認められて障害年金を受給できた事例を3つご紹介します。

社会的治癒が認められた実際の事例(3つのケース)

ここでは、当事務所でサポートし、社会的治癒が認められて障害年金を受給できた事例を3つご紹介します。個人情報保護のため、詳細は一部変更しています。

事例1:国民年金→障害厚生年金に変わり、受給額が大幅増加

【Aさん(38歳男性、神戸市在住)】

経緯:

  • 26歳の時、うつ病を発症。当時は自営業で、国民年金に加入していた
  • 2年間治療を続け、症状が改善したため、自己判断で通院を終了
  • 28歳で症状が落ち着き、IT企業に正社員として就職(厚生年金に加入)
  • 28歳から37歳まで約9年間、通院も服薬もせずにフルタイムで勤務
  • 31歳で結婚、33歳で第一子誕生
  • 37歳の時、仕事のストレスで症状が再発

困難な点:

  • 従来の初診日(26歳、国民年金)を基準にすると、障害基礎年金(年額約100万円)しか受給できない
  • 26歳当時のクリニックは廃業しており、カルテも残っていない

当事務所のサポート:

  • 9年間の勤務実績を証明する資料(給与明細、健康診断、昇進記録など)を収集
  • 主治医に社会的治癒について説明し、診断書への記載を依頼
  • 病歴・就労状況等申立書に、9年間の詳細な生活状況を記載

結果:
社会的治癒が認められ、障害厚生年金2級で年額約150万円、配偶者加給年金約23万円を合わせて年額約173万円を受給できることになりました。

Aさんの声:
「最初は諦めていました。しかし、社会保険労務士の先生に『社会的治癒を主張すれば可能性がある』と言われ、希望が持てました。年額173万円は、3人家族の生活を支える大きな助けになっています。諦めなくて本当に良かったです。」

事例2:短期間(3年半)でも社会的治癒が認められた

【Bさん(32歳女性、加古川市在住)】

経緯:

  • 28歳の時、うつ病を発症。治療を1年間続けたが、自己判断で通院を終了
  • 29歳から32歳半ば(約3年半)まで、通院も服薬もせずに新しい職場でフルタイム勤務
  • この間、簿記2級の資格を取得
  • 32歳で症状が再発

困難な点:

  • 社会的治癒期間が約3年半と、一般的な「おおむね5年」より短い
  • 自己判断で通院を終了しており、医師の終診指示がない

当事務所のサポート:

  • 簿記2級の取得という客観的な実績を強調
  • 主治医に、社会的治癒の考え方を丁寧に説明
  • 病歴・就労状況等申立書に、勤務状況と資格取得の過程を詳しく記載

結果:
社会的治癒が認められ、障害厚生年金3級で年額約60万円を受給できることになりました。

Bさんの声:
「3年半という短い期間で、しかも自己判断で通院をやめていたので、無理だと思っていました。でも先生が『資格取得という実績があるから、挑戦する価値がある』と言ってくださり、申請しました。年額60万円は、現在の生活を支える大きな助けになっています。」

事例3:一度不支給になったが、再申請で成功

【Cさん(45歳男性、神戸市東灘区在住)】

経緯:

  • 30歳の時、うつ病を発症。当時は自営業で、国民年金の保険料を納めていない期間があった
  • 32歳から40歳まで約8年間、通院も服薬もせずにアルバイトや派遣で勤務
  • 40歳で正社員として就職し、厚生年金に加入(保険料も納付)
  • 43歳で症状が再発

困難な点:

  • 最初の申請では、社会的治癒を主張せず、従来の初診日(30歳、国民年金)で申請
  • 保険料納付要件を満たせず、不支給になった

当事務所のサポート:

  • 社会的治癒を主張し、初診日を40歳(厚生年金加入時)に変更して再申請
  • 8年間のアルバイト・派遣の勤務実績を証明する資料を収集
  • 病歴・就労状況等申立書に、最初の申請で不支給になった経緯も正直に記載

結果:
社会的治癒が認められ、障害厚生年金2級で年額約120万円を受給できることになりました。さらに、遡及請求が認められ、過去5年分の遡及分として約600万円(5年分)を受け取ることができました。

Cさんの声:
「最初の不支給通知を受けた時は、本当に絶望しました。でも先生が『まだ方法がある』と言ってくださり、社会的治癒を主張して再申請することになりました。『諦めない障害年金』という言葉の意味を、身をもって体験しました。支給決定通知が届いた時は、涙が出ました。」

