精神疾患 障害年金|初診日不明でも諦めない5つの方法

精神疾患 障害年金|初診日不明でも諦めない5つの方法


最終更新:令和8年2月|社会保険労務士監修

朝、薬を飲んで横になる。今日も起き上がれそうにない——。

そんな日が続いているのに、「障害年金を申請しよう」と調べてみると、こんな壁にぶつかってしまう方が少なくありません。

「最初に病院に行ったのはもう15年も前のこと。どこで受診したか覚えていない」
「当時通っていたクリニックはもう閉院していた」
「カルテが残っていないと言われてしまった」

そこで多くの方が思ってしまうのが、「初診日が証明できないなら、どうせ申請できないんだろう」という諦めです。

でも、それは必ずしも正しくありません。

精神疾患の障害年金申請では、初診日の証明が難しいケースが非常に多いことを、制度側も認識しています。そのため、カルテがなくても、廃院していても、使える代替手段が複数用意されています。

この記事では、神戸を拠点に障害年金申請の専門サポートを行う社会保険労務士が、「初診日がわからない」という壁を乗り越えるための5つの立証方法を、精神疾患に特有の事情を踏まえながら解説します。

「申請するかどうかはまだ決めていない」という段階でも、まずは「自分の初診日が立証できるか」を確認するところから始めてみてください。

📋 こんな状況の方は、ぜひこの記事を読んでください

  • ☐ 精神疾患の診断を受けており、日常生活や仕事に支障が出ている
  • ☐ 障害年金を調べたが「初診日の証明」で行き詰まっている
  • ☐ 最初に受診した病院が廃院、またはカルテがないと言われた
  • ☐ いつが「初診日」になるのか、自分では判断できない
  • ☐ 一度「無理」と言われたが、本当に諦めるしかないのか確認したい

目次

精神疾患とはどんな病気か——日常生活への影響と障害年金の関係

精神疾患の症状と経過

うつ病・双極性障害・統合失調症・不安障害・発達障害——精神疾患にはさまざまな種類がありますが、共通しているのは「症状が目に見えにくい」という点です。骨折や心臓病と違い、外見からはわかりにくいため、周囲の理解を得にくく、本人でさえ「自分は怠けているだけかもしれない」と感じてしまうことがあります。

精神疾患の大きな特徴のひとつが、「よい日」と「悪い日」の波があることです。調子のよい日に外出できても、翌日は一歩も動けない。そういった波が繰り返されるため、「今日はできたから大丈夫」という状態が続かないことが多く、就労や日常生活の継続が非常に難しくなります。

また、精神疾患は発症から診断確定まで時間がかかることも珍しくありません。「なんとなく調子が悪い」「眠れない日が続く」という状態で内科や神経科を受診し、のちに精神科・心療内科で精神疾患の診断が確定するというケースも多く見られます。このことが、後述する「初診日の判断」を複雑にする一因でもあります。

精神疾患の主な症状と日常生活への影響
主な症状 日常生活への影響 年金認定との関係
抑うつ気分・意欲低下 起床・着替え・食事の準備が困難。日中も横になりがちになる 日常生活能力の程度(食事・清潔保持)に関係
睡眠障害(不眠・過眠) 昼夜逆転・中途覚醒が続き、翌日の活動が著しく制限される 日常生活リズム・自己管理能力の評価に影響
集中力・判断力の低下 読書・計算・会話の継続が難しく、仕事・家事の継続が困難になる 金銭管理・服薬管理の能力として評価される
対人不安・社会的引きこもり 外出が週に数回が限度。電話対応・人混みが極度に困難になる 社会的行動能力・対人関係の評価に直結
希死念慮・強い不安感 常時介助や見守りが必要な状態になる場合がある 1級・2級の重症度評価に関係する重要な症状

日常生活への具体的な影響

精神疾患が日常生活に与える影響は、「気持ちの問題」にとどまりません。たとえば、抑うつが強い時期には、朝起き上がることすら体に力が入らず、薬を飲んで再び横になることが一日の大半を占めることがあります。食事の準備ができず、数日間カップ麺やコンビニ食で過ごすこともあります。

外出についても、「週に1〜2回の通院だけが外出のすべて」という方は少なくありません。その通院でさえ、体調によってはキャンセルせざるを得ないことがあります。家族や訪問支援者のサポートがなければ、服薬管理や定期的な食事すら難しい状態が続く場合もあります。

こうした状態は、一見するとわかりにくいものです。「通院できているから大丈夫」「時々外出できているから軽症のはず」と思われがちですが、実際には多大なエネルギーを使って何とかこなしているケースがほとんどです。障害年金の審査においても、「できる日もある」という事実だけでなく、「できない日の実態」が正確に伝わることが重要です。