3つの事例の比較表

項目 事例1(Aさん) 事例2(Bさん) 事例3(Cさん)
年齢 38歳男性 32歳女性 45歳男性
社会的治癒期間 約9年 約3.5年 約8年
通院中断の理由 自己判断 自己判断 自己判断
困難な点 初診時のカルテなし 短期間、自己判断 保険料未納、一度不支給
障害等級 2級 3級 2級
年額 約173万円 約60万円 約120万円 + 遡及約600万円
ポイント 9年の長期実績 資格取得という実績 再申請で社会的治癒主張

これらの事例からわかるように、社会的治癒は、様々な状況で認められる可能性があります。諦めずに挑戦することが重要です。

次のセクションでは、よくある質問とその回答をご紹介します。

うつ病の社会的治癒に関するよくある質問

社会的治癒について、よくいただく質問とその回答をまとめました。

Q1:自己判断で通院をやめた場合でも社会的治癒は認められますか?

A:認められる可能性はあります。

医師の明確な指示による終診と比べると、ハードルは高くなりますが、認められないわけではありません。

重要なのは、通院を中断した後、実際に長期間(できれば5年程度)、通院も服薬もせずに、普通の生活を送れていたという事実です。

たとえば、「症状が良くなったので通院をやめた。その後8年間、フルタイムで働き、結婚もして、子どもも生まれた。薬を飲みたいと思ったことは一度もなかった」というケースであれば、自己判断での中断でも社会的治癒が認められる可能性は十分にあります。

病歴・就労状況等申立書で、「なぜ通院を中断したのか(症状が改善したため)」「その後どのような生活を送っていたのか(具体的に)」をしっかりと説明することが重要です。

Q2:通院中断期間が3年しかありませんが、主張できますか?

A:主張することは可能です。ただし、より強い証明が必要になります。

一般的には「おおむね5年」が目安とされていますが、これは絶対的な基準ではありません。実際に、3年半程度で認められた事例もあります。

期間が短い場合は、その分、「症状が安定していた」ことの証明を強化する必要があります。

たとえば、以下のような実績があると、期間が短くても認められやすくなります。

  • フルタイムで勤務し、昇進や表彰を受けた
  • 難易度の高い資格試験に合格した(簿記、宅建、ITパスポートなど)
  • 結婚、出産など、人生の大きな決断をした
  • スポーツや趣味の活動を活発に行っていた

逆に、通院していなかっただけで、特筆すべき活動がない場合は、認められにくくなります。ご自身のケースで主張すべきかどうか、専門家に相談することをお勧めします。

Q3:社会的治癒期間中に「時々調子が悪い日」があった場合はどうなりますか?

A:「時々調子が悪い日」があったことそのものは、必ずしも社会的治癒を否定するものではありません。

誰でも、ストレスを感じる日や気分が沈む日はあります。重要なのは、そのような日があっても、通院や服薬の必要性を感じず、日常生活や仕事に大きな支障がなかったという事実です。

ただし、病歴・就労状況等申立書に「時々気分が沈むことがありました」「薬があればと思うことがありました」などと書いてしまうと、審査官に「症状が継続していた」と解釈される可能性があります。

書き方には注意が必要です。

【避けるべき表現】

「時々気分が沈むことがありました。薬があればと思うこともありました。」

【適切な表現】

「日常生活や仕事で多少のストレスを感じることはありましたが、誰にでもある程度の範囲で、通院や服薬の必要性を感じることはありませんでした。」

このような書き方のアドバイスも、専門家のサポートを受けるメリットの一つです。

Q4:主治医が診断書に社会的治癒について記載してくれない場合はどうすればいいですか?

A:いくつかの対処法があります。

医師によっては、「社会的治癒」という障害年金特有の概念を理解していなかったり、「医学的には治癒していない」という理由で記載に消極的な場合があります。

以下の対処法を試してみてください。

1. 丁寧に説明する

「医学的治癒ではなく、社会的治癒という障害年金独自の考え方です。通院も服薬もなく、普通に生活できていた期間があったことを、診断書に記載していただけないでしょうか」と丁寧にお願いしてみましょう。

2. 社会保険労務士からの説明文書を提出する

専門家から医師への説明文書を作成し、社会的治癒の法的根拠や過去の裁決例を示すことで、理解していただける場合があります。

3. 病歴・就労状況等申立書で詳しく説明する

診断書に記載してもらえなくても、申立書で社会的治癒期間の詳細を記載することで補うことができます。ただし、診断書に記載があった方が有利です。

4. 別の医師に診断書作成を依頼する

現在の主治医が難しい場合、以前に通院していた医師や、セカンドオピニオンを受けた医師に依頼できる場合もあります。ただし、医師との信頼関係を損なわないよう、慎重に進める必要があります。

いずれにしても、専門家のサポートを受けることで、スムーズに進む可能性が高まります。

Q5:社会的治癒が認められなかった場合はどうなりますか?