📋 こんな状況の方は、障害年金の対象になる可能性があります

  • ☐ 精神疾患の症状で、日常的な家事・外出が困難になっている
  • ☐ 仕事を休職・退職した、または就労が週20時間未満に制限されている
  • ☐ 継続的な通院・服薬が必要で、生活の多くが医療中心になっている
  • ☐ 就労継続支援(A型・B型)や生活訓練など、福祉サービスを利用している
  • ☐ 家族や支援者のサポートなしには、薬の管理・食事・外出が難しい状態が続いている

※上記はあくまで目安です。実際の認定は申請内容・診断書・認定基準の総合判断によります。

精神疾患と障害年金の関係

厚生労働省の統計によると、障害年金受給者のうち精神・知的障害の方の割合は全体の約50%を超え、近年も増加傾向にあります。精神疾患は、障害年金においてもっとも多くの方が受給している分野といえます。

精神疾患では、症状の波があること・「見えにくい障害」であることから、申請時に症状が正確に伝わりにくいという難しさがあります。特に「診断書に日常生活の実態が反映されていない」「初診日の証明ができない」という2点が、申請の最大の壁になることが多く見られます。

このように、精神疾患は日常生活のあらゆる場面に影響を及ぼします。では、こうした状態が障害年金の認定においてどう評価されるのか、次のセクションで具体的に見ていきましょう。

精神疾患の障害年金|まず知っておきたい3つの受給要件

障害年金を受給するには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。この3つのうち、精神疾患の方が特につまずきやすいのが「初診日の特定と証明」です。

障害年金の3つの受給要件(精神疾患の場合)
要件 内容 精神疾患での注意点
①初診日の特定 障害の原因となった病気・けがで、初めて医師の診察を受けた日を特定・証明する 最大の難関。廃院・カルテなしの場合でも代替手段あり(本記事で解説)
②保険料納付要件 初診日の前々月までの年金保険料を、3分の2以上納付または免除していること(直近1年間に未納なし、でも可) 未納が多い場合は要注意。20歳前発症の場合は要件が異なる
③障害状態の要件 「障害認定日」(初診日から1年6ヶ月後)または現在、障害等級(1〜3級)に該当していること 診断書の書き方が等級に大きく影響。日常生活の実態を正確に記載することが重要

初診日が重要な理由

初診日が重要なのは、「どの年金制度に加入していたか」を決める基準日だからです。初診日に厚生年金に加入していた場合(会社員・公務員など)は「障害厚生年金」、国民年金だった場合は「障害基礎年金」の対象になります。

障害厚生年金は3級まで支給対象になるため、比較的軽度の障害でも受給できる可能性があります。また、障害基礎年金よりも受給額が高くなるケースが多い点も特徴です。令和7年度(2025年度)の年金額は以下の通りです。

種類・等級 年額(令和7年度) 月額換算
障害基礎年金 1級 1,039,625円 約86,635円
障害基礎年金 2級 831,700円 約69,308円
障害厚生年金 3級(最低保証) 623,800円 約51,983円

※障害厚生年金は報酬比例部分が加算されるため、上記より高くなる場合があります。子の加算(第1子・第2子:各239,300円)が適用されるケースもあります。出典:日本年金機構

認定基準がわかったところで、精神疾患の申請でもっとも難しいとされる「初診日の立証方法」を詳しく見ていきましょう。

精神疾患の障害年金|等級認定基準と診断書に反映させるポイント

精神疾患の障害年金では、2016年9月に「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が施行され、全国で統一した認定基準が適用されるようになりました(参考:厚生労働省ガイドライン)。認定の核心は「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の2軸です。

等級判定の2つの軸

日常生活能力の判定(7項目):適切な食事・身辺の清潔保持・金銭管理と買い物・通院と服薬・他人との意思伝達と対人関係・身辺の安全保持と危機対応・社会性の7項目を、それぞれ4段階(①〜④)で評価します。

日常生活能力の程度(5段階):全体的な日常生活の支障度合いを5段階で評価します。「(3)」以上で2級の目安、「(4)」「(5)」で1級の目安となります。

精神疾患の障害等級の目安と、医師への伝え方ポイント
等級目安 主な状態像 医師に伝えるべきポイント
1級 日常生活のほぼ全般に常時介助が必要。一人での外出・食事・服薬が困難で、常に誰かのサポートが必要な状態 「一人でいると危険な状態になることがある」「服薬を忘れると症状が急激に悪化する」「調理・入浴を自力で行えない日が週に○日ある」など、支援なしではできないことを具体的に伝える
2級 日常生活に著しい支障がある。一人暮らしは困難で、家族等の援助がないと生活の維持が難しい状態。就労継続支援A・B型を利用しているケースでも認定される場合がある 「起床できない日が週に○日ある」「外出は通院のみで、それ以外はほぼ外出できない」「服薬・金銭管理に家族のサポートが必要」など、最悪時の状態を具体的な頻度と共に伝える
3級 日常生活はおおむね可能だが、労働に著しい制限がある。厚生年金加入者のみが対象(基礎年金には3級なし) 「フルタイム就労は不可能で、週○時間以内の短時間就労に限定されている」「職場での対人関係・環境調整が常に必要」「欠勤・早退・遅刻が月○回以上ある」を具体的に伝える

※等級の認定は個別の審査によるものです。就労中でも受給できるケースがあります。上記はあくまで目安です。

診断書でよくある「記載漏れ」と対策

精神疾患の診断書でもっとも問題になるのが、「良い日ベース」で記載されてしまうことです。診察室では比較的落ち着いて話せる患者さんが多く、医師が「日常生活はまあできている」という印象を持ちやすい傾向があります。実際には自宅で寝込んでいる日が多くても、診察時の様子を基準に診断書が書かれると、実態よりも軽い状態として記録されてしまいます。

特に診断書の「日常生活能力の判定」7項目のうち、医師が記載を迷いやすいのが「通院と服薬」「金銭管理と買い物」「他人との意思伝達と対人関係」の3項目です。これらは患者さん自身が「何とかできている」と感じがちな一方、実際には多大なエネルギーを消費してこなしているケースが多いものです。

💡 医師に症状を正確に伝えるための3つのポイント

① 「良い日」ではなく「最悪の日」の状態を伝える
「週に何日、起き上がれない日がありますか」という問いに対し、「週に2〜3日は全く動けない」と具体的な頻度で伝える。「たまに」「時々」という表現は記載されにくい。

② できないことを「数字」で伝える
「外出は月に○回、通院のみ」「自炊できる日は週○日以下」「人と会う約束を月○回以上キャンセルした」のように、頻度・回数で具体化する。医師は数字の記録を診断書に転記しやすい。

③ 診察前に「症状メモ」を書いて渡す
診察の数分間だけで実態を正確に伝えることは難しい。1週間の生活記録(起床できた日・外出できた日・食事を作れた日など)をメモにまとめて診察前に医師に渡すと、診断書に反映されやすくなる。

認定基準の仕組みがわかったところで、次は申請の実際の流れと、「初診日不明」という最大の壁を乗り越える5つの方法を解説していきましょう。

精神疾患の障害年金申請の流れ|初診日立証から認定まで

精神疾患の障害年金申請は、大きく「準備」「申請」「審査・認定」の3段階に分かれます。特に「初診日の立証」が、精神疾患では申請前の最重要ステップになります。

精神疾患 障害年金申請の流れ

1

初診日の特定・証明書類の収集

お薬手帳・診察券・領収書・第三者証明などで初診日を特定。廃院の場合は2番目の病院から芋づる式に証明する方法も。📱 写真をLINEで送るだけでOK

2

診断書の取得(医師への依頼)

主治医に診断書を依頼。日常生活の実態をメモにまとめて渡すことで、実態に即した記載を求める。「医師に何を伝えるか」が等級を左右する最重要ポイント。

3

病歴・就労状況等申立書の作成

発症から現在までの経過を記載する重要書類。精神疾患では発症が何年も前にさかのぼることが多く、この書類の作成が大きな負担になる。

4

年金事務所への書類提出

必要書類をすべて揃えて年金事務所または市区町村窓口に提出。書類の不備があると審査が長引くため、事前の確認が重要。

5

審査・認定(約3〜4ヶ月)

日本年金機構の認定医が診断書・申立書・証明書類を総合的に審査。認定または不支給の決定通知が届く。

「調べる・考える・書く」の負担を最小化する方法

精神疾患を抱えながらこれだけの手続きを一人でこなすのは、非常に大きな負担です。「何が必要か調べること」「書類を記入すること」「役所に出向くこと」のひとつひとつが、体調の悪い日には不可能に近い作業になります。

自分で申請する場合と、清水総合法務事務所に依頼する場合の比較
手続きの場面 自分で申請する場合 清水総合法務事務所に依頼
初診日の特定・証明 自分で調べて証明書類を収集 ✅ お薬手帳の写真をLINEで送るだけ
医師への診断書依頼 何を伝えるか自分で考える ✅ 医師への伝え方を医学的に整理してサポート
病歴・申立書の作成 自分で数十年分の経過を記述 ✅ ヒアリング内容を基に全文代筆
役所・年金事務所への手続き 体調に関わらず窓口に出向く ✅ 全て代行。外出不要
不支給・審査不通過の場合 再チャレンジの方法が不明 ✅ 審査請求・再申請のサポートあり