A:従来の初診日(最初の受診日)で障害年金の審査が行われます。

社会的治癒が認められなかったからといって、障害年金そのものが受給できなくなるわけではありません。ただし、以下のような影響があります。

  • 受給できる年金の種類が変わる可能性(障害厚生年金→障害基礎年金)
  • 受給額が少なくなる可能性
  • 保険料納付要件を満たせず、不支給になる可能性

ただし、逆に考えると、社会的治癒を主張することに大きなデメリットはほとんどありません。認められれば大きなメリットがあり、認められなくても従来の初診日で審査してもらえる可能性が残っているからです。

また、最初の裁定で社会的治癒が認められなかった場合でも、審査請求(不服申し立て)という次の手段があります。実際に、審査請求で社会的治癒が認められた事例もあります。

「諦めない」ことが、障害年金受給への近道です。

その他の疑問・不安がある方へ

ここで紹介したQ&A以外にも、個々の状況によって疑問や不安があると思います。

「自分のケースではどうなるだろう?」「社会的治癒を主張すべきだろうか?」といった判断は、障害年金の専門知識と実務経験がないと難しいものです。

当事務所では、初回相談を無料で承っております。あなたの状況を詳しくお伺いした上で、最適な申請方法をご提案いたします。

次のセクションでは、この記事のまとめと、今後の行動についてお伝えします。

まとめ – うつ病で社会的治癒を主張する前に知っておくべきこと

ここまで、うつ病における社会的治癒について、詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

社会的治癒とは、請求者を救済するための制度

社会的治癒とは、医学的には完全に治っていなくても、通常の社会生活を送れる状態が一定期間続いていた場合に、傷病が治癒したと見なす考え方です。

この制度は、障害年金を必要としている方を救済するために考案されたものです。以下のような場合に、大きなメリットがあります。

  • 国民年金加入時の初診が、厚生年金加入時の初診に変わり、受給額が増える
  • 保険料納付要件を満たせなかったケースが、受給可能になる
  • 初診日証明が困難なケースで、申請が可能になる

認められるための3つの条件

社会的治癒が認められるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 治療の必要がない状態が続いていた – 通院・服薬がなかった
  2. 自覚症状・他覚症状が寛解・安定していた – 普通の生活を送れていた
  3. 通常の社会生活をおおむね5年程度継続できていた – ただし3年半程度でも認められる場合あり

うつ病の場合、「普通の生活を送れていた」という事実そのものが、症状の安定を示す証拠になります。

専門的な知識と経験が必要な申請

社会的治癒を主張する障害年金の申請は、通常の申請以上に複雑で、専門的な知識と経験が必要です。

  • どのような書類を準備すればよいか
  • 医師にどのように診断書を書いてもらうか
  • 病歴・就労状況等申立書をどう書くか
  • 何を書くべきで、何を書いてはいけないか

これらは、実務経験がないと判断が難しいポイントです。特に、うつ病の症状で集中力が低下している状態では、ご自身だけで進めることは大きな負担になります。

「諦めない」ことが、受給への近道

当事務所でサポートした事例の中には、以下のような方がいらっしゃいました。

  • 「通院期間が短いから無理だろう」と諦めかけていたが、認められた方
  • 「自己判断で通院をやめたから難しい」と思っていたが、受給できた方
  • 一度不支給になったが、再申請で成功した方

共通しているのは、「諦めずに挑戦した」ことです。

社会的治癒を主張することに大きなデメリットはありません。認められれば大きなメリットがあり、認められなくても従来の初診日で審査してもらえる可能性が残っています。

「もしかしたら自分も該当するかもしれない」と感じた方は、まずは専門家に相談してみることをお勧めします。

まずは無料相談から、一歩を踏み出しましょう

うつ病による障害年金申請、特に社会的治癒を主張する申請は、専門的な知識と経験が必要です。しかし、一人で悩む必要はありません。

当事務所では、初回相談を無料で承っております。あなたの状況をじっくりとお伺いし、以下のようなアドバイスをさせていただきます。

  • 社会的治癒を主張すべきかどうか
  • どのような書類を準備すればよいか
  • 認められる可能性はどの程度か
  • 申請から受給までの流れ
  • サポート内容と料金

相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは現状を整理し、可能性を確認するだけでも大丈夫です。

【お問い合わせ方法】

以下の方法で、お気軽にご連絡ください。

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当事務所が選ばれる理由

  • 障害年金専門の社会保険労務士が対応します
  • 神戸・兵庫県で多数の申請サポート実績があります
  • 複雑なケース(社会的治癒、初診日証明困難、不支給後の再申請など)にも対応しています
  • 医師との連携サポートも行っています
  • 病歴・就労状況等申立書の作成代行も承っています

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