申請の全体像がわかったところで、いよいよ「初診日がわからない・証明できない」という最大の壁を乗り越えるための具体的な5つの方法を解説します。

精神疾患の初診日がわからない方へ|5つの立証方法を徹底解説

「初診日が証明できないから申請できない」と思い込んでいる方へ。結論からお伝えすると、それは誤解です。精神疾患の障害年金申請では、初診日の証明手段が複数用意されており、「廃院」「カルテなし」「10年以上前」というケースでも対応できる方法があります。

なぜ精神疾患は初診日の証明が難しいのか

精神疾患の初診日証明が難しい理由は主に3つあります。第一に、発症から受診まで時間がかかることが多く、「最初に受診した病院」が数十年前になるケースが珍しくありません。第二に、最初は「不眠」「だるさ」で内科を受診し、のちに精神科で診断が確定するという経緯をたどることが多く、「どこが初診日か」の判断が複雑になります。第三に、カルテの法定保存期間は5年のため、古い記録が廃棄されていることが多いのです。

方法1: 受診状況等証明書(初診病院が現存する場合)

もっともオーソドックスな方法です。初診の医療機関が現在も存在し、カルテが保存されている場合は、その病院から「受診状況等証明書」を発行してもらいます。書式は日本年金機構の公式サイトから入手できます。

ただし精神疾患では、最初に受診したのが「内科」「神経科」「心療内科」であるケースが多く、その後「精神科」で正式な診断が確定した場合、最初の受診が精神疾患の初診日として認められるかどうかを慎重に確認する必要があります。

方法2: お薬手帳・診察券・領収書による代替証明

初診の病院が廃院していたり、カルテが廃棄されていたりする場合に有効な方法です。お薬手帳の最古の処方記録・診察券の発行日・医療機関の領収書の日付などを組み合わせることで、「この時期に受診していた」ことを示す参考資料になります。

これらは「確定証明」にはなりませんが、第三者証明と組み合わせることで、申請書類としての説得力が高まります。

🔍 専門家だからわかるポイント:お薬手帳の見方

お薬手帳に記載されている「最古の処方日」が、必ずしも初診日と一致するとは限りません。処方記録は薬局によって貼付方法が異なり、古いシールが失われている場合もあります。また、同時期に複数の医療機関から処方を受けていた場合は、どの処方が障害年金の対象疾患と関連するかを慎重に見極める必要があります。この判断を誤ると、保険料納付要件を満たせない「不利な初診日」を選んでしまうリスクがあります。

方法3: 第三者証明(家族・知人・元職場の上司等)

2015年の制度改正により、「第三者証明」が正式に認められるようになりました。家族・知人・元職場の同僚・民生委員など、当時の受診状況を知っている第三者が申告書に記入することで、初診日の参考証拠になります。

ただし、第三者証明だけでは証明力が弱いため、方法2の客観的証拠(お薬手帳・領収書など)と組み合わせることが一般的です。また、医療機関関係者(元担当看護師など)の証明は信頼性が高く認められやすい傾向があります。

方法4: 健康保険のレセプト(診療報酬明細書)開示請求

健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険などに対して、「診療報酬明細書(レセプト)」の開示を請求する方法です。これには過去の医療機関名・受診年月・診療科などが記録されており、初診日を裏付ける有力な証拠になります。

レセプトの保存期間は原則5年ですが、一部の健保組合ではより長期に保存しているケースもあります。請求手続きは各保険者によって異なりますが、専門家が代行することも可能です。

方法5: 芋づる式立証(2番目・3番目の病院から初診日を逆算する)

これは清水総合法務事務所が特に力を入れている方法です。初診の病院が廃院していて証明書が取れなくても、2番目・3番目に通院した病院のカルテに「前医(最初の病院名と受診時期)」が記録されていることがあります。この「紹介元」「前医」の記録を活用して、初診日を逆算・立証できるのです。

精神疾患では複数の医療機関を渡り歩くことが多く、後の病院のカルテに「○○クリニック(現在廃院)に○年から通院していた」という記録が残っているケースが意外に多くあります。このアプローチは一般的な解説記事ではほとんど紹介されていませんが、実際の申請では非常に有効な手段です。

初診日立証の5つの方法まとめ(精神疾患向け)
# 方法 有効なケース 証明力
1 受診状況等証明書 初診病院が現存・カルテが残っている ◎ 最も確実
2 お薬手帳・診察券・領収書 初診病院は廃院だが書類が手元に残っている ○ 他と組み合わせると有効
3 第三者証明 当時の受診を知っている家族・知人がいる ○ 客観証拠との併用が必要
4 レセプト(診療報酬明細書)開示 健保のレセプトが保存期間内に残っている ◎ 客観的な記録として有効
5 芋づる式立証(後の病院の記録から逆算) 初診病院は廃院だが、その後も他の病院に通院している ◎ 廃院ケースで特に有効

精神疾患特有の注意点:「相当因果関係」と「社会的治癒」

精神疾患には、一般的な記事ではあまり紹介されない2つの重要概念があります。

相当因果関係:うつ病で申請する場合でも、最初の診断が「適応障害」「不眠症」「自律神経失調症」であっても、現在の精神疾患と因果関係があると認められれば、それが初診日になります。「病名が違うから別の病気」とは限らないのが精神疾患の特徴です。「うつ病の初診は○年」と思い込んでいても、実際にはもっと前の受診が初診日になるケースがあります。

社会的治癒:精神疾患の治療を一定期間(目安5年以上)受けず、社会復帰していた期間があった場合、「その後の再発が新たな病気として扱われる」という考え方です。これを「社会的治癒」と呼び、意図的に活用することで「保険料納付要件を満たす初診日」を選択できるケースがあります。この判断は複雑な法的・医学的判断を要するため、専門家への相談が不可欠です。

精神疾患で障害年金の初診日を立証できた3つの事例

「自分と同じような状況の人が、本当に受給できたのか」——その疑問に答えるために、実際のサポート事例をストーリーで紹介します。いずれも初診日の証明に困難があったケースです。

事例1
「諦めていたのに、薬の写真1枚から始まった」——うつ病・40代女性

プロローグ

冬の午後、Aさんはスマートフォンの画面をじっと見つめていました。検索バーに「うつ病 障害年金 初診日 わからない」と打ち込んで、何度もスクロールしてみるものの、「では自分の場合はどうすればいいのか」という答えにたどり着けないまま、時間だけが過ぎていきました。

最初に心療内科を受診したのは、もう12年前のこと。当時勤めていた会社の近くにあったクリニックで、「不眠と食欲不振」を訴えたのが始まりでした。しかしそのクリニックはすでに廃院しており、「カルテも何もない。申請するための証拠がない」と自分に言い聞かせて、Aさんは申請を諦めていたのです。

現在、Aさんはうつ病の診断を受けて8年。服薬を続けながら、週に2回のデイケアと月2回の通院が生活の中心です。「調子のいい日」も月に数日はありますが、そういう日に無理をすると、翌日から1週間は横になりっぱなしになる。そのリズムを家族は「波がある」と表現しますが、Aさん本人には、その波がいつ来るかわからない恐怖感が常にありました。

ある日、同じデイケアに通うBさんから「障害年金、私はLINEで相談して手続きしてもらったよ」という話を聞きました。「外出しなくてもいいの?」と聞き返すAさんに、Bさんは「お薬手帳の写真を送っただけ。あとは全部やってもらった」と言いました。

その夜、Aさんは清水総合法務事務所のLINE公式アカウントにメッセージを送りました。「12年前の最初の病院が廃院しています。それでも申請できますか?」——。翌営業日に返信が届きました。「まずは今お手持ちのお薬手帳の最古のページを写真で送っていただけますか?そこから確認できることがあります。」

Aさんが送った一枚の写真には、廃院したクリニックとは別の病院名と、10年前の処方日が印字されていました。「この病院のカルテを確認しましょう。そこに前のクリニックの記録が残っている可能性があります」という返信を見たとき、Aさんは初めて「もしかしたら進めるかもしれない」と思いました。

2番目の病院に問い合わせると、カルテに「前医:○○クリニック(当時の住所)、平成○年から受診」という記録が残っていました。廃院した最初のクリニックの受診時期が、別の病院のカルテから証明できたのです。Aさんは自分では「手詰まり」と思っていた状況が、専門家の目には「別のルートで証明できる」に見えていたことを知りました。

その後、診断書の取得に際しても、Aさんは主治医に渡すための「症状メモ」を一緒に作成しました。「起床できない日:週3〜4日」「外出:通院とデイケアのみ(週2回)」「自炊できる日:週2日以下」——。診察室では「まあ何とかやっています」と答えてしまいがちだったAさんにとって、このメモを作ることで「自分の実態を正確に言語化できた」と感じられたのが大きな変化でした。

エピローグ — Aさんの言葉

「廃院していたら無理だと思っていました。でも、別の病院のカルテに記録が残っていたなんて、自分では思いもよらなかった。LINEで聞いてみてよかった。申請するかどうかは後で決めようと思っていたのに、気づいたら動いていました。」
Aさんは障害基礎年金2級に認定され、デイケアへの通院を続けながら、少しだけ先のことを考えられるようになったと話しています。

この事例のポイント:2番目に通院した病院のカルテに「前医・受診期間の記録」が残っており、廃院した初診クリニックの受診時期を芋づる式に立証。症状メモの作成で診断書の記載内容も実態に即したものになった。

事例2
「20年前の初診日を、お薬手帳と第三者証明で立証した」——双極性障害・50代男性

第1幕:壁に直面

年金事務所の窓口で、Cさんは言われました。「初診日の証明書がないと審査できません。最初に受診された病院の受診状況等証明書を取得してきてください。」しかし、Cさんが最初に精神科を受診したのは20年以上前。当時受診していたクリニックはとうの昔に廃院しており、院長も引退して連絡が取れません。「手詰まりです。申請できないですか?」と聞き返すと、窓口担当者は「それだと難しいですね」と答えました。

Cさんは50代、双極性障害の診断を受けて長く、躁と鬱の波を繰り返しながら仕事を続けてきましたが、この数年で働くことが難しくなっていました。子どもの大学進学を控えた時期に、この「難しいですね」という一言がCさんの中に深く刺さりました。「やっぱり無理か」と家に戻り、受診状況等証明書の書類を引き出しにしまったまま、半年が過ぎました。

第2幕:転機

妻に勧められて清水総合法務事務所に相談したのは、ちょうど半年後のことでした。LINE公式アカウントに「20年前の初診、廃院でカルテもない。一度窓口で無理と言われた」とメッセージを送ると、「状況を整理させてください。いくつか確認させてください」という返信がありました。

確認のやり取りの中で、2つのことが判明しました。ひとつは、Cさんが当時から保管していた古いお薬手帳に、廃院したクリニックの院名が入ったシールが1枚残っていたこと。もうひとつは、当時の職場の同僚で、Cさんが「体調不良で休みがちだった時期」を記憶している方がまだ連絡を取れる状況にあったことです。

「このお薬手帳のシールが初診病院の受診を示す参考資料になります。加えて、当時の職場の方に第三者証明を書いていただければ、合わせて初診日の申告が可能です」という説明を受けたとき、Cさんは「窓口では教えてもらえなかったことがある」と初めて気づきました。

さらに、診断書の取得にあたって担当者から「医師に伝えるポイント」の整理を受けました。「双極性障害の診断書では、躁状態のときの行動(金銭の使いすぎ・リスクの高い判断)と、うつ状態のときの起床困難・意欲低下、それぞれを別々に伝えることで、双極性障害の経過と日常生活への影響が診断書に正確に反映されやすくなります」——この視点は、Cさんが20年間医師との診察で意識したことがないものでした。

第3幕:解決と成果

お薬手帳のシール、元同僚の第三者証明、現在の主治医の診断書——それらをもとに提出した申請書類は、約3ヶ月半後に「障害厚生年金2級」の認定通知として戻ってきました。初診日が20年前で厚生年金加入中であることが確認され、報酬比例部分も加算された形での認定でした。通知書を開いた日、Cさんは妻に電話をかけて「通った」とだけ伝えると、しばらく声が出なかったそうです。

「年金事務所の窓口で無理と言われたとき、本当に諦めていた。でも、諦めない人が他にいた。それだけのことで、こんなに変わるとは思いませんでした。」

この事例のポイント:お薬手帳に残っていた廃院クリニックのシール+元同僚の第三者証明で初診日を申告。双極性障害の診断書では「躁状態・うつ状態それぞれの具体的な症状と頻度」を別々に医師に伝えることで、実態に即した記載が可能になった。

事例3
「一度不支給になったが、初診日を見直して2級に逆転認定」——統合失調症・30代女性

結果 — まず、今を知ってください

封筒を開いた瞬間、Dさんの手が震えました。「障害基礎年金 2級 支給決定」。一度は「不支給」の通知を受け取り、「もう無理だ」と思っていたDさんが、再申請からわずか4ヶ月後に受け取った通知でした。母親と向かい合って座ったまま、しばらく二人とも何も言えませんでした。

実は — こんな状況でした

Dさんが最初に障害年金を申請したのは2年前のこと。統合失調症の診断を受けて6年が経ち、グループホームに入居しながら就労継続支援B型に通っていました。しかし、初回の申請は「不支給」。理由は「障害状態が認定基準に達していない」というものでした。

診断書を書いた医師は「就労継続支援に通えているし、まあ大丈夫だろう」という感覚で記載したと、後から振り返ることになります。診断書の「日常生活能力の判定」が全体的に高めに記載されており、実際の生活実態との乖離が生じていたのです。Dさん本人も、医師への遠慮から「できないこと」を正直に伝えられていませんでした。

「もうあの紙(不支給通知)を見たくない」——Dさんはそう思って、再申請を諦めていました。

逆転 — どう変わったか

再挑戦のきっかけは、グループホームの支援員からの一言でした。「一度不支給でも、やり直せることがあるって聞いたことがある。神戸で詳しい社労士さんがいるって。」

相談に来たDさんに対して、まず「前回の不支給通知と診断書を見せてください」という依頼がありました。2枚の書類を見比べながら、担当者はこう説明しました。「診断書の記載内容と、Dさんが話してくださっている日常生活の状況に大きな差があります。服薬管理にグループホームのスタッフのサポートが必要なこと、調理は一切できないこと、これらが診断書に反映されていません。」

再申請にあたって、Dさんは「症状の実態を伝えるメモ」を一緒に作成し、主治医の診察前に手渡しました。「一人では服薬の管理ができない(スタッフが毎朝確認している)」「自炊は一切しておらず、食事はグループホームの提供のみ」「外出は支援員同行のみで、一人での外出はほぼない」——これらの事実を、具体的な支援体制の記述とともに診断書に反映してもらうことができました。

さらに初診日についても再確認した結果、最初の申請では「現在の病院への初診日」を使っていましたが、実は転院前のクリニック(国民年金加入期間中)への初診がより古く、そちらが正しい初診日であることが判明しました。

今、伝えたいこと

「一度不支給になったとき、もう終わりだと思いました。でも、諦めないで相談してよかった。前回の診断書と何が違うのかを一緒に見てくれて、医師への伝え方まで一緒に考えてもらえた。同じ病気でも、伝え方で結果が変わるんだと、初めて知りました。」

この事例のポイント:前回の不支給診断書と実態の乖離を特定し、「グループホームによる服薬・食事管理が必要な状態」を診断書に正確に反映。初診日の再確認で、より有利な初診日が判明した。

「自分の初診日、立証できるかどうか」一度確認してみませんか

申請するかどうかはその後でOK。「対象になるか」「初診日を証明できるか」だけ確認できます。
お薬手帳・診察券などをお手元に用意していただければ、すぐに確認できます。

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精神疾患の障害年金・初診日に関するよくある質問

Q. 精神疾患で障害年金はもらえますか?

はい、精神疾患でも障害年金を受給できる可能性があります。うつ病・双極性障害・統合失調症・発達障害(ADHD・ASD)・不安障害など幅広い疾患が対象です。初診日の特定・保険料納付要件・障害状態の3要件を満たすことが条件ですが、就労中でも受給できるケースや、就労継続支援A・B型を利用しながら受給できるケースもあります。まず一度、受給の可能性を専門家に確認されることをお勧めします。

Q. 初診日がわからなくても障害年金を申請できますか?

はい、申請できる場合があります。お薬手帳・診察券・領収書・第三者証明・健康保険のレセプト開示・2番目以降の病院カルテからの逆算(芋づる式立証)など、複数の代替証明方法があります。初診の病院が廃院していても、後に通院した病院のカルテに前医の記録が残っているケースがあり、そこから初診日を立証できる場合があります。まずは手元にある書類(お薬手帳・診察券など)を確認することから始めましょう。

Q. カルテが廃棄されていても障害年金を申請できますか?

はい、申請できるケースがあります。カルテの法定保存期間は5年のため廃棄されることが多いですが、お薬手帳・健康保険のレセプト開示・第三者証明(家族・知人の申告)などで初診日を申告する方法があります。「カルテがないから無理」ではなく、「カルテ以外の証明手段を探す」という方向で考えることが重要です。

Q. うつ病で申請したいが、最初の診断は「適応障害」でした。どちらが初診日ですか?

「相当因果関係」という考え方により、適応障害の初診日が、うつ病の初診日になる場合があります。精神疾患では、最初の診断名が「適応障害」「不眠症」「自律神経失調症」であっても、現在の精神疾患と因果関係があると判断されれば、それが初診日になります。ただし、この判断は個々の病歴によって異なります。専門家に病歴を詳しく伝えた上で判断してもらうことをお勧めします。

Q. 一度不支給になりましたが、再申請できますか?

はい、可能です。不支給になった理由を分析した上で、「審査請求(不服申立て)」または「新たな障害認定日での再申請」が考えられます。不支給の多くは「診断書の記載内容が実態を正確に反映していない」ことが原因のひとつです。医師への伝え方を改善し、実態に即した診断書を取得し直すことで、認定が変わるケースがあります。一度諦めずに専門家にご相談ください。

清水総合法務事務所が選ばれる3つの理由

🔬 理由1: 廃院・カルテなしでも「芋づる式立証」で初診日を追う

初診日の証明は「最初の病院からもらう」だけではありません。2番目・3番目の病院のカルテ、お薬手帳の記録、レセプト開示、第三者証明——複数のルートを組み合わせて初診日を立証するのが、私たちの強みです。「年金事務所で無理と言われた」という方こそ、一度ご相談ください。

📱 理由2: やることは「LINE で写真を送るだけ」から始められる

体調が悪い日に、書類を集めて役所に出向くのは非常な負担です。清水総合法務事務所では、LINE公式アカウント(@273dfkjp)からお薬手帳・診察券の写真を送っていただくだけで相談を開始できます。「調べる・考える・書く」という負担はすべてこちらが担います。相談は30分×2回の分割も可能です。

🔄 理由3: 診断書の「記載漏れ」を医学的に防ぐ、医師との橋渡し

精神疾患の不支給の多くは「診断書が実態を反映していない」ことが原因です。私たちは、疾患ごとに「医師に何をどう伝えれば診断書に実態が反映されるか」のポイントを整理してお伝えします。患者さん自身が医師に症状を正確に伝えられるよう「症状メモ」の作成をサポートするのが、他事務所にはない清水総合法務事務所の医学的翻訳サポートです。

精神疾患の障害年金申請|初診日不明でも諦めない、まずできること

この記事では、精神疾患の障害年金申請において「初診日がわからない」という壁を乗り越えるための5つの方法を解説しました。

「廃院していたら申請できない」「カルテがなければ無理」——そう思い込んでいた方に、まずお伝えしたいのは「代替手段がある」という事実です。お薬手帳・診察券・第三者証明・レセプト開示・芋づる式立証と、複数のルートが用意されています。どの手段が使えるかは、個々の状況によって異なりますが、「手元にある書類を確認する」ことから始められます。

もうひとつ大切なことは、初診日の証明と同様に「診断書の内容」が等級認定に大きく影響するという点です。精神疾患では「良い日ベース」で診断書が書かれてしまうリスクがあり、医師に「最悪の日の状態を具体的な頻度で伝える」ことが、実態に即した診断書を得るための重要なステップになります。

📋 まずできること・チェックリスト

  • ☐ 手元にあるお薬手帳・診察券・領収書を確認する
  • ☐ 過去に通院した病院をできる範囲でリストアップする
  • ☐ 当時の状況を知っている家族・知人が証明できるか確認する
  • ☐ 現在の医師に診断書を依頼する前に、「症状の実態メモ」を作る
  • ☐ 自己判断で諦める前に、一度専門家に状況を話す

📅 申請のタイミングについて知っておきたいこと

障害年金には請求の時効(5年)があり、申請が遅れると過去に遡って受け取れる期間が短くなることがあります。「まだ迷っている」という段階でも、まず「自分のケースが対象になるか」「初診日を証明できるか」の確認だけを専門家にしてみることをお勧めします。確認だけして、申請するかどうかを後から決めていただいても構いません。

「初診日がわからない」でも、諦めないでください

精神疾患の障害年金申請、神戸の専門社労士が初診日立証から診断書取得まで医学的根拠をもとにサポートします。

✅ 廃院・カルテなしでも複数の立証ルートを探します
✅ 診断書の「記載漏れ」を防ぐ医師への伝え方サポート
✅ 一度不支給になったケースの再申請にも対応

📋 相談の流れ(3ステップ)

① LINE・電話・メールで相談予約 → ② 30分のヒアリング → ③ 方針をご提案
※オンライン相談可・30分×2回に分割可能

体調が悪い日でも大丈夫。お薬手帳の写真をLINEで送るだけで相談を始められます。
「申請するかどうかまだわからない」という段階でも、まず確認だけしていただけます。

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※LINEなら24時間メッセージ送信OK。返信は営業時間内に行います。

監修・執筆者

清水総合法務事務所 代表社会保険労務士

神戸を拠点に、障害年金申請サポートを専門とする社会保険労務士。「初診日が不明」「廃院でカルテなし」「一度不支給になった」という難件を含め、精神疾患を中心に多数の認定実績を持つ。医学的根拠に基づく診断書作成支援と、「調べる・考える・書く」負担ゼロの完全代行サービスを強みとし、兵庫・神戸を中心に全国対応。

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